TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#664/27-Jan-03

新 PowerBook は Macworld Expo San Francisco 2003 に対する興味をかきたてたかもしれないが、Apple の新しい Web ブラウザに対する注目はそれを上回ってきた。早速 Adam はサファリ帽をかぶって Safari を探検することとした。先週に続き、ショー会場で最も目を引いた製品の紹介を行ない、ワイヤレスネットワーク機器のためのとても気のきいた服装について紹介し Macworld 報告締めくくりとする。ニュースの部では、iLife のリリースが遅れ 31-Jan-03 となったこと、PowerMail 4.1.1 へのうれしいアップグレードについてお伝えする。

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MailBITS/27-Jan-03

iLife 遅れて 31-Jan-03 となる -- 時として、予定日に赤ん坊はまだ準備が出来ていないことがある。先の Macworld Expo で Apple は $50 のデジタルハブスイート iLife を 25-Jan-03 に出すと発表した。iLife は iTunes 3, iPhoto 2, iMovie 3, それに iDVD 3 で構成されている。それがここに来て、同社は理由を明らかにしないままその出荷時期を 31-Jan-03 へと延期した。[JLC](カメ)

<http://www.apple.com/ilife/>

PowerMail 4.1.1、Apple の技術を採用 -- CTM Development は最近 PowerMail 4.1.1 (数週間前にリリースされた 4.1 のバグ修正版) をリリースした。PowerMail 4 以来のうれしい機能に、Apple のシステム規模の Address Book の統合、Mac OS X に内蔵されているスペルチェックコードに対応、そしてテキスト編集時の無制限のアンドゥーがある。PowerMail 4.1.1 へのアップグレードは、PowerMail 4 の所有者に対しては無償である;それ以前の版からのアップグレードは $30 である。ダウンロードは 4.7 MB である。[ACE](カメ)

<http://www.ctmdev.com/powermail4.shtml>


Macworld Expo San Francisco 2003 報告その 2

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Macworld Expo の会場で見つけた珠玉たちを紹介する TidBITS 伝統のこの報告記事が、長すぎて1つの号に収まり切らない時には、必ず何かそれだけの理由があるものだ。今回の Expo では Apple が大きな話題のほとんどを独占してしまった形だが、それでも TidBITS スタッフたちはそれぞれ会場のフロアを巡って、取り上げる価値のある他社の製品をいくつも見つけて来ることができた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07046>(日本語)Macworld Expo San Francisco 2003 報告その 1

指先の利用法、第1位 -- Mac OS X にいつもログインしなければならないのは面倒なものだ。それがセキュリティーという重要な目的のためのものだと頭ではわかっていても、やはり何とかして欲しいという気になる。もしも、コンピュータが自動的にあなたを認識してくれたら、これは素晴しいことではないか? テクノロジーはまだそこまでは進歩していないが、少なくとも Sonyから出ている Puppy Suite(という奇妙な名前の)機器は注目に値する。これはMac OS X 用の指紋認識ユニットで、これがあればセンサーに指先を触れさせるだけで Mac にログインできるようになる。あらかじめ、特定の指を認識するようソフトウェアに覚えさせておく。(火傷や、包帯を巻いたときなどのために、最高9つまでのバックアップ用の指を登録しておくこともできる。)そうすれば、指紋認識ユニットに指で触れるだけで、パスワードをタイプしたのと同じ効果が得られるようになる。Mac OS X の管理者パスワードの入力の場面でも指紋で認識させる機能については、Sony では現在まだ開発中だ。これが実現したら、私もこの機器を使ってみようと思う。この Puppy のデモはうまく動作していた。私が登録した指をちゃんと認識し、私の他の指や、Sonyブースの係員の指はちゃんと拒否してくれた。製品が出荷されるのは 2003 年の 3 月の予定で、予定価格は $200 だ。北アメリカでは Pacific Software Publishing 社が販売することになっている。それ以外の地域での販売元については Sony に問い合わせて頂きたい。[ACE]

<http://www.puppysuite.com/>
<http://www.sony.com/puppy>
<http://www.securecomputing.com/index.cfm?sKey=838>

その指の利用法、第2位 -- ある友人のコメントによれば、USB“キーチェイン”ストーレジ(USB プラグの付いたメモリーカード)が今やフロッピーディスクの代わりとして機能しているのだそうだ。ただ、問題は、これほど小さなデバイスは紛失しやすく、拾った人が簡単にあなたのデータにアクセスできてしまうことだ。そこで、あなたのデータを安全に保つために、DevDepot ブースでは BioSlimDisk を販売していた。これは、指紋認識によるセキュリティーを内蔵した USB メモリーカードだ。カードの中のデータにアクセスするには、このデバイスに付いたセンサーにあなたの指を押し付けてからでないとできない。(最大6個までの指紋を登録できる。)128 MB 版の価格が $120、64 MB モデルの価格は $100 で、いずれも DevDepot のウェブサイトから入手できる。[JLC]

<http://www.devdepot.com/tidbits-fingerprint/>
<http://www.bioslimdisk.com/>

“おぉ”と言わせたアクセサリ、第1位 -- MacAlly の iceStation は、あなたのラップトップ環境を改善するための、シンプルながら素晴しいアイデアだ。$20 で入手できるプラスチックのスタンドで、机の上に置く溝の付いた台座と、そこから急角度でせり上がった平面状の板から成っている。あなたのiBook や PowerBook の手前の端をこの溝にはめ込み、マシンの基部(キーボード部分)をこの板にもたせかける。つまりキーボード部分がほとんど鉛直に近く立つ感じだ。それから、スクリーン部分を一杯に開けば、スクリーンが完全に鉛直に立った状態になる。もちろん、この状態ではキーボードはほとんど使用不能なので、外部キーボードとマウスを繋いで使うことになる。これで、Adamが最近ラップトップスタンドについて書いた記事で触れた2つの問題点が両方同時に解決される。つまり、スクリーンは眼の高さに位置し、しかもコンピュータが机上に占める面積もぐっと少なくて手前に外部キーボードを置く余地が充分ある。私は PowerBook G3 を普段のデスクトップマシンとして使っているのだが、私はそのキーボードが嫌いなので、会場でこのiceStation を見た途端に、ビビッと電気が走ってこれこそ私の問題の理想的解決法と直感した。私はその場で小型で手応えの良い MacAlly の iceKeyキーボードを購入し、続けてiceStation も買おうとした - でも、こちらはまだ現品が発売になっていないのだそうだ。けれど、気短は発明の母だった:帰宅した後、私は近所の文房具店でちょうどぴったりのブックスタンドを見つけた。何と、5分の1の値段で、ほとんど同じ効果が得られたのだ。[MAN]

<http://macally.com/spec/specialites/accessories/icestation.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07011>(日本語)ラップトップのスタンド、各種並び立つ
<http://macally.com/spec/usb/input_device/icekey.html>
<http://www.officequarters.com/product.php/prod_id/2012041.html>

机の上を綺麗さっぱりと -- お持ちのデスクトップ Mac を 17 インチPowerBook G4 に買い換えるのは時期尚早だけれど、それでももう少し机の上のスペースを有効に利用したいと考えているあなたにお勧めしたいのが Marathon Computer の DeskMount だ。これは、Power Macintosh G3 または G4 ミニタワー機の本体を机の下側にぶらさげた状態でしっかりと取り付けるための机下マウント用キットだ。マウントした状態のままでサイドドアを開いてメモリを追加したりもできるし、マウントした状態からスライドさせてマシンを取り出すのも簡単だ。フルキットの価格は $60 だが、机に固定するネジだけは付属していない。[MHA]

<http://www.marathoncomputer.com/deskmount.html>

ベスト・新方式クリック -- Adesso は以前にもユニークなキーボードやマウスで我々を驚かせたことがあるが、今回も PowerScroll Optical Mouse で全く新しいクリック方式を導入して我々の心をくすぐってくれた。黒と白の2色あるこの $40 のマウスは、片方にマウスを揺すればクリック、反対方向に揺すれば右クリックの働きをする。スクロールホイールも付いていて、長い書類やウェブページなどをスクロールするのに使ったり、または第3ボタンとしても使える。[MHA]

<http://www.adessoinc.com/product_detail.cfm?productid=81>

ドライブのドックに乗ろう -- WiebeTech の DriveDock ファミリーには最小サイズのハードドライブの称号を贈りたい。邪魔になる余分なケースや、場合によっては電源部さえ削って、ドライブを小さくできるのだ。これらのDriveDock はごく小型の FireWire ブリッジコントローラで、標準の IDE ハードドライブに繋いで使用する。裸のハードドライブにただ差し込むだけでFireWire コネクタとして機能し、必要ならば電源コネクタの働きもする。$140の FireWire DriveDock は 3.5 インチドライブ用だ。$160 の Super DriveDockも同じだが、こちらはたいていのドライブで外部電源アダプタ無しに FireWireバスから電源を供給できる。また、$140 の FireWire Notebook DriveDock もあって、こちらは外部電源無しに 2.5 インチラップトップドライブを動かせる。最後に、復旧専用などの特殊目的のための $300 の Forensic DriveDockは 3.5 インチドライブ用だが、ディスクへの書き込みができない。[ACE]

<http://www.wiebetech.com/>

iPod に耳を傾けて -- Apple の iPod のためのサードパーティのアクセサリーは沢山出ているし、ヘッドホンやイヤホンも数え切れないほど市場に溢れている(TidBITS-658に載った Dan Frakes の記事“耳に心地よい調べを: 2002”にも多数紹介されている)が、MacAlly のノイズキャンセル型ヘッドホン ($70) とコード巻取り式イヤホン ($20) はどちらも iPod 色の白で、デザインも優れモノ、値段も手頃だ。ノイズキャンセル型ヘッドホンの方は私の持っている Aiwa 製のものと同じくらいの性能で、飛行機内用のアダプタも付属しているのでフライト中に $5 の「エンターテインメント料金」を払わずとも機内の映画が楽しめる。コード巻取り式イヤホンの方はコイル状に小さく巻取れるケーブルで iPod に繋ぎ、イヤホンを耳に入れている時もホルダーをポケットに収めておけるようになっている。[MHA]

<http://www.macally.com/spec/specialites/accessories/podiopro.html>
<http://www.macally.com/spec/specialites/accessories/podio.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07012>(日本語)耳に心地よい調べを: 2002

最高の作品は、高嶺の花 -- Redstone Software の Eggplant こそ、文句なしに、今回の Macworld Expo に出展された中で私の見るところ最高の作品だった。これはソフトウェア開発者のためのもので(私もソフトウェア開発者だ)私は過去5ヵ月間にわたってある会社の依頼で書き続けてきたカスタムCocoa アプリケーションの開発作業の中でこれを使えればよかったのに、と心から思った。凄いのはここだ: グラフィカルなインターフェイスを持つアプリケーションを開発する際には、各ステップごとにそれまでの機能とぶつかっていないかが心配になり、テストをし続けなければならない。そして、そういう機能をテストするための唯一の方法は、普通のユーザーと同じように実際のインターフェイスを使ってプログラムを動かすことだ。このメニューを選んで、それからこれこれのテキストをこのフィールドにタイプし、次にこのボタンを押せば、何かウィンドウが開いて何らかの情報を示してくれる。作業をより厳密かつ完璧にし、そして時間も節約できるように、このような一連のインターフェイスのテストを自動化することができれば、と皆願うものだ。Eggplantは、そういう願いを叶えてくれる。それも、素晴しく見事に叶えてくれるのだ。その動作は VNC を利用する。VNC は Timbuktu に似たシステムで、1つのコンピュータの画面を読んだり、そこをクリックしたり文字をタイプしたり、といった作業をネットワーク上の別のコンピュータから操作してできるようにする。つまり、Eggplant は2台のコンピュータを必要とし、片方のコンピュータでテストすべきソフトウェアを走らせ、もう片方のコンピュータで Eggplant 自体を走らせるのだ。Eggplant は文字通りテスト対象のコンピュータの画面を監視する。それを検索したり、ボタンやその他のウィンドウ構成要素を探したり、どこでもクリックできるし、メニュー項目を選んだりタイプしたり、といったこともできる。このようなテストのアクションは HyperTalk に似たスクリプティング言語を使って一連の操作として結び付けられる。テスト結果やスクリーン画像はログとして記録されるので、テストが失敗した時にも、何が問題だったのか、その時点で画面がどうなっていたのか、ということを後で検討できる。ただ一つの問題はこれだ: 定価が一本 $3,400、私にはとても手が出ない値段だ。[MAN]

<http://redstonesoftware.com/products/>
<http://www.uk.research.att.com/vnc/>

販売用統合ソフトウェア、ザ・ベスト -- 私はセールスの仕事はしたことがないが、もしも私がそういう仕事をするとしたら、きっと Marketcircle から $150 で出ている DayLite が、私のただ一つの望みとなっただろう。(いや、仕事を変えたいという望みを別にしての話だが。)私はこれほどゴージャスで、鋭い眼識を感じさせる Mac OS X 用インターフェイスをこれまで見たことがない。このソフトウェアは、セールスの仕事をする者、あるいは数人のチームが必要とするあらゆることを(本当に、考えうる限りあらゆることを、だ)こなしてくれる。しかも、この驚異の低価格で、だ。コンタクトマネージャ、カレンダー、予定リスト、電話ダイヤラー、メールマージ、セールス・収入ダイアグラム、マルチユーザーデータベース、その他数々の機能があり、すべてがあざやかに、かつ直観的に統合されている。この感動は、言葉では表現できない。ぜひ御自分の目で確かめて頂きたい。このソフトウェアのデモ版を見た途端、私は思わずつぶやいたものだ:「ワォ、どんな人がこんなことを考え付くんだろう?!」 [MAN]

<http://www.marketcircle.com/daylite/overview.html>

まだソングライターでないあなたに -- DayLite がセールスの仕事をする人のためのものなら、ペンをちょっと紙の上で走らせただけでヒット曲を生み出せるといつも夢見てきたあなたのためにも、とにかくペンを下に置いて、代わりに Mac を動かしなさいとお勧めしたい。MasterWriter は、4D のアプリケーション環境として書かれているが、ソングライターのための創作ツールを統合した素晴しいソフトウェアを提供してくれる。同韻語辞典や頭韻辞典、押韻フレーズ辞典にポップカルチャー辞典、標準の辞書や類義語辞典などもある。MasterWriter を使えばあなたの望み通りの単語を見つけ出せ、それらをまとまった歌詞に(うまく行けばメロディーにぴったりした歌詞に)仕上げることができる。一言で言えば、これは単語やフレーズの巨大なデータベースに良くできたインターフェイスを被せたものだ。4D を使った目的もここにあったのだろう。Mac OS 9 でも Mac OS X でも動作し、近日中にリリースの予定だ。[ACE]

<http://www.masterwriter.com/>
<http://www.4d.com/>

ラップトップ用の最高のアクセサリ -- 追加用のバッテリ、自動車内や飛行機内用のアダプタ、USB メディアリーダーなど、多くの会社からいろいろなアクセサリが出ている。中でも、MadsonLine の製品は、その魅力的かつ便利でありながら低価格のアダプタやその他の製品の広範なラインアップで私たちの目を引いた。$36 の Modem Saver LT は、知らない場所で電話ジャックを使いたい時に、ラップトップ機のモデムを接続する前にそのジャックの安全性をテストするために使え、その後は差し込んだままにすればモデムのためのサージプロテクタとして機能する。$28 の Worldwide Plug Adapter は、世界中で使われている一般的な各種の電源ソケットに差し込んで使える。それから、あのちっぽけな $52 の USB IrDA Adapter もある。これは、赤外線ポートの装備されていない Mac に赤外線ポートを追加してくれる。これで、まだ Bluetoothの世界に踏み込んでいないあなたも、赤外線接続でラップトップ機と Palm の間の同期を取ったり、携帯電話をモデムとして使ったりできる。[MHA]

<http://www.madsonline.com/>

最も期待できる教育用機器 -- 過去にも TidBITS で電子ホワイトボード(例えば Virtual Ink の Mimio)を紹介したことはあるが、新参入の会社、GTCO の出している InterWrite School Suite の製品は特記すべきだと思う。これは、コンピュータ上のソフトウェア、プロジェクタ、ホワイトボード、それに手に持って使うワイヤレスの描画タブレットという4つのコンポーネントから成っている。コンピュータが画像を構成・保存し、プロジェクタがそれをホワイトボードの上に映写して、教室の全員に見えるようにする。“描画”は(これは実際コンピュータとの通信を意味しており、ソフトウェアをコントロールするための操作も含む)はホワートボードの上でも、コンピュータでも、またはタブレットを使ってもでき、同時に7台までのタブレットが教室内で使える。想像してみて欲しい。教師は、教室内のどこにいても描画しながら教えることができ、画面一杯に描いたものを、次から次へと保存しては消して行ける。生徒たちに追加のタブレットを渡して自分で描かせたり質問させたりもできる。皆が理想とするコンピュータと教育との真の意味の統合は、現状ではまだ実現には程遠い。その大きな理由の一つは、コンピュータ各社が本当の教師の声を聞こうとしていないことだ。こうした電子ホワイトボードは、まだ今の段階では面積も小さすぎ、ハイテクの設定技術も必要とするので、どこの教室でも使えるというわけにはいかないだろう。けれども私がカレッジで教えていた時の経験では、いつも黒板の前に立っていなければならないこと、描いたばかりの図をすぐに消さなければならないことなどが、重大な問題として教師の上にのしかかり、例えば InterWrite のような解決策が無いものかと、いつも大声で叫びたい気持ちでいたものだった。[MAN]

<http://www.gtco.com/interwriteschoolsuite.htm>
<http://www.mimio.com/>

ベスト・接続・ドレッサー賞 -- Macworld Expo の会場で MacWarehouseのブースを見た時、私は思わず床の上に笑い転げそうになってしまった。今回 MacWarehouse はブースを会場のフロアには設けず、その代わりに Moscone センターの2つの建物を結ぶ大きな中庭部分にいくつかの小さなステーションを設けた。それぞれのステーションには高速のインターネット接続とワイヤレスのアクセスポイントを開き、その領域内では誰でもワイヤレスのインターネット接続ができるようにした。通りすがりのすべての人にこのサービスについて気付いてもらうため、MacWarehouse はこれらのステーションに特別の服装をしたスタッフを配置した。その服装とは、ダークグレイのジャンプスーツに、ワイヤレスネットワークが開いていることを示す“warchalking”シンボルを大きく描いたものだった。先週紹介した Microsoft の MSN バタフライお兄さんたちとは違って、こちらの人たちはとても楽しそうに見えた。下記リンクの写真でご覧頂きたい。[ACE]

<http://www.macwarehouse.com/>
<http://www.tidbits.com/resources/664/macwarehouse.jpg>
<http://www.warchalking.org/>

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Safari へ行こう!

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

TidBITS-662の“Apple が Microsoft 依存からの脱却を図る”で述べたように、Macworld Expo でのApple からの Safari ベータ版のリリースは、Appleが大きな獲物、つまり Microsoft を狙っていることを示している。しかし、Safari はのろまな巨獣の Internet Explorer をしとめられるだけの大口径の武器だろうか?それともスマートで軽快な Safari は Microsoft の分厚い皮で撥ね返されてされてしまうだけだろうか。Safari 1.0 が出るまでは判断できない。だが、先週 Safari をダウンロードした 100 万人と一緒に覗いてみる価値があることには間違いない。

はっきりさせておくと、Safari は Mac OS X 10.2 Jaguar 以降を必要とするCocoa アプリケーションであり、Apple は Mac OS X 10.2.3 での使用の為に最適化されていると主張している。Mac OS 9 で作動することは絶対に無いので、Mac OS X にアップグレードしていない Mac や Mac OS X を起動できないMac では現在使用中のブラウザを使い続けるしかない。Safari のダウンロードはたったの 2.9 MB だけだ。近代的な Web ブラウザとしてはありがたい軽さだ。

フードの下を覗けば -- Apple は Safari を一から組み立てる事はしなかった。だが、既存のブラウザを買収するのではなく、Mac OS X の伝統にのっとってオープンソースのプロジェクトである KHTML レンダリングエンジンを基にした。これは Linux ブラウザの Konqueror の土台となっている。私は Apple が Netscape、Mozilla、そして Chimera のレンダリングエンジンである Gecko を使用するだろうと読んでいた。だが、KHTML の方が速く、コードの行数も格段に少ないため、理解し維持するのが容易だ。

<http://developer.kde.org/documentation/library/kdeqt/kde3arch/khtml/>
<http://www.konqueror.org/>

問題点としては、 KHTML はページ表示は比較的上手なものの、他のレンダリングエンジンに比べて Web 規格への対応では少々劣る点が挙げられる (これは Apple 版だけの問題かもしれない。この変更は KHTML を維持しているグループへ既に送られている)。 KHTML の標準規格のサポートの面での良し悪しはどうなるか分からない。いずれにせよ、他のブラウザと微妙に異なったページ表示をするであろうから、Web デザイナーがテストしなければいけない対象がまた一つ増えた。

Web 規格対応についての報告からすると、優れた標準規格のサポートの主張とは裏腹に、Apple の課題はまだ多いようだ。多数のバグが報告されているが、最終的な判断は Apple が Safari の 1.0 をリリースするまで待つべきだろう(それにリリース版が出るまでは Safari 対応の為の Web ページの変更を心配するべきではないだろう)。現時点では Safari は紛れもなくベータ版であり、(Chimera プロジェクトをも始めた) 主開発者の Dave Hyatt が weblogでソースコード中で直した問題の最新情報を公表している。必読ものだ。

<http://diveintomark.org/archives/2003/01/07/safari_review.html>
<http://www.mozillazine.org/weblogs/hyatt/archives/cat_safari.html>

速く流線化されたインターフェース -- 初日に Safari を試して以来、そのレンダリング速度に感心した Tonya は即座に信者になった。彼女は待つのが嫌いで、乗り換えてからはいくつかのサイトの遅さに対する苛立ちが減ったと述べている。単に Internet Explorer に比べてページの表示が速くなったからだ。Apple は Safari が Internet Explorer に比べて三倍以上に速さでページを表示するというベンチマークを発表している。結果を良くするためにコードをいじることがあるので、ベンチマークをそのまま鵜呑みにするべきではないが、それでも見た感じでは Safari が確かに優っている。Safari の驚異的な速さの一部は近いうちに公表される予定の Jaguar がもたらしたルーチンを使用しているかららしい。他のブラウザもこれらのルーチンを使用してMac OS X ののろいテキスト表示能力を改善してくれることを祈っている。

また、見た目の速さは Safari のクリーンで優雅な Aqua インターフェースによっても助けられているだろう。他のブラウザのウィンドウをゴタゴタさせる多くのコントロールが省かれている。私はあまり気にしないが、(Aqua では“テクスチャーウィンドウ外見”と呼ばれている) ツヤ消しメタル外見は批判の対象にもなっている。なぜなら Apple 自体の人間インターフェース基準に違反しているからだ。テクスチャーウィンドウ外見は、カメラ、MP3 プレーヤ、計算機などの実社会のデジタル機器へのインターフェースを提供するか、もしくはそのインターフェースの再現に意図されている。Safari は明らかにこの推薦に違反しており、そのテクスチャーがかかった Download ウィンドウはアプリケーションの主ウィンドウだけがテクスチャーウィンドウ外見があるべきだという基準に違反している。(ブックマークの作成やページを保存した時に現れる) Aqua 表示シートでは特に目立っておかしく見える。

<http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Essentials/AquaHIGuidelines/AHIGWindows/Textured_Windows.html>

Safari のテクスチャーウィンドウ外見を Aqua 外見に切り替えられるよう、SafarIcon や Safari Enhancer などの多くのプログラムが登場している。SafarIcon は同時に Safari のアイコンを他のテーマのセットで置換することも可能にしている。Safari Enhancer はさらに先を行っており、興味深いオプションや機能を提供している Debug メニューを使用可能にしている。例えば、Safari が他の Web ブラウザであるかのようにごまかせる。

<http://homepage.mac.com/reinholdpenner/>
<http://gordon.sourcecod.com/sites/safari_enhancer.php>

強力になったブックマーク -- 基調講演でスティーブ・ジョブスはSafariのブックマークインタフェースが競合ブラウザに比べて如何にすごいかを述べた。きょう日、整理するのが煩わしいのでは私はブックマークはあまり使わないし、Google で検索した方が手っ取り早い。確かに私の Internet Explorerには若干のブックマーク登録されているが、それにアクセスするのはツールバーからと Internet Explorer の優れた URL 自動補完機能経由でだ。

Safari も、サイトのドメイン名を入力して補完 URL ができる。しかしInternet Explorer では URL に表示されたどんな単語や最近あなたが訪れたページのどんなタイトル、あるいはどんなブックマークでも検索できる。Safari もこの挙動を真似すべきだ。URL やタイトルに含まれる一部の語句を覚えている可能性は高いが、ユーザーがドメイン名を覚えていると期待するのは無理がある。

Safari のブックマークインターフェースは簡明でよくできており、またSafari ブラウザの全体を占有するのでまるで iTunes のように見える。またiTunes プレイリストや iPhoto のアルバムと同様に、Safari のブックマークコレクションは階層構造をサポートしていないが、他のプログラムと異なり、コレクション自体の中にあるフォルダをネスティングできる。

Safari は Internet Explorer からブックマークをインポートできる。他のブラウザからブックマークを Safari にインポートするには、MacUpdate かVersionTracker で“Safari”を検索してブックマークインポートユーティリティを探すとよいだろう。 (これらのサイトには Safari を他の言語にローカライズするアイテムもある)Alco Blom の URL Manager Pro 3.0.4 ではSafariからブックマークをインポートしたりそれをエクスポートして元に戻すこともできる。但し Safari は現時点で Shared Menus Protocol をサポートしていないので、URL Manager Pro の全機能を Safari で使うことはできない。

<http://macupdate.com/search.php?keywords=Safari>
<http://versiontracker.com/mp/new_search.m?search=safari>
<http://www.url-manager.com/version300.html>

Google 万歳! TidBITS-657“ハイパースペースを JavaScript 検索でバイパス”で、私は Google または他の検索エンジンでの迅速な検索をする簡単なやり方を伝授した。その JavaScript テクニックは Safari でもうまく動くが、Google に関しては全てのウィンドウのトップに表示される検索ウィンドウのおかげでそれほど必要でない。Google の検索結果にすぐにアクセスできるだけでなく、直前の 10 検索をポップダウンメニューに憶えている。

この種の機能は新しいものではないし、この数年で検索に関する多くのショートカットが登場している。Opera のように、殆ど同様の直接検索フィールドを提供しているものもある。しかしながら、 Apple は Google を選びそれを実装したことで得点を稼いでいる。Internet Explorer のアドレスバーから検索する隠し技 (? に続いて検索フレーズをタイプ) は、MSN 検索の信頼性からあまり役に立たない。そして他のブラウザは複数の検索エンジンへのアクセスを提供しているが、これはやり方としておおむね納得できるものの、多くの人々がインタフェースに混乱しない目的機能を提供するというエレガンスさを損なっている。

Apple の Google 検索に追加されたおまけは SnapBack だ。これは検索でよくある問題を解決している。検索して結果のリストを得、それを辿って他のサイトに行く。最初の検索結果をまた必要とするまでに、あなたは幾つかのページを訪れているだろう。バックボタンを 5〜6 回クリックする代わりに、Google検索フィールドにあるオレンジ色の SnapBack ボタンをクリックするだけでGoogle 検索結果に戻ることができる。

SnapBack ボタンはまた、あなたがサイトのひとつ深いページに入り込んだらアドレスフィールドの右側にも表示される。あまりにサイトの奥まで沈んだときは、この SnapBack ボタンをクリックしてトップレベルまで浮上できる。

真偽の確認 -- Apple の Safari チームは、皆の関心を Safari に向けさせるような素晴らしい仕事をしたのと同時に、現在のウェブでしばしば経験する不愉快な現実に取り組んでいた。訪れると広告ウインドウがポップアップする Yahoo のようなウェブサイトに苛立たせられる人たちに、Safari は Safariアプリケーションメニュー (設定のセキュリティー項目のオプションでも同様)でそのようなポップアップをブロックするコマンドを装備している。View メニューや Window メニューではなく何故 Safari アプリケーションメニューなのかは分からないが、Internet Explorer で出てくるポップアップメニューにはイライラさせられているので、この機能は大歓迎だ。ポップアップウインドウが必要なサイトを訪れる場合は、キーボードのショートカットで素早く機能のオンとオフを切り替えられる。

しかし、私の一番のお気に入り機能はたぶん View メニューでオンできるバグ報告ボタンだろう。もし Safari がきちんとページを表示できなかった場合には、バグ報告ボタンをクリックしてこの問題点を Apple に報告することができる (というかするべきだ!)。さらに、Page Address フィールドの中身を消した場合、これは Safari に関する一般的なフィードバックを Apple に送る素晴らしい方法となる。Apple のすべてのソフトウエアは同様な機能を提供するべきで、ほかの沢山の開発者たちも彼らのソフトウエアにこのような機能を付加することによって恩恵をこうむることだろう。Safari の開発者たちはこれらすべてのフィードバックに目を通すと確信しているし、機能の変更、あるいは新機能でさえも、充分多くの人が望めば開発者たちもそれを真剣に考慮するだろう。

Apple は Safari のためのサンプル AppleScript をいくつか用意しており、ブラウザのスクリプトに対するサポートはまだ準備の段階で標準的とは言えないが、それでも便利である。これはテキストと HTML のソースとして提供され、ブラウザに対し URL をロードするようなスクリプトを作成できる (しかしこれは、今まで長い間標準だった GetURL と OpenURL を使うのではなく、ドキュメントのプロパティを設定することにより行う)。スクリプトからはアプリケーションの設定項目にはアクセスできず、ブックマーク、履歴、あるいは他の項目をコントロールすることもできない。

<http://www.apple.com/applescript/safari/>

最後に、Safari が標準のブラウザとなる方法について何人かが不満を述べていた。これが TidBITS Talk で取り上げられたとき、ほかの人たちは標準のブラウザの地位が取って代わられたりしないと指摘し、何人かがテストした結果、Safari が標準のブラウザとなるのはそれを Internet Explorer から変更していない場合_だけ_だと判断した。もし Chimera や他のブラウザを標準としてたなら、Safari はそれを変更しない。

無いが、欲しい機能 -- 現在私たちが使っている Safari はまだパブリックベータ版だが、バージョン 1.0 で装備する機能はもうほとんど決まっていることだろう。ということは、Apple は機能を拡張する余地が多く残っているということだ。なぜなら、Safari は速くて使いやすいが他のブラウザには良くある機能が抜けているからだ。しかしながら、開発チームは Safari をシンプル、軽量、そして極めて速いものとすることに焦点を当てているため、Apple がこれらの機能を将来装備するのが当然とは思わないことだ。彼らは、このゴールと魅力的な機能とのあいだでバランスを取らないといけないが、これにより多くのユーザが Safari だけに乗り換えることを妨げてしまうかもしれない。

遥かなるサファリの旅 -- Apple がどこへ Safari を導いていくか、とても興味をそそられる。現在、Apple は何にもましてスピードと優雅さに焦点を合わせており、それはバージョン 1.0 としては申し分ない。しかし、将来のバージョンではウェブでの生活を簡単にしてくれる追加機能、たとえば自動入力、タブブラウザ化、そして過去にあった他の機能を取り入れることを希望している。Safari はそれらの機能をただ作り直すだけで満足するのではなく、ウェブを使う上での革新的な新しいアプローチでぜひ私を驚かせて欲しいと思っている。

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