New York での Macworld Expo で Steve Jobs は、まだ手の届かない新製品と、お金を払わなければ使えないサービスとで Mac ユーザーを歓迎した。Adam は、17インチフラットスクリーン iMac、iTunes 3、新型 iPod のスクープと、iCal、iSync、それに Mac OS X 10.2 の下見をお伝えする - しかし何と言っても大騒ぎとなったのは .Mac に対する年間 $100 の課金である。さらにお伝えするのは、Entourage X の消えてしまった Palm コンジット、Apple の業績、Adam の Mac に対する影響度、そして先週の迷惑メールアンケートの結果についてである。
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Apple、$32 Million の利益を Q3 で計上 -- Apple は先週、今会計年度の第3 四半期に $32 million の利益をあげたと発表した。同四半期の売上は $1.43 billion(前年同期比 3% 減)で、粗利益率も上々の 27.4%(これも前年の 29.4% から下がっている)であった。Apple によると同四半期の出荷台数は 800,000 台を超え、国際市場向けが売上の 42% を占めた。現在の経済情勢にもかかわらず、Apple は他の多くのコンピュータメーカーよりもいい立場におり、手持の現金は$4.3 billion に及んでいる。次の四半期に対しては、大きな一時的出費を除外すれば、多少の黒字と同社は予測している。[GD](カメ)
<http://www.apple.com/pr/library/2002/jul/16results.html>
TidBITS の出版者 Adam Engst が MDJ Power 25 で第3位に -- TidBITS ではできるだけ自分を吹聴することは避けているが、TidBITS の出版者 Adam Engst が MDJ Power 25 で再び 3位にランクされた事を触れておきたい。これは Macintosh 業界で影響力の大きい人を選ぼうとする年次調査である。今年、Adam は MDJ Power 25 のトップ5の中で _ただ一人_ の非 Apple 従業員となった:第1位は今年も Apple CEO の Steve Jobs、Apple の Senior VP of Software Engineering の Avie Tevanian が第2位に入った。Jonathan Ive (Apple の VP of Design) が第4位で、Apple の Mac OS Technology Manager である Tim Holmes が第5位となった。Adam とそしてその他 MDJ Power 25 に入った名誉ある皆さんに祝辞を申しあげたい![GD](カメ)
<http://www.macjournals.com/pages/gcsf/mdj_power_25_2002.html>
迷惑メール 2002 アンケート結果 - 先週、読者にすべてのメールアドレスで毎週どれぐらいの迷惑メールを受信しているかたずねた。もちろんこれまでも TidBITS のアンケートは科学的になされているなどと一度も口にした事はないにしても、今回の結果は残念ながら予想を裏切らなかった。約 31% の回答者が週に 100通以上の迷惑メールを受信しているとしており、週に 20通以下とした人は約 27% であった - ということは、約 42% の人が週に 21 から 100通の迷惑メールを受信している事になる。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=76>
重ねて言うまでもないが、この調査は人々が迷惑メールをこれまで以上に受信している事を意味している。同様なアンケートを 2000年5月に実施したが、この時は週に 71通以上受けている人は 7% にすぎなかったし、なんと 40% の人が週に 10通以下だった。過去 2年間でインターネット上の迷惑メールの問題は 10倍以上に増えているという説もあながち的外れではないようである。[GD](カメ)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbpoll=39>
Entourage X 用 Palm コンジット、リリースされたが、すぐ取下げられた -- Palm ハンドヘルドと Entourage X の間での個人情報の同期を取りたいという人達の待ちも先週ついに終りになったと思われた。Microsoft は、Palm OS 3 かそれ以降で走るいかなるハンドヘルドに対しても、住所、タスク、メモ、そして予定表(残念ながらメールは含まれていない)の同期が取れる Palm コンジットをリリースした。しかしながら、このリリースからいくらも経たないうちに、Microsoft はこれをインストールしたユーザーからの問題指摘に対応するためこのソフトウェアを引上げてしまった。22-Jul-02 時点で、Microsoft は遭遇した問題の詳細についても修正版の出荷時期についても明らかにしていない。従って、我々としては、もし先週これにとびついてしまった人も、このコンジットはインストールしない事をお勧めする。[JLC](カメ)
<http://www.microsoft.com/Mac/DOWNLOAD/officex/palmsync.asp>
文:Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
Apple が新しいデスクトップの Mac を発表するという噂が飛び交っていたにも関わらず、 先週の Macworld Expo で登場した新しい Mac は $2000 する 17-インチ (43.2 cm) の iMac だけだった (新しいシステムは Mac OS X 10.2 が必要だから延期されたのだろう)。 新しいワイドスクリーンの画面、 Nvidia GeForce4 MX グラフィックコントローラ、 そして 80 GB ハードディスク以外には、 17-インチ iMac は既存の最高級の iMac と変わらない。 つまり、 800 MHz PowerPC G4、 256 MB の RAM、 SuperDrives、 10/100Base-T Ethernet、 56K 内蔵モデム、 Apple Pro スピーカ、 そして標準装備の FireWire と USB ポートなどが付いてくる。
iMac の一番変わっている点はその画面だ。 基本解像度は横 1440 の縦 900 画素で 16:10 というアスペクト比だ。 それ以外に標準的な 4:3 のアスペクト比で三段階の解像度でも作動する。 Titanium PowerBook G4 や大きい Apple Cinema Display 二つはほぼ同じアスペクト比なのだが、 iMac の金属支柱で支えられた取りつけ点のせいだろうが、 それらに較べ画面がぎこちなく見える。 これに対して 17-インチの Apple Studio Display は横 1280 の縦 1024 の解像度があり、 ワイドスクリーンの iMac の画面に較べて全画素数がほんの少し多く、 背が高めである。
<http://www.apple.com/imac/specs.html>
17-インチ iMac は二週間以内に店頭に並ぶはずだ。 既存の iMac とほぼ同じなので Apple が製造を立ち上げるのに時間がかからなかったのだろう。 17-インチの iMac の高めの値段を正当化しづらいと感じる人達もいるだろうが、 Apple の調査結果によれば、 iMac の購買者にとって値段は必ずしも決定的な要素ではないらしい。 キーノート演説で、 Steve Jobs は新しい iMac 購入者のの半分は SuperDrive を備えた最高モデルを買っていたと述べていた。 この新しいモデルは今までの最高モデルに $200 上乗せするだけで、 大きな画面、 より良いグラフィックコントローラ、 そして大きなハードディスクを付け加える。 誰でも知っている (そして明らかな) 大きな画面の利点を考えれば、 17-インチ iMac は当たりだろうと思う。 私自身、 もし iMac の購入を考えていたならためらわずにそのプレミアを払っただろう。
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
Steve Jobs は、先週行なわれた Macworld Expo の基調講演のかなりの部分を、Mac OS X の次期メジャーリリースへの関心を煽るために費やした。コードネーム“Jaguar”として知られる Mac OS X 10.2 は、伝えられるところによれば著しく改善されたパフォーマンスと 150 の新機能を提供し 2002 年 8 月 24 日に 130 ドルで発売される。2002 年 7 月 17 日から 2002 年 8 月 24 日の間に Mac を購入した人たちには、Mac OS Up to Date プログラムにより Jaguarが 20 ドルで提供されるが、今のところ残念なことに既存の Mac OS X ユーザに対するアップグレード割引料金は設定されていない。
<http://www.apple.com/macosx/jaguar/>
たくさんの人たちが Jaguar の価格に不満を持っており、この不況下で Apple は収益を上げる方法を探す必要があるとはいっても、それは注意深く行なわないといけないだろう。Apple はユーザに Mac OS X をアップグレードし続けて欲しいと思っているのは明白だが、もし価格が高すぎれば、Mac OS X がちょうど普及してきているのに、これ以降の採用が遅れてしまうかもしれない。Apple は Mac OS X を実際に使っているユーザが 250 万人いると見積もっており、2002 年の末にはこれが倍の 500 万人に増えると予想している。ありがたいことに、Mac 購入者の 77 % が Mac OS X をメインのオペレーティングシステムとしてそのまま使っているということだ (ちなみに、Jobs は 500 万人の Mac OS X ユーザは Mac 全体の 20 % にあたるとも述べたが、これは多くの Mac OS X が動作しない機種も含んでの数字だ)。
私たちの見解: Apple は既存ユーザに対し割引価格を提供するべきだ。今はどこでも大変な時で、Apple は収益を上げる必要があるが、Mac ユーザの予算もまた無限ではない。Apple はすでに .Mac 利用料として年 100 ドルの負担をユーザに課そうとしている (この号後半の“iTools が .Mac に変身、ユーザーは大騒ぎ”を参照) が、これは大きな問題やギャップがまだあるオペレーティングシステムのメジャーアップグレードと比べれば本質的なものではない。さらに、アップグレードをしないユーザが多すぎた場合、セキュリティ問題の解決策をリリースし続けるのに障害が生じたり、これから開発するアプリケーションのターゲットとなるオペレーティングシステムを一つに絞れなくなるなど、Apple の作業を難しくするかもしれない。現在までは、ユーザは全て最新版のMac OS X を使用しているとみなしても支障は無かったが、アップグレードの価格が高すぎれば Mac コミュニティはオペレーティングシステムのバージョンの違いにより分化するおそれがある。私は、この件について Apple に意見を送ることを皆さんに強くおすすめしたい。Apple に Jaguar を無料で配布するよう求めるのは論外だが、既存ユーザに対しては安くして良いはずだ。
<http://www.apple.com/macosx/feedback/>
Jaguar の詳細をもう少し -- Jaguar の主要な機能は、数ヶ月前に Steve Jobs が Apple の Worldwide Developers Conference (WWDC) で述べたときにお伝えしたので、ここでは繰り返さない。TidBITS-629 の“次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す”で iChat、Mail、Sherlock 3、QuickTime 6 (現在Software Update 経由で Mac OS X セキュリティアップデートと共に配布中)、Rendezvous、その他について述べている。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06816>(日本語)次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す
実際、Macworld Expo での Jaguar のデモは、WWDC と非常に似通っているように見えた。初めて見た新機能は、Desktop Pictures 初期設定のデスクトップを時々自動で別のものに切り替えるというものだけで、シェアウエアユーティリティの世界で見つかるものだ。しかし、別に新たに詳細が判明したものもあるので、少し長いが Jaguar の機能リストを一覧することをお勧めする。その中には、AirPort Software Base Station、AppleScript フォルダアクション、FTP サーバを Finder でマウント、そしてクリーンインストールオプションなどが含まれている。特に目を引いたのは、Jaguar が動作している Mac で ネットワークサービスを TCP/IP 経由で探す機能である Rendezvous の基調講演でのデモだった。Jobs は、最初に iTunes が AirPort (訳注: 日本名は AirMac)だけでつながっている 2 台の Mac 同士で自動的に曲を探し出し共有する様子を見せ、続けてネットワークプリンタを探し出して構成するという、現在では手動で行なわなければならない作業を Mac が自動的に行なうデモを見せた。
<http://www.apple.com/macosx/jaguar/morefeatures.html>
重要だが、時間の関係であまり基調講演で触れられなかった改善点として、アクセシビリティの向上、例えば Mac OS X 画面のどの部分でも拡大できるズーム機能、コントラストを高めテキストを読みやすくする白黒画面オプション、テンキーを使ったマウスのサポート、そしてシステム全体でのキーボードアクセスが挙げられる。
<http://www.apple.com/macosx/jaguar/universalaccess.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1189>
興味深い点を一つ: Macworld Expo の基調講演は、新しい MPEG-4 オープンスタンダードを利用した初めての大規模なウェブキャストであった。5 万人がこれを視聴し、うち半分はリリースから基調講演が始まるまでの 36 時間で 100 万件を超えるダウンロードを達成した QuickTime 6 を利用していた。
<http://www.apple.com/pr/library/2002/jul/22quicktime.html>
iCal -- システム全体で使用可能な Address Book やSherlock 3 など Mac OS X 自身の機能を増やしている一方で、Apple はまた 2 つの新しいアプリケーションを発表した。iCal と iSync である。iCal はシンプルなウインドウ一つの予定表で、大多数のユーザの要求をかなえるものである。複数の予定表をサポートし (例えば家族一人に一つづつ)、.Mac や他の WebDAV サーバ経由でその予定表を共有させることができる。iCal は 9 月の出荷時に Apple より無料でダウンロードできる予定で、Mac OS X 10.2 が必要である。
iCal の発表で一番影響を受けると思われるのは Microsoft の Entourage だ。私の印象では Entourage の予定表のほうが有能だが、広範囲な共有機能が備わっておらず、またターゲットが個人ユーザに絞られており、その点で iCalに劣っている。共有こそが鍵だ。Jobs が基調講演で触れたように、私たちはみな予定表を持っており、もし予定に関係する他の人と共有できないなら、予定表を持つ意味はほとんど無いと言ってよい。何年ものあいだ、Tonya と私は Now Up-to-Date (再び Power On Software の一部署として復活した Now Software より販売される) の共有機能に依存しており、私たちより忙しい家庭が同様の何かを使っていないということに驚かされてきた。Now Up-to-Date はより業務向けなので、iCal が Now Up-to-Date を脅かすということはないだろうし、さらに Now Software は Macworld Expo で Windows 版の Now Up-to-Date を発表したので、こちらのほうが Mac と PC が混在するオフィスではより魅力的に映るに違いない。
私たちは、iCal はその他の“i”シリーズアプリケーション同様ヒットするに違いないと思っている。無料で必要な機能がほとんど備わっているプログラムに対抗するのは難しい。特にそれが Apple 純正である場合には。
iSync -- iCal は魅力的で沢山の人たちにとって役に立つことだろうが、iSync はさらに重要だ。SyncML オープンスタンダードに基づいた iSync は、複数の機器でデータを同期するための汎用アプリケーションである。Jobs はiCal の予定と Mac OS X Address Book の連絡先を、FireWire 経由で iPodと、USB 経由で Palm ハンドヘルドと (Palm コンジットがまだ必要だ)、そして Bluetooth (無線で通信する技術で、AirPort (訳注: AirMac) を Ethernetとするなら USB に相当する) 経由で Sony Ericsson の携帯電話と、それぞれ同期させて見せた。iCal と同様、iSync は 9 月の出荷時に Mac OS X 10.2 ユーザは無料でダウンロードできる予定だ。
<http://www.apple.com/isync/>
<http://www.syncml.org/>
このようなプログラムの効用は明白だ。Mac は次第に小さくなってきているが、人気を得てきている小さなハンドヘルド機器と同等になる訳が無い。Mac から度々離れなければいけない人たちは、iSync により最小限の数の機器だけを持ち運べるようになり、さらにどの機能が必要かによって MP3 プレイヤー、PDA、あるいは携帯電話などの中からどれにするか選べるだろう。
将来的には、iSync は 複数のファイルを .Mac 経由で (多分 Rendezvous の助けを借りてローカルネットワークでも) 同期できるようになると Jobs は話していた 。私は、ほかのアプリケーションがその利点を使いファイルすべてではなくデータを同期できるように、iSync はオープンになるべきだとの印象を持っている。最初にこの機能を採用して欲しいと思うのは iPhoto だ。なぜならこれは、休暇に持ち出すラップトップと写真を扱う時間の大部分を占めるデスクトップ Mac とのあいだで写真を同期させる良い方法を持っていないためである。
Jobs は、iSync を画期的、革新的なアプリケーションだと述べた。私も同感だ。次世代の小型デジタル機器と組み合わさった時、Apple のデジタルハブ構想に大きく弾みを付けることだろう。
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 溝畑 考史 <mizo-tid@grf-design.com>
先週行われた Macworld Expo の Steve Jobs による基調公演では数々のアナウンスがあり、その中に登場した Apple のフリー MP3 プレイヤーである iTunes 3 がリリースされた。現在 Mac OS X 向けのみだが、入手可能である。
<http://www.apple.com/itunes/>
iTune 3 の新機能としてまず、サウンドチェックがある。これは再生音量を平均化するもので、例えば他の曲に較べて幾つかの曲が、驚くほどうるさかったり、とっても静かになってしまう状況を避けることができる。MP3 を使い初めて以来、私はこの手の事をそれほど気にしてはいなかったのだが、私のコレクションが増えていくにつれて、そういったことでイライラすることも多くなってきた。iTunes 3 はまた、新しいカテゴリー分けオプションを提供する、曲毎に再生された回数を記録し、1ツ星から5ツ星までランク分けすることが出来る。さらに iTunes は最後に再生された日時を記録することが出来るようになった。
これら以上に注目すべき新機能は スマートプレイリストである。これは自分のコレクションに対して働くフィルタと考えればよいだろう。例えば、60年代にリリースされたロック全てというルールを作ると、iTunes が自動的にふさわしい曲を集めてくれる。さらに凄いのは、スマートプレイリストは自動的にアップデートすることだ。つまり新しく手に入れたビートルズ初期の CD を追加したとすると、それはすぐに 60年代ロックのプレイリストに現れると言うわけだ。再生カウントとランキングと合わせれば スマートプレイリストはさらに便利になる。つまり例えば、4ツ星以上にランキングしたエレクトロ・ダンスの曲をランダムに 50曲とか、1970年より前に録音されたブルースを 600MBぶんとか、あるいは自分がよく聞くベストテンとかのプレイリストを作ることが出来るのだ。もし、何曲かを選べとか、何 MBぶんの曲を選べ、という Smart Playlist からある曲を削除したら、その曲のスペースにiTunes が自動的に違う曲を選んでくれるのだ。
iTunes 3 はさらに Audible.com をサポートするようになった。それはインターネットで話し言葉のコンテンツを買えるサービスで、その中には、18000冊以上の本、いろいろな新聞、そして記録されたラジオショーなどがある。またiTunes 3 があれば、長い音声本の途中でどこまで進んだかを記録するしおりを挟むようなこともできる。
<http://www.apple.com/itunes/audiobooks.html>
最後に iTunes 3 はある規則に則って個々の MP3 ファイルの名前を変えることで、MP3 コレクションを整理することを助けてくれるかも知れない。私にはこの一発コマンドが全くうまくいっているようには見えないのだが。加えて、Advanced メニューにある Consolidate Library コマンドは iTunes 3 が知っている全ての MP3 ファイルをあなたの Music フォルダに移動してくれる。
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Steve Jobs の Macworld Expo キーノートでの目玉のもう1つは、人気の Apple 製 MP3 プレイヤー、iPod の新型機がいくつか発表されたことだった。これまでの 5 GB の iPod は値段が $100 下がって $300 となり、引き続き販売される。Jobs はこの旧モデルについては何も語らなかったが、私の予想ではこの 5 GB モデルはそう遠くない将来に打ち切られるのではないかと思う。なぜなら、$400 の 10 GB モデル、および新開発の $500 の 20 GB モデルという新型2機種に共通の本体ケース、これがこれまでの 5 GB モデルとは少しデザインが変わってしまったからだ。新型の本体ケースは以前に比べて 10% ほど薄くなり、ソリッド・ステートのスクロールホイール(トラックパッドの面のように見える)を装備し、FireWire ポートカバーが追加されている。さらに、新型の iPod では購入時にベルトクリップ付きのキャリングケース(もちろん、各社から発売されているさまざまの iPod 用キャリングケースの方があなたの好みに合うかもしれないが)やワイヤー式のリモコン、それに新型のヘッドフォンをセットにしたアクセサリーキットが付いている。これまでの iPod のオーナーもこのアクセサリーキットを別途購入することができる。ただしその値段はキャリングケースのみで(かなり高い)$40、それとは別にリモコンとヘッドフォンの組でさらにまた $40 もする。
iPod 内蔵のソフトウェアも更新されていて、今回からジャンルや作曲者によってもブラウズできるようになった。(アーティストと作曲者が違うのが普通のクラシック音楽のファンにとってはありがたい機能だ。)また、iTunes 3 の同じ機能と同期できる“スマートプレイリスト”やプレイカウントのサポート、音量を標準化するための iTunes 3 のサウンドチェック機能のサポート、朗読のコンテンツのためのラウンドトリップ・ブックマーク付きの Audible.com のサポートなども追加されている。(これまでの iPod のオーナーも、iPod 1.2 ソフトウェアをインストールすることでこれらの新機能が使えるようになる。Apple によればこのソフトウェアは 8 月にリリースされる予定とのことだ。)Mac OS 9 ユーザーのために iTunes 2 もこれまで通りサポートされているが、今回追加された新機能については Mac OS X 専用の iTunes 3 のためなので iTunes 2 では使えないと思われる。
MP3 プレイヤーとして以外の用途のために iPod を使おうという性格の追加機能としては、Extras メニューがある。このメニューを使ってカレンダーのイベントや連絡先の情報などをブラウズすることができる。これらのカレンダーや住所録の情報は、今夏発売になる Mac OS X 10.2 の下で iSync を使って iCal や Address Book から読み込んで同期化されるものだ。ブロック崩しゲームも依然として含まれているが、これまでのようなイースターエッグとしてではなく、れっきとした Extras メニューの項目となっている。また、このメニューを使って iPod 画面に時計を表示させるオプションも選択できる。
おそらく最も特記すべき新機能は、この 8 月末以降、Apple が iPod の各モデルを Windows ユーザーにも同じ値段で発売開始するということだろう。iPod のハードウェア自体は全く同じものが使われるが、Windows ユーザー向けに発売されるパッケージには 6-to-4 の FireWire ケーブルが付属する。(一般的な PC 機に付いている FireWire ポートは 4-pin が普通だからだ。)また、PC で最も一般的な MP3 プレイヤーの Musicmatch Jukebox Plus との間で楽曲を同期化させることもできる。私の予想では、PC ユーザーたちは Mac ユーザーが受けているのと同じ恩恵は受けられないだろうと思う。というのは 4-pin の FireWire ケーブルは電源を供給することができないので、PC ユーザーにとっては iPod を FireWire ポートに繋いでおくだけで自動的に充電されるというわけにはいかず、別途 AC アダプタを使わなければならないからだ。さらに、Musicmatch Jukebox Plus にはたぶん iTunes ほどの便利な機能、特にプレイカウントやスマートプレイリストなどは無いだろう。最後にもちろん、PC ユーザーが iPod を使ってカレンダーや住所録を同期化できるなどということは、Apple の発表では一言も触れられていなかった。
文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
今回 Macworld Expo で Steve Jobs がキーノートで発表した事柄のうちで最も論議を呼んだものといえば、それはもう言うまでもなく、Apple 社がこれまで無料で提供してきた iTools のサービスを有料の .Mac(“dot-Mac”と発音する)で置き換える、という発表だった。この iTools サービスは 2000 年の発足(TidBITS-512 の記事“Apple 社の“i”戦略は“i”ンプレッシブと“i”エる”を参照)以来 220 万人にのぼるユーザーを集めてきたのだが、Apple はこれまで、どんな機能をここにミックスすべきかと、いろいろ苦闘してきた。例えばウェブサイトのレビューのための iReview や、子供向けにサイトをセレクトしてくれる KidSafe などのサービスを切り捨ててきたし、またつい最近には、HomePage ベースのウェブサイトにこっそりと帯域幅制限を施す( TidBITS-634 の記事“iTools HomePage での帯域幅制限”を参照)などの試みもしてきた。それでも、無料の Mac.com 電子メールサービス、20 MB の iDisk 容量、HomePage ウェブページホスティングサービスなどは非常な好評を得てきた。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05763>(日本語)Apple 社の“i”戦略は“i”ンプレッシブと“i”エる”
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06851>(日本語)iTools HomePage での帯域幅制限
けれども Apple のウェブサイトを今チェックしてみると、もはや iTools の痕跡は全く残っていないことがわかる。既にそれは .Mac の説明で置き換えられてしまっている。この .Mac(「ドットマック」)は Apple 社の新しいサービスで、これまでの iTools と同じ内容を一部含んでいるけれども、これまでとは異なり年額 $100 の料金が必要、というものだ。現在の iTools ユーザーは 2002 年 9 月 30 日までにサインアップすれば最初の一年間だけは $50 の割引料金になる。(Apple はまた 60 日間無料の .Mac 試用サービスも発表している。これは従来の iTools と同じサービスに加えて、今回新設された Apple のバックアップソフトウェア(後述)を追加したものだという。)“iTools”から“.Mac”への名称変更は、疑いもなく Apple として無料の iTools と会費制の .Mac とを識別したい、という意図によるものだろう。ただ、.Mac が今日あるべきコンシューマー向けウェブサービスの集合体をねらったものだとすれば、先発の同様なサービス、つまり Microsoft の .Net ウェブサービスのことを意識した名前であることも間違いのないところだろう。
<http://www.mac.com/>
<http://www.microsoft.com/net/>
あなたが現在 iTools のアカウントを持っている場合、もしも何もしないで放っておくと、2002 年 9 月 30 日にそのアカウントは抹消され、あなたが iDisk に保存したデータや Mac.com 電子メールアカウントに保存したメールなども、すべて消去される。(消されて困るものは早めにダウンロードして自分のハードディスクに取り込んでおくのが良いだろう。)
.Mac の新機能は? -- 既存の iTools と同じ機能のままでただ有料化すれば猛反発を買うに違いないことは、Apple にも当然わかっていた。そこで、反発を和らげるための方策として、.Mac の内容はかなり拡張された。その主なものをここに挙げてみよう。これとあわせて .Mac FAQ もぜひお読み頂きたい。
<http://www.mac.com/1/mac_faq.html>
Mac.com の電子メールサービスに 15 MB の保存容量が付く。(これまでは 5 MB)また、ウェブからのアクセスも可能となり、POP と IMAP 双方がサポートされる。さらに、写真署名のサービスも付く。追加の保存容量を購入することもできるし、複数個のメールアドレスが欲しい場合には最大 10 個までの追加の Mac.com アドレスが1個あたり年額 $10 で購入できる。(ただしこれらの追加アドレスでは写真署名は使えない。)
<http://www.mac.com/1/idiskutility_download.html>
<http://www.mac.com/1/hpnewfeatures.html>
iCard は依然として誰でも利用できるが、自分の写真を入れた iCard を送れるのは .Mac 会員のみとなる。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04917>(日本語)今日のバックアップはお済ですか? 第一部
Backup に加えて、.Mac 会員は McAfee 社の Virex プログラム(Mac OS 9 用または Mac OS X 用)をダウンロードして使える。さらに、.Mac 会員は無料でウイルス定義アップデートが入手できる。良い点といえば、Virex は Mac のウイルスのみでなく Windows や Unix のウイルスも発見して除去できる。悪い点は、新しいウイルス定義ファイルはユーザーが手動でダウンロードしてインストールしなければならない点だ。これはどう見ても .Mac 全体の趣旨に反することに思える。
.Mac にサインアップしたり iDisk や Mac.com の電子メールを使ったりするのが Windows マシンからもできるようになった。ただし Backup と Virex、それに HomePage のウェブアプリケーションは Windows では動かない。
.Mac の将来の拡張は? -- 以上のような現時点での .Mac の機能で十分魅力的と感じる人々もいるだろうが、Apple はさらにそれに加えて、2002 年 8 月 24 日に登場する Mac OS X 10.2 に合わせてさらに機能を追加する予定であることも発表している。Mac OS X 10.2 で登場する iCal を使えば、あなたのカレンダーを .Mac に公開したり、他の人のカレンダーを購読したりすることが可能になる。これは便利だ。カレンダーは他のどんな WebDAV サーバーにも公開できるようになるという。
<http://www.mac.com/1/mac_newfeatures.html>
もっとおもしろい新機能もある。スクリーンセイバーのスライドショウを共有することができるのだ。あなたの写真をたくさんあなたの iDisk に公開すれば、あなたの友人や家族がその写真を購読して Mac OS X スクリーンセイバーで使える。この機能が実現すれば、かの Ceiva のスタンドアローン・ピクチャーフレームの目指した基本機能の実現に向けて大きな一歩を踏み出したことになるだろう。この Ceiva は定額の購読料を支払って使うちょっとしたデバイスなのだが、そのウェブ・インターフェイスたるや、私がこれまで出会った中では最悪の使い勝手、という代物なのだ。
仰天して大論争 -- さて、この .Mac への有料化の発表は多くの Mac ユーザーの憤激を買うことになった。多くの人々はこれまでそれほど iTools なんか使っておらず、そういう人にとっては会費を払って使い続けることなんかない、というのが第一印象だっただろう。Mac.com の電子メールアドレスは確かに良かったが、それだけのために毎年 $100 も払うだけの価値は無い、というわけだ。また他のユーザーにとっては、この新しい .Mac の値打ちの大部分が Backup と Virex にあるということが気に障ったかも知れない。バックアップやウイルス対策に本気で取り組んでいる人なら、当然ずっと前からこれらと同等、またはもっと高機能の同類のソフトウェア(例えば Dantz 社のバックアップ用アプリケーション、Retrospect)を購入して使っているだろうから。その上、.Mac にはインターネットアクセスのサービスは含まれておらず、一方では(EarthLink のような)たいていの ISP の提供するインターネット接続サービスでは複数個の電子メールアドレスやウェブ空間が込みになっているという現状では、そういう機能のためだけに重ねて料金を払う決断をするのも難しいだろう。さらに付け加えて言えることは、人々が Apple に裏切られたという印象を持ってしまったという点だ。Apple は当初 iTools が無料であって Macintosh の統合体験に大きな位置を占めるものだという趣旨で大宣伝を展開したのだから。この点に関しては TidBITS Talk でも猛烈な議論が展開されている。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1687>
HomePage ベースのウェブサイトにおいて Apple が帯域幅制限をおこなった最近の事件においても、iTools サービスを維持して行くためにかかるコストを Apple が回収し、またそれで収入を得ようとすることについて、それがもっともなことだと理解を示す人々は多かった。また、Steve Jobs がキーノートにおいて、人々に歓迎されるはずのないこのようなニュースを紹介するという使命をうまくやってのけたのも事実だ。彼は、他のいくつもの無料インターネットサービスが、有料化に移行するか、それともうまいビジネスモデルを見い出せずに事業から撤退するか、どちらかの道を選ばざるを得ないところに来ているということを、単純に指摘してみせたのだった。けれども、今回の Apple は、既存の 220 万人の顧客に対しての誘導方策を間違ってしまったと言えるのではないだろうか。確かに 60 日間の猶予期間と最初の一年間の半額割引とは、無いよりマシではあるが、もっと良い方策として、現行のユーザーに対しては無料で Mac.com の転送アドレスを提供し続ける、というような方法もあったのではないか。もしもそうしたら、今後も Mac.com の電子メールアドレスが世界のインターネット利用者全般に対して Macintosh の利点を叫び続けることもできただろうし、それと同時に Apple 社のサービスにおける帯域幅とディスク容量の必要量を大幅に減らすことも可能だっただろう。
もう一つ心配な点は、.Mac 関係のいろいろな機能が、Mac OS X 自体の中に、また iPhoto のようなアプリケーションの中にも、すでに組み込まれてしまっていることだ。Finder のメニューから直接 iDisk が使えるとか、ウェブフォトアルバムが HomePage で公開できるとかいう重大な機能が、もしも .Mac の会員でなければ全然働かないというなら、それは、どう見ても正しいこととは思えない。それは醜いインターフェイスであり、ユーザーにとっては納得できないコンピューティング体験でもあるのだ。
さて、あなたのご意見は? 今週(訳注: 7 月 28 日まで)TidBITS のホームページでは、.Mac をあなたが利用しようと考えているかどうかのアンケート調査を実施している。(訳注: TidBITS 日本語版ホームページからでも投票に参加できます。)どうぞあなたの考えを投票して頂きたい。また、Apple がこのポリシーを実行に移すまでにはまだ 60 日の余裕があるので、Apple に再考を促すためにも、この問題に関して意見のある読者はぜひ Apple にフィードバックを送るようにしてもらいたいと思う。Apple に意見を送る際には、道理をわきまえた穏当な文章にすること、Apple が健全なビジネスを続ける必要性は認めること、を奨めたい。(何でも無料の方がいい、と駄々をこねてみても何の役にも立たないのだから。)もしも我々に運が向いて、Apple が方針を和らげてくれたら、ひょっとして現行のユーザーについては無料の電子メール転送を続けてくれる、ということになる望みがあるかもしれない。
<http://www.tidbits.com/>(日本語)TidBITS 日本語版ホームページ
<http://www.apple.com/feedback/mac/pm.html>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA