TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#547/11-Sep-00

Eudora をお使いだろうか? Eudora の使い方について考えてみようではな いか? 今週号の最後で、リリースされたばかりの Eudora 5.0 の中で注目 すべき機能に関して、細かい検証をおこなう。そして、Kirk McElhearn 氏 が、『Newton's Telecom Dictionary』の書評を引っさげて BookBITS に 戻ってくる。新しいリリース情報として、BBEdit 6.0、Default Folder 3.0.7、そして、VSE Link Tester 3.1 を取り上げる。さらに、先週のアン ケートの 68K の Macintosh の使い道に関する驚くべき結果を報告し、今 週の頭の体操として語彙数を競うクイズをお届けする。

目次:

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MailBITS/11-Sep-00

(翻訳:三好 泰子 <yokomo@vm01.vaio.ne.jp>)
(  :吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)

BBEdit 6.0、パワフルなテキスト編集機能をさらに改良 -- Bare Bones Software 社は、BBEdit 6.0 をリリースした。これは、当社の主力製品で テキストエディタと HTML のオーサリングツールである。この新しいバー ジョンでは、マルチバイトのテキストの編集をサポートし、マークアップ ツールを使うために HTML 4.01、XHTML 1.0、そして、WML 1.1 といった Web 言語の仕様を認識するようになっている。このバージョンで、HTML の 制作者が改良された Web セーフカラーパレットへアクセスできるようにな り、また、コンテクストメニューを使ってコマンドを挿入したり編集した りすることができる。そして、BBEdit では、洗練されたサーチ機能と置換 機能によって、複数の検索条件での検索をはじめ、いくつかのファイルに またがる作業が向上している。BBEdit 6.0 は、また、OSA の記述のサポー トの面で改良、シンタックスの強調や機能のカスタマイズを期待している 開発者のためのプラグインアーキテクチャの導入、そして、Apple のキー チェーンのサポートや複数のクリップボードが使えることなどの改良が加 えられている。アップグレードには、いくつかの方法が用意されている。 2000 年 6 月 1 日以降 BBEdit 5.x を購入した方は、無償でのアップグ レードが可能、BBEdit 2.5 以降をお持ちの方は、39 ドルで Bare Bones Software 社から直接入手できる。競合製品や補足製品をお持ちの方には、 79 ドルの乗り換えアップグレードが適用される(製品リストに関しては、 Bare Bones 社の Web サイトを参照のこと)。新規購入での小売価格は、 119 ドル。5 MB のデモ版も入手可能である。 [JLC]

<http://www.barebones.com/products/bbedit.html>
<http://store.barebones.com/cross_upgrade.html>

Default Folder 3.0.7 がバグを解決 -- St. Clair Software 社は Default Folder 3.0.7 をリリースした。これは同社の、Open および Save ダイアログボックスを介したファイルアクセスを改善する、シェアウェア ユーティリティのアップデートである。( TidBITS-475 の“TidBITS ご 用達ツール:Default Folder”を参照。)このアップデートによりクラッ シュを起こすいくつかの潜在的なバグ(たとえば Internet Explorer 5 が 動作している時に起きる)が修正される。また不可視フォルダが Recent Folder リストに含まれなくなり、さらに Finder でフォルダをアクセスす るためのオプションのポップアップメニューの扱いが改善される。685K の アップデートは Default Folder 3.x の所有者と、1998 年 2 月 1 日以後 にバージョン 2.x を購入した人には無料である。それ以外の場合は 15 ド ルでプログラムをアップデートできる。新規の登録は 25 ドル。 [JLC]

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolder/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05341>

VSE Link Tester 3.1 と叱咤激励 -- 先週号で私たちは、Web サイトの リンク検査ユーティリティのアップグレード版である、VSE Link Tester 3.0 に触れた(このプログラムの概要については TidBITS-537 の “TidBITS ご用達ツール:VSE Link Tester”を参照)。遺憾ながら私たち はそれを、誤って“VSE Link Checker ”と書いてしまった。これは私た ちの編集長がチェックに失敗したことを思えば、皮肉な失態だった。この 件については皆さんからたくさんの叱咤激励をいただいており、Jeff は大 変反省していることをお知らせしておく。一方、VSE 社はアップデート版 である VSE Link Tester 3.1 をリリースした。これは特定のブラウザに対 応した Web ページを検査するために、24 種類のユーザーエージェントと して動作できる。またこのアップデート(1.7 MB のダウンロード)は少数 のバグと表示の問題点を解決した。 [JLC]

<http://www.vse-online.com/link-tester/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06098>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06010>

アンケート結果:68K は現役、それとも引退?! -- 68000 プロセッサ・ ファミリーを用いた古い Mac を使っている人たちはたくさつての万能型 Quadra や IIfx から SE/30、Mac Plus まで、それにオリジナルの 128K Mac さえも使われている。これらは優れた小規模サーバや、ワープロやメー ル用のセカンドマシンになっている。だが最近は、ほとんどのソフトウェ アが PowerPC ベースの Mac を必要としている。そこで私たちは“あなた がまだ 68K Macintosh を日常的にお使いなら、そのソフトウェアを最新版 に維持し続けようと思いますか?”と質問した。結果はびっくりするほど バランスのとれたものだった。約 1,100 の回答のうち 26 % は 68K Mac を使っておらず、一方で 68K ユーザーの 24 % はソフトウェアをまったく アップデートしないでマシンを昔のままにしている。残りの回答者のうち 26 % はいくつか重要な 68K プログラムだけをアップデートしており、別 の 25 % はソフトウェアをできる限り最新にしている。旧式のソフトウェ アでやっていくことに関して興味があれば、Matt Neuburg の TidBITS-494 の記事“ゾンビ・ソフトウェアの夜への長い一日”をご覧いただきたい。 [JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=56>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05519>

クイズのお知らせ:少ないほうが重要 -- 後で Kirk McElhearn 氏がレ ビューする Newton's Telecom Dictionary を買いに走る前に、コンピュー タ用語に関するあなたの知識を試してみよう。今週のクイズは、子供向け テレビ番組 Sesame Street で有名な“他と似ていない用語はどれか”とい うテストだ。4 つの用語を挙げてあり、そのうちの 3 つは互いに関係があ る。関係ない一つを見つけるのがあなたの役目だ。 [ACE]

<http://www.tidbits.com/>


BookBITS:コンピュータ用語を把握する

by Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

テクノロジーの進化にともない、コンピュータの性能は向上するが、関連 する用語の数もまた増えていく。18 か月周期で倍増していくと Moore の 法則に謳われているチップの性能には及ばないかもしれないが、コンピュー タ用語も似たような速度で増えているのではと感じるときがある。近年登 場した言葉には、ビデオのストリーミング、DSL、XML、ポータル、WAP、 FireWire、USB などがある。TidBITS の読者ならこれらの単語を目にした ことがあるだろうし意味もご存知ではないだろうか。では“beepilepsy” “stovepiping”“IEEE 1394”といった言葉はどうだろう。これらを Web で検索して意味を調べることができるが、それらすべてをひとつのまとまっ た形で持つには、アップデートされる辞書が必要になってくる。ハードディ スク、RAM、CD-ROM のよな避けては通れない基本用語さえ押さえておけば 何とかなるという方が大半かもしれないが、コンピュータ業界に携わって いて言葉を正確に使おうとする者にとって、優れた専門用語辞書は不可欠 である。

Harry Newton 氏の『Newton's Telecom Dictionary』(Telecom Books 社 発行、32.95 ドル)はあらゆるコンピュータ辞書のもとともいえる存在だ。 たちどころに時代遅れになってしまうのが宿命のこの辞書には、コンピュー タ、ネットワーク、テレコミュニケーション関連の最新用語が収録されて いる。タイトルだけを見てそっぽを向いたりしないように。最初はテレコ ミュニケーション辞書として出発したが、時とともに、コンピュータ辞書 の役割も備えたものに変わってきた。現在は第 16 版になりページ数も 1,000 を超えている。(少なくとも 2 〜 3 か月の間は)これに出ていな いコンピュータ用語を見つけるのは至難の業であろう。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ISBN=1578200539/ tidbitselectro00A/>

コンピュータ用辞書は、時代遅れにならないようにするという大きな課題 を抱えている。絶えず進歩するテクノロジーに付いていくのは、辞書を編 集する側にとって大変なことである。Harry Newton 氏は半年置きに辞書を アップデートしている(版が上がるのは年に一度だが、その間の半年の時 点で版番はそのままに中間アップデートが行われている)。氏によれば、 一週間に 100 個の割合で新語を追加しているとのことだ。だから、いつ買 うにせよ、次の版が出るまではおおむね時代に付いていっているとみなし てよい。

Newton's Telecom Dictionary という名前を持ちながらも、これは辞書以 上のものである。事典と呼んでも差し支えないぐらい細かな定義が出てい る(4 ページにわたるものもある)。良く書かれているうえに、時折ユー モアのセンスをかいま見ることもできる。例を挙げると“leg iron”の定 義は次のようになっている。“1. [...] 電話工事屋が木の柱に登るために 身につけるもの。2. 逃走しないように囚人にはめておくもの。自分のとこ ろの電話が完璧に動作するようになるまで顧客が、電話工事屋に付けてお きたいと思うもの。”Harry Newton 氏が技術畑でない人を対象にこの辞書 を編集しているのは歴然としており、社内のエンジニア達の話を理解しな ければならない管理職や、コンピュータを学ぶ学生に重宝されるものだ。

さらに、この辞書には、A から ZZF までの略語類が数千収録されており、 コンピュータ関連で使用されるごく一般的な略語はカバーされている。し かし、完璧な略語リストは氏の目指すところではない。一般的でない語の 数はあまりにも多いのだ。

Newton's Telecom Dictionary は、コンピュータや言語に携わるすべての 者にとって非常に貴重なレファレンスではあるが、もっと優れたものにす ることができる。紙の辞書は拾い読みする分には良いが、CD-ROM 版やオン ライン版の方が意味を即座に調べたり、定義に出ている単語を検索対象に でき便利だと思う。これがどれほど便利かは、Denis Howe 氏の FOLDOC (Free On-line Dictionary of Computing)を見てみると分かるだろう。 収録数は多くないが、検索語を Google 検索エンジンや OneLook 統合辞書 検索サイトに渡すこともできる。オンラインで略語の元を探したいときは、 昔からある WorldWideWeb Acronym and Abbreviation Server を利用する という手もある。

<http://www.foldoc.org/>
<http://www.ucc.ie/acronyms/>

現行ユーザーにアップグレードのようなものが用意されるとよいのではと 思う。出版業界の(および、厚さ 1,000 ページのものを販売する)収支の 仕組みからすると、出版元がモノという形のアップグレードを行うのはま ず無理だろう。けれど、読者にオンライン利用をしてもらうというのはど うだろう。私だったら、毎年新しい版を買うことはしないが、アップデー トが出ている Web サイトをパスワードを使って利用できるようになるとあ りがたい。

Newton's Telecom Dictionary に対してはこごとはあるものの、テクノロ ジー関連用語を正しく使って文を書く場合だけでなく、用語の意味すると ころを的確に知らなければ場合にも、欠くことのできないレファレンスで ある。これが一冊あると、本棚の場所はとるが、コンピュータ用語を正し く把握することができるようになることは間違いなしだ。

[Kirk McElhearn 氏はフランス・アルプスに住むフリーの翻訳家・テクニ カルライターである。]


Eudora 5.0 が貴方の心を読む

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <kameotak@iea.att.ne.jp>)

今日リリースされた Eudora 5.0 で、Qualcomm 社は同社の人気のメールプ ログラムの弱点を補強し、また革新的な新機能でレベルアップも果たした。 新しい機能の中で最も重要なのは Eudora Sharing Protocol(ESP)という プラグインで、これにより Eudora のユーザーは共有フォルダの内容の管 理をメール経由で自動的に行うことができ、また MoodWatch というメッ セージ中の“辛さ”の度合いを示す新しい技術もある。しかし、まず“やっ と出た”機能から始めよう。

<http://www.eudora.com/>

基本的な入出力機能 -- Eudora が他の一般的なメールプログラム独自 のデータベースフォーマットからメッセージをインポートすることができ ずに不平を言う人が多かった。Eudora 5.0 はとうとう Claris Emailer 2.0 と Outlook Express 5.0 からのメールのインポート機能を加えたが、これ は既存の Eudora ユーザーにとってはあまり興味を引く機能ではなくとも、 Eudora に転向するのが楽になる。他のほとんどのソフトのインポート機能 とは違って、Eudora は遅い Apple イベントに基づいたやり方に頼っては おらず、私が試したところ、数百個のメッセージのインポートも速やかに 行われた。

しかし、元々 Claris Emailer 1.x で受け取ったメールがあるユーザーは 少し苦労するかもしれない。古いバージョンのメッセージは Emailer 2.0 でうまく表示されていても、Eudora ではきちんとインポートされないこと があるからだ。Outlook Express 経由でメッセージを取り入れても改善さ れるわけではないが、結果は違ったものになる。Emailer 2.0 や Outlook Express 5.0 で作成されたメッセージはそれほど問題を引き起こさないが、 それでもメールデータベースを再構築してからインポートをしてみた方が いいだろう(Option キーを押したままプログラムを起動する。Emailer で は Advanced Rebuild を実行する)。そしてもちろん、これらがすべて失 敗したら、かつてうまくいった AppleScript によるスクリプトに頼ること ができる(詳細は TidBITS-528 の“Emailer から Eudora、波乱の道の り”を参照)。Qualcomm はこの問題を認識しており、5.0.1 での修正を目 指している。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05908>

女友達の住所メモ -- Qualcomm はゆっくりと Eudora の大がかりなアッ プデートをいろいろ行っている。たとえば、 TidBITS-488 の“ますます 達者な Eudora Pro 4.2”で議論したような、Eudora Pro 4.2 で根本的に 改良された Search 機能などだ。5.0 では、Address Book がある程度注目 を浴びはするが、出来は 4.2 で新しくなった Search に匹敵するものでは まったくない。基本的に、Address Book の持つインターフェースは Mailboxes ウインドウに似ており、住所録、個人、グループを表す小さな アイコンがあり、今や、Home、Work、Other、そして Notes のタブが増え たおかげで、より多くの情報を蓄積することができる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05469>

この新しい Address Book に悪いところは特にないが、面白いところも特 にない。古い Address Book にフィールドが追加されただけだ。このこと について、Steve Dorner 氏(Eudora の主な作者)は、Eudora 5.0 の Address Book は Palm とのシンクロやメールのメッセージとコンタクト管 理機能の統合など、主に将来追加する機能の基礎固めが主だと語った。明 らかに、Qualcomm は搭載機能チェックリスト原理に基づく競争で Outlook Express 5.0 に対抗しようとしており、改良された Address Book がその ゴールに必要なものだったのだ。

なんらかのコンタクト管理が真剣に必要な人々なら、Eudora 5.0 の Address Book は、Outlook Express の同様の機能のように、ただ思わせぶ りなだけだ。私は Eudora の Address Book が Now Contact に取って代る のを見たいと 思いもしない が、両者の間である程度シンクロしたら評 価したいと思う。個人的には Eudora の Address Book はメールに特化し た機能に専念してほしいと思う。選択したコンタクト情報を含む受信先も しくは送信先のメールを全部素早く探し出す機能はどうだろう。また、 Eudora がコンタクト情報をヘッダに含んで、それを利用して他の Eudora でも History List で自動的にニックネームをもっと完全に作成すること もできそうだ。

Menu 上のスクリプト -- もうひとつ、小粒だが Eudora ユーザーの上 級者の多くが高く評価するであろう機能がある。Scripts メニューが加わ り、Scripts Folder に格納された AppleScript に素早くアクセスするこ とができる(Scripts Folder は Eudora のアプリケーションがあるフォル ダの中の Eudora Stuff フォルダの中にある)。そのメニューの一番初め のアイテムは Open Scripts Folder で、Scripts Folder が Finder 上で 開いたら、その中に使用するスクリプトをなんでもドロップでき、実行す るには Scripts メニューから選べばよい。この感触は悪くなく、ツール バーのボタンにスクリプトを加えることもできる。ツールバーの空いたと ころを Command + クリックし、スクリプトを選べばよい。

嘘、大嘘、それと統計 -- 次のメール使用状況表示機能で、Eudora は再 びメールソフトの基本機能を定義し直した。この機能そのものは主として 楽しむだけのものだが、目新しいうえに日頃私たちがメールの強者を気どっ て自慢するようなデータを取り上げている。毎日受け取るメールの数は? Eudora の Window メニューからアクセスすることのできる Statistics ウ インドウのおかげで、私は毎日およそ 150 通のメールを受け取っているこ とがわかる。これは予想とぴったりだ。Eudora 5.0 のベータ版を使ってい たここ 2 ヶ月の間では、一日平均 148 通、一週間だと平均 1,039 通、 一ヶ月だと 4,519 通のメールを受け取っていた。同じように、私が送信す るメールの数は一日平均 41 通、一週間平均 288 通、一ヶ月平均 1,255 通となっている。もっと面白いことに、Eudora によると私は一日平均 1.8 時間、一週間平均 12 時間 Eudora を使っている。これは単にアプリケー ションが開いている時間ではなく、実際に使用している時間だ。こうした データは年単位でも表示してもらえる。

<http://www.eudora.com/email/features/mailstats.html>

More statistics チェックボックスをクリックすると、作業内容の詳細を 見ることもできる。私の場合は概ね 29 % の時間はメールを書いており、 61 % の時間はメールを読んでおり、残り 10 % は何やらほかのことをして いるらしい。送信メッセージについても、転送、返信、回送、添付書類の 有無などを見ることができる。受信メールについては、添付書類をいくつ 受け取っているか、受信メールの何パーセントを読んでいるかをも知るこ とができる。

生のデータとともに、メールの送信、受信、それに Eudora の使用につい てのグラフも表示してもらえる。グラフによると、Eudora はメールのイン ポートを受信と同じと考えているようだ。というのも、私は一度テストで 1,800 通のメッセージをインポートしたことがあった。この時にインポー トした Emailer 1.x メッセージの日付が目茶苦茶になっていたため、 Eudora は私がインポートをしたのと同じ日に受信したものとして計算して いたのだ。データが不自然に歪曲されるのは嫌だったが、Eudora は実は データを XML テキストファイルとして格納しているので、私は少し数字を いじって修正を加えることができた。

ムードリング -- その昔に気分の変化に応じて色が変わるとされていた ムードリングを憶えておいでだろうか? 多分体温の変化を検知して、体温 が上がれば気分が高揚しているとしていたのだろう。Eudora 5.0 の新機能 に、これと一種似た MoodWatch がある。MoodWatch は Carnegie Mellon 大学の英語学部長、David Kaufer 氏の理論を応用している。Qualcomm が Kaufer 氏の理論を高速なアルゴリズムとして実装したことにより、メッ セージを検査し、人によっては不快に感じると思われる単語や表現を認識 することができるようになったのだ。そもそもの目的は、書いているメッ セージが誹謗中傷に受け取られないか、あるいは受信したメールが中傷メー ルであるかもしれないということを事前に知らせることにある。

<http://www.eudora.com/email/features/moodwatch.html>

MoodWatch は受信したメールも作成したメールも対象とし、すべてのメッ セージについてゼロから 3 個までのトウガラシで“辛さ”の段階を表示す る。トウガラシはメールボックスの新しいカラムに現れ、送信メールの場 合はウインドウツールバーの右側に現れる(トウガラシがゼロの場合には、 氷のようにも見えるアイコンが表示されて冷静であることを示す)。

私は当初 MoodWatch には懐疑的だったが、MoodWatch の評価と意見が合わ ないことはほとんどない。とはいえ、時にはなぜメッセージにトウガラシ が付くかがわからないこともある。たとえば、ListSTAR が毎日私に送って くるログにトウガラシが付いていることもある。これには首をひねったが、 自動応答アドレスあてに送られてくるスパムのタイトルや送信アドレスに 反応しているということがあとになってわかった。

MoodWatch は主として情報を表示するツールだが、少しはインタラクティ ブでもある。MoodWatch の設定パネルで、指定した以上の辛さのメールを 送信しようとすると警告してくれるようにできる。メールボックスウイン ドウでメッセージのトウガラシを Option + クリックし、同じ辛さのメッ セージを選択することもできる。だが、辛さで検索したり、フィルターを かけることはできない。このシステムそのものがやや恣意的なので、検索 やフィルターでは好ましくない結果になる恐れがあるからだ。

私は自分が書いているメッセージの辛さを見るのが結構好きだ。つい先週、 急いで書いたメッセージにトウガラシが 2 つ現れたために文章を書き直し たこともあった。私は言語の使用は臨機応変であるべきだと考えているの で、もしあるメッセージがトウガラシを 3 つ付けたまま送信されなければ ならない事態になったら、それはそれでよろしい。だが、うっかりしてミ スをしそうになった時に Eudora が注意してくれるのは歓迎だ。

MoodWatch について一言。MoodWatch は英語(しかも多分に米語)依存な ので、他の言語を使う場合には結果に幅が出るだろう。また、Eudora 内部 だけのものなので、他のメールソフトを使っているユーザーが辛さ判定を 目にすることはない。それにもちろん、この機能をオフにすることもでき る。

ESP: といってもあなたが考えているものではない -- Eudora 5.0 の最 も革新的な特徴は ESP で、長く言えば Eudora Sharing Protocol という 名前のプラグインだ。根本的には ESP は単純だ。Eudora ユーザーのグルー プの誰もが、ESP がグループのメンバー間で自動的にアップデートの送受 信を行うことによって、フォルダの中身を、各々のマシン上のものと同一 に維持できるようにするものだ。それはすべて通常のメールにて行われる が、自動メッセージに煩わされたりしない。

<http://www.eudora.com/email/features/esp.html>

ほとんどの部分で、ESP 自体で何もすることはない。それはバックグラウ ンドで動作するだけで、たまに、必要なときにダイアログで警告を出すぐ らいだ。だが、グループを作ったり、設定したりするには、“特別”メ ニューから ESP Groups を選択することでアクセス可能な ESP プラグイン のインターフェース内で行うこととなる(もし見つからない場合は、Eudora が見つけられる場所、望ましいのは Eudora Stuff フォルダに ESP プラグ インがインストールされていない)。

ESP グループは、共有フォルダ自体(デフォルトでは書類フォルダの ESP Group フォルダの中に作られる)、グループからのメッセージを保存する Eudora メールボックス、そして、グループ宛ての送信メッセージに適用さ れる Eudora パーソナリティを含む、いくつかのパーツから成っている。 また、ESP グループにはユーザーのリストが入っており、各ユーザーは、 フル・メンバー(アップデートを送受信する)、ブロードキャスト・メン バー(アップデートを送信するだけ)、受信メンバー(アップデートを受 信するだけ)、そして、カスタム・メンバー(共有フォルダ内の新規・更 新・削除はカスタム・アクションのセットに従う)の四つの役割の内の一 つを担うことができる。グループのクリエイターは各ユーザーを招待する ために ESP そのものを使用する。クリエイターは特別な設定ファイルを添 付したカスタム・メッセージを作成すし、招待を受けた側の ESP がニュー スグループに参加できるようにする。グループのクリエイターは、個々の 招待客の初期の役割設定や、その人間が、彼、または、彼女の役割を変更 しようと試みた際に表示される警告を設定できるが、コントロールは究極 的には個々人に委ねられている。

共有フォルダ内の一つのコピーに何か変化が起きた場合には、ESP は必要 なファイルを、遠くにある ESP のコピーにどんなアクションを取るべきか の指示と共にまとめ上げ、メッセージを送るのだ。そうすると、受信者側 の ESP は、ファイルを開封し、指示を確認して、皆の共有フォルダをシン クロナイズするための必要なアクションを遂行するのだ。

人々がどのように ESP を使うか正確に予想するのは困難だ。ESP は更新や 削除された文書を複数バックアップするのには良いが、メールは非接続の 状態を前提としているために、同時期に 2 人の人が同じファイルを修正す ることが可能だからだ。簡単に言えば、中央集権化されたサーバ上の一つ の共有フォルダを持っていてそれに依存している場合には、ESP がメンテ して配布する共有フォルダに切り替えるのは、苛立たしいだろう。あなた には、ファイル上で誰が作業していたか、あなたのフォルダがすべての直 近の変更を有しているか、決して分からないからだ。私の感じでは ESP は 複数の人達が頻繁に更新する文書を共有するには理想的でない。

ESP の優秀性はグループ間でメールによるファイル配信を容易にする場合 に発揮される。たとえば、今、私が Web サイトのコンテンツを作成・更新 していて、私が常にいろんな場所にドラフトや最終稿をメールしている場 合だ。私が更新版を受け取った場合はその反対となる。それはまったく新 しい文書となり、変更点は手動で併合しなければならない。もし私達が ESP を使っていたなら、私が気を付ける必要があるのは共有フォルダ内の文書 の現在のバージョンのみで、トラブルに備えて複数のバックアップ版を取っ ておくように設定できる。ESP のもう一つの用途は家族写真用共有フォル ダのメンテにあるかもしれない。家族の一員が単に写真をフォルダ内にド ロップすることで、それらを家族全員に送れるからだ。

全体的に ESP は素晴らしいと思う。何故なら、それは、今日では誰もがす ることであるメール経由でのファイル共有作業に、知性を持ち込むからだ。 ESP を設定するのは、グループでファイルを共有する現在進行形の必要性 が予想される場合のみだろうが、その機能は、他のメールプログラムに依 存している人でも、特別な POP メールアドレス(たとえば、Apple の iTools 経由や Yahoo Mail 等)を設定し、ESP のファイル・シンクロナイ ゼーション機能のためにだけ Eudora を動かすことを検討させるのに、十 分なものがある。幸い ESP はクロスプラットフォームであり、Windows 版 Eudora 5.0 を使用している人達も ESP グループに参加できるのだ。

<http://www.apple.com/>
<http://mail.yahoo.com/>

アップグレードの詳細 -- Eudora 5.0 は Qualcomm 社としてユーザー からお金を取るアップグレードとしては、実に 1998 年 1 月の Eudora Pro 4.0 以来はじめてのものである。お金を払わなければならないかどうかは、 現在どのバージョンの Eudora を 使っている かによる のではなく 、 最後に お金を払って購入した のはどのバージョンかによる。もし購入 したのが Eudora Pro 4.0 か 4.2(その後無償のアップグレードを利用し て 4.3 にしたかどうかにかかわらず)であれば、アップグレードは 30 ド ルである。しかしながら、Eudora 4.3 を Sponsored か Light モードから Paid モードに変えるために購入したのであれば、5.0 へのアップグレード は無料となる。

<http://www.eudora.com/email/upgrade/>

もし現在 Eudora 4.3 を使っているのであれば、自分のステータスを確認 して Eudora 5.0 をダウンロードする方法がある。それをするには、まず Help メニューから Payment & Registration を選択し“Find the Latest Update to Eudora”ボタンをクリックすればよい(ただしこのときインター ネットにつながっていなければならない)。そうすれば、Eudora にはウイ ンドウが現れ 5.0 は入手可能であることを表示する、そしてもし Paid モードで動かしているのであれば、Paid モードで 5.0 を走らせるにはお 金を払わなければいけないかどうかを知らせてくれる。ダウンロードサイ ズは 4.7 MB である。もしアップグレードしなければいけないのであれば、 Eudora 5.0 を最初に走らせた時、引き続き Paid モードで走らせるために はお金を払わなければならないことを告げ、Qualcomm 社の Web サイト上 で支払いをするためのリンクへとつないでくれる。このとき Eudora は Paid モードのまま一時間動き続け、支払い処理が受理され Qualcomm 社の サーバが登録コードをメールバックしてくるのを受信するまでのために十 分な時間を与えてくれる。

もしまだ 4.0 か 4.2 から 4.3 にアップグレードしていなければ、まず 4.3 にアップグレードしてそれから上記のやり方に沿ってやる必要がある。 もし 4.0 以前の Eudora のバージョンをお使いならば、正規の金額 50 ド ルを支払わなければならない。

もちろん、ただで Eudora 5.0 を使いたければ、Light モードで(ただし 多くの先進機能は、とりわけこの記事でとりあげたものほとんどを含んで、 使えない)か、Sponsored モードで(このモードでは Eudora の持つすべ ての機能が使えるが、広告を見ることを要求される)可能である。

どんなアップグレードでも言えることだが、問題は新バージョンがその手 間とコストに値するかどうかである。Eudora 5.0 の場合、答えはあなたの 置かれた事情によって大きく異なる。

Qualcomm 社がこれをなぜ 4.5 とかではなく Eudora 5.0 と名づけるよう 決めたのかの理由はあまり明確には見えない。このバージョン番号のは、 推測するに競合製品である Microsoft 社の Outlook Express 5.0 の、こ れもまた Internet Explorer 5.0 に合わせて人為的に上げられただけであ るが、影響を受けたものであろう。

それよりも中身について言えば、MoodWatch や ESP はかなりの重要機能で はあるが、Eudora Pro 4.2 で登場したインラインスペルチェッカーや検索 機能に比べればインパクトは小さい。そして Eudora 4.3 での変更のほと んどが Light、Sponsored、そして Paid モードへの移行がらみであった が、これも本来であればメジャーアップグレードを引き起こすきっかけと してもっと意味があったと思う。現実を見たときに、Eudora 4.3 の購入者 のみが無償のアップグレードを受けられるというのも、Qualcomm 社から無 償で新機能を受けることができた期間の長さを考えれば理解できるもので あろう。どうもこれが鍵となりそうである - 今後は、Eudora を入手する のにお金を払った人は、支払いしてから 1 年間はアップグレードは無償と なるであろう。

自分の置かれた事情がどうであれ、Eudora 5.0 は色々な意味で信頼の置け るアップグレードである。もちろん今回もこのプログラムのまだ残された 欠点(たとえば、フィルタの全構造は改良を求めてきしんでいる)はその まま手つかずではあったが、アップグレードとしても、あるいは他のメー ルプルグラムの代替としても、真摯な考慮に値するものである。


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