TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#496/06-Sep-99

先週の Power Mac G4 と Apple Cinema Display のリリースに伴い、Apple 社は Macintosh コミュニティに真剣なテクノ欲望を生み出した。今週号で は、Power Mac G4 のスペックといくつかの問題点を概観する。また、Matt Neuburg が TidBITS ご用達ツールでメニュー名をアイコンで置き換える Menuette を評価し、GraphicConverter 3.7、MacTuner 2.1、SoundJam 1.1、 Adobe InDesign、そして LetterRip Pro 3.0.6 のリリースをお知らせする。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/06-Sep-99

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

999software.com が TidBITS のスポンサーに -- 新しく我々のスポン サーとなった 999software.com を歓迎する。若いインターネット会社で自 社を“インターネットのディスカウントソフトウェアのスーパーマーケッ ト”と呼ぶ。999software.com のコンセプトはシンプルだ。シュリンク包 装のプログラム、時には倉庫でくすぶっている少し古めのソフトウェアを、 わずか 9.99 ドルで売ることだ。このアプローチはあらゆる層に有効だ。 オリジナルの版元は在庫を売り切って将来のアップデートに向けて顧客を 獲得する機会を得、顧客は多くのシェアウェアプログラムよりも低い価格 で高い評価の市販ソフトウェアを購入できる。教育用ソフトウェア用の予 算制限のために、999software.com の製品は学校にも人気となっている。 999software.com の現在の製品の多くは、ゲームと教育用プログラムで、 9.99 ドルという価格は、与えられたゲームまたは学習プログラムが一カ月 かそこらしか興味を維持できないことを知っている親や子供たちにも魅力 的だ。

999software.com は、もっとも最近の Macworld 最高のものの記事で短く 取り上げた後、注文が殺到していて、製品データベースに 999mac.com と いう入口を設けて対応しているので、Macintosh 製品だけを探すのがより 簡単になった。しかし、彼らは Windows ソフトウェアも扱っているので、 PC を使う友人や親戚に贈り物を探すのにも役立つはずだ。 999software.com の最近の進出は 999moviews.com で、人気の映画のビデ オテープに対して同じ販売コンセプトを適用している。使い捨てのコンテ ンツという今どき、一年以上前にたまたまリリースされていたかもしれな い製品に関して大きな割引き価格を提示してくれる会社を知るのはすばら しい。結局、Riven や You Don't Know Jack、Imperialism のようなゲー ムを知らなかったなら、一年古くなったゲームを楽しむことにどれほどの 違いがあるだろうか?各号の始めのスポンサーエリアの 999software.com をチェックして、たとえば今週の送料無料(スポンサーエリアにリストさ れている URL を使わなければならない)のような特別提供をお見逃しな く。 [ACE]

<http://www.999mac.com/>
<http://www.999software.com/>
<http://www.999movies.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05496>

GraphicConverter 3.7 が機能と修正を追加 -- グラフィックプログラム の Swiss Army Knife をお探しの Mac ユーザーは、Lemke Software 社の 120 近くのグラフィック・ファイルフォーマットを表示するツール、 GraphicConverter 3.7 をダウンロードできる。(TidBITS で最近取り上げ た GraphicConverter の使い方の一つは、インターネットで送られたファッ クスを読むことだ。 TidBITS-484 の“インターネットファックスの実態” を参照。)この新バージョンは多数の機能とバグ修正を追加している。そ の中には、このアプリケーションのアイコンに画像をドラッグ & ドロップ する機能、矩形選択領域に画像をスライスするコマンド、さらに多数のファ イルフォーマットの調整と書き出しの強化が含まれる。GraphicConverter 3.7 には英語版とドイツ語版があり、3.1 MB の完全プログラムと 900K の バージョン 3.6.2 からのアップデータとしてダウンロードできる。このプ ログラムへの登録は、ヨーロッパ在住者は 30 ドル、それ以外は 35 ドル である。旧バージョンの所有者は無料でアップグレードできる。 [JLC]

<http://www.lemkesoft.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05428>

MacTuner Update が世界規模の聴取を単純化 -- Trexar Technologies 社は、インターネットでラジオ局とテレビ局に接続するための同社のユー ティリティに性能とインターフェースの向上を追加して、MacTuner 2.1 を リリースした。ロンドンではどんな音楽が演奏されているか知りたかった り、ロシアの Moscow ニュースを聞きたかったら、MacTuner が世界中から オンラインのラジオ放送とテレビ放送に接続することを簡単にしてくれる。 MacTuner 2.1 は、サイズを拡大してより正確に国々を位置決めできる改良 された世界地図と、Internet Config または Internet コントロールパネ ルを使うプロキシサーバに対するサポートの強化を特長とする。MacTuner のデモ版は 2.2 MB のダウンロード容量で入手できる。23 ドルで 1 ライ センス(デモ版の 20 日間制限を取り除く)を購入できる。 [JCL]

<http://www.mactuner.com/>

SoundJam 1.1 が G4 サポートを追加 -- Casady & Greene 社は、 SoundJam 1.1 をリリースした。同社の 40 ドルの MP3 プレーヤとエンコー ダへの無料のアップデートである。SoundJam 1.1 への第一の改良は、新型 Power Mac G4 の Velocity Engine(以前には AltiVec として知られてい た)に対するサポートだ。Velocity Engine へのサポートは、450 MHz と 500 MHz の Power Mac G4 で 2 倍から 4 倍までファイル変換速度を加速 する。あなた自身のジャンルの情報を入力して、SoundJam が MP3 ファイ ル内にメタ情報を格納するために使う ID3 タグバージョンを規定し、ファ イル情報ウインドウに ID3 情報を表示できる。よりよい MP3 変換音質、 改善された AppleScript サポート、全般的な安定性の改善、AppleShare サーバから曲を流すためのサポートの改善、さまざまなバグ修正など下層 の改良が含まれる。SoundJam 1.1 は 1.5 MB のダウンロード容量である。 [ACE]

<http://www.soundjam.com/>

Adobe が InDesign を出荷 -- Adobe 社は、同社の旗艦ページレイアウ トプログラムとして熟年の PageMaker に置き変わる次世代のデザインソフ トウェアである InDesign を出荷した。QuarkXPress 対する最新の競合製 品として徹底的に開発された InDesign のモジュール構造は、サードパー ティのデベロッパーが中核のアプリケーションに機能を追加することを可 能にする。デザイナーとプリプレスのユーザーのために、InDesign にはい くつかのレイアウトと印刷用の先進の機能が含まれる。たとえば、光学的 カーニング、複数行テキスト構成機能、光学的余白配置、無制限のアン ドゥ、5 から 4,000 パーセントの拡大・縮小表示などである。(これらの 機能の多くについて概要を知るには、Adobe Magazine の Olav Martin Kvern 氏の記事“We've Come a Long Way”がよくできている。407K の PDF ファイルとして入手できる。)また、InDesign には、PDF ファイルのため の埋め込みサポートが含まれ、PageMaker と QuarkXPress 文書を直接開け る。InDesign の実売価格は 700 ドル(Adobe の定価は 739 ドル)であろ う。Photoshop、Illustrator、PageMaker または QuarkXPress の所有者 は、99 年 12 月 31 日まで 300 ドルの特別アップグレード価格を利用で きる。InDesign は PowerPC 604 以上のプロセッサを持つ Mac、Mac OS 8.5 以降、48 MB RAM(128 MB を推奨)、120 MB のハードディスクの空きを必 要とする。 [JLC]

<http://www.adobe.com/prodindex/indesign/>
<http://www.adobe.com/publications/adobemag/archive/PDFS/99spdsok.pdf>
<http://www.adobe.com/prodindex/indesign/price.html>

Fog City が LetterRip Pro 3.0.6 をリリース -- Fog City Software 社は LetterRip Pro 3.0.6 をリリースした。同社のシンプルだが強力な メーリングリスト管理ソフトウェア( TidBITS-473 の“LetterRip Pro を使えばあなたもプロに”を参照)への無料のアップデートである。 LetterRip Pro の変更は、第一に MIME と非 MIME ダイジェスト内のアク セント文字や国際文字のような非 ASCII 文字の取り扱いを向上させる。 Fog City は LetterRip Pro の所有者はすべてアップグレードするように 薦めている。変更はサーバーにだけ影響し、550K のダウンロード容量であ る。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05328>
<http://www.fogcity.com/lr_change_history3.0.6.html>
<http://www.fogcity.com/lr_download.html>


TidBITS ご用達ツール:Menuette

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

最近のアプリケーションはメニューに頼る度合いが日に日に増えているよ うに思える。その結果メニューバーは必然的に混んできている、これも新 しいより幅広の Application メニュータイトル、キーボードメニューアイ コン、時計、それにいうまでもない第三者アイコン、例えば OneClick、OSA Menu、StuffIt の Magic Menu、Conflict Catcher、そして Timbuktu Pro のようなもののお陰である。確かに 5 年前に較べれば大型のモニタも一般 的になってきてはいるが、私はいまだ小型のものを使っている。何年もの 間私はこのこの問題を完全に解決してくれる頭の良いシェアウェアコント ロールパネルである Menuette に頼り切ってきた。

Menuette はメニューバーの中の文字メニューをあなたの選択した(あるい は自分創作の)小アイコンで置き換える、そしてこれは外観上も、そして とりわけ私自身にとっては基本的な機能強化である。そもそもその目的は スペースの節約であり、そしてスペースは節約を必要としているのでこれ は大いに意味のあることである。そうではあるが、私は Menuette が他の 面でも大事であることを発見した。

Menuette と共に何年もの間踊って来たことで私の根底のどこかで奇妙な変 化が起こり始めてしまった:私はもはや文字メニューなど見たくないので ある。この見方に賛同されない方が多くいる事は疑いもないことであるが、 私にとっては、メニューバーアイコンの方がいいのである!それは見やす いし、それに私にとっては感覚的にとらえやすい。一見しただけで、その メニューアイコンの列び具合でどのプログラムが最前面に来ているのかも 言える。そして私は個々のメニューが何をするのかより直感的にわかって いる。たいていのプログラムは結局のところある種類のメニューは共通し ている (Tools、Options、Insert、Format); したがってこのような考え方 を表すメニューには慣れてしまった。さらに言えば、大事なのはメニュー の名前ではなく、何を表現しようとしているのかなのである、つまりある プログラムの Options メニューも、他のプログラムの Preferences メ ニューも同じアイコンに落ち着くことになればもっと良いのではなかろう か。私はもともと絵型の人間というよりはずっと文字型の人間である、し たがってその私が Menuette を好きだということはその力がどれだけすご いかを示している。その上、どのアイコンを出すかは完全にユーザの手に 委ねられている;アイコンと文字表示の間で瞬時に切替ができるし、どの メニューであれアイコンではなく文字で常に表示させるようにもできる。 したがって、あなたが自分は反アイコン派だと思っていても、Menuette を 試してみてはいかがだろうか、自分に合うようどのようにでもできるから である。

Menuette の最新の 3.0 と 3.0.1 アップデートは、1994 以来最初のもの で、メニューフォントコントロール、WYSIWYG フォントメニュー、可変幅 メニューアイコン、それに Menuette のメニューフォントコントロールに 集中するべくアイコンすべてを消してしまう機能が追加された。最もおか しいのは、Menuette は今やメニューから選択する時かあるいは(とても家 ではおすすめできないが)常時メニューアイコンをアニメーション化する ことができる。これはメニューバーからの選択動作を遊びと化してしまう ;アイコンがあなたに対してゆらゆら揺れ動いているのは、まるでいつも Snood をしているような感じを与えるであろう(どうか私にこんなことを させないで欲しい、もしあなたがこのコラムを“TidBITS ご用達ゲーム” と呼び変えたくないのであれば)!インターフェースは賢く書き換えられ、 アイコンエディタとそれに最高に直感的なドラッグアンドドロップも含ま れている;Menuette は Christopher Suley 氏の初期のアニメーションプ ログラムである Zipple、アニメート GIF、それにアプリケーションアイコ ンからアニメーションをインポートでき、かつ自分でも広範囲なアイコン 集を持っている。Menuette は伝説の Mac プログラマ Robert L. Mathews 氏のワークショップ(そして衰えを知らない人気もの Holiday Lights の ホーム)である Tiger Technologies 社から出されている。20 ドルのシェ アウェアで 10 日間の無償トライアルがついている。

<http://snood.pair.com/>
<http://www.tigertech.com/menuette.html>


ハイクラス Power Mac G4

by Adam C. Engst and Geoff Duncan <editors@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

先週の Seybold San Francisco 99 で Apple が Power Mac G4 を発表した のには意表をつかれた。そもそも青と白の Power Mac G3 の発売からまだ 9 ヶ月しか経っていなかったし、強化版 iMac の登場の方が可能性大と噂 されていたからだ。だがこのシナリオでは Apple の暫定 CEO Steve Jobs の絶大な影響力が計算されていなかった。Jobs 氏は基調講演中に帽子から 次から次へと PowerPC ウサギを取り出すことが大好きなのだ。大方の予想 を裏切り、Jobs 氏はシルバーとグラファイト色の洒落た Power Mac G4 と、驚異の 22 インチ LCD ディスプレイ、Apple Cinema Display を披露 して聴衆をアッといわせた。聴衆は主にデザイン業界(元来 Seybold 来場 者の主流)だったので、このタイミングは絶妙だった。Apple の産業デザ インを理解し、Photoshop などのアプリケーションのスピードアップが直 接生産性向上にむすびつくことから、Apple がリリースすると同時に最速 の Mac を買うことで知られていユーザー層だからだ。

<http://www.apple.com/powermac/>

PowerPC G4 -- 最初の Power Macintosh G4 システムは 400 MHz で、後 発モデルは 450 MHz と 500 MHz となる。全体的に見て、G4 システムは 600 MHz の Pentium III CPU の 3 倍近いパフォーマンスを持っていると されている。この新システムは理論的に毎秒 10 億もの浮動小数点演算 (“ギガフロップ”といわれる)を継続して行うことが可能なため、初の スーパーコンピュータ・チップであるといわれている PowerPC G4 プロセッ サを採用している。PowerPC G4 の驚異的なパフォーマンスは、従来 AltiVec と呼ばれていた 128 ビットの“Velocity Engine”による部分が 大きい。G4 の Velocity Engine は 1 クロックサイクルにつき通常のプロ セッサによる処理と並行して複数の処理を行うことができ、ストリーミン グメディアやデータ変換向けの特殊な機能を持っている。従来の PowerPC シリーズにおける革新と同様に、プログラムを PowerPC G4 プロセッサ上 で動作させるためにリコンパイルしなければならないということはない。 しかし、G4 の Velocity Engine を利用するためにはプログラムをリコン パイルする必要がある。したがって、G4 システムでは同程度のクロックの G3 システムよりも 15 〜 20 % のスピードアップはあるかもしれないが、 Velocity Engine 向けにリコンパイルされたアプリケーションは一部の機 能が 2 〜 8 倍も高速になる場合がある。Macromedia、Adobe、Terran Interactive、Casady & Greene、Bungie Software など、G4 システムのサ ポートを表明したデベロッパーもいくつか現れている。

<http://www.apple.com/powermac/processor.html>
<http://www.mot.com/SPS/PowerPC/AltiVec/>
<http://www.apple.com/pr/library/1999/aug/31developer.html>

PCI 対 AGP -- システムとしての Power Macintosh G4 のスぺックも決 して見劣りはしない。100 MHz のシステムバス、1 MB のバックサイド 2 次キャッシュ、64 〜 256 MB の RAM、3 基の 64 ビット PCI スロット、 10/ 100Base-T Ethernet、10 〜 27 GB のハードディスク、32x CD-ROM ま たは DVD のオプション、16 MB の VRAM を搭載した ATI Rage 128 ビデオ カード、FireWire、それに 2 基の USB ポートだ。青と白の Power Mac G3 と同様に、Power Mac G4 システムはアクセスが容易なミニタワーケースに 収められ、フロッピードライブは用意されていない。一方、G4 システムに は青と白 G3 には見られた ADB ポートが無く、控え目な半透明の白とグラ ファイト色を基調にしている。これは iMac の比較的けばけばしい色揃え に関する懸念に対応したものかもしれない。

<http://www.apple.com/powermac/specs.html>

ここまでのスぺックは消化できたと思ったら、ここからがややこしいのだ。 Apple は Power Macintosh G4 を 2 種類用意し、それぞれを“PCI Graphics”および“AGP Graphics”と名付けている(AGP は Advanced Graphics Port の略)。PCI Graphics の G4 は本質的には従来の青と白の Power Macintosh G3 アーキテクチャを強化し、ADB ポートを外し、システ ムバスを 100 MHz にして PowerPC G4 プロセッサを搭載したものだ。PCI Graphics 版の G4 は 400 MHz と 450 MHz 版が出荷され、400 MHz 版はす ぐに、450 MHz 版は 10 月に入手可能となる。既存のマザーボードを利用 したことで、Apple は低価格の PowerPC G4 マシンを実現することができ た。今のところ 400 MHz マシンの価格は 1,600 ドルからとなっており、 従来の 400 MHz の G3 システムと同じだ。

Sawtooth というコードネームだった AGP Graphics 版 G4 は、新設計のマ ザーボードを元に、青と白の Macintosh G3 で導入された“Yosemite”マ ザーボードと比べて多数の改良点を誇っている。主な改良点は以下の通りだ。

AGP は PC の世界からやってきたグラフィックスの規格だ。Intel が PCI を元に開発したもので、AGP スロットを搭載した PC は 1997 年に現れ始 めた。AGP は 3D グラフィックスが要求する高スループットを実現するも ので、3D テクスチャをビデオメモリではなくコンピュータのメインメモリ に格納することができる。AGP Graphics 版 G4 には AGP 2x スロットが搭 載されており、理論上は毎秒 533 メガバイト(MBps)を画面上に送ること ができる。AGP 4x はより高速で、画面に毎秒 1 ギガバイト強(GBps)を 送ることができる。AGP は OpenGL を利用したグラフィックスを多用する アプリケーションを Macintosh に持ってこようとしているデベロッパーに は特に魅力的だ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05394>

おわかりかな? ややこしくなるのはこれからだ。PCI Graphics G4 と AGP Graphics G4 の違いはこれだけではない。AGP Graphics システムはマザー ボードに DSP カードを装着した独自の 56 Kbps モデムをオプションで付 けることができる。が、筐体背面にはデジタル -> アナログ(D/A)コン バータが接続されている。モデムなしの場合にはマザーボードに DSP カー ドがないが、D/A コンバータは接続されている。ただしこの場合は電話 ジャックが見えないように装着される。

さらに、AGP Graphics G4 は PCI カードとファンをオフにする PowerBook 風スリープモードを備えている。デスクトップ Mac には嬉しい新機能だ。 スリープ時、AGP Graphics G4 はわずか 6 ワットしか電力を消費しない。 これは普通の電灯よりも少ない値だ。コンピュータは普通電源を切った状 態でも 3 〜 5 ワットの電力を消費することを考えると(バッテリにわず かな電力を供給するなど)、内蔵ハードウェアを取り替える場合以外ほと んど AGP Graphics G4 をシャットダウンする必要がないことになる。USB や外付 FireWire デバイスは動作中の交換が可能だからだ。この機能をサ ポートするには、PCI カード側で Apple の Power Manager 2.0(Mac OS に内蔵)をサポートしていなければならない。Power Manager 2.0 をサポー トしてないカードの場合は、システムはスリープするものの PCI ボードを 冷却するファンをオンにしておかなければならないので、消費電力は多く なる。

あと一点だけ付け加えておこう。Apple Store からは発表されたばかり (でとても高価)な Apple Cinema Display(後述)を利用するためのデジ タルビデオコネクタを搭載した Power Mac G4 が販売される。Apple Cinema Display を別なコンピュータで使おうと思っていた方は再考された方が良 いだろう。これは不可能だからだ。

新 AGP Graphics G4 システムにどんなに思いを募らせても、まだその思い は届かない。450 MHz と 500 MHz のプロセッサを搭載して登場することは 決まっているものの、11 月までは発売されないことになりそうだ。価格は 必要最小限構成の 2,400 ドルから 450 MHz Apple Cinema Display 付きの 6,500 ドルにまで達する。

なぞの究明 -- Power Mac G4 の嬉しくなるようなスペックの裏側で暗い 影を落としているのがその名前である。Apple は 2 台の全く異なるマシン に同じ名前を付けて送りだしたのだ。さらに困ったことに、外観までほと んど同じになるらしい。PCI Graphics G4 なのか AGP Graphics G4 なのか を知るためには、四つん這いになって机の下に潜り込まなければならない。 背面パネルにしか目で確認できる違いがないのだ。すなわち PCI Graphics G4 は音声とビデオ入力のジャックが横に並んでいるが、AGP Graphics G4 では縦に並んでいる。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n58418>

この愚かなネーミングは Steve Jobs の直接の指示らしい。マーケティン グにはもってこいだろうが、テクニカルサポートや適切なアップグレード を行ったり周辺機器を買おうとする消費者にとっては裏目に出てしまう。 マーケティング用の呼び名のほかに一貫性のあるバージョン番号を採用す るという我々の提案は、単一名によるマーケティングでの効果をそのまま に、ネーミングの混乱を処理できるだろうし、今後も私たちの提案もしく は類似のネーミング方法を Apple が採用するよう働き掛けていこうと思う ( TidBITS-485 の「Macintosh 製品名の衰退: 名は体を表す」を参照)。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05436>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=697>

青と白の G4 は? 最近購入した青と白の Power Macintosh G3 を G4 プ ロセッサにアップグレードしたいと考えている方は、今しばらく待たなけ ればならない。XLR8 社、Sonnet 社、Newer Technology 社といったベン ダーが、様々な PCI ベースのシステムや“ベージュ”の G3 の G4 アップ グレードをすでにアナウンスしているが、Apple の(PCI 性能を向上させ ると言われている)青白 Power Mac G3 用 G3 Firmware Update 1.1 には G4 プロセッサがインストールされている場合マシンが起動できなくなるよ うな変更が施されている。Apple は G3 システムが CPU アップグレード可 能だと公言したことなど一度もなかったが、青白 G3 で G4 プロセッサを 使用不能にするという同社の暗黙の決定は、一部のユーザーの怒りを買っ た。Apple が品質管理目的あるはサードパーティのアップグレードベンダー に出し抜かれないようにするために Firmware に変更を施しているらしが、 Apple の財政状況が最近好転したのは新ハードウェアの販売のおかげであ り、古いマシンの CPU アップグレードによるものではないということを肝 に銘しておく必要があるだろう。元気な CPU アップグレードベンダーが Apple のファームウェアによる制約をうまくかわすこともあるだろうが。

<http://www.newertech.com/>
<http://www.sonnettech.com>
<http://www.xlr8.com/>
<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11361>

G4 の色 -- TidBITS-492 の「色の擁護論」で『Apple がビジネス市場 でも名声を得たかったら、目立ちもするがうまくおさまるような Macintosh のデザインを考え出さなければならないだろう。誰かが高級なイタリア製 スーツをまとってやっているように。』と書いた。Power Mac G4 は例の青 と白の Power Mac G3 で採用された曲線の美しいケースを鮮やかなシルバー とグラファイトの色で仕上げられ、ビジネス界のニーズに応えながらも個 性を失わないだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05501>

Apple の採用した色名「グラファイト」をコミュニティが受け入れるかど うかはまだ判らない。「グレー」のほうが間違いなく呼びやすいが、グラ ファイトには石墨という意味もあり、昔の美術や設計などを思い起こさせ る。もちろん、青と白の Power Mac G3 以前に Apple はデスクトップマシ ンの色を誰でもが知っている「ベージュ」という言葉ではなく、「プラチ ナ」という公式語で呼んでいた。

Apple は Apple Studio Display のケースを Power Mac G4 のグラファイ トカラーにマッチするように変更しているし、Apple Cinema Display は新 しくなった Power Mac G4 の外観と足並みが揃っていることがご自慢だ。 たいていはマシンよりもモニターの方が新しくする頻度が低いので、現行 の青白 Power Mac G3 と新 Power Mac G4 の両方に合わせられるように ニュートラルな見栄えにしようという Apple の動きは道理にかなっている。

AirPort サポート -- TidBITS-490 の「iBook: iMac to go」に iMac と(まだ出荷されていない)Apple の AirPort ネットワーキングのことを 記事にした時、『一年以内に Apple の全ラインで AirPort アンテナが利 用できるようになるだろう』と書いた。Power Mac AGP Graphics G4 モデ ルで AirPort ワイヤレスネットワーキングをオプションでサポートすると いう発表は、全ラインに AirPort を採用するという Apple の公約に沿う ものである。4 つのマス目からなる同社の製品体形で、まだ AirPort のサ ポート対象になっているマシンがないのは、コンシューマーデスクトップ の iMac のマスと、プロフェッショナルポータブルの PowerBook G3 のマ スであり、そのあたりで AirPort ネットワーキングが可能なマシンの次期 リリースが待たれるところだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05487>

ピクセルぎっしりの Apple Cinema Display -- 最後になったが、重要度 は決して低くない話をしよう。Apple は Apple Cinema Display を発表し た。これは 22 インチの TFT(薄膜トランジスタ)アクティブマトリック ス LCD ディスプレイである。店で売られる最大の液晶ディスプレイと Apple が言うところの完全デジタルモニタは 24 インチの CRT モニタに相 当する表示画面を持ち、フルカラーで 1,600 x 1,024 ピクセルの解像度を 持ち、2 つのテキストページをフル表示させたり縦横比の調整なしにフル スクリーンの DVD 映画を楽しむことができる。当然のことながら、Apple はこのディスプレイは製造がむずかしいため(どの Apple Store のページ を信じるかにもよるが)10 月または 11 月とも言われている出荷開始時点で 供給数が非常に少なくなると考えており、そのため少なくとも当初は Apple Store で 450 MHz Power Macintosh G4 とセットにしてのみ販売され、価 格は(ATI RAGE 128 Pro グラフィックカードと込みで)6,500 ドルにな る。仮に Apple Cinema Display が単体で売られるとすると、価格は 4,000 ドルということになり(21 インチ CRT Apple Studio Display よりも 2,500 ドル高い)、どんなに欲しいと思ったところで我々庶民には高嶺の 花である。

一方 Power Mac G4 の価格だが、最高性能のものを最低価格で買うために あるマシンが店頭から消える寸前まで買い控えるものにとっては、むずか しいところだ。公式発表はまだだが、Power Mac G4 が全 Power Mac G3 ラ インと交代すると思われる。しかし、Apple の在庫管理の劇的な躍進を考 えると、現行製造ロット分が売れてしまうともう Power Mac G3 はほとん ど手に入らなくなると思われる。それに Power Mac G4 の低価格設定のた め、最新ではないお買い得 Mac を探すよりも新しいテクノロジーにお金を つぎ込むほうがよいかもしれない。


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