TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#526/10-Apr-00

“ねぇ、PC を買わない?” Mac ユーザーにとって PC を買うことは禁断の 行為に感じられる。だが我々の多くは、いつかは Intel ベースのコン ピュータを買わねばならないだろう。今週号で Adam はこの暗黒面との戦 い方と、心を安らかに保つ方法を考察する。また Apple 社の(説明のまず い) Mac OS 9.0.4 のリリース、そして Darwin 1.0、Windows 2000 付き Virtual PC、BeOS 5、さらにミドルウェアプラットフォームを目指す Netscape 6 についてレポートする。

目次:

Copyright 2000 TidBITS Electronic Publishing. All rights reserved.
問い合わせは <info@tidbits.com> へ、感想は <editors@tidbits.com> へ。

TidBITS 日本語版は TidBITS 日本語版翻訳チーム メン バーのボランティアによって翻訳・発行されています。TidBITS 日本語版 では翻訳に協力してくれる方を募集しています。詳しくは以下の URL を 参照してください。

<http://jp.tidbits.com/join_us.html>


今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/10-Apr-00

(翻訳:吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

TidBITS スペイン語版復活 -- 大変喜ばしいことに、再び TidBITS をス ペイン語で毎週読めるようになった!これは Jose Felix Navarro 氏と Seville、Spain の献身的な Macintosh ユーザーがボランティアの翻訳チー ムを再開させてくれたことによるもので、感謝を惜しまない。翻訳版は下 記の Spanish TidBITS サイトで見ることができるし、またメールで毎号受 け取ることもできる。Spanish TidBITS メーリングリストへ加入するため には <tidbits-es-on@tidbits.com> へメールして欲しい。もし他に TidBITS をスペイン語で読めたらと思っている人を知っているならば、声 をかけて広めて欲しい! [ACE]

<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/es/>

Darwin 1.0 と Windows 2000 版 VPC 入手可能に -- Apple 社は Mac OS X のオープンソースコアにあたる Darwin 1.0 をリリースした。FreeBSD と Mach 3.0 テクノロジーに基づいて、Darwin を使うことで登録デベロッ パーは Apple 社の次期オペレーティングシステムのカーネルをカスタマイ ズしたり強化したりすることができる。Darwin 1.0 には Intel プロセッ サに対する暫定サポートも含まれている。加えて、Apple 社はインターネッ ト上での QuickTime コンテンツをストリーム化するのに使われる Darwin Streaming Server へのアップデートもリリースした。Darwin 1.0 は無償 で、Power Macintosh G3 および G4、PowerBook G3(Bronze キーボー ド)、iBook、それに iMac システムで最低 32 MB の RAM と 800 MB の ハードディスクスペースを必要とする。シングルインストーラー版は 221 MB のダウンロード、または 11 セグメント版として入手可能である。

<http://www.publicsource.apple.com/>

最新の Microsoft Windows 版へのアクセスの必要な Mac ユーザーは、今 や Connectix 社のWindows 2000 版 Virtual PC を購入できる。他の Virtual PC バージョンと同様に、Mac OS 内で Windows 2000 を走らせる ことができ、オペレーティングシステム間でのファイル交換、Mac OS 9 下 での完全な USB サポートが使える。Windows 2000 版 Virtual PC は 350 MHz かそれ以上の G3 または G4 プロセッサ、Mac OS 8.6 かそれ以降、 1.1 GB ハードディスクスペース、それに 96 MB の RAM を必要とする。

<http://www.connectix.com/products/vpc3_advanced.html>

多少話題からはずれるかも知れないが、Be 社が最近無償の Intel システ ム版 BeOS 5 Personal Edition を発表した。旧型の PowerPC ベースのシ ステム上で動く Pro 版もまもなく Be 社の販売代理店から(値段もその時 設定されて)入手可能となるであろう。Be 社は Apple 社の G3 や G4 シ ステムはサポートしていない、これは明らかに Apple 社がこれらのアーキ テクチャーに関する技術情報を出さないためであろう。Be 社は 3 年半程 前のこの業界の大いなる話題の花であった。当時、Apple 社は将来の Macintosh オペレーティングシステムとして BeOS を考えていると報じら れていた;代わりに、Apple 社は NeXT 社を買収し、それが次期の Mac OS X の根幹技術となったのである。 [JLC]

<http://www.be.com/products/freebeos/>
<http://www.be.com/support/faqs/mac.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00831>

Netscape 6 プレビュー -- Netscape Communications 社は Netscape 6 のプレビュー版をリリースした。これはオープンソースの Mozilla プロ ジェクトの成果に部分的に基づいた、同社の次期インターネットアプリケー ションスイートである(もっとも、最高に冒険好きな Web ユーザーにしか お勧めしないが)。Netscape 6 では複数のメールアカウント(AOL のアカ ウントを含む)にアクセスでき、カスタマイズ可能なサイドバーを持つ。 そしてカスケーディングスタイルシート(CSS)や XML などのインターネッ ト標準のサポートも非常に良くなった。Netscape 6 は Macintosh アプリ ケーションらしくない(これは時がたてば変わるかもしれない)。また、 特別なコンテンツやサービスとの半ば狂ったような統合と共に AOL 社によ る Netscape 買収の結果を示している。Netscape 6 プレビュー版は Mac OS 8.5 以降と、最低でも 200 MHz の 604 プロセッサを必要とする。この 巨獣には少なくとも 25 MB の RAM を割り当てておこう。アクティブイン ストーラは 200K 弱の大きさで、標準インストーラは約 10.6 MB である。 TidBITS Talk での Netscape 6 と Mozilla 5 に関する最近の議論を調べ てみてもよいだろう。 [GD]

<http://www.netscape.com/download/previewrelease.html>
<ftp://ftp.netscape.com/pub/netscape6/english/6_PR1/mac/macos8.5/sea/>
<http://www.mozilla.org/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=998+981>

アンケートのお知らせ: まちまちな人々 -- 我々 TidBITS スタッフは他 のあらゆることに Mac を使うのが好きだ。だが、Macintosh ユーザーは少 数派で今後もそうらしいというのがコンピュータ産業における事実である。 我々は、あなたが使っている主流なパーソナルコンピュータハードウェア の顔ぶれを知りたい。つまり、TidBITS 読者の間で PC はどれほど一般的 に使われているだろうか? このアンケートの目的上、使っているオペレー ティングシステムの種類と、特殊なワークステーションや往年のパーソナ ルコンピュータについては扱わないでおく。我々のホームページで今日じゅ うに投票を! [ACE]

<http://www.tidbits.com/>

アンケート結果: システムはシフト中 -- 先週のアンケートは約 2,700 人の TidBITS 読者から回答を集めた。人々が粘り強く古いアプリケーショ ンを使い続けている(以前のアンケートで明らかになったように)にもか かわらず、ほとんどの人々が Mac OS の最新とその前のバージョンのどち らかを使っている。回答者の 43 % は自分の主要な Macintosh で Mac OS 9.0 を使用していると答えていた。また 33 % は今も Mac OS 8.6 に留まっ ていたが、そのうちのかなりの人々は Mac OS 9.0.4 がリリースされる (先週リリースされた)までアップグレードを待っていると個人的にコメ ントしていた。残りは無いに等しく、Mac OS 8.5.x(8 %)と Mac OS 8.0 (1 %)だった。その理由は、Mac OS 8.6 や Mac OS 8.1 へのアップグレー ドが、無料なうえに重要な問題点を修正したものだからである。開発者が 自分のプログラムをどのバージョンと互換にするかについて考えるときに、 これらの数字に留意すると興味深いかもしれない。たとえばあるプログラ ムに Mac OS 8.0 以降が必要だとすると、潜在的なユーザーのおよそ 7 % を失う可能性がある。しかし対応バージョンを Mac OS 8.1 にしても、マ イナス面はほんのわずか増えるだけだ。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=35>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=32>


Apple 社、Mac OS 9.0.4 をリリース

by Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
(翻訳:三好 泰子 <yokomo@mio.to>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)

Apple Computer 社は、無料の Mac OS 9.0.4 をリリースした。これは、機 能強化された USB と FireWire のサポート、ネットワーク機能の向上と電 力管理の機能の強化、さらに、ビデオ、グラフィック、オーディオ機能の 改良が主なものである。Mac OS 9.0.4 は、機能整備のためのリリースであ り、新しい機能は加わっていない。アップデート版自体のダウンロード容 量は 12.2 MB で、Apple 社のサーバと Mac OS 9 のコントロールパネル中 の“ソフトウェア・アップデート”のどちらからでも入手可能である。こ の記事を書いている時点では、North American English (下記の URL の 最初のもの)に加え、International English、フランス語、ドイツ語、イ タリア語、日本語、スペイン語、スウェーデン語のものが入手可能となっ ている。その他のローカライズ・バージョンもすぐに利用可能となるであ ろう。

<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11610>
<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/productsearch?searchview&query=Mac+OS+9.0.4>

Power Mac G4、PowerBook(FireWire)、iMac DV(スロットローディング) でソフトウェアベースで DVD をデコードするためには、DVD Player 2.2 をダウンロードして、インストールしなければならない。青と白の G3、 PowerBook G3 シリーズ 、そして、PowerBook(Bronze keyboard)では、 Apple DVD Player 1.3 をそまま使い続けることができる。これは、これら のシステムが、ハード的に DVD をデコードするからである。

新しくなったこと -- 12 MB のシステムソフトウェア・アップデートな ら、変更箇所を説明した ReadMe ファイルが入っていると考えるだろうが、 この場合はそうではない。さらに見つからないのはアンインストールのオ プションだ。一度 Mac OS 9.0.4 にアップグレードすると、従来の Mac OS 9 のバージョンに戻すには、最初から再インストールしなければならない のだ。どのシステムソフトウェア・アップデートでも同じように、万が一 に備え、インストールの前には 完全なバックアップ を行うように。

Apple がリリースした限られた情報によると、Mac OS 9.0.4 では Macintosh の最近の機種での DVD 再生問題への対処や、PPP 接続がアク ティブな状態ではスロットローディング方式の iMac がスリープできなく なるバグの修正、そしてサードパーティ製 FireWire カードとの互換性向 上が施されている。Apple は開発者向けに Mac OS 9.0.4 のテクニカルノー トを発行しているが、それは Mac OS 9.0 や特定ハードウェア仕様の Mac OS 9.0.2(特定の iBook、Power Mac G4、そして FireWire 搭載の PowerBook)と Mac 9.0.3 (いくつかのスロットローディング方式の iMac)をつぶして混ぜたものであり、明らかに不正確な情報も多く含まれ ている。

<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11624>
<http://developer.apple.com/technotes/tn/tn1194.html>

これまでのところ、我々の Mac OS 9.0.4 での短い経験と、我々のアップ デートに関する入手可能な情報の理解によれば、さらに以下の効能が期待 できる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05759>

フィックスされていない問題 -- Mac OS 9.0.4 では、iBook と PowerBook( FireWire)で起こるデータ破壊の問題には取り組んでいない。 これは、省エネルギー設定コントロールパネルで“スリープ時にメモリの 内容を保持”機能を使用すると起こる問題である。Apple 社の Sleep Memory Extension を使用するのと同様、Mac OS 9.0.4 では、単にこの機 能へのアクセスをブロックしているに過ぎない。我々は、また、Mac OS 9.0.4 のもとで USB 対応の機器を接続する際に起こる多くの問題に関する 報告を受けている。この問題は、特に Palm 機で HotSync 操作をする際に 起こっている。さらに、先頃倒産した ixMicro 社製のTV チューナー用の カードのような機器では、従来のMac OS 9 のバージョンのもとではオー ディオ上で問題があり、オーディオがまったく機能しないかもしれない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05839>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05851>

我々からのアドバイス -- Mac OS 9.0.4 は、主に Apple の新機種にね らいを定めたものである。そのため、古い機種(USB や WireFire が無い 機種)を使っているユーザーにとっては、フィックスされたわずかばかり の問題のうちの 1 つにでも当てはまるのでないかぎり、アップデートして も意味ないかもしれない。アップデートすること自体は良い考えだ。しか し、これによって被る問題に対しては、用心しなければならないだろう。


(安らかな)PC 購入指南

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :畔上 毅範 <azegami@mwe.biglobe.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

Mac ユーザーにとって、Macintosh 以外のコンピュータ界におけるハード ウェア販売の仕組みを知らないで済ませるのはたやすい。Mac 界では、ベ ンダーは一社のみであり、考慮の余地もあまりなく、小売り店による価格 差もあまりないし、実に画一的である。ところが PC 業界ではこうはいか ない。マシンを買おうと思うと、製造元、販売店、CPU、ビデオカード、 ハードディスク、マザーボードなどそれぞれの点で複数の選択肢が待ち受 けているのだ。

どうして PC の購入のこと書いているのだろうか。私は根っからの Macintosh ユーザーだし、TidBITS の読者のほとんども Mac ユーザーだと いうのに。しかし、我々を取り巻いている現実の世界は、PC が、それもほ とんど Windows が載ったものが蔓延しているというのが悲しいながらも実 情なのだ。厭わし現実から目を背けようとしている人もいるが、そうはい かない人が多い。職場のマシンが PC だったり、家族の中に PC を使って いる人がいたりするという場合があるだろう。事情はともかく、いずれ自 分用なり誰か用なりに PC を買わなければならない日が来る可能性が十分 にあるのだ。

私は今まで PC を 4 台買った。内訳は Windows 95 を走らせている Compaq Contura 400C 486 ラップトップ、Linux を走らせているノーブランドの Pentium 90、Windows 98 を走らせているノーブランドの Pentium 150、そ してつい最近購入した Windows 2000 用の Compaq iPaq である。これらの マシンを買うにあたってとった検討や購入の方法は様々であった。もし PC を購入しなければならない状況にあるなら、複雑怪奇な PC 界に足を踏み 入れる前に以下の顛末を一読いただきたい。

また、今までに数々の Mac を 買ったときは本当に欲しくて買ったのだが、 これらの PC は 欲しくて 買ったものではないということをぜひ頭の片 隅にとどめておいていただきたい。私は PC を買うことにはどうも陶酔で きない。自分の技能を高めたり、私の著書である対訳辞書“Crossing Platforms: A Macintosh/Windows Phrasebook”やクロスプラットフォーム の“Eudora for Windows & Macintosh: Visual QuickStart Guide”のよう な仕事を行ううえで必要悪であった。意気込みに欠けるのは(たいての Mac ユーザーの方も同じだと思うが)、できるだけ時間をかけずに安く買いた いということなのだ。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ISBN%3D1565925394/tidbitselectro00A/>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ISBN%3D020135389X/tidbitselectro00A/>

友人に手助けしてもらう -- PC を購入する一番簡単な方法は、自分より も PC のことをよく知っている友人を探して、お薦めを尋ね、さらには購 入の際に付きあってくれないかと頼むことだろう。このやり方を恥じるこ とはない。いずれにせよ、今後も Mac をメインに使っていくつもりなら ば、Intel と AMD の CPU の違いや様々なマザーボードの相対的な善し悪 しには興味ないだろう。

PC で何をしたいのかという点を友人にちゃんと理解してもらうように。そ うしなければ、PC は非常に安い物なのに、偏屈なゲームプレーヤーでしか 必要にならないような法外なビデオカードのようなものにお金をつぎ込ん でしまうことになるかもしれない。

ノーブランドの Pentium 90 をこのやり方で購入した。何年も前の Linux が出て間もないころ、ftp.tidbits.com を Northwest Nexus 社にホストし てもらっていた。同社のマシンのトラフィックや負荷が増したために、新 たなコンピュータに移すように頼まれた。それは構わないが、何をどうし てよいのか皆目わからないと答えたところ、Northwest Nexus 社の Ralph Sims 氏がその対応を買って出てくれた。そうして、私は彼のお気に入りの 店で彼のお勧め通りに注文し、ものは Sims 氏宛に届けてもらった。彼は Linux のインストールや各種セットアップをしてくれた。そして、このマ シンは、1999 年末に新しいバージョンの Linux を載せた(ハードディス クも かなり 大きくなった) Y2K 対応マシンと交換するまでほとんど問 題なく働いてくれた。このやり方は、PC を購入する際の最も楽な方法だと 思う。このマシンは、オーナーの立場からいっても一番楽なものであった。 なにしろ、実物を見たのが一度きりなのだから。

一切合切を考慮して地元で購入する -- 次に簡単な PC 購入方法は、主 要なブランドのコンピュータを扱っている地元の店に行き、そこの店員と 話して、自分のニーズに一番マッチしたマシンを手に店を出ることだ。私 は、Internet Starter Kit for WindowsCompaq を書いているころに Contura 400C をこのやり方で購入した。タワー型のどっしりとしたタイプ のものはモニタの場所もとるし少しも欲しいとは思わなかったのでラップ トップを買うことにした。だが、当時のラップトップ PC に搭載されてい たポインティングディバイスの程度の低さにはがっかりしてしまった。キー ボードの中央に取り付けられたジョイスティックまがいのニップル (MacWEEK の元編集者 Robert Hess 氏が付けた呼び名)は大嫌いなのだ が、当時ラップトップ PC は悪趣味で使用に耐えないポインティングディ バイスの種類の多さを誇っていたのだ。その矢先、中央部に(当時の最新 モデル PowerBook 100 シリーズのような)トラックボールがつき、バック スペースキーの右にキーがないラップトップを一台見つけた。そして、そ の Compaq Contura に手を伸ばしたのだ。

このコンピュータを購入したのはどの店だったか思い出せないが、そこは こういった状況では実に使える店だった。それは、当時はまだ Web が今の ように発達していなかったし、ラップトップを自分の目で見たかったから だ。そこの店員は何もわかっていなかったが、ラップトップにはあまり選 択肢がなかったので、その点はどうでもよかった。少し高く付いたかもし れないが、いろいろなラップトップを見て回るのに相当時間をつぎ込んで しまっていたので、安いものを求めるためにさらに時間を費やしたくはな かった。ほとんどの消費者はこれと似たようなものではないかと思う。な ぜなら、PC を買うための調査にはうんざりさせられるので、質問にそれな りに答えてくれて、自分の基本的なニーズにあったコンピュータを売って いる最初の店で買ってしまうのだ。

コンピュータスーパーはたいていサービス契約や延長保証を売ろうとする が、これらは比較的廉価なハードウェアではほとんど割に合うものではな い。それでも、PC のハードウェアのことをあまり知らないし、あまり学び たいとも思わないのであれば、Macintosh のハードウェアに対するサービ ス契約よりも役に立つかもしれない。以前私が TidBITS-478 で書いた AppleCare とその他の選択肢に関する記事や、この話題の TidBITS Talk のスレッドを読んでみることをお薦めする。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05370>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=590+654>

E コマースが救済する -- Dell 社がオンライン販売サイトで数百万ドル の取引を行っているのは有名だが、ほとんどの大手 PC 製造業者も同じよ うなオンライン販売サイトを持っている。Apple 社が、Apple Store でこ の分野に参入するのも、そして Apple Store で Mac の構成をカスタマイ ズできるようになったのも遅かった。しかし、Mac だと簡単だという多く の例と同じく、有名な Dell 社、Gateway 社、ほかの会社のサイトで PC の構成を決めることよりも、Apple Store から Mac を買うことがとっても 簡単なことには感心した。

<http://store.apple.com/>
<http://www.dell.com/>
<http://www.gateway.com/>

これには 2 つの理由がある。Apple Store でカスタマイズする場合は、オ プションの数は、他の主要な PC 製造業者のサイトよりもはるかに少ない。 たとえば、Apple Store で Power Mac G4 を買う場合は、合計で 19 の選 択肢がある。メインの構成ページには 11 の選択肢がある。アクセサリー に関する 8 つのセクションは、次のサブの構成ページにあるのであまり気 にならない。Dell のサイトの構成ページには、31 のオプションがあった。 そして Gateway のサイトの構成ページには、Dell を上回る 34 のオプショ ンがあった。構成ページへどうやってたどり着いたかによって選択肢が多 少変わるので、このオプションの数はやや大雑把だ。しかし、どうであれ、 オプションの数がこんなに多いと迷ってしまう。構成ページをうまく迂回 できるサイトはいくつかあるが、ベースマシーンの RAM を 128 MB に増や そうとすると、構成の底無し沼にはまってしまう。

「選択肢があるほうがいいじゃないか?」と思う人が多いだろう。そうと は限らない。オプションが多すぎて、しかもオプション同士の関連性が低 い場合は(そしてオプションの選択が最終価格に反映される場合は)、つ いつい各オプションが頭から離れなくなってしまう。その結果、純粋な Macintosh ユーザーにとっては、PC の構成を決めることが悪夢になってし まう。聞いたことがないビデオカード 5 枚のなかからどれを選択するのか ? 4 つあるスピーカーオプションからは? CD-ROM ドライブは 40 倍速、 48 倍速のどちらにするか? それとも、ソフトウエアデコーディング方式 の DVD-ROM ドライブの、8 倍速、12 倍速にするか?もちろん、CD-RW ド ライブを選択しない場合だが。それぞれのオプションについて適切な説明 のあるサイトでも、オプションの多さに圧倒されてしまうだろう。

あるサイトでオプションの底無し沼にはまらなくても、ほかのサイトで少 しだけ違うオプションを調べてみたくなるだろう。Mac を作っているのは Apple だけだから、値段重視で比較的簡単に、Macintosh のオンライン販 売店を決めることができる。PC の世界では、異なるサイトで、PC をまっ たく同じ構成にするのは難しい。ハードディスクの容量が違ったり、 DVD-ROM ドライブの代わりに CD-ROM ドライブを買うことができなかった りする。どうやっても、値段にそれほど違いがないだろうから、値段で決 めることは難しい。値段にそれほど違いはないから、りんごとみかんの比 較というよりは、レモンとライムを比較するようなものだ。どのサイトに 行っても、私は結局すっきりしなかった。

つい最近、私は Compaq 社の Web サイトで Compaq iPaq を買った。まだ このパソコンを使い込んでいないので、このパソコン自体についてはコメ ントを控える。もっと一般的なオプション、あるいは PC の自作を選択を しないで、Compaq iPaq を選んだ理由を以下に説明したい。

<http://www.compaq.com/metrics/directplus/iPAQ499_020200.html>

結局、私のアドバイスはこうだ。PC を Web で注文する場合は、不当に高 いオプションを間違って選ばないように、いくつかのサイトで構成と値段 を比べてもいいだろう。その後は、オプションにとらわれすぎないで、単 純に発注したほうがいい。多分、通信販売業者に電話で注文する場合でも (通信販売業者も Web にサイトを持っている)、今まで説明してきたこと は、だいたい当てはまるだろう。この場合のただ一つの利点は、すべてを 説明し終わるまで、販売員が話を聞いてくれることだ。

それからもう一つ。ほかにもあるかもしれないが、Dell と Gateway は、 いろいろな理由で返品されたコンピュータを、新品同様にして販売してい る。とても安くてお買い得な事が多い。ただし、カスタマイズがまったく できないので、欲しい構成のパソコンを見つけるのは難しいかもしれない。

組立(少々)必要 -- 数年前、本を書くために買ったノーブランド Pentium 150・Windows 98 マシンの場合は、とにかくできるだけ安く上げ たかった。そこで近所の店に行って PC が欲しい旨を伝えたところ、店員 と一緒にパーツのチェックリストを見ていくということになった。数多く のオプションの一つ一つについて何が違うのかを質問すると、店員からは ごく手短な回答があるだけだった。サービスを売り物にしている店ではな かったが、値段は安かったし、自分で組み立てなくても好みのコンポーネ ントを選ぶことができるというメリットはあった。それにこの PC は本来 の目的には十分な働きをしてくれた。

次に PC を買う状況になった時(結局は iPaq を買ったわけだが)、同じ 店の Web サイトで価格をチェックしたが、結果は芳しくなかったので自分 で PC を組み立ててみることにした。幸い PC に詳しい友人の Alex が、 私のニーズに見合ってコストパフォーマンスの高いハードウェアの見当を つけてくれた。Alex は Directron 社の BookPC のことも教えてくれた。 これは仕上げの良いベースユニットに、CPU、CPU ファン、RAM、ハードディ スク、それにオペレーティングシステムだけを加えるというものだ。結局 BookPC は買わなかったのだが、その理由は Alex が買ったユニットのやや ちゃちで規格外の 100 ワット電源がすぐに故障し、交換して新しくなった 電源ユニットもすぐ同じ目にあったからだ。Directron 社のテクニカルサ ポートのメールへの対応も遅く、さらに評価を下げることになった。

<http://www.directron.com/bookpc.html>

残念ながら怪しげな電源ユニットと格闘する余裕はないと判断せざるをえ なかったのだが、BookPC に CPU、CPU ファン、RAM、ハードディスク、そ れにオペレーティングシステムを組み込む程度なら、私のハードウェアに 関する知識でも十分対応できるということに気が付いた。5 つのアイテム を個別に購入する必要はあったが、比較するのは簡単だったし、その気に なれば手に入れるのも簡単だった。PriceWatch という価格比較サイトを使 えば、簡単にすべてのコンポーネントの最低価格を見つけることができた。 ただ、あまりにも多くの販売店の中から、どこが取り引きしやすく、かつ お目当ての品を扱っているかを調べ出すのは骨が折れた。でもお値段の方 はびっくりで、40 GB ハードディスクが 250 ドル以下、Intel Celeron 500 MHz CPU が 80 ドル、128 MB DIMM が 75 ドル。800 ドルほどあれば BookPC を最強システムに仕上げることができたのだ。貧弱な規格外電源だ けが残念だった。

<http://www.pricewatch.com/>

ここまで来て、どこで CPU、RAM、ハードディスクを手に入れたらいいかが わかったので我ながら鼻高々だった。では、一からシステムを組み上げる のもそれほど難しいということはないだろう、と私は思った。そこである 日、簡単なパーツの組み上げ方を教えてくれる Web サイトを何時間もかけ て捜し回った。結局残ったのはひどい頭痛だけだった。

Dell や Gateway から 30 のオプションを選ぶのが大変だと思ったら、PC をパーツから組み立てることを考えていただきたい。筐体、マザーボード、 電源、Ethernet カード(必要なら)、ビデオカード(必要なら)、サウン ドカード(必要なら)、CPU、CPU ファン、ハードディスク、フロッピー ディスク、DVD-ROM、RAM、モニタ、キーボード、マウス、それにオペレー ティングシステム。どのコンポーネントにも 5 〜 15 の選択肢があって、 それが何次元もの巨大な互換表に展開される。規格というものもあるには あるが、特定のネットワーク、ビデオ、サウンド、モデム機能を備えたマ ザーボードを探し、しかもそれが特定の筐体に収まり、しかも特定の CPU と互換性があり、しかも特定の電源から特定の電力の供給を受ける、とな ると頭がぐちゃぐちゃにある。少なくとも私はそうだった。

次に、すべてを同じサイトから買えば良いのではないかと思った。理論的 には互換性の問題も承知しているだろうと思ったからだ。オンラインで構 成を指定できるサイトはすぐに見つかった(ノーブランド PC 屋には意外 と少ないのだ)ものの、その会社に関する情報(電話番号、住所など)が どこにも見当たらなかったので、もしかしたら「夜逃げ屋」という名前だっ たかもしれない。

その次には他のユーザーが気に入っているサイトから出発することにし、 評価サイトを見つけて最も評価の高いサイトをチェックした。この方法も あまり成果は上がらなかった。というのも、値段が高いか私が欲しい品物 を扱っていなかったからだ。それに私がそれまで候補に挙げていた会社が 7.0 のうち 2.4 の評価を得ていたりしたのだ(Directron は 7.0 のうち 5.9 だったが)。憂鬱になってしまった。

<http://www.resellerratings.com/>

最後は価格帯とともに CPU スピード、RAM の量、ハードディスクのサイズ といった要素をまず提示し、それに見合ったお買い得品を示してくれる DealTime という価格比較サイトを試してみた。もしかしたら私が発見して いなかった出物を DealTime が見つけてくれるのではと思ったし、あるい は私が知らない業者を見つけてくれるのではと思ったが、結果はノーだっ た。色々試した結果、最後に DealTime に 800 ドル以下で 500 MHz の CPU と 128 MB の RAM を搭載したマシンをすべて表示するように指示した。唯 一の候補は Compaq iPaq で、しかも在庫のないなんとかというサイトだっ た。この糸口を頼りに、iPaq のスぺックを Alex にチェックしてもらい見 落としがないかを確認して、Compaq から直接買うことにした。

<http://www.dealtime.com/>

PC ハードウェアの専門家ぶるつもりはないが、以前と比べるとはるかに詳 しくなったし、知識はあって悪いものではない。したがって自作 PC の世 界に深入りしたことは後悔していないが、私と同レベルまたはそれ以下の 経験しかない Macintosh ユーザーには、落とし穴を避けながら迷路の中を 導いてくれる友人がいない限りお薦めはできない。情報収集に費やす時間 だけで、自作によるコスト低減効果を帳消しにしてしまうことになりかね ないからだ。PriceWatch と DealTime はコンピュータハードウェア以外の ものを扱っているので、いずれまた利用することになると思う。というの も最近デジタルビデオカメラに心が動いているのだ。でもこれは今回の買 い物の疲労から回復してからにしよう。


非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

tb_badge_trans-jp2Valid HTML 4.01!Another HTML-lint gateway