TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#559/11-Dec-00

Mac OS X は Unix 基盤の上に成り立っているのだが、Mac ユーザーはこ の変化に適応する準備はできているのだろうか?今回、Chris Pepper 氏 は、新しいオペレーティングシステムが Mac ユーザーのみならず、業界 全体にどのような影響を及ぼすのかを分析する。そしていよいよクリスマ スも間近ということで、Arthur Bleich 氏も再登場で年間のベスト・デジ タル・カメラとして選び抜いた製品を紹介する。他に Virtual PC 4.0 の リリースについて取り上げ、2 週間の一時休刊を告知する。(次回の通常 発行は 2001 年 1 月 1 日)

目次:

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MailBITS/11-Dec-00

(翻訳:山下 英治 <vatcanza@fhe.freeserve.ne.jp>)
(  :敦賀 康子 <hiroki-tsuruga.soul75@nifty.com>)

2000 年クリスマス休刊のお知らせ -- TidBITS スタッフが家族と共に 過ごし、新年とサンフランシスコでの Macworld Expo で何が起きてもい いように、体力を回復させるための時期が今年もまたやって来た。2 週続 けて休刊するが、今週の終わりにクリスマスギフト特集号を出す。(ギフ ト特集号の日本語版の発行はなし)その後、来世紀の一番最初の日(カレ ンダーと共に始動だ)の 2001 年 1 月 1 日に発行する。TidBITS Talk はこの時期でも行なわれ、もちろん、注目すべきニュースが飛び込んで来 たら、我々のホームページで読むことができる。読者の皆さんにとって来 年もよい年で、皆さんの夢や希望が実現するようにスタッフ一同が願って いる。個人的には Apple の Mac OS X のエンジニアたちが親しみやすさ や柔軟性、強力さを新しいオペレーティングシステムのデフォルトインタ フェースに復活させるよう、一生懸命働いてくれたらと願う。[ACE]

アンケート結果:新製品の出荷(リリース)と発表について -- 先週号 のアンケートは TidBITS の製品発表と出荷のニュースの取り上げ方につ いてであった。過去において我々は新製品が発表された時ではなく、むし ろその製品が出荷され、発売された時にだけニュースを取り上げてきた傾 向があり、アンケート回答者の 51 % が我々のやり方に賛成している。 回答者のおよそ 3 分の 1 が新製品が発表された時と出荷された時の 両方 にニュースとして取り上げるのが望ましいと答えており、16 % が いずれの時もニュースにしなくてもよいを選んでいる(代わりにその他の 記事を充実させる)。また、2 % が製品発表だけを取り上げればよいを選 んでいる。TidBITS が製品発表に関する記事を変えるかどうかは未定だが、 従来通りのリリース記事に加え、いくつか選んだ製品の発表に関する短い コメントについて検討中である。このアンケート結果と TidBITS Talk で のディスカッションによって、読者が何を望んでいるかを明確にできた。 皆さん、ありがとう! [GD]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=68>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1256>

アンケートのお知らせ:Unix の恩恵 -- 先週号の Cris Pepper 氏の記 事と今週号の結びの記事は、Mac OS X における Unix の活躍を取り上げ たものだが、私たちが Macintosh のスクリーンで目にするものと他の Unix 業界にいかに関連しているかも書かれている。しかし、独自のオペ レーティングシステム(既存の Mac OS)から Unix ベースのオペレーティ ングシステムへの移行は Apple にとって大掛かりな動きであり、来年、 Mac OS X が出荷される時に、この変化がどれくらいの影響を与えるだろ うと皆さんは思っているか興味がある。Mac OS X は皆さんにとって、 Unix のパワーと Macintosh の使いやすさを併せ持った、最高のものにな るだろうか。皆さんは Mac OS X のソフトを主に使い、Unix をたまに探 究する程度になるだろうか。よりよい安定性と保護されたメモリ、改善さ れたパフォーマンスを通して間接的に Unix は皆さんに役立つだろうか。 皆さんに必要なハードウェアやソフトウェアが Mac OS X に適合しない、 または Classic Mac OS 環境で利用できない、などの理由で Mac OS X の Unix カーネルが大きな問題になるだろうか。今すぐ我々のホームページ で投票しよう![GD]

<http://www.tidbits.com/>


Virtual PC 4.0、性能アップ、そして使いやすい設計に

by Adam Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:三好 泰子 <yokomo@mio.to>)

Virtual PC 4.0 へのアップデートを見てわかるように、Connectix 社は、 同社の人気 Pentium エミュレーションソフトウェアを注目せざる得ない ような改良を続けている。性能アップはもちろん最も重要な改良点であり、 前のバージョンの 2 倍以上の速さが可能になったと報告されている。し かし、それと引き替えに Virtual PC 4.0 には、PowerPC G3 か G4 搭載 の Mac が必要になってしまった(G3、G4 アップグレードカードを差した Mac もこの対象範囲であり、古いタイプの PowerMac を使用の方は Virtual PC 3.0 をまだ買うことができる)。Connectix 社の主張による と、PowerPC G4 搭載の Mac においては Virtual PC 4.0 の Velocity Engine によって、MMX 対応の Windows アプリケーションでのマルチメディ アの処理性能は 3 倍にまで向上する。その他のアーキテクチャに関連し た改良点としては、一時メモリの領域を使って Virtual PC 内でエミュレー トされるオペレーティングシステムに対して内部的に 512 MB までの RAM を割り当てること、そして、必要に応じて拡張されて必要なだけの容量し か使わない動的にサイズの変化するディスクイメージ、が挙げられる。前 のバージョンから存在しているディスクのイメージデータの変換は可能だ が、何段階かの処理が必要である。これは、Windows の限界によるもので、 Connectix 社が自身の Web サイト上のドキュメントで変換方法を説明す る予定だ。Virtual PC 4.0 では、ウインドウのサイズ変更やスクロール、 3 ボタンマウスやスクロールホイール付きのマウスのサポート、ヘルプ機 能の改良、Virtual Disk Assistant と Setup Assistant の改良、といっ たユーザーインターフェースの強化も行われている。

<http://www.connectix.com/products/vpc4.html>

様々な Web ブラウザで Web ページをプレビューするために Virtual PC を使っている人たちにとっての特別な興味というのは、同時に複数のオペ レーティングシステムを使用することができるという Virtual PC 4.0 の 新しい機能である。Virtual PC 4.0 では 2 つ以上の PC のオペレーティ ングシステムを同時にアクティブな状態にしておくことができる。もっと も、最適な性能を出すために(他のものは保存した状態で)最前面で使っ ているオペレーティングシステムだけアクティブにしておきたいかもしれ ないが。2001 年の第 1 四半期には、Connectix 社は Connectix OS Pack もリリースする予定だ。これは、ユーザーに違うオペレーティングシステ ムのプリインストールバージョンの導入を勧めるための商品である。

Virtual PC 4.0 には、PowerPC G3、または、G4 搭載の Mac で最低 50 MB の RAM と Mac OS 8.5 以降が必要である。しかし、Mac OS X のパブ リックベータ版と互換性はない。Connectix 社では Mac OS X 1.0 のファ イナルリリースが出次第、互換バージョンをリリースする予定でいる。 Virtual PC 3.0 からのアップグレードは、パッケージで購入してもダウ ンロード(現在、約 20 MB で可能)でも、価格 79 ドルである(2000 年 11 月 1 日以降に Virtual PC 3.0 を購入したのなら無料でアップグレー ド)。Virtual PC 4.0 の Windows 98 付属版(2000 年 12 月 14 日出荷) または、Windows Me 付属版(2001 年 1 月 11 日出荷)の新規購入は CD-ROM で 199 ドル。


デジカメ 2000

by Arthur Bleich <arthur@dpcorner.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :蒲生 竜哉 <gamo@lib.bekkoame.ne.jp>)
(  :尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

先週号ではデジカメに付随する数々の品について述べた。デジカメを選ぶ にあたり、何が自分にぴったり合うか見当をつけるうえでお役に立てたこ とと思う。そこで今回は最高のプレゼントとなるデジカメたちに目を向け ることにしよう。以下で紹介するのはあくまでも私が使った中でベストの 部類に入る、というものだ。細かなスぺックに関心がある場合は、私の Web サイトにあるリンクページをチェックしていただきたい。詳しいレ ビューを掲載しているデジタル写真関連サイトを紹介してある。私自身も Digital Camera Magazine、CNET、Wired などにデジカメのレビューを書 いているが、私はあまりカメラを買い替えない。このことは一部メーカー の不興を買っているようだ。私はデジカメにシリアスな写真家と同じよう に接することを信条としているので、私のいうところの「検屍的」レビュー を書き、すぐに次のカメラに移っていくようなライターたちとはだいぶ異 なる意見を持つようになっているかもしれない。また、私は 3 年連続し て TidBITS にデジカメの記事を書いているので、一般的なアドバイスや デジタル写真の色々な側面についての解説はそちらをご覧頂こう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06226>
<http://www.dpcorner.com/links/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1022>

最後に、詳しいレビューをすべて読破した後(写真に詳しい方でなければ 頭痛がするかもしれないが)は、お目当てのモデルの価格を DealTime、 StoreRunner または MySimon といった価格比較サイトで調べてみるとい いだろう。少し時間をかけてもいいのなら、Dealnews や Techbargains.com といった期間限定の奉仕品を狙うという方法もある。

<http://www.dealtime.com/>
<http://www.storerunner.com/>
<http://www.mysimon.com/>
<http://dealnews.com/>
<http://www.techbargains.com/>

では、私のお気に入りのデジカメ 3 機種をご紹介しよう。いずれも私が 使い込んだうえで自信をもってお薦めできるものだ。スぺック的には 200 〜 400 万画素となっており、価格も画素数にほぼ比例しているといって いい。

Nikon CoolPix 800 -- 私は約 1 年にわたってこの驚異の小型 200 万 画素カメラを使ってきた [ちなみにこの機種はすでにさらに画素数の多い 新機種、CoolPix 880 に代替わりしている。価格についてはこの号の先頭、 スポンサーエリアの Outpost.com をチェックして欲しい -Adam]。その画 質はまさにすばらしいの一言に尽きる。約 500 ドル(今年末まではさら に 75 ドルのキャッシュバックプログラムが利用可能だ)のこのカメラは 操作が簡単なうえ(ただし最初の設定は多少注意が必要)、さまざまなア クセサリーレンズやフィルターを装着可能だ。また、このデジカメは私が 知る中で最高の赤外線撮影能力を誇る。Tiffen 社の #87 赤外線フィルター を装着するだけで鮮明な赤外線画像を 液晶画面で見ることができる(他 のほとんどの赤外線撮影可能なカメラが撮影時に数秒の露出時間が必要な のに対し、CoolPix 800 は F4 設定時に 1/30 秒のシャッタースピードで 撮影可能)。

<http://www.nikonusa.com/products/detailb.cfm?id=274>
<http://www.nikonusa.com/assets/coolpix950_800rebateform.pdf>
<http://www.tiffen.com/>

もっとも、CoolPix 800 は基本的には十分に速い連写速度と極めて速い写 真再生能力を持ったスナップショット用カメラなので露出時間はあまり調 整できない。CoolPix 800 の 38mm から 76mm の標準ズームは Tiffen 社 のテレコンバータやワイドコンバータと、CoolPix 800 の小さなレンズ径 をより標準的な 37mm 径に変更する口径変換アダプタを使うことによって 広角側(28mm)あるいは望遠側(152mm)のどちらへも変更することが可 能だ。

CoolPix 800 は 2.8 インチまでのマクロ撮影が可能という点でも他のカ メラと際立っている。さらにビデオ出力があるためテレビで撮影した画像 を見ることができ(これは特に親戚のうちに遊びに行った時に便利だ)、 動きの速いものを撮影する時にも十分なシャッタースピードを備えていて、 記憶媒体としてコンパクトフラッシュを利用している点も見逃せない。唯 一の欠点は転送速度の遅いシリアルポートを利用しなければならないこと だが、これも USB ベースのコンパクトフラッシュリーダや PC カードア ダプタを利用してコンパクトフラッシュカードを直接読み込むことによっ て解決可能だ。

Kodak DC4800 -- この秀逸なデザインの 300 万画素カメラは、小さい ながらも他のどの製品よりも充実した内容を誇り、しかもお値段は約 800 ドルと手ごろだ。画質的には他社の高級機種と比較して同等か、場合によっ ては圧倒的に優れている。しかもあまりにもよく練られているので、一度 購入したら何年も手元に置いておくことになるだろう。

<http://www.kodak.com/US/en/digital/cameras/dc4800/>

DC 4800 の特筆すべき良さはシンプルさにある。しかし、その裏にはプロ 仕様の機能が詰め込まれ、ユーザーの成長を待っているのだ。レビューを 書くにあたり、この素敵なカメラを手にして写真を撮り始めたライターは、 誰もが息を呑んだに違いない。ボタン類は合理的に配置され、メニューも これ以上はないほどシンプルだ。もっと微妙なコントロールが必要な場合 には、露出補正スイッチなどの気の利いたコントロールがボディ上面に搭 載されている。メニューとにらめっこする必要などない。また、モードダ イアル一つで絞りを変えることができるので、被写界深度の調整も楽々だ。

ズームの焦点距離は 28mm から 84mm と理想的だ。というのも、安価な Tiffen MegaPlus のワイド(0.75 x)とテレ(2 x)を追加すれば、超広 角の 21mm から 望遠 168mm までの撮影が可能なのだ。ここでの Kodak の選択は完璧だ。プロの使用に耐える焦点距離であると同時に、初心者が 記念写真を撮る時に入らなくて困るということがないのだ。

撮影間隔(約 1 秒)はベストとはいえないが、再生での DC 4800 は無敵 だ。できるだけ速くボタンを押し続けても、画像が表示されるまで待たさ れるということがない。電池はリチウムイオンを採用しているため、予備 を一つ買っておいたほうがいいだろう。DC 4800 には幅広いシャッター速 度と絞りの組み合わせが選択できるようになっており、ビデオ出力機能も 搭載され、コンパクトフラッシュ・メモリカードを使用し、USB 経由でコ ンピュータと接続することもできる。これだけ可能性が詰め込まれ、しか も優れたデザインで値段も手ごろなので、間違いなくお買い得のデジカメ だろう。

Olympus Camedia E-10 -- セミプロ用の Nikon D-1、Canon D30、Fuji FinePix S1 に相当する Olympus 社製の 2,000 ドル級デジカメといえば、 400 万画素の Camedia E-10 である。大きく、重く、35mm の一眼レフの ようなボディで、変化するほど元の姿に戻っていくことを証明しているカ メラだ。この Camedia E-10 はボタンがずらっと並んではいるものの、形 と機能ともに昔ながらの一眼レフカメラそっくりなので、最も使いやすい デジカメの一つに挙げられている。大口径の F2、35mm 〜 140mm 相当の ズームレンズは、驚異の画像を生成する集光能力の高い巨大なガラスの塊 である。ズーミングはレンズの鏡胴を回して行う。また、マニュアルでの フォーカス調整も同様の操作となる。撮影前の確認は、レンズと液晶画面 のどちらで行ってもよく、液晶画面は 2 方向に動く可変式になっており、 変なアングルでの写真撮影が楽にできる。

<http://www.olympusamerica.com/product.asp?c=15&p=16&s=12&product=643>

しかし、Camedia E-10 が最も際立っている点は、シャッターを押したと きのタイムラグがフィルム式のカメラと同じぐらいになっているというこ とだ。タイムラグはほとんどゼロに近い。このカメラは撮影前の処理を実 に鮮やかにこなしてくれるので、撮影者はシャッターを押しさえすればよ いのだ。写るのはその瞬間であって、その次の瞬間ではない。ねこがあく びをしていたなら、閉じた唇や気難しい表情でなく、舌や歯やのどが写っ ているだろう。また、オートブラケット機能およびインターバル撮影機能 も搭載されている。

シャッタースピードは最高 1/640 秒までしか用意されていない(これは、 上で述べた 2 機種よりも遅い。Nikon CoolPix 800 は 1/750 秒、Kodak DC4800 は 1/1000 秒で切ることができる)。一方、遅い方は 30 秒まで の開放と飛び抜けている。再生の遅さにはいらいらしてしまうが、致命的 というほどではなく、画像間の切り替えが 1 秒ぐらいだ。Olympus はい まだかつてこの点にうまく対応したことがなく、同社の伝統的な問題であ る。

最後に、2,000 ドルもするカメラでは金額のことはたいした問題ではない にしても、Camedia E-10 用のエクステンションレンズやフィルターは割 高である。これは、フィルター径を 62mm に切ってあるためだ。ズームレ ンズで F2.0 という明るさを実現するためには、かなり大きなレンズ径が 必要になるのだ。したがって、高価になるのも仕方がないことである。そ して、このレンズの大きさゆえに、視野をワイドにしてくれる広角レンズ を見つけるのは難しいかもしれない。Olympus は 62mm に装着する 28mm のエクステンションレンズを用意したが、ドラマチックな撮影にはまだ足 りない。

Camedia E-10 は、絞りが F2 〜 F11 で、オプションでリチウムイオンバッ テリの使用が可能なうえ(Unity Digital 社の ProPower Pack バッテリ の方がさらにすぐれているが)、テレビに画像を表示するためのビデオ出 力端子もついている。もっと小型のデジカメ群とは違い、コンパクトフラッ シュ、コンパクトフラッシュ II、スマートメディアに対応しており、コ ンピュータに繋ぐための USB 端子も装備している。大体において、この デジカメは多くの写真撮影の通が待ち望んでいたものであり、フィルムの 画像の方がデジタルの画像より優れているという先入観を打ち砕いてくれ る、もしくは打ち砕くかもしれない一品である(これを読んで歯ぎしりし ている一本気な方のお相手はいつでもしてさしあげよう)。つまり、 Camedia E-10 は弱点はあるものの優れた製品である。

<http://www.unitysales.com/Batteries.asp>

今回取りあげた 3 機種は、私が選んだ 2000 年ベスト・バイ・デジカメ であり、その他でもすばらしいカメラはたくさんある。近いうちにお薦め 機種をいくつか手短にお伝えする。[今週のクリスマスプレゼント号に載 ることになっている -Adam]

[Arthur H. Bleich 氏は、マイアミ在住の写真家兼、ライター兼、教育学 者で、Digital Camera Magazine の特番記者もやっている。米国内外のメ ジャーな出版物にたずさわり、Zing.com 主催の Digital Photography Workshop Cruises で講義している。デジカメについてさらにお知りにな りたい方は、以下の URL をクリックして Digital PhotoCorner にいる彼 を訪ねていただきたい。]

<http://www.dpcorner.com/>


Unix あなたの近くの Mac に間もなく登場、パート 2

by Chris Pepper <pepper@reppep.com>
(翻訳:斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)
(  :今井 律子 <poorsun@mb.neweb.ne.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <kameotak@iea.att.ne.jp>)
(  :松岡 文昭 <mtokfmak@mxa.mesh.ne.jp>)

Mac OS X で、Apple 社は Unix を多数の新しいユーザーに紹介した。こ の記事のパート 1 では、Unix の歴史について簡単に述べ、Unix が Mac OS X の土台をどのように固めるのかを図示した。Macintosh ユーザーの コミュニティには 2500 万を超える人々がいる。よって、もし Apple が 新しい道を切り開くのなら、たとえ大半がすぐには(またはまったく)後 に続かなくても、業界にとってその影響は重要である。Apple の最新の大 きな方向転換である iMac は、トランスルーセントカラー、人目をひく独 創的なケースデザイン、USB を導入し、フロッピーディスクとシリアルポー トを排除し、またインターネットを主要な機能とした。iMac は業界全体 に多大な影響を及ぼした。iMac を持たない PC ユーザーや PDA ユーザー までもが iMac の色や USB に対する賞賛に影響された。Mac OS X の裏に 隠れた Apple の最新の決断とその影響を理解するには、Mac OS X、Unix、 そして業界全体を考察する必要がある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06227>

競争の御利益 -- この業界での勝者は明らかだ。Microsoft 社である。 実際、Microsoft は Apple を含むほかのどの企業よりも非常に大きくて 地位を確立しているので、ほかの企業はほとんど風景の中の点でしかない。 ここ数年の Apple の計画は、Windows PC に協力したり、対抗したり、離 れたりしている現実の上に築き上げられている。あきらかに、これは Linux や BSD Unix のユーザーにもちょうど同じくあてはまる。もしかし たら、もっとかもしれない。というのも、Linux や BSD が通常動作する PC は Windows も動作できる(そしてたいていは動作している)からだ。 これは面白い問題を提起する。Apple や Unix ベースのシステムのユーザー は、もとからの同盟者で、Windows 市場とは異なった独自の市場を切り開 こうとしているのか。Mac OS X を BSD Unix ベースにすることで、少な くとも Apple はこの考えを推し進めているように思われる。

根本的な違いがあるにも関わらず、Mac OS と Unix は数多くの興味深い 類似点がある。どちらのプラットフォームも Microsoft の優勢の陰に隠 れているが、自身のコミュニティで熱烈に支持されている。Mac OS も Unix も「調和し卓越し」なければならず、その成功は両者が Windows と どの程度統合するかにかかっている。Windows は(Mediafour 社の MacDrive 2000 のようなユーティリティを追加しなければ)Mac や Unix のファイルフォーマットやディスクフォーマットを扱えないが、Mac や多 くの Unix システムは Windows の FAT フォーマットのフロッピーとハー ドディスクのどちらも扱える。それにひきかえ、Windows の市場占有率は 非常に高く、Word の .doc ファイルフォーマットや Win32 API などのい ろいろな Microsoft「専用の」技術が業界標準になりつつある。すると、 Mac や Unix マシンがこれら Microsoft 生まれの技術を程度の差はある がサポートし、Mac OS は File Exchange のような機能を持ち、Mac が Windows とのファイル共有を行うための Thursby Software 社の DAVE の ようなサードパーティの製品が作られる。Mac OS と Unix は互換性の問 題をものともしないような大きな利点と思えるものを提供しなければなら ず、互換性や相互運用性に対してもっと寛大な態度を取らなければならな い。

<http://www.mediafour.com/>
<http://www.thursby.com/products/dave.html>

他のオペレーティングシステム、特に Windows が動作する能力は非常に 価値があるので、エミュレータは Mac や Unix マシンでは人気がある。 Virtual PC のような完全なエミュレータはよそのコンピュータシステム の能力を完全に提供し、他のオペレーティングシステムがエミュレータ内 で動作することができる。このように、Virtual PC は Windows、Linux、 その他 Intel 社製 CPU の PC 向けのオペレーティングシステムを動作さ せることができる。もう一つの方法では、代わりに使用している互換性の ある層の上で、オペレーティングシステムの機能だけを複製する。このや り方は PC では一般的である。プロセッサが同じなので、PC 全体ではな く Windows だけをエミュレートすれば、システムが動作する。このよう にして Mac OS X で Classic 環境が動作し、PowerPC 機上での Linux で、 Mac-on-Linux プロジェクトが Mac OS 8.6 以降を動作させている。

<http://www.connectix.com/products/vpc4.html>
<http://www.maconlinux.org/>

Unix はコンピュータの専門家のためのオペレーティングシステムだと見 なされがちだ。そしてその系譜の反対側には、「我々残りの人のためのコ ンピュータ」である Mac がいる。Unix と Mac OS はどちらも、プラット フォームの使用に関するベルカーブで Microsoft という大きい山のすそ 野に位置する。Mac と Unix は同じところで Windows とは違っているが、 その違い方は正反対の方針をとっている。そのような相違の例として次の ような点が挙げられる。Mac は使いやすく、ハードウェアとソフトウェア が緊密に統合し、今までは、ハードウェアとオペレーティングシステムの 開発が一つにまとめられて管理させている。一方、Unix の支持者は柔軟 性、制御力、ハードウェアの幅広いサポート、オープンソースのプロジェ クトでの信頼性といったものをあくまで求めている。

実世界での相違点 -- こうした類似性はあるにしても、Mac OS とUnix は多くの点でまったく異なるという事実を見逃してはならない。Unix に は共同研究プロジェクトやプログラミング環境として、積年の卓越した歴 史がある。その歴史を経て、堅固で能率的なネットワーキング・プラット ホームへと成長したが、優れた開発環境でもあり続けた。対照的に Apple 社は、Mac を強力なアプライアンス、時には技術的なエージェントと位置 づけ、ユーザーがソフトウェアを開発したりシステムを探究することを期 待していない。オープンソース提唱者が好んで指摘するように、Unix 開 発は世界的かつ長期的な努力の結果であり、安定性と速さにおいて Unix は非常に成熟している。一方、Mac OS 9 の成熟度は、アプリケーション の一貫性や洗練されたインターフェースによく表れている。これが、最近 の QuickTime や Sherlock のインターフェース(そして、Mac OS X イン ターフェースの多くの変更点)が Mac ユーザーをうろたえさせた理由の 一つである。それらは、長年のインターフェースの改良と親しみ易さを反 古にして鮮烈な新しさと華美に傾き、ゆっくりと一歩ずつ改良を重ねてき た長い歴史を捨て去った。

その長い歴史上、Unix は特にネットワーキングやプログラミング、そし てセキュリティの分野で、ソフトウェアの広範囲に及ぶ安定性を発展させ た。しかしながら、毎日何百万という人々によって使われる主要製品、 「プロダクティビティ(生産性)」のアプリケーションにとって、Mac や Windows に比べると Unix などほとんど馴染みがない。Freshmeat 社の Linux/Unix ソフトウェアリリースサイトを一瞥すると、プログラミング ツールやサーバ、hacks についてのものは豊富に見られるが、ワープロや 出版、スプレッドシート関係のものはほんの少ししかない。このことは、 Linux マシンで Windows が使えることを思い起こすと納得がいくが、 Linux ユーザーの多くは、Linux 用に使っている同じマシンや 2 台目の マシン、あるいはクライアントワークステーション上で Windows 環境に して Microsoft Office を使い、サーバやプログラミング環境として Unix マシンを確保しておくのかも知れない。これは自己達成的な予言か 何かだ。なぜなら Unix はビジネスソフトウェアでかくも苦戦を強いられ ており、Unix ユーザーは通常、そうした仕事のためには追加のシステム を必要とするからである。また選択肢があるため、Unix 用のアプリケー ションに対する需要はさらに少なくなっているのである。その結果 Unix は、Mac OS や Windows とはまるで異なる使用パターンである、優秀なサー バプラットホームとして生き残っている。

<http://freshmeat.net/>

大 Unix 団結 -- Mac OS X で Apple 社はこれら 2 つの世界を結合し てまったく新しい組合せを作り上げる仕事をそつなくこなしたうえに、ユー ザーは、もし望むなら、好きな片方の環境に入ったままでもいられるほど、 2 つを隔離することにも成功している。まだまだこなれていない所もある が(とりわけファイル構成に対する 3 つの異なるビュー:Mac OS 9/Classic、少し異なる Mac OS X レイアウト、それに NeXT/Unix の構 成)、Mac OS X を走らせている時は、Unix 色をほとんど気にせず馴染み の Mac 環境にとどまることは容易である。多少の違いは、より大きいア イコン、異なったボタン、そしてずっと狭い Desktop にある。

これが Apple 社の考える大多数のユーザー像なのであろう - ユーザーは 底流にある Darwin レイヤーはまったく意識することなく、それでいてそ の安定性と高性能の恩恵には浴することができる。その反対に、もし内蔵 されている Terminal プログラムを使って Darwin 環境にログインすれば、 かなり一般的な Unix 環境に接することとなる(くり返しになるが、ファ イルが奇妙なところにあることを除いて - これは Mac OS X の NeXT 系 図の名残である)。

統合されたシステムを作り上げようという意図に加えて、Apple 社は NeXT 社が NeXTstep 上に作りこんだ固有部分を BSD/Unix メインストリー ムに載せかえようとしている。Apple 社はくり返し述べているが、その目 標とするところは標準の BSD コードを最大限使用することで、固有部分 の Apple ソフトウェアのメンテナンスのための時間と費用を削減するこ とである。この作業の一環として、Apple 社は Darwin をオープンソース ライセンスの元で公開している、すなわち、そのプログラムコードは非 Apple ディベロッパーも入手可能で、中を見たり、批評したり、さらに手 を加えることもできる。ライセンスに関して言うと、Mac OS X は 2 つの 部分から成りたっている。Darwin コードは公開されており無償であるが、 残り(グラフィカルと Mac 独自の部分)は固有部分となる。これは納得 のいく分割である、というのも、Apple 社の強調する部分は、これまでも 頑強なコアとなるオぺレーティングシステムではなく、むしろユーザーイ ンターフェースにあったからである。もしこの Darwin のオープンソース 化が成功すれば [そして MacHack 2000 における Darwin ディベロッパー からのコメントから判断するともうすでにそのように見える - Adam]、 Apple 社は他のディベロッパーたちから Mac OS X のための Darwin 基盤 を改善していくためのかなりの開発サポートを集約することができるであ ろうから、その分 Apple 社の開発者たちを解き放ち Apple 社の特長とす る所に集中させることができるであろう。

このオープンソース基盤と固有部分の上部レイヤーとの分離によって Apple 社は、同社が長年必死に求めてきたものを手に入れられることとな る:優秀で、速く、かつ安定したオペレーティングシステムを実現するた めに重要なバズワードをすべて備えた Mac OS のバージョン。BSD は安定 性があり、プリエンプティブ・マルチタスキングの機能を備え、かつ秀逸 な仮想メモリとクラッシュ保護を提供してくれる。Apple 社の希望は現在 の Macintosh ユーザーたちはこれらの改良を歓迎し、かつ本格的なネッ トワークユーザーやサーバ管理者といった新たなクラスのユーザーをも引 きつけられるのではないかということである。Mac OS X をもって Apple 社は Mac を優れたサーバプラットフォームに仕立て上げる - そして Windows ユーザーへも手をのばすべく第一歩を踏み出した。さらに、高速 インターネット接続が可能になり広まるにつれて、Apple 社はまさに自己 出版の分野での次の大跳躍へ弾みをつける変曲点に立っているのかも知れ ない。Mac OS X には今や Apache、gcc、cron、ssh、本流の Perl、それ に加えてこれまでは Mac では手に入らなかった、または、インターフェー スのハックと Mac で動かすための大がかりな移植努力を必要とした一連 の Unix ベースのステープルが含まれる。Mac OS X と Apache の組合せ はすでに Windows 98 や Microsoft 社の新しい Windows Me よりはずっ と優秀な個人用サーバプラットフォームになっている。

<http://www.microsoft.com/windowsme/>

私にとって Unix とは? 今まで Mac が得てきた最新のインターネット・ プロトコルやセキュリティ・ツールでのサポートは常に限定されたもので あった。Mac OS 9 はセキュリティ面で素晴らしい実績を上げ、メール、 Web、FTP、そしてニュースリーダー用ではいくつかの素晴らしいクライア ントソフトもあるが、Windows のように多くのベンダーから同じレベルの サポートを得るには Mac は人口面では小さすぎるのだ。結果として、仮 想プライベート・ネットワーク(VPNs)、Ethernet 経由での PPP(多く のケーブル ISP や DSL ISP で必要となる PPoE)、そして、同じような ネットワーク・ツールやユーティリティでオプションがほとんどない。 Mac OS X はこれらニーズを満たすため Unix ベースのツールを持ち込む のだ。多くの分野で、これは、ニッチ・プレイヤーゆえに長年 Mac OS を 悩ましてきた問題を除去するのに、役立つはずだ。

Mac OS と Unix の結合は、Mac ユーザーにとり、さらに大きな業界での 興味深い社会政治学的な別の意味も持っているのだ。Apple と Apple II で、Apple 社はコンピュータを個人ユーザーにとり、もっと入手しやすい もの、利用可能なものにした。オリジナルの Power Macintosh シリーズ で、Apple 社は RISC(Reduced Instruction Set Computing の略で、 PowerPC を従来の Motorola 製 68000 シリーズよりも著しく高速化する デザイン形式)型コンピュータでは唯一の量産メーカーとなり、ユーザー に大幅なスピード向上をもたらした。Mac OS X ユーザーは自分たちのコ ンピュータが Unix システムとは考えないだろうが、もし Mac OS X が幾 分かでも成功すれば、一年以内に BSD ベースのオペレーティング・シス テムで動くコンピュータの数は倍以上となるのだ。

Apple 社がこの新しい影響力を Unix の世界で行使するか、だとすればど のように、そして Apple 社が Unix の持つ力を直接的に利用するのか、 はたまたその焦点を Aqua ベースのグラフィカル・アプリケーションに限 定するのか、今後の展開が興味深い。Apple 社はハイブリッド・アプリケー ションのおかげで選択をする必要がないかもしれない。たとえば、 FizzillaMach Web ブラウザは、フロントエンドで Aqua インターフェー スの Carbon を使用し、バックエンドでは高パフォーマンスのスレッド化 されたネットワーク用として標準 Unix 版 Mozilla を使用している。私 は、将来 Mac 用開発者たちが、彼らの Mac 用アプリケーションから Darwin に組み込まれている強力な Unix ユーティリティを使用するよう になることを、期待している。恐らく、AppleScript スクリプトを介して Carbon から、grep、 sed、そして wget(一致を検索、テキストの検索と 置換、そして Web ページとサイトの入手をそれぞれ意味している)のよ うなコマンド・ラインのプログラムにテキストを送り、それらの結果を Mac アプリケーションに返すのだ。

<http://www.mozilla.org/ports/fizzilla/>

好む、好まないに関わらず、Apple 社は我々を Unix の世界へと運んでい く。覚えておくべきことは、Mac OS X の基礎である Darwin は、2 つの とても異なった面で Mac ユーザーに大きなアドバンテージをもたらすと いうことだ。1 つ目は、ほとんど目には止まらないが、Mac OS 9 よりは るかに高い信頼性とパワーをもたらすこと。Darwin をまったく無視して しまうユーザーさえ、その頑強さとパフォーマンスにて無言のベネフィッ トを受ける。2 つ目は、Darwin が Unix をパワフルなものするツールと オペレーティング・システム・ファシリティへのアクセスを提供すること だ。たとえば、シェル・スクリプトやネットワーク・ツール群だ。

Mac OS X の個々のユーザーは、慣れ親しんだ Macintosh のテリトリーを 越えて Unix のドメインに乗り込むか否か、乗り込むとすればどこまでか を決断しなければならないだろうが、Unix の持つ力は常にそこにあるの だ。少なくとも私にとっては、それはエキサイティングな旅の始まりとなっ ている。

[Chris Pepper 氏はニューヨーク在住の Linux と Solaris のシステム・ アドミニストレーターで、彼の Mac ワークステーションが、職業として 面倒を見ているサーバと同じように Unix で動くようになったことを、と ても喜んでいる。もし Chris に あなたの サーバの面倒を見て欲しけ れば、彼の履歴書をチェックして、彼に直接コンタクトして欲しい。彼の Mac OS X Software and Information サイトには、役立つ情報へのリンク と、Apple 社の新しいオペレーティング・システム用として Unix からの 移植版が数個アップされている。]

<http://www.reppep.com/~pepper/resume/>
<http://www.mosxsw.com/>


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