先週は、Microsoft や Amazon や Palm といった会社から、久しく聞いたこともないような奇妙なニュースがいくつかやって来た。それらのニュースやその他の話題についての Adam の考えを、続いて古い Mac のハードウェアを手許に置いておくことの有益性に関する彼の考えも読んでみて欲しい。製品のリリースがやって来る。速くて激しいスピードアップした PowerMac、ワイヤレス Palm i705、Opera 5.0、Now Up-to-Date & Contact 4.1.4、iView MediaPro 1.4、QuarkXPress 5.0、そして Griffin の PowerMate コントローラのドライバーだ。
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Power Mac G4 はギガヘルツのスピードに到達 -- Apple は今日、驚くほど強力なフラットパネルの iMac とプロフェッショナルラインのマシンとの差を広げるために、より速いバージョンの Power Mac G4 を披露した。製品ラインのトップモデルは $3000 で、最大 500MHz で稼働する 2MB の専用 L3 キャッシュを持つ 1GHz の PowerPC G4 プロセッサを 2つ搭載する。さらに 256K の L2 キャッシュ、512MB のメモリ、および 80GB のハードディスクも付属する。真ん中のモデルは $2300 で、同じ L3 と L2 キャッシュを搭載した 933 MHz のプロセッサ、それに 256 MB のメモリ、60GB のハードディスクが付属する。この上位2種ではスーパードライブ及び 64MB のグラフィックメモリを搭載した Nvidia GeForce4 MX グラフィック・カードをも含んでいる。新しいローエンドは、前のエントリー機種より実際には $100 安い;$1600 のモデルは 800MHz で稼働するプロセッサに 256K の L2 キャッシュ、256MB のメモリ、40GB のハードディスク、CD-RW ドライブ、そして ATI Radeon 7500 グラフィックスカードといった構成だ。DVD-ROM/CD-RW コンボドライブは BTO のオプションとして選択可能だ。
<http://www.apple.com/powermac/>
<http://www.apple.com/pr/library/2002/jan/28pmg4.html>
新しい Power Mac では、Apple ソフトウェアの標準セット - iPhoto、iTunes、iMovie - に加えて、サードパーティの Mac OS X 用ソフトで魅力的なコンピレーションを組んでいる。Lemke Software の GraphicConverter、Ambrosia Software の Snapz Pro X、Caffeine Software の PixelNhance、Omni Group の OmniGraffle と OmniOutliner、James Thompson の PCalc 2、そして Code Line Communications の Art Director's Toolkit(ADT)といったところだ。Apple が新しい Power Mac G4 でプロフェッショナルグラフィックス市場をターゲットにしているのは明白だが、GraphicConverter のようないくつかの有用なユーティリティが、Photoshop のような大きなプログラムが豊富にあるような環境に示されることは素晴らしいことでもある。新しい Power Mac は2月頃に出荷予定だ。 [JLC](溝畑)
<http://www.apple.com/powermac/software.html>
Opera 5.0 が Classic Mac OS ブラウザの選択肢に -- Opera Software 1月の始めに Opera 5.0 のファイナルバージョンをリリースした。彼らの作った Web ブラウザは System 7.5.3 から Mac OS 9.2 まで動作する(Mac OS X バージョンはまだベータテスト段階のままだ)。Opera は速いページレンダリング、簡単なキーボードナビゲーション、ブラウザインタフェイス内のフレキシブルな検索、ページ拡大、そしてたくさんある細かい設定のオプション、を誇っている。しかし完璧ではない。例えば履歴は Mac がクラッシュした際に簡単に消えてしまうし、多くのWebで使われている小さすぎる文字(TidBITS-467“Windows Web ページの文字がとても小さい理由”参照)を扱うのに理想的な方法はない。我々がテストした範囲では、総じて、Opera は IE 5.1 や Netscape 6 と比べても高い水準で張り合っているように見えた。だからもしそれらのブラウザを使っていて不満であれば、Opera は注目に足りる存在だ。このソフトはバナーモードで使う分には無料だ(手に入れてから 30日間はお試し期間があるので、私はまだこのバナーを見たことがない。しかしおそらくはEudora のスポンサーモードのように、インターフェイスの中に広告バナーが出るのではないだろうか。);もし Opera を直接サポートしようと思うなら、新規購入は $40 で、学生と年長者には $20 である。そして 9本以上を購入するのなら、大口割引もある。Opera 5.0 は System 7.5.3 以降が稼働する PowerPC ベースの Mac を必要とする。あとはたった 2MB ダウンロードするだけだ。 [ACE](溝畑)
<http://www.opera.com/mac/>
<http://www.opera.com/pressreleases/en/2002/01/20020109.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05284>(日本語)Windows Web ページの文字がとても小さい理由
ワイアレス Palm i705 リリース -- Palm 社は Palm i705、ワイアレスネットワークを標準装備した次世代ハンドヘルドオーガナイザーをリリースした。i705 は、前作である Palm VIIx よりも、さらにちいさく、スマートである。重さは 5.9 オンス(167.3 g)で、厚さは 0.5 インチ(1.3 cm)よりもちょっぴり厚い。i705 は(VIIx のフリップアップモデルとちがって)内蔵アンテナを装備していて、E-Mail や AOL のインスタントメッセージを、会社の Palm.Net サービス を通じてチェックできる状態を保ったままに設定できる。オーガナイザーの電源が落としている時ですらチェックできるのだ;メールが来た確認を音、バーイブレータ、あるいはライトの点滅から選ぶことが出来る。そして 8MB のメモリ、拡張カードスロット、グレイスケールスクリーン、そして Li ポリマー充電電池が搭載されている。ソフトのほうでは、i705 は Palm OS 4.1 が稼働し、DataViz の Documents to Go、MGI PhotoSuite Mobile Edition、そして Palm の電子ブックリーダー PalmReader が同梱される。既にもう入手可能。Palm i705 は $450 である;Palm.Net に申し込むと、サービスコストが毎月 $20〜$40、あなたの選んだプランに応じて別に課金される。 [JLC](溝畑)
<http://www.palm.com/products/palmi705/>
<http://www.palm.com/products/palmi705/wireless.html>
Now Up-to-Date & Contact 4.1.1 でバグ修正 -- Mac OS X で Power On Software 社の Now Up-to-Date & Contact 4.1 を使っているユーザーの皆さんは先ごろリリースされたばかりのバージョン 4.1.1 にアップグレードすることをお勧めする。これには印刷関連、プログラム終了ごとのフルセーブ機能、Public Event 及び Public Contact servers から HTML へのエクスポート機能、calendar から To-Do list へのドラッグアンドドロップ、メニューバーのQuickDay 機能の抑止等々のバグ修正が含まれる。この無料アップデートのダウンロードサイズは 15 MBだ。そしてこれは Now Up-to-Date & Contact 4. 1 をMac OS X で利用している場合のみ必要だということを念のためにもう一度書いておこう。ちなみに Mac OS 9 版の最新バージョンは依然 4.0.3 だ。 [ACE](蒲生)
<http://www.poweronsoftware.com/products/nudc/tour/productInfo.asp>
<http://www.poweronsoftware.com/products/nudc/tour/upgradeInfo.asp>
iView MediaPro 1.4 で フレームギャラリー機能が追加される-- iView Multimedia 社は同社の驚くほど良く練り込まれたメディアカタログプログラムの最新版、iView MediaPro 1.4 をリリースした。このバージョン 1.4ではファイルを CD-R などのリムーバブルメディアにコピーすることのできる内蔵バックアップ機能、画質劣化を起こさずに JPEG ファイルの画像を回転させる機能、マウスホイールのサポート、Mac OS X のサムネイルアイコンのサポート、HTML のフレームを使ったギャラリー機能、Mac OS X で利用した際の性能向上など数々の嬉しい機能が追加された他、多くのバグ修正が行われている。登録ユーザーはこのアップグレードを無料で利用可能だ。トライアルバージョン (ダウンロードサイズは 2.3 MB) は 3 週間利用可能、引き続き利用するためには 50 ドル (iView Multimedia の旧版および PhotoRelay からのアップグレードは 30 ドル) 支払う必要がある。
<http://www.iview-multimedia.com/products/mediapro/>
<http://www.iview-multimedia.com/products/mediapro/mp_release.html>
この iView MediaPro と Apple が最近リリースした iPhoto (TidBITS-611 の“iPhoto がiアプリの仲間入り”を参照されたい) は利用ニーズが重複している様に見える。だが、実のところこの二つはお互いを補完しあう関係だ。ドラッグアンドドロップはこの二つのプログラムの間で実にうまく働く。iPhoto へ iView MediaPro から画像をドラッグしてインポートするのは実に快適だし iView MediaPro に iPhoto からドラッグして画像をリンクすることも実に簡単だ。さらに iView MediaPro には画像の明るさ、コントラスト、そしてシャープネスを簡単に調整できる機能及び基本的な色調整を行う機能 (Window メニューの Display Calibrator がその機能だ) が備わっている。しかしながら iPhoto にある赤目補正と白黒画像への変換機能は提供されていない。 [ACE](蒲生)
<http://www.apple.com/iphoto/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06683>(日本語)iPhoto がiアプリの仲間入り
QuarkXPress 5.0 出荷開始 -- Quark 社は先日 QuarkXPress 5.0 の出荷を開始した。これは同社の業界最先端ページレイアウトソフトウェアが長い開発期間をかけてアップグレードされたものだ。この新しい版では表を扱うための tables 機能、複数のデザイン要素を管理するための Layers 機能、AppleScriptサポートの改善と彩色機能の強化が含まれる。さらに QuarkXPress 5.0 では本来ページレイアウトとは無関係なファイルを作成するデザイナーのために Web へのパブリッシュ機能と XML へのエクスポートツールがサポートされている。Quark 社は Mac OS X 版を開発中だと言っているが、依然として QuarkXPress 5.0 は Mac OS 9 ないしは Mac OS X の Classic 環境でのみ動作する。このプログラムの値段は 900 ドルだ。なお、QuarkXPress 4 の登録ユーザーには 300 ドルのアップグレード版もある。 [JLC](蒲生)
<http://www.quark.com/products/xpress/>
Griffin PowerMate のソフトウェアがバージョンアップ -- もしあなたがMacworld Expo で Griffin Technology 社の格好いい PowerMate USB コントローラー(そう、あのブラシ仕上げのアルミニウムでできた“ツマミとボタン”のことだ)買って家に帰った多くの人たちのうちの一人なら Griffin 社のWeb サイトに行って最新版の Mac OS 9 版あるいは Mac OS X 版のドライバーをダウンロードしよう。どちらの版もたくさんのバグフィックスが行われている。さらに MacOS X 版では光る台座の光量、点滅の有無およびその頻度が AppleScript でコントロールできるようになった。 [ACE](蒲生)
<http://griffintechnology.com/audio/pwrmate_driver.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06687>(日本語)Macworld Expo San Francisco 2002 で見つけた珠玉たち
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 亀岡 孝仁 <tkameoka.fjk@spininternet.com>
普段私は毎週 50 から 100 ほどのニュース記事を読むが、大体においてそういう記事を読んだ後の私は、あくびを1つして済ますか、それともちょっとの間考えこんで、その出来事が業界にどんな影響を及ぼすかと思案を巡らすか、という程度の反応が普通だ。けれどもこの一週間、つまり先週は、いつもと違っていた。ニュース記事を読んだ後の私は、「ヤッタ!」と叫んで飛び上がったかと思えば「何か悪いものでも飲んだかな?」とつぶやきながら目を擦ったり、という連続だった。これだけ異常なニュースが続いた一週間だったのだから、これはちょっとまとめて検討してみる必要があるだろう。妙な一週間の皮切りになったのは、このニュースだった...
Netscape、Microsoft を訴える -- ウヮーオ! こういう展開になることを誰が予想しただろうか? Netscape Communications を傘下に所有している AOL/Time Warner 社は、Microsoft 社に対して反トラスト法違反の訴えを起こした。かなり前のことを覚えている読者の方ならば、Microsoft が反トラスト法に違反しているかどうかの問題は 1999 年に Thomas Penfield Jackson 判事が出した“findings of fact”によって事実上決着していることを思い出されるだろう。Jackson 判事はその後 2000 年の4月に、Microsoft がオペレーティングシステムの優勢を保つために競争を抑止する方法を使って市場を独占し続けている、と結論づけた。(このドロドロした裁判の詳細については TidBITS のシリーズ記事「モノポリーで遊ぼう」を参照。)ただ1つの疑問といえば、この結論を受けて今回の提訴の書類を整えるためだけになぜ Netscape の弁護士たちがこれほど長い時間をかける必要があったのか、ということだろう。Netscape は陪審裁判を希望しており、高額の賠償を要求している。もっともこれは Microsoft の幹部たちの首を獄門台に乗せることができなければ、という話だ。
<http://media.aoltimewarner.com/media/press_view.cfm?release_num=55252406>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1152>(日本語)Microsoft 社が反トラスト法違反で起訴される
(日本語)誰を反トラストするか? 第 1 部
(日本語)誰を反トラストするか? 第 2 部
(日本語)Microsoft 独占企業との認定
(日本語)Microsoft 社は反トラスト法に違反した
(日本語)Microsoft 分割命令の審判下る、当社は控訴
(日本語)Microsoft 独占禁止法違反の裁判は、連邦最高裁へ
(日本語)分割への険しき道
(日本語)マイクロソフトが独占判決を最高裁判所へ控訴
(日本語)政府が Microsoft 分割を断念
(日本語)茨の茂みへ:マイクロソフトに好都合な和解
(日本語)提案されていたマイクロソフトの和解案は拒否
Microsoft はさらに金儲け、そして一言、「マカセなさい」 -- いっぽうMicrosoft の方は、四半期 77.4 億ドルという記録的な収益(純益は 28.4 億ドル)を揚げており、これをもってすれば Netscape 訴訟そのものを買い上げることも、ありとあらゆる手を使って引き伸ばし続けることも思いのままだろう。まあ、これ自体は Microsoft にとっては大したニュースでもない。ニュースといえば、Bill Gates が Microsoft の社員に対して、今後はソフトウェアに機能を追加するよりもソフトウェアの安全性を向上させることに力点を置く必要がある、と宣言した。コラムニストの Robert X. Cringely は、この新戦略は実際ソフトウェアの売り上げ向上のために役立つだろう、人々はもはや新機能を望むよりもむしろより良く働くソフトウェアを求めているのだから、と述べている。(また、セキュリティー専門家の Bruce Schneier と Adam Shostack は Microsoft がどうすれば製品のセキュリティー向上を実現できるかについて提言を述べたということだ。)何とまあ、とって付けたような説明だろうか! だって、今になって突然 Microsoft がその Windows ソフトウェアに重大なセキュリティーがあることに気付いた、などと誰が信じるだろうか! 真相はこうである。Microsoft は、一般大衆に Microsoft の .NET ウェブサービスを信用するように仕向けたいのだ。Microsoft のネットワークが常にクラックの攻撃を受け続け、Windows の Outlook 電子メールクライアントや IIS ウェブサーバーが文字どおりウジ虫の棲み家と化している現状では、Microsoft が安全な Windows ソフトウェアという世評を得るには、もはや、その会社自体が謙遜な態度を持っているという世評を得るくらいしか手がないのだろう。たぶん今さらそんな手を打っても手遅れだろうが、しかし、考えてみれば、この時点でころりと謙遜な態度に変わるのは、例の裁判に対しての最大の弁護の手段と言えるかもしれない。なぜって、これまでこんなにも多くの人々にそっぽを向かせるという Microsoft お得意の手法があったからこそ、だからこそ、そのソフトウェアがこんなに注目を集める結果となってきたに違いないのだから。(失礼、ちょっと皮肉が過ぎたかな)
<http://www.microsoft.com/presspass/Press/2002/Jan02/01-17Q02-2earningspr.asp>
<http://www.pbs.org/cringely/pulpit/pulpit20020117.html>
<http://www.securityfocus.com/news/315>
Amazon も記録的収益、しかし氷の地獄も迫る -- 北西部の会社で記録的収益を揚げたのは Microsoft だけではなかった。これまで赤字を続けてきたドット・コム会社、Amazon.com が、さる6月に創設者かつ CEO の Jeff Bezos が 2001 年末までに黒字に転ずると宣言した通りに、ようやく大きな収益を揚げるに至った。この四半期、Amazon は 11.2 億ドルの売り上げと 5 百万ドルの収益を記録した。ここで重大なことだが、この収益額は GAAP(Generally Accepted Accounting Principles:会計原則)の額だということに注目しておかねばならない。GAAP は、Amazon が以前に使用していたプロ・フォーミュラの経理法による金額とは違って、プロ・フォーミュラの数字では無視されているようなコスト、例えば Amazon の 20 億ドルにものぼる負債のための利子や、株取引の費用、リストラの費用、寄付、それに Seattle 市の交通渋滞による時間の浪費なんかも含めて計算しちゃってる。(前四半期の Amazon のプロ・フォーミュラによる収益額は 3 千 5 百万ドルだった。) Amazon によれば黒字に至った収益の大きな要因は国外ユニットの好成績(そう、これがグローバル・エコノミーってものナノミー)だったという。また、さまざまな方法でコスト削減を図ったこと、中でも使用するサーバーを Linux に変えたことも大きかったという。(このサーバーの変更の結果、Microsoft のスポークスマンによるこんな記事が News.com に載って、皆の驚嘆の叫びを集めることとなった:「Linux では、結局顧客自身がオペレーティングシステムの仕事をしなければならない。ソフトウェアのアップデートを管理したり、セキュリティー・パッチを施したり、そういう作業の度に、常に数あるソフトウェアパッケージが互いにコンフリクトを起こしたりしないかどうか確認する作業が必要になってくるのだ。」何とまあ、いったいそれが Windows とどう違うというのだろうか?)こうした妨害にもめげず、四半期を黒字に転ずることのできた Amazon に、おめでとうと言いたい。あと数十億ドルほど頑張れば、積算会計で黒字になるのももう間近だろう。
<http://www.iredge.com/iredge/footer.asp?c=002239>
<http://news.com.com/2100-1001-275155.html>
Aimster はカンカン(Mad)になる -- AOL/Time Warner 社の弁護士たちはただ Microsoft 相手の裁判を待つためだけにのらくらしていたわけではなかった。AOL/Time Warner 社はまた、ピア・ツー・ピアのファイル共有サービス会社の Aimster 社に対しての会社名不当の申し立て裁判をも企てていたのだ。もともとは Aimster が AOL Instant Messenger (AIM) を便乗利用しているのを止めようとしていたのだが、これが AOL には法的に対抗できない方法で便乗していたために、今回の会社の名称に限った訴訟となったのだ。3名からなる独立の National Arbitration Forum (NAF) の判断の結果、この会社名(およびそのいくつかの変形)が AOL Instant Messenger の商標権を侵害しているとの裁定が下った。Aimster の CEO は一貫してこの名前は彼の娘のあだ名である“Aimee”から来ていると主張してきたが、この敗訴を受けて、会社名を Madster と変更した。Aimee の本名が“Madeline”だからだという。でもひょっとしたら本当の理由は彼がカンカンに怒った(“mad”)からかもしれない。現在、同社のウェブサイトには、「当社はこれまでの“A__ster”という名前から改名しました。このページは America Online, Inc. とは一切無関係です。」とある。
Kazaa 買収され、再開 -- ピアツーピアのファイル共有ネットワークに関する法的な問題が増大している。2001年の11月後半に、オランダ法廷がオランダベースの Kazaa サービスに対して著作権のついた音楽ファイルを流す事を禁止する命令を出したが、Napster とは違い Kazaa はいかなる種類のセントラルサーバも運用していないので、現実にはシャットダウンするものなど何もないのである。これに対する Kazaa 側の反応は、言ってみれば“でもどうやればいいの?”であった。同社はソフトウェアのダウンロードを出来ないようにする行動をとったが、先週になって Sharman Networks というオーストラリアの私企業が Kazaa の資産を買収した(おそらくこのオランダ裁判と、RIAA (Recording Industry Association of America:米国レコード協会)のもう一つの訴訟とを逃れるためと思われる)。RIAA は、その法的な問題は絶対に野放しにはしないと言う精神に照らして見れば、これに対抗して Sharman Networks をすでに追訴訟しているとは思うが、RIAA がこの現代のもぐら叩きゲームに勝てるなどとは到底考えにくい。ファイル共有ソフトのデベロッパがしなければいけないことは、ピアツーピア・ネットワークに自ら匿名でアップデートを流せばいいだけなのである。当局は、世界中にとてつもない損害を与えた真に不愉快なウィルスやワームの作者すら探し当てられないのである;ましてや、まっとうな用途のために作られたのだと論議できるファイル共有ソフトを書きそして配布した人達などどうやって見つけ出せるというのだろうか?
Palm、Apple が二の足を踏んだ道を行く -- Steve Jobs が Apple に戻った時、最初にやったことの一つが Macintosh クローン市場を膝下から斬りおとすことであった。この決断は多くの批判を呼んだが、結局は iMac のリリースまでの間 Apple を水面上に浮かばせておく助けにはなった。なぜならば、クローンメーカーは Apple のハードウェアの販売を食っておきながら、ライセンスのためには少ししか支払っていなかったからである。(簡単な算術をしてみよう - Apple のハードウェアのマージンは $2,000 のシステムの 20% だと仮定すれば、それは $400 となる。一方で Apple は Mac OS とマザーボード設計のライセンス供与でその半分ぐらいしか貰っていなかった。)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1016>(日本語)クローンライセンス騒動
(日本語)クローン、Apple に認めてもらうのも日付次第
(日本語)クローン擁護論
(日本語)Apple 流の競争
(日本語)クローンを追い払う
そして今度は Palm が科学的興味の観点からすると同じ実験を繰り返す決断をした。Platform Solutions Group という子会社をつくって Palm OS のライセンスを Handspring, HandEra, Kyocera, Samsung, そして Sony のような会社に与えようというのである。(興味深い事には、プレスリリースによれば将来AlphaSmart、あの簡易 AlphaSmart キーボードのメーカーと Garmin、GPS 機器メーカーから Palm OS 機器が出されるという。)Palm の総マージンは平均売価である $165 の約 20% であり、Palm 一台当り同社はおおよそ $33 の儲けとなる;Palm OS のライセンス料は自分のハードウェアの売上を犠牲にしないためにはこれとほぼ同等でなければならない。ライセンス収入は現状では Palm にとってはスズメの涙ほどでしかなく、前四半期の $290.6 million の収入のうちの $5.5 million にすぎない($274.1 million はハードウェアとアクセサリの売上である)。ひるがえって Palm を見れば、この Palm のソフトウェア子会社は同社のハードウェア部門に対しても Palm OS の使用料を課することになるので、ライセンス収入は増えるがその分ハードウェアの方の数字が少なくなる。Palm の勇気はえらいと思う;歴史の勉強は十分した上でのことと願おうではないか。
<http://www.prnewswire.com/cgi-bin/micro_stories.pl?&TICK=PALM&STORY=/www/story/01-21-2002/0001651720>
<http://www.corporate-ir.net/ireye/ir_site.zhtml?ticker=palm&script=410&layout=-6&item_id=238626>
<http://www.alphasmart.com/>
<http://www.garmin/>
Palm Platforms Solutions Group は Apple の尻切れトンボとなったクローン戦略の少なくとも近傍にいた人を責任者に据えるであろう。David Nagel は 1996年4月に Apple を去って AT&T に移る前は、Apple のシニア副社長で R&D グループの長であったが、あの不運の Copland 次世代オペレーティングシステムプロジェクトを率いていた。一方で、その数ヶ月前には、Gil Amelio のもとクローンライセンスプログラムを一気に立ち上げるため Apple は Motorola に対して System 7.5.x と Copland をライセンスしている。
<http://www.palm.com/about/corporate/executive.html>
先を占う -- 私の賭けは次の通り。Netscape/Microsoft の訴訟は延々と続き嫌気を誘うものとなり、Microsoft は毎四半期にさらに多くの利益を計上し、セキュリティホールは変らず次々と見つかり、Amazon はホリデーシーズンの一時景気の後またぞろ赤字に転落、ピアツーピアのファイルシェアリングネットワークは(現状認識を欠く)法廷の命令にもかかわらず増え続け、そして Palm はライセンス戦略でじっと耐える。でも、当らないかもよ!
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
PC のハードウェアに比べ、Macintosh のハードウェアを有効に活用できる期間は長いが、それでも大幅なアーキテクチャ変更後も古い Mac や付属品を手許に置いておくのは正当化し難い。PowerPC Mac が登場してからも、68K Mac は使い道があったのは確かだが、ADB、SCSI、シリアルポートなどが USB や Firewire へと進化したことを考えると、古い 68K Mac やその付属品をとっておくべき理由を見つけるのはもっと難しくなる。なんらかの外的要因がある時には特にそうだ。昨年、我々が経験した、一ポンド辺り 75 セントの費用をかけて古いハードウェアを運んで国の反対側まで行ったときなどが、良い例だ。
しかし今日は、場所があり、他の使い道がないのであれば、逆に古いハードウェアをとっておくことを勧めたい。(この「使い道がない」というところは重要だ。もし売ったり寄付することによって使ってもらえるのであれば、そちらの方が、何に使うか見当もつかずに仕舞っておくより良いと思う。)以下は古いハードウェアをとっておいて助かったという私の経験談だ。
私達の息子 Tristan が先日三歳になったので、一人でコンピュータを使い始めても良い歳だろうと判断した。監視無しで子供が新しい Mac を使うということになるのであれば、これは軽々しく実行はしないだろう。事故の可能性があまりにも高いからだ。しかし、古いコンピュータであれば、偶然ミルクがこぼれてキーボードを駄目にしても心配は少ない。それに、使わせ始めたいと思っていたソフトは Broderbund の Living Books だったのだが、これは、基本的には本にインタラクティブな要素が付随しているだけのものだ。物をクリックすると何か起こったり、同じ形の物を当てたり、自由に物を描いたりなど出来るようになっている。昔からあり、近年はあまり販売や更新されていないようだが、古い Mac では何ら問題なく働く。多くの教育的ソフトの同様、LivingBooks.com や ClassSource.com でいくつかあるし(後者は、 Macworld Expo のブースで多くのカタログに載っていないタイトルを売っていた。電話して在庫があるかどうか訊ねてみると良い)、eBay(流行が過ぎたり、最近はやりのキャラクタと提携していないおもちゃや服の宝庫だった)でも見つかる。
<http://www.livingbooks.com/>
<http://www.classsource.com/>
<http://www.ebay.com/>
そこで私は自分の古い Centris 660AV と NEC の 3FGx 15 インチカラーモニタを天井裏から下ろしてきた。似たような物が詰まっている引出し(他にも、ADB ケーブルや、電源コードなど必要なものが入っていた)から取り出した VGA アダプタを Mac で働くよう、少々いじる必要があったが、やがて 832 x 624 の解像度で動かすことに成功した。数時間後、Living Books が 640 x 480 の解像度を必要とし、その設定では変更出来なかったため、660AV の電源を切った。ところがその後は Mac が全く起動しなくなってしまった。そこで私は日付が 1956 のいつだかになっており、そして古い Mac を起動したときにモニタが真っ黒のままという問題は多くの場合、内蔵の時計の電池が空になっているためだということを思い出した(もし古い Mac でこの心配があるのなら Polar Orbit Software の PRAM Battery Tester を試してみればよい。電池の寿命が切れかかっているかチェックし、警告を発してくれる)。近所のRadio Shack に電話してみたところ、電池の在庫品があるというので行ってみたところ、実は嘘をついていたことを発見した。Radio Shack 以外の業者から電池を注文して届くのを待っている間、来週中もコンピュータが使えないということを Tristan に説明するのは難しいので、私は気持ちが落ち込んでしまった。
しかし、そこで私は天井裏にあるもう一つのコンピュータは Apple Workgroup Server 6150 だということを思い出した。これは実質、Centris 660AV と同じケースに入った Power Mac 6100 だ。CD-ROM ドライブが壊れていて(そのため、CD-ROM ベースの Living Books に使おうと考え付かなかったのだが)、時々飛んだりする 700 MB のハードドライブを内蔵しているのだが、これの時計の電池を流用できるだろうと思いついた。しかし階下に持ってきたところで、逆にすれば良いと気がついた。まだ働く時計用電池を古い Mac に入れるのではなく、古い Mac の機能している CD-ROM ドライブを新しい機種に移せば良いのだ。そこでさっそく実行したところ、ちゃんと働いた。
唯一の問題は 700 MB ハードドライブがうるさいことだった。6150 が我々の主メールリストサーバで、digital.forest のうるさい機械室に置いてあったときには問題ではなかったが、Tristan を騒音をさらしたくはなかった。もう一回天井裏へ行って外付けの 1 GB ハードドライブが出てきたが、ケースを開けたところ、フルサイズの高さのハードドライブが入っていることを発見した。これでは収まらないので、今度は 2 GB の外付けハードドライブのドライブを取ってきた。一時間もしないうちに、Mac は苦情の音をあげることもなく、Mac OS 8.1 をインストールしていた(古いシステムソフトをとっておくのも良いとは言ったかな?)。
どうやって様々な機器を解体し、部品を色々と移動し、もう一度組み立てたかなど、話し出すと長くなってしまうのでやめておく。だが、もしそのような冒険に乗り出すのであれば、どのように組み立ててあったか忘れないよう注意深くメモをとる事を勧める。ハードディスクの微小なプラグやジャンパなどでは特に大事だ。もしどれかのハードウェアの解体方法に慣れていないのであれば(もしくは忘れてしまっていれば)、Google 検索で必要な情報がインターネット上で数多く見つかる。
終わってみれば、一銭も使わずに 2 GB ハードドライブと、Living Books (そして将来はそれ以外の教育用ソフトウェア)を十分に走らせることの出来るCD-ROM ドライブを内蔵する、完全に機能する Apple Workgroup Server 6150 を得ることが出来た。前に比べ、660AV は CD-ROM ドライブが動かず、6150 から来た古い 700 MBドライブも(SCSI ID セレクタをつなげられなかったことを考えると)外付けケースで正しく作動するかどうか怪しい。だが、合体させたハードウェア全体としては有用性が増した。天井裏で場所を取るだけだったコンピュータ二つ、モニタ、そして外付けハードドライブから、Tristan が常時大人の監視下にいなくても使える素晴らしいシステム(とスペア部品の箱いくつか)へと変身した。買ったときには高価だったハードウェアも、何年も常時使っていた事を考えれば、完全に償却済みのハードウェアにいまでも使用用途があるということはグレービーの上乗せのようなものだ。
ふむ。言うことには気をつけるべきかもしれない。コンピュータの上にグレービーをかけるのは三歳児なら十分にありうる。どちらにせよ、この話の教訓は、古い Mac のハードウェアを(保護のために元の箱に丁寧にしまって)とっておくことは、一見使用価値のなさそうなハードウェアを - 元は考えてもいなかった使用方法を含めて - 最大限活用するのに効率良い方法になり得るということだ。
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA