TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#649/30-Sep-02

QuarkXPress はいまだ Mac OS X ネイティブとはなっていないが、これを頼りにしている人には、その大家である David Blatner のお気に入りのヒントは喜ばれるであろう。Mac OS 9 が懐かしい人達には、Adam が Jaguar の 擬似タブ化ウィンドウ機能を検証する。William Porter は Mailsmith の分散フィルタリングについての最終回をお届けし、我々は .Mac のトライアル期間の延長、iSync のパブリックベータ、Now Up-to-Date & Contact 4.2.5、そしてInternet Explorer の新バージョンについてお伝えする。

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MailBITS/30-Sep-02

Apple、.Mac に対する締切を延長 -- iTools メンバーで .Mac に対する支払いをするかどうかまだ決心がつかないでいる人達に対して、Apple は決心するまで更に 2週間の余裕を与えた。iTools の現メンバーに対する特別料金$50 は、元々の 30-Sep-02 ではなく、14-Oct-02 まで有効となる;15-Oct-02には、.Mac に申し込まなかった iTools アカウント上に残っているすべてのデータは抹消されるであろう。従って、.Mac を使うつもりの無い人には、データを救い出しそして知人に違うメールアドレスを使うよう通知するのに、2週間余分の時間が与えられたことになる。[JLC](カメ)

<http://www.mac.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06934>(日本語).Mac 試行期間終了

iSync のパブリックベータ、リリース -- Macworld Expo で iSync をお披露目した後 2ヶ月以上もたったところで、Apple はその多目的シンクロナイズソフトウェアのパブリックベータ版をリリースした。この初期版にはデータを .Mac アカウント、iPod、そして一部の対応する携帯電話(Macworld でのデモに使われた Sony-Ericsson T68i のような)に対してシンクロナイズさせる機能が含まれている。Palm 機器に対しては、HotSync Manager と共に働くiSync コンジット経由で対応している;HotSync Manager 3.0 が必要で、これは Palm Desktop 4.0 パッケージに含まれている。パブリックベータにはありがちなことだが、一部の機能は含まれていないか、不完全である:Palm 機器のノート或はメモは同期しないし、Conflict Resolver ダイアログはすべてのフィールドを正しく表示せず、プロキシサーバ経由では .Mac に同期できない、そしてレコードが重複してしまうこともある。いつものことだが、あなたの大切なデータを守るバックアップを取ることを忘れないように!iSync 1.0 Beta は無料の 6.9 MB ダウンロードで、Mac OS X 10.2.1 が必要である。[JLC](カメ)

<http://www.apple.com/isync/>
<http://www.palm.com/macintosh/>

Internet Explorer、成りすまし対応のアップデート -- Microsoft は デジタル証明書に間するセキュリティ問題の解決を狙った一対の Internet Explorer アップデートをリリースした - 条件が揃えばアタッカーはこの弱点を利用して数多くの成りすまし攻撃をかけることが出来た。このアップデートには、Mac OS 9 用のバージョン 5.1.6 と Mac OS X 用の 5.2.2、その他の最近の修正も含まれている。Microsoft はリリースノートを出していないが、新しい機能が含まれている可能性は低い。Microsoft は、Mac OS X バージョンで、インストール時に動いているアプリケーションはすべて閉じるようにと不必要に要求する Internet Explorer インストーラをの修正もしていない。バージョン 5.1.6 は 5.4 MB のダウンロードで、バージョン 5.2.2 は 7.2 MB のダウンロードとなっている。[ACE](カメ)

<http://www.microsoft.com/mac/download/ie/ie5_classic.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/DOWNLOAD/IE/ie5_osx.asp>
<http://www.microsoft.com/technet/treeview/?url=/technet/security/bulletin/MS02-050.asp>

Now Up-to-Date & Contact 4.2.5 リリース -- Now Software は Now Up-to-Date & Contact 4.2.5 をリリースした。これにより、Jaguar 対応とiPod 同期をその強力な予定表とコンタクト管理プログラムに加えた。その他の新機能としては Mac OS X 10.1.5 かそれ以降の下でテキストスムージングがある。目につく修正には、モデム経由のダイヤリング、Quick Contact とQuick Day コンポーネント用のメニューバーアイコンを正しく表示すること、そしてQuick Contact 経由で開かれたコンタクトが詳細ビューに現れることがあげられる。Now Up-to-Date & Contact 4.2.5 は既存のユーザーには無償のアップデートで 15 MB のダウンロードである。[JLC](カメ)

<http://www.poweronsoftware.com/products/nudc/>
<http://www.poweronsoftware.com/jaguar.html>


Jaguar でタブ化ウィンドウが復活?

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS 9 でのタブ化ウィンドウの機能の一部が Mac OS X 10.2 Jaguar でもある意味で使える、と TidBITS Talk で Jim Grisham が発言した時、TidBITS Talk 読者たちの間に興奮の渦が巻き起こったのは言うまでもないだろう。さらに調べてみると Apple もどうやらタブ化ウィンドウを Mac OS X に復活させる計画は持っているらしいが、まだこの機能は実現されていないことがわかった。このニュースは皆を落胆させた(TidBITS スタッフにもタブ化ウィンドウの大ファンは居るのだ)が、Jim の発見してくれた見えなくなったウィンドウに関する Jaguar の新機能は確かにありがたいものなので、ここで紹介しておきたい。あなたもきっと、毎日の作業にこの機能を便利に使えるようになるかも知れない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1759>

偽物タブ化ウィンドウ -- さて、何が皆に興奮の渦を巻き起こしたのかと言うと、まずはドックを画面の右か左の端に置いてみて欲しい。そして、Finder でウィンドウを開き、それを画面のずっと下の方にドラッグして、タイトルバーだけが見えるようにする。タイトルバーは画面の下辺にぴったりと収まる。ウィンドウの幅が狭ければ、Mac OS 9 の時代のタブ化ウィンドウと似て見えないこともない。さて、次にファイルをドラッグして、この(タブ化した)タイトルバーの上に持ってきて、しばらくそのままで待つ。2秒ほど経つと、ウィンドウがスルスルと上にスライドしてくるのだ。(ファイルをタブ化したタイトルバーの上でホールドした状態でスペースバーを叩くと、即座にウィンドウがポップアップする。)そのままマウスボタンを離さずに、アイコンをドラッグしてタイトルバーの外に動かすと、ウィンドウは再び下にスライドして戻る。これも以前のタブ化ウィンドウと同じだ。ただ、スライドして開いたウィンドウの中にアイコンをドロップし終えた後には、ウィンドウが開いたままになる点だけが、以前のタブ化ウィンドウと挙動の違う点だ。

では、この偽物タブ化ウィンドウの中から何かを取り出したい時にはどうすれば良いのだろうか。偽物タブをクリックするだけでは、もちろんウィンドウは開いてくれない。でも、ズームボタンをクリックすれば、即座にウィンドウがフォルダ内容を表示するに十分なだけの大きさにズームしてくれる。緑のズームボタンをもう一度クリックすれば、タブ化したタイトルバーの状態に戻る。(時には、もう一・二回余分にズームボタンをクリックしないといけないこともある。Finder はウィンドウの異なる状態の間で切り替えるからだ。)やはり、厳密に言えば本来のタブ化ウィンドウの挙動とは異なっている。本来は、タブ内の好きな場所でクリックすればウィンドウが開いたし、開いたウィンドウ外のどこでもクリックしただけでウィンドウが収縮したのだ。

ドックが画面の下辺にあると、この挙動は少し違ってくる。ドックが見えている間は、タイトルバーだけを残してウィンドウを画面の下へドラッグすることはできない。アイコンをウィンドウのタイトルバーの見えている部分へドラッグすればウィンドウがその内容全体が見えるようにスライドして開くが、この時ドックへドラッグしてしまうのを避けることは難しい。アップルメニューの階層的ドックメニューで“Turn Hiding On”を選んでドックを隠すようにもできるが、それでもいくつかの問題は残る。依然としてウィンドウのタイトルバーのみが見えるようにはできないし、アイコンを画面の下端にドラッグすると自動的にドックがポップアップしてしまうからだ。

一方、こうしたいろいろな挙動を観察していくことは、実際に何が起こっているのかの一般的な事実の説明を発見するためのヒントとなってくれる。これは Gordon Meyer が TidBITS Talk で注意してくれたことだ。Jaguar においては、アイコンをウィンドウの一部にドラッグする際、もしもそのウィンドウの一部が他のウィンドウの陰に隠れたり、画面外に出たりして見えなくなっていると、Finder は自動的に“spring-loaded”フォルダの処理をして、ウィンドウを前面に切り替えたり、内容全体が見えるように移動したりしてくれるのだ。実験でこれを確かめるには、ウィンドウを画面の左右の端に移動させてほとんどの内容が画面外に来るようにしておき、それからアイコンをドラッグしてそのウィンドウの上に持ってくればよい。ウィンドウがスムーズにスライドしてくるのがわかるだろう。ウィンドウが画面の左下あるいは右下のコーナーで画面外にある場合にはもっと劇的な効果が見られる。この場合は、ウィンドウが斜めにスライドして上がってくるのだ。

まとめると、Jaguar にはまだタブ化ウィンドウの機能は装備されていないが、その機能の一部に類似した挙動は実現させることができるということ、また、いずれにしても、一部が隠れた Finder のウィンドウに何かをドラッグ(ただしドラッグを始めた時点で既に Finder に居なくてはならないが)するとウィンドウが自動的にそのウィンドウを開いてくれる、という事実は知っておいて損はない、ということだ。

タブ化アプリケーションランチャー -- この、偽物タブ化ウィンドウのアプローチが気に入って、他のコンテクストでも使ってみたいと思う方は、ぜひ Sig Software の Drop Drawers X も試してみて欲しい。これは、タブ化ウィンドウのインターフェイスを利用したアプリケーションランチャーだ。また、最近リリースされた DragThing 4.5、これもアプリケーションランチャーだが、こちらもやはりそのドックを引き出しに変えられるモードを持っている。これらのユーティリティはいずれもさまざまなカスタマイズの能力と多種多様な諸機能を備えてはいるのだが、フォルダ内容を常時アップデートして表示する、という Mac OS 9 のタブ化ウィンドウの基本機能をそのまま実現するところにまでは、まだ達していない。

<http://www.sigsoftware.com/dropdrawers/>
<http://www.dragthing.com/>

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QuarkXPress 5、ヒントと裏技

文: David Blatner <david@moo.com>
訳: Mark Nagata nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp
訳: 溝畑 考史 <mizo-tid@grf-design.com>

Quark, Inc. 社は相変わらず Macintosh ソフトウェアの世界における謎の存在だ。同社のフラッグシップ製品たる QuarkXPress は、新版の開発周期が異常に長期間にわたること、最新の Mac テクノロジーの直接サポートが全く見られないこと、などの欠点にもかかわらず依然としてデスクトップ出版市場において圧倒的地位を保ち続けている。XPress 5 が動作するのは Mac OS 8.6 以降、あるいは Mac OS X での Classic 環境の下であり、そのダイアログの多くは依然として Mac OS 9 より前の時代のフィーリングを感じさせるものだ。Quark 社は最近になって Mac 版の XPress 6 をアナウンスしている。これは Mac OS X のみで動作し、2003 年内にリリース予定とのことだ。

XPress が優位を保ち続けているのにはちゃんと理由がある。これはとても奥深くてパワフルなプログラムであり、その仕事を確実にこなしてくれるのだ。QuarkXPress 5 はまた、使い方を工夫することで仕事の能率を向上させられる裏技やテクニック、そういうものを発見することに喜びを感じる人たちにとってはまさに金鉱のような存在でもある。今回はそうした私のお気に入りの裏技をいくつかご紹介しよう。

セル1個の表を使う -- 四辺の線の太さが違うテキストボックスを使いたいと思ったことはないだろうか? あるいは、三辺だけが線で囲まれたボックスが必要になったことは? こうすればうまくいく: まず、Table ツールを使って、1行1列の表を作る。そして、個々の辺を別々に選択(Shift-クリック)してから、それぞれのカラー・スタイル・幅を変えればよい。三辺のみが縁どりされたボックスを作るには、四つ目の辺を選択してそのカラーを背景色と同色にすればよい。(表の線のカラーを“None”にすることはできないので、このテクニックは背景が多色のピクチャである場合には使えない。)

Web-Safe カラーを XPress で使う -- 古き良き時代、いや「古き悪しき時代」には、たいていの人の持っていたモニタは 8-bit カラー、つまり同時に表示できるカラーが 256 色のみだった。たいていの場合カラーはディザがかけられていた。(その結果いかにも雑色の、汚い見栄えになることが多かった。)この問題に対処するため、人々は画面上でディザのかからない 216 の“Web-safe”なカラーを選び、カラーはこの 216 色のパレットから使うようになった。けれども今日ではどのコンピュータも 24-bit のカラーを表示できるようになり、画面上でカラーにディザがかけられることもほとんどなくなって、デザイナーたちは自由に好きな RGB カラーを選んで使えるようになってきていると考えるのが一般的だろう。でも、もしもあなたがやはり Web-safe カラーを使いたいというこだわりを持つ人なら、XPress が頼りになってくれる。

ウェブ書類を開く時、XPress は自動的に“Colors”パレットに“Web”と名前の付いたカラーをたくさん表示する。例えば“Web Navy”とか“Web Maroon”などだ。けれども、これらは必ずしも Web-safe カラーとは限らないのだ。書類に入れるカラーを Web-safe なものにしたい場合は、“Edit Color”ダイアログの“Model”ポップアップメニューから“Web Safe Colors”を選択してもよいのだが、もっと手軽に次のテクニックも使える:

  1. “Edit Color”ダイアログで好きな RGB カラーを選ぶ。

  2. その Red・Green・Blue の各フィールドのパーセント値を、一番近い 20% マークの場所に移動する。つまり 0, 20, 40, 60, 80, 100 のいずれかのパーセント値に変える。例えば Red フィールドが 24% となっているなら 20% に変え、Blue フィールドが 71% となっていたら 80% に変えるわけだ。

  3. そのカラーを保存しておく。(カラーの名前の一部に“Web-safe”と入れておけば忘れずに済むだろう。)

XPress でのウェブ画像: EPS ファイルでなく TIFF を使う -- XPress はあなたの書類の中の TIFF や EPS の画像を自動的に GIF や JPEG ファイルに変換してからウェブに書き出してくれる。けれども、EPS 画像というものにはいわゆる“encapsulated”データが含まれており、XPress にはこのデータがうまく処理できない。その結果、変換された GIF や JPEG 版が XPress の画面プレビューで見るような低解像度の画像になってしまう。これは酷い! もしも XPress ページに再利用する予定があるのならば、画像は EPS でなくて TIFF ファイルにしておくべきだ。(ただ、正直に告白すれば、たいていの場合、あらかじめ画像をすべて Photoshop などを使って変換しておき、それを GIF または JPEG として XPress の中に取り込むのが一番良い方法だろう。)

ワンタッチで背景線掛け -- (会計帳簿のような)1行おきに濃淡の色づけをした表を作るのは、XPress ではかなり難しい。XPress のカスタムダッシュを使ってこれをうまくやる方法があるので、紹介しておこう。

  1. “Edit”メニューの“Select Dashes”を選び、新規のダッシュを作る。

  2. “Edit Dash”ダイアログで、“Repeats Every”ポップアップメニューを“Points”に設定し、“Stretch to Corners”チェックボックスをオフにしておく。表の1行の高さの数値を2倍して、その答を“Repeats Every”フィールドにタイプする。例えば、表の各行が 14 ポイントの高さならば(2 かける 14 で)28 とタイプする。

  3. 次に“Position”フィールドに表の1行の高さの数値をタイプして、“Add”ボタンを押す。(さきほどの例ならば 14 とタイプしてから Add を押す。)

  4. このダッシュに適当な名前を付けて保存し、表の線として適用する。

  5. 線の幅を表全体の幅と同じにする。例えば、15 センチくらいになるかも知れない。最後に、線のカラーと陰影を(必要ならば間隔も)適当に設定する。

一隅だけが丸いボックス -- 角の丸い長方形を QuarkXPress で作るのは易しい。けれども、1つか2つの角だけが丸められた長方形って、作れるのだろうか? 心配は要らない。QuarkXPress にできないことは何もないのだから!

  1. “Step and Repeat”を使って、オフセット 0 でボックスの複製を作る。

  2. 複製の方のボックスについて、コーナー半径を好きな値にセットする。(“Modify”ダイアログ)

  3. 元の方のボックスを選択し、“Shape”サブメニュー(“Item”メニュー)で“Bezier”ボックス形状を選ぶ。(一部分が凹んだ楕円のように見える項目)

  4. 元の長方形で、丸くしたい頂点の両側の二辺の上で(頂点に近すぎてはいけない)Option-クリックすると、ポイントが現われる。くれぐれも、このポイントを移動させないように注意のこと!

  5. 頂点のポイントを Option-クリックして、それを削除する。

  6. 最後に、両方の長方形を選択して“Merge”サブメニュー(“Item”メニュー)から“Union”を選ぶ。すると、1つのコーナーだけが丸くなったボックスが出来上がる。

2つのスタイルを較べる互いによく似た2つのスタイルがあって、それらがどう違うのかを思い出せないとイライラする。ありがたいことに、QuarkXPress は2つのスタイルシートを比較してくれる。スタイルシートダイアログ中で2つのスタイルを選択し(一つをクリックしてから、もう一つを Command-クリック)、そして追加ボタンを Option-クリックしてみよう。(実際には Option キーを押下すると、追加ボタンが比較ボタンに変わるのがわかるはずだ。)結果、その二つのスタイルシートの各要素をリスト表示したダイアログが表示され、その中で違いがボールドで強調されている。もちろん、これは2つの文字スタイル同志を較べたり、段落スタイル同志を較べたりできるだけだ。異種のスタイルの間で較べることはできない。

始まりから終わりまですべてのページをプリントするには、プリントダイアログのなかのページ項目に "All" と打てばよい。一方で、例えば最初の4ページだけを印刷したいとすると、"+1-+4" という風に暗号めいた文字を入力しなければならない(プラス記号のついたページナンバーというのは“絶対ページ番号”を意味することを覚えておいて欲しい)。15ページ目から、終わりまで印刷したいときは "15-end" と打てばよい。

ポスト・イット メモもし、あなたの XPress 書類を誰か別の人に渡す必要があるとき、オブジェクト、エリア、あるいはページに何かコメントをつけたいかもしれない。どんなアイテムでも QuarkXPress のプリントから隠す機能によって、個別の書類に関してコメントや指示を含んだ、目立つけれども印刷されない、データ上の“ポスト・イット”メモを簡単に作ることができる。

テキストボックスを作って、メモの内容を入力しよう。そしてアイテムメニューの中から設定を選択し、そのボックスの背景色を 黄色70% にし、回り込みをなしにして、“印刷しない”をオンにする。回り込みなしで、印刷しないに設定されたあらゆるオブジェクトは、いわば「実体無しのオブジェクト」となり、スクリーン上には表示されるけれどもプリントはされず、ページ上の何者にも影響を及ぼさない。

内容無しボックスを作る背景色のために(tint build としても知られる)デザイナーがグラフィックもテキストも何も含まないボックスを置くことがあるということを、Quark のエンジニア達は10年かけて漸く理解したようだ。(訳注:tint build とは中間色を得るために平網を掛け合わせるのチント処理。“掛け合わせ”)

過去にこれをやるには、画像ボックスあるいはテキストボックスを使う必要があり、それにはイライラさせる副作用がたくさんあった。空の画像ボックスは画面上に大きなバッテンを表示するし、テキストボックスでは他のボックスが上にかぶさると、overset マークを表示してくれる。その中に overset するテキストが無いにもかかわらずだ。今では、ボックスを選択し、アイテムメニューの中のコンテンツサブメニューからなしを選べばいい。

線のエッジをガイドにスナップ線をドラッグして十分近づけると、自動的に近くのガイドにスナップする。しかし線のどこがスナップするんだ?ボックスあるいはグループは常にそれらのバウンディングボックスに基づいてスナップするが、線に関して違うルールが存在する。ラインツールと直角ラインツールによって作られた線は常に端点がガイドにスナップする。それに対して、ベジエ曲線は通常ボックスの様に(それらのバウンディングボックスのエッジが)スナップする。もし例えば 0.5 point くらいまで線が細ければ、どこにスナップするかは大した問題ではないだろう。しかしもし太ければ、大きな違いとなる。

他のオブジェクトにそってそれを選択することによって、斜線でも直角線でも、端点ではなく無理矢理エッジでスナップさせることができる。つまり線に沿ってダミーの画像ボックスを描いて、線とボックスを両方一緒に選択し、両方をガイドに向かってドラッグする。これで線の下端をガイドにスナップさせることができる。そして画像ボックスは削除すればいい。

そのポイントを先に選択しておくことによって、ベジエ曲線上の一つのポイントを無理矢理ガイドにスナップさせることもできる。線全体を動かしたいときは、すべてのポイントを選択(線上のどのポイントでもいいからダブルクリック)してから、整列させたいポイントをドラッグする。

別対象をカットあるいはコピー編集ツールを選択しているとき、そのアイテム自体を(アイテムツールを選択している時のように)カット/コピーできる。キーストロークに Option を加えるのだ:Command-Option-C でオブジェクトをコピーし、Command-Option-X でカットする。

テキストのアウトラインを配置するスタイルメニュー中の テキストのボックス化 を選ぶときに Option キーを押下していると、XPress はテキストをアウトライン化し、テキストボックス中で自動的に配置する。

スケール対応で挙動するガイドこれはQuarkXPress の“隠された”機能でお気に入りのものだ;ページまたはスプレッド上でルーラーガイドをドラッグしているときに、Shift キーを押下しているとガイドの挙動が拡大率に対応したものになる。等倍表示時にこれをやると、等倍もしくはより細かい(ズームインした)ものが見えるだけだ。ズームアウトすると(全体表示してみよう)消える。ガイド抜きのページのサムネイルを確認したいけれど普段作業する際はガイドが必要な時にはおおいに役に立つ。

[David Blatner は Real World QuarkXPress 5(以前は The QuarkXPress Book だった)の著者で、その中でこれらの小技が編み出された。彼はまた Real World Photoshop 7, Real World Scanning and Halftones そして The Joy of Pi の著者あるいは共著者でもある。]

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<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0201696835/tidbitselectro00/>
<http://www.joyofpi.com/>

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Mailsmith と分散フィルタリング、その 2

文: William Porter <wp@polytrope.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

先週のMailsmith と分散フィルタリング、その1では Mailsmith の分散フィルタリングを使用すれば受信メールの整理がいかに柔軟で効率的に出来るか説明した。今週は送信メールについて、また、予定外の - 欲しいのも欲しくないものも含めて - メールを処理するためのヒントをいくつか述べたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06943>(日本語)Mailsmith と分散フィルタリング、その1
<http://www.barebones.com/products/mailsmith.html>

送信メッセージのフィルタリング -- ほとんどの電子メールプログラムでは、自分で書いたものを読みことは無いだろうとの仮定のもとで、送信するメールが一つの送信箱に抛りこまれる。しかし、自分が相手に何を書いたか調べることが重要になる場合や(クライアントに金曜日までに仕事が終わると本当に約束したっけ?)、メールリストで同じ事をまた言っていないか確認することもあるかもしれない。全ての送信メールが送信箱に保存されていると、必要とするものを見つけるには、検索を行うか、日付でメッセージを調べなくてはいけない。

この面倒を省くために、私は Mailsmith を使用して送信メールをもフィルタして合理的な場所へ動かしている。例えば、私とクライアントの間のメッセージは受信、送信共に一つの郵便箱へまとめている。こうすれば、交互のやり取りを自然な順で読むことが出来る。

一見すると、Mailsmith の分散フィルタを使用して送信メッセージを処理することは出来ないように見える。確かに“deposit”動作フィルタを使用して送信郵便箱からメールを直接移動することは出来ない。なぜなら送信箱からユーザが定義した郵便箱へは水平移動になってしまい、“deposit”動作フィルタにはこれは出来ないからだ。それらは常にその郵便箱内の奥へとしか移動出来ない。これを可能にするには送信郵便箱から他の郵便箱を含んでいる別の郵便箱へメールを移動しなくてはならない。これを行うには一つだけフィルタを定義する。その先からは“deposit”動作の分散フィルタが引き受ける。

このフィルタを使用するための検査は単純だ:

   If Sent Is equal to True...

この検査について二点述べておこう。まず、Mailsmith ではメッセージのSent(送信済み)プロパティは送信メッセージにだけ適用される。受信メッセージでは機能しない(つまり無視される)。次に、送信郵便箱のメールは送信後にしかフィルタされないため、この検査は形だけの条件でしかない。動作を定義するにはそれを起動する条件を定義しなくてはならないが、この検査は全ての送信メールが合致する。

では、どこへこれらのメッセージを転送するのか?受信箱が理論的な選択肢のように思えるかもしれない。なぜなら理論上は送信郵便箱を含め、全ての郵便箱がその中にあるからだ。だが、この階層の為に受信郵便箱ではうまくいかない。順を追って考えてみよう。まずメッセージを送る。宛先へと送り出してやったら、Mailsmith はそれを送信郵便箱から受信郵便箱へと転送する。すると転送動作はそれ以上のフィルタを防ぐため、メッセージはそこに置きっぱなしになる。(数秒、それとも数週間)後にこのメッセージにフィルタを適用する。するとそれはまず送信郵便箱に提供され、それは - そう、予想通りだ -また受信郵便箱へと差し戻す。小さすぎる魚を釣って、上流へ放り投げたら、また釣ってしまい上流へ放り投げるのと同じ事だ。もし魚を二度と見たくなかったら下流へと投げなければいけない。

解決策は送信郵便箱から階層で下流に来るような万能郵便箱を作り、それ以外のユーザが定義した郵便箱全てをその中に置くことだ。そうすれば、そこから全てのフィルタを開始する。そこで、私のフォルダは以下のように設定される:

   (incoming)
     (outgoing)
     my mail
        - clients
        - lists & subscriptions
        - personal

“私のメール(my mail)”が私が作成したものだ。(別にどのような名前を付けても良い。)それには私のサーバアカウント全てからのメールを捕獲できるように三つのフィルタしか付随していない。メッセージがダウンロードされると、まずここへ移動される。受信郵便箱には何も残されない。

この配置は送信メールの種類に関わらず非常に柔軟性がある。メールリストへの送信メッセージはリストから写しが返って来るから削除している。これにはフィルタ一つだけを使用しており、私が登録しているリストそれぞれへの送信メッセージを捕らえる検査によって作動する:

   If To Contains "mailsmith-talk@barebones.com"
   Or To Contains "bbedit-talk@barebones.com"
   (etc.)

このフィルタは“Sent Is equal to True”検査は必要としない。その検査はそれ以上特定の検査に引っかからなかった送信メッセージを捕まえるための形式でしかないからだ。ではなぜ、送信メールに使用しているサーバアカウントを検査して、“リスト”用アカウントを使用しているも全てをゴミ箱へ放り込まないのか?それはそのアカウントを使用してリストを使用せずに一部の人だけにメッセージを書きたい場合があるからだ。そのようなメッセージは保存しておきたいこともある。

リストへと送信した送信メッセージ以外は次のフィルタで処理される。

   If Sent Is equal to True
   Transfer (to) "my mail"

これはリストへの送信以外の全てを“私のメール”郵便箱へ移動する。

時々、私は郵便箱を手でフィルタし直して、下層の適切な郵便箱へ送信メッセージを整理する。こうすることにより、私の母へのメッセージは彼女からのメッセージと同じフォルダに保存できる。

そして素晴らしい点は、同じフィルタが受信と送信メール双方を処理する点だ。なぜこれが可能なのか?先週の例を少し変更して説明しよう。例えば、次のようなフィルタを使用してある仮想のクライアントとの連絡を捕まえるのに使用しているとしよう。

   If (any address) Contains "@notsobig.com"
   [Then] Deposit

このフィルタは Not So Big, Inc. 社員からのメールだけでなく、私からの彼らへの返事をも捕まえる。“(any address)”条件は Mailsmith 1.5.3 から登場した。まとめよう:一つの連絡先、一つの郵便箱、一つのフィルタ、それだけだ。非常に効率的だ。

転送動作フィルタは時代遅れか? -- ただひとつの例外である、送信したメールを送信郵便箱から取り出すために使っているフィルタを除いては、今まで述べてきたすべてのフィルタは“deposit”動作を使っているが、それは分散フィルタに不可欠なコンセプトであるからだ。メッセージをフォルダに引っ張ってくるために“deposit”動作を使えば、フォルダの名前を指定する必要が無くなり、したがって同じフィルタを様々な別な状況で使えるということになる。さらに、“deposit”動作は、転送動作フィルタのようにさらなるメッセージの移動を妨げることはしない。この Mailsmith に特有な“deposit”動作は分散フィルタリングにとってとても重要なので、この二つがまったく同じものだと考えてしまいがちだ。

しかしながら、転送動作フィルタは便利で、時には必要にもなる。前半で指摘したように、どうやっても“deposit”動作フィルタで送信されたメッセージを扱うことはできないので、送信メールをフィルタしたいのなら、少なくても一つは転送動作フィルタを使わないといけない。

分散フィルタリングの本質的な考えとは、まず最初にさまざまなフィルタがいろいろな郵便箱に適用されていること、そしてフィルタは郵便箱の整理の仕方に応じて適用されるということである。私の階層の中では、ほとんど全ての郵便箱に少なくても一つのフィルタが適用されるようになっている。唯一の例外は受信郵便箱で、これには何も適用されない。

取りこぼしをどうするか -- 予想されるメッセージは積極的にフィルタリングしているため、メーリングリストやクライアント、家族や友人から届くほとんどすべてのメールは直ちに所定の場所に収まる。しかしながら、全部ではない。私が受け取るメッセージの 5 から 10 % は、(a) 歓迎するが予想できなかったもの、あるいは (b) まったく歓迎されないがますます来ることが予想されるもの - つまりスパム、迷惑メールだ。割合は圧倒的に (b) のほうが大きいが、かといってフィルタリングされなかったメッセージをまったく読まずにさっさとゴミ箱に入れることができるほどではない。

(a) グループのメッセージに対しては、できることはあまりない。送られてくることがわからないメッセージに対してフィルタを作成することはできないからだ。数週間前、私は高校時代の無二の親友から電子メールを受け取った。彼からのメッセージに対するフィルタは、25 年も音信不通だったので持っていないのは当然だった。来ることがわかっているメッセージでさえフィルタリングするのが難しい場合がある。たとえば、注文をしたばかりのオンラインショップからの確認メッセージなどだ。これらのメッセージは“私のメール”郵便箱に収まることになり、これらは自分で整理することになる。

(b) グループ - スパム - に関して言えば、スパムをフィルタリングすることは、絶え間なく、しかも扱いにくい戦いとなる様相を呈してきている。確かにMailsmith は Microsoft Entourage や Apple の Mail のようなスパムを検知するプロセスを持っていないが、だからといって Mailsmith のユーザがいかなる意味でもスパム送信者に対して無防備であるということは意味しない。スパムに対する従来のフィルタリング手法も分散フィルタと同様に効果があるが、パワフルな grep パターンマッチング機能により Mailsmith のほうがさらに良い働きをする。Mailsmith Talk のメンバーたちは、参加者とよくスパムを捕まえる条件を共有しているが、そのなかの多くは grep を使ってスパムとそうでないメッセージの違いを生じさせる微妙なパターンを引きだそうとするものだ。

正直なところ、最初はスパムをフィルタリングしようとしていろいろやっていたのだが、ここ何週間かは自作のフィルタを使うことをやめ、代わりに Mac OS X 用シェアウエアの SpamSieve ユーティリティを使っている。Michael Tsaiにより書かれた SpamSieve はベイズ確率理論を採用し、それにより不要なメールを見極めている (以下の最初のリンクではベイズフィルタの基礎となる理論が説明されている)。 SpamSieve にスパムと正当なメッセージの両方を与えて訓練する必要はあるが、統計上充分な量に達すれば、スパムを探し出してMailsmith のカスタムラベル機能を使いラベル付けをすることができるようになる。こうなれば、そのあとはどのようにでもスパムをフィルタリングできる。今まで SpamSieve を使ってきたが、結果は素晴らしいものだ。スパムでないものを誤ってスパムと判断されるケースは皆無であったし、個人的にスパムだとみなせるメールを見極める確率も確実に上がってきている。そして、最善の点はこれが単に Mailsmith の機能を拡張するにすぎないということだ。よって、スパムに関する事柄はすべて自分でコントロールできることになる。 [ 私たちは、近々 SpamSieve のフルレビューを行うつもりである。これは現時点でMailsmith、 Entourage、そして CTM Development の PowerMail をサポートしている。 Eudora などほかの電子メールクライアントのサポートは現在計画中だ。 -Adam]

<http://www.paulgraham.com/spam.html>
<http://www.c-command.com/spamsieve/>

理解すること -- 分散フィルタリングは画期的なので理解するのにある程度時間がかかったし、Mailsmith Talk メーリングリストでほかの人たちが同じような道をたどったのを見てきた。もしあなたが分散フィルタリングになじめなかったり、何らかの理由で使いたくないと思っても、Mailsmith は従来のフィルタだけで使うことができるし、それだけでもほかの製品よりパワフルである。しかし、あきらめずに分散フィルタリングにしばらく付き合っていれば必ず理解できるようになるし、いったん理解できればもう戻る気はしなくなるだろうと思う。

PayBITS: Mailsmith の分散フィルタリングを知ったことで時間が節約できましたか? そうであれば Will に PayPal で数ドル送るのはいかがでしょう?
<https://www.paypal.com/xclick/business=paypal%40polytrope.com>
PayBITS とは?: <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA