TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#439/20-Jul-98

スパマーを訴えたいと思ったことはおありだろうか? 我々はそれをしてい るのだ。頻繁なスパムに対するワシントン州の新しい反スパム法をいかに 我々が試しているかのアナウンスで読んでほしい。また Adam はサーバを 運転させ続けるためのクラッシュ検知ディバイスの二部構成レビューを開 始しており、Symantec 社が Mac 用 Visual Page を無視していることにつ いても意見を述べている。今週のニュースは Apple の第三四半期の利益、 広く伝えられた OLE のバグ・パッチ、RAM Doubler 8、NetCloak のセキュ リティ・フィックス等々である。

目次:

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MailBITS/20-Jul-98

(翻訳:松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.meshnet.or.jp>)
(  :西村 尚 <hisashin@axes.co.jp>)

Apple が 1 億 100 万ドルの利益を計上 先週、Apple Computer 社は、 一度限りの投資収益 2 千 600 万ドルの上積みもあり、1998 年度第三四半 期の利益は 1 億 100 万ドルであったと発表した。1 億 100 万ドルは一株 あたり 65 セントであり、アナリストによる一株あたり 33 セントという 推定のほぼ倍である。当四半期の収入は前四半期の 14 億ドルと同じで、 粗利益率は 25.7 パーセント(Power Macintosh G3 と PowerBook G3 のお かげで過去 3 年間で最も高い)となった。Apple の CFO である Fred Anderson 氏は、同社がほぼ 20 億ドル手持ち資金を有していると語ってい る。さらに Anderson 氏は、次期四半期の低利益率の iMac の投入により、 粗利益率は低下するが収入は増加すると述べている。[ACE]

<http://www.apple.com/pr/library/1998/jul/15results.html>

Mac Office 98 用 OLE セキュリティパッチ -- Microsoft Corporation は英語版 Microsoft Office 98 用の OLE アップデートをリリースした。 これは OLE を使用するアプリケーションが、メール、財務データ、もしく はその他のセンシティブな情報等の非関連データを文書ファイル中に取り 込んでしまうのを、防ぐものだ。(当問題に関する詳細は TidBITS-437 の「OLE の副作用:文書のセキュリティを考える」を参照のこと。)OLE の改訂版は OLE を使用する全てのアプリケーション(PageMaker や Office アプリケーションの従来のバージョンが含まれる)での非関連データ問題 を修正するものだが、Microsoft 社のアップデータはファイルをインストー ルするのに Microsoft Office First Run アプリケーションを必要とする。 結果、Microsoft Office 98 を持っていない場合、このアップデータでは 他のアプリケーション用に OLE 修正版をインストールすることができな い。この時点では、Microsoft 社が OLE のスタンドアローンアップデート をリリースする予定なのか、または OLE を使用する他のアプリケーション のデベロッパーにフィックスが入手可能となるようにするのか、不明であ る。アップデートは MacBinary(3.3 MB)または BinHex(4.5 MB)形式で 用意されており、既にリリースされている Office 98 の Memo Wizard と Resume Wizard の問題を修正する Visual Basic for Applications 用 フィックスも含まれている。[GD]

<http://www.microsoft.com/macoffice/productinfo/98dl/offi98patch.htm>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04973>

RAM Doubler 8 無償アップデート -- Connectix 社の RAM Doubler 2.x ユーザーは、現在、Connectix 社の Web サイトより入手可能な無償アップ データ(379K のダウンロード)を使用して RAM Doubler 8 へとアップデー トが可能だ。大きなバージョン番号の変更にもかかわらず、アップデート はかなりマイナーなもので、主に RAM Doubler コントロールパネルでのい くつかのレポートおよびコンフィギュレーション用のオプション追加であ り、Microsoft Office 98 とのコンフリクト用フィックスがプラスされて いる( TidBITS-431 の「Connectix 社のマイナーアップデート」を参 照)。[ACE]

<http://www.connectix.com/html/rd__mac__update.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04902>

Maxum 社が NetCloak のセキュリティホールを修正 -- Maxum Development 社は、同社のダイナミック Web コンテンツ作成用のサーバ側 ツールである NetCloak の暫定「最終候補」バージョン 2.5.4 をリリース した。バージョン 2.5.4 は NetCloak の従来バージョンでの深刻なセキュ リティ問題を修正するものであり、Maxum 社は Web サーバー上で保安の必 要なコンテンツを有する全ての NetCloak ユーザーがバージョン 2.5.4 へ と早急にアップグレードすることを勧めている。Maxum 社は、2.5.4 アッ プデートがインストールされていないサイトへのハッカーの侵入を防ぐた め、当セキュリティ問題が何かを明らかにはしていない。同社では十分に 検証された NetCloak 2.5.4 バージョンを近々リリースの予定だ。アップ デートは Maxum 社の Web サイトで申込書に記入することにより入手が可 能だ。[GD]

<http://www.maxum.com/NetCloak/>
<http://www.chi.maxum.com/Misc/DemoAccess.html>

Griffin iMate で USB と ADB が仲良しに -- Griffin Technology 社が 先週 iMate を発表した。iMac ユーザーがキーボード、マウス、トラック ボール、ジョイスティックのような標準的な ADB 装置を使えるようにする 29 ドルの USB → ADB 変換器である。将来のバージョンでは、比較的標準 的ではない著作権保護用のドングルのような ADB 装置への対応が含まれる 予定だ。iMate ユーザーは USB 装置と ADB 装置を混在させ、調和させる ことができ、さらに iMate に接続された ADB 装置はディジーチェーンが 可能だ。また、iMate は、USB 対応の PC が Windows 98 を走らせて ADB 装置を使えるようにできるという話だ。Griffin 社は iMate を 8 月半ば に出荷し、iMac の出荷日と合わせる計画でいる。 [ACE]

<http://www.nashville.net/~griffin/usb_pr.html>

Keep It Up にもっと多くの出番 -- Karl Pottie 氏は、彼の有益なアプ リケーション監視ユーティリティのマイナーバグ修正版である Keep It Up 1.4.1 を出荷した。Keep It Up は選択されたアプリケーションを監視し、 それが終了またはクラッシュした場合にこれを再起動する。ユーザー側で 規定した回数、アプリケーションの再起動を試みた後で、Keep It Up は Mac を再起動できる。その他、アプリケーションの起動時に特定の文書を 開き、スケジュールにしたがった再起動をし、一つのアプリケーションを いつでも最前面にしておく機能も含まれる。Keep It Up は 22 ドルのシェ アウェアで、186K のダウンロード容量である。 [ACE]

<http://www.vl-brabant.be/mac/kiu.html>

AutoShare 2.4 出荷 -- Mikael Hansen 氏は、彼のフリーウェアのメー リングリストサーバと自動応答機能である AutoShare 2.4 を出荷した。 バージョン 2.4 の新機能は、いくつかの付加的な処理エクステンダの形 式、休暇不在用メールのためのサンプル処理エクステンダ、自動バウンス 処理用のモジュール、さらに細かい改良とバグ修正である。AutoShare 2.4 は 1.8 MB のダウンロード容量だ。 [ACE]

<http://www.dnai.com/~meh/autoshare/>

Tenon、WebTen 2.1 に改訂 -- 先週、Tenon Intersystems 社は、高性能 の、Apache ベースの Macintosh 用 Web サーバである WebTen 2.1 を出荷 した。これには DNS、マルチホーミング FTP、NFS、SSL 3.0 も含まれる。 WebTen は、本来、Unix アプリケーションの優れた性能と機能を保持しつ つ Macintosh アプリケーションに変身させるシェルでこれを包む Tenon 技術を基礎とする。WebTen 2.1 には Apache 1.2.6 用の最新版コード、 BIND 8.1.2 ベースのドメインネームサービス、Squid 1.1.20 ベースの キャッシュ機能ソフトウェア、Perl 5.004_4、それに更新されたドキュメ ンテーションが組み込まれている。また Tenon 社は、人気の高い Unix 用 ht://Dig 検索エンジンの WebTen 版、加えて Neuron Data Systems 社製 の自動サーバ監視機能で再起動装置である MacCoach 2.0 に関する取り扱 いも発表した。MacCoach 2.0 の通常小売価格は 99 ドルだが、Tenon から の WebTen の顧客には 55 ドルで入手できる限定期間がある。WebTen の価 格は 350 ドルの乗り換えアップグレードから 495 ドルの CD と印刷ドキュ メンテーションまでさまざまである。また、Tenon 社は学割と政府関係者 割引を用意している。 [ACE]

<http://www.tenon.com/products/webten/>
<http://www.neuronsys.com/>

Disk Copy 6.3 が機能を追加・改良 -- Apple 社は、ディスクイメージ ファイルを作成し操作する無償のプログラムである Disk Copy 6.3 を出荷 した。これには同社がソフトウェアのアップデートに使っている NDIF(New Disk Image Format)アーカイブが含まれる。Disk Copy 6.3 は、フロッ ピーディスクを複製し、自己マウント形式ディスクイメージ(通常“.smi” 拡張子で識別される)を作成する機能を追加する。さらに、Disk Copy 6.3 は(Mac OS 8.1 下の)HFS Plus ボリュームと(Mac OS 8.5 で初登場予定 の)Apple の次期 Navigation Services をサポートする。機能的に低いと 見られることが多いが、Disk Copy は意義深い AppleScript サポートを提 供し、これにはレコード機能と添付可能な Scripts メニューが含まれる。 バージョン 6.3 は AppleScript 用語のいくつかを変更するが、同時に新 しい機能性も提供する。Disk Copy は米国英語版 System 7.0.1 以上を必 要とするが、多くの機能(例えばイメージの読み込み/書き出しとドラッグ & ドロップのサポート)には System 7.5 以上が必要だ。Disk Copy 6.3 は BinHex(983K)または MacBinary(729K)フォーマットでダウンロード できる。 [GD]

<ftp://ftphqx.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_SW_Updates/US/ Macintosh/Utilities/Disk_Copy/Disk_Copy_6.3.smi.hqx>
<ftp://ftp.info.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_SW_Updates/US/ Macintosh/Utilities/Disk_Copy/Disk_Copy_6.3.smi.bin>

Newer 社は Macworld に出展 -- しまった。 TidBITS-438 で、Newer Technology 社が Macworld に出展していなかったと書いてしまった。事実 は、Newer Technology 社は、現在 Peripheral Enhancements 社が所有す る NewerRAM 社とブースを共用していたのだった。Newer Technology の Eric Dahlinger 氏が、今年はいつものようなデモ主体のブースでプロセッ サアップグレードカードを呼び物としなかったのだとメッセージをくれた。 このことが我々はじめ他の人々も彼らを見落としてしまう原因となったの かもしれない。

<http://www.newertech.com/>
<http://www.newerram.com/>


TidBITS、スパマーを起訴

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <odaka@iprolink.ch>)

98 年 7 月 17 日、シアトル在住の弁護士で古くから TidBITS の読者であ る Brady Johnson 氏の力を借り、ワシントン州在住の TidBITS メンバー 4 人は、WorldTouch Networks 社を起訴した。理由は新たに制定されたワ シントン州の反スパム法の度重なる違反だ( TidBITS-422 の「Washington 州スパムを違法化」を参照)。WorldTouch 社はメールアドレス収集ツー ル、Bull's Eye Gold を販売している。これは 259 ドルの Windows 用 Web スパイダープログラムで、Web ページを訪れてはリンクをたどり、発見し たメールアドレスを記録するというものだ。当然といえば当然だが、 WorldTouch 社は多数のインターネットユーザーに何度も押し売りメールを 送り付けてこのプログラムの効能を宣伝している。ワシントン州の反スパ ム法が発効した 98 年 6 月 11 日から今日までの間に、TidBITS スタッ フは 100 通近くの全く同内容の広告メールを受け取った。

<http://www.fremontlaw.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04780>

ワシントン州の反スパム法は“許可なく第三者のインターネットドメイン ネームを使用したり、メッセージの発信元を不正確に示したり、あるいは Subject 行に虚偽または誤解を誘う情報を示した商用電子メールの送信” を禁止している。メッセージはワシントン州にあるコンピュータから発信 されるか、ワシントン州の住人に向けられていなければならず、この法で は押し売りメールの発信者に受信者がワシントン州の住人であるかどうか を判定する義務を負わせている。

Bull's Eye Gold のスパムを子細に検討すると、WorldTouch 社は IBM、 MCI、Sprint、または AT&T などが運営している大手のプロバイダから発信 されているようにみせかけた、ランダムに生成した返信用アドレスを使用 していることがわかる。スパムは通常ヨーロッパにあるメールサーバを経 由しており、逆探知を防止するために虚偽のルーティング情報を含んでい る。ほとんどの場合、メッセージヘッダの Subject 行は空になっており、 そのかわりメールプログラムが認識せず、よってメールボックスウインド ウに表示しない本文に題が書いてある。

ワシントン州在住の Bruce Miller 氏が最近スパマーを訴えると脅して 200 ドルの支払いを受けたことはあったが、おそらく私たちの訴訟がこの新法 の最初の試金石となるだろう。今回のワシントン州の新法は、スパム問題 を理解して被害者に賠償請求権を認める反スパム法としては国内でも最初 の部類に入る。私たちがこの裁判を起こした理由は 2 つある。

<http://www.eskimo.com/~brucem/tugpayup.htm>

まず、WorldTouch Network 社が大量のスパムを送り続けることを止めさせ ることがある。インフォーマルな調査をしたところ、私たちの知人の多く も Bull's Eye Gold の宣伝を受け取っているようだ。このスパム行為に終 止符を打つことは多数の人のためになることだ。

次に、この裁判で勝訴することによって、現在および未来のスパマーたち に、押し売りメールが社会的に受け入れられないものだというだけではな く、ワシントン州法に違反するものであるということを示すことができる。 これに加え、この裁判や他の裁判がワシントン州法が有効であることを示 すことができれば、他の州や最終的には他の国が同様の立法措置を講じる ことになると期待している。1997 年 4 月から 1998 年 4 月までの間、私 自身 2,300 通のスパムを受け取っており、1998 年 4 月から現在までの間 には 1,100 通、つまり一日 10 通のスパムを受け取っている。この 3,400 通のメッセージは私に 15 MBのディスクスペースと多くの時間を浪費させ ている。

この訴訟についてはまた追って記事を書くことにする。訴状の全文やワシ ントン州法へのリンクを含んだ Web ページを以下の URL にセットアップ してあるので、詳しくはそちらを参照していただきたい。

<http://www.tidbits.com/anti-spam/>


Visual Page の最期

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

TidBITS は普段冷静で落ち着いた記事を心がけているが、時には胃が痛く なるほど馬鹿な話を耳にしてしまうことがある。そんなことが最近 Symantec 社と同社の好評の HTML オーサリングツール、Visual Page で あったのだ。言ってみれば「競争相手に勝てなければ買収してから販売中 止にすべし」主義とでもいうべきか。TidBITS でも何度か Visual Page を 取り上げたことがあり、他のベーシック HTML オーサリングツールとの比 較でも常に上位をキープしていたのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbtxt=Symantec%20Visual%20Page>

Visual Page は BBEdit のようなテキストベースの HTML エディタと、 GoLive CyberStudio、Macromedia Dreamweaver、それに NetObjects Fusion のようなハイエンド製品のちょうど中間的な存在だった。要するに、ほと んどの人は HTML を勉強したいと思わないし、ハイエンド製品で急成長し ている多機能さも必要ないのだ。

Adobe 社が PageMill 3.0 で Mac を無視しているように見えること(今の ところ Windows 版のみ入手可能)と、Home Page が FileMaker 社のブラッ クホールに消えたことを加えると、Symantec 社は絶好のチャンスに恵まれ た。と誰もが思った。

このように競争相手が消滅したところで、Macintosh 版の開発を中止する などということを考えるだろうか? 私は考えなかった。だが、Symantec 社 の公式見解は、同社の Internet Tools Technical Support の Lead Technician、Scott Morrison 氏がサポート用ニュースグループで明らかに したことによると、「弊社は同製品を将来アップグレーとする計画はあり ません」。もちろん、Visual Page 2.0 の Windows 版は、コーンフレーク 以外のあらゆるものにバンドルされている Microsoft FrontPage と争わな ければならないにもかかわらず、つい最近出荷されたばかりだ。

ところで Scott Morrison 氏の Symantec ニュースグループでの働きぶり は表彰に値する。彼は常に正直で、いらだった Visual Page ファンへの回 答もいつも丁寧だった。しかも、彼は Visual Page ユーザーなら無料で入 手できる GoLive CyberStudio Personal Edition を試してみることを薦め るという良心的な対応もしてくれた( TidBITS-433 の「GoLive 社個人向 け CyberStudio を」を参照)。

<http://www.golive.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04922>

Phinney Bischoff Design House 所属のプロの Web デザイナーで、Web デ ザインのカンファレンスでも演壇に上がることの多い Neil Robertson 氏 は、CyberStudio への乗り換えに賛成している。「私は Symantec 社がい つまでたっても Visual Page をアップグレードしないので、既に GoLive CyberStudio を真剣に検討していました。今後 Symantec 社は私からの注 文を受けることも推奨されることもないでしょう。」

<http://www.pbdh.com/>

Scott Morrison 氏に Visual Page ユーザーにどんなことができるかを訊 いたところ、Symantec テクニカルサポートのニュースグループで発言する ことを薦めた。彼がこういったコメントをまとめて上司に渡し、経営陣へ のプレゼンテーションの材料にするというのだ。というわけなので、Visual Page ユーザーの方は Symantec ニュースグループに Web 経由で意見を寄 せていただきたい。あなたの所属している組織で使われている Visual Page の数、あなたが売上に寄与した数、それにあなたが管理している Mac の数 など、定量的な数字を盛り込むことを忘れないように。個人ユーザーでも 絶望することはない。あなたの意見も大切なのだ。特に Apple 社が iMac で個人ユーザーに注力していることで重要性を増したということも考えら れる。

<http://service.symantec.com/cgi-bin/newsgroups.pl?count=50&sortby= BYSUBJECTA&group=symantec.support.devtools.mac.visualpage.announce& Submit=Browse>

この状況で最も心が痛むことは、PageMill をはじめここで挙げたプログラ ムはすべて Mac が発祥の地であるということだと思う。小さなベンチャー 企業で生まれ、大企業に飲み込まれた後、製品がそのまま野放しにされた か、会社自体が Windows だけに目を向けるようになったのだ。GoLive Systems や Bare Bones Software のように独立を保って Mac に集中し続 けた会社は好調のようだから、市場全体にそれほど変化があったとは思い にくい。

<http://www.barebones.com/>

どうやら私たちは利潤追求の企業の論理に直面しているようだ。もちろん Mac 市場は Windows 市場ほど大きくはないが、今まで何度となく指摘され てきたように、Mac ユーザーの方がたくさんソフトウェアを買い、ブラン ドに対する忠誠度も高い傾向にある(1997 年の Apple 茶番劇を経てすら そうなのだ)。忠誠度という概念は Symantec、Adobe、それに FileMaker といった会社からは忘れられてしまったようだ。こういった会社がそのこ とに気がつくまで、ユーザーコミュニティからの忠誠など期待しないでも らいたいものだ。


用心棒対決、パート 1

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

私は Macintosh をベースにしたインターネットサーバをいくつか動かして おり、いずれもおおむね安定していると言っていい。クラッシュは頻発し ないものの、何とかしなければと思うぐらいの頻度で、特に常に動いてお いてもらわなければならないWeb サーバがクラッシュする。さらに悪いこ とには、サーバの一部が車で 45 分の距離にあるオフィスビルの中にあり、 そこは通常の勤務時間にしか入ることができない。そして、Mac が患う期 間が一番長くなってしまう金曜日の夕方にクラッシュする確率が高いのが 世の定めなのだ。

そこで、クラッシュを監視しハングしてしまった Mac を人の手を介さずに 再起動するクラッシュ検知器を使って、この世の定めにある程度対処して いる。この手の装置は ADB ポート(と電源プラグ)に繋がって、特別なソ フトで Mac が機能しているかどうかをチェックする。クラッシュが発生し た場合は、電源を切ってから再度入れたり、ADB 経由でキーボードリスター トのコマンドを送ったりして(Command + Control + Power キーを押した 時と全く同じように)Mac を再起動させる。

私はここ数年主に Sophisticated Circuits 社製の PowerKey Pro を使っ てクラッシュ監視と自動リスタートを行ってきた。現在もシアトルにある メインサーバを監視するのに PowerKey Pro を 2 つ利用している。最近ま で内部のファイルサーバの監視にもう一つ使っていたが、今は PowerKey Pro との比較のためにほかの新製品を利用している。その内部ファイルサー バ用に、Rebound という Sophisticated Circuits 社製の新クラッシュ検 知器を、SE/30 のメーリングリストのホスト用に Kernel Productions 社 製のクラッシュ検知器 Lazarus を取り付けた。もう一つの競合製品である ベルギーの Neuron Data Systems 社から出ている MacCoach はまだ手元に ないのだが、今回の記事にできるだけ情報を加えようと思っている。

<http://www.sophisticated.com/products/powerkey.html>
<http://www.sophisticated.com/products/rebound.html>
<http://www.kernel.com/kernel/lazarus.html>
<http://www.neuronsys.com/Products/>

こういったデバイスはいずれもクラッシュしていない Mac を動作していな いと勘違いしてリスタートしまうことがあることがわかったが、どれもク ラッシュした Mac をリスタートさせるのには今のところ失敗していないと いうことがなによりも大切だろう。では、実際に比較した結果はどうだろ うか?

ハードウェア -- PowerKey Pro には 200 と 600 という 2 種類のモデ ルがある。この 2 つの外見は似ていて、どちらにも電源プラグの差込み口 が 6 つ、電話線用ジャックと ADB プラグが 1 つずつ付いている。違い は、200 には電話のトーン信号経由の制御とマニュアルスイッチがつてい ないことと、200 は 160 ジュールのサージプロテクタを搭載しているが、 600 ではプロテクタはアドオンになっているということである。(600 の ユーザーは、無停電電源装置 UPS を併用していることが多い。UPS のメー カーは UPS にサージプロテクタを繋がないようにと注意を出しているの で、このため故意にサージプロテクタを省いてあるのだ。)重要な機能で あるサーバ監視は 39.95 ドルのオプショナルコンポートメントソフト、 Server Restart Option(SRO)で行うのだが、現在 600 の方にはバンドル されている。PowerKey Pro には 6 口のコンセントと電話線用ジャックと ADB プラグに加えてそれ自身の電源コードがついているため、今回比較し たデバイスの中では少々大柄である。

PowerKey Pro の電話線用ジャックは特筆に値する。SRO が無かったころ、 私たちはまず PowerKey Pro を電話線に繋いで、ベルが 12 回鳴るとサー バをリスタートするようなイベントを作成していた。PowerKey Pro には電 話の呼び出し音を判別する機能がついているので、本来の電話線に別の番 号を設定し、その割り当てられた番号にかかってきた電話だけに反応する ようにもできる。

小粒の Rebound はたっぷりとした PowerKey Pro とは非常に対照的な、明 るい黄色のボールが付いた長さ 3 インチの黒い ADB ケーブルである。ADB チェーンのどこに付けてもよく、動かすのも自由だ。TidBITS の Technical Editor でもある Geoff Duncan は、このデザインに伴うちょっとした“問 題”にぶつかった。この件に関する彼の話と Sophisticated Circuits 社 からの回答はなかなかおもしろい。

<http://www.quibble.com/geoff/rebound/>

Lazarus はサイズ的には前出の 2 つ製品の中間にあたる。(壁に繋ぐため のコードとMac に繋ぐためのものの)電源プラグ一式と ADB チェーンにす るためのポートのペアがついた黒いプラスチックの箱である。私の手元に ある Lazarus は初期のもので、とても手作りっぽい感じがする。

MacCoach は Rebound と酷似しており、ADB ケーブルに付いた黄色いボー ルのかわりに箱っぽいコネクタが付いている。

再起動のやり方 -- これらの機器の場合、機能は形態に比例している。 プラグの差込み口が 6 つある PowerKey Pro は、Mac に流れる電流を切断 して Mac を再起動させる。Mac が PowerKey Pro 200 の切替えのできない コンセントにささっている場合は、PowerKey のソフトがキーボードリス タート(ほとんどの Mac で Command + Control + Power を押したのと同 じこと、ただし例外がある)を行おうとする。理想は、まずキーボードリ スタートを試みて、それに失敗したら Mac への電源を一度切るようになっ ているべきだ。電源の一時切断は、Mac の電源部分を始めとするいくつか の部分に負荷をかけることになるからだ。特に起動時にアプリケーション がクラッシュする場合は、人間が手を出すまで再起動を繰り返し続けるこ とになる。

こぶりの Rebound はキーボードリスタートしかできないので、わずかなが ら利用の範囲と効果が狭まってしまう。キーボードリスタートをサポート していない古い一部の Mac では、Rebound は使うことができない。また、 ADB を全壊させてしまうようなクラッシュも起こりえる。この場合キーボー ドリスタートは失敗に終わるだろう。もっとも、このようなサーバのクラッ シュはめったに起るものではないのだが。

Lazarus も PowerKey Pro と同様、電源の一時切断によって Mac をリス タートさせるので、すべてのデスクトップ Mac で利用することができる。 Lazarus が PowerKey Pro よりも少しばかり優れている点は、世界中どこ でも問題なく使えるということだ(プラグの先のオスの部分は国によって 様々なのに対し、メスの部分は標準であると思う)。PowerKey Pro の電源 コードは固定のものであり、ほかの国ではアダプターが必要になる。 Rebound と MacCoach はどちらも ADB デバイスなので電源の心配は要らな い。

これらのデバイスはいずれも PowerBook では使えないようだ。PowerBook のサーバには多分バッテリが内蔵されたままになっているので、電源を一 時止められても平気なのだ。PowerBook の内蔵バッテリは、内蔵 UPS のよ うなものだと思う。つまり、PowerKey Pro や Lazarus は電源を一時切る ことによって再起動をさせることはできないのだ。さらに、PowerBook の ADB コントローラーチップはデスクトップのものとは違うらしく、MacCoach や Rebound も機能しない(Sophisticated Circuits 社によると Rebound は PowerBook 520/540 シリーズ以前のものでは機能するが、それよりも新 しいものでは駄目らしい)。MacCoach は PowerBook および一部の 68K Mac では機能しないと明言されてる。

クラッシュ検出 -- これらのデバイスの全てが基本的には同じクラッシュ 検出法を用いている。これらは Mac がまだ生きているかチェックするため に定期的に“ピング”するソフトウェアによっていて、詰まるところはタ イマを常にリセットし続けているのである。このタイマによって、もしユー ザーが指定した時間の間に、ハードがこのピングを受け損なって時間切れ になったとき、Mac を再起動させるのである。

PowerKey Pro と Rebound はこのピングをするのに Extensions フォル ダからロードされる顔なしのバックグランドアプリケーションを使用して いるが、一方 Lazarus は Startup Items フォルダから起動される通常の アプリケーションによっている。Lazarus アプリケーションが落ちたため に保護機能を失う事になるのは有り得るが、メンテやトラブルシュートの ために Lazarus の保護をきかないようにするにはこちらの方がやりやす い。MacCoach は聞くところによると、非常に初期の段階でロードされ、し かしアプリケーション程には敏感でないドライバによっているらしい。

PowerKey Pro、Rebound、そして Lazarus とも、特定のアプリケーション が常にちゃんと働いている様にすることが出来る。そのためにはそのアプ リケーションが PowerKey Pro や Rebound をサポートする事がはっきりし ていなければならないが、一方 Lazarus はどんなアプリケーションでもそ れがまだ動いている事を確認するよう監視する事が出来る(MacCoach の 2.0 版も同じらしい)。サーバアプリケーションのなかで現時点で PowerKey Pro と Rebound をサポートしているのには、WebSTAR、LetterRip Pro、Newsstand、Quid Pro Quo、WebServer 4D、WebSiphon、CommuniGate、 TeleFinder、そして PageSentry がある。これらのアプリケーションは常 時ハードウェアタイマをリセットすることで PowerKey Pro と Rebound を サポートしている。PowerKey Pro/Rebound 方式の利点は、アプリケーショ ンがメモリ不足や他の問題を検出した場合に、クラッシュする前にアプリ ケーションが Mac を再スタートさせる事が出来る事である。

複数サーバセットアップのためには、PowerKey Pro は Maxum 社の PageSentry Pro モニタリングソフトを使って多数のサーバを再起動させる ことが出来る。そのためにはまず、PageSentry が走っている Mac に PowerKey Pro の ADB ケーブルを接続し、次に PowerKey Pro の入り切り 可能な電源アウトレットにサーバをつなぐのである。あるサーバが反応し ていない事を検出したとき、PageSentry はそのサーバに対して電源を入り 切りしてくれる。私のサーバ達は同じエリアコード内にすら共存していな いので、この機能があっても役に立たないが、複数サーバを走らせている 多くの人にとっては役に立つはずである。

<http://www.maxum.com/pagesentry/>

Lazarus を使ってどのアプリケーションを監視するかを決めるときは注意 した方がいい。Lazarus のリストにアクティブにしておくアプリケーショ ンを追加するボタンがあるのだが、私がたまたま誤って Email Admin (一 種の LetterRip Pro プロセッサ)を加えてしまった時、問題に遭遇してし まった、というのは Email Admin は起動時にではなく、LetterRip Pro が その最初のメッセージを受け取ったときに、立ち上げられるからである。 何が起こるかというと、起動後他のすべてのアプリケーションが立ち上がっ た後、Lazarus は Email Admin が動いていないと言うことに気づき、Mac の再起動を私が気がつくまで繰り返していたのである。

個人的には Karl Pottie 氏の Keep It Up で使われている方法が好きであ る、これは 22 ドルのシェアウェアでアプリケーションを監視しておりそ れが落ちてしまうとかクラッシュした時に、アプリケーションの再立ち上 げを試みて、もし再立ち上げが失敗した時にだけ Mac を再起動する。

<http://www.vl-brabant.be/mac/kiu.html>

来週再起動 -- この記事の後半では、ドキュメンテーション、ログ機能、 インタフェース、そしてこれらの再起動デバイスの価格について取り上げる。


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