TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#539/17-Jul-00

今週の Adam の報道シリーズでは、多様な出版形態とその機能、相互作用 に焦点をあてる。Jeff Carlson がもう一つのお薦め Web サイト、iPing  社の Mr. WakeUp 連絡サービスを検分する。ニュースでは、Conflict Catcher 8.0.7 と ATM Deluxe 4.6、Default Folder 3.0.6 のリリースを 載せ、先週の Macworld Expo 参加者のアンケート結果を発表し、Mac ハー ドウェアをどこで買うかをお尋ねする。

目次:

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MailBITS/17-Jul-00

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)
(  :三好 泰子 <yokomo@vm01.vaio.ne.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

Default Folder 3.0.6 がバグ修正 -- St. Clair Software 社は、Mac OS の開くと保存のダイアログの機能を拡張するシェアウェアのコントロー ルパネル、Default Folder 3.0.6 をリリースした。(レビュー記事は TidBITS-475 の“TidBITS ご用達ツール:Default Folder”を参照。) バージョン 3.0.6 は、最後に使ったフォルダとお好みのフォルダに素早く アクセスできるように Finder にポップアップメニューを加えているが、 もっと重要なことは、ナビゲーションサービスダイアログのメモリ漏洩と Default Folder 初期設定ファイルの不正(クラッシュを誘発する可能性が ある)というバグを修正していることだ。Default Folder 3.0.6 は 640K のダウンロード容量で、バージョン 3.x の登録ユーザーもしくは 98 年 1 月 31 日以降のバージョン 2.x の登録者には無料である。それ以外の アップグレードは 15 ドル、新規ライセンスは 25 ドルだ。また、フラン ス語版、ドイツ語版、日本語版もある。 [GO]

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolder/release.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05341>

ATM Deluxe 4.6、Type Reunion 2.6 を取り入れる -- Adobe Type Manager Light 4.6 のリリースに続いて( TidBITS-538“ATM Light 4.6 に OpenType を追加”参照)、Adobe 社は、やっと Type Reunion 2.6 を取 り入れた ATM Deluxe 4.6 をリリースした。ATM Deluxe では、無償の Light 製品で見られるのと同じ様にフォントのスムージング機能が提供さ れている。そして、システムフォルダの中にフォントファイルを格納する 機能の代わりに、フォントセットを可や不可にする機能も盛り込まれてい る。Version 4.6 では、OpenType 仕様のフォントのサポートが加わり、オ ンラインヘルプも含まれている。Abode Type Reunion では、メニューにお いてフォントファミリーを階層的に並べ、(ボールド、イタリック、 Helvetica Condense の様な)様々な種類の文字スタイル中から 1 つを選 択するのが楽になっている。このアップデートは、ATM Deluxe 4.5 以降、 または、Type Reunion 2.5 以降の登録ユーザーならば無償、そうでない場 合、古いバージョンを持っているのならばソフトウェア代 45 ドル、新規 ライセンス取得には 65 ドル必要である。両プログラムとも Mac OS 8.1 以降、ATM Deluxe には16MB RAM、Type Reunion には、8MB RAM が必要だ。 ダウンロードサイズは、15 の PostScript フォントが含まれているので、 28.9 MB とずっしり重い。 [JLC]

<http://www.adobe.com/store/products/atm.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06018>

Conflict Catcher 8.0.7 入手可能に -- Casady & Greene 社は、 Conflict Catcher 8.0.7 をリリースした。自分の Mac の機能を強化する (あるいは、低下させる!)ための、機能拡張、コントロールパネル、そ して、無数のファイルを管理する当社の偉大なユーティリティの最新バー ジョンである(Conflict Catcher 8 をレビューした記事、 TidBITS-446 “Conflict Catcher、ナイスキャッチ”参照)。バージョン 8.0.7 は、わ ずかばかりのバグの修正、Mac OS 9.0.2 と 9.0.4 用の基本セットの追加、 レファレンスライブラリの更新、そして、Apple の DVD プレイヤー、Quick Time、Multiple User 用の新しいグループの採用がなされている。このアッ プデートは、Conflict Catcher 8 の登録ユーザーには無料で、ダウンロー ドサイズは 1.4 MB、そうでないユーザーは、ダウンロードでの入手なら 70 ドル(箱詰めなら 80 ドル)である。そして、68020 プロセッサ搭載の Mac かその上位機種、System 7.5 以降が必要となっている。[GD]

<http://www.casadyg.com/products/conflictcatcher/8/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05086>

Macworld Expo Pocket Show Guide が変更 -- 先週、“Macworld NYC 2000 のイベント”で、Palm OS ベースのハンドヘルド機のユーザーは、 Palmtop Publishing 社の Macworld Expo Pocket Show Guide をダウンロー ドすることをお薦めした。残念ながら、私がこのガイドをダウンロードし たときと記事が発行されたときとの間の短い時間に、Palmtop Publishing 社はこのガイド全体を変更してしまった。このガイドは現在 Macworld City Guide として、ホテル、レストラン、美術館、お買い物情報を掲載してい る。Macworld Expo 自体は、Mac Publishing ブースでのパーティ日程とイ ベントに限られている。悲しいことに、便利な出展社リストとセッション 日程はもう消えてしまった。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06024>

アンケート結果:行くときは一緒だ!みんなで行こう Expo -- 今週、 ニューヨークで Macworld Expo が始まるが、先週のアンケートでは、ほと んどの読者が出向かないという結果が出た。回答者の 50 % 以上は一度も Macworld Expo に行ったことがなく、参加が年に一回以下であるという人 が 22 % だった。逆に、Macworld Expo に年に一回参加する人は 24 %、年 に二回参加する人は 2 %、二回以上という人はわずか 1 % であった。この アンケート結果から、TidBITS Talk では Macworld に参加しない理由(仕 事が原因であることが一番多い一方で、Macworld への事前登録者の半数が ニューヨーク以外のところから参加する人であった)と、インターネット 時代における Macworld Expo のようなショーの有用性が話題になった。 [ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=48>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1094+1095>

アンケートのお知らせ:買い物、掘り出し物 -- 一昔前は、Macworld Expo こそが 大量の Macintosh ハードウェアを販売している場だった。 かつて注目を集めていた会場での Mac や周辺機器の販売は昔日の面影はな い。地元の Mac ディーラー、コンピューターのスーパー、カタログによる 通信販売業者、オンライン販売業者など全ての商売に変化があっただろう。 そこで質問だ。Macintosh 関連のハードウェア(新品および中古)を購入 するお気に入りの場はどこだろうか? 今すぐ私たちのホームページに来て アンケートに答えよう! [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


お薦め Web Site:iPing 社の Mr. WakeUp

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <tkameoka@fujikura.co.jp>)

長年 Macintosh を使ってきたことで、出来の悪いインタフェースに対する 私の嫌悪感は深まった。私は何も Kai Krause 風の角の取れたバフ研磨の きいたソフトウェアの“外見”のことを言っているのではなく、たった一 つの単純なことをするのにあまりに多くのことを要求する実世界のものの ことを言っているのである。具体的にいえば、ほとんどの目覚し時計を嫌 うようになった、とりわけホテルの部屋に備え付けの安物の目覚しは嫌い だ。

目覚ましを使うこと自体は問題ない:大きな光る文字を読み、ベッドにい く前にアラームをセットし、朝にはうるさい獣を黙るまで叩くだけである。 しかしながら、目覚まし時計を セットする ことはまったく別問題であ る。通常は、Alarm ボタンを押して目覚まし時間を表示させ、そのままで さらに Hour と Minute ボタンを使い自分の希望する時間になるまで繰り 返し押しつづけなければならない。その時、もしたまたま希望の時間を過 ぎてしまったりしたら自分の指を呪わなければならないし(というのも一 旦そうなってしまえば、まるで着陸アプローチに失敗した飛行機のように もう一度丸一日をやり直さなければならない)、そしてもし何の説明もな い赤いドットの意味を間違って解釈してしまえばその日のスケジュールを 棒に振ることになってしまう(このドットは“P.M.”を意味している)。

もちろん、たいていのホテルでは目覚ましコールのサービスがあり、こん な七面倒くさい目覚し時計のことなど忘れて電話の呼び出しで起きればい い。しかしながら、どんなに親切なホテル従業員でも、毎朝あなたがたま たまいる場所の番号に電話をしてくれないであろう。さて幸いなことには、 これに対する解が Web 上にある。我々の、お薦め Web Site シリーズの一 つとして Mr. WakeUp をお薦めしたい。これは、iPing 社によって提供さ れている数多くの連絡サービスの一つである。

おネムさん、起きなさい -- 多くの成功している Web サイトと道を同じ くして、iPing 社の基本的な考え方は単純明快である。いったん登録を完 了すれば、Mr. WakeUp が電話をかけてくる時間と電話番号を指定できる。 もし携帯電話をお持ちなら、どこにいるか、あるいは今何時なのかすら問 題ではなくなる。昼寝からの目覚ましが必要?ほんのちょっとのキースト ロークで目覚ましコールを設定できる。

いろいろな種類の目覚ましコールを設定できる。テキストメッセージコー ルは、自分の入力したテキストを text-to-speech 技術により読み上げて くれる、あるいは声のメッセージを再生させることもできる(事前にメッ セージを入れておける)。同様に、選定してあるニュース・ビジネスヘッ ドライン、その日の星占い、フィットネスのヒント、あるいはコメディア ンの Tom Green 氏のメッセージを聞くようにすらできる。もし普段使う番 号が決っているなら(自宅、会社、携帯等)、自分のプロファイルの中に 入力しておき新しくコールをセットするときにポップアップメニューとし て使うこともできる。さもなければ、ダイアルすべき電話番号を直接入力 すればよい。いつでも、サイトを開いて過去のそして今後の設定されたコー ルのリストを見ることができるし、そこから変更あるいは削除もできる。

<http://www.tomgreen.com/>

コールそのものは有用であるが、当然のことながら宣伝と絡み合っている。 録音されている挨拶がすぐに始まるので、寝ぼけ声の“もしもし”で応え る必要はない。次に自動メッセージは、続けるには 1 を、Mr. WakeUp が その番号に再びコールするのを停止するには 9 を押すよう促す。(その番 号の停止を再度外すには iPing 社のサポートにメールを送る必要があ る)。もしあなたが 3 回繰り返した後でも応答しなければ、Mr. WakeUp は自動的に先に進む。5 から 10 秒の宣伝に続いてあなたのメッセージが 送られる、この時同時に、時間と日付そして地元の天気情報が送られる。

私のテストではすべてが宣伝通りに働いたし、時間ぴったりに私を起こし てくれた。欲を言えば Mr. Insistent WakeUp といったサービスが欲しい :つまりもし最初の番号で反応がなければ、次々と他の番号を呼び出して くれるような。さらに欲を出せば、もし Mr. Wakeup が既存のカレンダー プログラムと連携して、イベントを何回も入力しなくてもすむようになれ ばなお素晴らしい。

ヘルパー一族 -- Mr. WakeUp が iPing 家の唯一の家族メンバーではな い、ということがこのサービスをさらに魅力的にしている。Ms. Reminder はアポ、誕生日、記念日、それにその他のイベント(洗濯もの、ゴミの日、 子供のピックアップ等)を思い出させるために電話をしてくれる;Mr. Notify はグループの人たちにリマインダを送れるようにしてくれる;Ms. FollowUp は小包の追跡をしてくれ(現状では FedEx のみ)配達されたと きにコールしてくれる;Dr. Dose は薬を飲むのを知らせてくれる;そして Mr. Dollar は経済ニュースについて電話してくる。

頻繁に旅をする者の一人としていえば、メッセージを届けるのに電話以外 のなにものも必要としないでリマインダを設定できる能力が気に入ってい る。それに iPing は Web ベースであるので、PowerBook も必要としない し;友人のコンピュータかあるいはインターネットカフェの端末でも十分 に役立つ。将来はもうあの煩わしい目覚し時計が私の生活ではほとんど役 に立つことはないであろうと思うだけで幸せな気分になる。

<http://www.iping.com/>


報道をハックする、パート 2:出版物の種類

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :冨田 将英 <atimot18@sa2.so-net.ne.jp>)

先週は、報道関係と仕事上付きあってみようかと思わせるようなお話をし た。製品を披露する場を探しているデベロッパーであろうと、ボランティ アを探している非営利団体であろうと、報道側とどう付き合うかの知識は 貴重なものである。今週は出版物について話を進めようと思う。出版物に より、扱う情報の種類や読者対象がかなり異なるので、どのメディアに絞っ てエネルギーを注ぎ込むかがポイントとなってくるのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06026>

インターネットのおかげで出版のための必要経費が下がり、個人や小さな 組織が出版できるようになったので、今は多岐にわたる種類の出版物が作 られている。Ric Ford 氏の MacInTouch が実に良い例だろう。数年前 Ric Ford 氏と Rick LePage 氏は紙の雑誌の MacInTouch を創刊したが、紙の 出版物ゆえの金銭難から MacWEEK に掲載される人気コラムという形に移行 せざるを得なくなった。その後、インターネットの台頭により、Ric は MacInTouch の制作を再開できるようになった。今度は、Macintosh 界のな かでもアップデートの頻繁な第一級の情報源である Web としての転生だっ た。

<http://www.macintouch.com/>

以下に取りあげている出版物の種類の線引きはあいまいなところがあるこ とを御了承いただきたい。あいまいとなった一因はインターネットにある のだ。従来型の出版物でも Web サイトを持っていないところはほとんどな いが、往々にして内容がなかったりする。

旧態依然の雑誌 -- 報道のことを考えるとき、昔からあるコンピュータ 雑誌を今なお思い描く人が多いだろう。Macintosh 界には、代表的な Macworld、MacAddict、MacTech を始めメジャーな雑誌がいくつかある。そ の他 Mac Home Journal のようなものも存在するが、知名度が違うし、実 際私はそれらについてほとんど知らない。(個人的には紙の雑誌の出版に 携わったことはないが、Tonya や私が主要な 3 つの雑誌に記事を書く立場 にいるということは、はっきりさせておかなければならないだろう。私は 今はなき MacUser と MacWEEK でコラムを書いていたし、最近は Macworld の Contributing Editor という肩書きを持っている。ほかの TidBITS の スタッフも Mac 関連およびその他の出版物にフリーランスとして記事を書 いている。)

<http://www.macworld.com/>
<http://www.macaddict.com/>
<http://www.mactech.com/>

旧態依然とした雑誌のほうが、たいていのインターネットの出版物よりも はるかにお金になるし、はるかにお金がかかる。原稿の編集、デザイン、 レイアウトにかかる人件費は安いものではないし、何十万部もの雑誌を配 送するのもお金がかかるのだから、当然だろう。数年前、紙の雑誌の出版 の財務について調べたところ、雑誌の購読料では、印刷と配達の経費だけ しか賄えないとされていた。その後の経費上昇を考えると、印刷や配送に かかる経費は、購読料やスタンドの売り上げを超えるようになったであろ う。

それゆえ、雑誌は広告により収入のほとんどを得ている。記事のページと 広告のページの割合はかなり様々であるのだが。これが、雑誌のページ数 が(時にはものすごく)変動する理由であり、広告が足りないと、記事を 載せるお金がなくなる。逆もまた真なりで、広告がたくさんあると、記事 を載せるページも増える。定期刊行物郵便として扱われるためには、広告 が 70 % 以下でなければならないのだから。

これらの事柄は、旧態依然の雑誌作りの重要な一面を語っている。出版物 にはそこそこの数のスタッフが必要だし、原稿料を払わなければならない し、販売側との諸々の取り決めがある。出版社はレビュー用の製品やその 他情報の依頼は威厳をもって行いたいと考えているし、紙の雑誌のレベル は概して高い。旧態依然の雑誌がミスを犯さないとは言わないが、その数 は少ない。それは、出版社が優れたライターを雇うことができ、また細か なチェックを行う人の人件費を出すこともできるからである。それに、長 年築き上げた評判を落としたくないと考えていることも理由の一つである。

その反面、昔ながらの紙の出版物は発行までに時間がかかる。ライターは 特集記事なら一般的に印刷の何か月も前に書き上げる。編集、レイアウト、 グラフィック、配送はお金だけでなく、時間もかかるものなのだ。その他 の記事はもう少し後、2 週間から 8 週間前に書かれる。デベロッパーの方 は、製品を取りあげてもらう記事がいつごろ出るか聞いておくとよいだろ う。これによりライターに次期リリース情報を漏れなく伝えられる。ベー タ版をレビューしたくないという雑誌は多いだろうが、ライターは見てみ ようと思うかもしれないし、ファイナルリリースと雑誌の発売日が近い場 合はなおさらだろう。(雑誌の表紙に書かれている日付と、実際に発行さ れる日付が異なるのがほとんどだということをお忘れなく。)ライターと 編集者(紙の雑誌と仕事をするとこの両名と頻繁に話をすることになる) に頭に描いているリリース予定をはっきりと知らせておくように。いい加 減なレビューを書かれたり、アップデートや新しいバージョンが出る前に 記事として出てしまうのを避けるための最上の手段になるのだ。日程がか み合わない場合でも、たいていは何らかの形で対処してもらえるものだ。

紙の出版物の融通の利かないシステムを頭に入れておくと、ライターと技 術的な話をする場合や、ライターおよび編集者と日程の調整をする場合に 役に立つ。雑誌の記事を担当している人と広告の話を 絶対にしない よ うに。ライターや編集者の反感を買うのが関の山だろう。こんな例がある。 かつてある広告主が、MacTech が製品のレビューをしてくれないのなら広 告を出すのをやめるとおどしたところ、MacTech の発行人である Neil Ticktin 氏はその広告主を雑誌から締め出した。

広告の話は販売担当に持っていくように。連絡先などの情報は雑誌に記載 されている。自分の出す広告が最大限に生きるようにお願いしよう。指名 した記事の近くに広告を載せてもらえる場合もある。そういった配置は、 編集と販売がぐるになってやったものだと受け取る人もいるが、編集サイ ドの人間は知らないものだ。このような配置をすると、記事とあなたの出 した広告のメッセージがつながり、あなたの会社が広告を出せるぐらい “正真正銘”のところであることが読者に伝わるので有効である。

質問は喜んで受け付ける旨をライターに伝えておこう。運が良ければ、事 前に内容チェックをさせてもらえるかもしれない。(MacTech や TidBITS もそうだが)出版物のなかにはより正確なものを求めてこれを行っている ところもあるが、その他は出版前情報の問題やよく書いていないレビュー へ言い争いを避けるためにこれを行わない。記事の内容チェックを行うチャ ンスがめぐってきても、事実に基づくこと以外はコメントしないように。 特によく書いてもらっていない記事の場合、そういった結論に至る原因と なった事実とは異なる部分を指摘すること以外、よい結論を出してもらう 術はない。ごく稀なことだが TidBITS に対してこういった立場を濫用しよ うとした人がいたが、いずれの場合も、ものすごく不愉快なもで、先方と 我々の関係は損なわれた。

出てしまった記事の間違いや問題への対応は難しい。些細な間違いであれ ば、ライターへ個人的にメールしておくと、関係を損なわずに今後似たよ うな間違いが起きることを防ぐことができる。もし雑誌に訂正欄がある場 合は、ライターから正しい連絡先を教えてもらえるだろう。さらに深刻な 間違いは編集者にメールを出すように。担当編集者に問題の一部があると 思われる場合は、投書欄に思慮ある手紙を出すのが一番であろう。出版社 は事実に関する間違いについては素直に認めるのが普通だが、記事に書か れてしまった結論や評価の類いのことへの反論には十分注意するように。 そもそもライター、編集者、出版社と築く関係こそが最優先事項であり、 たった一つの記事への不満で関係をだめにするのは自らを滅ぼすことにな る。

どんなに理不尽な思いをしても、相手とのやり取りにはつねに礼儀を尽く すように。ライターや編集者にあたるなどもってのほかである。それは紙 の出版物との関係において特に愚かな手段である。そこで係わった人達は この先何年もこの業界で仕事をしていくだろうし、将来今よりも力のある 立場に立つかもしれないのだ。紙の出版物の井戸に毒を放り込んだら、そ こに繋がる地下水までやられてしまうのだ。

お気づきになっているかもしれないが、紙の出版物は、主として組織とし て機能しているのが特長で、あなたはその組織と付きあわなければならな いし、その組織を理解しなければならない。その出版物から何を期待され ているのかと、どういう手助けができるかを、編集者に(こびへつらうこ となく)尋ねるのは最上のやり方だろう。編集者側はこういった態度を歓 迎する。これにより編集者側もやりやすくなるし、(あとで話すが)ジー ナリストは恐ろしく忙しいのだから。

インターネットマガジン、ニュースレター -- これまで紙の出版物につ いて語ってきたのは、これが他の種類の出版物に模倣されるモデルとなっ ているからだ。オンラインマガジンやニュースレターは、TidBITS を含め、 堅実かつプロフェッショナルなコンテンツを目指すという点で紙の出版物 と同じアプローチを採用していることが多い。その一部は(これまた TidBITS を含め)、定期的にまとまった形での発行をしているが、新しい 記事ができた時点で Web に掲載するようにしているところもある。イン ターネット出版物には紙とそれに付随するコストの問題がないかわりにペー スが速い。Tonya と私が TidBITS を始めた当時、MacWEEK さえもしのぐ ペースの速さに胸を張ったものだが、今では可能な限り早くニュースを報 じる Web サイトと比べると桁違いにゆったりしたものとなっている。

インターネット出版のコストの低さとペースの速さのため、対応の仕方も それに応じて変えなければならない。大勢のスタッフを抱えている Web 出 版物は少ないので、ライター、編集、営業の区別は曖昧になる。インター ネット出版物を発行している人たちは一人が複数の肩書を持っているもの だが、記事内容と広告の話は完璧に分けた方がいい。たとえば、TidBITS は専門のスポンサー対応要員を配置する規模からはほど遠いので、私が執 筆と編集のかたわら営業も担当している。だが、営業には別のメールアド レス <sponsors@tidbits.com> を使用して棲み分けを図っている。こちら のアドレスが編集ではなく営業窓口であることを明確にするためだ。

インターネット出版物で発行スケジュールが存在する場合、締切はすぐに やってくる。質問にはすぐに回答しなければならず、わずか一日遅れただ けで好意的なレビューが酷評に変わる恐れがあるのだ。

発行間隔が短ければ短いほど、ミスがある可能性も高くなるし、ミスへの 対応の仕方も紙の出版物とは異なってくる。まず、日頃から注意して誤っ た記事の出現をチェックするか、あるいはなんらかの検索サービスを利用 してミスをキャッチしなければならない。あなたの製品に関する記事を書 いたということを知らせてもらえることはあまりないと思った方がいい。 たいていは製品のユーザーが貴重な情報源となるので、ここでもユーザー が気楽にメールを送ってくることができるようにしておくことは大切なこ とだ。インターネット出版物の利点に、ただちに記事を修正するまたは訂 正記事を掲載することができることがある。(私たちは後者の方式を採用 している。理由は TidBITS-467 の「URL の耐えられない軽さ」を参照。) サイトによっては、ニュースの回転が速くて訂正にはあまり関心を示さな いこともある。ここでも良好な関係を維持していれば、ミスを修正(しか も早く)してもらえる確率が高くなる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05283>

読者主体のサイト -- この種類の Web サイトの正式な総称はないのだ が、傾向としては独自にコンテンツを作成するのではなく、読者からの情 報提供に依存しているというタイプだ。誤った情報を取り除き、残った情 報をまとめ、情報の集中した場所を読者に提供するという点が売りとなる。 最も優れた例の一つに Ted Landau 氏の MacFixIt がある。Ted は読者か らのバグレポートを収集、選別し、可能な限り検証したうえで、全体的に 整合性があるようにまとめ、必要に応じて文脈に合わせて文章に手を入れ ることに多大な労力を投入しているのだ。独自のコンテンツを持つ出版物 でも、読者から寄せされるコンテンツが付随してくることが多くなってき ている。Mac Publishing 社の Web サイトでは末尾に読者からのフィード バックフォーラムがあるし、私たちの TidBITS Talk メーリングリストも ほぼ同じ役割を果たしている。

<http://www.macfixit.com/>
<http://www.tidbits.com/search/talk.html>

ソフトウェアデベロッパーの立場からすると、こうしたサイトは対応が難 しい。誰でもあなたの製品について書き込むことができるし、明らかに間 違っていたり公序良俗に反するものでなければまず公にされることになる。 たとえば、TidBITS Talk への書き込みはすべて私の承認が必要だが、私に そこで扱われている製品に関する知識がなければ誤った内容のものでも承 認してしまうことになる可能性がある。他の読者が訂正してくれることも あるが、必ずそういうことがあるとは限らない。

この問題には二つの解決策がある。まずはサイトを運営している人と知り 合いになることだ。(ここまで注意深く読んできた方はもう気づかれただ ろう。報道関係者と付き合うには個人レベルでの関係が極めて大切なの だ。)あなたの製品に関する書き込みがあった際に、こういった読者主体 のフォーラムの管理者があなたのことを思い出してくれるということが好 ましい。個人的な知り合いになっていれば、打撃となる可能性のある書き 込みをポストする前に照会してくれる確率が高いからだ。

次に、万が一何かがすり抜けてしまった場合(いつか必ずあることだ)、 同じフォーラムでその誤りを正す責任はあなた自身にある。これは面倒な 作業だが、それだけの価値があるものだ。冷静さを保ち、権威を失わない ように論陣を張ろう。こうした発言はサイトの運営者との接触にも役立ち、 その後同様の問題に遭遇する危険が減る。その後しばらくはフォーラムに 顔を出しておくのもいいことだ。防戦だけのためよりも、積極的にディス カッションに参加することによって評価が上がることにつながるからだ。

主流の出版物 -- 主流の出版物とは、科学技術などを取材範囲に入れな い雑誌や新聞のことである。これらは物語やコラムを載せることはあって も、それが焦点ではない。これらの出版物の取材範囲内に入ろうとするの は無駄なことで、もし注目されたとしてもまぐれ当たりだと思うべきだろ う。大変なのは、彼らに注目されたとき一緒に仕事をすることだ。技術系 の出版物に対するアプローチが通用するとは思えないからだ。

何故かって?主流の出版物の記者たちは、自分たちの書く記事の分野につ いて熟知していることはまずないのだ。San Jose Mercury News 紙の the technology reporting と元 MacWEEK のライターだった Henry Norr 氏が San Francisco Chronicle 紙に書いているコラム alum は注目すべき例外 である。だが、全体的に見れば主流の出版物の記者たちには技術的背景、 もしくは業界における経験が無く、あなたの論議を適当に編集しているこ とを承知しておくように。また、これらの出版物の読者層も技術的に熟知 していることはあまりないのだから、彼らにわかるようにコメントを仕立 て直してやることも忘れてはならない。

<http://www.sjmercury.com/svtech/>
<http://www.sfgate.com/technology/>

主流の出版物の有利な点、そしてこれらに対して過敏なまでに反応した方 がよい理由は、膨大な数の人々がこれを読むことである。この数字を測定 するのは困難だが、広く読まれているニュースマガジンでの一言は驚くほ ど多くの人の目にさらされるのだ。そして、あなたの製品が Wall Street Journal やそれに似たような雑誌で取り上げられたと言えること自体が、 大きな信用を与えてくれるだろう。

その他のメディア -- 主流の出版物で取り上げられることが運ならば、 他のメディア - テレビ、映画、そして範囲は小さくなるがラジオ - で取 り上げられることは、天の恵みである。数年間、私はローカルのテレビ局 のニュース番組でインタビューを受けてきて、伝えたいと思う意見を可能 な限り少ないバイト数に収まるように蒸留することが私の仕事なのだとい うことがわかった。最初のインタビューではインターネットに関して詳し く 45 分間も説明し...放送されたのは 25 秒だった。それからという もの、記者は知ったかぶりをやめ、私は自分の役割を受け入れるようになっ た。私は彼らがうまいことを言ったり非難するときにいろいろと説明する ように努め、彼らが録画している間は一般の人々が理解できるような噛み 砕いた事柄を話すようにするのだ。手を動かしてジェスチャーを使うよう にし(こうすればしゃべる胸像にならずにすむ)、そしてもし彼らがもう 少し映像が欲しいと言えば要求通りのことをやってみせる(大抵は私がタ イピングをしているところだ)。何千もの人が毎日夕方のニュースを見る のだから、テレビでの露出はスタッフ相手に一生懸命話をするだけの価値 はあるのだ。

David Lawrence 氏の Online Tonight や Shawn King 氏の The Mac Show のように技術面を取り上げる素晴らしいラジオ番組もある。ホストたちに は予備知識があり、十分にしゃべる時間があるのだから素晴らしい。そし て技術面にスポットを当てた番組では、割合に技術的になっても聴視者が 離れることはない。非技術系のラジオ番組に出たときこそ、天の恵みがやっ てくる。一般の人々に向けてしゃべっていることには注意しなければなら ないが、こういった番組はほとんどの技術系番組よりも多くの聴視者に届 けられるのだからその価値は十分にある。

<http://www.online-tonight.com/>
<http://www.macshowlive.com/>

映画の経験はあまりないが、ビジネスにつながるようなビデオの仕事は何 度もやったことがある。これは全てコネに基づいている - あなたの抱える ベータテスターの友人の姉妹が何かの映画のセカンドユニットのアシスタ ントディレクターだった、とかである。ほとんどの場合、製品を映画に登 場させようとするのは無駄な努力だ。こういうことはあなたが今持ってい るコネからいずれ起こるかもしれないし、もう起きないかもしれないのだ。 Apple 社のような巨大企業は Mac たちをテレビや映画にきちんと登場させ るために映画会社と仕事をする部署がある。もし周りのほとんどの人にば かりこのことが起きるならば、運命のせいにするしかない。

これからをお楽しみに -- 報道の種類を問題として一通り話してみた。 紙の出版物はハードウェアのテストラボを必要とするような大がかりな記 事には最適だし、インターネットでの出版物はしばしばニュースに特化さ れている、などなど。このシリーズは Macworld Expo のためにお休みする が、次回はあなたが享受できる報道の種類、その効用、そしてそれらに何 を期待するのかについてお話しする。


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