TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#564/22-Jan-01

先週号に引き続き Macworld Expo 特集に総力を結集し、Jeff Carlson の 新 Power Mac G4 記事に加え、我々が気がついたトレンドを取りあげた短 い記事を 3 本お送りする。また、読者の Jim Carr 氏がカリフォルニア の SETI@home ユーザーたちに参加を一時見合わせるように呼びかけてい る。そして、Apple 社の第 1 四半期決算報告、Apple のデジタルライフ スタイルの趣旨に対するみなさんの意見をまとめたもの、 Hewlett-Packard 社の創始者の一人 William Hewlett 氏の逝去のニュー スをお届けする。

目次:

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今回の TidBITS のスポンサーは:


MailBITS/22-Jan-01

(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :飯橋 真紀 <k-m611@ma4.seikyou.ne.jp>)
(  :敦賀 康子 <hiroki-tsuruga.soul75@nifty.com>)

Apple、予測を下回る損失を報告 -- Apple 社は 2001 年度第 1 四半期 の財務報告を行い、純損失が予測を下回る 1 億 9500 万ドルだったと報 告した。同社が四半期決算で赤を計上したのは 3 年ぶりのことになる。 予想通り、底をつくことがないのではと思われるような ARM Holdings 社 株を 380 万株と、Akamai Technologies 社株を 100 万株売却し、4900 万ドルの収益を得た。同社の純損益から、この投資利益や調整分を差し引 くと 2 億 4700 万ドルの損失となり、12 月の収支予測とほぼ一致する。 Apple は同四半期に 659,000 台の Mac を出荷したが、これは前四半期の 112 万台、2000 年度第 1 四半期の 140 万台と比較してかなり落ち込ん でいる。一方で、CEO の Steve Jobs 氏と CFO の Fred Anderson 氏が繰 り返し言っている Apple の 40 億ドルを超える現金持高と、販売在庫が 約 5.5 週間分に減少したのとの報告など好材料もある。Anderson 氏から は 2001 年に 60 億ドルの収益を見込んでいるとの発言もあった。これは 1999 年の 61 億ドルと同程度であるが、2000 年の 79.8 億ドルをかなり 下回る数字である。[JLC]

<http://www.apple.com/pr/library/2001/jan/17q1results.html>
<http://www.apple.com/pr/library/2000/dec/05q1results.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06154>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05777>

もう一つのガレージ -- Macintosh 業界は Steve Jobs 氏と Steve Wozniak 氏が最初の Apple I コンピュータをつくった Silicon Valley のガレージを崇めている。しかしながら、もう一つの Palo Alto のガレー ジの 2 人組 William Hewlett 氏と David Packard 氏がコンピュータ時 代の幕開けのより大きな存在として信じられている。1939 年に 2 人は Palo Alto にある車一台分のガレージで Hewlett-Packard 社を設立し、 ほぼ 40 年後に 2 人の Steve が Apple 社を設立することを可能にさせ た。実際のところ、Apple 社創設で Hewlett-Packard 社の果たした役割 は単にコンピュータ時代の発展に手助けしたというよりも、もっと具体的 で明快だった。なにしろ、Steve Wozniak 氏は HP 社で働いていた頃片手 間に Apple I の原型をつくったのだ。そして HP 社は、彼にリリースレ ターを渡すよりも先に Apple I を開発する機会を明快に譲渡した。時代 は下って、何万人もの Mac ファンが集まった Macworld Expo の最終日 2001 年 1 月 12 日に、William Hewlett 氏は自宅で永眠した。彼は 87 才だった(David Packard 氏は1996 年に死去)。[MHA]

<http://www.hp.com/hpinfo/abouthp/hist_30s.htm>
<http://www.hp.com/hpinfo/newsroom/hewlett/index2.htm>

アンケート結果:デジタルライフスタイルを受け入れるか? Macworld Expo での Steve Jobs 氏の基調講演における Apple 社の新方針、デジタ ルライフスタイルの概説について、Jobs 氏の特許である現実感喪失時空 を実際に体験しなかった読者の皆さんに伺った。Apple 社が Macintosh を「デジタルライフスタイル」のための「デジタルハブ」にするという新 たな重要性は的確だろうか?500 人ちょっとの回答者の内、72 % が Apple 社が現実の世界で起こっていることを重要視しているという我々の 考えに共鳴して、戦略が的を得ているを選んだ。しかしながら、21 % が Apple 社が的を得ているかどうかと言うには早過ぎると答えており、判断 を急ぐ人たちの意気込みは、長期戦では時として紛らわしくもあるという ことだ。回答者の 6 % が Apple 社は救い難く、幻のマーケットを追いか けていると思っている。唯一、時間をかけて見守ることで Apple 社の新 方針が素晴らしいのか、あるいは救い難いのかが明らかになるのであろう から、すべてがどのように展開するのかを注意して見続け、TidBITS Talk ディスカッションであなたの考えを伝えて欲しい。[JLC]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=70>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1272>

ドイツ語翻訳者募集 -- TidBITS をドイツ語に翻訳している精力的な翻 訳チームが、数人の翻訳者を募集している。もしあなたが毎週、ほんの少 しの時間を使って TidBITS の少量の記事を英語からドイツ語に翻訳する か、あるいは翻訳された記事を編集し、それを出版することができる(翻 訳は得意ではないがドイツ語が堪能で、編集作業ができる)のなら、ドイ ツ語圏の Macintosh ユーザーたちはあなたに感謝するであろう。詳細は 以下のページで。ぜひ、ご協力をお願いしたい。[ACE]

<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/de/trans.html>


SETI が電力不足を引き起こす

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:蒲生 竜哉 <gamo@lib.bekkoame.ne.jp>)

元々 SETI@home プロジェクトのポイントは何百万もの使われていないパー ソナルコンピュータの演算能力を結集することにあった。これによってこ のプロジェクトは外宇宙からの電波信号の解析作業に新たな方法を切り開 いたのだ。しかしながら、他に影響の少ない協調的かつ低予算な方法で人 類の知識を探究するはずだった SETI@home プロジェクトには思いもよら なかった副作用があった - SETI@home に参加しているコンピュータを動 かすためには電力が必要なのだ。

<http://setiathome.ssl.berkeley.edu/>

世界各地の人々が自らの選択で電気料金という形の寄付を SETI@home に 納めているわけだが、たとえば今まさにカリフォルニア州が直面している ような電力不足の問題がある場合、SETI@home のように人々の日常生活に は不必要な活動に対し果して電力を使うべきか否かという選択は甚だ難し いものとなる。良いもの悪いものを含め、人々がコンピュータ機器の電源 を落とさない理由はさまざまだろう。しかしながら今一度、私は皆さんに 無制限に電力を使うことは良くない結果をもたらすということを思い出し て欲しいのだ。恐らく、今のカリフォルニアの悲惨な状況は電力の使い方 を考え直すために少し時間をとり、電力消費を適切な状態に減らすための 助けとなるだろう。

最近の Power Mac G3 や G4 はだいたい 200 から 250 ワットの電力を消 費する(これにはモニタの分は含まれていない)。普通の 27 インチのテ レビの電力消費は概ね 150 ワットだ。簡単に言うと、コンピュータを 24 時間連続で稼動することはテレビを一日中つけっぱなしにする - 電力不 足のさなかでもこういうことをする人はいる - ことに比べて 33 から 66 パーセント余計に電力を消費するのだ(現行 iMac は 150 ワットの電力 を消費するが、昔のモデルの電力消費は 80 ワット程度だった)。もちろ ん、Apple の省エネルギー設定コントロールパネルや St. Clair Software 社の Sleeper コントロールパネルを賢く使うことで毎回 Mac を最初から起動して長い間待たなくても大幅に電力消費を抑えることが可 能だ。

<http://www.stclairsoft.com/Sleeper/>

この問題を提起してくれた Jim Carr 氏 <jim_carr@compuserve.com> に はこの場を借りてお礼を申し上げたい。また SETI@home プロジェクトが カリフォルニアのユーザーに対して省エネのためにコンピュータの電源を 落とすよう、はっきりと提言していることも忘れてはならない。以下は Jim からの手紙だ:

『私は今のところ、2 年以上の演算時間を費やして 1319 ワークユニット の演算を完了させており、これは SETI@home プロジェクト TidBITS チー ムの中では 24 位の成績です。でも残念、私の作業は暫くのあいだ大幅に 減速せざるを得ないようです。

<http://setiathome.ssl.berkeley.edu/cgi-bin/cgi?cmd=team_lookup&name=TidBITS>

私は Edison 社から電力の供給を受けている南カリフォルニアに住んでい ます。Edison 社は財政問題のため、これ以上は電力を他から買うことが できない状況に陥っています。他のカリフォルニア州内の電力会社も同じ ような問題を抱えており、州内の需要に充分に答えられるだけの電力が適 正な値段では提供できない状態です。カリフォルニア州ではすでに計画停 電が始まっています。

私はコンピュータの電源を一日 24 時間毎日落とさずに放置し、その運用 時間のおおむね 90 % の時間をワークユニットの演算に費やすことで SETI@home の成績を今まで稼いできました(2 台目のコンピュータは少な くとも数カ月はそういう状態でした)。しかし電力消費をできる限り抑え るようにと世間で声高に叫ばれている今の状況で、こうしたことは今や社 会的に責任ある行為とは言えないように思えます。

電力不足に見舞われている地域に住んでいるすべてのユーザーの皆さんに、 私はコンピュータを使っていない時には電源を落とすことを提言します。 私は引き続き SETI@home の支援者であり続けますが、それは地球社会の 一員として支援するのです。この州の電力問題が解決して、罪悪感を感じ ることなくコンピュータを使える日が早く来ることを期待しています。』


新 Power Mac G4 シリーズ SuperDrive 付きでデビュー

by Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
(翻訳:亀岡 孝仁 <kameotak@iea.att.ne.jp>)
(  :林部 清実 <hayashibe@mvb.biglobe.ne.jp>)

今年 1 月の Macworld Expo で人気をさらったのは PowerBook G4 Titanium ではあったが( TidBITS-563 の「PowerBook G4 Titanium は明々と燃える」参照)、Apple 社は一方でそのプロ向けの Power Mac G4 ラインアップに加えた改良で聴衆の舌なめずりを誘った。加えられたのは、 より高速のプロセッサとカスタムの CD や DVD を作れる機能である。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06269>

新機種は PowerPC G4 チップを搭載し 466、533、667 そして 733 MHz の 速度で走るが、標準では単一プロセッサ構成しか提供していない。デュア ルプロセッサの特長を生かせる Mac OS X 対応の数少ないアプリケーショ ンを使う人には、デュアルプロセッサ BTO オプションで 533 MHz システ ムが注文できる。現在のところデュアルプロセッサオプションはより高速 のプロセッサではその供給が限られているため提供されていない。これら 新機種では、133 MHz のシステムバス、より高速の PCI アーキテクチャ、 それにもっと多くの拡張スロットが欲しいというオーディオ、ビデオの専 門家の要求に応えた 4 つの空き PCI スロットが提供されている。5 番目 のスロットである 4x AGP(Advanced Graphics Port)には、16 MB のメ モリ(466 MHz 構成)付きの ATI RAGE 128 グラフィックスカードか、32 MB のメモリ付きの NVIDIA GeForce2 MX グラフィックスカードのどちら かが装着される。32 MB の Double Data Rate メモリ付きの ATI RADEON カードも BTO オプションで選択できる。すべての機種にはギガビット Ethernet、USB と FireWire ポートが付き、オプションには AirPort ワ イヤレスネットワーキングと 10 ワットのデジタルアンプ(ここから Apple 社の 60 ドルの Pro Speaker につなげられる)がある。

<http://www.apple.com/powermac/specs.html>
<http://www.apple.com/speakers/>

ボートに追いつく -- 現在の Macintosh 製品群の中での馬車馬的存在 であることから、この Power Mac G4 は Steve Jobs 氏の唱える「デジタ ルライフスタイル」( TidBITS-563の「Jobs 氏、Apple 社 でデジタルライフスタイルを目指す」 参照)のハブ用として最も近い候補である。 Mac はこれまで Palm ハンドヘルドとか携帯 MP3 プレーヤとかの機器に 接続できたが、今は Apple 社はデジタル音楽革命の中で、CD-RW(再書込 み可能なコンパクトディスク)ドライブを 733 MHz の上位モデルを除い たすべての機種に装着することでその立場の強化をはかろうとしている。 Jobs 氏が自ら認めているように、Apple 社は Windows の世界では標準装 備技術となってから結構たつ CD-RW の「ボートに乗り損ねた」。(公平 であるために付け加えれば、Apple 社はビデオにそして DVD 標準がもっ と早く普及するであろうことに賭けたのだが、DVD の普及の遅れが結果的 には CD-RW にそのチャンスを与えた。)ユーザーは内蔵の iTunes を使 うことで容易に自分の MP3 トラックをオーディオ CD に焼くことができ る。さらに Power Mac は Mac OS 9.1 が走るので内蔵の Disc Burner を 使うことで、ユーザーはいかなるデータファイルでも Finder 上の CD に ドラッグアンドドロップし、次に Special メニューから Burn CD を選択 することでシングルセッション CD に焼くことができる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06268>
<http://asu.info.apple.com/swupdates.nsf/artnum/n11901>

Apple 社がイノベーションの先端にはいないなどと Jobs 氏が認める事態 はめったにないことなので、同社がディスクを焼くことを Finder に統合 してしまうという一ひねりを加えても驚くには当らないであろう。シリー ズ最上位の 733 MHz Power Mac G4 には SuperDrive がついている:いや、 いや、昔 1988 年にはじめて Mac IIx に登場したあの 1.4 MB のフロッ ピードライブのことではない。これは Pioneer 社の機器で CD と DVD を 読み かつ 書込むことができるものである。さらに重要なことは、この SuperDrive は DVD-Video フォーマットでデータを書込めることである。 このことはすなわち、Apple 社同梱の iDVD を使うことで誰でもデジタル ムービーや静止画をディスクに焼いて、それを多くの家庭用 DVD プレイ ヤーで再生できるということである。SuperDrive があれば、たとえば、 グラフィックスやビデオの専門家は簡単に DVD ベースのデモテープや自 己宣伝のための材料などを簡単に創れるようになるであろう。静止画に関 しては、iDVD は自動的にスライドショーを生成するので、友人や親戚の 人は自分の DVD リモコンを使ってあなたの写真集をスキャンすることが できる。Apple 社はさらに、「Apple 社認定」の DVD ブランクディスク を市販の一般的な値段である 30 から 40 ドルを大幅に下回る一枚おおよ そ 10 ドルで販売を開始する予定である。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=03902>

焼く時間 -- Apple 社の新ハードウエア製品の発表があったが、重要な ことは、いつ入手できるか、ということである。466 MHz モデルは 1,700 ドル、533 MHz モデルは 2,200 ドルで現在販売されている。PowerPC G4 チップ最新バージョン搭載の 667 MHz モデルと 733 MHz モデルはそれぞ れ 2,800 ドルと 3,500 ドルで 、2 月の販売時では出回る数は少ないと 予想される。いく分 CPU によっては出回る数が限られているものもある が、SuperDrive もまだ販売数は少ないと伝えられる。Compaq 社もまた Pioneer 社開発の同じ機器を搭載したマシンを持つ。Apple 社、Compaq 社への供給はここ6 ヶ月間は少ないと見込まれる。他社メーカからも同種 の機器がまもなく発表されるだろう。そうなると以前の Power Mac G4 タ イプの所有者は(もちろん、ほかの Mac 機種も十分にタスク処理をでき るが、DVD-Video の MPEG エンコーディングはソフトウェアで行うので、 PowerPC G4 の Velocity Engine にかなり依存するだろう)時流に乗るこ とができるであろう。

Apple 社は SuperDrive 搭載でコンピュータ業界の先頭に位置を移してい るが、製品不足で発売当初は苦戦するだろう。Apple 社の 3,500 ドルマ シンに SuperDrive を搭載することは、同種の独立型の書き込み可能な DVD ドライブだけで数千ドルかかるのを考えれば驚くべきことだ。しかし、 このハイエンド Power Mac 製品は、Apple 社がターゲットとする一般消 費者たちを無視している。Apple 社が SuperDrive を iMac 製品に搭載し、 消費者の手の届く価格で販売できるようにする時、DVD を焼くことはデジ タルライフスタイルの一部となる可能性がでてくるだろう。


Macworld SF 2001 のトレンド:ユーザーグループ健闘

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)

TidBITS では Macworld Expo で出会った感心したもの、もしくは、おも しろいぐらいには感じたものを集めて「最高のもの」として記事を出すの が恒例となっている。今回ももちろん最高のものを来週号でお届けするが、 今回の Expo では特定の製品よりも Macintosh 生態系の既存のそして新 しいトレンドに強く感じるものがあった。このトレンドについて、今週と 来週にわたり詳しくお伝えしていく。

まず特筆すべきトレンドのひとつは、草の根レベルの(または「生体の大 規模並列処理」レベルとでも言うべき) Mac コミュニティ、Macintosh ユーザーグループに関することである。インターネットが情報源として台 頭している中で、生き延びかつ Macworld Expo でブースを出すほどに頑 張っているユーザーグループが存在するというのは感慨深いことだった。 もちろん、ほとんどのユーザーグループは地理的な共通点を持った仲間が 集まったものであるが、International HyperCard Users Group(iHUG) といった例外もある。この iHUG は HyperCard で作ったアプリケーショ ン(なかには Mac OS X のドックとほぼ同じ機能を持ったものまであった) の展示を行っていた。Apple は何年も HyperCard のサポートをまったく行っ ていないが、Apple の HyperCard Web ページは健在だし、HyperCard は 最近 Apple Store で再び販売されるようになった。

<http://homepage.mac.com/iHUG/>
<http://www.apple.com/hypercard/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05155>

また、Expo 初日の夜行われた 2001 User Group Soiree の表彰式で、私 は Bob LeVitus 氏とともに賞をお渡しする手伝いをした(以下の URL の ページに写真が掲載されている)。かなりの数のグループの代表が出席し ていたが、Bob や私にとって、そのほとんどは、これまでユーザーグルー プでのプレゼンテーションで会ったことがある人たちだった。その後の夕食 の席で、User Group Academy の Executive Director である Dan Sailers 氏がおもしろい方向性を披露してくれた。それは、ユーザーグルー プが内的な努力ではなく外へ向けての努力をするように支援していくとい うことだった。これはもっともなことであろう。なにしろ、もはや Macintosh を共通点にして集わなくても大丈夫なぐらい、Mac は特別でも 高価でもなくなったし、サポートしてもらえるようにもなったのだから。

<http://www.ugacademy.org/soiree/>

ユーザーグループが方向を変えることができるよう、User Group Academy は公立の学校が利用できるようなプロジェクトを提案したグループ数団体 に 5,000 ドルの資金補助を行っている(昨年補助金を獲得したプロジェ クトについては以下のリンクを参照)。このアプローチは、きっと多くの ユーザーグループにかなりの変革を強いることになるだろうが、近年ユー ザーグループ元来の存在理由が薄れてきていることを考えると、多大なボ ランティアエネルギーを社会の向上のために何かをすることに使うのは (しかも Macintosh のセンスのよさを擁して)素晴らしいことだろう。 ユーザーグループの代表の方は、是非とも Dan や Fred Showker 氏、ま たはその他の User Group Academy のスタッフと User Group Academy Grant プログラムについて話しあっていただきたい。

<http://www.ugacademy.org/Grants/Winners.html>


Macworld SF 2001 のトレンド:優れものユーティリティ

by Adam Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :山下 英治 <vatcanza@fhe.freeserve.ne.jp>)

今回の Macworld では、たとえば 1994 年に Connectix 社が RAM Doubler を発表した時のように、話題をさらったユーティリティというも のは特になかった。とはいえ、いくつかの注目に値する製品のおかげで、 今回の Macworld Expo はハイエンドアプリケーションよりもユーティリ ティが脚光を浴びる舞台となった。

Aladdin Transporter -- Aladdin Systems 社からは 150 ドルで販売中 の Aladdin Transporter が 展示されていた。マクロユーティリティーな いしスクリプト言語の範疇に属する興味深いプログラムだ。Aladdin Transporter は、ドラッグ & ドロップ式のシンプルなインターフェース の中に、互いに組み合わせることのできる 26 種類のアクションを備えて おり、StuffIt 圧縮、BinHex、コピー、FTP アップロード、メール送信他 が含まれている(Run AppleScript アクションにより、インターフェース にはない柔軟な機能をさらに与えることになる)。ひとたび工程をまとめ れば、一個の「transporter」ができあがるのだが、これは誰にでも配付 できるドロップボックス・アプリケーションなのだ。たとえば、私は Info-Mac への提出に使う transporter を作るつもりだが、シェアウェア の作者なら Info-Mac 用 transporter にフォルダをドロップするだけで、 提出するソフトを圧縮してから、BinHex にエンコードし、FTP でアップ ロードして、アーカイブ管理者宛にメールで登録するまでの作業ができる。 ファイルを扱って反復的な作業を定期的に行う必要があるという方々はデ モを試してみるべきだ。

<http://www.aladdinsys.com/transporter/>

Rewind -- Power On Software 社が 90 ドルで販売している Rewind は、 同社のブースで活躍するプレゼンター、Joel Bauer 氏の魔術のように見 えるが、実は Mac で行われる作業を記録する一連の技術をもとに、ファ イルやシステム全体を以前の状態に戻すことを可能にするものだ。Rewind がちゃんとしたバックアップ戦略の代わりになるものだとは思わないでほ しいが、誤ってファイルを上書きしたり削除してしまった時、あるいは Mac が起動できなくなるようなソフトウェアをインストールしてしまった 時に、復旧に要する時間を短縮してくれるという点で利用価値が高い。シ ステムに近いレベルで動作する魔術的なソフトウェアの例に漏れず、 Apple が Mac OS をアップデートした際には Rewind のアップデートもに らんでおいたほうがいい。(たとえば Mac OS 9.1 をサポートした Rewind 1.1 が最近リリースされたばかりだ。Power On 社のアップデート ページから入手可能。)また、ディスクの空きスペースを十分に確保して おくべきだ。Rewind が時間をさかのぼってくれるのは、ディスクの空き スペースに必要な情報を書き込んでおくからだ。

<http://www.poweronsoftware.com/products/rewind/default.asp>
<http://www.poweronsoftware.com/download/#Rewind>
<http://www.infotainer.com/>

DoubleTalk -- Connectix 社は、Windows 優位のネットワーク環境で暮 らさざるをえない人たちにぴったりのユーティリティを発表した。 Thursby Systems 社の DAVE と同様に、Connectix が 100 ドルで販売し ている DoubleTalk は、PC Ethernet ネットワーク上にある Macintosh から、他の PC とまったく同じように共有フォルダやプリンタにアクセス させてくれる。DAVE と異なる点は、Mac 側にあるファイルやプリンタを 共有することができないことだが、DoubleTalk のインターフェースがこ の点を埋め合わせてくれるとConnectix は期待している。DAVE が独自の インターフェースを持っている一方、DoubleTalk は AppleTalk と TCP/IP コントロールパネルに酷似しているほか、Chooser 標準の AppleShare と LaserWriter インターフェースにも潜入している(今のと ころ Network Browser とは連携していないが)ため、使い方を覚える必 要がほとんどないのだ。しかも、Macintosh のデスクトッププリンタから PC 側の共有プリンタの印刷ジョブを閲覧することだってできる。 Connectix 社のエンジニアたちは Macintosh からの印刷ジョブが自動的 に最優先されるようにしたり、Mac ユーザーが印刷キューを操作して先に 印刷が終わるようにするという誘惑に負けなかったのは、はなはだ遺憾で はあるが(「え? Mac の方がどういうわけか印刷が早いんだよ。しかたな いだろ?」)。興味のある方は Caps Lock キーを押した状態で Control + P + L、Control + J + M、Control + L + S を押し、DoubleTalk コント ロールパネルを開いてみていただこう。

<http://www.connectix.com/products/dt.html>
<http://www.thursby.com/products/dave.html>

DiskWarrior 2.1 -- Alsoft 社は新製品というよりは改良版というべき DiskWarrior 2.1 を出品していた。私の経験では、ディスクの修復にディ レクトリを再構築するという DiskWarrior の手法は成功している。バー ジョン 2.1 で Alsoft 社は元のディレクトリと再構築したディレクトリ の相違点をリストアップする機能を追加し、比較を容易にしてくれた。私 のハードディスクには 50,000 ものファイルがあるので、これがなかった らどこに目をつけたらいいのかとうていわからない。同じく 2.1 ではシ ステムフォルダを指定する機能、Mac OS X ディスクを再構築する機能、 それに System と Finder ファイルの損傷を発見する機能が加わった。 DiskWarrior の価格は 70 ドル(だが次の Mac Care Unit を参照された い)、2000 年 12 月 1 日以前に旧バージョンを購入したユーザーには 30 ドルでのアップグレードが用意されている。2000 年 12 月 1 日以降 に購入したユーザーは送料だけでアップグレードできる。 TidBITS-486 の「Alsoft 社の DiskWarrior で崩壊と闘う」に DiskWarrior のレビュー があるのでご覧いただきだい。

<http://www.alsoft.com/DiskWarrior/support.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05443>

Mac Care Unit -- 最後の真打ちは、最近登場した Norton SystemWorks と Norton Internet Security に対抗すべく Casady & Greene 社が糾合 したバンドル製品だ。Mac Care Unit の価格はわずか 130 ドルで、 Casady & Greene 社の機能拡張マネージャである Conflict Catcher 8、 Alsoft 社のディスクユーティリティと最適化ソフトである DiskWarrior と PlusOptimizer、Connectix 社のコピーユーティリティである CopyAgent、Intego 社の個人向けファイアーウォール NetBarrier と抗ウ イルスソフトの VirusBarrier、それに不要ファイルやダウンロードした アップデートを掃除する Radiologic 社の Chaos Master が入っている。 NetBarrier だけはバージョン 1.1 だが、あとはすべて最新バージョンだ。 Mac Care Unit の価格設定は驚異的で、Conflict Catcher と DiskWarrior だけでもこれ以上するし、両方とも持っていて損はないもの だ(Conflict Catcher については、 TidBITS-446 の「Conflict Catcher、ナイスキャッチ」を参照されたい)。

<http://www.maccareunit.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06256>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05086>


Macworld SF 2001 のトレンド:パーソナルファイアウォール

by Adam Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)

ケーブルモデムや DSL を通したインターネットの常時接続が増え、クラッ カーが個人のコンピュータに侵入して荒らしていく恐れが増えている。 Windows ユーザーにとっては、そのような恐れは現実のものである。自動 化された攻撃のほとんどは Windows のネットワークサービスのセキュリ ティホールを特に狙っているものだからだ。Mac がそういった問題に悩ま されることは、特に Web 共有やファイル共有を TCP/IP 経由で使用して いないか、きちんと対策がなされている場合、かなり少ない。しかし、現 在多くの企業が、さらなる心の平穏を欲したり、何が起こっているか正確 に知りたい Mac ユーザーのために、個人向けのファイアウォール製品を 製作している。Intego 社の NetBarrier や Open Door Networks 社の DoorStop(現在 Norton Personal Firewall の土台となっている)が最初 に姿を現し、ネットワークの魔術師であり IPNetRouter を世にもたらし た Sustainable Softworks 社の IPNetSentry がちょうど仲間入りを果た した。

IPNetSentry -- IPNetSentry は 35 ドルで、他社製品の「防火壁」ア プローチではなく「ねらい撃ち」アプローチで差別化をはかろうとしてい る。つまり、従来のファイアウォールのような、城壁を建て穴をあけて特 定のサービスを通すやりかたを基本とせずに、IPNetSentry は特定の疑わ しい動きを見張り、そのような攻撃を察知したらブロックする。 Sustainable Softworks 社はこのアプローチについてこう述べている。ファ イアウォールの設置が理にかなっているのは、複数のユーザーがいて、管 理者が個々のユーザーよりもちゃんと Firewall が何を許し何をブロック するかを決められる場合だ。しかし、マシンが 1 台の場合、そのような アプローチはやり過ぎで、必要以上の仕事を増やすことになりかねない。 Sustainable Softworks の Peter Sichel 氏は IPNetSentry や IPNetRouter を走らせた時の興味深い副次的な効果についても述べた。こ れらのプログラムは入ってくるパケットすべてに目を通していて、異常な パケットを捨てることができる(実際捨てている)。このやり方は、Mac 上の何かが異常なパケットを正しく処理できなかったときに起こる、一見 でたらめに起こるようなクラッシュを取り除いているとのことだ。

<http://www.sustworks.com/site/prod_ipns_overview.html>

Who's There -- 会場で新しく出展されていたものに、Open Door Networks 社の Who's There (40ドル)がある。今や Norton Personal Firewall の心臓部となった DoorStop 製品を作るときに得た専門技術を もとに、Open Door が作り上げたアプリケーションは、DoorStop や Norton Personal Firewall と連係してインターネット接続を見張り、ア クセスしようとしたものすべてのログを取り、実際に何が起こっているの か理解する役にたつ。私が主に心配しているのは、Who's There や似たよ うなユーティリティで、起こるかもしれない問題に過度に悩む人が出てく るということだ。それはまるでお話の登場人物が突然自分が他人の心を読 めるようになり、以前は知らなかった情報の扱いに苦心するかのようだ。 考えてもみてほしい。誰かがあなたの車についてぼんやり考えているのを 全部知りたいと思うだろうか。

<http://www2.opendoor.com/whosthere/>
<http://www.symantec.com/sabu/nis/npf_mac/>

NetBarrier 2.0 -- Macworld Expo での巨大なお城の風船のブースのま わりに壕をめぐらせはしなかったが、Intego 社は 60 ドルの NetBarrier を 2.0 にバージョンアップし、cookie のコントロール、バナー広告のブ ロック、POP サーバへのスパムのフィルタリングの機能をつけ加えた。 NetBarrier 2.0 は送信される情報もフィルタリングしてコンピュータや ブラウザを特定する情報の送信を防止し、送信フォームを通して送られる 個人情報もフィルタリングする。Intego は明らかに多様なセキュリティ 問題について NetBarrier で取り組もうとしている。私はまだ新しいバー ジョンを評価する機会を持っていないが、メールをダウンロードもしない うちにフィルタリングさせるのは少し心配だ。どんなスパムフィルタでも 100 % 正しいということはないからだ。

<http://www.intego.com/netbarrier/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06064>


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