TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#528/24-Apr-00

スパムをやっつけたい? 住んでいる場所によっては、自分のメールボック スを一杯にしたスパムメール送信者を訴えることができる。Brady Johnson 氏が、アメリカ合衆国におけるスパムに対する法的な対応についての連載 記事を開始。また、今週号では、Jeff Carlson が、どうやって Emailer から Eudora へ移行したかという自分の経験談を語る。そして、Apple 社 の第 2 四半期の利益、FileMaker Developer 5 と REALbasic 2.1 のリリー スについてお伝えする。今週のクイズでは、あなたの Macintosh に関する 知識をテストしてみよう!

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/24-Apr-00

(翻訳:三好泰子 <yokomo@mio.to>)
(  :畔上 毅範 <azegami@mwe.biglobe.ne.jp>)
( :吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)

Apple 社が、2 億 3300 万ドルの利益と株式の 2 分割を発表 -- 先週、 Apple Computer 社は、2000 会計年度の第 2 四半期の利益が、2 億 3300 万ドルだったと発表した。ARM Holdings, plc. 社を引き続き売却している ことによる、7300 万ドルの利益がこの数字には含まれている。昨年の同期 と比べて売り上げは 27 % アップし、粗利益率は 28.2 % に達した。Apple は 100 万台を上回るユニットを出荷し、海外での売り上げは、引き続き Apple の総売り上げの半分をわずかに上回った。更に、2000 年 6 月 21 日をもって Apple の普通株式 1 株を 2 株に分割することを、Apple の取 締役会は承認した。Apple の株価は、2000 年に入ってからほとんど 100 ドルを上まわっている。Apple の最後の株式分割は 1987 年に行われた。 [GD]

<http://www.apple.com/pr/library/2000/apr/19q2results.html>

REALbasic 2.1 のリリース -- REAL Software 社は、BASIC に基づいた ポピュラーな Macintosh プログラミング環境のアップデート、REALbasic 2.1 をリリースした。(バージョン 2.0 の概要については TidBITS-493 の“REALbasic 2.0 が本物に”を参照。)この最新のアップデートでは、 REALbasic プロジェクトの Windows 用コンパイルに関して、性能および データベースアクセスの両方が大幅に向上し、バグが修正された。 REALbasic 2.0 の登録ユーザーは、無料でバージョン 2.1 にアップデート できる。REALbasic Standard Edition の価格は 150 ドル。350 ドルの Professional Edition では、データベースのサポートが強化され、プロ ジェクトを Windows 用にコンパイルできる。(数量割引および学生割引が ある。)また、REALbasic(2.7 MB)をダウンロードして、30 日間有効の デモとして試すことができる。 [GD]

<http://www.realbasic.com/realbasic/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05508>

FileMaker Developer 5 出荷開始 -- FileMaker Inc. 社は、FileMaker Developer 5 をリリースした。FileMaker Developer 5 は、豊富なツール、 ユーティリティ、ドキュメントで構成され、スタンドアローンデータベー ス、およびカスタマイズした Web 出版ソリューションを作成できる。 FileMaker Developer 5 は、前の Developer 版と同じく、カスタマイズし たスタンドアローンのデータベースアプリケーションを、Macintosh ある いは Windows システム用に作成できる。残念ながらFileMaker Pro 4.0 Developer Edition と同じく、作成されたアプリケーションは、FileMaker のデータベース共有機能を利用できない。FileMaker Developer 5 には、 FileMaker データへのネットワーク経由接続に使用する、JBDC ドライバー と ODBC ドライバーがついている。他の製品と FileMaker Pro 5 を一体化 する、あるいは機能を拡張する開発者向けに、FileMaker Pro 5 のJBDC、 ODBC、およびプラグイン機能についてのドキュメントも含まれている。 FileMaker Pro 5 の Instant Web Publishing 以外の機能で、データベー スを Web で公開する人を、開発者と FileMaker 社は見なすようだ。XML についてのドキュメント、および FileMaker Pro 5 と FileMaker Pro 5 Unlimited に備わっている、カスタムデータベースの出版機能についての ドキュメントが、FileMaker Developer 5 に含まれている。XML 公開につ いての抜粋は、Web から無料で入手できる。注意深く探せば、FileMaker の TechInfo 記事の中から、FileMaker の CDML 機能に関するわずかな補 足を見つけることができる。FileMaker Developer 5 の価格は 500 ドル で、FileMaker Pro 5 も入っている。FileMaker Pro 4.0 Developer Edition の所有者は 100 ドルのリベートの対象となる。 [GD]

<http://www.filemaker.com/products/fmd_home.html>
<http://www.filemaker.com/xml/>

アンケート結果: TidBITS は 10 歳! TidBITS を読み始めたのはいつか という先週のアンケートには約 1,400 人が参加してくれた。もっともポ ピュラーな答えは 1993、1994、そして 1995 年だったが、私はその理由を 理解するのに数日かかった。そして悟ったのは、私の著書 Internet Starter Kit for Macintosh が最も売れたのがその数年だったということ だ。実はこの本で私は TidBITS に少しだけ触れたのだが、それはメーリン グリストの購読方法の例として含めたのだった。アンケート結果をすべて 見るには、下記のリンクを参照されたい。[ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=37>
<http://www.tidbits.com/iskm/>

アンケートのお知らせ: イジェクトするんだ! 今週はアンケートをお休 みして、あなたの Macintosh に関する知識を試そう。今週私たちのホーム ページに載せた質問は、“リムーバブルメディアをイジェクトするために 起動時に押しっぱなしにするものは?” あなたは 8 つの答えから選ぶこと ができる。そして答えを提出すると正解がわかるだけでなく、不正解すべ てについてそれぞれ何が起きるかもわかるようになっている。だから、も し答えに自信があったとしても、何か得るものがあるだろう。私たちはアン ケートをそのように作った自信がある! [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


メールスパム:宣伝カーは鳴りやまず

by Brady R. Johnson <brady@seanet.com>
(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)

インターネットが愚か者から金を手放させる機会をこれまでになく多く与 えることを推進するにしたがって、まさにそれを実践する人々もまた増加 した。こんなことがいつもあったわけではない。昔、私が最初の AOL アカ ウントを持ったころには、望みもしない電子メールなど一通だに受け取っ たことはなかった。AOL を最後に試したときには、20 通を越える望まない 広告を毎日受け取った。このアカウントを電子メールのために使ったこと はなかったのだが。

何が起ったのだろう?あの旧きよき時代に戻れるのだろうか?“スパム” ともいう迷惑な商用メールの氾濫に歯止めをかけることはできるのだろう か?

“何が起こったのだろう?”という質問の答えは簡単だ。昔よりも多くの 普通の人がインターネットを使い始めたからだ。数名の勇敢な人が自分た ちの商品を売るためにこの新メディア使う危険を冒し、信じられないよう な成功を収める者も現れた。ただ、そういう出現が現実に見合うものはめっ たになかったのだが。他の者も行動を始めて即座に金持ちになりたいと思っ た。ゴミメールが誕生し、成長し、手に負えなくなったガンのように増殖 したわけだ。

あの旧きよき時代に戻れるのだろうか?否。もう後戻りはできない。放た れた精霊を瓶に戻すことはできない。そして、欲しくもないモノを売りつ けようとする輩を止めることはできないのだ。

スパムの氾濫は阻止できるのだろうか?スパムを許容できるくらいにする ことはできる。スパムの報告も可能である。ただ、技術的なノウハウとそ のときにはいつも専念しなければならないちょっとした作業が要求される。 また、法律で定められた解決策を探してみることもできる。以前私は NetBITS-005 でこう指摘した。インターネット上の好ましくない要素を処 理するにあたって政府の手助けが必要だとわかったときには、我々はイン ターネットの(ぞっとする)規制への門戸さえ開く、と。まさにこれがス パムに関して米国中で起ころうとしているものだ。スパムを規制する州は どんどん増えている。国会はこの問題と取り組むために連邦法の制定を意 欲的に考慮している。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05032>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?nbart=04474>

いまや、制限のないインターネット利用に起因する問題に立ち向かうより も、インターネットを通じて送れるものと送れないものを政府に判断して もらう方が望ましいと信じる人が多くいる時代に突入したのだ。

問題点 -- 1997 年には、電子メール広告やインターネット広告を特に取 り上げる州法や連邦法は米国内のどこにもなかった。いくつかの州が法令 を制定したときから、他の州もこの問題を研究し、議会に陳述する勧告書 を作成するための委員会を組織した。連邦レベルでは、連邦取引委員会 [Federal Trade Commission](FTC)が、インターネットのメールとマー ケティングに関する 2 つの研究を完成させた。これらの研究では、イン ターネット利用で深刻な問題が存在し今後も増大すると結論されている。 米国会はこの問題に対処する複数の議案を審議していた。まだどれも通過 していないが、国会が議案の一つを大統領に差し出して署名を求めるのは、 どうも単に時間の問題だけのようだ。FTC の報告書はオンラインで入手可 能だ。99 年 12 月 21 日の“Protecting Consumers Online”と 1997 年 の“Report to the Federal Trade Commission of the Ad-Hoc Working Group on Unsolicited Commercial Email”がそれだ。

<http://www.ftc.gov/opa/1999/9912/fiveyearreport.htm>
<http://www.cdt.org/spam/>

FTC や国会、州議会によって取り扱われるこの問題は、俗に“スパム”と して知られる。より公式には“迷惑な商用メール[unsolicited commercial email]”または UCE と呼ばれる。UCE は一般にサービスや商品の宣伝広 告の形をとり、ちょうど宣伝ビラや割引券、その他の勧誘などが公認の郵 便制度の利用者に送られるように、インターネット利用者に送られてくる。 スパマーにとって、電子メールは実質的な経費なしで何千人ひいては何百 万人の潜在顧客を目標にする手段を提供していることになる。スパマーに はたった一台のコンピュータと電子メールアカウントがありさえすればい い。これらの道具を使えば、ヤツは一通の広告文を用意しておき、Usenet ニュースや Web ページのリンクなどさまざまな公共の情報元から収集した 電子メールアドレスのリストを使って、何十人、何百人、何千人もの人々 に一挙にスパムを送信できるわけだ。

インターネットの個人利用が増加するのと同じように、電子メールを使っ て商品やサービスを宣伝する人々の数も増加した。多くの利用者はこのよ うな広告メールを受け取りたくはない。特に、ポルノや大人のおもちゃ、 その他多くの人が不快に思うアイテムといったもののおびただしい数の宣 伝などまっぴらだ。受け取った者たちはスパマーに向けて堰を切ったよう に苦情を返信する。スパマーは自分の電子メールアカウントが注文ではな く、広告メールを送るなという苦情と要求で溢れているのにまもなく気づ くことになる。こうしてほとんどのスパマーは自分の電子メールアドレス を隠し、代わりに利用者が注文できる電話番号または Web サイトへの怪し いリンクを入れ始めたわけだ。

UCE は郵便の“ゴミメール”とは一つ重要な点で異なる。売り手がビラ広 告を送る場合、紙代、印刷代、封筒代、各通に対する郵便代(広告郵便用 のかなりな割引きを考慮しても、現実の経費だ)を支払わなければならな い。これに対して、スパマーが数千通の広告メールを送信する場合には、 ほとんどなにも負担しない。しかし、受信者はオンラインで費した時間単 位で、あるいは転送したデータ量の単位でかにかかわらず、いずれにして も自分のインターネットアカウントの支払いを行っている。固定料金制の 利用者でさえスパムに対する支払いをしているのだ。彼らの料金は、ユー ザーが消費する資源の見込みをベースにしているので、スパムがその利用 者への直接の追加コストには結びつかないかもしれないが、固定料金を全 体として引き上げる原因となるうるのだ。いずれにしても、利用者は UCE のコストを負担しているわけだ。FTC への報告書(上述)の 1998 年の見 積りによると、利用者は UCE のためだけに毎月 2.00 ドルまでを支払って いる。さらに望みもしないメッセージに返信したり削除したり、または abuse に報告したりする時間が加わる。インターネットサービスプロバイ ダー(ISP)は、顧客の苦情処理のための大量の資源と時間の増加にやっき となっている。さらに、UCE は ISP のサーバのディスク容量を圧迫してき ている。ときには UCE が削除されるまでサーバーを停止させてしまうほど だ。

スパムを撲滅 -- もうこの問題がわかっただろうから、どうすればいい だろうか?この記事の次の部では、州と連邦レベルで発議される多方面の 解決策と、なぜ政府の介入がスパム問題の万能薬とはなりえないかを考察 しよう。


Emailer から Eudora、波乱の道のり

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)

今年になって、思い切って常用メールソフトを Claris Emailer から Eudora に切り替えた。普通、アプリケーションの乗り換えは別に騒ぐほど のことではない。たとえば Nisus Writer と Word を取っ換え引っ換えす るのはさして苦にならないのだ。だが、メールが職業上の(かつ時には私 生活上の)中心的存在になると、事態はもっと深刻になる。メールを格納 し取り扱う方式が Emailer と Eudora で大きく異なるため、一大飛躍をし なければならないという気持ちになったのだ。幸い、いくつかのツールと 少々の辛抱で、軽いジャンプでで済んだのだった。

Emailer のしがらみ -- では、なぜ私は Emailer がまだ十分に使える メーラーであるのに乗り換えを決心したのか? いくつかの理由でその時が きたと判断したからだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04723>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=32>

<http://www.eudora.com/>
<http://www.microsoft.com/mac/oe/>
<http://www.tidbits.com/eudora/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1147>

同じソフトウェアの新バージョンにアップグレードするのとは異なり、メー ルソフトを換えるのには想像以上の手間がかかった。表面的には簡単な作 業で、既存のメールを Eudora に移し、アドレスブックを手動で入力する ことなく変換するだけだ。だが、いずれのデータにしても Emailer と Eudora ではデータの格納の仕方が異なり、Eudora には他のプラットフォー ムからメールをインポートする方法が全く用意されていない。何か別の方 法を探す必要があった。

流れ作業 -- メールの素晴らしさはテキストオンリーの媒体であること にある。大体において、あるメールソフトから送信されたメールは他のメー ルソフトで読むことができる。問題はプログラムがメールを格納して表示 する方法にある。Emailer はすべてのメッセージを一つの大きなデータベー スファイル(とメッセージのありかを記録するインデックスファイル)に 格納する。一方 Eudora は各メールボックスに一つずつのファイルを作成 する。Eudora メールボックスはテキストファイルなので、テキストエディ タやワープロで開いてメッセージを読むことも自由だ。

Emailer のデータベースからメッセージを抽出するため、“Export - Eudora”という AppleScript スクリプトを使用した。これは Fog City 社 (当初の Emailer 開発元)の Emailer Utilities ページにある Import/Export 3.1 パッケージに含まれている。Eudora メールボックスを 新規作成するには、まず一つの Emailer フォルダにあるメッセージを全部 選択し、AppleScript メニューから Export - Eudora を選ぶ。このスクリ プトの利点は、すぐに Eudora で開くことのできるメールボックスファイ ルを作ってくれることにある。だが、何千というメッセージを変換するに は時間がかかり、しかも時々スクリプトがタイムアウトするまでマシンを 使用不能にしてしまうという傾向があった。

<http://www.fogcity.com/em_utilities2.0.html>

それでもこの作業は確実に実行できたうえ、どの Emailer フォルダを Eudora に移行すべきで、どれをアーカイブするかを振り分ける機会にも なった。新しいメールボックスを Eudora に入れるのは単にファイルを System Folder の Eudora フォルダにある Mail Folder に移し、Eudora を起動するだけだ。

あまねくニックネーム -- メールアドレスの変換は一発でできるのだが、 最初の設定にやや手間がかかった。Emailer にはアドレス帳をタブで区切っ たテキストファイルとしてエクスポートするコマンドがあるが、これを Eudora にインポートするとなると話は別だ。ここでも AppleScript に救 われた。私は Web で eMailman Conversion ページ(ここには各メールプ ログラム間のデータ変換に関する情報が盛り沢山だ)に行き、VivaLaData 社の Diana Cassady 氏による Emailer2Eudoraを発見した。

<http://www.emailman.com/conversion/>
<http://www.vivaladata.com/>

Emailer2Eudora を実行する前、ほかに 2 つの AppleScript コンポーネン トをダウンロードする必要がある。Acme Technologies 社の Acme Script Widgets と File I/O で、いずれも ScriptWeb から入手可能だ。こいつら を Extensions フォルダの Script Additions フォルダに入れる。

<http://www.acmetech.com/>
<http://www.scriptweb.com/>

準備が整ったところで Emailer アドレスをタブで区切ったテキストファイ ルにエクスポートし、Finder で ファイルを Emailer2Eudora にドラッグ & ドロップする。この段階で問題に遭遇したのは、あとになって幸いだっ たことがわかった。私のアドレスブックには文字化けのある古いエントリ があったのだ。Eudora がインポート中にこういったアドレスに遭遇すると ダイアログを表示した。インポート後にこうしたレコードを取り除くには、 Address Book をスクロールして問題のあるレコードを削除するだけだっ た。

あと一つだけ遭遇した問題は、Emailer の Name フィールドに基づいて作 成される各アドレスのニックネームの部分で、姓名が逆転していたことだっ た。Geoff Duncan のニックネームが「Duncan, Geoff」となっていたのだ。 テキストエディタと grep 検索を使えば

Eudora Nicknames ファイル(Eudora の法則に則り、これも単なるテキス トファイルだ)からこいつらをなんとかして並び替える方法はあるに違い ない。だが、今回はおかしなニックネームを見つけるたびに手動で直して いった。

各種調整 -- メールとメールアドレスの変換が無事終わり、Eudora の調 整は随時行えばよい段階に入った。私はフォルダは左ペインに、メッセー ジは右ペインにというぐあいにペインごとに分かれた Emailer のインター フェースに馴れていた。目で確認しながらフォルダにアクセスできるのも 気に入っていたので、Eudora でも Mailbox ウインドウを画面左に縦長に 表示させ、そのすぐ右横に In ボックスを置いた。

その一方で、メッセージをペインに分けられた部分に表示させるのはどう も好きになれないので、私の In ボックスは標準のメッセージの一覧表が 入っているだけのウインドウにしてある。メッセージは一ウインドウとし て開くほうが好きなのだ。ただし、他のメールボックスもふくめて検索す るときだけは、メッセージ本文が下部ペインに表示されたほうがざっと目 を通しやすいので例外だ。

その他、In ボックスに入ってくる新しいメッセージの表示方法を変更しな ければならなかった。Emailer では新しいメールはリストの上に表示され ていたのだが、Eudora では下に表示されるのがデフォルトになっている。 日頃からメールに埋まってしまうような気がしているので、ヘッダの日付 欄のところを option + クリックして Emailer 風にメッセージを並べ替え た(Eudora ではメールボックスのヘッダ部を option + クリックすると、 ソートの昇降順が変更できる)。

また、私はだいたいにおいてツールバーというものを好まない性質なのだ が、Eudora のツールバーはカスタマイズできるようになっているので、 (Settings ダイアログボックスやメッセージの未読と既読のマークの変更 などの)一部のメールボックスやコマンドに即座にアクセスするためのボ タンを作った。

Emailer から乗り換えたことに関してはおおむね後悔していない。依然と してメールにはアクセスしやすいし、メールのやり取りも変わらずうまく いっている。以前より良くなったかもしれない。Eudora のおかげでメール 処理が簡単に上手にできるようになった点がいくつかある。

郵便局を分解する -- まず、そのトップが Eudora のメールデータの保 管の仕方である。Emailer 2.0 の単一ファイルのメールデーターベースは、 Emailer 1.0 のメール一つ一つを別ファイルで保存するやり方よりも優れ ていたが、無駄に巨大なだけのものと化してしまうのだ。Emailer のメー ルデータベースを別のマシンにシンクロしたり、DAT テープにバックアッ プしたりするということは、すなわち私の 87 MB のメールデータベース全 部をコピーするということになってしまう。たとえそれが、一メッセージ に変更があった場合であってもだ。Eudora は変更のあったメールボックス だけをコピーするので処理が速い。

Emailer 2.0 の単一メールデータベースファイルだと、Emailer 1.0 より も検索が速かったが、全フォルダが検索対象になっている場合は、私のコー ヒーテストをパスできなかった。つまり、検索を開始して、コーヒーを入 れに行き、(うまくすれば)席に戻ってくるまでに結果が表示されている というテストだ。Eudora の検索は実に速い。Eudora が内容をインデック スせずに、ただのテキストファイルで保存しているにも関わらずである。 私のアクティブなメールボックスすべてを対象にした検索が一分もかから ないのはいまだに驚きである。

メールボックスファイルを複数作っていると、古いメールのアーカイブも ずっと簡単になる。Emailer では、アーカイブしたいフォルダで時間のか かる“Export - Eudora”スクリプトを実行させてから、メッセージを削除 していた。それが今では、Eudora を終了させ、メールボックスのファイル を別の場所に移してから再度 Eudora を立ち上げるだけでメールボックス のアーカイブができるという簡単さである。さらに、Eudora は完全に Alias Manager 対応になっているので、Eudora Folder にメールファイル をどっさり入れておくことなく、簡単にアーカイブにアクセスできる。アー カイブのエイリアスを他のメールボックスと同じところへ置けば、Mailbox と Transfer メニューにエントリが加わる。

人のスタイルは認めよう -- Eudora のスタイル付きメールやインライン で画像を表示させる機能が場合によっては重宝するということは渋々なが らも認めることになるだろう。太字や斜体のような文字スタイル(その他 の HTML ベースのフォーマットのことは言うまでもない)を使えるような メールクライアントが増えており、Eudora がそれらを適正に表示してくれ るので、かつて Emailer で HTML タグにしていた苦労がなくなって嬉し い。

さらには、Eudora では Styled Text 設定パネルで特定のスタイルを無視 するように設定できるのだ。私の場合たまに太字や下線付きの語があるの は気にならないが、巨大なサイズや妙なフォントを使っているのは絶えら れない。そこで、受け取るメッセージのフォントやサイズを無視するよう に Eudora に指示してある。

ごく一部の例外(相手も Eudora を使っていることが判っていてインライ ン画像を送る場合など)を除き、スタイル付きのメールは全く送らないよ うにしている。メッセージにスタイルがついているものを送ろうとすると、 Eudora はメールをプレーンテキストで送らないのかと聞いてくるので、私 はいつもスタイルなしのメールを送ることができる。そして、“Send plain text mail only”を選んで、スタイル付きメール設定パネルの“毎回聞く” というチェックボックスをチェックしておくと、私がスタイル付きメッセー ジを送ろうとすると、“Plain Only”がデフォルトのメッセージがでるの で、Return キーを押すだけで自動的にスタイルを外すことができる。

仕上げ -- Eudora には使うのが楽しい部分がある。メールボックスごと に分類してあるメッセージの一部の option + クリックを常用している。 たとえば、TidBITS Talk メールボックスのメッセージ一覧の送信者の欄を option + クリックすると、その人が送ったすべてのメッセージをグループ にしてハイライトしてくれる。題目によるグループ化も同じように行える が、メーリングリスト用のメールボックスではこれを行わなくてもよい。 なぜなら、Special メニューの階層 Sort サブメニューの Group Subjects オプションを利用しているからだ。

そして、頻繁には使わない機能であるが、メッセージの時間指定送付は便 利な機能である。怒りのメールの気に入らない部分にまともな返答を書い た時など、受けるほうが少しは落ち着いてきていると思われる、日付が変 わるころ(または、明け方)にメッセージを送るようにできる。

Eudora にないもの -- 私は Eudora を使い続けるつもりで、それに疑い はないが、幾つかの事柄に苛つかされている。私の一番の願いはキーボー ド操作でメッセージをファイルできるようにして欲しいことだ。Emailer では、メッセージをハイライトして Command-Option-F を押し、そしてメー ルをファイルしたいフォルダ名を入力開始して Return キーを押すだけだ。 一方、Eudora はこの点で煩わしいほどメニューとマウスに依存しており、 個々のメッセージをファイルするには Transfer メニュー(またはツール バーボタン)まで行かなければならない。OneClick や QuicKeys 等のユー ティリティを用いて対処策を構築できるはずだが、キーボードから指を放 すことなくメールを容易にファイルできる方法が将来望まれる機能だ。

そして日々遭遇するもっと細かな事柄がある。私は以前にも増してメール のフィルタリングを行うようになっており(それが、Eudora のフィルタが Emailer の Mail Actions よりも柔軟性に富んでいる結果なのか、私がメー ル・フィルタにもっと精通したからなのかは、判らないが)、フィルタさ れたメールが何処に自動的に保存されたかを知らせる Eudora の Filter Report ウィンドウが気に入っている。Eudora 4.3 ではフィルタレポート 内のメールボックス名をダブルクリックすると、そのメールボックスを開 く機能が加えられており、巧い技法だ。しかし、それがアップデートされ ると、ウンィンドウが前面にポップアップするのは非常に煩わしい。新し いメッセージをタイプ中に、Filter Report ウィンドウにテキストを入力 できませんとのエラーが表示されると、ののしってしまう。

同様に、プログラムを操作中、新規テキストを受け付けないウィンドウへ 偶然に入力しようとすると(編集用の鉛筆アイコンが反転しな受信メッセー ジ等)、Eudora はダイアログボックスをポップアップする。その場合、操 作を中止し、ボックスを閉じるための OK ボタンをクリックし、作業に戻 ることとなる。簡単なエラービープで十分なはずだ。

小躍りするほど嬉しい -- Emailer から Eudora への跳躍はもっと大変 かと考えていた。それは多分に私が全面的にメールに依存しているからだ ろう。武装した Eudora ユーザーとなりつつあるが、再び他のプログラム へと誘惑されるだろうか?近い将来にはないだろう。Eudora は真にプロが 選ぶメールプログラムだ。それに、我々仲間同士でメールに期待する機能 が損なわれれば、他の TidBITS 編集者達は直ぐに私を連れ戻そうとするで あろう。


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