TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#653/28-Oct-02

コンピュータの調子が悪い?助けてあげよう。特に iMac ユーザの皆さん。Jaguar をインストールすると iMac が使用不可能になってしまうこともある。それに加え、新しい DVD メディアに関する SuperDrive の問題や、StuffIt Expander 6.5.2 の保安上の問題もある。これらの問題の解決方法に加え、Adam がトラブルシューティング入門をまとめ、Kirk McElhearn がPowerMate の使用方法を提案し、Palm Tungsten-T と MacTiVo Blesser を見てみる。.

記事:

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MailBITS/28-Oct-02

Apple が重要な iMac SuperDrive アップデートを発表 -- Apple はSuperDrive を装備した Mac の所有者にとって重要な一連の SuperDriveファームウェアのアップデートの第一弾の iMac SuperDrive Update を発表した。(Apple は Pioneer 機種だけを使用しているわけではないが)Pioneer製の DVD 記録ドライブ(例えば SuperDrive など)のファームウェアをのバグのため、高速 DVD メディア規格のメディアを認識できない。DVD-R では 4倍速で、DVD-RW では 2 倍速で記録するこれらのディスクを使用すると、ドライブ自体を損傷する可能性もある。機器のレーザーがメディアの種類を認識しようとするのだが、新しい規格を認識できない為、何度も繰り返した挙句にオーバーヒートしてしまう。(Macintosh 著者の Jim Heid が Macintosh Digital Hub Web でもっと詳しい情報を提供している。)今のところ、Appleは iMac G4(15 インチ液晶画面)だけ、それも Mac OS X でしかアップデートをリリースしていない。Apple は、Power Mac G4 用も、また、両機種用の Mac OS 9 版も、アップデートを近日公表する予定だと述べている。最近の 17-インチ iMac G4、SuperDrive 装備の eMac、そして Power Mac G4(Mirrored Drive Doors)などは最新のファームウェアを内蔵しており、この問題には影響されない。Mac OS X 用の iMac SuperDrive Update は 1.2 MB のダウンロードだ。[JLC](倉石)

<http://www.apple.com/hardware/superdrive/>
<http://www.macintoshdigitalhub.com/superdrive/>

Aladdin が StuffIt Deluxe 7.0.1 を展開 -- 新しい StuffIt 圧縮形式を公開してまもなく、Aladdin はそのシステム全般用のファイル圧縮解凍ユーティリティのアップデートをリリースした。StuffIt Deluxe 7.0.1 は Mac OS X 10.2 との互換性を向上させ、新しい StuffIt X 形式の Fast Compressionオプションを速め、Dvorak キー配置を使用する際の Finder コマンドキーのサポートを加えた。また、Intego の VirusBarrier のサポートが加えられた。StuffIt Deluxe 7.0.1 は登録済みユーザには無料で、Mac OS X 版は 7.9 MB のダウンロード、Mac OS 8.6 から Mac OS 9 を使用している場合は 2.8 MB のダウンロードだ。

<http://www.stuffit.com/stuffit/deluxe/updates.html>
<http://www.virusbarrier.com/virusbarrier/>

Aladdin は最近(今まで StuffIt Light と呼ばれていた)StuffIt Standard Edition パッケージの一部である StuffIt Expander 7.0 をもリリースした。StuffIt Expander 6.5.2 以前に発見された保安上の弱点に対処するため、Apple も StuffIt Expander 7.0 を Software Update 経由で提供している。[JLC](倉石)

<http://www.kb.cert.org/vuls/id/383779>

Palm が Tungsten T を公開 -- Palm, Inc. は今日、Palm Tungsten T を発表してハンドヘルドの最高級モデルを更新した。このカラーのオーガナイザはマルチメディア機能と新しい Palm OS 5 を新しく追加した。$500 のTungsten T は Bluetooth ワイアレスネットワーク機能を内蔵し、16 MB のメモリ、高解像度(既存の Palm のハンドヘルドの倍の 320 平方の画素)で65,000 の色を表示できるカラー画面、3.5 mm ヘッドフォンジャック、そして音声メモ録音用のボタンを装備している。しかし、もっとも独特な点はTungsten T の小さな形状だ。機器の下部がスライドして Graffiti 領域が現れる。閉まっている時には高さ 4 インチ(10.16 cm)、開いている時には4.8 インチ(12.19 cm)、厚さ 0.6 インチ(1.52 cm)、そして重さは 5.6オンス(158.8 グラム)だ。電源は内蔵のリチウムポリマー電池で、Palm としては異例の Texas Instruments 144 MHz OMAP 1510 ARM ベースのプロセッサーで作動している。ハイエンドの Palm ハンドヘルド同様、Tungsten T は赤外線ポートと Secure Digital と MultiMedia Card メディア用の拡張スロットを装備している。[JLC](倉石)

<http://www.palm.com/products/handhelds/tungsten-t/>

MacTiVo Blesser が再び入手可能に -- TiVo に自分でハードドライブを追加したい Mac ユーザは再び無料の MacTiVo Blesser プログラムをダウンロードできるようになった(元のサイトは iTools の .Mac への移行に伴い消滅してしまった)。TiVo アップグレード販売会社の Weaknees.com がMacTiVo Blesser を以下のリンクでホストしている。ページでは必要な手順へのリンクも提供している。MacTiVo は、新しい Series2 TiVo 以外の単ドライブ型の TiVo へ追加する第二のハードドライブを準備する目的にしか使用出来ない点に気を付けて欲しい。既存のドライブを取り換えたり、バックアップを作るには役立たない。TiVo のアップグレードについての詳細は TidBITS-644の“TiVo のアップグレード”を参照して欲しい。[ACE](倉石)

<http://www.weaknees.com/mactivo.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06918>(日本語)TiVo をアップグレード


Jaguar のインストール前に必ずファームウェアのアップデートを!

文: Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週、iMac のいくつかの機種に Mac OS X 10.2 Jaguar をインストールしたところマザーボードが「焼けて」しまった、という報告があちこちの信頼できる筋から聞こえはじめた。ユーザーが Jaguar のインストーラを走らせて、すべてが順調に運んだのだが、いざマシンを再起動させようとするとスクリーンが真っ黒のままでマシンが全く立ち上がらなくなる、ということなのだ。悪いことに、スクリーンは何をしても真っ黒のままで、Mac OS 9 CD で起動させようとしても、他の起動用ボリュームで起動させようとしても、何も起こらないというのだ。Apple ディーラーに相談してみた何人かのユーザーたちは、唯一の解決策は iMac のマザーボードを交換することで、およそ $700 かそれ以上かかります、という返事を貰ったらしい。

さて、いろいろ調べた結果、実際には次のようなことが起こっているらしい:

  1. スロット・ローディングの iMac のうちのいくつかの機種に Jaguar をインストールすると、起動の最初のディスプレイが真っ黒にされることによりマシンが使用不能に陥る _可能性_ がある。これは Mac OS 9 で起動しようとしても同じことである。どうやらバグがあるのは Jaguar の中のようで、インストーラのバグではないらしい。

  2. この問題を回避するためには、Jaguar をインストールする _よりも前に_ iMac のファームウェアをアップデートすればよい。現在のファームウェアのバージョンは 4.1.9 で、これは 1.2 MB のダウンロードだ。

    <http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=75130>

  3. 既にこの問題が起こってしまった後でも、大丈夫、あなたの iMac のマザーボードは焼けたわけではないし、マザーボードを交換する必要もない。修理の方法については以下で説明する。

  4. 常識的には、Jaguar のインストーラはインストールを実行する前にファームウェアがサポートしているバージョンになっているかをチェックすべきだと考えるのが当然だろう。けれども実際にはこのチェックはおこなわれない。ただし、ReadMe ファイルと Jaguar に付属の薄っぺらなインストール手引き書とには、ファームウェアのアップデートが必要かも知れない、という趣旨のことは書いてある。

ファームウェアのバージョン -- 現時点では、どの iMac でこの問題が起こるのかはまだ完全には明らかになっていない。初代の「スロット・ローディング」iMac と、1999 年 9 月に登場した iMac DV とに問題が起こることははっきりしている。それより後発の CRT 一体型の iMac、Apple のいわゆる“2000 年夏”“2001 年初頭”“2001 年夏”の機種のうちにも該当するものがあるようだ。フラットスクリーンの iMac や、eMac は、この問題とは関係ない。

ファームウェアのアップデートの前に説明書をよく読むのを忘れてはならない。iMac の側面にあるプログラマーボタンの場所を確認して、これを使えるようになっておく必要がある。ファームウェアのアップデートは書き込み可能なディスク上にある Mac OS 9.x(コンピュータが古い機種の場合は Mac OS 8.x でもよい)で起動した状態で実行する。Mac OS X の Classic 環境からファームウェアアップデートを走らせることはできない。また、CD-ROM やネットワークディスクで起動したコンピュータで走らせることもできない。ファームウェアアップデートがインストールされた後で自動的に PRAM がリセットされるので、各種システム設定を後で設定し直さなければならないかも知れない。特に、起動可能なドライブやパーティションが複数個ある場合には“起動ディスク”コントロールパネルの設定を再確認する必要がある。

現在動作しているファームウェアのバージョンがわからない時は(誰がそんなことをいちいち気にするだろうか?)Apple System Profiler を使えばよい。“System Profile”タブの下に“Boot ROM version”“ROM revision”あるいは“Boot ROM info”のような名前の項目で表示されるはずだ。Mac OS 9 の下ではバージョン番号は読みにくいフォーマットの表記、例えば $0004.17f1 のような形で表示されるが、これはファームウェアのバージョンが 4.1.7 であるという意味だ。

下記の Knowledge Base の記事には現在 Mac OS X をサポートする各種の Mac それぞれのファームウェアの更新バージョン番号の一覧表が載っている:

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=86117>

真っ黒の画面? -- もしもあなたが既に Jaguar をインストールしようとして画面が真っ黒になってしまっているとしても、直すことはできる。けれども、その手順は決して単純ではない。簡単に言えば、iMac のスクリーンを使わずに書き込み可能なドライブからあなたの iMac のファームウェアのアップデートをする方法を見つけなければならないのだ。

おそらく最良の方法はまず iMac を開いて内蔵ハードドライブを取り外し、そのハードドライブを別のコンピュータ(例えばドライブベイのある Power Mac G3 か G4 など)に接続することだろう。それからファームウェアのアップデータをそのドライブにコピーし、さらに Timbuktu などのリモートコントロールプログラムもそこにインストールして外部からのアクセスを許すように設定してから、そのドライブが Mac OS 9 で起動するようにしておく。次に、そのハードドライブをあなたの iMac に戻して、マシンを Mac OS 9 で起動させる。(ここでスクリーンは依然として真っ黒のままのはずだ。)そして、ネットワーク上の別の Macintosh からリモートコントロールプログラムを使ってこの iMac に接続して、ファームウェアのアップデータを走らせるのだ。一旦これが済めば、iMac のビデオは復活しているはずだ。但し、もしもあなたの iMac がまだ保証期間内であっても、ハードドライブを取り外すために iMac を開いてしまうと保証が無効になるかも知れないことには注意して欲しい。

[訳注: 問題の iMac に VGA ポートが付いている場合には、そこに外部モニタを接続することによって(iMac を開けずに)修理可能とのこと、詳しくは TidBITS Updates ページ <http://www.tidbits.com/macnews.html>または次週号 <http://www.tidbits.com/tb-issues/tidbits-654.html> をご覧下さい。]

もちろん、すべての iMac オーナーが別の Macintosh とリモートコントロールプログラムとを手近に持っているわけではない。また、ハードドライブを別のマシンに付け替える技術を持っているとも限らない。Apple ディーラーに頼めばこの方法か、または同種の方法であなたの iMac を直してくれることもできるだろう。けれども、たとえあなたの iMac がまだ保証期間内であったとしても、そういう修理作業が無料で頼めるとは期待しない方がよい。少なくとも、ディーラーの作業時間に対する手間賃は支払うことになるだろう。でも、マザーボードを新しく取り替えるよりははるかに安く済むはずだ。技術に精通した Mac コンサルタントに頼めば、ディーラーに依頼するよりも速くて安く修理してくれるかも知れない。とにかく、いずれの場合にも、いくらディーラーがこの iMac のマザーボードが交換の必要があると言っても _絶対に_ それに丸め込まれてはいけない。Apple の公式の解決法は当初はマザーボードの交換だとされていた。けれども、その後問題点がより詳しく調べ挙げられた結果、マザーボードの交換をせずに iMac を復活させることができることが判明しており、Apple ディーラーならばその情報に既にアクセスできているはずだ。もしもあなたのディーラーがそのことを知らないのなら、調べてみろと言ってやるとよい。

真っ赤な赤信号? -- 今の状況は大問題だ。特定のバージョンのファームウェアに依存するようなオペレーティングシステムソフトウェアをリリースしておきながらそのインストールの前にファームウェアのバージョンをチェックしない、そんなことを Apple がするなんて、全く信じられないような驚くべきことだ。どうしたんだ、Apple? こんなことは常識でわかることじゃないか! それに、Apple がディーラーやサービスセンターに対して該当マシンのマザーボードを交換するように指示したというのも、困ったことだと思う。マザーボードを交換というのは、とても高くつくのだ。ことにマシンの保証期間が過ぎている場合は。実際にはマザーボードには何の問題もなく、Apple 自身のソフトウェアのせいでこの問題が起こったというのに。もちろん、この種の問題は解決法を見つけ出すのに時間がかかることも、ディーラーたちとしては一刻も早く解決を提供しなければならないこともわかるが、それでもこの場合については、ぜひ Apple には問題に見舞われて既にマザーボードを交換させられてしまったユーザーたちに対して返金をすることを検討してもらいたいと思う。

PayBITS: この記事であなたの iMac が黒焦げになるのを防げたなら、 あなたのカンパで TidBITS を応援してみませんか?
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PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


PowerMate のパワーを解き放つ

文: Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

新手の小道具のようなものについては、私はいつも功罪両面があると感じている。中にはすごくクールなものもある。そういうものはとても素敵だ。でも、見栄えがクールであればあるほど、見かけほどには役に立たないようなものが多いのも確かだ。そういうわけで、私はクールな道具を見て買いたい衝動に駆られても、まずは自分の心の手綱を引いて、クールでしかも役に立つようなものだけを買うのだぞ、と自分に言い聞かせるようにしている。

時には、それが役に立つかどうかを確かめるのが困難なこともある。もしも友人や同僚がそれを持っていれば、それを借りて使ってみることもできるだろう。もしも店頭に展示品として置いてあれば、ちょっと試してみることもできる。けれども現物を手にしてみることのできないようなものもある。殊にアルプスの片田舎に住んでいる私のような場合、メールオーダー以外に入手方法がないのが普通なのだ。

Griffin Technology の PowerMate が登場したのは去年のことだったが、この製品がいかにクールかを書き立てた記事が、次から次へと私の目に留まったものだった。TidBITS 伝統の“Macworld Expo で見つけた珠玉たち”の記事にも登場した。もちろん、クールなことは一目見れば明らかだ。魅惑的な光沢のあるアルミニウム製のノブ・ボタンの形をしていて、どことなくステレオの音量調節つまみを思わせる所があり、台座は透明プラスチックの分厚い層になっていて、底部からはソフトな青い光がパルス状に点滅するというオマケまで付いているのだ。

<http://www.griffintechnology.com/products/powermate/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06687>(日本語)Macworld Expo で見つけた珠玉たち

でも、クールなのは良いとしても、この PowerMate を使って私の毎日の作業にどんな便利なことができるのかは、どの記事を読んでも、製造元のウェブサイトを見ても、もう一つはっきりしなかった。今回の私の記事では、皆さんにそこのところを語ってみたいと思う。つまり、この装置がどんなにクールかは既にお分かりのことだろうから、今回は、これをどんな便利な目的に使えるのか、私の先週一週間にわたっての経験をお話しし、そして、これからもずっとキーボードの横にこの装置を置いておこうと私が考えている理由も、お話ししたいと思う。

セットアップしよう -- PowerMate の設定はいとも簡単だ。短い USB ケーブル(およそ 18 インチ (48 cm) の長さ)で USB ポートに接続するのだが、40 インチ (101 cm) の延長ケーブルも付いているので離れた場所にあるコンピュータに接続することもできる。

PowerMate の設定は、Mac OS X では環境設定画面で、Mac OS 9 ではコントロールパネルでおこなう。環境設定画面を開くと、4つのセクションが見える。“Setting”“Action”“Pulsing”“Long Click Length”の4つだ。最初の“Setting”セクションでは設定をどのアプリケーションに適用するかを選べる。もともと PowerMate にできる動作の種類は少ない。ノブを回す (左・右)、クリック (ボタンを押す)、長いクリック (押して少しホールド)、クリックして回す (左・右)、という合計6通りのアクションしかない。それぞれのアクションごとに、各種の動作のうち1つずつを選んで割り当てれば、Mac にその動作をさせるように指令を出すことになる。定義できる動作の種類を例示してみよう。ノブの回転については、音量の増・減、上・下へのスクロール、カーソルの左・右への移動、カーソルの上・下への移動、それに(これが最も重要なものだが)キー組み合わせを呼び出すこともできる。クリックについては、シングルクリックまたはダブルクリックを呼び出したり、音量をミュートにしたり、ファイルを開いたり、キー組み合わせを呼び出したりすることもできる。設定したいアクションを選んでから、そのアクションが呼び出すべき動作を選び、[Apply]ボタンをクリックすれば設定が完了する。

PowerMate はパワーボタンとしても使える。つまり、互換な機種の Mac では電源スイッチとして使えるのだ。キーボードにパワーボタンが無くてコンピュータ本体を机の下に置いている場合などにはこの機能で非常に重宝する。

初めてのユーザーでも使いやすいようにと、PowerMate ドライバにはいくつかのアプリケーションについてあらかじめ設定済みのプリセットの例が付いている。例えば、iTunes ではノブを回すと音量を増減させ、クリックすると再生を一時停止させるようになっている。iMovie では、ジョグ及びシャトルコントローラとして働くように設定されている。他の大抵のアプリケーションではスクロールの上下に設定されているが、こうした設定は自由に変更したり、アプリケーションを追加したり、プリセットされたアプリケーションの設定を削除したりもできる。

また、長いクリックと認識されるまでの時間間隔を調整することもできる。(PowerMate ソフトウェアはボタンが離された時点でアクションを送り出すので、長いクリックの長さは 0.5 秒から 4 秒まで自由に設定できる。)最後に、ノブの底部にある2個の青い LED の点滅パルスの速度も変更できる。PowerMate が発売された当初以来、この機能を追加して欲しいというリクエストが多くのユーザーから集まったのだった。1つ言い添えておくと、Unsanity Software から Cee Pee You という名のフリーウェアの CPU 使用量モニタソフトウェアがリリースされている。Cee Pee You は通常 Mac OS X のメニューバー上に現われるのだが、これは実は PowerMate を利用して CPU 使用量を表示させることもでき、例えば CPU 使用量の増減に応じて点滅パルスの速度を変えさせたり、または LED の輝度を変えたり、といったことができる。

<http://www.unsanity.com/download.php?product=ceepeeyou>

PowerMate を使ってみよう -- でも、これまで述べたようなことだけでは私に PowerMate を買う決心をさせるまでには至らなかっただろう。(米国内での定価は $45 で、私は 79 ユーロも払ったのだ。)購入に踏み切るには、この道具を使えば毎日の作業が具体的にどれほど便利になるか、というはっきりした説明が必要だろう。そこで、私が PowerMate をプログラムしてどういう風に使っているかの具体例をいくつか、ここで挙げてみたいと思う。

<http://ranchero.com/software/netnewswire/>

パワーだぜ、諸君 -- こうしていくつか実例を見るだけでも、PowerMate がどれほど多彩な能力を持っているかが納得して頂けるだろう。皆さんもきっと、もっといろいろな使い方のアイデアを見つけて行かれると思う。こういった情報をユーザー同志で交換できる場があればいいのにとも思うし、製造元がユーザーのそういったアイデアを掲示する場を提供すべきだという気もするが、現在のところ製造元のウェブサイトはただいくつかのアイデアを列挙しているだけだ。何か良いアイデアを思いついたら、TidBITS Talk に投稿して皆と分け合いませんか?

こういった新種のツールにこれほど短期間に慣れ親しんでしまうのは、私としては非常に稀なことなのだが、実際のところたった一週間で、私はこれがどんな種類のコンピュータ作業にも必須のツールだということに、心底同意してしまった。どうぞ、PowerMate に何が出来るのかと試してみて欲しい。きっとあなたも、こんなに実用的に使えるんだ、と驚きの目を見張ることだろう。

[Kirk McElhearn はフランス・アルプス地方の村に在住するフリーランスの著述家・翻訳家だ。Microsoft Press 発行の“Microsoft Office v.X Inside Out”の共著者でもある。]

<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0735616280/tidbitselectro00/>


TidBITS トラブルシューティング入門、その 2

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

この記事の初回 TidBITS トラブルシューティング入門、その 1 には、問題一般についてトラブルシューティングする基本的手順について語った。それは、問題を記述する、システムを分解する、システムの個々の部分について自分自身に質問する、そしてこれらの質問やテストに対する解を見つけることであった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06968>

しかしながら、結局のところ、問題を解くことができなかったとしたらどうだろう?自分自身で問題に対する解を見つけられなかったからといって降参するのはまだ早い。なぜならば、それはあなたがシステムを、問題を解決するために必要な大きさに分解するまでよく理解していないことが多いからである。或いは、単に必要なテストのことを考えなかっただけかもしれない。例えば、先週例にとった同じアクセスポイントに接続されたワイヤ接続コンピュータとワイヤレス接続されたコンピュータの間でファイルの共有ができないという問題をとってみると、すべてのトラフィックはこのアクセスポイントを通らねばならないこと、そして出荷時の標準設定が働いて(例えば、落雷サージに起因して)ワイヤレスからワイヤ Ethernet へのブリッジをオフにしてしまっていることに気づいていなかったとしたら、他のことはすべてテストしているのに自分が何を見落としているのか気づかないということは容易にあり得るのである。

ここまでくれば、もう専門家の出番である。彼らは非常に沢山の問題を解いてきているので、あなたの問題をあなたの表現で聞いただけで自動的に答えがわかってしまうという事もあるかもしれない。しかし、普通は、彼らは単純に問題をより多くの塊に分解でき、そのうちの一つが問題であるという結果に大体なるということである。

間歇的問題はいざ専門家の助けを求めるという段になると大変厄介なものになり得る。専門家はどこを見ればいいかについての意見は言えるといっても、ちゃんと動くときもあるシステムについては、間違った変数要素をテストしているのか、選んだものはいいのだがテストのタイミングが悪いのか、或いは間違った変数要素との組み合わせになってしまったのかを見定めるのは大変難しい。

では、最初にどこを向けばいいのか?専門家から専門家へと飛び移る順番を少し考えてみる必要がある。要は、問題に対する解を最小の努力とコストで見つけるというのが目的なのだから。

Web を調べる -- まずは、Web 上での検索をすること。とりわけ、その社のサポートデータベースと一般的な Google の両方で。ここで難しいのは、適当な検索条件の設定であるが、5 分の検索で欲しいものが見つかるとしたら試す価値があるというものである。我々のところに寄せられる質問で Google(私は最初にここを見にゆく)で探せばすぐに答えが見つかる類いのものがどれほど多いかは、きっと信じられないくらいである。

<http://www.google.com/>

もちろん、あなたの身の回りの本とか雑誌でそのトピックスについて扱っているものがあればそれを見てみるのもいいが、私はまず Web 検索を先にやる。その方が索引をパラパラやっていったり、何冊もの雑誌のバックナンバーに目を通すより早いからである。

友人専門家に聞く -- もし Web 検索で、解は見つからないし、最低でもやってみるべきテストにも行き当たらなかった場合は、最も早くて、安くて、そして気軽に助けを求められるのは、その質問分野に明るい友達である。もしあなたにそんな友人がいたら、Web の次は、その人に助けを求めることをお勧めする。とはいっても、気遣いを忘れないように!あなたの技術的質問に答えたり、問題を解決したりするその友人の親切にあまり頻繁に甘えると、しっかりしていた友人関係を損なうことにすらなりかねない。ましてその友人が単なる知人に毛が生えた程度の間柄であればなおさら不快感を生じさせないよう殊更の注意が必要である。

もし可能であれば、同等のお返しが何かできるように心がけること。そうすれば、一方的に利用されているという感じを持たれなくてすむ。Tonya と私の場合は、コンピュータの助けに対して "友人料金" を設定している:食事である。このようにすれば、相談にのるための訪問が友人との友好交流の場にもなりかわれるし、何といってもみんながそれ相応に報われたと感じることができる。

テックサポートにコンタクトする -- そんな友人はいないという人のための次のオプションとしては、問題となっているハードウェア或いはソフトウェアのメーカーの技術サポート部門にコンタクトすることである。まだやっていないのであれば、メーカーの Web サイトを訪れ簡単な検索をして、自分の問題を解決してくれるオンラインの問題と解のデータベースがあるかどうか調べること。

これがダメなときは、メーカーにメールを送るか電話をする。テックサポートの技術者は、あなたの使っている製品について誰よりもよく知っているはずであるし、それにあなたがもしお客であれば手助けをするのが彼らの仕事でもある(だからといって横柄であってはいけない、理由は以下で説明する)。多くの場合、テックサポートにコンタクトするのが、迅速で正確な助けを得るには一番の方法である。

そうは言っても、何もメーカーのテックサポートがどんな場合でも役に立つといっているわけではない。

* テックサポートの技術者は給料が低いことが多い。従って定着率が悪く、補充採用者は経験が無い。そこで、あなたより知識の無いテックサポート技術者にあたることだってないわけではない。(そんなことになってしまった場合、丁重にもう一つ上のレベルのサポートに上げてくれるようお願いしよう。)

* サポートが有料の会社もあるし、無料の場合でも電話はトールフリーでない場合が多い。不幸なことに、誰か(人間)と話ができるようになるまで、30分も待たされるのは珍しいことではない。全く用は済まないのに、そこに待たされたまま通話料金だけが膨らんでいくということ以上にイライラさせられることは無い。(私の場合通常はスピーカフォーンを使って、その間にメールを読んでいるので、待たされている間が全く無為に使われているというわけでもない。)

* テックサポート技術者が自分の製品をよく知っている場合でも、その問題が他のいくつかの製品との相互関係に依存している場合は、全体像を見切れない場合もあるし、また単に他の会社のせいにしようとするかもしれない(そして最も腹立たしいのは、その会社もまた自分のせいではないとつき返してくることである)。

インターネット上で尋ねる -- テックサポートも役に立たない、或いは料金が高すぎるか馬鹿らしいほど電話で待たされるかでコンタクトしてみる価値が無い場合に、次に行くべきところは適当なインターネットフォーラムである。ただ、非常に沢山のグループが存在するので、ぴったりの場所を探し出すのは難しい。それには、適当なメーリングリスト、Usenet ニューズグループ、Web ベースのサポートフォーラムを見てみること、そして IRC チャネルも見ておいたほうがいい。

私は "適当な" といったが、文字通りの意味である。あなたの質問をポストする前に、ちょっとでいいからそのフォーラムを見てみて、あなたが尋ねたい事がそこで進行している論議に合っているかどうか確かめること。 なぜならば、そこのテーマから外れた議題で助けを求めるポストをするのは、人々を不必要に苛立たせるだけでなく、あなたが必要とする解も出てこないであろうからである。それに、あなたの貴重な時間の浪費でもある。多くのフォーラムはFAQ (frequently asked question) のリストを持っているので、そこにあなたの探している答えがあるかもしれない;他のメンバーは何回も見たことのある質問をポストすることのないようここはしっかりチェックすること。

インターネットフォーラムで助けを求める時は、欲深にならないこと。これらの仕掛けは、自分の時間と知識を一般の善のために提供しようという個人の善意の上に成り立っているので、もしフォーラムが栄えて欲しいと願うなら、善人であること、そして自分にできる時には他の人を助けることも大事である。

コンサルタントを雇う -- 以上のすべての試みでも解決しない、或いは上記のような試みをする時間も根気もないというのであれば、コンサルタントを雇うことを考えてみてはいかが?この道は最も高価であり、必ずしも早いわけでもない。すべて、コンサルタントのスケジュールとあなたの問題にどれだけ精通しているかによる。しかし、問題がそれをするに足りるだけ重大であるか、どうにも我慢できないものである場合、これにかかる時間とお金はそれだけの価値があるといえるであろう。

どのように問題を伝えるか -- 誰か別の人に問題を伝える時が来れば、メモの価値は計り知れないものになる。なぜなら、それがなければ、ただ確認するだけのためにもう一度同じテストを繰り返さなければいけなくなるからだ。当然、誰に伝えるかによってどのように問題を説明するかは変わってくるが、ほとんどの場合、次のようにすれば良いだろう。

まず最初に、あなたのコンピュータに関する以下のシステム情報をリストにする:

このシステム情報のリストを作成する一番簡単な方法は、Mac OS 9 なら Appleメニューから起動できる Apple システム・プロフィールを使うことだ。Mac OS X では、ユーティリティフォルダ内にある。Windows にもシステム情報と呼ばれる同様なユーティリティがあり、普通、プログラム→アクセサリ→システムツールにある。どちらのツールも作成したリストをセーブ可能だ。

質問されたときに答えられるようにするためのシステム情報が完成したなら、次は問題を実際に説明する番だ。問題の概要を手短に説明し、標準的なトラブルシューティングはすでにやり終えていることも付け加えよう。それから、すでに試したことを述べるのだが、ここでいきなり細かい部分に入ってはいけない。誰かに助けを求めているということは、とりもなおさず今までやってきたテストが正しくなかったということを意味しているからだ。ここから先どのように進めるのかは、サポートの反応がどの程度すぐ返ってくるかによる。

返事が素早く返ってくるような状況、たとえば直接誰かに聞いたり電話やインスタントメッセージなら、手助けしてくれる人に質問してもらい、その手順を教えてもらう。これは、どこに問題があるかある程度見当を付けている場合が少なくないからだ。もし、今まで何をしてきたかをいきなりもう一度詳しく話し出したりすれば、不必要にくだらないことで彼らを煩らわせてしまうかもしれない。ライトが点いているかとか電源ケーブルがコンセントにつながっているかなどと質問されても、腹を立てないで欲しい。いらいらさせられるかもしれないが、これが彼らなりの系統的な問題解決の方法なのだ。

助けを求めても反応が鈍い場合、たとえば直接電子メールを送ったりメーリングリストに投げたり、ネットニュースやウェブのサポートフォーラムに投稿する場合は、試したことの概要のほかに、行ったテストの詳細なリストとシステム構成も加えよう。状況の解明に役立たなかったテストを一つ一つ説明する必要は無いが、手助けしようと思ってくれている人が、すでに行ったテストのことを聞くだけで終わらないよう、全てのテストを明らかにするのが大事である。(このように、コミュニケーションに時間がかかる場合は、やりとりが一日や二日かかってしまうのは珍しくないので、なるべくその回数を減らしたいと思うのは当然だ)。

どちらの場合でも、エキスパートからの質問には可能な限り素早くしかも正確に答えるようにしたい。ここ数年何人もの手助けをしてきた私たちが見るに、質問に対して不正確な答えをすることより悪いことはない。こうなると、同じ質問を少しだけべつの形でしなければならなくなり、結果として全体のやりとりが長くなってしまうのだ。

礼儀正しく! -- 実際の話、質問に対して不正確な答えをすることよりもっと悪いことはあって、ちょっとそれは言いにくいのだが、それは愚か者になってはいけないということだ。世の中でどれだけ多くの人が、問題が多少はテクニカルサポートのせいだと決めつけているか、とても信じられないだろう。たしかに、フラストレーションを感じているだろうし、うまく動かないハードウエアやソフトウエアを買わされて頭に来ているかもしれない。しかし、もし助けが欲しいのなら、テクニカルサポートの人たちと話すときに良い印象を与えたほうが助けを得られる確率が高いし、最低限礼儀正しく冷静に接したい。

ほとんどの人は、個別のメーリングリストやそのほかのオンラインフォーラムで質問するときはきちんと礼儀をわきまえているが、それでも泣き言をいったり製品をもう二度と購入しないなどとほのめかす傾向がある。これは良い考えではない。なぜなら、一番助けてくれそうな人はそのメーカーや製品をたぶん気に入っているだろうし、罵ったり非難すればするほどあなたに反応しようとする興味が減るだろう。

単刀直入に言えば、苦情を申し立てる場所や時間はきちんとあるし、またそれは助けを求めることと切り離すべきである。そうすれば、苦情に対して最大の効果が、助けを求めるのに最大のチャンスが見込まれる。

解決できないことと向き合うこと -- 前回と今回の記事の全てのステップを踏めば、どのような問題でも解決できると言い切れたら良いと思っている。しかし残念ながら、あなたが最善の努力をしても、問題解決のために連れてきたエキスパートが何をしようとも、解決できない問題というのは確かに存在する。それは、何をするにも時間と労力が必要だし、与えられた問題を解決するのに費やすことができるエネルギーとお金には限度があるからだ。勇気のいることだが、あきらめて新しいハードウエアやソフトウエアを購入することも、問題を完全に解決するにはより良い場合がある。時間や労力を浪費しすぎる前に、このような手段があることに気づいてくれることを願っている。

そうは言っても、許せる範囲の労力で問題を解決できないかもしれないから何も試さないなどというのはやめよう。ほとんどの場合、この記事に示したようなステップを踏んで系統的に作業を行えば、かならず良い結果をもたらすことだろう。

最後に友人や家族、そして同僚のために個人的に手助けしてる人たちに一言。ぜひこの記事のリンクを彼らに知らせてほしい。そうすれば、自分自身で問題解決できる可能性を高めたり、あるいは手助けが簡単にできるようになるだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1229>(日本語)TidBITS トラブルシューティング入門、その 1

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA