TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#645/02-Sep-02

多くの人が Apple Store について懐疑的であったが、Apple は急速なペースで新店舗をオープンしてきている。Simon Spence によれば、Apple は正しい選択をしていると言う。なぜならば、Apple Store は Apple ブランドに目に見える形を与えているからである。今週はまた Mac OS X 10.2 Jaguar での歓迎すべき変更点を検証し、Suitcase 10.1.3 と Netscape 7 のリリース、そして Palm Conduit for Entourage X の再登場についてお伝えする。来週号は、いつもより一日遅れの出版となるのでご了解願いたい。

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MailBITS/02-Sep-02

次号は一日遅れとなります -- スタッフの休暇の関係で、次週号はいつもより一日遅れて 10-Sep-02(火)の発行となる。言うまでもないとは思うが、この間、限られた人手だけとなるので我々のサービスも尋常でない振舞いをする可能性が無いとはいえないので、その節はご容赦願いたい。もちろん、彼らのトリックはこちらも十分承知していることを知っていれば、品行方正に振舞ってくれるとは思うが。[ACE](カメ)

Netscape 7 リリースされる -- Netscape Communications は劣勢の Web ブラウザの挽回を図る改善を加えて Netscape 7 をリリースした。Netscape Navigator 7 で新しくなったのは、タブ付きウィンドウで、これにより同じブラウザウィンドウの中で複数の Web サイトを立ち上げることが出来るようになる、更に全般に渡る性能向上とバグ修正である。他の新機能としては、ウィンドウ、セッションを問わず訪れた URL を漏れなく記録する履歴機能、それに一つのウィンドウ内ですべてのダウンロードを追跡できる Download Manager (Internet Explorer のように)、Print Preview (但しプレビューを表示縮尺に対応するようにはできない)、ページをファイルのフォルダとして保存できる機能、選択したテキストで Web 検索を起動できるコンテキストメニュー機能、そして新リリースを知らせてくれるアップデート通知機能である。Netscape Mail コンポーネントも本当に必要とされていた性能改善が図られている。メールボックス内のメッセージのスピード検索、新メールの到着通知、ラベル、より使い易いフィルタ機能、等々である。Netscape 7 は Mac OS X のユーザーに対しては無償の 19.2 MB ダウンロードとなっており、Mac OS 8.6 か 9.x のユーザーに対しては 155K のアクティブインストーラとなっている (これに続くインスタレーションには約 36 MB のディスクスペースが必要となる)。[JLC](カメ)

<http://channels.netscape.com/ns/browsers/download.jsp>
<http://wp.netscape.com/eng/mozilla/ns7/relnotes/7.html>

Extensis、Suitcase 10.1.3 をリリース -- Mac OS X 10.2 Jaguar の正式リリースから一週間もたたないうちに、Extensis は同社の Suitcase フォント管理ソフトウェアに対して対応のアップデーターを出した (TidBITS-627Suitcase 10 で旅してみる 参照)。このリリースで修正されたのはJaguar バグで、Classic が一旦起動されると Suitcase の動きが鈍くなりかつ終了させない問題である。Suitcase 10.1.3 アップデータ−は 2.9 MB のダウンロードで、Suitcase 10.0 かそれ以降のユーザーに対しては無償となっている。[MAN](カメ)

<http://www.extensis.com/suitcase/18h.html#jaguar>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06797>(日本語)Suitcase 10 で旅してみる

再登場!Palm Conduit for Entourage X -- この 7月に最初のリリースをしてすぐに引上げてしまった騒動のあと、Microsoft はその Palm conduit for Entourage X を再リリースした。これにより Entourage X ユーザーは、アドレス帳、予定表項目、タスク、それにノート(しかしメールはダメ)をEntourage Xと Palm-コンパチのハンドヘルド機との間で同期することが出来るようになる。我々はこの最新リリースをまだテストしていないので、Microsoft が前に引上げたバージョンより信頼性が高くなっているかどうか言えない。従って(いつもの様に)しっかりバックアップを取ってからインストールされたい。このコンジットは、Microsoft Office X Service Release 1、Mac OS X 10.1 かそれ以降、それにPalm-コンパチ ハンドヘルドで Palm OS 3.x かそれ以降と Palm Desktop 4.0 を必要とする。716K のダウンロードとなっている。[GD](カメ)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06878>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OFFICEX/palmsync.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/OFFICEX/OfficeX_SR1.asp>


Jaguar の裏技、精選情報

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

待ちに待った Mac OS X 10.2 Jaguar が先週リリースされたが、これは期待を裏切らない出来映えだった。Apple はあらゆる面で気前良く Mac OS X に改良と機能追加の手を加えてくれた。アップグレードに $130 もかかるにもかかわらず、100,000 人以上の人々がリリース直後の週末内に Jaguar を購入した。Apple の発表したこの数字は、一回の週末内の Mac OS の売り上げとしては新記録となった。(もちろんこの数字は、そのリリースに対する以前からの予約購入の数をすべて含んでのものだろう。)

<http://www.apple.com/pr/library/2002/aug/27jaguar.html>

Jaguar のメジャーな新機能、iChat や Rendezvous、システムワイドなアドレス帳、などについてはこれまでさんざん報告されてきている。そこで今回の記事では少し趣向を変えて、我々 TidBITS スタッフの寝不足で疲れた目さえも「おお!」という喜びのあまりに見開かせてくれたような、Jaguar のちょっと見逃しやすい新機能、それに皆さんの頭痛の種とディスクスペースの無駄とを減らしてくれるような二・三のインストールのコツ、などを手早くまとめてみたいと思う。こういった、いわば「裏技」のようなテクニックは、これからも次々と Jaguar の中に見つかってゆくだろうと思う。もしもこの記事が皆さんの気に入って頂けたら、また今後も新しいテクニックを集めた続編をやってみたい。

インストールの前に必ずユーティリティをチェック -- サードパーティーのユーティリティ、特にシステムの動作を変更するようなユーティリティの中には、Jaguar と非互換なものがたくさんある。あなたがどうしても必須だと思うようなユーティリティについては、アップデートが出ていないかどうか、Jaguar にアップグレードする前にあらかじめチェックしておくべきだろう。これは、オペレーティングシステムのメジャーなアップデートの度に常にバックアップしてからインストールを始めること、としつこく繰り返してきた我々一同から、皆さんのためを思っての心からの忠告である。

アーカイブ・インストール -- Jaguar のインストーラの“インストール先の選択”ステップでは、デフォルトのボタンは“続ける”になっている。このボタンを押せば、既存の Mac OS X の上に、上書きのアップグレードの形でインストールが実行されることになる。けれども、インターネットで聞こえてくる数々の報告や、我々自身がアプリケーションが不意にクラッシュするのを経験したことから言っても、やはりきっちりとクリーンインストールの道の方を選ぶのが賢明なようだ。Mac OS 9 の時代とは違って、Apple はクリーンインストールの使い勝手を数段向上させてくれた。“オプション”ボタンをクリックすると、新しいシートが現われて、3つのオプションが提示される: Mac OS X をアップグレード (これがデフォルト)、アーカイブ・インストール、それに消去してからインストール、の3つだ。ここでアーカイブ・インストールを選択しよう。それから、その下の“ユーザーおよびネットワーク設定を保持”チェックボックスをクリックしてから、“OK”をクリックしてインストールを続ける。インストールが終わると、ハードディスクのトップレベルに“Previous Systems”という名前のフォルダが出来ている。そのフォルダの中に“Previous System 1”というフォルダが入っていて、その内容は、既存のシステムの内容でインストーラが新しいインストール内容に繰り入れなかったものが集められている。このフォルダ内容を調べて、自分がとっておきたいものがないかどうかチェックしておこう。インストーラはなかなかに的確な動作をしてくれるが、そうは言ってもどれを保持すべきかのインストーラの判断は完璧とは言い難いようだ。TidBITS Talk で Dan Frakes が、彼自身が Macworld に書いた記事で保持すべきファイルを探すにはどの場所を見ればよいかを紹介してあると報告してくれた。これは是非読むべき記事だと思う。もしもあなたが Unix に慣れているなら、まずは Terminal でこの Previous System 1 フォルダの内容を調べるのが良い。なぜなら、あなたがこれまでいろいろなものをしまっておくのに使ってきた場所、例えば /usr/local のようなディレクトリは、この Previous System 1 フォルダの中にあるのだが、Finder からは不可視になっているからだ。必要なファイルをすべて回収したら、もうこの Previous System 1 フォルダはゴミ箱行きにしてもよい。ただし、その上層の“Previous Systems”フォルダの方は、アクセス権をいじらなければ捨てることができないようになっている。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkmsg=14997>
<http://www.macworld.com/2002/10/features/install.html>

カスタムインストールでディクスペースを節約 -- Apple は Mac OS X や一連のアプリケーションをいろいろな言語にローカライズする作業をなかなかうまくこなしているようだ。英語圏以外のいくつかの国々の人々も、そのおかげで自分の国の言語で Mac を使うことができるのだ。でも、自分が読めもしないような言語のローカライズ関係のファイルをインストールしても何の役にも立たないではないか? その上、Apple はあなたが使いそうもないような多数のプリンタドライバもインストールしてくれる。こうした余計なファイルをインストールしないようにすれば、大幅にディスクスペースを節約することができるだろう。けれども、そのためにはよく注意を払っておかなければならない。“簡易インストール”を選んでしまえば全部をインストールすることになり、そうすると知らないうちに余分のものもインストールが始まってしまうのだ。Jaguar インストーラの“Installation Type”設定画面でまず“カスタマイズ”ボタンを押し、不用な項目のチェックボックスを外しておくのが良い。ここで1つ注意しておきたい: 私の場合、最初のインストールでは“カスタマイズ”を使わなかった(いろいろとテストをしてみたかったので、私は最初のインストールの後、バックアップを使って前のシステムを復元し、もう一度 Jaguar をインストールし直した。皆さんにも、Jaguar のインストールの前にバックアップをとっておくのをお勧めしたい。)のだが、そのインストール後に余分のファイルを削除できる安全な方法が結局わからなかった。複雑な Unix コマンドですべての .lproj ファイルを削除する方法、というのは聞いてあったのだが、どうやらその方法では必要以上にファイルを削除し過ぎてしまい、とても安全とは言えないようだった。

インストーラ内蔵の Privilege 修正用ディスクユーティリティ -- 何か問題が起こった場合には、まずは Apple のディスクユーティリティの First Aid コンポーネントを走らせてみるべきだろう。ただ、これは起動ディスクをチェックすることができないので、それが問題となる場合もある。そういう時には、Jaguar のインストール CD(つまり Install Disc 1 だ。そう、その通り、Jaguar は2枚の CD、Developer Tools CD も入れれば3枚、で配布されている)で起動し直してから、インストーラのアプリケーションメニューで“Open Disk Utility”項目を選ぶ。これはいつでも好きなときに選ぶことができる。すると、通常の操作がすべて可能なだけでなく、ディスクユーティリティの First Aid コンポーネントがすべての privilege を検証・修正してくれることがわかる。(ただ、このソフトウェアは“disk permissions”という用語を使っている。他のほとんど至る所で“privileges”という用語を使っている Apple としては、これは驚くほどの失態、と言ってもよいだろう。)私の感じでは、このソフトウェアのコードは Apple が最近リリースした Repair Privileges ユーティリティ(現在のバージョンは 1.1 になっており、バージョン 1.0 しかダウンロードしていない人はアップデートすべきだ)と共通のものが使われているのだろうと思う。ちょっと奇妙だったのは、私がたった今インストールしたばかりの Jaguar にこの Verify Disk Permissions を走らせた時、2つのフォルダにエラーが報告されたのだが、その2つのフォルダはどちらも私が手を触れさえしなかったものだったのだ。(あと2点ほどインストーラ内蔵の機能についてコメントしておくと、1つはインストーラのアプリケーションメニューから必要に応じてパスワードのリセットが出来ること、もう1つはインストーラの“Terminal”メニューが私のマシンではどうやっても使えるようにならなかったことだ。その原因はまだわからない。)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106900>

Happy Mac よ、さようなら -- 別の場所で報告されているように、Jaguar は 18 年間連れ添ってきた“Happy Mac”スタートアップアイコンをグレーのApple ロゴに置き換えた。私は特に驚いてはいない。皆と同じように慣れ親しんできた Happy Mac ではあるが、Mac OS X と最新のハードウエア、という形で Apple がこんなにも苦労して打ち出してきたグラフィカルなイメージには似合っていなかったのだから。もう何年も Macintosh は Happy Mac とは似ても似つかぬ姿であったし、この新しいロゴは特定のハードウエアデザインをさえ前提にしていない。さらに、Apple は将来この Apple のロゴの色を変えることさえできるのだ。それにしても、どうして今回ロゴをレンダリングされたジャガーの毛皮で塗りつぶさなかったのだろう? 他に気になるのは、ハードウエアの不調を意味する不吉なあの“Sad Mac”がまだあるか、あるいは、もしかして腐って虫に喰われた Apple のロゴに置き換えられてしまっているかどうかだ。まあ、そうはなっていないと思うが。

ログインは面倒? -- たくさんの人たちが、Mac OS X のインストール中にパスワードを入力することについて不満を口にしていた。私は、Mac OS 9 のように強制的に再起動させられるくらいなら喜んでパスワードを入力するほうを選ぶが、それでもしばしばパスワードを入力するよう求められるのは面倒なものだ。幸いなことに、パスワードを空にすることにより、それらをただのメッセージ表示にすることができる。そのためには、Jaguar の新しい“マイアカウント環境設定”のパスワード変更ボタンではなく (パスワードは 4 文字以上でないといけないと警告されてしまう)、“アカウント環境設定” (以前は Users と呼ばれていた) でユーザを編集する必要がある。パスワードを空にできれば、Return キーを押すだけでパスワードダイアログを閉じることができる。言わずもがなであるが、パスワードが空であるということは、システムのセキュリティに大きな穴があいていて非常に危険であるということを充分認識して欲しい。インターネットに常時接続されているマシンでこれを実行するのはとてもお勧めできないし、ラップトップでさえ、盗まれることも考慮に入れて、私は家を出る前にパスワードを再設定している。

省エネルギー設定が帰ってきた -- Mac OS X の省エネルギー設定は Mac OS 9 の省エネルギー設定コントロールパネルに比べれば全くお粗末なものだった。しかし、 Jaguar ではほとんどの設定が元に戻ってきていて、PowerBookや iBook でバッテリー使用時と電源アダプタ使用時それぞれ別々に設定を変えることができ、さらにプロセッサスピードを抑えるためのチェックボックスがある。処理速度を優先、バッテリーの節約を優先、DVD 再生、そしてプレゼンテーションの 4 つのプリセットがあり、最初の 2 つは、ラップトップが AC 電源につながっているかどうかに関係なく同じ設定となっている。自分の iBookでは、バッテリー駆動時には電力を節約するように、AC 電源につながっているときには性能を優先するように設定するだろう。この追加されたコントロールが外出中にラップトップのバッテリーを節約するのにどのくらい有効かはまだ日が浅いので何とも言えないが、どのようなものであれ改善されているものは歓迎したい。一つ付け加えるなら、バッテリー使用時、自動的に画面の明るさを落とすオプションがあればいいのにと思う。自分の経験から、これこそが貴重な電力を大量に消費するものの一つだと思うからだ。

表示もスムーズに -- Mac OS X でどのようにフォントが滑らかに表示されるかを選べる新しいポップアップメニューが、Jaguar の一般設定に隠されている。これはいちどチェックしたほうが良い。なぜなら、デフォルトの設定 (たとえば、私の iBook では“標準 - CRT に最適”になっている) はあなたのモニタに合っていないかもしれないし、視覚の好みというものは誰でも同じではないからだ。

Finder で FTP: Apple よ、もっと頑張って -- Jaguar はまた別のクラスのソフトウエア、FTP クライアントに襲いかかろうとしている。というのは、ほかのネットワークボリュームと同様に、Finder で FTP サーバをディスクとしてマウントできるようになったからだ。以下のような FTP URL を正確に“サーバへ接続...”ダイアログ (移動メニューから、または Command-K を押せば出てくる) に入力し、接続をクリックするだけで良い。ユーザ名とパスワードが必要な場合は、Finder が聞いてくる。残念ながら、私たちのテストによると、Jaguar はユーザ名とパスワードを FTP URL に追加したとしても FTP サーバに対して読み込み権限しか得られないようだ。さらに悪いことに、私たちの何人かはこの機能を使ったことで Jaguar を完全に停止させてしまったこともあるので、使用には注意が必要だ。最後に、古い Mac サーバでまだ間違いなく広範囲で使用されている Peter Lewis の NetPresenz FTP サーバに対し Jaguar のFinder FTP クライアントを使用すると、まったく動作しないようである。お気に入りの FTP クライアントとさよならするのは、もう少し後にしたほうが良いだろう。

<ftp://ftp.tidbits.com/>

レッドカードで強制終了 -- アプリケーションの強制終了に関する 2 つの新しい機能が Jaguar にお目見えした。最初のものは、もしアプリケーションが反応しなくなった場合、アプリケーションの強制終了ウインドウ (Apple メニューからか、あるいは Command-Option-Escape を押すと出てくる) の中でそれが赤く表示されることだ。この親切な機能で、終了したいアプリケーションを探すのが簡単になった。次に、もしアプリケーションが反応しない場合、Dockでそのアイコンを Control + クリックすると、メニューの中で終了の代わりに強制終了が表示される。今までは、強制終了メニューを出すためには、Option キーを押しながら Dock のアイコンをクリックする必要があった。ここで、Mac OS X の前のバージョンでも使える小技を一つ。アプリケーションの強制終了ウインドウでアプリケーションを強制終了したあと、Escape キーを押すだけでそのウインドウを素早く閉じることができる。ウインドウを閉じるために小さな丸をクリックするよりも簡単だ。

Classic 警告 -- Classic は三つの目立った点以外は今までと大体同じように働くようだ(もっとも、System Folder 内のいくつかのファイルをアップデートさせろと促すだろうが)。まず、今までに比べて起動が早くなった。また、Classic 環境設定パネルの新しい“メモリ/バージョン”タブを使用すればそれぞれの Classic アプリケーション(及びバックグランドのプロセス)のメモリ使用量が分かるようになった。そして Classic 環境設定パネルの“起動/停止”タブで起動ごとに許可を必要とするように設定し直せる。これで起動するつもりもなかったのに Classic がロードするのを待つ状況は防げるだろう。(Classic は Classic アプリケーションが走っていなければそんなに CPU を浪費しないが、一つでも開いていると CPU サイクルの大きな部分を消費する。)他の大食らいアプリケーションとしては Microsoft Word X がある。これは書類が開いてさえいれば CPU サイクルに食い込むので、使用していない Word 書類はなるべく閉じて CPU サイクルを他のアプリケーションへ譲るべきだ。Jaguar の改良された Process Viewer ユーティリティを使用すればこれを目にすることができる。また、Carbon アプリケーションの正しい名前を表示するようになったので、Terminal で "top -u" コマンドを使用する必要はなくなった。

Eudora でのウィンドウ重ねの改善 -- 私にとって、Jaguar で一番有り難かった変更は Mac OS X のウィンドウ重ねの問題の解決だった。Eudora ではURL をコマンドクリックするとバックグランドで新しいウィンドウを開く。これは私が毎日何度も使用している素晴らしい機能だ。正確に言えば、使用していた機能だ。Mac OS X のバグのおかげで、バックグランドのウィンドウがEudora のウィンドウ全ての上に開かれてしまい、ウィンドウを正しく重ね直すためにプロセスを変更する必要が生じてしまったからだ。Jaguar ではこのEudora の機能が再び正しく働くようになった。(もしこれを Eudora で読んでいてコマンドクリックがバックグランドでブラウザウィンドウを開かなければ、下記の URL をダブルクリックしてプロンプトで承諾すれば良い。そうでなければ、URL を Eudora メッセージにコピーして貼り付け、ダブルクリックする。x-eudora-setting URL についての詳細や Eudora 5.1.1 での完全な一覧が欲しければ、<x-eudora-settings@tidbits.com>. へメールを送れば良い。)

<x-eudora-setting:258=y>

残念ながら、Jaguar では勿論なのだが、QuickTime 6 がインストールされていると、Eudora は HTML メッセージ中の画像のダウンロードの際に問題が起こることがある。もし画像をダウンロード中に Eudora がクラッシュするようであれば、Fonts & Display 設定パネルから HTML 画像の自動ダウンロードをオフにして、手動でもダウンロードしないよう我慢しよう。Qualcomm はこのバグについて認識しており、解決策を探している最中だ。

とにかく見つけろ! -- 私は Sherlock が今でも好きではない。ファイルを検索するためには遅くて使いづらいインターフェースで、チャンネルを使用するよりも適切な Web サイトや検索エンジンを使用するほうが楽だった。しかし、もっと機能がそろった Watson と似ている Sherlock 3 に関してはまだ判断を控えている。だが、うれしいニュースとしては、Jaguar でファイルを検索するためには昔の“検索”ユーティリティが戻ってきた点がある。簡単で、余計な機能を省き、速く、さらに、複数の結果ウィンドウが開けられる。多種の条件が選択でき、検索範囲を“すべての場所”、“ローカルディスク”、“ホーム”、“特定の場所”(Finder からフォルダをドラッグして加えることが出来る)のいずれかに限定できる。検索は Finder のファイルメニューから使用でき、勿論ながらコマンド-F をタイプしても起動できる。

<http://www.karelia.com/watson/>

Finder ウィンドウツールバーの“検索”フィールドも気に入っている。これを使用すると、現在選択したフォルダとそれ以下のフォルダ全ての内容を検索できる。しかし、これはツールバーが“アイコンとテキスト”もしくは“アイコンのみ”を表示するように設定されている場合にだけ現れる。もしツールバーを“テキストのみ”表示するように設定すると、検索 ユーティリティを起動する“検索”ボタンが現れる。表示スタイルを変更するには Finder の表示 メニューから“ツールバーをカスタマイズ”を選択し、“表示形式”ポップアップメニューを調整する。

仲良く共有 -- Jaguar では、Apple は“共有”環境設定パネルにかなり肉付けした。今まではファイル共有の開始と停止、“パーソナル Web 共有”、“FTP サービス”、“リモートログイン”、そして“リモートAppleEvent”の受信が可能だった。これに加えて、Apple は(SMB を使用した) “Windows ファイル共有”と Mac から見えるプリンタ全てを共有できる“プリンタ共有”を加えた。ヒントを一つ:Apple によれば、Mac OS 9 マシンとプリンタを共有するには Classic の許で“プリンタ共有”を使用する必要がある。Jaguar の許で設定しても働かない。“共有”環境設定パネルの他二つのタブを使用すれば、Mac OS X 内蔵の“ファイヤウォール”と“インターネット”共有の設定が出来る。後者は Software Base Station という元の名前の方が有名だろう。共に基本的な設定だけ可能だが、多くの人にとってはそれで十分だろう(もっとファイヤウォールを強化したければ、$25 のシェアウェアの Brickhouse を試してみれば良い)。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1733+1734>
<http://personalpages.tds.net/~brian_hill/brickhouse.html>

Get Info の復活 -- Mac OS X の“情報を見る”ウィンドウの大きな難点は、ウィンドウを一つしか開かせてくれない点だった(おかげで複数のファイルの比較が難しかった)。また、五つの情報パネルを切りかえるためのポップアップメニューも使いづらかった。Jaguar は Show Info をも改良した。Get Info と名前を変え、ファイルの比較が出来るように複数の情報ウィンドウを開ける機能を復活させ、“情報を見る”ウィンドウの五つの開示用三角ボタンを使って関心が有る情報パネルだけを表示できるようにした。しかし、Mac OS 9 での“情報を見る”とは少々違う働き方をする。複数の物を選択すると、Mac OS 9 ではそれぞれに“情報を見る”ウィンドウを開いたが、Jaguar では一つだけ“情報を見る”ウィンドウを開いて総合した情報を表示する。ファイルを比較するにはそれぞれについて“情報を見る”ウィンドウを開かなくてはいけない。

PayBITS: この情報のおかげで何時間か時間が節約できませんでしたか?もしそうなら PayPal経由で Adam に 2, 3 ドル程度送って頂けませんか?
<http://www.paypal.com/xclick/business=ace%40tidbits.com>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


Apple のブランド戦略:小売店舗に架ける橋

文: Simon Spence <simon@alexanderdunlop.ie>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

先週の記事Apple のブランド戦略:Apple の無形資産で、私は Apple のブランドとブランドが消費者からどのような反応を呼び起こすかについて述べた。この連載の最終記事で、私は、消費者と製品との相互作用によって、特に小売店舗で購入を経験することによって、Apple ブランドがどのように形成されるかについて述べてみよう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06919>(日本語)Apple のブランド戦略: Apple の無形資産

先週の記事では、Appleブランドの約束するもの - コマーシャル、ウェブサイト、作る製品、パッケージその他によって、自分自身をそう見せようとするやり方 - が結果として強いブランドをもたらし、そのブランドは様々な消費者から様々な反応を引き起こすことを説明した。おおむね、Apple は会社のブランドが表現するものについて、消費者の明解な認知を構築するのに成功している。この連載の最初の記事「Apple のブランド戦略:ブランドこそが価値を体現する」で示したように、ブランドは会社の意図と我々の解釈の混合物だ。彼らの製品は我々にどう思われたいのか、そして我々が彼らのメッセージをどのよう受け取り解釈するかの相互作用から生まれる。認知、つまり消費者や開発者そしてメディアが会社を見るやり方が、ブランドの全体像を完成させる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06902>(日本語)Apple のブランド戦略:ブランドこそが価値を体現する

小売店舗のリンク -- Apple が創ったブランドイメージはとてもよい出来だったが、ひとつの大きなギャップがこのメッセージを消費者へ届けるのを阻んでいた。2001年までに、多くの人々にとっての最終リンクである小売店舗の経験で、このブランドの約束がまったく欠落していることに Apple は気付いた。美しい装置への工芸的な作り込みや、デザインに注がれた細部へのこだわり、最終製品の単純明快さや使い易さは、小売店舗の中でたいてい見落とされた。そこでは、消費者がコンピュータストアの中に入っても、みすぼらしく展示された製品があり、言うまでもなく、訓練されていないか敵意を持った販売アシスタントがいた。

ここで Apple が、消費者に“Think Different”の理念に賛成するよう訴えるのは困難だ。Mac を購入しようかと思い立って、間違ったアドバイスや、おそらく彼らが知らないものの中に跳び込みたくないという事実のために、間際になって買わないことに決めた消費者はどれぐらいの割合なのか私は知りたいものだ。ブランドを成功させるひとつの部分として、販売点 (POS) の重要性は決して過小評価すべきではない。コカコーラやペプシは彼らのブランドが最高のポジションを確保できるよう、店舗内で陳列棚の配置を常に競っている、陳列棚の端のいわゆる「エンドキャップ」の場所に対して、会社が店に金を払うのはまったく標準的な慣行だ。率直に言えば、製品の店舗販売戦略は、消費者が購入判断でその商品を考慮するかどうかにおいてさえ莫大な影響力を持っている。

その宣伝で Apple は挑戦し消費者を鼓舞し、そしてその製品で完全なソリューションを提供する。“Think Different”は、まだ Mac を使っていなかった人々に超越的信念を持つことを要請した。そして現在の “Switch”でさえ、忠誠の変更と固定観念の変更をユーザに求める。あなたが Macintoshを購入したことを PC ユーザに説明するのは、克服すべき障害であり、Dellや Compaq の購入を説明するのよりはるかに難しい。

たいていの場合で、 Windows ベースの PC を購入するのは職務的な取引で、純粋に消費者のコンピュータ計算ニーズを満たすものだと見なされる。それに対して、Mac を購入することは、Mac を使うことで実際の利得があるにもかかわらず、それはライフスタイルの宣言なのだ。ソニー、Dell、東芝、その他のPC ラップトップメーカに囲まれた世界で、新しい iBook を買うことはその消費者を目立たせる、そして Macintosh にあまり精通していない多くの人々にとって、そのような決断はひとつの超越的信念を必要とする。

販売点(POS) の現場 -- この取引において、購入作業およびユーザー経験は決定的だ。もし Mac を買うことに決めた消費者が、敵対的な販売アシスタントにぶつかったり、一連の理由「なぜ Windows PC はより優れた選択なのか?」に惑わされれば、すでにもう困難だった決断がさらにいっそう困難になって、どれほどか多くの潜在ユーザが彼らの地元のストアで Mac について問い合わせるのが愚かなことと感じさせられただろうか?

このことは Apple が米国で小売り戦略を採るのが正しいかに答える最も重要な理由のひとつだ。このような店舗は、Mac が欲しいことに決めた消費者に、彼らの下した決断が正統であると告げるのを助ける。Apple Store の存在そのものが、Apple と Apple ブランドの約束するもの全てを目に見える確かなものにすることで、Mac 購入の選択をサポートする。そのストアの店頭では「あなたはひとりぼっちではない」という重要なメッセージを消費者に告げる。なぜなら、特にあなたが教育やグラフィックデザインのような Macintosh の優勢な分野で働いていないなら、Mac ユーザは孤立して寂しいことがある。

長年の献身的な Macintosh ユーザは、異なった創造的な方法で考え、現状に挑戦し、そして Windows の世界に反逆するメッセージによって既に熱狂していた。しかしながら、我々の多くはまた、ステージの上に押し挙げられて、そこに残されて独り演じるような心許ない感じを持っていた! 目に見える小売店舗の存在が無かったら、(会社とは別のものとしての) Apple ブランドは、流動的でやや移ろい易いものに感じられるだろう。クパチーノに住んでいる人以外は、指差して「Apple がある」と言えるような実体のある存在が殆ど無かった。Apple Store はそのブランドと消費者を、誤解と歪曲を排除して直接結び付ける。それらのストアは Apple ブランドの約束を目に見える実体にする。

Apple Store の立地条件とデザインもまた Apple ブランドをサポートする上で、重要な役割を演ずる。それらの店舗はすべて人出の多いショッピングモールや地区に置かれている、そしてそこを通り過ぎるだけの人々さえ Apple デザイン美学の露出を目にすることになる。時間が掛かるかもしれないが、その露出は累積される。そして、あなたが一旦中に入ると、すべての展示は清潔で、明るい木質とたくさんの照明が製品を照らしている。棚は溢れるほどでなく、すべてがよく整理されていて、グラフィックデザインの用語を借りれば、充分なホワイトスペースがあり、視覚が圧倒されない。そして、すべてのストアにシアターがあり、Apple 製品について定常的なプレゼンテーションが催されている。Apple が人々とコミュニケートする他のすべての方法とちょうど同じように、Apple Store はブランドのパズルを組み立てるひとつの重要なピースになった。

<http://www.apple.com/retail/>

それにひきかえ、CompUSA や Best Buy のような在来のコンピュータストアは、彼らのブランドの約束を彼ら自身のブランドアイデンティティの周りにデザインし、さらに沢山のブランドイメージを詰め込もうと試みる。それらは製品でぎっしり詰まっている、あなたは何が欲しいのか見いだすには慎重を要する、そして貼り紙には常に何処よりも安いことをあなたに保証する。Apple 製品はこれらのストアにとても似合わない、そして彼らは決して似合うようにしようとは思わないだろう。 Appleブランドの約束とこれらのストアが提供するもののミスマッチはただもうあまりにかけ離れている。Apple の「ストア内のストア」コンセプトは小売りスペースの一区画をコントロールすることによって、この欠点に対処することを狙ったものだ。しかしながら、新しい Apple Store は、中核メッセージを貶めるライバル製品で汚染されていない、ブランド戦略的に純粋な Apple スペースの役務を果たす。

それらの有効性を証明するためには、Apple の“100 Minutes of Jaguar”立ち上げイベントを観るに如くはない。2時間足らずの間に、5万人以上の人々が35 のApple Store を訪れた。それはたいへんな盛況で、Apple が他のコンピュータ小売業者に頼り続けていたとすれば、このようなイベントは不可能か、あるいは集客も悪かっただろう。

<http://www.apple.com/pr/library/2002/aug/27jaguar.html>

ブランド対ありふれた製品 -- Dell、IBM、Compaq、Gateway は (iMac を叩いている Gateway の最近の広告にもかかわらず) 傑出したブランド認知に関してほとんどこのようなパワーを持っていない。Compaq の行動スタイルとCompaq ブランドの喚起する感情は Microsoft にしっかりと結びついている。Compaq は、彼らが PC マーケットの革新者またはオルタナティブであると主張することができない。なぜならユーザの経験はこれらの主張と一致しないし、消費者は直観的にこの不一致に気付くだろうから。これらの会社はオペレーティングシステムに関してはコントロールを持っていないし、研究や開発、あるいはデザインにさえ (現時点では驚くべきことだ) 金を殆ど費やしていない。彼らはユーザ経験が消費者から引き出す反応に関してほとんどコントロールを持っていない。彼らは Apple ができるような方法で、消費者の想像力を獲得することができない。彼らに残されているすべては、価格、バリュー、機能、サービスにフォーカスすることだ、そして PC はありふれた商品になった。

Apple ブランドのパワー、つまりブランドの認知は、Apple が、自分達は違っていて、ブランドの約束を果たすことができると主張できることだ。コンピュータを決める上で、消費者はブランドを信じ、スタイルや姿勢に賛同することが求められる。全ての人がそうしたいと思っているわけではない。最先端からは離れた所で腰を落ち着け、うまくやっている人々も多いだろう。しかしながら、Apple はコンピュータ市場で、この販売領域を独自に所有している、そしてそれはApple ブランドの貴重な部分だ。Apple Store のおかげで、Apple はブランドと消費者の間に横たわっていた最後のギャップに橋を架け、もはや彼らの伝えようとするメッセージを再販業者の翻訳に委ねなくてもよい。

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PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>

[Simon Spence は、Alexander Dunlop Ltd. の調査および情報技術部門長で、顧客の多国籍企業がブランドイメージを確立するためのコンサルタント業を仕事にしている。彼はまたアイルランドの中小企業と教育施設のためにMac コンサルタントも提供している。]


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA