TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#555/13-Nov-00

Mac OS 9 キーチェーンと AppleShare サーバのマウントをほったらかしに してあって、マウントできなくなったことに腹をたてていないだろうか? その解決方法と、Mac OS 9 でサーバを扱うことに関するうまく文書化され ていないその他の情報をお読みいただきたい。Matt Neuburg は Impossible Software 社の TypeTamer を扱ったコラム「TidBITS ご用達ツール」で再 登場し、Steve Becker 氏は Mac P&L 会計パッケージでこれに加わる。今 週のリリースは RAM Doubler 9.0.1(Office 2001 とのコンフリクトを解 決)と GraphicConverter 4.0 である。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/13-Nov-00

(翻訳:吉田 節 <benjamin.takashi@nifty.ne.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <kameotak@iea.att.ne.jp>)

RAM Doubler 9.0.1、Office との不整合問題修正 -- Connectix 社は RAM Doubler 9.0.1 をリリースした。これは我々が TidBITS-552 で Word 2001 のレビュー時にも指摘していた Microsoft Office 2001 との 不整合問題を解決している。しかしながら、Sleep 設定で Preserve Memory Contents をオンにして使っている iBook の所有者はこのアップ デートではそれを切らなければならない、さもなくば iBook はスリープ したときクラッシュしてしまう。そしてまた、RAM Doubler のメモリー設 定もこのアップデートをあてた後は自動的に Double に再設定されてしま う。RAM Doubler 9 の所有者は無償パッチをそのままあてればいいが、 RAM Doubler 8 の完全版の所有者にとってはこの無償パッチをあてること でソフトウェアが 9.0.1 にアップグレードされることはうれしい驚きで あろう。( TidBITS-514 の “Connectix 社が RAM Doubler 9 の無償アッ プグレードを配付”参照。)このアップデートは 354K のダウンロードで ある。[JLC]

<http://www.connectix.com/products/rd9_upgrade.html>
<http://support.microsoft.com/support/kb/articles/Q272/8/04.asp>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1183>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05776>

GraphicConverter 4.0 イメージの優れもの継続 -- Lemke Software 社 の GraphicConverter の改版履歴を見るまでは、グラフィックファイルに これ程多くのフォーマットが存在するなどとは誰も想像しないであろう。 GraphicConverter 4.0 のリリースで、Lemke 社はこの手放せないイメー ジアプリケーションがインポートあるいはエクスポートできる 130 のフォー マットにさらに数種類を追加している。加えて、この新バージョンでは数 多くのバグ修正と小改良を行っている。それは AppleScript のサポート 改善から破壊された GIF および Photoshop ファイルも扱えることまで及 んでいる。整数桁でのバージョン番号の改版となってはいるが、 GraphicConverter 4.0 は大きな機能改善アップグレードではない;Lemke Software 社は単に 3.x 台での番号を使いきってしまっただけである。 GraphicConverter はシェアウェアで、ヨーロッパでは 30 ドル、その他 全世界で 35 ドルであり、2.4 MB のダウンロードとなる。[JLC]

<http://www.graphicconverter.net/>

アンケートのお知らせ:前進するには、その前に... この号では、Adam が起動時に Mac がリモートサーバにつながってしまうのをどうやって止 めるかを追跡するややっこしい話を扱っている。これ自体はまあ気障りだ 程度であるが、もっと深刻なシステム異常は必要以上に起こりがちで、し かも起こるときは何の警告もなしに突然やってくる。あなたは大丈夫です か?とりわけ、あなたの大事なデータを危険に陥れかねない事態に対して? 最良の防御はいまだに定常的なバックアップを取ること以上のものはない し、このことについては TidBITS でも(最近はあまりやっていないが) 徹底的にとりあげてきた。そこで、突然ではあるが抜き打ち検査をしたい: あなたの最新のバックアップはいつ取ったものですか?今日?先週?数カ 月前?それとも、バックアップを取るということ自体、大型トラックがク ラクションを鳴らして迫ってくるイメージですか?ちょっと今やっている ことを中断して TidBITS ホームページを開き知らせて欲しい!(これは TidBITS Electronic Publishing の Public Service Poll でした。もう、 やりかけ途中だった通常の仕事にお戻りになって結構です。)[JLC]

<http://www.tidbits.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1041>


TidBITS ご用達ツール:Type Tamer 復活

by Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
(翻訳:蒲生 竜哉 <gamo@lib.bekkoame.ne.jp>)

1995 年のこと、Tanya は Impossible Software 社のフォントユーティ ティ、TypeTamer 1.0 を紹介した。翌年、私は Macworld Expo でこのユー ティリティを購入したのだが、すっかり気に入ってしまった。1998 年に なると一部のアプリケーションとのコンフリクトを経験するようになり、 これはマシンやシステムやアプリケーションが進歩するにつれ悪化の一途 を辿った。最終的に私はこのユーティリティを使うのを諦めざるを得なく なってしまったのだが、以来ずっと私はこのユーティリティのことを惜し んでいた。そしてついに、これが TypeTamer 2 となって復活した。一ファ ンとしてこんなにうれしいことはない。もし大げさに聞こえたらどうか許 して欲しい。でも私は本当にこのユーティリティが好きなのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=01321>
<http://www.typetamer.com/>

TypeTamer はコントロールパネルと機能拡張で構成されるフォントメニュー オーガナイザーだ(それ故、Action WYSIWYG や Adobe Type Reunion と は一緒に使うことができない)。TypeTamer はあらゆる場所のフォントメ ニューを標準のものから自分のフォントメニューに置き換える。たとえば Nisus Writer のメニューバーにある Fonts メニュー、FrameMaker の Format メニューの中にある Font サブメニュー、Eudora のメッセージウ インドウ内の Font ポップアップメニュー、Word 2001 の Formatting Palette 内の Font セクションなどなど(Shift キーを押しながらクリッ クすることで一時的にシステム標準のフォントメニューを表示させること も可能だ)。TypeTamer のフォントメニューの機能は主に次の 5 つだ。

<http://www.unisoft.co.at/products/popchar.html>

これらの機能を実現するため、TypeTamer はシステムの甚だ深い場所で働 く。したがってコンフリクトが起こる可能性は多々ある。しかしながら、 今のところ私は特に深刻なトラブルには見舞われていない。TypeTamer は 私の HyperCard スタックのウインドウをみんな青くしてしまったし、ま たすべての機能がすべてのアプリケーションで動くわけでもない(たとえ ば、特殊文字を入力する機能は Nisus Writer では動かない)。しかしこ れらの問題は些末であり、少なくとも私にとっては無視できるものだ。あ なたもどうか一度 TypeTamer のデモ版を試して実際にこのユーティリティ を見てみて欲しい。もしあなたが私と同じタイプの人間であれば、なぜ今 までこれなしで暮らしていられたのか、きっと不思議に思うはずだ。

TypeTamer 2 の価格は 50 ドル、4 MB 以上の空きメモリを持った System 7 以降の Mac で動作する。30 日間のデモ版もあり、こちらのダウンロー ドサイズは 664 K。

<http://www.typetamer.com/demo/demo.cfm>


Mac P&L で会計業務を簡単に

by Steve Becker <steve@macease.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :尾高 修一 <shu@pobox.com>)

仕事用マシンとして Mac と PC のどちらを買うかを決める時に思い起こ すべき金言がある。「まず、必要なソフトを見つけ、それからハードを決 めよ」というものだ。世界最高のコンピュータであろうとも、必要なソフ トが使えないなら、無用の長物と化す。

的を射ていないというのに、歳月を経ても変わらない通念があるのはおも しろい。私の所有していた卸しの会社が急成長中し、1991 年に請求書作 成や在庫管理システムを即座にコンピュータ化する必要に迫られた。当 時、Macintosh はハードはすばらしいが、ソフトが揃っているのは PC だ と言われていた。実際、私が相談を持ちかけた“見識のある”人達の大半 が、唯一のできのよい会計ソフトは PC 版しかないと言った。

Mac 版の会計ソフトを時間をかけて検討してみようとしたのが幸いして、 Accountant, Inc. という名前の優れたプログラムを見つけることができ た。この製品は、数社の手を経て Mac PL という製品になり、現在は Aatrix 社から出ている。最初に見つけてから 10 年経つが、Mac 用ので きのよい会計ソフトはないと言われているままなので、今こそ、そのよう な認識を正すべきであろう。Mac PL は地球上でもっともユーザーフレン ドリーなコンピュータで、パワフルでありながらも使いやすい会計ソフト を利用できるという優れものだ。

<http://www.aatrix.com/1.800.426.0854/macpandl/>

複式簿記、仕訳日記、記帳取消し、費目一覧などのことを考えただけで、 冷や汗が出るという方は、ぜひこのままこのレビューを読んでいただきた い。Mac PL を使えば、分かりづらいインターフェースに悩まされること もないし、会計や簿記に関する知識がなくてもちゃんと会計処理ができる のだ。それどころか、Mac PL が会社の重要な財務関連の事柄をいかに簡 単に処理してくれるかを見て驚くかもしれない。

会計業務をお好みのまま -- Mac P&L は現金と発生主義会計の両方をサ ポートしており、商品用の請求書でもサービス用の請求書でも作成でき、 統合した方法で業務を管理できるようになっている。つまり、在庫台帳、 請求書、発注書、給与台帳、買掛勘定、売掛勘定、元帳などがすべてリン クされており、プログラムのどこか一箇所で記帳をすると、その項目が当 てはまるところが自動的にアップデートされるようになっている。このプ ログラムに用意されている各種コンポーネントへのアクセスは、上手にま とめられているメニューやツールパレットから簡単に行える。

Mac PL に付いているレポート生成プログラムでは、多様なレポートを作 成したりカスタマイズしたりできるようになっている。Mac PL では、 Inventory、Vendor、Customer、Project、Company などのカテゴリ別にレ ポートがグループ分けされていて便利である。それぞれのカテゴリで、出 力したいレポートを選び、期間やソート基準などのパラメータを設定でき る。レポートに加えて、請求書、発注書、見積書、明細書、掛売書などの 書式をカスタマイズする機能が最近加わった。

モジュール一つ一つもかなりのところまで手が届くようになっている。た とえば、在庫管理モジュールには、製品とそれに必要な部品をリンクして 管理するすばらしい機能が備わっている。在庫部品から製品を組み立てて いるメーカーは、この機能を使って、製品が完成するとそれを在庫に入れ た時点で、自動的に在庫表から部品が削除されるようにできる。また、す べての在庫品目に関し、在庫薄になると警告を出してくれるという機能も あり便利である。

他のプログラムでは利用できるが、Mac PL モジュールには付いていない という機能がある場合には、AppleScript で Mac PL を他のプログラム にリンクすることができる。Mac P&L を FileMaker Pro や Excel のよう なデータベースや表計算とリンクでき便利だ。また、WestCode 社から出 ている優れたマクロであり自動化ユーティリティである OneClick も Mac PL でちゃんと動作する。

<http://www.westcodesoft.com/>

私は、大切なデータは定期的にバックアップするようにと常々声を大にし て言っているが、Mac PL は独自のバックアップ機能が備わっており楽に バックアップできる。さらに、Mac PL で記録している事業が個別のファ イルとして Mac PL フォルダにできるので、各ファイルをコピーすれば バックアップが簡単にとれる。(さらに、すべての重要なデータ、なかで も特に重要な財務記録は、異なるディスクに複数バックアップし、その内 の一つは離れたところに保管するようにするのがよい。)

Mac P&L の機能をすべて並べあげるのは、多すぎてここでは無理だが、大 事な機能を挙げておこう。パスワードセキュリティ、複数の口座への対 応、簡単にできる記帳取消し処理、会計の検査、自動化された年度末処 理、販売記録のトラッキング、売上税の計算およびトラッキング、複数事 業へのサポート、無制限の顧客数、プロジェクトのトラッキング、見積を 元にした請求書作成、在庫管理ラベルの印刷、複数の住所をもつ顧客への 対応、バックオーダーのトラッキングがある。Aatrix には、Aatrix Payroll という自慢の強力なスタンドアロン給与台帳というのがあり、こ の機能を元にしたものが Mac PL に組み込まれている。

そして、Mac PL に付いているマニュアルには、新規事業を始める際の会 計システムの導入から、既存の事業に会計システムをいかに組み込むかの 両面について詳しく書かれている。帳簿の設定方法がわからない(また は、新規事業の帳簿一式をどのように作成すればいいか分からない)とい う場合は、簿記のできる人か会計士に手伝ってもらいたいと思うかもしれ ない。しかし、製品に付属してある事業サンプルに加えて、数々事例を見 たり、同梱のマニュアルに出ている説明を読めば、人の助けなしでやって みようと思うかもしれない。同社は、Mac PL 公認顧問のリストも一緒に 付けてある。

小さな願い -- これまで何年もの間、私は Mac PL の信頼性と使いや すさには満足してきた。とはいえ、追加してほしい機能もある。

まず、Mac P&L で小切手を作成するためのデータ入力が面倒だ。公平を期 すために加えておくと、これは多くの会計ソフトにあてはまることではあ る。手順自体は難しくないのだが、毎月繰返すエントリを簡単に入力でき るようにはしてくれないし、カスタマイズした支出レポートを手早く出力 するためにエントリにカテゴリを付与するということができない。このあ たりは Quicken を見習ってほしいものだ。

<http://www.shopintuit.com/q2001/q2001mlps/index.asp>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04651>

この問題を回避するため、私は小切手の管理には全面的に Quicken を 使っている。Quicken の素晴らしいデータ入力まわりの機能や柔軟なレ ポート出力機能のおかげで、手早くデータを入力し、どんなレポートでも 出力することができる。

「それは大いに結構、でもどうやって Mac PL の元帳を更新したらいい のだろう?」と思う方もいるだろう。元帳を更新する際には、Quicken で サマリレポートを作成し、合計を仕訳日記帳経由で Mac PL 元帳に手動 で入力する。楽勝だ。さらに、Quicken は私が最も頻繁に使うレポートの 条件を“憶えて”おいてくれるため、Quicken レポートを出力するための 条件を毎回入力する必要がない。この方法が万人向けのものであるとは思 わないが、これでかなりの時間が節約できるという場合もあるだろう。

Mac PL の在庫管理モジュールには便利な機能が盛り沢山だが、Aatrix 社が段階的な価格設定をできるようにしてくれることを期待している。こ れで販売数に応じたディスカウントを簡単に処理できるようになるから だ。また、海外の顧客との取引がある企業には、通貨変換機能もあってく れるとありがたいだろう。その際オンラインの変換レートを参照するとい うのはどうだろう。

最後に、Mac PL のフォームカスタマイズ機能は強力で歓迎すべきものだ が、ユーザーインターフェースに紛らわしいものもある。たとえば、選択 したオブジェクトに“ハンドル”が現れるが、それを使ってオブジェクト をドラッグすることもリサイズすることもできない。アクティブなオブ ジェクトがドラッグされるということを示すように、カーソルが手に変わ るということもない。選択したテキストのドラッグ & ドロップもできな い。印刷したフォームが、画面上で見たフォームテンプレートと必ずしも 一致しないというのは腹立たしい。このため、フォームをカスタマイズす る際にかなりの時間を無駄にすることになる。最終的な結果は満足できる ものとなるのだが。

総計 -- Mac PL は使っても素晴らしいし、Macintosh にも優れた会計 ソフトが存在することを証明するものでもある。たった一人の個人事業で も、中規模の企業でも、Mac PL は大いに検討に値するだろう。Aatrix の Web サイトに Mac PL に関するより詳しい情報(と無料のデモ版)が ある。

<http://www.aatrix.com/>

シングルユーザー用の Mac PL の価格は 199 ドルで、優秀なマニュアル と先述の給与管理ソフトが付属してくる。マルチユーザー版も 999 ドル で販売されている。Mac P&L には System 7.0 以降、15 MB の空きハード ディスク、それに 5 MB の空きメモリがある Macintosh が必要だ。

[Steve Becker 氏は Mac コンサルタントであり、著述家であり、プログ ラマでもある。Steve が執筆した記事や、高く評価されているシェアウェ アユーティリティは Steve の Web サイトで公開されている。]

<http://www.kagi.com/MacEase/>


AppleShare サーバのマウントとアンマウント

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)
(  :松岡 文昭 <fumiaki@kamakuranet.ne.jp>)
(  :敦賀 康子 <hiroki-tsuruga.soul75@nifty.com>)

Mac OS の強みの一つは、古くからの AppleShare サーバや Personal File Sharing によるサーバとの継ぎ目のないネットワークだ。いや、こ ういったサーバを使っているときに特別その継ぎ目が目立たない、といっ た方がいいだろう。ローカルのハードディスクでできることが、リモート にあるサーバのボリュームで同じようにできない、というのはほとんどな い。しかし AppleShare サーバとの接続を設定したり、終了したりする過 程は、長い間厄介な問題だった。何年もの間、セレクタは最初にサーバに 接続する際の唯一の方法だった(もっとも、たいていの人はそれからよく 使う項目のエイリアスを作成した)。Mac OS 8.5 では、Apple 社はセレ クタの他にネットワークブラウザを加えたが、セレクタを使うという古い やり方も、少なくとも私のところでは根強く残った。特に、ネットワーク ブラウザができないことの一つに、AppleShare サーバのボリュームを起 動時にマウントする設定ができないというのがあるからだ。

Mac OS 9 では、Apple は AppleShare サーバのボリュームを起動時にマ ウントするという問題に対処しようとした。セレクタを使わなくても起動 時にマウントするボリュームを設定できるようにし、Mac OS が謎めいた AppleShare Prep ファイルに頼るのを、AppleShare サーバのパスワード の保存にとどめた。残念ながら、このよかれと思ってやった修正が、 AppleShare サーバ長年のユーザーにはいくつか問題を引き起こし、その 問題は Apple による変更に関するドキュメントが最小限しかないため悪 化した。

サーバフォルダ -- ネットワークブラウザにより、ユーザーはセレクタ をなんとか避けることができたが、もしサーバを起動時にマウントする設 定に(またはその設定を解除)したければ、Mac OS 8.5 と 8.6 では依然 としてセレクタが必要だった。その情報はずっと初期設定フォルダの AppleShare Prep ファイルに保存されていて、そのファイルをゴミ箱に捨 てることが、サーバのマウントに奇妙な問題があるときの素早い解決策で あることを、経験のあるユーザーは知っていた。

Apple はセレクタに頼るのを減らそうと決め、同時に、サーバという特別 なフォルダを Mac OS 9 のシステムフォルダの中に作り、起動時にマウン トする設定のサーバのボリュームに関する情報を目に見えるようにした。 サーバボリュームのエイリアスをそのフォルダに置くと起動時にマウント されることになり、Apple は AppleShare Prep ファイルを使う代わりに エイリアスを作成するようセレクタを変更した。サーバのボリュームのエ イリアスをシステムフォルダにドラッグして、自動的にサーバフォルダに 置くことも可能である。サーバボリュームをネットワークブラウザからド ラッグすることも同様の効果がある。

この状況全体での主な問題は、Apple がほとんどドキュメントを作成して いないことである。Finder の Help メニューから利用できる Mac ヘルプ では一言も触れられておらず、Apple の Tech Info Library で情報を見 つけだすのにもすこし手間がかかった。

<http://til.info.apple.com/>

私がこのミステリーに遭遇したのは、私たちの MP3 コレクションを保存 する家庭内ファイルサーバを、2GB の外付けハードディスクが 2 つつい た Power Macintosh 8500 から、60 GB のハードディスクを内蔵した 6400 に最近変更したときだ。台所用 Mac として、PowerBook G3 を使用 し、MP3 をプレイさせているので、始終サーバにアクセスする必要がある。 最初はサーバの 2 つのハードディスクを起動時にマウントするよう設定 していたが、PowerBook が再起動するまでに何週間も何ヶ月も間があるの で、サーバを変えたことを忘れてしまっていた。それでも、Mac OS X Public Beta で Classic 環境をクラッシュさせる原因にならなければ、 起動時にパスワードを尋ねるうっとうしいダイアログボックスも我慢して いただろう。そこで私は問題を取り除くことに決めた。

問題を解決するまでに、かなりの時間とトラブルシューティングへの努力 を費やした。(歴史的な解決策である)AppleShare Prep ファイルの削除、 最小限の機能拡張のセットでの起動、デスクトップの再構築、PRAM クリ ア、キーチェーンの削除、初期設定フォルダの一時的な交換、そして Mac OS の再インストールまでも試みた。どれも効き目がなかった(しかし今 思うと、Mac OS のクリーンインストールは効き目があったかもしれない)。 それで結局エイリアスを全部探し、どれかが関わっていないか様子を見る ために手動で削除し始めた。そのときになって 2 つのもはや存在しない ハードディスクのエイリアスを含むサーバフォルダを発見した。そのエイ リアスを捨てると、問題はたちまち解消した。それから、この問題につい て Tech Info Library で学ぶのはそんなに難しくなかった。もっとも、 “connect、server、startup”ではたった 1 つしか役に立つドキュメン トを発見できなかった。AppleShare Client 3.8.6 の ReadMe だ(これで かなりよい情報が得られる)。“Servers folder”で検索してやっとサー バフォルダの正体を説明する記事を見つけたが、それが何の代わりかは説 明していなかった。

<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n58523>
<http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n60544>

しかし、いずれにせよ、Apple は解決策を公開していたわけで、Tech Info Library に答えがあるのに時間を使って退屈なトラブルシューティ ングをずっとやっていた責任のいくらかは自分で引き受けなければならな い。

クイズの結果 -- 先週のクイズでは 40 パーセント強の回答者のみが正 解を選んでおり、そのことからこの変更に無知でいたのが私だけでないこ とが明らかとなった。次のおよそ 30 パーセントが AppleShare Prep ファ イルを削除するという旧来の方法を知っていて、 20 パーセント以上が Control キーで何かをするものと考えていた(そうではない − TidBITS-529 の“Macintosh の起動に手を加える”で学習したようにで 起動時に Control キーを押し続けると MacsBug ディバッガーにすぐ落ち るか、作業環境マネージャーのモジュールが選択できるのだ)。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=64>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05922>

キーチェーン -- ここでのさらなる問題は、起動時にマウントするサー バへのパスワードの保存に、Apple がキーチェーン(Mac OS 9 以降)に 新たに依存するようになったことだ。それは不当なアプローチではない。 キーチェーンのセキュリティは疑いなくも AppleShare Prep ファイルに パスワードを保存するより良いからだ。従来はセレクタがそのようなサー バ用の名前とパスワードを AppleShare Prep ファイルに隠し持たせてい た。

不幸なことに、パスワードの保存でキーチェーンに依存するということは、 サーバ・ボリュームをまったくその場にいずにマウントすることが不可能 となることを意味する。サーバへのパスワードを入力する必要はないかも しれないが、キーチェーンのパスワードはある時点では入力しなければな らない。パスワードを設定しないでおくことは可能だが(セキュリティ対 策では愚考だ)、パスワードを聞いてくるダイアログボックスには答える 必要がある。このようなやり方でセキュリティの向上を図ろうとする Apple と、筋の通らない議論を展開するのは難しいが、多くの人達が常に 使用する内部の AppleShare サーバではどのようにしても外部の世界には アクセスできないのだ。その場合、キーチェーンに新たに依存することは、 実際にはサーバへの完璧な自動マウントという機能性を Mac OS から損な うのだ。

Apple はこの問題でもどう対処すべきか公式文書で語っていない。私は Tech Info Library で解決策を見つけることができたが、それは名目上は 異なった問題に対するものであった。どうしても一つかそれ以上の AppleShare サーバ・ボリュームを、何らの注意も払うことなく、起動時 にマウントしたいのなら、スクリプト編集プログラムで AppleScript を 一行書き、アプリケーションとして保存し(保存ダイアログでは、「実行 後、自動的に終了しない」はチェックせず、「初期画面を表示しない」を チェックする)、起動項目に入れておくのだ。スクリプトは以下のような もので、適切なボリュームとサーバを引用符の中に納める(引用符はその まま)。ゲストアクセスを使用してサーバにアクセスするのでない限り、 ユーザーネームとパスワードも入れなければならないが、もちろん、この パスワードの露出によって他のパスワードが危うくなくならないようにし なければならない

    mount volume "volumename or URL" on server "server" as 
    user name "user" with password "password"

もう一つ忘れてはならないことがある。何らかの原因でサーバがオフライ ンとなっているのが分かっている場合は、起動項目フォルダからスクリプ トを取り除くように。スクリプトは優美にエラーを取り扱ってはくれない からだ。

物語の教訓 -- 幽霊サーバのボリュームを、起動時にマウントするよう 試みた問題を解決するのに時間がかかりいらいらした。しかし、最終的に は何かを学んだことになるのであまり気にならなくなったし、それについ て書くことによって、他の人々が Mac をもっと上手く使えるよう助けに なればと思う。

余談なのだが 2 つの心配事がある。もし、経験の浅い Macintosh ユーザー がこの問題に直面したとしたら、彼らはしばらくの間、苦しむことになる であろう。なぜなら未経験のユーザーにとって、Apple の専門的な文書か ら答えを探すのは荷が重いからである。文書は今日では不必要なものとさ れている。プログラムが素晴らしく使い易いため、トラブルはゼロに等し く、起きてもごく僅かだからである(Dr. Seuss、ごめんなさい)。この 皮肉でしこりが残らないことを願おう。いくつかの良い実例にもかかわら ず、現在の産業における文書の総体的な状態は哀れである。

第二に、Mac と AppleShare ネットワークにおけるこの状況が示すように、 私の多くの経験はもはや役に立たない。それは Apple が一つの小さなこ とを変更したからである。私は Mac OS X パブリックベータ版を使ってみ た。それにはきっと変更が行われると思うが、私は次のようなことがこれ からも心配だ。それは、現在の 多くの Macintosh 専門家がこの先 Mac OS X のまったく新しい環境の中で途方に暮れるだろうということである。 たとえそれが使い易いとしても、それは必ずしも問題解決が簡単であると いうことではない。我々は常に多くのトラブルシューティングが必要ない よう願うが、最初のリリースはせいぜい楽観的なものと仮定した上での話 である。

解決策?前の段落に書いたように、それは文書である。そして私は Apple がこれからもう少し多くのオンラインヘルプを提供することを望む。文書 は単なる文書化よりもっと多くのことを行うべきである。文書は説明し、 教え、バックグラウンドを供給し、あるいは読み手が探究するような気持 ちを起こさせるべきである。専門的なマニュアルは小説ではないが、素晴 らしいマニュアルは別の世界への窓のようなものであり、マニュアルによっ て示された世界は現実なのだ。


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