ソフトウェアのマーケティングで苦労している?それとも気に入りのディベロッパがもっと上手に出来ないのかと苛立っている?ソフトウェアのマーケティングについての Mike Diegel の記事の第二部から、ソフトの知名度を上げて一見さんを顧客に代えるヒントを拾おう。また、Matt Neuburg が WorkStrip X をレビューする。この興味深いアプリケーションランチャーは関連した書類やアプリケーションをワークスペースにまとめられる。最後は、.Mac アカウントを使用している人へのアドバイスだ。
記事:
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.Mac 試行期間終了 -- Mac ユーザ達への簡単なリマインダーと思って欲しい。Apple によれば、.Mac 試行アカウントへ自動的に切り替えられた iTools アカウントは二週間後の 2002 年 9 月 30 日をもって消滅する。知り合いで Mac.com の電子メールアドレスを使用している人がいたら、その人達全員に対してそのアドレスを使い続ける予定か、変更する予定なのか、確認することを勧める。もしあなたが Mac.com アカウントを持っていながら使用を止めるつもりであれば、その前にメールリスト登録を変更することを勧める(Mac.com アドレスから登録削除し、新しいアドレスから登録しなおす - TidBITS の各号のヘッダを見ればダブルクリック出来るアドレスがあるはずだ)。また、日常、連絡している人々にそれを伝えよう。最後に、Web ブックマークを検索して Mac.com に在るサイトを訪ね、オーナーが新しいページを提供しているかチェックしよう。また逆に、.Mac ベースの Web サイトを維持するつもりがないのなら、訪問者にどこでファイルが見つかるかを伝えるメモを残しておくべきだ。もしサイトが iPhoto からアップロードした Web アルバムのような個人的な内容だけならば、当初に写真の所在地を公表した人々に新しい場所を伝えるべきだろう。少しだけの準備でこの転換を皆にとって遥かに楽なものにできる。[ACE] (倉石)
文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
その昔、System 6 の時代、私にとっての必須のユーティリティといえば Now Utilities、ことに Now Menus だった。特に重要なその機能は、私が最近使ったアプリケーションや書類を覚えていてくれるだけでなく、最近使った書類のそれぞれごとに、それがどのアプリケーションで開かれたかを覚えていてくれる、というものだった。Now Menus のメニューに現われる最近使ったアプリケーションの項目それぞれに、そのアプリケーションで最近開いた書類が階層サブメニューとなって現われた。私が最近作業をしたものを見つけるのに、これほど素晴しく、易しく、かつ自然な方法はなかった、と言っても過言ではないだろう。その後、この機能は Apple によって真似たものが採用され、アップルメニューの最近使ったアプリケーションや書類のサブメニューとして実現されたが、この Apple の方式には重要な1点が欠けていた。つまり、最近使った書類とそのアプリケーションとの間を結ぶインターフェイスの対応関係が抜け落ちていたのだ。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1225>
(日本語)6 テン いくつかになった Now Utilities
(日本語)Now Menus が Action Menus として生まれ変わった
この対応関係がいかに重要かは、そこに登場するものたちの個数、というものをちょっと考えてみればわかる。アプリケーションと書類との対応は、1対多数、の対応だ。最近使ったアプリケーション 30 個をリストするのは便利だろうが、私が最近使った書類 30 個をリストするのはほとんど無意味に近いだろう。私にとって意味があるのは、個々のアプリケーション ごと にそれが使った書類を 30 個ずつリストすることなのだ! でも、そういう書類たちを無差別に全部1ヵ所に集めてアルファベット順にリストしてしまえば、並び方がデタラメに見える(なぜならアプリケーションによる順を考えるのが普通だから)だけでなく、とても手に負えない(総項目数が 900 個のリストなど実用的でない)ものになってしまうだろう。
Now Menus のやり方こそが、完璧な解決を与えてくれたのだ。私は、Now Menus が System 7 に対応した後も忠実にこれを使い続け、その後 Now 社が消滅してしまった後も、同じ機能を引き継いだ Power On Software の Action Menus を使ってきた。Action Menus は Mac OS 9 の時代までずっと、私のために働き続けてくれたのだ。
<http://poweronsoftware.com/products/actionUtilities/>
けれども Mac OS X の時代が来ると、この機能はガラスの天井にぶち当たってしまった。Mac OS X のアップルメニューに登場する Apple による最近使った項目のメニューは、依然として書類とアプリケーションとの関連付けをしてくれない。ただし、少なくとも Jaguar では記憶する項目数を 50 個まで増やすことができるようになったが。Action Utilities はといえば、これはまだ Mac OS X への移行を果たしていない。Proteron の MaxMenus は Mac OS X における Now Menus クローンとしては一番近いもので、同じくアップルメニュー内に最近使った項目のメニューを出してくれるのだが、これもやはりアプリケーション対書類の対応は付けてくれない。いったいどうすれば良いのだろうか? 私はずっと途方に暮れていた。そして、私の内に初めて希望が芽生えてきたのは、Macworld Expo San Francisco の会場で Softchaos の WorkStrip が Mac OS 9 で動作しているのを見た時だった。もしもこのユーティリティが Mac OS X への移行を果たしてくれたら、私の悩みも解消されるのではないだろうか、と。
<http://www.proteron.com/maxmenus/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06687>(日本語)Macworld Expo San Francisco 2002 で見つけた珠玉たち
実際、その後 WorkStrip は Mac OS X へ移行してくれた。ただ、最初の Mac OS X 用リリースはバックグラウンドで大量の CPU 占有率を消費する代物で、2回目のリリースはブラウザの開いた書類を扱うやり方に大きなバグがあった。けれども、Softchaos の技術担当責任者の Matt Gough はこうした問題点の報告に非常に熱心に応えてくれた。そして、新たにリリースされたバージョン 2.02 では、これらの問題点はすべて消え去っている。今や、WorkStrip X は立派に第一線に出して恥ずかしくないものとなったのだ。
<http://www.softchaos.com/products/overview_wsx.html>
よ〜く見てみる -- WorkStrip X は基本的にはアプリケーションスイッチャー兼ランチャーで、ランチャーとしてはアプリケーション、書類、そしてフォルダなども扱える。もちろん、ドックもまた同じことができるので、WorkStrip はドックの補助的なものと捉えてよいだろう。ただし、WorkStrip をドックにとって代わるものと考えるのは正しくない。真の意味でドックの代替となるのは不可能なのだ。なぜなら、ドックはいくつかの秘密の知識を所有していて、Apple が他の誰にもアクセスを許していないいくつかの能力を持っているからだ。例えば全アプリケーションが開いているウィンドウのリストとか、特定のウィンドウにスイッチする能力とか、特殊なアプリケーションアイコン(例えば iCal のアイコンが現在の日付も表示する、というようなもの)を表示する能力、その他だ。
WorkStrip X はバックグラウンド専用アプリケーションで、それ自体はメニューも持たないし、ドックにも登場しない。画面上には、スクリーンの一縁に沿って一列に並んだアイコンの列として現われる。それぞれのアイコンごとに、ほぼ長方形の白い領域(ここでは「台座」と呼んでおこう)がスクリーンの縁に接して見えている。この台座にオーバーラップしてスクリーンの内側寄りに、アイコン自体が描かれる。このアイコンは長方形内に埋め込まれているわけではなく、その形もアイコンの形通りで、台座の白い長方形の上にはアイコン形状の影が投影されている。全体の印象としては、いくつもの小さなアイコンの彫像が並んでいて、それぞれが白い台座の上に乗せられている、という効果を生んでいる。とてもゴージャスで印象的だ。WorkStrip の表示法や、呼び出しの方法にはいくつかのモードがある。私が特に気に入っているのは、通常は1つのアイコンのみ(これは画面のどこか1つの隅のあたりに、あらゆるアプリケーションの上にフロートしている)が見えていて、マウスを動かしてその上に持ってくると、その時初めて他のアイコンが現われる、というものだ。
ドックの欠点は、一列に並んでいるアイコンがランチャーとして(これはあなたがドラッグしてきたものについて)働くと同時に、またスイッチャーとしても(これは現在動作しているアプリケーションたちについて)働いている、ということだ。WorkStrip も基本的には同じなのだが、WorkStrip の場合は「作業領域」(“workspace”)というものをユーザーに定義させることによってこの欠点を克服している。この作業領域というのは、単にあなたが WorkStrip にドラッグした項目いくつかを集めたものに過ぎない。個々の作業領域にどんな項目を集めておくかは、完全にあなたの自由に任されている。アプリケーションをカテゴリーに分けて集めてもよい。例えばインターネット関係のプログラムを集めたり、ゲームを集めたり、といった具合だ。また、特定の作業のためにそれに関連するアプリケーションやフォルダなどを集めてもよい。例えば本を著述しているような場合だ。 WorkStrip は、常にただ1つだけの作業領域を表示する。加えて、特別の「システムレベル作業領域」(“system-level workspace”)もあって、これは常時表示されている。
結局、その時々に WorkStrip X の表示するアイコンは以下のようなものだ: まずメインの WorkStrip アイコン、この上に項目をドラッグすると、それらの項目がシステムレベル作業領域に追加される。次に現在の作業領域のアイコン、この上に項目をドラッグするとその作業領域に追加される。また、ここからのコンテクストメニューで別の作業領域に切り替えることができる。それから、システムレベル作業領域の内容の項目が並び、次に現在の作業領域の内容の項目も並ぶ。最後に、現在動作しているアプリケーションすべてのアイコンが並ぶ。さまざまなカラーや、サブアイコンなどによって、それぞれのアイコンの存在理由がわかる。それが作業領域の構成員なのか、現在動作しているのか、現在動作していてかつ最前面なのか、現在動作していてかつ作業領域の構成員なのか、等々の情報が一目でわかるわけだ。ただし、作業領域の項目については、それが現在の作業領域のものなのかシステムレベル作業領域のものなのかは見ただけでは区別できない。私はこれは欠陥だと思っている。
アイコンを使って何ができるかというと、これはほぼ誰もが予想する通りの動作をする、と言って間違いないだろう。アプリケーションや書類、あるいはフォルダのアイコンをクリックすれば、それが開かれたり、そこへスイッチしたりする。(ドックと同様のいろいろな修飾キーも使える。)アイコンを control-クリックすれば、コンテクストメニューが現われる。フォルダの場合は、このコンテクストメニューがそのフォルダの内容を階層的に示す。ただし、1つ顕著な特徴がある。メニュー階層の各レベルで、その項目がソートされるのだ: 最初にまずフォルダ、次にアプリケーション、それから書類たちがタイプに分けて並べ替えられてリストされる。さらにもう1つ、この階層メニューの良いところがある。それは、ファイルもフォルダもどちらも選べることだ。あなたのハードドライブをこのやり方でナビゲートするのに慣れてしまえば、もう他のどんな方法もやる気がしないだろう。これは本当に素晴しい。
ケースの中の書類 -- WorkStrip X は最近開かれた書類を Recent Items メニューの項目として列挙する。これはそれ自身が階層的なサブメニューとなっていて次の三つの場所に現れることが出来る:
WorkStrip アイコンのコンテクストメニューの中;
もし書類を開いた時に現在の作業領域がアクティブだったならば、その作業領域のコンテクストメニューの中;そして
もし書類を開いた時そのアプリケーションが WorkStrip の中で見えていたならば、そのアプリケーションアイコンのコンテクストメニューの中。
Finder の場合、そのアイコンは常時存在し、その "書類" はフォルダである;WorkStrip はこうして最近のファイルだけでなくフォルダも管理できる。
Mac OS X は WorkStrip X のようなユーティリティに対しては、以前の Mac OS が Now Utilities に対して許したような、システムの内部にまで入り込むことを許さなくなってしまった。従って、Finder 上でダブルクリックして開いた場合とか、あるアプリケーションの Open ダイアログ上で開いた場合とかを WorkStrip X は "見る" ことが出来ない。WorkStrip X は、WorkStrip X 上で行われたことは "見る" ことが出来る;別の言い方をすれば、WorkStrip X が追跡できるのは WorkStrip X を使って開いたものに限られるということである。つまりある書類をナビゲート、そして開くには、その書類を WorkStrip X 内のアプリケーションアイコン上にドラッグすることでも、WorkStrip X 内のフォルダアイコンの階層メニューを辿っていくことでも出来る。
WorkStrip はあなたの開いた Recent Items のうち最新の 100 しか覚えていない。この小さな制限を補うには、Recent Items 書類のそのステータスを「仮」から「持続」へと変えられることを利用する。これをやるためのインターフェースは天才的である;まずアプリケーションのアイコンそのものではなくその台座をクリックする、そうすると引出しが開いてそのアプリケーションの関連した書類、仮の (Recent Items) と継続の両方とも、をリストとして表示する。ここで書類管理の仕事をするのである、例えば、書類のステータスを仮か継続かに動かす、そのパスをナビゲートする、Finder 内に表示する、リストからはずす、そして削除すら出来る。
WorkStrip の結論 -- WorkStrip X は見て美しいし、プログラミングの非凡さを披瀝した逸品でもある。付属書類もしっかりしている。この記事では WorkStrip X が出来ることすべてをカバーしてはいないが、それでもランチャーとしての、そしてとりわけアプリケーションと関係付けた書類管理プログラムとしての機能の大半は網羅したつもりである。この管理するという面から見ると実際に大変良く出来ていると言えるが、しかしそれには多少の慣れと通常の自己習慣の変更が必要となろう - 例えば、何かを開く時は Finder からではなく WorkStrip からやるのだと言うことを覚えておくとかである。それから、WorkStrip の強さを理解するには、考え方を多少変えなければならないかもしれない。
例をあげれば、WorkStrip がある書類をあるアプリケーション、それがその時違う作業領域にいる場合、それに対して関係付けないという制限にはがっかりさせられるかもしれない。最初は、私もそうだった。でも、徐々にわかり始めたのである。言ってみれば WorkStrip の考えの基礎単位は、アプリケーションではなく作業領域なのである。WorkStrip があなたの助けになろうとするのは、ある特定の仕事をする時にアプリケーションと書類を管理することである。私の意味することを理解してもらうため例をあげよう。あるアプリケーションが、ここでは BBEdit だとして、二つの異なる作業領域、例えば Writing と Programming、にあるとした時に、何が起るべきなのか考えてみて欲しい。もしある書類が Writing 作業領域にある BBEdit のアイコン上にドラッグされ、その後別な書類が Programming 作業領域にある BBEdit のアイコン上にドラッグされた場合、何がおこるべきだろうか?一般的な理解は、これらの二つは自分にとってまったく異なった作業内容であり、この様な場合、BBEdit は基本的には二つの異なるプログラムとして扱われるべきであるというものであろう。Writing プログラムとしての BBEdit と関連付けられた書類は、Programming プログラムとしての BBEdit と関連付けられた書類とまぜこぜにされるのは許されるべきでないであろう。これが WorkStrip の振舞うやり方である、そしてそれは納得のいくものでもある。もしこれがあなたの思う WorkStrip の BBEdit の扱い方と違うのであれば、BBEdit をシステムレベルの作業領域に入れておけばよい。
正直に言えば WorkStrip X はランチャーとしては、私の好みのインターフェースではない;あまりにマウス依存型でそれにぎこちない、そして多少制約的すぎる感じがする。私の気に入りのランチャーはと言えばやはり James Thomson の DragThing である。DragThing の考え方は至って単純である:ドックはいくつでも、それぞれのドックはドラッグ&ドロップでアイテムをいくつでも収容でき、個々のアイテムはアプリケーション、ファイル、フォルダ、あるいはスクリプトであり得、かつ広範なキーボードショートカットとコンテクストメニューが使える。もし、DragThing が個々のアプリケーションで開かれた書類を覚えていることが出来るなら、WorkStrip を使う気には全くならないであろうと思う。
しかし現実は、DragThing にはその能力はなく、WorkStrip にはある。その結果、私は WorkStrip ばかりを常時使っているというわけではないものの、一つのあるいはそれ以上のプロジェクトに関っている時には、例えば Cocoa アプリケーションを書いている時のような時には、WorkStrip が真の救い手となってくれる。関係するアプリケーション、書類、それにフォルダの定まることない組合せを常に把握し、整理してくれる。要は、マウスやキーボードの使い方は私流とは異なるが、これは私の考える様に _考えてくれる_ プログラムなのである。同時に、味の感じ方も人により違うであろう;実際の所 WorkStrip のドックのようなマウス依存型のインターフェースが大好き、という人もいるかもしれない。いずれにしても、好みに合うかどうかを試すのにお金はかからない;30日のお試し版がダウンロードで入手できる (4.8 MB)。
<http://www.softchaos.com/downloads/downloadform.html>
WorkStrip X は、英ポンドに対する現交換レートでいえば約 $40 である。Mac OS X を必要とする;Mac OS 9 版もあって私自身はまだ試したことがないが、同様の機能を提供、インターフェースは多少異なると思われる。
PayBITS: WorkStrip について学ぶことで時間と努力の節約になりましたか?もしそうなら PayPal経由で Matt に 2, 3 ドル程度送って頂けませんか?
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PayBITSの説明: <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>
文: Mike Diegel <MDiegel@emortals.com>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>
先週の記事ソフトウェアのマーケティング、その1で出した宿題はもうお済みになりました? あなたのソフトウェアを売り出す準備として、市場調査、製品の用意、マーケティングメッセージの作り込みは終わっていますか。さて本号では、メッセージの配信と販売について語ろう。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06933>(日本語)ソフトウェアのマーケティング、その1
私はここで、オンラインでの流通と販売に焦点を絞る。なぜなら、何十万、何百万ドルもの投資をする覚悟がなかったら、ソフトウェアを化粧箱に入れてCompUSAや Best Buy の棚に陳列するのは極めて難しいからだ。そこで、オンライン販売を始めるには先ずウェブサイトが必要で、そこで人々はあなたの製品について学び、ダウンロードし、そして購入することができる。どうすれば効果的なウェブサイトを作ることができるかについてのまとまった議論はこの記事の範囲外だが、以下にのべる若干の指針を憶えていてほしい。
シンプルかつ効果的な -- 先ず何をおいても、あなたのサイトの目的をはっきりさせておくことだ。ウェブは色々な沢山のことができるかもしれないが、あなたのやりたいことは 3 つで、3 つしかない。来訪者を呼び寄せて、次にそれらの来訪者を見込み客に転向させ、さらにそれらの見込み客を金を払う顧客に転向させる。それだけだ。サイトに関してあなたのすることはすべてこの目標を達成するためのものだ。そうでなかったら、サイトを作る意味がない。
クリーンでシンプルなサイトになるよう努めよう。あなたのページに、洒落たFlash のプレゼンテーションを置くのはいただけない。これらは検索エンジンスパイダーの邪魔をして、スパイダーがあなたのサイトを通り過ぎてしまうだけになるため、あなたが Google や Yahoo などの検索サイトに入れてもらおうとした努力がすべて無駄になってしまう。
<http://www.google.com/>
<http://www.yahoo.com/>
これと同時に、来訪者が捜したいものや、どうやって見付けたらよいかを、他のページでなくホームページに、すぐ分かるように書いておくべきだ。ウェブ統計レポートを上手く利用すると、あなたがこの目標をどの程度達成しているか判断できる。例えば、私のあるクライアントはクリーンでシンプルなサイトを持っていたが、何が何処にあるのか分かり難かった。私が彼らのサイトのウェブ統計を調べてみると、そのホームページは入場ページリストのトップ近くにランクされていた。しかし、そのページはまた、トップ10退出ページのひとつでもあった。これはまずい。他の幾つかの情報と組み合わせて考察するに、これは来訪者がそのホームページを見付けて、それ以上奥へ行かずにそのまま退出したことを意味している。
デザイン上で考慮すべき他の重要な留意点はスクロールだ。90パーセント以上の訪問者は、ページの内容を見るのに決して左右にスクロールしない。そして約 30パーセントは下にスクロールして下に隠れている部分を見ない。ページの訪問者のかなりの部分は、このような場所に置かれたどんな重要な情報 (例えば「購入する」ボタンのリンク) があっても見落としてしまうかもしれない。
認知を築く -- 顧客をあなたのサイトに呼び込むには、あなたは来訪者を、先週説明した購入決定プロセスのひとつの段階である、認知段階に導く必要がある。この段階ではマスメディアが最も有効なコミュニケーションの手段になるだろう。これは口コミをないがしろにしているのではない。口コミは購入決定プロセスの後半でもっと重要な役割を持つことを言っているだけだ。
たいていの人々が気付いているが、来訪者をあなたのサイトに呼び込むには一般的に三つの方法がある。検索エンジンと、有料広告 (あなたのURLを粗品や文具に書いておくのも含める)、無料メディア (マスコミ報道とも言う) だ。来訪者を呼び込む創造的な他の多くの方法は Trafficology やMarketingSherpa などのサイトで勉強するとよいだろう。
<http://www.trafficology.com/>
<http://www.marketingsherpa.com/>
サーチエンジン攻略のカギは、あなたの選んだキーワードがまた顧客の使いそうなキーワードであることだ。あなたは、あまりにしばしば業界ジャーゴンに馴らされて、そのキーワードをみんなが使っている標準語だと勘違いしているかもしれない。あなたのキーワードをどれかの検索エンジンに入れて検証してみよう。あなたの競合業者が出てきましたか? リストの結果は、あなたが顧客になったつもりで期待したサイトの類になっていますか? もしそうでなかったら、あなたはキーワードを検討する必要がある。
有料のオンライン広告には、TidBITS のようなニュースレターへのスポンサーシップ、サイト上のバナー広告、ペイパークリック広告がある。ペイパークリックもまた、キーワードの選定がカギだ。私が一年半近くコンサルタントをしている Mac ソフトウエア開発の Sustainable Softworks について言えば、ペイパークリック広告は最も効果的な有料広告のやり方だ。また絞り込んだ電子ニュースレターへの広告は2番目に効果がある。繰り返すが、あなたの対象とする読者を絞り込んで検証しておくことが重要だ。
Google や Overture でキーワードを購入した場合、あなたはおそらくWindows ユーザも自分のサイトに招き入れることになるだろう。あなたがSustainable Softworks のような Mac 専門の開発者なら、決してあなたの製品を使わないであろう誰かの分にもクリック料金を支払わなければならないかもしれないが、考え直せば多くの Windows ユーザは、そのソフトウェアを職場でダウンロードして、家にある Mac で使っているということもある。
ページの更新 (6週程度ごとに実行するようお薦めする) 以外にも、私の発見した、トラフィックを集めるのに最も効果的なひとつの方法は、メディア広報だ。あなたのサイトへの直接リンクが含まれたオンラインメディアの場合はとりわけ効果的だ。Sustainable Softworks 製品のプレスリリースを送ったときは何時も、たとえひとつのメディアしか話題を採用しなかった場合でさえ、ソフトウェアのダウンロード数で突出したスパイクを観測した。
メディア広報の分野はそれ自体別に語られるべき話題だが、Mac コミュニティは多数のウェブサイトと伝統ある出版物に恵まれており、それらは Mac ユーザに最新の製品や素晴らしい製品のことを知らせるのに熱心なことは特筆すべきだ。このようなリソースは有効に活用しよう (まずTidBITS-539 からのAdam の 報道をハックする
シリーズを読んでみよう。)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1172>
(日本語)報道をハックする、パート 1:なぜわざわざ関るのか?
(日本語)報道をハックする、パート 2:出版物の種類
(日本語)報道をハックする、パート 3: 報道の種類
上手なプレスリリースの書き方について勉強しよう。あなたは報道文の 5W1Hについて耳にしたことがあるだろう。5W は、who、what、when、where、why だ。しかし編集者達がもっともっと多く知りたいのは (how - どんな話か)だ。そしてあなたをおいてそれを語れる人は他に誰がいるだろう? あなたは地域の成人教育プログラムやコミュニティカレッジで廉価なコースを受講することもできる。多くの地域ビジネスグループもまた同様なテーマのセミナーを提供している。もしあなたがジャーナリズムの職業について学び、あなたの書いたリリースや、彼らの仕事に敬意を払うことで、彼らを理解していることを編集者達に示せば、あなたの製品の紹介で驚異的な見返りを得ることができるだろう。
金鉱を堀り当てる -- さてあなたは認知を作り、来訪者をあなたのサイトに呼び込んだら、こんどは彼らを見込み客に転向させる番だ。見込み客の段階で、顧客は情報を収集し、あなたのソフトウェアが彼あるいは彼女にとってどの程度の価値があるかを値踏みし、それから試用段階に至る。
ここで、あなたの収集しておいた、自分の作品に対するどんな賛辞でも強調しておくのだ。プレス広報記事や批評記事へのリンクを (たとえそれがあなたの作った別の製品についての記事であっても) 入れておこう。またベータテスタからの引用も貴重だ (むろん彼らへの連絡と許可付きで)。新製品の場合、あなたが利用できるのはベータテスタからの引用だけかもしれない。
見込み客や顧客からフィードバックを集めたら、肯定的なコメントをあなたのサイトに掲載してもよいか、彼らから許可をもらおう。他の人々が製品を使ってそれを気に入っていることを知らせるのは、潜在的な顧客に対して、心理的に極めて効果的な作戦だ。
これらの見込み客ユーザにはどんな形体のソフトウェアを提供したらよいのだろう? 私の経験では、完全に機能するトライアルウェアがうまく行くようだ。私はシェアウェアについて何ら含むところはないし、シェアウェアは素晴らしいアイデアで、特にパーソナルコンピュータ初期の時代、それなくしてはクールなソフトウェアの創造はありえなかっただろうと思う。しかし、あなたは自分の販売機会を最大化したいと望んでいるだろう。そうすればもっと素晴らしいソフトウェアを書く余裕もできる。そこで少しだけ社会工学のテクニックを遣って、“シェアウェア”という言葉を使うのを避けよう。あまりに多くの人々がそれを“フリーウェア”と同じものだと思っている。
幾つかの機能を使えなくしてトライアルウェアを不具にしたいと思うのは止めよう。見込み客にはあなたが書いたその素晴らしいソフトウェアのフルバージョンをダウンロードできるようにしておこう。つまるところあなたは、自分の将来の顧客があなたの製品で出来ることのすべてを見るのを、望んでいるはずだ。 その代わりに、三週間か四週間の試用期間制限を組み込んで、ユーザが登録キーを購入しないなら、その後はそのソフトウェアが使えないようにしよう。あるいは別の方法として、将来のユーザがあなたのプログラムを起動できる回数を制限してもよい。この方法は、あなたのプログラムを使いたいと望む人々が購入するかどうかを確認している間に試用期限が切れるような、潜在的なストレスや腹立たしさを回避できる。
試用から購入へ -- ソフトウェアが見込み客のハードドライブにインストールされた時点で、あなたはどのようにして金を払ってくれる顧客に彼らを転向させることができるだろう? そこでフォローアップだ。Sustainable Softworks で、我々は顧客情報を尋ねるシステム (入力は任意) を作り、そしてそれをデータベースに保存した。毎日、私は 7 日前からの記録を調べ、そしてそれらの人々にフォローアップの電子メールを送った。
このメッセージは控えめで、「ソフトウェアが適切に作動したかどうか」と「何か我々で助けられることはないか」を尋ねるだけだった (たとえ顧客がまだ代金を払っていないとしても)。我々は試用期限切れを告知するリマインダーをメッセージに組み込み、また製品登録ページへのリンクも入れた。
何千という電子メールメッセージを送った後で、我々が受け取ったフィードバックは圧倒的に好意的だった。「私はあなたがたの顧客満足重視に感銘しました」や「うるさいメールを受け取ったことはあるが、ソフトウェア業者からこんな有益で親切なメールを頂いたのはこれが初めてだ」のようなコメントは、このシステムが優れた顧客サービスについて会社の評判を高めたことの証明だ。販売促進目的に使用するユーザからの引用文を集めるのにも、これはまた最良の方法であることを我々は発見した。
しかしこのシステムの本当の値打ちは、見込み客から購入者への転向にある。製品によって異なるが、我々はこの転向率を 25〜40パーセントまで増加させた。さらに我々はこの転向率を標準的な1パーセントよりもずっと高い値で達成している。これらの数値は企業収益に直接貢献する。
我々はまた、製品を登録しようとしながらどういうわけか登録プロセスを完結させなかった顧客をフォローアップする類似のシステムも考案した。こうして我々はそのままでは逃してしまっていた多くの販売を獲得することも可能にした。
うまく動いたら、動かし続けろ -- 今やあなたは費用効果的な販売を実現する統合マーケティングと広報プログラム (IMC) のおおざっぱな概要を把握したところだ。そこでもう一言、あなたが一度このプロセスをやり遂げたら、それを何度も繰り返しなさい。あなたの仮説を疑ってみなさい。あなたのウェブ統計結果を調査しなさい。そして、以前言及した Trafficology とMarketingSherpa や、AdMarketing ディスカッションリスト、それにNetpreneur.org のリソースセクションなど、さらなるリソースを調べて、くれぐれも市場の動きに遅れないようにしなさい。私宛 <mdiegel@emortals.com>にメールを送って、低予算でマスコミ広報を達成する方法を論じた短い刊行物"Media Relations Made Simple" の無料コピー (電子版のみ) を取り寄せることも出来ます。
このプロセスを、あなたのビジネスで不可欠な部分にしよう。市場は常に変化している。もしあなたが成功していることを望むなら、あなたは市場と共に変わらなくてはならない。
[Mike Diegel は戦略的マーケティングと広告宣伝のコンサルタントで、中小企業やその他の組織がウェブをより効率的に使う指導を専門にしている。氏の連絡先<MDiegel@emortals.com>]
PayBITS :マイクの専門知識はあなたの製品をより効果的にマーケティングするのに役立ちましたか? 彼に1ドルでも2ドルでも送っては如何でしょう。
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA