TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#481/17-May-99

インターネットをサーフィンするのに Web ブラウザなんかいらない? Mac OS 8.6 の URL Access はインターネット対応スクリプトという新分野を開 拓し、Geoff Duncan はその注目すべき新機能の秘密を明かす。また今週は Adam がメーリングリスト作法の提案を追加するとともに、Netscape Communicator 4.6、OpenGL、Dragon NaturallySpeaking for Mac OS、それ に Sears の掃除機や電源アダプタの隣に iMac が近々登場することなどを お伝えする。

目次:

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MailBITS/17-May-99

(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

Dragon、Macintosh 版 NaturallySpeaking を計画 -- Apple World Wide Developer Conference で、Apple 社と Dragon Systems 社は Dragon が同 社の マーケットリーダー的存在の連続音声認識製品 NaturallySpeaking の Macintosh 対応版を開発することを計画していると合同発表した。 Macintosh に連続音声認識がないということは Apple にとっては痛いこと だった。しかも Apple は 1994 年に PlainTalk でパーソナルコンピュー タ用音声認識という分野の開拓に一役買っていたのだ。従来 Dragon 社は Mac OS が連続音声認識には適していないと繰り返し主張していた。こうし た姿勢と Dragon の発表に技術的な具体性が欠けていたことから、Dragon の製品は Mac OS 8.x とは大幅に異なるメモリおよびプロセス管理機能を 擁した Mac OS X 専用となるのではないかと推測される。Dragon による と、米語版の製品は 1999 年末にリリースされ、英語、仏語、独語、日本 語が続く予定だ。価格、仕様、動作条件などは発表されていない。 [GD]

<http://www.naturalspeech.com/news/pr/051099.apple.html>
<http://www.naturalspeech.com/products/>

Netscape Communicator 4.6 登場 -- Netscape Communications 社は Netscape Communicator 4.6 for Mac OS の英語版をリリースした。この新 バージョンには Netscape Communicator のセキュリティと他機能に関する 未公表のバグフィックス、更新されたオンラインヘルプ、AOL Instant Messenger 2.0 と RealPlayer 5.0.2 が含まれているが、Netscape Communicator 4.5 のような大幅な改良は見られず、最近リリースされた RealPlayer G2 for Macintosh が同梱されるわけでもない。(Microsoft Internet Explorer 4.5 と Netscape Communicator 4.5 の Web ブラウジ ング機能を概観した TidBITS-465 の「4.5 Web ブラウザを使いこなそう」 を参照。)

<ftp://ftp.netscape.com/pub/communicator/4.6/english/mac/>
<http://www.real.com/products/player/index.html?src=productsmain>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05255>

Netscape Communicator 4.6 には PowerPC Mac、Mac OS 7.6.1 以降、最低 24 MB の RAM が必要だ。Netscape の FTP サーバから 13.6 MB のダウン ロードとなる。米国もしくはカナダ在住の方は近く Netscape の Web サー バから 128 ビット暗号化バージョンをダウンロードできるだろう。 [GD]

<http://home.netscape.com/download/>

Apple、OpenGL 1.0 for Mac OS をリリース -- 1 月の Macworld Expo での公約通り、Apple は Mac OS 用 OpenGL 1.0 をリリースした。OpenGL は当初 SGI によって開発され、その後高品質かつクロスプラットフォーム なグラフィックス開発の基盤として幅広く採用された 2 D および 3 D グ ラフィック用のアプリケーション・プログラミング・インターフェース (API)だ。Quake III などといったゲームには明らかに有用なほか、モデ リング、アニメーション、データ解析、シミュレーションといったプログ ラムも OpenGL の機能を利用することができる。Mac 用 OpenGL 1.0 には PowerPC Mac、Mac OS 8.1 以降、最低 32 MB の RAMが必要とされている が、推奨されているのは G3 マシンだ。QuickDraw 3D 1.6 のほか、ATI RAGE II、RAGE Pro、それに RAGE 128 を搭載した Mac でレンダリングを 高速化するライブラリが付属する。OpenGL を使ってすぐにプログラミング を始めたいというデベロッパーは、4.7 MB の OpenGL パッケージをダウン ロードして Apple のデベロッパー用 OpenGL 資料をチェックされたい。 ゲーマーやグラフィック愛好家たちは、OpenGL ベースの製品が登場するま でそう長く待たされることはないだろう。 [GD]

<http://www.apple.com/opengl/>
<http://www.sgi.com/>
<http://developer.apple.com/opengl/>

Sears で iMac -- Apple は Sears, Roebuck, and Co. 社が今月中に全 米 825 の小売店で iMac の販売を開始すると発表した。Sears 社は 1992 年から 1998 年初頭まで Mac を販売してはいたが成績は思わしくなかった (過去における Apple と Sears など小売業界の関係を論じた TidBITS-416 の「1998 年の Apple: 後退か、焦点を絞り込むか?」を参照 されたい)。Sears が再び Macintosh に関心を示した背景には、iMac が 使いやすいシステムを求める初心者ユーザーに根強い支持を受けているこ とがあるだろう。少なくとも今回の発表は Apple と Mac に対する世間一 般の信頼を示している。Sears はディスクドライブやプリンタといった USB 周辺機器も一部販売する予定だ。TidBITS Talk などでの話から判断して、 当り外れはあるもののたいていは悲惨な CompUSA よりは Sears が 立派に やってくれることを期待したい。 [GD]

<http://www.apple.com/pr/library/1999/may/10applesears.html>
<http://www.sears.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04711>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=626>


URL Access Scripting 実践

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)

先週 TidBITS-480「Apple、Mac OS 8.6 を発表」 で Mac OS 8.6 の新機能を取り上げたが、今週は特に 注目に値する新機能、URL Access に焦点を当てることにしよう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05387>

下位レベルでのパワー -- URL Access とは新しいシステムコンポーネン トで、プログラムが HTTP や FTP を通じてインターネットと情報をやりと りすることができるようにするためのものだ。1996 年、Apple が Game Sprockets を導入したのと同じ頃、何人かの Macintosh インターネットデ ベロッパーがすべてのアプリケーションに基本的なインターネット接続機 能を与える“Apple Internet Sprockets”というアイデアを唱導していた。 このアイデアにはどんな利点があったのだろう? URL Access 以前、イン ターネットにアクセスしようと思うプログラムは独自のプロトコルハンド ラを用意していなければならなかった。Web サーバとのやりとり、FTP サ イトへのアップロード等々といったことを、すべてのデベロッパーがすべ てのインターネットアプリケーションまたはユーティリティについて同じ ことをゼロから繰返さなければならなかったのだ。では Mac OS がベーシッ クなインターネット機能を、必要とするすべてのプログラムに提供できた ら素晴らしいではないか? こうしてこのプロジェクトは SubWoofer という コードネームで生命を与えられたのだが、1996 年から 1997 年にかけて Apple を 襲ったリストラの嵐のおかげでお蔵入りとなったのだった。その 後 SubWoofer は Leonard Rosenthol 氏をはじめとする数人のデベロッパー に引き取られ、ついに今年 Apple は Mac OS 本体に組み込むことにしたの だ。

URL Access はアプリケーションに HTTP(オプションで 40 ビット RSA 暗 号化をすることもできる)と FTP を利用して情報をアップロード/ダウン ロードしたり、“file://”URL でローカルファイルにアクセスしたり、URL に関する様々な情報を集めるなどの機能を与えることができる。URL Access はハイエンドの Web ブラウザが必要とする機能をすべて提供するわけでは ないし、Mac OS 8.6 以前のシステムでは動作できない。だが、インター ネットユーティリティやカスタムアプリケーションには格好のプラット フォームとなる。たとえば、Sherlock 2.1 はすべてのインターネットとの やりとりを URL Access を通じて行なう。そのうち数多くのインターネッ トツールが独自のプロトコルハンドラではなく URL Access を利用してイ ンターネットとの通信を行なうようになることだろう。

スクリプタビリティ -- Apple は URL Access をもう一歩先へ進め、 AppleScript をはじめ、UserLand Frontier などの OSA スクリプティング 環境から利用できるようにした。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05351>

Mac OS 8.6 の Scripting Additions フォルダには、URL Access Scripting というごく小さなアプリケーションが入っている。これでどんな OSA スク リプトでもインターネットとデータのやりとりができるわけだ。以下の単 純な AppleScript スクリプトは TidBITS のホームページを指定したファ イルへダウンロードするというものだ。

    set newFile to (new file)
    tell application "URL Access Scripting"
      activate
      download "http://www.tidbits.com/" to newFile with progress
      quit
    end tell

このスクリプトは Mac OS 8.6 でしか動作しないが、ユーザーに新しいファ イルを作成させ、次に URL Access Scripting が Web サーバに接続し、 ページをダウンロードし、指定したファイルに保存する間経過を示すダイ アログを表示するものだ。

URL Access Scripting のインターフェースはやや粗削りだ。もともとはウ インドウ、ダイアログ、メニューなどのないバッググラウンドだけのアプ リケーションとして作られたので、Apple は URL Access にメニューはお ろか Quit コマンドすら付けていない。だが、URL Access Scripting はプ ログレスや認証ダイアログといったインターフェースエレメントを表示で きなければならないので、フォアグラウンドで動作するようにはしたもの の、きちんとしたメニューバーは付けていない。これはユーザーにもスク リプターにとっても混乱の元となりかねない。スクリプトで URL Access Scripting を終了することを忘れないように。

フォルダアクション -- URL Access Scripting はファイルのデコード、 フォームデータのポスト、認証の処理など多くの機能を提供しているほか、 AppleScript をワークフローに取り込む可能性を広げてくれる。以下はフォ ルダにフォルダアクションとして添付する AppleScript スクリプトの例 だ。このフォルダにアイテムを入れると、URL Access がスクリプトの 2 行目で指定した FTP ディレクトリに自動的にアップロードし、同じ名前の ファイルがあった場合には置き換える。(フォルダアクションはフォルダの 中身に目に見える変化があった場合に実行されるので、FTP フォルダが開 いているか、画面の下部にポップアップウインドウとして置かれていなけ ればならないことをお忘れなく。)

    on adding folder items to thisFolder after receiving fileList
     set ftpURL to "ftp://ftp.example.com/YourDirectory/"
     repeat with i in fileList
      tell application "Finder" to set thisFileType to the file type of i
      try
       tell application "URL Access Scripting"
        activate
        if thisFileType is "TEXT" then
         upload i to ftpURL replacing yes with progress and authentication
        else
         -- delete the return between "binhexing" and "and" in the next line
         upload i to ftpURL replacing yes with progress, binhexing
         and authentication
        end if
       end tell
      on error errMsg number errNum
       display dialog (errNum as string) & ": "  errMsg
      end try
     end repeat
     tell application "URL Access Scripting" to quit
    end adding folder items to

このスクリプトはテキスト以外のファイルは binhex エンコードしてアッ プロードすることにお気付きだろうか。これは URL Access に内蔵された もう一つの機能を利用している。もっとインテリジェントな処理をさせる 方法は色々ある。たとえば、複数のファイルをこの FTP フォルダに入れた 場合には、各ファイルについてユーザー名とパスワードを要求されてしま う。以下のようにユーザー名とパスワードを URL に組み込むこともできる だろう。ただしこの方法だとセキュリティは保障されない。

<ftp://username:password@ftp.example.com/YourDirectory/>

もっと良い方法は、スクリプトがユーザー名とパスワードを一度だけ要求 するようにし、続いて URL Access Scripting に渡す URL を組み上げると いうものだ。同様にこのスクリプトを FTP フォルダに入ってきたフォル ダを処理するようにすることもできるし、binhex 化が必要かどうかを判断 するためにリソースフォークの有無を判別したり、問題があった場合のエ ラー処理を加えることもできる。また、フォルダからアイテムがなくなっ た場合に FTP サイトからファイルを削除する「フォルダアイテム削除スク リプト」を加えることもできる。

上級編 -- 上記のスクリプトを充実させるにあたって記憶にとどめてお きたい大事な点は、こうした拡張は URL Access とは関係ないということ だ。URL Access Scripting を利用するにはほんの数行のコードで十分なの だ。これ以外のコードはさらに機能を追加したり、柔軟性やインテリジェ ンスを加えるために書き加えるという性質のものでしかない。

オンライン株価情報を取得するのはカスタマイズされたインターネット機 能の例として吹聴されているので、URL Access Scripting を使って Yahoo の Finance サイトから株価情報を取ってくる AppleScript スクリプトを 手早くまとめてみた。株価シンボルを入力すればスクリプトが適切なクェ リーを送信し、結果の HTML を受け取って解析し、株価をダイアログに表 示する。

<http://www.tidbits.com/resources/481/UASYahoo.html>

ここでも URL Access Scripting の扱いは簡単であることがお判りいただ けるだろう。Web ページをゲットするのに一行、そして URL Access Scripting を終了するのにもう一行。これ以外のスクリプトはユーザーか ら株価シンボルを受け取り(必要に応じて大文字に変換し)、Web ページ 用の一時ファイルを作成・削除し、Yahoo のサーバから返ってきた結果を 解析するためにある。このスクリプトは間違いなくもっと賢くすることが できる。たとえば、接続エラーを処理したり、未知の株価シンボルも処理 できるべきだが、こうした改良は URL Access Scripting よりもその周辺 のインテリジェンスに関連したものだ。

URL Access の使用例をもっと見たいという方は、Apple が今年の World Wide Developer Conference で披露したスクリプトをチェックされたい。 世界各地の Web カムの映像をデスクトップピクチャーにしてくれるものだ。

<http://www.apple.com/applescript/deskcam/deskcam.html>

スケジュール調整 -- URL Access Scripting を利用するもう一つの方法 に、スクリプトを指定した時刻に自動的に実行するというものがある。 AppleScript にはスケジューリング機能は内蔵されていないが、 Sophisticated Circuits 社の iDo Script Scheduler を使用することがで きる。デモ版が Apple から単体または Mac OS 8.6 CD-ROM にも収録され ている Mac OS 8.6 の AppleScript Extras として無料で入手できる。iDo Script Scheduler は自動的に実行されるスクリプトを 3 つまで設定する ことができる。登場間近のフルバージョンは無制限の数のスクリプトを扱 うことができるほか、機能も追加されることになる。これ以外にもスケ ジューリングユーティリティは単体または他の製品に付属して多数存在す る。私は Late Night Software 社の Scheduler(25 ドル)をもう何年も 使っているし、Unix 愛好家は Chris Johnson 氏作の cron for Macintosh をチェックすると良いだろう。

<http://www.apple.com/applescript/idosched/ido.html>
<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11402>
<http://www.sophisticated.com/products/ido/ido_sched.html>
<http://gargravarr.cc.utexas.edu/cron/cron.html>
<http://www.latenightsw.com/scheduler1.2/index.html>

ハッピーにスクリプトを -- ようやくインターネットをカスタムスクリ プトやワークフローに取り込むことがシンプルにできるようになり、Mac OS に内蔵された。URL Access は Mango Tree Software 社の TCP/IP Scripting Addition や BIAP 社の NetEventsのようにより下位レベルでの TCP/IP スクリプティングができるわけではないが、一般的な機能を幅広く 提供しており、使い方も簡単だ。AppleScript をあまりよく知らなくても、 ほんの少しの労力でインターネットの使い方を劇的に改善することができ るだろう。

<http://www.mangotree.com/>
<http://www.biap.com/products/netevents/>


メーリングリスト作法 102

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)
(  :尾高里華子 <rikako@pobox.com>)

TidBITS-480の“メーリングリスト作法 101” への反響はとても大きかっ たので、人々がメーリングリスト生活を質的に向上できる方法に対する提 案を 2、3 追加しようと決めた。ここに上げるものはすべて 提案 だと いうことを忘れないでほしい。これを適用することが教義だということで はなく、これを人々にきちんと守るように薦めることにわれわれはみな注 意を払うべきだ。ときにはそれぞれの提案を人々が望むほど十分に従えな くさせるような状況も多い。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05386>

まず最初に、英語を母国語としない人々にお詫びしたい。先週の記事の後 でこれについて私を非難した読者は他の人を代弁していたが、ご忠告はよ くわかった。私の文法的に正しい英語の薦めが、英語が標準言語であるメー リングリストに誰かが参加することを妨げるという意味にとらえないでほ しい。他国や他の文化からの人々の参加で我々はみな豊かになるし、文法 上で制限することは自己の目的を打ち砕くことになる。また、言葉の貧し いメッセージの送信者がよく知らない言語と苦闘しているのかどうかをみ んなでチェックすることもお薦めする。送信者の電子メールアドレスや署 名を見れば英語が難しい人々を判定できることが多い。

第二に、文法上の規則を守ることは有益な情報を提供することに次ぐこと であると記すことで私の表現を限定すべきだった。何人かの人が、技術的 な手助けを必要な場合は言葉が正しいかどうかは特に気にならないという 意見をくれた。

というわけで、注記するにたる追加的な推奨事項がいくつかある。また、 これらの推奨事項すべての簡潔な要約が欲しいという人のために、この記 事の終りに切りぬいて他の人に送る事のできる要約を載せている。

ファイル添付を避ける -- 先週、ファイル添付を論じることを考えたが、 取り上げないことに決めた。これは受容できる振舞いがリストによって違 うことと、多くの添付ファイルがユーザーが気づかないうちに送られてい ることが理由だ。

一般的に、あるリストがメッセージ添付の使用をすすんで薦めている以外 では、ファイル添付を送るべきではない。ほとんどメーリングリストは、 異なるオペレーティングシステムでさまざまな電子メールプログラムを使 う人々から構成される。HyperCard のような Macintosh だけのプログラム を話題とするリストにもこれは当てはまる。たとえば、人々は電子メール を仕事中に読むことが多く、そこでは Unix マシンや Windows ボックスを 使い、家では Mac を使っているということもあるからだ。さらに Web ベー スの電子メールクライアントもあり、添付を一切扱えないこともある。こ のように、リストではかなりの割合の人々に読める添付はないことが多そ うだ。基本的にテキストだけしか含まれないファイルを添付しようかと考 える場合、代わりにメッセージの本文にそのファイルの中身をコピーしよ う。

添付はまた、添付ファイルの容量に注意を払わない人々が多いという理由 で懸念の一つとなる。メッセージに 1 MB のファイルを添付することは 10K のファイルを添付するのと同じく簡単かもしれないが、1 MB のファイルは メーリングリストのプログラム自体に重要な問題となる可能性がある(600 人のリストの各受信者にそのプログラムが別々のファイルを作成する場合 のディスク容量の関係を考えてみよう。600 MB のデータ容量となる)。ま た遅い接続をしている末端の個々の受信者にとっても同様だろう。

添付に関するもう一つの問題は、多くの人が自分で気づかずに添付を送信 していることだ。電子メールプログラムの多くが同文内グラフィックをサ ポートしている以上、画像が添付として送られることを知らずに人々は画 像をメッセージ内にコピーしているわけだ。同様に、Netscape Communicator のユーザーは VCard 添付を知らずに送っていることに気づ くかもしれない。Netscape Communicator では、設定ダイアログボックス を開いて個人情報パネルに切り替え、“メッセージにパーソナルカードを 添付する(vCard)”の選択をはずすことですべてのメッセージに VCard を送ることを避けられる。VCard を理解しない電子メールプログラムを使 う人々がまだほとんどなので、VCard 添付は受信者を混乱させたり、迷惑 となりがちだ。最後に、Microsoft Exchange 電子メールサーバは、すべて のメッセージに WINMAIL.DAT 添付(これには Microsoft の電子メールク ライアントが理解する情報が含まれるが、インターネット標準ではない) を生成できる。しかし、これらの添付は Exchange も稼働していることが わかっている送り先にのみ制限することもできる。WINMAIL.DAT ファイル を受け取ったら、電子メール管理者に Exchange の設定を調べてもらうよ うにその送信者にお願いしよう。

もちろん添付が完全に受け入れ可能な場合もある。たとえば、私の家族の ために動かしている小さなメーリングリストでは、たまに家族の写真を添 付しても通常は問題にならない。また、出版物の投稿用のパネルとして動 かしているメーリングリストでは、すべて添付として送るようになってい るかもしれない。

HTML メールを送らない -- 前回の記事で私はこう述べた。人々が見える かどうかわからないのだから、メーリングリストに対するメッセージには 文字修飾や文字色を使わないようにすべきだ。この点はもう少し広げるべ きかもしれない。私が意味した以上の問題となる恐れがあるからだ。

多くの電子メールプログラムは、Emailer のような人気のあるものも含み、 HTML 形式のメッセージを理解できない。さらに HTML サポートが改善され ていったとしても、アップグレードしない、あるいは HTML 形式をサポー トすることのないプログラムの方を使いたい人々がたくさんいる。したがっ て、ファイルを添付することと同様に、ほとんどすべてのメーリングリス トには、あなたが意図したようにあなたのメッセージを読むことのできな い非常にたくさんの人々がいるわけだ。(Eudora Pro には、この問題を避 けるためにスタイルつきテキストと平テキストの両方を送るオプションが ある。)もっと悪いことに、どのようにメッセージを送るかと受信者の電 子メールプログラムに依っては、HTML タグが直接見えてしまうこともあ る。また、誰かが HTML 形式のメッセージに返信する場合、その引用処理 がメッセージをさらに読みにくくしてしまう可能性がある。

このため HTML 形式のメッセージの使用を明確に禁止しているリストもあ る。よく利用するリストでは特にそうではなくても、メーリングリストに 対して文字修飾つきのメッセージを送らないようにした方がベストだ。

デフォルトで HTML 形式を作成する電子メールプログラムがあるので、こ れを避けるためには設定を変更しておかなければならないこともある。次 に上げるプログラムでフォーマット処理のコントロールの場所を確かめた。 矢印(->)はナビゲーションを意味する略記として使っていることに注意。 したがって、下の最初の項目は:“Special メニューから、Settings を選 び、Styled Text 設定パネルまで下方向にスクロールする”という意味に なる。

宛先に注意 -- メーリングリストからのメールに Reply-To ヘッダがちゃ んと入っていないと、うっとうしい事態に陥ったりする。たいていのメー ルプログラムは Reply-To ヘッダがない時は返信の宛先にメッセージの元々 の送り主を入れるようになっている。これ自体は悪いことではないが、リ スト宛に返信を出したい場合はどうすればよいだろうか。リストのアドレ スを宛先に入れる一番簡単な方法は Reply To All を実行することだ。こ れを行うと送り主とリストの両方が宛先に入る。リスト宛にメールを送る という当初の目的は確実に達成されるが、その代わり元々の送り主に返信 を(直接とリスト経由で)2 通送ってしまうという副作用が生じてしまう。

確かにこれは深刻な問題ではないかもしれないが、同じメッセージを 2 通 受け取った人は戸惑ってしまうだろう。私だったら、メールをくれた人が 私的に返信したかったのか公的にしたかったのかの意図をはかりかねてし まい、今後どう会話を続けるかに影響する。また、直接送られてきたメッ セージに返事を出して、しばらくしてからリスト経由で同じものを受け取 り自分の対処のミスに気がつくというさらに悪い事態もあり得る。

一人の人が同じメッセージをいくつも受け取ることになる場合は、個人と リストの両方にメッセージを送らないようにするようお薦めする。この原 則にはいろいろと例外があるだろう。たとえば、早く受け取ることができ るように直接メッセージを送る場合や、リストのモデレーターがメッセー ジを無効にする可能性がある場合だ。

他の人のニュースは慎重に -- これは少々妙な提案だが、重要なことだ と考えている。ある人に関するニュースでリストのメンバーが感心ありそ うな情報を耳にした場合、最適な時と状況で本人がポストすることが第一 だと考えよう。個人的なメールで本人の心積もりを確認したいと思うかも しれないが、他の人の重要なニュースを公開してしまう行為は、本人に失 礼に当たる場合から精神的苦痛を与えるに至るまでいろいろと悪い結果に つながりかねない。たとえば、ある友人が妊娠をしていることを知りリス トにそのニュースを伝えたとしよう。それは本人を出し抜く行為でもある し、もし彼女がみんなに知って欲しいと思っていなかったとしたらとんで もない状況に陥りかねない。次のような状況を考えてみよう。(これは実 際にあった話で)はなはだ迷惑な結果を招くものだ。ある親しい友人の死 を公開のメーリングリストに善かれと思って短くポストした。リストのメ ンバーは困惑と悲しみの念とともに詳細を知りたいと思う。そのため友人 や親族に知らせようとしている故人に近い人に迷惑をかけることになる。

要旨 -- 今回の記事の要約を欲しいという方がいたので、以下のような 抜粋を作成した。今回の提案を促すためにメーリングリストに送るなど以 下のものをそのまま、または送付の理由を冒頭に短く書き加えて自由に利 用していただきたい。

<-------------------------- ここから----------------------------->

自分たちでみんなのためにメーリングリストの質を高めることができます。 そのほとんどが簡単でしかもちょっとした手間でできることです。もっと 詳しいことを知りたい方は、以下の提案の出所である TidBITS 発行の “メーリングリスト作法 101 および 102”を参照ください。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1141>

メールプログラムの設定:

書き方およびレイアウトについて:

メッセージの内容について

メーリングリストを有益かつ楽しい場にするための皆さんのご協力に感謝 いたします。

<-------------------------- ここまで ----------------------------->

さらなる推奨事項とお知らせ -- スペースの都合により、推奨事項をす べて記事にすることはできないが、書かなかったことの一部は TidBITS Talk の関連のスレッドに登場している。また、別の観点からの意見および 一部のメールプログラムのためにリストで不作法に振る舞ってしまう理由 の説明なども読むことができる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=670>


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

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