TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#646/10-Sep-02

タスク管理ツールにイライラしている?Matt Neuburg が Sciral の Consistency についてレビューする。これははっきりしたスケジュールとか厳密な締切日とかをもたないタスクを管理する新しい取組みである。さらに今週は、ソフトウェアを世の中に出したいと思っている人は Mike Diegel が何が必要なのかについて舞台裏の観点から解説しているので是非読むべきである。Jeff Carlson は 4つの iPod ケースを比較する。最後に iCal, Watson 1.5.5, Font Reserve 3.1, BBEdit 6.5. 3, そして QuicKeys X 1.5.3 のリリースについてお伝えする。

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MailBITS/10-Sep-02

Apple、iCal をリリース、Mac OS X のみ起動を発表 -- パリでの Apple Expo で、Apple は今日 iCal をリリースした。これは 7月に Macworld Expo で発表した同社の簡易なスケジュール管理アプリケーションである。iCal は洗練された Aqua インターフェースを備え、複数の予定表を扱え、そして WebDAV サーバーか .Mac(更に予定表の公開も可能で Web ブラウザで見てもらえる)経由で予定表の共有が可能となる。プログラム自体は無償の 6.3 MB ダウンロードであるが、気をつけて欲しいのは、Mac OS X 10.2 Jaguar を必要としメールでの参加リクエストを送るのは Apple の Mail が必要なことである。

<http://www.apple.com/ical/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06880>

その他の注目すべき Apple からの発表として、2003年1月からはすべての新型 Mac は Mac OS X だけでしか起動できなくなることがあげられる。古いアプリケーションは Classic 環境からアクセスできるのは変らない。この発表は予測されたことではあるが - いつの日か新型 Mac は Mac OS 9 へ起動できなくなる時が来る事は皆が知っていたことである - もし新しい Mac を買う計画があり Mac OS 9 へも起動したいということであれば、残りの数ヶ月のうちに何か買ってしまうことを考えるべきかもしれない。[ACE](カメ)

<http://www.apple.com/pr/library/2002/sep/10macosx.html>

Watson 1.5.5、Google, Amazon プラグインを追加 -- Karelia Software は Watson 1.5.5 をリリースした。これは Web から情報を容易に収集するためのユーティリティで、Apple の Sherlock 3 と似ているが機能が更に豊富である。このバージョンで新しくなったのは、Google を使ったインターネット検索機能と、Amazon.com を使っての商品検索と購入の手伝いをするモジュールである。ZIP コード調べのユーティリティも改良され、そして Watson は今や Mac OS X 10.2 Jaguar 完全対応となった。映画の時間、フライト時刻、eBay オークション等の調べものなら Web ブラウザの代りに Watson を使った方が易しいことが多い。Watson 1.5.5 は Watson 1.5 かそれ以降のユーザーに対しては無償アップグレードとなっており、2 MB のダウンロードである。2週間のデモ期間を超えて Watson を使う個人用ライセンスは $30 である;"家庭" 用ライセンスも用意されており $40 である。[JLC](カメ)

<http://www.karelia.com/watson/>

Font Reserve 3.1 リリース -- Font Reserve 3.0 が DiamondSoft の Mac OS X 牙城に対する最初の試みとしてリリースされた時、それは .dfonts, .otfs といった Mac OS X フォント、それに Windows .ttfs フォントが扱えなかった - フォント管理ユーティリティとしてはかなり致命的な制約であった。(TidBITS-620Font Reserve が Mac OS X に 参照。)それが今、アップデートされバージョン 3.1 となり、この穴は埋められた;10.2 MB のダウンロードである。Font Reserve 3.1 は Jaguar 対応となり、すべての Mac OS X フォントを管理できる。自動起動も今や機能する:あるドキュメントが Mac OS X のほとんどいかなるアプリケーションによっても開かれた時、それが Font Reserve のデータベースには入っているがオンになっていないフォントを使っているとすると、Font Reserve はそれを裏で自動的に立ち上げてくれる。Font Reserve の集中化したフォント収納と、時として巨大な量になるフォントを簡単に探したりナビゲート出来るデータベースのような機能を好む人たちにとっては、フルに機能する Mac OS X バージョンが見られるのは大変嬉しいことであろう。バージョン 3.0 のユーザーに対しては無償で、それ以前のバージョンの所有者に対しては $30 で、ATM Deluxe と Suitcase の所有者に対しては $50、そして新規ユーザーに対しては $90 となっている。[MAN](カメ)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06751>(日本語)Font Reserve が Mac OS X に
<http://www.fontreserve.com/support/downloads.html>

BBEdit 6.5.3, QuicKeys X 1.5.3 が Jaguar 対応となる -- 今やデベロッパーが Mac OS X 10.2 Jaguar の出荷版に接する時間が多く取れるようになるにつれて、アプリケーション側からも対応性の問題を修正したアップデートが多く出される様になってきた。こうした動きの中、先週は、Bare Bones Software の BBEdit と QuicKeys X がアップデートされ、どちらも登録ユーザーには無償である。BBEdit 6.5.3 は 7.7 MB のダウンロード;QuicKeys 1.5.3 が 8.9 MB のダウンロードとなっている。[JLC](カメ)

<http://www.barebones.com/products/bbedit.html>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/bbedit-notes.html>
<http://www.cesoft.com/products/qkx.html>
<http://www.cesoft.com/downloads/qkx/qkx-153-readme.txt>


iPod 用ケースを比較してみる

文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPod が発売された当初、その $400 という値段の高さゆえに Apple は多くの人々から非難の嵐を受けたものだった。私自身もその非難の声をあげたうちの一人だった。注目度満点のこの MP3 プレイヤーは確かにデザインも素晴しかったのだが、他の製品、例えば Archos Jukebox のようなものが、より大きな保存容量とより低価格を打ち出して対抗していた。けれども、私がついに心を決めて自分用の 5 GB iPod を購入した時、私はこのようなスペックの数字だけがすべてではないことを、心底実感したのだった。iPod の成功の裏付けとなった本当の秘密は、実はそのサイズにあった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06608>(日本語)iPodで音楽をもっと魅力的に
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06521>(日本語)Nomad Jukebox に挑戦する Archos Jukebox 6000

注意深く TidBITS を読んで下さっている方ならば気付いて下さっているかも知れないが、Adam がデータのバックアップにこだわりを持つ人であるのと同様に、私は機器のサイズにこだわりを持つ人なのだ。ラップトップ然り、Palm 機器も然り、そして今度は iPod だ。iPod があまりにも持ち運びしやすいので、私は自分が予想したよりもずっと長い時間、それこそ始終と言ってもよいほど持ち歩くようになってしまった。仕事をしている間も、私の PowerBook に搭載してある iTunes も同じくらい使いやすいというのに、結局 iPod の方を使っている。これで、家でも仕事場でも、歩き回りながらでも気にせずいつも音楽が聞けるからだ。

けれども、iPod のこの滑らかな、コンパクトにまとまったデザインは、ある意味では欠点でもある。持ち運ぶ時は、手で持つかポケットに入れるかしなければならない。(これでは不便なことも多いし、傷を付けてしまう危険も増える。)エクササイズの時などもやっかいなことになる。ジョギングをする時は、私は両手を空けておきたい。けれどもそういう時の私の服装ではちゃんとしたポケットが付いていることは少ない。もちろん、こういう不満を持った人は私だけではなかったのだろう、そういう要望に応えて、今では数多くの会社からiPod 用のケースが販売されている。オンラインでいろいろ調べてみた結果、私は3つの製造元に連絡を取って、それぞれの iPod を試用させてもらうように交渉した。私はまた、Apple から新しく出た iPod ケースも試してみることができた。これは新型の 10 GB と 20 GB のモデルに付属しているものだ。

iGlove -- Software & Things 社から出ている iGlove は、iPod と同様シンプルさを前面に出して設計されている。これはワンピースの黒い皮製のポケット状のケースで、iPod を上からスライドさせて差し込むようになっている。前面には丸い穴が開いていて iPod のコントロールにアクセスできる。iPod の画面はプラスチック製のウィンドウで保護される。背面には皮でカバーされた金属性のベルトクリップが付いている。iGlove では縫目が外側になっているので内側が iPod にしっかりとフィットする。また、外側の縫目のつくる数ミリの盛り上がりがショックアブソーバーの役目も果たしているので、落とした時もある程度 iPod を守ってくれるだろう。iGlove を使ってみての私の唯一の不満は、円形のコントロールの周囲にも盛り上がった縫目があるので、iPod のスクロールホイールのまわりのボタンを押すのに爪を立てなければならないことだった。iGlove の価格は $27 で、ベルトクリップ無しの $25 のモデルもある。

<http://www.softwareandthings.com/>

XtremeMac の iPod ケースバンドル -- XtremeMac 社からは4種類もの異なった iPod 用アクセサリーバンドルが出ていて、あなたの必要性に応じてあなたとあなたの iPod にぴったりと合ったものが選べるようになっている。4種類のバンドルのいずれも、iPod 用ケースに、回り継ぎ手タイプのベルトクリップ(携帯電話用としてよく見られるタイプのもの)と iPod のイアーバッド・ヘッドフォンを収納するメッシュポーチとを含んでいる。この3点だけの基本セットが $30 で、$40 出せばさらに iPod を壁や机、モニタケースなどに掛けておくことのできる粘着固定式のクリップ掛けが2個と、iPod を Macworld Expo の入場バッジのように首から紐で掛けておくことのできる紐首掛けとが付いてくる。$50 の“Essentials”バンドルになると、自動車のパワーアダプタに差し込める充電器も付く。私が貰ったのはこのバンドルだった。最後に、$90 の“Ultimate”バンドルは、これまでに挙げたすべてに加えて、XtremeMac のイアーバッド・スプリッタの iShare と、オーディオケーブルのセット、それに iPod の音楽を自動車のカセットテーププレイヤーとスピーカーに接続して流せるオーディオカセットアダプタを揃えたセットだ。

<http://www.xtrememac.com/foripod/case_bundles.html>

いろいろなタイプのケースを使ってみたい人のために、XtremeMac は 16 種類もの異なったスタイルのケースを用意している。いろいろなカラーの皮やスエード、デニムや迷彩色タイプまで揃っている。(小さな写真をはめ込む場所の付いているものまである。)カバーの上部には楕円形の穴が開いていて、ヘッドフォンを外さずに大型のフロントフラップを開閉できるようになっている。これは重要なことで、フラップを開けなければ iPod は何もできないからだ。けれども、私が一番気に入ったのは、フラップがとても柔軟にできているので(ヘッドフォンは別にして)ぐるりと裏面に回し、iPod を FireWire ケーブルで PowerBook に接続させたままで背面を下にほぼ水平に置いておくことができる点だった。

<http://www.xtrememac.com/foripod/casecolors.html>

iPod の表面を保護するために、このケースでは透明なプラスチックシートが採用されている。前面のナビゲーションコントロールの部分には丸く穴が開けてある。この穴をコントロール部分とぴったり合わせるためにはしばらくいじり回して調整する必要があったが、このプラスチックはかなり薄いので、厳密に穴が合っていなくても十分簡単にコントロールを使うことができた。

回り継ぎ手タイプのベルトクリップの装着は非常に確実で、ケースに付いている丸いノブを継ぎ手マウントに 90 度回して差し込むようになっている。外す時は、同じ角度に回してからボタンを押せば接続メカニズムが解除される。装着した状態でケースは自由に回せる。結局私はこのベルトクリップを一番よく使うようになった。紐首掛けの方はなかなかうまいやり方だとは思ったが、実際使ってみると iPod は首から下げるにはちょっと重すぎる気がした。

自動車のパワーアダプタで iPod を充電するのは試してみることができなかった。私の車はどうやらアメリカ車としては例外的な、シガレットライターも充電器も付いていないタイプだったからだ。また、小さなメッシュバッグはイアーバッドを収納するのに便利なように見えて、その実は開口部が小さすぎてイアーバッドを出し入れしにくいという問題があった。それに、このメッシュバッグはケースの側面に取り付けるようになっているが、これを取り付けるとパッケージ全体として必要以上に膨れ上ってスマートでない印象を与えてしまう。

Super Dooper iPod case -- 3つ目は WaterField Designs から出ているバリスティック・ナイロン製のフリップカバーケース、Super Dooper iPod case だ。iPod のヘッドフォンをどうやって収納するかという問題を、これはうまく解決している。ケースのカバーの下側にポケットがあり、広い開口部を持つイアーバッドの収納場所になっている。ユニット全体から見ても、それほど膨れ上って不格好になることもない。このポケットはソフトにできていて iPod の表面を保護してくれる。私が試した他のケースではいずれも iPod のこの部分はカバーしておらず、保護してくれていなかった。

<http://www.sfbags.com/PRODUCTS/iPOD_INFO/i.htm>

でも、iPod の入力部へのアクセスのために上部に開いているスリット部分については、私はあまり感心できなかった。これはごく狭い“まぶた”方式の穴で、FireWire ポートや Hold スイッチがいつも部分的にのみカバーされていることになった。5 GB モデルや初期の 10 GB モデルの iPod には FireWire ポートが無いので、このような穴でも問題が起こらなかったのだが、実際問題として私はイライラさせられた。FireWire ケーブルの先でこの“まぶた”を押し開くこともできたが、必要以上に面倒な仕事のように感じられた。さらに問題なのは、Hold スイッチが押しにくくなってしまうことだった。iPod を何かにぶつけた拍子に思いもかけず次の曲にスキップしてしまうことのないように、私はHold スイッチを始終使っているのだ。

この Super Dooper iPod case のそれ以外の部分はなかなかうまくできていると感じた。下部にはベルクロ部分が付いていてフリップカバーを正しく留めるようになっており、回り継ぎ手タイプのノブもあって付属のベルトクリップに差し込むようになっている。背面は細かいメッシュ生地でできており、本当かどうかはわからないが iPod の発生する熱を逃がす働きをしているということだ。(私は発熱が問題だと思ったことはない。)また、このメッシュのおかげで iPod の背面の磨きあげの表面の輝きが透かし見える。このケースに iPodを装着するのは結構難しいかも知れないが、“escape hatch”(これはWaterField 独自の用語)というのが開いて、iPod をスライドさせて正しい位置に動かす助けになる。一旦正しい位置に収まれば、iPod はまさにぴったりとフィットする。Super Dooper iPod case の価格は $40 で、レッド・ブルー・ホワイトの3色ある。

Apple の Designer iPod ケース -- いくら礼儀正しく言おうと思っても、はっきりとこう言わざるを得ない: iPod を購入した時にこのケースが付属していたのでない限り、金輪際この異常に高値のついた付属品を買ったりしないことだ。iPod のコントロールにアクセスするための開口部も無い。(これはおそらく、10 GB や 20 GB モデルの iPod には Apple 製の iPod 用有線リモコンが付いているからだろう。)また、このクリップ機構はすぐに壊れてしまうという話もよく聞く。Apple の提示している定価は $40 だ。これはケース単独の値段で、リモコンさえも付いていない。そんな無駄に費やす $40 があるくらいなら、もっとたくさんの音楽を買うために振り向けた方がずっとマシというものだろう。

<http://www.apple.com/ipod/specs.html>

さて判決は -- 私の iPod を購入したのは今年の1月にサンフランシスコの Macworld Expo でだったが、新品の iPod を初めて友人たちに見せた時、そこにいたのが TidBITS にもよく記事を寄せてくれる Chris Pepper だった。Chris はおもむろに彼の iPod を取り出し、その傷だらけで擦り減った様子を見せて一言、「ケースを買うべきだ。」と言ってくれた。比較してみた3つのケース(Apple のケースはすぐに検討対象から消えたので)のうち、私自身は2つを使うようになった。iGlove は汎用のケースとしては素晴しく、鞄に入れて持ち歩く時や机に座って音楽を聞く時などに向いている。しっかりとした保護機能とコントロールへのオープンなアクセスが気に入っている。けれども、エクササイズをする時などは、XtremeMac の回り継ぎ手とベルトクリップ(このクリップは私のランニングショーツにも取り付けられる)が威力を発揮する。全体が覆われたデザインもエクササイズに向いている。こうして、私の iPod は今でもピカピカのままだし、私がどこへ行くにも気軽に携帯できるようになった。

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全然いい加減じゃない Consistency

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳:倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

Sciral 社の Consistency は一つの事しか出来ないが、それをきっちりとこなす。インターフェースは使い心地が良く、オリジナルで、はっきりとしている。使用は本当に簡単だ。そして廉価なシェアウェアときている。一言で言えば、これこそ私好みのプログラムだ.

<http://www.sciral.com/consistency/>

Consistency は、一つの点を除けば、カレンダやスケジュールプログラムと to-do リストを掛け合わせた物だ。これは決まった日に起こる物事や、一回限りの物事のためではない。これはある程度の周期で繰り返し起こるが、完全に規則正しく起きる必要はないような物事を扱うためのプログラムだ。

良い例は植物への水遣りだ。私の植物のいくつかは週に二度ほど、四日おきくらいに水を与えるのが良いが、五日や六日空いてしまっても大惨事にはならない。他の植物はもっと回数が少なくて良い。このような状況では、二つの問題がある。まず、それぞれの植物毎に水を与えるべき時に催促するリマインダーが欲しい点だ。もう一つは、前者の反対みたいなのだが、最後にいつ水を与えたかをいつも思い出せない点だ。そこで、過去の記録と将来どの〆切があるか、両方を知りたい。Consistency はこれを可能にしてくれる。

この状況のもう一つのポイントは私の〆切は融通が効く点だ。それも二つの面で融通が利く。まず、前にも述べたとおり、もし四日周期の水遣りを一日二日逃したとしても、本当に〆切を逃したわけではない。この〆切には、言わばある程度の幅があるからだ。二つ目に、この周期的な〆切は自動的に調整が出来なくてはならない。四日周期の植物に水をやったら、それが四日目、五日目、もしくは六日目だろうと、一日早く水をやっても、完全に〆切を逃しても、次の〆切は前の締切日からではなく、実際に水をやった日から数えてもらいたい。Consistency はこれも可能にする。

Consistency のインターフェースは色付きの四角の碁盤だ。それぞれの列は作業を表わし、左側にラベルがある。それぞれの行は日を表わし、上に日付がある。日付は自動的に挿入されるが、作業ラベルはユーザに任されている。作業を新規に作成する時に、繰り返しの間に空く日数の下限と上限を指定する。作業を実行したら、その日の四角をダブルクリックすれば、その中央に黒丸が現れる。そしてその右側の四角が次のように色変わりする:

日々、“今日”が右へ動いて行くと、違う色を通っていく。まず紫から始まり、緑(そして黄色)だ。ゲームの目的は赤い四角に辿りついてしまうことを避けることだ。そうなる前に作業を実行し、ダブルクリックによってその事実を記録したい。それにより、新たに紫、緑、黄色の四角のシリーズを挿入し、赤い四角を再び右へ押しやる。

これにより、将来の四角の色によって〆切の近さが分かり、その〆切の緊迫性がわかる。同時に過去の四角の色は変わらないから、振り返ってみればどれほど頻繁に作業を実行し、その際に完全に〆切を逃したことが有ったかどうかも分かる。以上のように、Consistency は催促リマインダーと記録の両方を兼ねる。

基本的にはこれだけなのだが、いくつかのおまけも付いてくる。まず、ある程度の時間が過ぎたら作業の〆切範囲が変わることがあるかもしれない。例えば、冬になると私の植物は水遣りの頻度が減る。Consistency はこれにも対応してくれる。過去を変えることは出来ないし、そうしたいとも思わないだろうが、将来に関しては作業の〆切範囲を変更できる。この変更を加えた日に白い四角が現れて、新しい範囲が適用され始めた日を教えてくれる。次に、全く〆切が無い作業もある。自分の例で言えば、家の掃除や洗濯などがある。このような作業は〆切が重要になるほど規則的なものではないが、いつやったか記録するのは便利だ。Consistency はこれも可能だ。作業を“休止中”に設定すれば全ての四角が灰色になるが、黒い四角で過去の記録を残せる。

[こちら Adam。Matt は Consistency の主要な点に付いて述べてくれたが、これは将来もっと期待できると思う。現在、自分の一番のプロジェクトの進行を追うのに使用しているが、それぞれの作業に規則的に時間を費やさなくて良いのは助かる。しかし、単発、予定付き、定期的事項や、それらのリマインダーを必要とするため、標準的な作業は別のアプリケーションで進行を追わなくてはいけない。Consistency の将来のバージョンでは標準的な作業の種類を二次的な作業としてを扱えるようにして欲しい。二次的な作業を終えたら、それは一次的な作業に伝わって、それをも終了したとマークする。オプションとしてはリマインダー、完了した単発作業の隠匿、そして仕事関係の作業での週末の無視などが良いかもしれない。今、Now Software の Now Up-to-Date をカレンダーとして好んで使用している。だが、Consistency が作業マネージャの有るべき姿の思想のおかげで、私のプロジェクト管理は少し楽になったが、上記のような小さな変更が加えられれば、更に価値が増すだろう。]

Consistency は簡単で優雅な小さなプログラムだ。これが使用できることは非常に嬉しいし、非常に役立っている。あなたも同じに思うだろう。ぜひ試してみることを勧める。

Consistency は Mac OS X でだけ作動し、1.4 MB のダウンロードだ。$25 のシェアウェアだ。登録しなければ、プログラム起動時にリマインダーが現れ、各書類当たり作業が五つに制限される。

<http://www.sciral.com/download/>

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ソフトウェアのマーケティング、その1

文: Mike Diegel <mdiegel@emortals.com>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

さてあなたは、自分でも会心と思う出来のアプリケーションを作ったところだ。Mac 遣いの友人達はみんなしてクールだと感じてくれる。あなたのベータテスタ達はうまく動くと言う。さてあなたが今しなければならないことはそのアプリケーションを VersionTracker と Download.com に投稿して、それで今日の仕事はおしまい、でいいのかな?

ちょっと待った。まだまだ残っていることがある。

あなたはアプリケーションを持っているかもしれない、それは(MacHack 候補作品よりも)実に役に立つものかもしれない。しかし考えてみよう、あなたは必ずしも製品を持っているわけではなく、あるいはもっと重要なことだが、ソリューションを持っているわけではない。製品とソリューションの違いは何だろう? 例えば、鉛筆は製品だ、しかしソリューションではない。確かに、あなたは鉛筆で字を書く。しかし、鉛筆削りと紙が無かったら、あなたはその鉛筆で何もすることができない。そこで、それらのアイテムが揃うまでは、あなたはまだソリューションを持っていないのだ。

ソフトウェア開発者だったら、おそらくあなたはマーケティングをするよりもソフトウェアを作っていたほうが居心地が良いだろう。ソフトウェアを作って「自分が Mac で何ができるかを見る」ことは、別に悪いことではない。しかしあなたにはマーケティングの考え方が今必要だ。それなくして、あなたのアプリケーションをソリューションとして成功裏に販売することはできない。

3つの危険な仮説 -- ものを作る人は誰でもそうだが、ソフトウェア開発者は危険な仮説にハマるおそれがある。それらの仮説を絶えず慎重に検討していない限り、その製品の運命は失敗作に終わる。おそらくほとんどの開発者は下記の3つの罠にハマるのを避ける必要がある。

これらの3つの仮説は一緒になって、しばしば、誤った信念を導き出す。例えば、その製品はとてもクールでとても素晴らしいので、自力で売れてゆくだろう、とか。あなたはどうゆうわけか、あなたの製品をどんな競争からも隔離しておくことができる、という思い込みだ。ソフトウェアの歴史は、戦い破れたアプリケーションや会社の屍体が積み重なっている。大きな会社や小さな会社が、このようなお目出度いアイデアの下に倒れ尽きた。

あなたの賭け率を改善しよう -- 新しい製品が市場で成功するというのは明らかに勝率の悪い賭けだが、そこで開発者はいかにして勝率を上げることができるのだろう? あなたは自分に一連の質問をして、自分の答えが、市場調査に裏付けされた、本当で正しいと信じる根拠を持っていることを充分確実にしておく必要がある。

まず、その製品を買うのは誰だろう、その製品によって彼らのどんな問題が解決されるのだろう? あなたは Mac ソフトウェアを開発しているのだから、2 千5百万人の Mac ユーザ宇宙全部があなたの市場だと考えているかもしれないが、まさかそんなことはありえない。例えば、私は Macintosh ネットワーキング製品とユーティリティの開発元である Sustainable Softworks からコンサルタントを引き受けている。もしあなたが Mac を一台持っているだけなら、あなたにネットワーキングアプリケーションは要らない。もしあなたがインターネット接続をしていないなら、ファイアウォールや接続最適化ソフトウェアは要らない。Sustainable Softworks の製品はそれゆえ Mac 宇宙の中にある特定の小宇宙だけに当てはまる。

さらにあなたは、自分で到達可能な市場について考えておく必要がある。2千5 百万人の Mac ユーザの内、あなたが実際に到達できるのはどの部分だろう?どのようにしてあなたは彼らに到達したらよいのだろう? 広告の予算は有るか? あなたは効果的なプレスリリースを書くことができるか、プレスリリースを何処にどうやって配布したらよいのか知っているか? また、Mac 市場のかなりの部分は海外にある。あなたは彼らの言語で海外のユーザにコミュニケートすることができるか? もしあなたがこの種の作業をすることができないなら、あなたの到達可能な市場は小さく萎縮するだろう。

あなたは、自分のソフトウェアがユーザの解決になる本当の問題を突き止めたとしよう。それはおめでとう! あなたは重要な一歩を前に踏み出した。けれども問題というものはしばしば複数の解答がある、そしてあなたは、ユーザが現在その問題をどのようにして解決しているかを理解しておく必要がある。その問題には回避策があるだろうか? その回避策は不便であるとしても、あなたのソリューションに金を支払いたくなるほどまでには不便でないかもしれない。常に心に留めておくべきことだが、人々は彼らが望んでいるものをあなたに告げるかもしれない。しかしお金を払うのは彼らが実際に必要とするものにだけだ。あなたの仕事で最も骨の折れる部分は、彼らが本当は何を必要としているかを解明することだ。

ある問題に対して、もっと良い、もっと速い、そしてもっと安いソリューションを提示することができるなら、あなたは成功するチャンスがある。しかしながらそのことを証明できなければならない。例えば、ある人から別の人へ文書を手渡す手段として、電子メールはファクスよりも優れて、より速く、より安い、これは明らかだ。また、ファクスは、しばしば通常の郵便メールより高くつくが、郵便よりも明らかに速い。

これにひきかえ、長年の間、多くの Mac 製品の主要な宣伝文句は、それらが何らかの形であなたをより生産的にすることだった。これを数値的に証明するのは難題だ。あなたのソリューションは、彼らが今使っているものよりも、より優れて、より速く、より安いか、あなたは顧客にそれをどのようにして証明するかを考えておかなければならない。

あなた自身に問いかける次の質問は、あなたはその製品をどうやって売るかということだ。流通手段は何にするのだろうか? オンラインで売るのだろうか? より安価な電子配布のみで済ませるだろうか、あるいはより多くの人々に受け入れられるであろう CD-ROM でソフトウェアを提供するだろうか? 販売員あるいは再販業者のネットワークを必要とするだろうか? あなたの標的とする市場は誰か? 消費者なのか、中小企業なのか、ネットワーク管理者なのか? これらすべての事項はあなたがどのようにして製品を売るかを決定する。

あなたはまた付随する質問にも答えておく必要があるかもしれない: あなたがあなたの顧客信用を築いている間、財務的に持ち堪えることができるか?市場が新しい製品を受け入れるようになるまでの期間は、個々の製品によって異なるものだ。しかし次のことを考慮しておこう:革新者はどんな新製品でも最初に購入する人達だ。たいていのマーケティング専門家は、革新者が市場のおよそ2.5パーセントを占めると信じている。初期採用者(市場のおよそ13.5 パーセント)はその次に購入する。そしてその後に、初期追随者(34パーセント)、後期追随者(34パーセント)が続き、最後に遅滞者(16パーセント)が購入する。

最終的に、あなたは市場であなたの製品をどのように差別化するだろうか?たいていの開発者は機能面の特長について考える。確かにそれで良い。多くの顧客はたいてい「私は○○○○が出来たらいいなと思う」のように言う。そして開発者はその要望に応える。しかし機能面の特長は重要ではあるけれど、顧客が実際に反応しているのは、それら機能のもたらす御利益にであり、機能自体にではないことを銘記しておこう。

例えば、Apple の Mac OS Xボックスを見てみよう。Aqua として宣伝されているひとつの機能だ。Aqua の御利益には、「初心者にもすぐわかる」と「上級者にはパワフルでカスタマイズできる」が含まれる。Finder もひとつの機能だが、Apple の主張によると、「様々な種類のデータについて数ギガバイトを迅速にナビゲートして整理する」のに役立つ。あなたはこの主張に同意するかもしれないし、同意しないかもしれないわけだ。このことは、あなたが製品について主張することをユーザに確信させることができるかどうかということが、いかに重要であるかを示唆している。

あなたの製品をうまく差別化できるようになるには、その前に、あなたはあなたの競合製品について完全に理解しておく必要がある。競合製品の調査を終えてはじめて、あなたの目標市場にぴったりと合うマーケティングメッセージと価値提案(あなたの製品がユーザにとっていかに御利益があるか) の作成に着手できる。そのメッセージは、メッセージが届られるとき受容曲線 (購入決定プロセス) のどの段階に顧客が位置しているかにより、内容が異なる。

段階を販売に向けてセット -- 若干の段階が同時に進行するかもしれないが、顧客の為す全ての購入判断は識別可能な 6 つの段階を進行する。まず最初の段階は認知だ、そこで顧客はあなたの製品について知る。第 2 の段階は情報だ、この期間に顧客はその製品についての情報を集めて、それに興味を持つようになる。第 3 の段階は評価だ、顧客はその製品を使うとどうなるかを想像して、そしてまた代替案を検討する。

4 番目の段階は試用だ、顧客は製品自体を実際に使って試してみる。しかしまた「社会的受容性」についても検証する、つまりその製品について他人の評判はどうか、もし彼女がその製品を購入して使うなら、彼女の友人や知人は彼女についてどう思うか、ということに関心を持つのだ。5 番目の段階は全面的な受容だ。顧客はそれを買った、そしてそれを使う。最終段階は再強化だ、そこで顧客は実際良い購入判断をしたことを絶えず思い起して満足する。

顧客に製品を購入するようにさせるプロセスには、論理的な、および感情的な訴求の組み合わせが含まれ、これらの訴求は非個人的なメディア (印刷媒体、放送、インターネットなどのマスメディア) や個人的なメディア (友人、達人、オピニオンリーダー、など) を介して伝えられる。この連載の次の記事ソフトウェアのマーケティング、その 2で、私は優れたマーケティング計画と共にあなたがどのようにしてこれらの訴求を作ることができるか、そしてまた、販売の成功例についても話すだろう。

それまでの宿題として、ソフトウェアのマーケティングに関するさらに詳しい情報のウェブリソースとして、以下のサイトをチェックするよう奨励する:製品開発とマネジメント協会、カリフォルニア大学バークレー校のソフトウェア製品マーケティングページ、シリコンバレー製品マネジメント協会、シェアウェアプロフェッショナル協会

<http://www.pdma.org/>
<http://www.iwl.com/SPM/resources.html>
<http://www.svpma.org/resources.htm>
<http://www.asp-shareware.org/>

[Mike Diegel は戦略的マーケティングと広告宣伝のコンサルタントで、中小企業やその他の組織がウェブをより効率的に使う指導を専門にしている。]

<http://www.emortals.com/>


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