TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#644/26-Aug-02

Apple の“Switch” 広告キャンペーンは PC ユーザーが考えを変える手助けとなっているのであろうか、それとも同社が何年もかけて注意深くつくり上げてきたブランドイメージをぼやかしてしまっているのであろうか?Simon Spence が再び登場、Apple ブランドについて更に掘下げる。この号では更に、Adam が PayBITS の最初の週の結果について報告し、また彼は彼の TiVo をアップグレードし TidBITS スタッフの羨望の的となっている。その他、Mac OS X 10.2 Jaguar、二つの Mac OS X セキュリティアップデート、及び Default Folder X 1.6 のリリースについてお伝えする。

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MailBITS/26-Aug-02

Mac OS X 10.2 Jaguar とき放たれる -- 24-Aug-02(土)に Apple は Mac OS X 10.2 Jaguar をリリースした。これはこのオペレーティングシステムが 24-Mar-01 にリリースされて以来、二度目の大規模アップデートである。Mac OS X 10.1 の時と同様に、Jaguar では現状に対して大幅な改善が図られている - Mac OS 9 の機能を復活させたもの(バネ仕掛のフォルダとか Software Base Station のように)と全く新しいもの(Rendezvous や Inkwell を見て欲しい)とがある。Jaguar の機能については前にも簡単ながら扱っているが、内容を我々が理解するのに応じて引続き今後も取上げていきたい。その間、Jaguar についての討議は TidBITS Talk ですでに始っているので、詳細はそちらで是非見て欲しい。値段は単一ユーザー版が $130 で、5台までのライセンス付きのファミリーパックもあり $200 である。[ACE](カメ)

<http://www.apple.com/macosx/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06816>(日本語)次期 Mac OS X: Jaguar が姿を現す
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06880>(日本語)Jaguar、iCal、そして iSync 現わる
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1711+1712+1714+1715+1716+1718+1719+1688>

Mac OS X セキュリティアップデートをリリース -- Apple は Mac への望まざるアクセスを防止する手助けをする Mac OS X に対する一対のセキュリティアップデートを発表した。具体的には、このアップデートでは OpenSSL 0.9.6g の変更、 そして Mac OS X 10.2 Jaguar 下での Sun RPC XDR エンコーダに対応する Mac OS X のコンポーネントを変更している。Security Update 2002-08-20 は Mac OS X 10.1.5 用で、Security Update 2002-08-23 が Jaguar 用となっている。アップデートはバージョンにより違い、それぞれ 2.2 MB と 5.6 MB のとなっており、Software Update 経由か Apple からの個別のとして入手できる。[JLC](カメ)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120141>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120142>

Creo が TidBITS のスポンサーに -- Creo が最新のスポンサーになってくれたことを謹んでご報告する。同社の Six Degrees ソフトウェアはメールに対して、コンピュータプログラムはあなたが行っている作業をより簡単に出来るようにすべきであるという大変気高い考えからアプローチしている。この高貴な概念を実現しているものは現状では稀有である - 多分最初にあげられるのは Super Boomerang であろう。これは最近開かれたファイルやフォルダを認知しており、ユーザーが再びそれらを開く作業を楽にしてくれる。他には、送信先そして受信先のアドレスを記録する際にその人々に再度メールを送る作業を楽にすることを頭においてやってくれる類のメールプログラムなどがあげられる。Six Degrees はこれらから更に一歩踏みだして、受信と送信のメールを関係付けて、一緒に仕事をする人、送信受信するメッセージ、そして添付ファイルという観点から見るようにする。それに基いてシンプルな検索インターフェースを提供している、例えば、作業途上にあるファイルの最新版、そのファイルを含むメッセージ、或はそのファイルに関する進行状態を見るためのそれを送ってくれた人からのメッセージすべてを探す場合である。これらのことがあなたの - いや一緒に働く人も含めて - 仕事のやり方を変えることなしにすべてできるのである。

<http://www.creo.com/sixdegrees/>

Six Degrees が今日でも有用であることに疑いはないが - Mac 上での Microsoft Entourage、或は Windows 上での Microsoft Outlook をお使いとの想定の上で - 私は Creo がこれから先、このメールの中に内在する関係を使うという概念を拡張して、重要なメッセージに集中し悪玉は避ける(スパマーと関係を持っている人は何人いるだろうか?)ということをどの様に実現していってくれるのかにもっと興味がある。Creo を過小評価して欲しくない!- デベロッパー達の weblog をざっと眺めてみると、自分達が創りだしたことの暗示するものについて、そして真っ当なものと望まないものとのごっちゃ混ぜの中からメールを引き出すのをどうやって助けられるかについて彼らが真剣に考えていることがうかがわれる。[ACE](カメ)

<http://www.creo.com/sixdegrees/news_weblog.html>

Default Folder X 1.6、Jaguar 対応に -- St. Clair Software は Default Folder X をバージョン 1.6 にアップデートし、同社の Open と Save ダイアログユーティリティを Mac OS X 10.2 対応としさらに機能追加をおこなった。この版ではオリジナルの Default Folder の最も有用な機能の一つが組みこまれている。それは Finder ウィンドウ上でクリックすると(他のアプリケーションのウィンドウで覆われている場合でも)ウィンドウの内容が Open または Save のダイアログリストに表示される。Default Folder X 1.6 は今や、リモートサーバ上にあるフォルダにも、それが Favorites または Recent Items リストにあるならば、接続できる、AppleScript や QuickTime に対する対応性も向上し、その他数多くの修正を盛りこんでいる。アップデートは登録ユーザには無償で 2 MB のとなっている。[JLC](カメ)

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolderX/release.html>


PayBITS の第1週報告

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

PayBITS はとにもかくにも重大な実験だと思うので、とりあえずスタート後最初の第1週の結果がどうだったのか、報告しておきたいと思う。PayPal の URL に埋め込まれた金額の具体例が PayPal ページを開いた時にユーザーの手では編集できず、金額が固定されてしまっていた(勘の鋭い方は URL をあらかじめ編集すれば金額が変えられることに気が付いて下さったようだが)という私のうっかりしたミスにもかかわらず、私の iPhoto テクニックの記事に対して 26 人もの方々が送金して下さり、その総額は $116.50 にもなった。これはなかなかの、ちょっと見過ごしにはできないような金額ではないか。さらに素晴しいことに、もう1つの PayBITS 紹介の記事末に付属した PayBITS 段落でリンクされていた TidBITS 個人寄付プログラムに、一週間で新たに 53 人もの方々から寄付が寄せられ、その総額は $1,100 以上にもなった! 本当に、本当にありがとうございました! 参加して下さったすべての方々に、御礼申し上げたい。頂いたお金もありがたいが、それと同時に、私たちがやり取りしている情報そのものに価値を認めることができる、という考え方を支持して下さった、そのこと自体もとても嬉しいことだと思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06909>(日本語)PayBITS: 情報の価値をあなたはどう考えますか

TidBITS Talk にも、また私個人宛にも、PayBITS に関するフィードバックは次々と届いている。これらのご意見には一人一人返事を差し上げるようにしている。ほとんどの方は依然としてこのアイデアに断然賛成、という意見だったが、幾人かの方々からは実際にこのやり方で機能するかどうか疑問だ、という意見も頂いた。この意見に対して今のところ私は、やってみないとわからないではないですか、という以上のことは言えない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1707+1696>

これからこの実験を続けて行くにあたって、さまざまな形で PayBITS のテストをしてみたい。PayBITS 段落の文言を変えてみたり、別の送金サービスを試してみたり、その他いろいろのことを考えている。また、大勢の方々から、PayBITS のテストの一助にもなりたいので TidBITS の記事を書いてみたい、という申し出を頂いた。そういうわけで、これからしばらくの間、我々編集者には何の苦労もなく、多方面にわたる素晴しい記事が皆さんにお届けできることになるだろう。

<http://www.tidbits.com/paybits/>(日本語)PayBITS の説明


TiVo をアップグレード

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 溝畑 考史 <mizo-tid@grf-design.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今を遡ること数年前、初めて30時間ユニットを購入して以来、Tonya と私は TiVo の大ファンだ。これは我々がテレビを観るスタイルに完璧にマッチしている。前は TV局幹部が予定する気紛れにあわせるよりも、我々が観たいと思ったときに観られるように、ビデオを使ってテレビ番組を録画していた。観たいと思った番組があるとき、必ずしもそこに居られるとは限らない。しかしその場合でも TiVo はしっかりと録っておいてくれるのだ。(詳細に関しては2回にわたる Andrew Laurence の TidBITS レビューを参照のこと;他にも TiVo 及び他のデジタルビデオレコーダーに関する多くの議論が TidBITS Talk に寄せられています。(訳註:TidBITS Talk は英語のサービスです。))

<http://www.tivo.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1204>
(日本語)TiVo: 時間をずらせばそこに自由が(第1部)
(日本語)TiVo: 時間をずらせばそこに自由が(第2部)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlktxt=TiVo%20video>

しかし我々にとって TiVo 王国の全てがうまくいっているわけではない。昨年、Seattle から Ithaca に戻ったとき状況は変わった。Seattle では、アンテナが受信するだいたい 6チャンネルの間を満足してうろついていた。この限定的な中から TiVo は我々の観たい番組を抽出するのを助けてくれた。録画品質はそれほど高いものではなかったが、それはアンテナに依るところが大きかった。それに衛星アンテナを買うほどではないと思っていた。Ithaca の新しい家では、電波を受信することが出来なくなったので、ケーブルに加入せざるを得なかった。TiVo はその価値を再発揮し、今はもの凄い数ある番組の中から観たい番組を見つけだすのを助けてくれる。録画画質は未だにそれほど高くはないが、それは観たい番組を見る前に消されるのを防ぐために、私が、Basic あるいは Medium 品質にセットしているからだ。そうしても、TiVo は我々が一晩で観たい数々の番組を格納するのに十分なスペースさえも持っていなかった。

何かをかえる必要がある。

後継機種かな? 一つの可能性としては、60時間の録画時間をうたい文句にした(ここに出てくる時間数は Basic 品質で録画した時のもので、大まかにいってディスクスペースと一致する。だから 60時間ユニットはおそらく 60GB の HDD を搭載しているのだろう)新しい TiVo Series 2 を買うことだ。TiVo Series 2 は小さくなって、新しいリモコンを備え、さらに興味深いことに我々の Mac と同じく、2つの USB ポートがついたことだ。

<http://www.tivo.com/get/series2/>

TiVo コミュニティフォーラムを覗いてみると、これらの USB ポートをどのように使用するつもりであるか、会社側の情報が示されている。USB-LAN アダプタを使って、内蔵モデムではなく、ブロードバンド接続でプログラムデータを、ダウンロードできるようになり、そして将来的には Web から TiVo にアクセスできるようになるらしい。さらに、余った帯域を使ってビデオ・オン・デマンドサービスが可能になり、お望みの番組を注文さえすれば観ることが出来るようになる - 例えば、HBO に加入しないと観られないはずの 超人気番組 “Se..ホニャホニャ and the City”(あぁ忌々しい投稿フィルタ!!)だって観られるようになるかも知れない。さらにはUSB CD-ROM プレーヤーを接続し、TiVo Series 2 に MP3 ミュージックを Music Library(アルバムや曲のタイトルは全てインターネットから)にインポートし、そこから再生することも出来るかも知れない。そして最後に TiVo がデジタルカメラで撮った写真をインポート&表示できるようにする計画もあるという。スライドショーで流す音楽はあなたの Music Library から選ぶことも出来るようになる!かもしれない。

<http://www.tivocommunity.com/tivo-vb/showthread.php?threadid=40610>
<http://www.tivocommunity.com/tivo-vb/showthread.php?threadid=39623>

しかし TiVo Series 2 のハードウェアは現在入手可能であるにも関わらず、私の知る限りこれらのサービスのどれも、未だ始まっていない(全く非公式なものではあるが、いくつかの USB-LAN アダプタは使用可能で、モデム経由ではなくガイドデータを可能だ)。TiVo の Web サイトでは単にこう語られるだけだ、“2つの内蔵 USB ポートは幾つかのデジタル周辺機器をサポートを可能にし、ホームエンターテイメントにエキサイティングな新機能をお届けするでしょう。”私は私の Mac を既に MP3 ミュージックとデジタルフォトライブラリとして満足して使っているので、TiVo 社がなすべきイイ仕事を見守ろうと思う。加えて、新しい TiVo Series 2 を買うには $400 もするし、無期限サービスのためにはさらに $250 もかかる。$650 は今すぐに払える額より高いし、特に TiVo Series 2 に搭載された 60GB のハードディスクというのは、昨今値段の下がった HDD のサイズと較べると大きいとは言えない。

<http://www.tivocommunity.com/tivo-vb/showthread.php?threadid=61226>

(そしてそう、これらの機能性のいくつかを既に実現している ReplayTV 社のマシンを買うという選択肢もある。しかし私は TiVo のこと、それにそのインターフェイスを何よりメチャクチャ気に入っているのだ。そうでない人にとっては ReplayTV 社のデジタルビデオレコーダーはいい選択だろう。)

<http://www.replaytv.com/video/replaytv/>

我々は改造できる。技術があるのだ -- TiVo Series 2 に約束されたこれらの機能は実現可能である。TiVo はもともと Linux のカスタムバージョンが載ったコンピュータなのだから。そして Andrew Laurence が彼のレビューで指摘するように、TiVo に関する大きなユーザーコミュニティが成長している。それは会社側が TiVo オーナーに対して自身の TiVo を改造したりハックすることを認めていることに大きく依っている。

明らかに、もっともよくある改造は TiVo に2台目のハードディスクを追加することで、より大きなディスクスペースを手に入れることだろう。この過程では新しい HDD をあなたの Mac(Power Mac ではそれほど難しくないだろうが、その他のモデルでは根本的に不可能だ)に slave モードで一度接続する必要がある。そして Erik Wagner のフリーウェア MacTiVo Blesser アプリケーションでフォーマットし、その HDD をあなたの TiVo に移そう。

<http://tivo.samba.org/index.cgi?req=all#3.6>
<http://homepage.mac.com/ewagner/>

その MacTiVo Blesser は若干古く、Mac OS Xネイティヴではない。そしてサイトに投稿された最後のコメントから既に1年が経過している(加えて Erik が .Mac サービスに加入しなければ、もうすぐサイト自体が消えてしまう)。これでは全く持って気楽では居られないし、私が凄腕コンピュータ改造者だったとしても、この不安要素が、より十分に調査するための時間を費やす気力をくじいただろう。より新しく、多くのソフトウェアサポートと説明書が PC では使用可能である。しかし私は可能な限り回避できるなら、PC を使用するためのもの凄い集中力を奮い起こすことが出来ない。それに、購入したベアドライブが TiVo 用に適切なマウント用ハードウェアを同梱しているかどうかも気になった・・私はプラスチック製のケーブル留めだけで HDD を装着するのを我慢できるような人間ではなかったから。

<http://www.newreleasesvideo.com/hinsdale-how-to/index2.html>
<http://www.newreleasesvideo.com/hinsdale-how-to/index9.html>

要するに、TiVo をイジるのは優先度の高い保留事項となった。

職人芸の外科手術 -- まさに私がそういう状態でいる時だった。 Weaknees.com の Michael Adberg が、TidBITS のスポンサーになりたいと言って連絡してきてくれたのは。(Weaknees.com というのがヒドイ名前だ、というのは Michael 自身認めているのだ。)彼はパートナーと二人で FileMaker 関係のコンサルタントの仕事をしていたのだが、2000 年末ごろになって、TiVo のアップグレードを専門に扱う Weaknees をスタートさせた。ある時彼らが TiVo のバグのせいで酷い目にあったのがこれを始めたきっかけだったという。TidBITS のスポンサーとして払うべき金額は彼らには少々高すぎたので、Michael は現金で全部を払う代わりにその一部を TiVo アップグレードという形で支払えないかと相談を持ちかけてきた。我々は普段はそういうやり方はしないのだが、物々交換という概念を認めないという訳ではなかったし、また、ちょうど TiVo をアップグレードしたいと思っていた矢先のことだったので、我々も乗り気になった。第一、スポンサーになってもらう会社の製品には馴染んでおきたいものだし、そのためには現物を貰うのが一番の方法ではないか。

<http://www.weaknees.com/tb/>

Michael は私に標準のアップグレードキットを送ってくれた。現在 $265(送料無料)で販売されているものだ。このキットで、シングルドライブの TiVo の録画時間を 145 時間追加することができる。(キットを送ってもらう前に、私は自分の Philips 製 TiVo の背面にあるモデル番号を確認してこれがシングルドライブのユニットであることを確認しなければならなかった。)きちんと梱包されて届いたパッケージの中には、フォーマット済みの 120 GB Maxtor ドライブと印刷されたインストール説明書、マウント用のブラケット、マウントに必要なすべてのハードウェア、そして、これがとても重要なのだが、TiVo の外側ケースを閉じているネジを外すためのネジ回し、トルクス 10 番ドライバーが詰め合わされていた。私の場合はこのサイズのトルクスドライバーを含めてさまざまのサイズのドライバーのコレクションを既に持っているのだが、こういったツールを持っていない人も多いだろうから、TiVo のケースを開けるのに必須のこのドライバーが付いているのは良いことだと思う。

(電子機器を頻繁に扱うような人や、機器のケースを開けるときにドライバーのサイズの合わなかったり安物過ぎてイライラした経験のある人には、Wiha のドライバーのセットを揃えておくことをお勧めする。私は今、プラス / マイナスの一揃いとトルクスの一揃いとを持っているのだが、もしも今から買うのだったら先を交換して使うタイプのもう少し大きなセットを選んだだろうと思う。)

<http://www.wihatools.com/266sets.htm>
<http://www.wihatools.com/629serie.htm>

必要なものが全部揃ったので、私は TiVo 機に接続されているたくさんのケーブルを全部外して、TiVo 機をダイニングルームのテーブルの上に置き、まず外側ケースのネジを外してから、ケースを開けようとした。だがケースはビクともしない。そこで、Weaknees の説明書に書かれているアドバイスに従って、このとてつもなく固く閉じたケースをこじ開ける苦行が始まった。(アドバイスの要点は、TiVo をテーブルの上でなく床の上に置く、ということだった。その方がより力がかけやすいからだ。)やっとのことで TiVo を開けることができたのだが、とにかくこの TiVo という奴は、ユーザーがケースを開けることは全然考えないで作ってある。Apple が Power Mac を開けやすく作ってくれているのとは訳が違うのだ。ちなみに、TiVo を開けてしまうと保証の対象外となることをお忘れなく。

いったんケースが開いてしまえば、あとは説明書に書いてある通りに作業を進めればアップグレードができる。大切な作業段階は、二つ目のパワーコネクタを固定しているケーブル留めを切ることと、ハードドライブのケーブルをクリップから外すことだ。2ページにわたる説明書は正確で、写真も付いてわかりやすく書かれていたが、2・3のミスプリントがあったことと、ドライブをマウント用のブラケットに取り付ける部分だけが別の場所に説明されているために説明の流れが途中で途切れてしまう、というところだけがちょっと気になった。もしもあなたが以前に Mac を開いてメモリを増設したりハードドライブを取り付けたりした経験があるのならば、TiVo にハードドライブをインストールするのも何の問題もなくできるだろう。実のところ、私にとって一番難しかったのは、作業が終わってケースを元通りにちゃんと閉じるというところだった。とにかく、間違いをしないようにと慎重に作業を進めた私でも、作業全体で 30 分もかからなかった。

すべてのケーブル類を TiVo に接続し直し、電源を入れると、すぐに動作を始めて、“Basic”画質で 184 時間の空きがあることが表示された。私にとってもっと意味があったのは“Best”画質でもほぼ 52 時間と表示されたことで、これなら十分だということで早速私はすべての Season Pass や Wishlist の設定を“Best”画質で録画するように切り替えた。その夜遅くになって、TiVo がいくつか番組の録画を終えたあとで、Tonya と私は Basic と Best の画質の違いを見比べてみた。Basic でも十分見るに耐えるものではあったが、Best の方は明らかに透明感のある素晴しい画質で、TiVo の使用感がはっきりと大きくグレードアップした。人生ってこんなに素晴しかったんだ。

(Weaknees では内蔵モデムが壊れた場合に使える外付けモデムも販売していることにも私は注目したい。また、電話線のサージ保護器を使うことも Weaknees は推奨している。これは TiVo のモデムを雷の影響から守るためのもので、私もこれは良いアドバイスだと思う。2ヵ月ほど前、強い雷雨の影響で私の TiVo のモデムは十日間も使えなくなってしまった。始めのうち私は新しいモデムを探さなければならないと思っていたが、実は TiVo のモデムはマザーボードに直付けされていたのだった。私の場合は幸運にも、TiVo の電源を抜いてから挿し直すだけでモデムがリセットされ、動作してくれた。私も、以前から持っている無停電電源装置に加えて電話線のサージ保護器も購入して、私の TiVo や VCR、それにケーブルテレビなどの機器を電撃や停電などから守るようにしなければ、と思っている。)

<http://www.weaknees.com/protect.html>
<http://www.weaknees.com/tivo_modem_fix.html>

三種三様の TiVo アップグレード法 -- ということで以上をまとめてみると、TiVo を拡張する方法には基本的に3種類ある。

<http://tivo.samba.org/index.cgi?req=all#3.1>

<http://www.weaknees.com/tivo_upgrade_instructions.html>

最後に一言。私は Weaknees のアップグレードキットを使って良かったと思っている。全部を自分で初めからやろうとすればきっと何時間もかかっただろうし、ひょっとしたら途中で投げ出して、またもや無期限延期ということになっていたかも知れない。でもこのアップグレードキットを使ったおかげで、私の TiVo は前よりずっとたっぷりの容量になり、前よりたくさんのテレビ番組を保存して、さらに高画質の画像で再生してくれるのだ。そしてこれがすべて、私の週末の時間をほんの半時間ほどつぶすだけの作業で済ませることができたのだから。

PayBITS: この記事はお役に立ちましたか? もしそうなら著者の Adam に、努力の見返りとして少額のお金(たとえば $1)を送って頂けませんか?
<http://www.paypal.com/xclick/business=ace%40tidbits.com>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


Apple のブランド戦略:Apple の無形資産

文: Simon Spence <simon@alexanderdunlop.ie>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

この連載記事の最初Apple のブランド戦略:ブランドこそが価値を体現するで私はブランド戦略の基本について、ブランドが会社および会社の製品から独立したものであることについて述べた。今週は Apple のブランドとその持っている価値についてもう少し詳しく見てみよう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06902>
(日本語)Apple のブランド戦略:ブランドこそが価値を体現する

デザインがブランドを支える -- Apple の歴史の中で、革新的なデザインは重要な役割を果している。初代の Macintosh は、当時の不格好な IBM PC互換機とはほとんど似ていなかった。際立ったデザインの他の試みには、Macintosh TV や Twentieth Anniversary Mac のように、不幸にも大衆市場に決して食い込めなかった製品もあった。スティーブ・ジョブズが Apple へ復帰した後で、iMac と iBook が登場して初めて、スタイルとデザインが Apple のハードウェア製品で最前線に躍り出たのだ。要するに、Apple の製品デザインが持つ優雅さは、ハードウェアとソフトウェアの両面で、会社のブランドメッセージにおける重要な役割を演ずる。

すべてが重要な役割なのだ。Mac OS X でウィンドウをアイコン化する際のスムーズなアニメーション、iPod と iBook で使われているしっとりとした光沢の白いプラスチック、Apple全製品の気の利いたパッケージング、すべてが一緒になって Apple ブランドのメッセージを支えている。単純明快さ、細部へのこだわり、使い易さ、創造的思考、ジャーゴンの排除、これらすべてが製品によって運ばれるメッセージなのだ。スティーブ・ジョブズは言った「コンピュータ業界における Apple のポジションは、製品をゼロからデザインすることを可能にする」と。ソフトウェアとハードウェアの両方をコントロールすることで、Apple は自社の製品をより緊密に統合することができ、Dell やGateway のような PC メーカに対して優位に立つことができる。Apple がクロスプラットフォーム製品を提供する場合でさえ、PC バージョンはあまりぱっとしない。iPod を見ればよく分かるだろう。Mac バージョンはその Windows互換対応製品より、ひときわ輝いている。それは iPod ハードウェア、Mac OS、iTunes が緊密に統合されているおかげだ。

ブランドメッセージは、会社活動の他の外観によっても同様にサポートされる。Apple のウェブサイトを初めて訪れるビジターは Apple ブランドに際立った印象を持つだろう。このサイトは明解で、ナビゲーションが容易、そして混乱や専門用語を避けるのに成功している。これと対照的に、複雑で混乱している Dell のウェブサイトを比較するとよい。(実際、下記のリンクを別々のウィンドウにして開くと、ちょっと見ただけで、私の言っていることが理解できるだろう。)

<http://www.apple.com/> (日本サイト)<http://www.apple.co.jp/>
<http://www.dell.com/> (日本サイト)<http://www.dell.co.jp/>

Apple について、あなたの持つ印象は Apple 製品での経験に一致している。新しい iPod を受け取った人は誰でも、パッケージの美しさ、その単純明快さと細部へのこだわりが製品それ自身と結び付いていることを、あなたに話すだろう。Apple のオンラインストアから購入すると、購入手続きのインタフェース、パッケージ、そして最終的に製品自体とその機能、Apple の慎重に構築したブランドへの期待にすべてぴったり一致するものだ。それはApple の持っている大きな強みだ。顧客がウェブサイトで製品を調査する段階から、オンラインストアの購入インタフェース経験、彼あるいは彼女が箱を開けて製品を使い始めるまでのあらゆる段階で、Apple はそのブランドへの期待を維持するのだ。多分きっと、Dell ウェブサイトはサイトを複雑にしておくことで、あえて消費者を当惑したままにしているのだろう。消費者とブランドの間の関係は、単なる吸引力というよりも、 必要欠くべからざるもの と言うべきだろう。消費者はそのサイトを使用して価値を見出すかもしれない、しかしどうすれば消費者に気に入られるか、どうすればブランド忠誠度を鼓舞できるのかを見極めるのは難しい。

ブランド戦略はさらに深く進む -- 会社の製品やウェブプレゼンスによって運ばれるこのブランドへの期待の要素は水面下のより深い所で進行する。初代の Macintosh 発売時に打ち上げた、かのコマーシャル「1984年」では、(まだ見ていないか、少なくとも最近見ていない方は、可能なバージョンを簡単に見付けることができる)、Apple は明かに慣習に挑戦した。スティーブ・ジョブズが Apple に戻った後に開始した“Think Different”マーケティングキャンペーンは、Windows を載せた Intel 互換プロセッサ以外は、95%のコンピュータ購入者が見向きもしなくなった世間の常識を越えるよう、消費者に訴えるものだ。因習打破の考えが一般的な、あるいは少なくとも尊敬を受けている、そういう教育市場や創造的コンテンツ市場に強力なユーザーベースを持つ会社として、Apple のアプローチは正しい。

<http://www.esm.psu.edu/Faculty/Gray/movies.html>

しかしながら、私は Apple の顧客がただ市場セグメントの観点から見られるべきではないことを提案する。実際、Apple のブランドメッセージは特定の見地を持つ人々に集中している、そしてそれは特定の専門分野に合っているかもしれないし、合っていないかもしれない。このポイントは重要だ、なぜならブランドは役割と状況を越えて感情と感性のレベルで人々を扱うものだから。「1984年」コマーシャルは、ビデオによって引き起こされた従順さに対するオーウェルのビジョンとともに、反抗と新規まき直しのチャンス、現状打破の典型を示す。デスクトップコンピュータがまだ稀少であった時代に、Apple は消費者に「神々からの火」を提供し、当時ほとんど想像できないようなパワーと自由を個人に与えた。それがブランドの約束で、そしてMacintosh はその約束を果たした。Apple のブランドはそれ以来ずっと驚くほど一貫性を保っていた、実はそれが、かなりの程度、Apple の長期的成功の秘密なのだ。製品は速やかに変化する、技術は常に革新する、しかしメッセージは同じままでいる。長期間にわたる一貫性は強いブランドを作る。とりわけそうなのは、新鮮な最新のやり方で、同じ考え方と同じブランドの約束がデモンストレーションされるときだ。

1990年代初期の間に Apple は反抗をやめて、そして企業マーケットの不慣れな土地で PC ワールドと競争を試みたと考えることができるだろう。Apple はその原点との接点を失った、そして 1997年終わりの“Think Different”によってのみ Apple はその原点に戻って、何がこの会社とその製品を特別なものにしているかを再発見した。1998年にリリースされた、オリジナルの iMac は“Think Different”の約束を果たすものだった。この過程で、たいていの人々が間違えるのは、Apple が成功するためには企業マーケットに売り込む必要がある、という暗示が間違っているということだ、なぜなら Apple の丁寧に育まれたブランドイメージは決して世界の会計担当者の気に入らないだろう。ブランドの観点から見れば、特定の顧客が、企業セクターで、デザインで、映画制作で、あるいは教育で、どこで働くかどうかにかかわらず、Apple は“Think Different”マーケットに売るのだ。Apple が訴求するのはひとつの考え方であり、市場セグメントではない。市場のセグメンテーションは保守的なマーケティングツールであり、もっと深いレベルで働くブランドの強みを認識するのを妨げる。

もちろん、Apple の“Think Different”アプローチにも限界はある。このメッセージは消費者を鼓舞することができるかもしれないが、それはまた画一性と穏健で体制的な価値観を拒絶することを強制する。ある人々にはどんなにそれがアピールしたとしても、そのメッセージは他の人々にはまたものすごく威嚇的だ。別のやり方で考えることに決めるのは危険なことだ、そして異なっていることを美徳とする Apple の試みは仲間はずれと同じかもしれない。それに加えて、「異なっている」ブランドの約束は潜在的な購入者に「互換性がない」と翻訳される。それは Apple のブランドが強力なのと同様に弱点でもある。それは肯定的と否定的な両面での感性的な反応を生み出す可能性をもっている。

新しい“Switch”キャンペーンは、Apple の主要なメッセージである使い易さに再度焦点を当て、そしてApple の新しいトーンを表現する。“Think Different”はApple が 彼らの差別化の証を再確立して、失われた信頼をMac コミュニティの中に再度取り戻すやり方として必要だった。しかしそれは為された。Apple は今や再活性化された組織体であり、新規参入ユーザを引き付けるのに、もっと巧妙な、それほど対決的ではないトーンを使うよう方針を変更することができる。しかしながら、それほど対決的ではないとは、必ずしも安全策を意味するものではない。Mac に乗り換えることが容易であるという視点を前面に押し出すことは何も悪いことではない、しかし同時にApple はそれまで長い間、定義に費やしてきたメッセージ行がぼけてしまわないよう気を付けなくてはならない。消費者は直観的に混ざり合ったメッセージを見破る、そこでApple は、乗り換えるのが容易であることが互換性と同じものと誤解されるのを避けなくてはならない。そうしないと、長年掛けて差異を称えてきたブランドに損害を与えることになるだろう。これは議論して決めておくべき重要な一線だ。

<http://www.apple.com/switch/>
(日本語)<http://www.apple.co.jp/switch/>

それでも“Switch”は強力なメッセージを持っている。使い易さは、今日でも有効なメッセージだ。このメッセージは Macintoshの導入期に、コンピュータにはDOS プロンプトよりよいものがあることを世界に知らしめた。“Switch”は、Mac ユーザと PC ユーザの両方が Apple ブランドで結びつく領域で、Macを使うのがいかに簡単かを指摘する。Windows はこのスペースで一度も強力な主張をすることができなかった、そして、Rendezvous のような Apple の新技術プロモーションは、コンピュータタスクが複雑になったとき、新しい単純さを約束するものになる (長年の Mac ユーザはRendezvous が、全ての Mac に最初から提供されていた AppleTalk で TCP/IPを立ち上げるだけだということをある意味で知っているとしても)。Apple は潜在購入者の購入意欲を獲得する必要がある、そして使い易さは PC ユーザが常に持つ不満なので、この新しい、よりソフトなアプローチはよい結果を生み出すかもしれない。

小売店舗に注目 -- ブランドとしては、Apple は強いだろう、そしてApple ブランドの約束は、Apple の製品やマーケティングキャンペーンで、オンラインでのユーザ経験には現在うまく適合している。Apple のブランドが危機に晒されている主な場所は小売店舗のスペースだ。そのような場所で Macを買うと、しばしば失望や、不満を経験する。このシリーズの最終記事Apple のブランド戦略:小売店舗に架ける橋で、私は Apple の小売り戦略と、消費者の心でブランドを確立することにおいてApple 小売店舗が演ずる役割に焦点を合わせるだろう。

[Simon Spence は、Alexander Dunlop Ltd. の調査および情報技術部門長で、顧客の多国籍企業がブランドイメージを確立するためのコンサルタント業を仕事にしている。彼はまたアイルランドの中小企業と教育施設のためにMac コンサルタントも提供している。]


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA