TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS-J#577/23-Apr-01

Mac OS X にセキュリティホール?その通り。Mac OS X に関する新コラム の第一回では、その穴を塞ぐ方法と、Timbuktu Pro と ConceptDraw の Mac OS X 版、Mac OS X の FTP サーバの制限、Unix コマンドラインにグ ラフィカルなインターフェースを提供するかしこいユーティリティも説明 する。また、Apple の極めて良好な四半期決算を眺め、Eudora 5.1、 BBEdit 6.1、Acrobat 5.0 のリリースをお伝えする。

目次:

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MailBITS/23-Apr-01

(翻訳:西村 尚 <hisashin@hotsync.co.jp>)
(  :亀岡 孝仁 <kameotak@iea.att.ne.jp>)

Eudora 5.1 が SSL と Palm アドレス同期機能を追加 -- Qualcomm 社 は、同社の人気のある電子メールアプリケーションへの無料のアップデー トである Eudora 5.1 をリリースした。新機能には、ご利用の電子メール サーバが対応している場合には SSL(Secure Sockets Layer)による安全 な、認証接続のためのサポート、メッセージ作成ウインドウにインライン で署名を表示するオプション、vCard の送信、受信、並べ替えのサポート、 MoodWatch を呼び出す語句の色付け表示(Paid または Sponsored モード のみ)、そして新しい MoodWatch 設定パネルが含まれる。Qualcomm は Eudora 5.0 用の Address Book を書き直した( TidBITS-547 の 「Eudora 5.0 が貴方の心を読む」を参照)が、今この恩恵が現れ始めた。 機能強化には、Eudora Address Book を Palm OS ハンドヘルドに同期さ せるコンジット、アドレス帳の項目とニックネーム・ツールバーボタンの ための写真のサポート、Address Book(または選択した項目のみ)をカン マ区切りのテキストファイルに書き出す機能、新しい Address Book 設定 パネルが含まれる。さらに、Qualcomm はたくさんの小さなバグを修正し た。4.8 MB のインストーラは、新規に Eudora Application Folder をイ ンストールするか、または(ベータバージョン以外の) Eudora 5.0.x の 支払い済みのコピーをアップデートする。Mac OS X を使っている人には、 Eudora 5.1 のカーボン化されたバージョンが現在ベータテスト段階であ る(こちらは 3.8 MB のダウンロード容量)。[ACE]

<http://www.eudora.com/email/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06112>
<http://www.eudora.com/products/eudora/download/>
<http://www.eudora.com/betas/>

BBEdit 6.1 機能強化し、Mac OS X をサポート -- Bare Bones Software 社の人気のテキストおよび HTML エディタである BBEdit が Mac OS X のカーボンソフトウェアの仲間入りをした。基本的アーキテク チャの変更と Mac OS X の環境により良く適応するようにするための数知 れない改良とともに、BBEdit 6.1 は多くの新機能と機能強化を提供して いる。これらの中には、Mac OS X の Perl ツールとの統合、代替ポート でも接続できるようになった改良 FTP エンジン、ソフトラップ書類の行 番号の表示オプション、リモートディレクトリを見るための FTP ブラウ ザウィンドウ、そして編集コマンドのための Emacs スタイルの代替キー が含まれている。BBEdit 6.1 は 8.3 MB のダウンロードサイズで System 7.5.5 かそれ以上で動作する。BBEdit 6.0 の登録ユーザには無償; BBEdit のそれ以前のバージョンのユーザには 39 ドル、クロスアップグ レードは 79 ドル、それ以外は 119 ドルとなっている。[ACE]

<http://www.barebones.com/products/bbedit.html>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/bbedit-notes.html>
<http://www.barebones.com/support/updates.html>

Acrobat 5 オンライン共同作業に焦点 -- Adobe 社は Adobe Acrobat 5 をリリースした。今回は単なるプラットフォームを問わずに文書を見る手 段を通り越して、その Portable Document Format (PDF) をオンライン共 同作業のツールと位置付けている(TidBITS に連載した文書作成の共同作 業を参照)。Acrobat 5 では PDF ファイルのコンテンツを他の RTFの よ うなフォーマットで保存する機能や、ページを TIFF、JPEG、あるいは PNG 画像として保存できる機能を追加した。セキュリティに関しては、機 密文書を扱う場合には Acrobat 5 は 128 ビット暗号化パスワード保護と デジタル署名をサポートしており、かつ編集および印刷を制限することが できる。共有文書にノートを付けたり変更を加えたりすることも、メール 経由で文書の多数の版の間を行ったり来たりする面倒なしに、一つの Web プラウザのなかでオンラインでできる。Adobe 社は Acrobat の PDF 文書 の中で フォームを扱う機能を強化した。ユーザは Acrobat の XML サポー トを利用して背後に控えたデータベースに連携した動的な電子フォームを 作成できる。Acrobat 5 はアクセシビリティ関連機能も含んでいて、高コ ントラストディスプレイ設定、Windows ベースのスクリーンリーダのサポー ト(障害者のためのアクセシビリティを扱った我々のシリーズ参照)、そ れに多くのショートカットキーなどがある。さらにホストとしての他の機 能もあり、強調した印刷出力やカラーコントロール、バッチ処理、そして PDF ファイルを調べ補修するツールなどがある。Acrobat 5 は 250 ドル で入手可能で、Mac OS X に対してカーボン化されている。無償の Acrobat 5 Reader インストーラは 380K のダウンロードの大きさで;ア プリケーションそのものは 10 MB のダウンロードとなっている。[JLC]

<http://www.adobe.com/acrobat/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1191>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1189>


PowerBook G4 Titanium により Apple は 4,300 万ドルの収益

by Adam Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:飯橋 真紀 <k-m611@ma4.seikyou.ne.jp>)

2001 会計年度第 2 四半期に、Apple Computer は、Mac 販売台数 75 万 1000 台で 4,300 万ドル、1 株当たり 0.12 ドルの純利益があったことを 先週発表した。この数字は、ARM Holdings plc 社の 2,300 万株を売却し た 8,900 万ドルに多少支えられている。それは、EarthLink への投資償 却分の 8,600 万ドルで相殺されても余る額であった。Apple は、ARM Holdings 株の 8 万株のみを所有することとなったが、ARM 株の売却は、 Apple のここ数年にわたる財政を強化する起爆剤となっている。今四半期 の結果は、前年同期における 1 万台以上の Mac の売上げによる 2 億 3,300 万ドル(1 株当たり 0.64 ドル)の利益とは比べ物にもならないが、 前四半期の 1 億 9,500 万ドルの損失をふまえて 1 株当たり 0.01 ドル としたアナリストの予測を完全に打ち砕いた。Apple のキャッシュと短期 的投資状態は 41 億ドル以上と引き続き強力だ。

<http://www.apple.com/pr/library/2001/apr/18q2results.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05902>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06273>

好業績をもたらした称賛すべき要因は、Apple のコスト削減手段や部品の 価格が下がったことにもある。しかしながら、今四半期で 13 万 4000 台 が売れた人気の PowerBook G4 Titanium に拠るところがより明白だ。前 四半期あるいは前年同期のいずれにせよ、先行モデルの PowerBook G3 (FireWire)よりもはるかに好成績だ。また、PowerBook G4 Titanium に より、まだ昨年の 28.2 % よりは低いが、Apple の粗利率を 26.9 % に引 き上げた。さらに、Power Mac G4(Digital Audio)の販売台数は前四半 期より好調で 25 万台となった。しかしながら、iMac は 30 万台とクリ スマス四半期にもまったく及ばず、まもなくモデルチェンジする可能性の 高い iBook は、たった 5 万 5000 台のみの売上げとなった。価格引下げ をしても、Power Mac G4 Cube は 1 万 2,000 台のみの売上げにとどまっ た。Apple の総収入を引き上げた最も興味深いものは、そのうちの 1,900 万ドルを占めた Mac OS X であった。

Apple の財政状況については、いくつかの考えがある。Apple の幸運は、 より規模の大きなコンピュータ業界とは比較的無関係なのかもしれない。 というのもやはり、Mac の購入は企業決定というよりむしろ個人であるこ との方がより一般的だ。また、PowerBook G4 Titanium のような人を誘惑 する製品は、冷ややかな経済状勢のなかでさえもよく売れることに着目し て頂きたい。対照的に、単に Power Mac G4 Cube は、そのエレガントで 落ち着きのあるデザインにもかかわらず、Apple が価格を引き下げた後で さえも、ハイエンドの iMac あるいはローエンドの Power Mac G4 のどち らよりも購買意欲をそそる十分な利点が見当たらない。おそらく Cube は、 著しいモデルチェンジで功を奏するか、2001 年の終わりまでに完全に姿 を消しているかのどちらかであろう。


TenBITS/23-Apr-01

by Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
(翻訳:尾高 里華子 <rikako@pobox.com>)
(  :斎藤 美礼 <mirei@x.age.ne.jp>)

10 年前に発行したものを読み返していて( TidBITS-576 の 11 周年記 念記事「TidBITS、11 年を経て」を参照)、当時出たばかりの System 7 の関連情報をちょこちょこと単発的なコラムでしか書いていないことに気 がついた。1991 年春の大事件ともいうべきリリースだったのに、それに 関する記事のあまりの少なさにばつの悪い思いをした。ところで、先ごろ 出た Mac OS X はびっくるするほど System 7 とよく似ている。どちらも、 新機能を利用できるようにするためにはアプリケーションの書き直しが必 要であり、マシンにデフォルトでインストールされるようになるよりも数 カ月先行して発売された。どちらも RAM を十分に積んでいない低価格の Mac では遅く(System 7 は 4 MB 以上、Mac OS X は 128 MB 以上が必 要)、新しい OS を巧みに操るためには、数多くの Tips やノウハウなど が必要である。大きく異なる点は、Mac OS X が批判的な意見をかなり受 けているということだ。System 7 のテクノロジーの中にも(バルーンヘ ルプ、発行と引用のように)不評だったものがわずかにあったが、マルチ タスクや物理 RAM が多く利用できるようになるなどといった要望の高かっ た部分への対応がなされていたので全体的には受けが良かった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06397>

似ている、似ていないの話はこれぐらいにして、TidBITS Talk その他で 盛んに論じられている Mac OS X 関連情報から漏れているものを折々取り 上げていくことにする。

Mac OS X FTP は攻撃されやすいか? 2001 年 4 月 10 日、CERT は FTP サーバマシンで侵入者にコードを実行される危険にさらされている FTP サーバがいくつかあるという問題が判明したとの勧告を出した。このバグ にかかわるのは、Apple が Mac OS X で採用している FreeBSD を含め、 様々な Unix を利用した FTP サーバである。FreeBSD 社はこのバグの存 在を認め、バグフィックスを行った。残念ながら、Apple は Mac OS X が 攻撃を受けやすいかどうかについて CERT に表明していないし、Apple の DarwinOS-Users メーリングリストで説明を求めているのにも無回答のま まであり、Apple は我々のメールでの直接の質問にも回答していない。し かし、Larry Rosenstein 氏 <lsr@alum.mit.edu> から聞いたところによ ると、Darwin のバージョンコントロールログでは、その FTP サーバは 2000 年 7 月の FreeBSD プロジェクトからインポートしたもになってお り、コードを見たところ攻撃を受けてしまうものであるらしいということ だった。さらに、この FTP サーバのソースコードの現バージョンでフィッ クスを行おうとした形跡があるとも話してくれた。

<http://www.cert.org/advisories/CA-2001-07.html>

Mac OS X の共有コントロールパネルで、このサービスコードを利用する リモート FTP アクセスの許可を設定できるようになっており、Apple が このセキュリティホールに対応するまで、安全のためにこれをオフにして おくようお奨めする(ありがたいことに、デフォルトのままでよい)。 FTP アクセスをオンにする必要がある場合は、(「ftp」という名前のア カウントを作って)だれでもが FTP アクセスできるようにせずに、破ら れにくいパスワードをユーザーに使用させよう。

Apple に対する私の意見は次の通りだ。Mac OS X で、オープンスースの Unix コミュニティと居を同じくすることにした今、これまでの Mac OS ではかみつかれなかった虫に悩まされることになるのは避けられないのだ から、このコミュニティのメンバーの一員として正々堂々とした態度で対 処に当たって欲しい。つまり、問題はすぐに認め、暫定措置を講じ、バグ をフィックスし、ソフトウェアアップデートコントロールパネルを通じて フィクスをあまねく配付していただきたい。問題を隠そうとしたり、煙に 巻くような広報を行ったりするのは通用しない。Mac OS X が世の中でもっ とも普及した Unix になる日も近いが、それとともに Mac OS X ユーザー を守るという重責を負わなければならなくなるのだ。

Mac OS X FTP では MacBinary 使用不可 -- Mac OS X の FTP サーバ関 連の話題にあたっていて、先週、このばか者は MacBinary ファイルをサ ポートしてないということに気がついた。つまり、リソースフォーク付き の Macintosh ファイル(すべての Classic アプリケーション、Mac OS 9 でも動作する Carbon アプリケーション、一部書類といったもの)をアッ プロードすると、その過程でリソースフォークは抜け落ちて、ファイルが 損傷してしまう。Apple にはこまやかな注意をもっと払って欲しいもので ある。次期リリースではこの機能が加わっていて欲しいものだ。

とりあえずは、以下の 2 の対応策が考えられる。遅いが問題なくリソー スフォークをコピーできる AppleShare を使うか、StuffIt Deluxe か DropStuff の最新版を使ってファイルを圧縮することにより、データー フォークとリソースフォークがセットになって、データフォークだけになっ た StuffIt アーカイブにしてからアップロードするかだ。

Mac OS X 用の Timbuktu Pro がリリースにつぐリリース -- Netopia 社の Mac OS X に対応した Timbuktu Pro プレビュー版のリリースによっ て、Mac OS X を利用価値のあるオペレーティングシステムに変える重要 なソフトウェアをまた一つ手にすることとなる。新しい機能は、(ツール チップスやフォルダのパーミッションのサポートなどの基本的な Mac OS X の要素に加えて)Aqua インターフェース、マルチギガバイトのファイ ルのサポート、セキュリティの強化、リモートの Mac OS X マシンのアプ リケーションを強制終了する機能などに加えて、画面描写能力も向上して いる。制限事項は、AppleTalk を使用した接続の未サポート、モデム経由 で直接接続するための DirectDial 機能の未サポート、スリープしたディ スプレイを起こす方法がないこと(Mac OS X のスクリーンセーバーを使 わなければならない。残念ながら、Mac OS X は定番の真っ黒なスクリー ンセーバーを内蔵で持たない)、Mac OS X のロングファイルネームの未 サポート、Timbuktu が動作中にやってくるアクセスを制限する方法がな いこと、Mac OS X のホストコンピュータのドラッグ & ドロップの未サポー ト、Hide Desktop Pattern 機能の未サポート、また、Timbuktu Pro for Macintosh のバージョン 4.8 以上と Timbuktu 2000 for Windows のみと 互換性を持つ(それ以前のバージョンでも動くかもしれないが、公式にサ ポートされていない)ことだ。プレビューリリースの価格は Netopia の オンラインストアで 30 ドルであり、2001 年 6 月 18 日に使用期限が切 れる。Netopia 社はプレビューリリースの購入者に最終版を特別アップグ レード価格で提供する予定である。

<http://www.macosxready.com/>

テストでは、Timbuktu Pro for Mac OS X は既存の Mac を操作するのも、 他のマシンから操作されるのもうまくいった。しかし、今日 Netopia は、 コンピュータに直接アクセスしているユーザーが Mac OS X のパスワード セキュリティを迂回できてしまうという深刻なセキュリティホールを発見 した。Netopia はただちにバージョン 6.0b2 をリリースし、問題を修正 した。購入者が受け取った確認のメールにある URL で入手できる。我々 は物理的セキュリティが懸念されているコンピュータにバージョン 6.0b1 のソフトウェアをインストールしないことを強くお勧めする。また、 6.0b1 のユーザーはただちに 6.0b2 をダウンロードしてインストールす ることをお勧めする。このセキュリティホールはマルチユーザーオペレー ティングシステムにより生じるセキュリティの問題のもうひとつの証拠と なるが、Netopia が問題をこのように素早く認識し対応したことを称賛し よう。

<http://www.securemac.com/timubktuosxpreviewhole.cfm>
<http://www.netopia.com/support/faqs/software/osxfaq.html#securityissue>

セキュリティホールの仕組みはこうだ。Timbuktu for Mac OS X はマルチ ユーザーの設定が行われたコンピュータがログイン画面の状態のときでも、 リモートアクセスを許可するよう設計されている。この状態では、OS は 完全にロードしているがユーザーの認証を待っている状態だ。このときで さえ、Timbuktu は邪魔なフローティングアイコン(他のすべてのウイン ドウだけでなく、Dock の前面にあらわれるので、Control + ドラッグし ていちばん目立たない場所に移そう)が Mac OS 9 の Timbuktu のメニュー バーアイコンのメニュー項目をそのまま表示する。そのメニュー項目のひ とつを選択すると、Timbuktu が起動し、Mac OS X のメニューバーが見え るようになる。残念なことに、Mac OS X のメニューバーが見えるため、 ユーザーは Apple メニューに完全にアクセスできる。Apple メニューに 含まれるシステム環境設定のユーザパネルで管理者の権利を持つ新規ユー ザーのアカウントを作成できる。バージョン 6.0b2 ではユーザーが誰も ログインしていない場合 Mac OS X のメニューバーを表示しないようにし てこの問題を取り除いている。

ConceptDraw 1.6 がカーボン化 -- CS Odessa 社は ConceptDraw 1.6 をリリースした。新機能は追加されていないが、Mac OS X でカーボンア プリケーションとしてネイティブに動作するようになり、Aqua インター フェースをサポートするようになった。Mac OS X で大きなドキュメント を扱う際の動作も改善されている。CS Odessa はカーボン化されていない バージョンの ConceptDraw も Mac OS 8.1 ユーザーのために発表してい るが、Mac OS 8.5 から Mac OS 9.1 を走らせている場合には、カーボン 化されたバージョンよりもすこし速いので、カーボン化されていないプロ グラムも考慮したいと思うかもしれない。いくつか小さなバグも修正され ているため、Mac OS X を使用していないユーザーでも、3.9 MB をダウン ロードしてバージョン 1.6 へ無料アップグレードする価値があると思わ れるかもしれない。

<http://www.conceptdraw.com/en/resources/beta16xload.php>

Mac OS X の ShellShell で遊ぼう -- Mac OS X がその根底にある Unix のコマンドラインへのアクセスの方法をどのように提供するのか、 懸念をあらわにする人は多く、デベロッパーもサポート業務の人もグラフィ カルな Macintosh のツールよりもコマンドラインに頼るのではないかと 恐れている(頻繁に寄稿してくれる Chris Pepper 氏と Travis Butler 氏が最近行った TidBITS Talk での議論を参照)。Wizardry と Virex で 有名な Robert Woodhead 氏がつい先日 ShellShell をリリースするとい う歓迎すべきやり方で引っかき回してくれた。このユーティリティは Unix のシェルコマンドにグラフィカルインターフェースをかぶせたもの だ。Robert 氏は Unix コマンドのすべてのオプションや依存関係をあら わすことができるスクリプト言語を作り上げた。ShellShell はそれぞれ のコマンドを実行するためにスクリプトを設定パネルの形にする。オプショ ンを選択し、コマンドがルートアカウントから送る必要があるか決定し、 Run ボタンを押すと、Mac OS X の基盤となる Unix にコマンドを送る。 難解な Unix の文の結果が 2 番目のパネルに返される。ShellShell には ほかに限界があって、それは数個の Unix コマンド用のスクリプトしか付 属していないことだ。スクリプトを増やすことができるかはコミュニティ にかかっている。ShellShell は LegoWare であり(使用するなら Robert 氏の子供に Lego ブロックを送ろう)、ダウンロードサイズは 600K であ る。

<http://www.madoverlord.com/Projects/SHELLSHELL.t>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1351>


BookBITS: iMac と私 - 3 冊の iMac 本

by Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
(翻訳:尾高 修一 <shu@pobox.com>)
(  :敦賀 康子 <hiroki-tsuruga.soul75@nifty.com>)
(  :三好 泰子 <yokomo@mio.to>)

先週、Apple は iMac の販売数が 500 万台に達したという発表をした。 この半透明のマシンは史上最も売れた Macintosh モデルということにな る。ユニークなデザインでコンピュータを買ったことのない層の注目を集 め、その特色ある形と色はメジャーな雑誌やテレビ番組、映画などで、ほ とんどお決まりのようにいたるところで姿を現していた。どうせコンピュー タを見せるなら、カッコイイやつを使おうという気になるのはわかる。

TidBITS 読者の中にも iMac を持っている方は多いに違いない。私もその 一人だし、また家族で iMac を持っている人がいるということもあるだろ う。iMac のセットアップは経験豊富な Mac ユーザーには簡単だが、初心 者だとそういうわけにはいかない。その理由は、作業そのものが難しいと いうよりも、iMac 購入者の半数近くが初めて Macintosh を買っていると いうことにある。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05780>

残念なことに、iMac もドキュメンテーション削減という業界のトレンド の犠牲になっている。ドキュメンテーションの開発、製作、配布に必要な コストを削減するということもあるが、これにはドキュメンテーションが いらないほど簡単であるという Apple のメッセージが込められているこ とも間違いない。[詳しくは TidBITS-428 の話題作「ドキュメンテーショ ンの死」と、この記事に触発された TidBITS Talk での数多くのディスカッ ションを参照していただきたい。-Adam] iMac には薄いマニュアルが少し 付属してはいるが、オンラインドキュメンテーション以外には、初心者ユー ザーが参考にしたり手引きにできるものがまったくないのだ。これは残念 なことで、というのも Mac OS が複雑であるということだけでなく、 AppleWorks など iMac にバンドルされてくるアプリケーションはパワフ ルで、初心者ユーザーが一人で発見したり、使いこなせるようになること はまずないような多くの機能があるからだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04865>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=69+70+71+72+73+75+78+79+1206>

iMac に関する本は多くの出版社から出ている。これは珍しいことで、専 用の本が用意されるほど売れる機種はほとんどない。iMac 本のレベルは まちまちで、初心者ユーザー向けとなっているものもあれば、コンピュー タをある程度知っているユーザー向けのものもある。どれにも共通してい る点は、iMac と、付属のオペレーティングシステム、それにアプリケー ションの基本を扱っているということだ。

とはいえ、こうした iMac 本はそれほど iMac に特化しているというわけ ではない。いずれもコンピュータを紹介し、セットアップや接続の仕方を 教え、続いて Mac OS やバンドルされたアプリケーションの一般的な使い 方に入る。iMac そのものを扱った数ページを別とすれば、どの本も Mac OS の入門書として使うことが可能だ。

これはこれで正しいのかもしれない。初心者ユーザーは、Mac OS を扱っ た本に魅力を感じるだろうか?(iMac ユーザーの多くは、起動時のスター トアップスクリーンを目にしているにもかかわらず、自分の iMac で Mac OS が走っていることすら知らないかもしれない)それとも、「私の」 iMac を対象とした本に魅力を感じるだろうか? iMac が成功した理由の一 つに、他のコンピュータにはない「個性」があり、多くの初心者ユーザー が魅力を感じることができたということがある。iMac ユーザーはコンピュー タを持っているのではなく、iMac を持っているのだ。

この記事では 3 種類の iMac 本を取り上げよう。どれもが iMac ユーザー に必要な知識を与えるために、それぞれ異なった方法と語り口を採用して いる。

実績と信頼 -- 昔々あるとろこでは、コンピュータにはマニュアルとい う、漬け物石にできるほど分厚い本が付属していた。こんな時代を憶えて いる方もいるだろう。だがその後、マニュアルはほとんど完全に消滅して しまった。

当時と今の間のどこかで、IDG Books 社(今では Hungry Minds という妙 な会社名になっている)は、コンピュータの使い方がわからず、分厚いマ ニュアルを読んでもわからず、人に訊くのも恥ずかしいというあまたのユー ザーを引きつける方法を考案した。コンピュータやその他の分野(ビジネ ス、料理、園芸、セックスなど)を取り上げた人気の Dummies シリーズ には、大成功した本もあれば大失敗したものもある。ユーモアと軽い語り 口で、Dummies シリーズはコンピュータを身近なものにしたという功績が ある。同シリーズにはオンラインの付録もあり、メールで毎日 tips を受 け取るといったこともできる。これは初心者ユーザーがメールを受け取る ようになるきっかけにもなるだろう。

<http://www.dummies.com/>

David Pogue 氏著の『The iMac for Dummies』(Hungry Minds 社、価格 20 ドル)は、同シリーズ得意の肩の張らない口調にユーモアとイラスト を交え、コンピュータをセットアップするところから一通り使えるように なるまでユーザーを導いてくれる。初心者ユーザーが敬遠する常識的コン ピュータマニュアルとは雲泥の差の身近に感じられる語り口で、iMac で できることを一通り網羅してくれる。まったくの基礎(ポイント & クリッ ク、ファイルの移動、フォルダの扱い)から、インターネット、アプリケー ション、システムフォルダ、それによくできたトラブルシューティングの 章が用意されている。初心者ユーザーが大概のタスクを実行するために必 要なことは一通り盛り込まれていると言っていいだろう。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/076450648X/tidbitselectro00A/>

iMac 固有の記述は比較的少ないため、『The iMac for Dummies』は同じ く Pogue 氏による『Macs for Dummies』と極めて似ているのではないか と考えられる(手元にないために比較はできないが)。知識欲旺盛な iMac ユーザーも満足できる量(400 ページ)を備えている一方、すべて が簡単であるように感じられるような口調を保っている。

時間をかけて -- 新しいコンピュータユーザーの最大の苦労の一つは、 マシンから何かを得る前に、そのマシンについて学ぶために必要な時間の 量である。短時間で基本を学べるということを示せば、iMac 所有者を安 心させることを妨げずに済む。

Gene Steinberg 氏著の『Teach Yourself the iMac in 24 Hours(Second Edition)』(Sams 社、価格 20 ドル)では、iMac の主な特徴を 1 時間 単位の 24 の章や課で紹介するという方法を取っている。『The iMac for Dummies』と同じように、この 400 ページの本も実は Mac OS 一般を扱っ ており、Steinberg 氏はこの本が「iMac ユーザーのみならず iBook や PowerBook、PowerMac ユーザーのための本である。」とさえ序文で述べて いる。この本の最初の数ページだけが iMac の物理的装備に特化している。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0672318377/tidbitselectro00A/>

しかし、『Teach Yourself the iMac in 24 Hours』は Pogue 氏の Dummies 本より極めて異なった方法で Mac OS を紹介している。『The iMac for Dummies』が一度もマウスに触れたことがない本当の初心者のた めであるのに対し、この本はより高いレベルで始まり、Steinberg 氏は読 者が多かれ少なかれコピュータを使うことについての基本に精通している と想定している。彼はステップごとのレッスンを紹介し、各レッスンは Mac 操作の特定の側面を取り上げている。

この方法はうまくいくのか?各章が他のコンピュータ本の内容と大体同じ なので、レッスンの概念はそれほど期待に添うものではない。おそらく、 学習過程を別々のユニットから成る一つのシリーズと見なすことへの心理 的利点があるのだろう。いずれにしてもこの本は良く書かれており、軽い 調子の 『The iMac for Dummies』よりは、その真面目な語り口が多くの ユーザーにとって快適なのかもしれない。

即席 iMac -- これらの2冊の本は比較的厚いので、おじけづくユーザー もいるだろう。それ程多くの詳細を必要としないユーザーには、もっと薄 い他の本で十分に事が足りる。

Martin C. Brown 氏著の『iMac FYI』(Muska & Lipman 社、価格15 ド ル)は Q & A 方式で iMac を学べる小さな、ほぼポケットサイズの本だ。 7 つの章で合計 99 の質問を紹介し、各質問が数ページで iMac 操作の一 つの側面を解説している。またもや iMac 固有の記述部分はほとんどない。 しかし、この本の語り口は読者に何をするべきかを述べるより、むしろ読 者の質問に答えることである。

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/1299685068/tidbitselectro00A/>

『iMac FYI』は先の 2 冊の本よりもサイズが小さくページ数も少なく (277 ページ)、他の本にはある深みに欠ける。しかし、リラックスした より効果的な口調で Mac OS への簡単な序文が書かれている。答えにたど り着くまでの長い物語を読みたくない時(物語がどれだけ面白いかにかか わらず)には、『iMac FYI』の構成とサイズが良いクイックリファレンス 本としてお勧めだ。この本は iMac を購入したてで、深刻な問題を解決し てくれる人が身近にいるユーザーには理想的な本だろう。あなたが最近、 両親や祖父母に iMac を買ってあげて、彼らは何はともあれあなたに電話 するに違いないと想像してごらん。『iMac FYI』は彼らの電話代を少し安 くし、彼らからの質問攻めからあなたを守るかもしれない。

にもかかわらず、『iMac FYI』はまったくの初心者向けではない。たとえ ば質問 6 は、「どのようにファイルやアプリケーションを開きますか?」 だが、答えは「ダブルクリックするだけ。」で始まる。著者はダブルクリッ クが何であるかを説明していないし、同様にメニューの選択方法やカーソ ル操作といった基本にも触れていない。『The iMac for Dummies』がおせっ かいに感じる人もいるだろうが、この本にはすべてを解説しているという メリットがある。

索引について -- 3 冊すべてに、あるきわめて重要な特長がある。それ は、完璧で詳細な索引がついていることだ。私は、コンピュータ関連の書 籍で索引は最も重要な部分だと思っている。 このような本は、読者が最 初から最後までひととおり読み終えるという他に、レファレンスとしても 使われることが多いからである。

『iMac FYI』の索引は、他よりも短めである。この本自体がカバーしてい る範囲は狭く、ごく少数のタイプの読者が対象であるという問題があるか らだ。他の 2 冊の索引は、それぞれ 40 ページにも渡っており、大抵の 質問に対応できるだけの十分に詳細な索引である。『Teach Yourself the iMac in 24 Hours』は、索引がどのくらいユーザー向けに作られているか という比較テストではトップであり、このレイアウトは最高に読みやすい。 索引付けには、初心者のユーザーが探すと思われるこ事柄について注意深 く配慮されている。

キーボードのコマンドキーを例にあげてみよう。初心者のユーザーはこれ を Apple キーと呼んでいる。それは、このキーの上に小さなリンゴのマー クが付いているからだ。これに対して、『Teach Yourself the iMac in 24 Hours』では、「Apple キー」と「コマンドキー」の両方を索引項目と して挙げている。『iMac FYI』ではこのキーのことを「Apple ロゴのキー」 と呼んでいて、読者は混乱するかもしれない。『The iMac for Dummies』 には、コマンドキーの項目はないが、ポイントやダブルクリックなどの項 目が入っている。

結び -- これら 3 冊は、それぞれ特定のタイプの人向けに書かれてい る。『The iMac for Dummies』は、あまりコンピュータと密接に関わりた くない人向けで、この本の柔らかい語り口は、コンピュータを使うことが 少々不安な人にとっては申し分ない。また、まったくの初心者のための本 であることの利点を有している。たとえば、Pogue 氏は、ポイントやクリッ クからメニューの使い方やアイコンの動かし方まで、必要なすべてのこと の説明に時間を割いているのである。

このような基本的なテクニックは、『Teach Yourself the iMac in 24 Hours』には書かれていない。その代わりに、iMac を使う上での中身の濃 い基礎が、硬めの語り口で語られている。Windows を経験して iMac を使 い始めた人は、『Teach Yourself the iMac in 24 Hours 』の本質をつい た方法を正しく理解するであろう。

『iMac FYI』がカバーする範囲は広くはないが、あまり教科書的ではなく、 読者との対話方式ですすめられている。これは、まったくの初心者向けの ものではなく、質問・回答形式なので本全体を読むのはちょっと、という 読者には申し分ない。

これらのどの本を読んでも失敗することはないであろうが、一番良い選び 方は、それぞれを手に取ってみて 2、3 ページ読んでみることだ。特にこ れら 3 冊は、同じ題材をとりあげているのに、異なったタイプのユーザー に焦点をあてている。自分に相応しい語り口と表現方法の本を選ぶことが、 学習のためのツールになるか、単なる本棚に置かれた本になるかの違いを 生むことになるだろう。

[Kirk McElhearn 氏はフランス・アルプスに住むフリーの翻訳家・テクニ カルライターである。]


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