TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#508/06-Dec-99

休暇と言えば普通は仕事から離れることだろう。だがあなたは仕事を中断 せずに休みを取ることができるか? Mac のシェアウェア作者 Gideon Greenspan 氏が、自分の会社を背負ってアジアじゅうを旅するための tips を紹介する。さらに Arthur Bleich 氏がデジタルカメラ購入のアドバイス と共に再登場。また、Apple 社の Power Macintosh G4 ラインの改訂、 QuarkXPress 4.1、ListSTAR 2.0、Frontier 6.1、Trexar 社の MacWasher、 そして Microsoft Office 98 のアップデートにも触れる。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/06-Dec-99

(翻訳:吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)
(  :尾高 修一 shu@pobox.com>)

Aladdin Systems が TidBITS のスポンサーに -- 私達はスポンサーとし て新たに Aladdin Systems 社を迎えたことを喜んでいる。同社は長年 Macintosh に関わってきた会社であり、StuffIt ファミリーのプログラム で非常に有名だ。数年前から Aladdin 社は芽が出なかったが、ようやく昨 年、新しい StuffIt 5.0 フォーマット(より優れた圧縮機能を追加し、 StuffIt 書庫を完全にクロスプラットフォーム化した)を苦しみながらも リリースした。だがそれ以降、同社はエンジン全開で StuffIt 5.0 製品の 修正とアップグレードをリリースし、MacTicker などの新しいプログラム を売り出し、そして株式を公開した。今後は、最近 MindExpander を StuffIt Expander にぶつけてきた MindVision 社との競争が激しくなるだ ろう。しかし Aladdin 社は 1990 年代の初めに DiskDoubler や Compact Pro との競争で成長した。新しい競争は圧縮プログラム市場のより速い進 歩を促すだけだろう。私達は Aladdin 社が協力してくれて嬉しい。彼らが 新しい、またはアップグレードされた Macintosh ユーティリティを発表し 続けることを祈っている。 [ACE]

<http://www.aladdinsys.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05663>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05633>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05572>

Apple が G4 を改訂、デジタルビデオオプションを追加 -- Apple Computer 社は Power Macintosh G4 製品群を改訂した。より進歩した AGP アーキテクチャを製品ライン全体へ広げ、デジタルビデオインターフェー スを追加した。(最初の G4 製品群の概要については TidBITS-496 の “ハイクラス Power Mac G4”を参照。Apple 社がその後行った G4 プロ セッサ速度の下方修正については TidBITS-502 の“Speed Dips for Power Mac G4s”を参照。) Apple 社の新しい G4 のプロセッサ速度(350、400、 450 MHz)と基本価格(1,600 〜 3,500 ドル)は先代と同じだ。しかし新 しいマシンはすべて標準で DVD-ROM ドライブを持ち、Airport ワイヤレス ネットワーキング用オプションが使える。さらに、新しい AGP ベースの ATI Rage 128 Pro ビデオを誇る。これは以前のカードよりグラフィックス 性能に優れ、ハイエンドの LCD Apple Cinema Display と発表されたばか りの Flat Panel Studio Display をサポートするためのデジタルビデオイ ンターフェイスを追加する。Flat Panel Studio Display はデジタル 15 インチ LCD スクリーンで、最大解像度は 1024 x 768 ピクセルだ。Apple 社はこれを年内には 1,300 ドルで入手可能だと言っているが、22 インチ で 4,000 ドルの Apple Cinema Display は 1 月まで入手できない。また Apple 社はデジタルビデオ出力付きの AGP ベース Rage 128 Pro ビデオ カードを、AGP グラフィックス付き G4 システムの既存ユーザが 99 ドル で、2000 年初めに入手可能とする計画を発表した。そうなれば、AGP グラ フィックス版 G4 の既存ユーザは Apple 社のデジタル LCD ディスプレイ を、自分たちのシステムで使えるだろう。 [GD]

<http://www.apple.com/powermac/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05546>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05615>
<http://www.apple.com/displays/asd15/>

QuarkXPress 4.1 無料アップグレード -- Quark、Inc. は QuarkXPress 4.1 の無料アップグレードの出荷を、QuarkXPress 4.0 の登録ユーザーに 対して開始した。新バージョンは PDF ファイルの作成とインポートのサ ポートを改良し、QuarkXPress の HTML テキストエクスポート機能を強化 し、新しい XTension をいくつかバンドルした。また QuarkXPress 4.1 は QuarkLink を含む。これは QuarkTech Knowledge Base とオンラインサポー トフォーラムへのアクセス(Web ブラウザ経由で)へのアクセスを可能に し、さらに Quark 社のカスタマーサービスとテクニカルサポートへ電子 メールを送ることができる。QuarkLink がユーザーにとって便利な機能な のか、それとも単に見栄えのよい Web と電子メールリンクのセットなのか は、見てのお楽しみだ。登録ユーザーには 4.1 アップグレード CD-ROM が 年内に届くだろう。アップデートはダウンロード不可。 [JLC]

<http://www.quark.com/products/quarkxpress/fourone.html>

Mac OS 9 対応 Office 98 アップデート -- Microsoft 社は Microsoft Office 98 を Mac OS 9 に対応させる 2.7 MB のアップデートをリリース した。このアップデートは Mac OS 9 で Office 98 を使った時に見られる 2 つの明らかな問題を解決するために設計された。まず Excel と Graph の Format Chart ダイアログを正しく表示させ、そして PowerPoint が USB 接続の Epson 740 プリンタに印刷できるようにする。アップデータは英語 版 Office 98 専用。Microsoft 社は他言語用アップデータを Mac Office Web ページ経由で入手可能にするよう計画している。また、このアップデー トは Office 98 用の以前のアップデート(Mac OS 8.5 と Memo および Resume ウィザードの問題、unique identifier codes に伴うセキュリティ の懸念、および OLE があなたのコンピュータ内の無関係なデータを Office ドキュメントに埋め込んでしまうという潜在的な問題を解決する)を含ま ないことに注意。 [GD]

<http://www.microsoft.com/macoffice/downloads/OS9.htm>
<http://www.microsoft.com/macoffice/users/freedl.htm>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04973>

UserLand、Frontier 6.1 をリリース -- 以前 TidBITS-476 で UserLand 社の Web サイト管理およびスクリプティングシステムである Frontier 6.0 を取り上げた。バージョン 6.1 では技術面での改良が多く見られるが、最 も重要なものは UserLand の新コンテンツ管理システムである Manila だ。 Manila は既存の Frontier の機能をベースとしているが、Manila を使う には Frontier の機能をほとんど(あるいは全く)知らなくてもいい。 Manila はサーバ側では独立したツールとなっており、クライアント側では Web ページの作成・編集に Web ブラウザを使用するだけだ。UserLand は デモ用に公開 Manila サーバをセットアップしており、UserLand の公開 ディスカッショングループの参加者は誰でも Web ブラウザだけで UserLand のサーバに Web サイトを作ることができる。[MAN]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05351>
<http://frontier.userland.com/changes/61>
<http://manila.userland.com/>

StarNine、ListSTAR 2.0 アップグレードを無償配布 -- StarNine Technologies 社は待望久しい ListSTAR 2.0 をリリースした。ListSTAR は同社の柔軟なメーリングリスト管理および自動返信ツールであり、私た ちも TidBITS の配信に毎週利用している( TidBITS-337 の「巨大メーリ ングリストの引っ越し」と TidBITS-420 の「正統のメーリングリストに あらず」を参照)。ListSTAR 2.0 での改良点は、PowerPC ネイティブなア プリケーション、二次 IP アドレスの使用(同じマシンで WebSTAR Mail や Eudora Internet Mail Server など他のメールサーバを使用することが できる)、統合された ListSTAR Template スクリプト、現行バージョンの AppleScript との互換性改善などだ。ただ、ListSTAR 2.0 は SMTP 専用と なっており、ListSTAR/POP など他のメールサーバを必要とした旧バージョ ンのサポートは終了となった。ListSTAR/SMTP 1.x のユーザーは無料でアッ プグレードでき、現行のシリアルナンバーを ListSTAR 2.0 でも使うこと ができる。ListSTAR 1.x の他のバージョンのユーザーはシリアルナンバー を電話で StarNine に問い合わせるように。ListSTAR 2.0 の新規購入価格 は 295 ドルだ。68030 以降、System 7.5 以降、それに最低 4 MB のアプ リケーション RAM も必要。機能的には完全な 評価版は 2.4MBのダウンロー ドだ。 [ACE]

<http://www.starnine.com/liststar/liststar.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00937>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04761>

Trexar、MacWasher でプライバシー保護 -- Trexar Technologies 社は MacWasher をリリースした。MacWasher は Webroot Software 社製ソフト ウェアの Mac 版で、ハードディスクから事前に指定したファイルを削除 し、覗かれる危険を取り除くとともにディスクスペースを節約するものだ。 MacWasher はゴミ箱を空にしたり、“最近使用したアプリケーション”フォ ルダや“最近使用した文書”フォルダを空にし、どんなファイルを使って いるかが他の人にわからないようにする。MacWasher は Temporary Items フォルダや、MacsBug StdLog ファイルも掃除し、削除するファイルやフォ ルダをユーザーが設定することも可能だ。Netscape Communicator、 Microsoft Internet Explorer、それに America Online の使用後にキャッ シュファイル、クッキー(Netscape ユーザーは選択したクッキーを保存す ることが可能)、ヒストリを削除し、どのサイトを訪れていたかを見えな くすることができる。MacWasher は Netscape Messenger Trash を空にし て削除されたメッセージを消去できるが、他のメールソフトではこれがで きない。当然ながらファイルを削除したことはハードディスクからデータ が消えたことにはならないので、MacWasher は“ブリーチを投入”してファ イルを最高 10 回までランダムな文字列で上書きしてもくれる。MacWasher アプリケーションを使って、設定変更、洗濯のシミュレーション(どうい う結果になるかを見るため)、それに実際にファイルの削除を行うことが できる。自動的に設定した時間や起動時/終了時に洗濯を行うことも可能 だ。MacWasher は 10 ドルのシェアウェアで、2.1 MB のダウンロードだ。 68040 以上の Mac、System 7.5.1 以降、5 MB の RAM が必要。[ACE]

<http://www.macwasher.com/>
<http://www.webroot.com/>

MacLaunch Web ポータル発進 -- 長期にわたるベータテストの後、 MacLaunch 社は Macintosh 向けポータル Web サイトを一般公開した。よ くあるポータルの機能を Mac 中心に構築したもので、TidBITS を含む多彩 なソースからの Macintosh ニュース、無料電子メールと Web スペース、 ディスカッショングループ、ソフトウェアアップデート、株価情報、ショッ ピング、Web ページのファックス送信、チャットなどが用意されている。 MacLaunch のサービスに特にユニークなものはないが(ほとんどが提携サ イトから提供されている)、コレクションの幅広さは壮観だし、Mac 中心 のサーフィンには便利な出発点となるかもしれない。 [ACE]

<http://www.maclaunch.com/>

1999 年プレゼントアイデア募集中 -- 1999 年版 TidBITS 年末プレゼン ト号に向け、みなさんがどんな Macintosh 関連ギフトを家族や友達に贈ろ うと考えているか(または彼らから贈ってほしいか!)を知らせていただき たい。結果を取りまとめて今月発行する TidBITS Gift Issue に掲載する。 昨年同様、提案は TidBITS Talk で受け付けているので、<tidbits- talk@tidbits.com> へメールしていただきたい。すでにプレゼント関連の スレッドが続いているので、アイデアやカテゴリをチェックするために参 照していただこう。メッセージ一つにはアイテムも一つでお願いしたい。 URL など連絡先も記入し、自己推薦は遠慮していただこう。アイデアをお 待ちする! [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=active>

アンケート結果: わが家のマウス -- どんなポインティングデバイスを 使っているかという最新の調査結果はなかなか興味深いものだった。 2,100 を超える回答者のうち、1/3 は Apple 製マウスを使い続けており、 1/3 はサードパーティ製マウスを使用し、1/4 はトラックボールを使っていた。 トラックパッドの支持率は予想外に低く、7 % にとどまったものの、グラ フィックタブレットは意外と健闘して 3 % という結果だった。ジョイス ティック、ゲームコントローラー、赤外ポインタ、タッチスクリーンなど 他のポインティングデバイスを使っていた人は数えるほどだった。これだ け多くの人がサードパーティ製ポインティングデバイスを使っているとい うことは、好みが人によって大きく異なり、現在の Apple のマウスデザイ ンはサードパーティのマウスメーカには好ましいということが言えるだろ う。[ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=862>

アンケート予告: はい、ピクセル -- 私たちの多くにとって、日進月歩 のデジタルカメラはハイテク購買欲をそそるものだ。デジカメは高い可能 性を秘めているものの、これまでは高価だったり品質が悪かったり、ある いはこの両方だった。品質の向上とともにデジカメの価格も下がってきて おり、Web にポストしたり友達にメールするには手軽さで勝るものはな い。毎年恒例の Arthur Bleich 氏によるデジカメレビューの第一部を読ん でいただこう。これに合わせて今週の調査ではデジカメを所有しているか を尋ね、もし持っていなかったら買う予定はあるかをお聞きする。私たち のホームページから投票されたし! [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


一風変わった働き方

by Gideon Greenspan <gdg@sigsoftware.com>
(翻訳:吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

旅行者の多くはビジネス目的か、それともビジネスからきっぱり 離れる かのどちらかのために旅しているようだ。日々の仕事を続けながらも楽 しみのために旅行する人々のことは、あまり耳にしないであろう。旅から 旅の生活をしながらも電子メールで毎日連絡をとり、信頼できるソフトウェ アを作ることができる、というのは理解し難いことだが、しかし私はまさ にそれをしている。過去数年間、私は大学で学びながら Macintosh のシェ アウェアビジネスで成功できるほどに幸運だった。そして 99 年 10 月 18 日から 99 年 12 月 8 日まで、自分の会社を文字どおり背中にくくりつけ て極東を放浪している。もしあなたが NameCleaner、Email Effects、また は Drop Drawers の名前を聞いたことがあれば、私の仕事を知っているこ とになる。(将来の、または既存の顧客のみなさんは心配御無用。問題が 起きたときに対処するため、友人が家で待機している。だが彼は今まで必 要になったことがない。)

<http://www.sigsoftware.com/>

再び旅へ -- 私は 23 歳と比較的若いので、生まれ故郷のイギリスのロ ンドンから遠く離れて旅することを楽しんでいる。最近、私をもう一度旅 に出させようと旅の虫が圧力をかけ始めたとき、最初の明らかな問題はこ れだった: どこへ行こう? 私はヨーロッパに住んでおり、中東、アメリカ、 そして南米へは行ったことがある。それで目標はアジアに絞られた。私は Lonely Planet ウェブサイトで数十もの候補地を調べ、そして行き先を極 東に決めた。オーストラリアとニュージランドも気になったが、私にはそ この文化が私がいつも目にしているものに似過ぎていると感じられた。

<http://www.lonelyplanet.com/>

理想を言えば、この旅は私をよく知らないどこかへ連れていっただろう。 しかし私には単に動き回ること以外に考えなければならないことがあった。 どこへ行くにしても、私には良質の電話回線、たくさんのインターネット カフェ、それに信頼できる移動手段が必要だった。それで私は、魅惑的に 見えた中国、インド、ベトナムをリストから外さなければならなかった。 政情不安がなければインドネシアも考えただろう。また日本は私の好みよ りちょっと発展しすぎていた。

そこで私はシンガポールから始めて、マレーシアを経てタイへ至るという 月並みなルートに決めた。この道ならインターネットカフェに困ることも なく、他の旅行者にもたくさん会えて、コミュニケーションも良く、安全 な交通手段があると思われた。そして一番大切なこととして、いろいろな ことをしたり見たりできそうだった。私はインターネットの飛行機旅行代 理店をいくつか調べたが、USIT 社の価格をしのぐものはなかった。それで 私はロンドンからシンガポールへ飛んでバンコクからロンドンへ戻る Lufthansa を 700 ドルで予約した。実際にはもっと安い便もいくつかあっ たが、それらはどれも、パスポートにイスラエルのスタンプが押されてい る者の入国を拒否する国に立ち寄るものばかりだった。私のパスポートに はイスラエルのスタンプが 10 個押されているので、それに配慮した。

<http://www.usitworld.com/>

コンピュータ -- 世界旅行者は無料で Web ベースの電子メールアカウン トが、どこのインターネットカフェからでも接続できるという点でとても 貴重であることを知っている。だが私のビジネスを HotMail などの無料ア カウントを使って行うのは実現不可能だ。まず、私の入金処理システムは AppleScript を介してリンクされた HyperCard、FileMaker Pro、そして Emailer を必要とする。それらすべてを Java アプレットで複製するなん て到底できない! 次に、私は旅行しながら少しプログラミングしたいし、 (あっ!)修正が必要なちょっとしたバグや非互換性までもがあるかもしれ ない。そしてラップトップを買うときが来た。

<http://www.hotmail.com/>
<http://www.apple.com/hypercard/>
<http://www.filemaker.com/>

もしあなたが Mac ユーザーなら、ポータブルコンピューティングをやりた いと思っても残念ながら選択肢は多くない。けれど幸運にも、ひとつの選 択肢はとびきり最高だ。私は中古 PowerBook 市場を眺めることから始め た。しかし新品のブロンズキーボード Apple PowerBook G3 シリーズに比 べると、どれもやたらと高く感じられた。私は少し仕様を読み、Mac Speed Zone にあったベンチマークをいくつか見たあと、既存の 2 モデル中の下 位機種に決めた。

<http://www.macspeedzone.com/>

しかし“下位”が意味するものを明らかにしておこう: 333 MHz の PowerPC G3、512K のキャッシュ、64 MB の RAM、4.5 GB のハードディスク、1,024 x 768 の解像度で快適な 14.1 インチスクリーン、8 MB の VRAM で 24 ビットカラーを表示できる ATI Rage Pro グラフィックスコントローラ、 24 倍速 CD-ROM、内蔵の 10/100Base-T イーサネット、VGA 出力(ミラー または 2 番目のモニタとして)、S ビデオ出力、そして 56 Kbps モデム だ。Mac and More は税別で約 2,600 ドルという英国での最安値をつけて いた。

<http://www.macandmore.co.uk/>

インターネットへの接続 -- 海外にいる場合、インターネットにアクセ スするのに賢いやり方には 2 通りあると思う - 一つはラップトップ接続 にやさしいインターネットカフェの Ethernet に接続するか、あるいは通 常の電話回線経由でダイアルアップするかである。前者の方が勿論好まし いのはわかるが、電話での接続に多く頼らねばならないであろうと想定し ていた。

電話アクセスに関してはいくつかのオプションを考えた。まずは、3 つの 大手の全世界をカバーするインターネットサービスプロバイダがある - AOL、CompuServe それに IBM Global Services である。そこでそれぞれに ついて、私の訪問国でどのぐらいの POP (points of presence) を持って おり、ローミングするための料金はいくらなのか調べてみた。その結果、 納得のいくサービスを納得のいく料金で提供するプロバイダーはない事が すぐに明らかとなった、とりわけタイでのアクセスが問題のように思えた。

<http://www.aol.com/>
<http://www.compuserve.com/>
<http://www.ibm.net/>

次に、その地域をベースとする ISP で、誰が何をいくらで提供しているの か探し出してダイアルアップアカウントの契約をする事を考えてみた。し かしながら、その ISP の Web サイトの言葉を読めない(理解することも) と言うことがわかり早々にこの線を追うのはあきらめた。それに地元のプ ロバイダーがどれ程信頼性があるのかについても全く見当がつかなかった。

3 番目のオプションが結果的には一番ということになった。世界的な ISP ローミングアライアンスが 2 つあることを知る機会があった、これはその メンバ ISP が、世界中でアライアンスメンバの POP を使ってダイアルアッ プアクセスを許すというものである。私は iPass のことは前に聞いたこと があったが、Gric は私の行く国々でより広いポイントを提供していた - タイだけでも 50 以上の都市をカバーしていた。

<http://www.ipass.com/>
<http://www.gric.com/>

これらの料金はかなり高額であるように見えたが、そのうちたまたま英国 の ISP で月に 20 ドル以下で世界的ローミングアクセスを提供する Atlas Internet にたどりついた。私は即日申込をしそして Gric の Web サイト からダイアラーソフトウェアをダウンロードした。それはかなり遅い、と 言うのもそれは Java で書かれていて Metrowerks 社の今は廃版となった Java Virtual Machine で動くようになっているからである。それでも私は 英国から色々な国へダイアルアップしてローミングの試験をしたが、文句 なしに働いた。

<http://www.atlas.co.uk/>

インターネットカフェを探し出すのは比較的やさしかった。ガイドブック に載っている何軒か以外にも、よく知られた Internet Cafe Guide があり 都市か国で検索できる。しかしながら弱点もあり、それは検索結果がきち んと構成されていないテキストで提供されてしまうことである。そこで数 時間に及ぶ根気のいるドラッグアンドドロップの結果、私の必要とする情 報すべてを FileMaker Pro データベースにまとめあげた。

<http://www.netcafeguide.com/>

大抵のリスティングはそのカフェがお客に自分のラップトップをプラグイ ンすることを許すかどうかについての詳細を載せていなかった。そこで私 自身の製品である Email Merge が役に立つ場面となった、ものの数分で 70 を超える外見上は個々に宛てて作成された Ethernet 経由で接続できる か値段はいくらかをたずねるメールを送信できた。これに対して約 20 の 返信があり、大部分は前向きであった。

<http://www.sigsoftware.com/emailmerge/>

周辺機器と付属品 -- 新製品用のアクセサリーは割高なのが常だから PowerBook 用の付属品購入は可能なかぎり先延ばしにするようにと Mac and More から言われた。しかし、増設用の RAM、バックアップ用内蔵 Zip ド ライブ、予備のバッテリ、セキュリティケーブルを購入すべき時になって いたのだ。

Zip ドライブ以外のものは簡単に見つかった。64 MB の RAM、予備のバッ テリ、Kensington 社製セキュリティケーブルが締めて 400 ドル以下だっ た。セキュリティケーブルで泥棒をシャットアウトできるとは思っていな いが、ある程度の抑止効果はあるだろうし、保険にも入っている。予備の バッテリを手に入れたので、(試したところ)電源の供給を受けない状態 で約 9 時間マシンを使用できるようになり、一番長い飛行時間はカバーで きないもののおおむね足りるようになった。RAM の一部を RAM ディスク用 に割り当てて、ハードディスクの稼働頻度を下げて、さらに節電を計るつ もりだ。

<http://www.kensington.com/>

Zip ドライブに関してはほかのもののようには簡単にいかなかった。イギ リスで在庫のある店が唯一一店舗で、しかも VST モデルが約 400 ドルも した。ありがたいことに、別の周辺機器を売ってくれた MacSupplies が、 HDI-30/SCSI アダプタを 40 ドル以下で売っており、Zip のキャリングケー スをおまけにつけてるれるというのだ。そこで、内蔵 Zip ドライブの購入 をやめ、手元にある Zip Plus を持っていくことにした。少々かさばるよ うにはなるが、実に軽いしちゃんと動く。

<http://www.vsttech.com/>

Zip ドライブとその他諸々の小物はおまけでもらった Zip キャリングケー スに入れるとして、PowerBook はどうしたものだろうか。標準的なキャリ ングケースを見たところ、ほとんどのものが私の希望よりも大きめだった。 そのかわりと言っては何だが、FedEx の古い箱を見つけ出してきて、その 内側に発泡ビニールシートを貼り付けたところ PowerBook にぴったりに なった。何よりもコンピュータらしく見えないところがよく、盗み心を抱 きにくくなるかもしれない。

そのほか、Ethernet クロスオーバーケーブル、RJ-11 の電話ケーブル、形 状の異なる電源プラグアダプタをいくつか、(PowerBook、Zip ドライブ、 ひげそりを同時に使いたい時用に)3 つ口になったコンセントを購入した。 Steve Kropla 氏の非常に役に立つサイトには旅行者に各国で使用されてい る電話や電源プラグの情報があり、手元のタイ、マレーシア、シンガポー ル、ブルネイ用の Lonely Planet ガイドに出ている情報の再確認に利用し た。

<http://www.kropla.com/>

バックアップ計画 すでに書いた通り、私が外界との連絡ができなくなっ た時のためにイギリスで待機してくれている友人がいる。彼は私の入金処 理システムのコピーとすべてが事無く運ぶよう説明が書かれた書類を持っ ている。私がメールをチェックしたというメッセージが 2 日間途絶える と、彼は代行作業を開始し、次に私からの知らせがあるまで続けてくれる ことになっている。販売データーベースのシンクロは面倒ではあるが、た いした工夫がなくてもできる作業である。

由々しき事態でなくともシステムクラッシュなどの場合、自分で修復でき なければならない。そのために、PowerBook についてきた G3 用のシステ ム CD-ROM、CodeWarrior Pro のインストール CD-ROM、必要になる可能性 のあるその他アプリケーションの入った CD-R を私の全書類の最近のコピー とともに持っていく。荷物が少なくなるように、Xing 社製の Audio Catalyst を使って、お気に入りのオーディオ CD の MP3 のコピーをハー ドディスクに作った。

<http://www.xingtech.com/mp3/audiocatalyst/>

終わりに、Apple アジアのサイトを覗いて、シンガポール、マレーシア、 タイにある Apple ディラーのリストを見つけた。かなり長いリストがあっ たのは嬉しい驚きだった。これは、必要とあらばハードウェアサポートが 受けられるということであり、また私が考えていたよりも Apple が世界規 模で頑張っているということである。

<http://www.asia.apple.com/>

レジュメ -- 数週間にわたりぼちぼちと準備を行い、出発できるまでに 準備が整った。新たな設備投資としておよそ 3,500 ドルを費やした。これ は確かにかなりの額であるが、私がシェアウェアビジネスで得たお金だし、 こんなに若いうちから倹約に努めることもないだろう。いずれにせよ、私 が戻ってきた時にこれら製品が時代遅れのものにはなっていないだろうし、 買ったお金の 3 分の 2 ぐらいの金額で売りさばくこともできるだろう。 だが、そんなことはしないと思う。私は再び旅に出るだろうし、税金控除 の対象とすると投資する価値のあるものである。

今回整えた設備の大きな欠点は、6 キロ(13.25 ポンド)にも及ぶ総重量 である。その他の私の荷物はほとんど軽いものばかりなので、このために 重量が 50 % 増しになってしまう。次の記事ではその後の経過をお伝えし ようと思う。次回の旅のためのアイディアをお持ちの方はご一報をお願い したい。


デジタルカメラ購入ガイド・パート 1

by Arthur H. Bleich <arthur@dpcorner.com>
(翻訳:篠原 慎一 <sshino@mbd.sphere.ne.jp>)

毎年この記事を TidBITS に書くとき「今年こそは最初のデジタルカメラを 買う年だ」と言っている( TidBITS-407 から始まった一連の“デジカメ” の記事を参照)。が、本当に今年こそがその年だ。750 ドルから 1,000 ド ルで高品質のカメラが買えるだけでなく、素晴らしいプリンター、充電器 と電池、カードリーダー、さらにより大容量のメモリーカードまで買える のだから。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1022>

前回私が書いてから、いくつかの機能やスペックが変わったり改善された りしている。そこで、まずは皆さんにガイドラインとなるチェックリスト をお届けしよう。来週号で、私個人のお奨めカメラをご紹介して締めとし たい。

1. あなたの買うカメラの実光学解像度が、最低でも 1,280 x 960 (おお ざっぱに言うと 1,300 万ピクセル、よく1.3 メガピクセルと言われる)は あること。これだけあれば、8 x 10 インチ程度までのきれいなプリントを 作ることができる。このカメラがあなたの最初のデジタルカメラならば、 2 メガピクセルまでは必要ないだろう。検討に値する程度に安価な 2.1 メ ガピクセル機も 1 機種あるが。

2. 古い諺に「慣れているものがいちばん」とある。あなたが使ってきた フィルムカメラにいちばん近い操作性を持ったデジタルカメラを探すこと。 つまり、素早い立ち上がりと短い撮影間隔だ。多くのデジタルカメラに、 これらの機能について相変わらず遅いものがある。

3. 可能ならば、そのカメラのメニューを調べること。私は最近、MacAddict 誌でデジタルカメラをレビューしたが、そのカメラは LCD モニターのまわ りにメニュー項目がうまく整理されずに飾り立てられていた。これなら、 747 のコックピットの方がまだわかりやすい。メニューは直感的で、操作 しやすいものでなくては。

4. プレビュー用に LCD モニターしかないものはダメ。直射日光下では色 あせて見えるため不評で、使うためには変な格好でカメラを構えなくては ならない。うまく設計されたデジタルカメラは LCD モニターに加えて、使 いやすい、アイレベルで見ることができるビューファインダーを備えてい る。

5. 標準的なフロッピーディスクを用いるデジタルカメラは使うのにもって こいだと思えるが、そのほとんどが速度や解像度で劣っている。その上、 フロッピーは Mac の世界で急速に消えつつある。

6. デジタルカメラには、手元に置いて参照できるように、印刷されたド キュメントがついていること。優れたカメラメーカーの多くが、ほんの何 ドルかをケチるためにドキュメントを CD-ROM に収め、私たちに 150 ペー ジのプリントを行わせようとするから、結局 1,000 ドル近い出費になって しまうことに驚くだろう。

7. 決める前にいくつかのレビュー記事を読むこと。デジタル写真の Web サイトのほとんどが、徹底的かつ詳細なレビューを掲載している。一方で、 コンピューター雑誌にあるデジタルカメラのレビュー記事は批判的に読む べし。記事の著者はたいていの場合熟練した写真家ではないので、とかく 本筋ではない情報を得ることになるからだ。

<http://www.dcresource.com/>
<http://www.imaging-resource.com/NEWS.HTM>
<http://www.steves-digicams.com/diginews.html>
<http://photo.askey.net/>

8. デジタルカメラがリチウムイオン電池を使っていたり、充電ができる NiMH(ニッケル水素)電池が付属していなければ、その NiMH 電池をいく つかと、高性能な充電器を買う準備をしておこう。Quest 社や Kodak 社の 電池は長寿命で、Maha 社の C204F 充電器は最高だ。CKC Power のような ところから買えば、電池 2 セットと充電器で 50 〜 70 ドルほどかかる。

<http://www.kodak.com/US/en/digital/accessories/power/>
<http://www.ckcpower.com/>

9. カメラとコンピューターの両方が USB を持っていないと、コンピュー ターに画像を転送するのが退屈な作業になってしまう。しかし USB はデジ タルカメラに必須条件ではない。安価な USB - SCSI メモリーカードリー ダーが手に入るから、あっという間にコンピューターに画像を転送するこ とができる。Microtech 社の USB CameraMate(CKC Power のようなところ なら 85 ドル)は、今のデジタルカメラのほとんどが用いているコンパク トフラッシュとスマートメディアカードの両方を扱える。また Norman Camera には Minolta 社が製造を中止した SCSI リーダーを何ダースか在 庫しており、適切な PC カードアダプターを併用すれば古い Mac でもうま く動作する。

<http://www.normancamera.com/>

10. プリントされる画像の品質は、あなたが使うプリンター次第だから、 ちゃんとした写真画質のプリンターを買うことを検討しよう。プリンター はステレオシステムのスピーカーのようなもの。最高級のコンポーネント を持っていても、安っぽいスピーカーではいい音は出ない。Epson 社の Stylus Photo 750(250 ドル)は Mac ユーザーが選ぶ定番だったが、新製 品の USB タイプ、HP 社の 970 Cse(400 ドル)は文句なしの素晴らしい 出力をする。

<http://www.epson.com/printer/inkjet.styphoto750/>
<http://www.pandi.hp.com/pandi-db/prodinfo.main?product=deskjet970c>

もし私が周辺機材(電池、カードリーダー、プリンターなど)なしで高価 なデジタルカメラと、それらが付属している安価なデジタルカメラから選 ぶとしたら、すべての付属品がついた安価なカメラの方だ。なぜって?最 初のデジタルカメラから学んだことがらに基づいて、結局あなたは別のカ メラを買うことになるだろうから。しかし、それまでは、買い求めたデジ タルカメラを便利に使い、最高の出力を得ることができるだろう。

本稿のパート 2 では、以上の要求のすべて、あるいはほとんどに合うカメ ラたちをお伝えし、それらの機能を比較する。「今年こそが最初のデジタ ルカメラを買う年だ」と言ったが、すでにデジタルカメラを持っている方々 でさえ、現行製品にアップグレードする気になるかもしれない。

[Arthur H. Bleich 氏 <arthur@dpcorner.com> はマイアミ在住の写真家、 ライター、教育家。米国内外での主要な出版業務に携わり、現在は Digital Camera Magazine 誌の Contributing Editor。]

<http://www.dpcorner.com/>


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