TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#685/23-Jun-03

今週の Worldwide Developers Conference では Apple から多数の発表が出た。新しい Power Mac G5、Mac OS X 10.3 Panther のプレビュー、そして iChat AV と iSight ビデオカメラなどの詳細をお届けする。だが、この忙しい 6 月での Mac に特定したイベントは WWDC だけではない: Adam が先週の MacHack から MacHax Best Hack Contest について報告する。また、Safari 1.0、AirPort 3.1、iPod Software 2.0.1、そして Mailsmith 2.0 のリリースについて、また Macworld のパスを無料で手に入れる方法について報告する。

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MailBITS/23-Jun-03

Safari 1.0 と SDK がリリースされる -- Apple の Safari Web ブラウザが正式に野に放たれた。本日 Safari 1.0 が Software Update と、独立した 6.2 MB のダウンロードとしてリリースされた。Apple によれば、このリリースで Web 標準との互換性が改善され、Mac OS X の全ての言語で使用可能になり、そして Mac OS X のデフォルトのブラウザとなった (これはつい先日メンテナンスモードに送りこまれた Microsoft Internet Explorer に取って代わる; 詳細は TidBITS-684 を参照)。また、 Safari-関連の AppleScript スクリプトが今日さらに多数登場した。Apple は同時に Safari ソフトウェア開発キット (SDK) をリリースして、開発者らがそれぞれのアプリケーションから Safari の HTML レンダリングエンジンを使用することを可能にした。今までは、システム共通の HTML レンダリングエンジンの欠如が多くのアプリケーションにとって問題だったが、開発者らが Safari のこの HTML 表示 とレンダリングを活用し始めることにより、Macintosh の世界全体が改善されるだろうと期待できる。 [JLC] (倉石)

<http://www.apple.com/safari/download/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07227>
<http://www.apple.com/applescript/safari/>
<http://developer.apple.com/internet/safari.html>

AirPort 3.1 が 802.11g 規準を適用 -- IEEE が高速ワイアレス機器の 802.11g 標準を批准して一週間後、Apple は AirPort 3.1 for Mac OS X をリリースした。これは AirPort Extreme を使用している Mac をアップデートする (TidBITS-684 の“802.11g (AirPort Extreme) が批准される”を参照)。アップデートには AirPort Extreme Base Stations と AirPort Extreme カードをアップデートするための AirPort Extreme Firmware v5.1 が含まれている (独立した 2 MB ダウンロードとしても入手可能)。最終的な 802.11g 規準を実現するだけでなく、アップデートは 802.11g ネットワーク速度を向上させるパケットバースティングをも加えている。それ以外にも Apple はいくつかの改善を加えている: AirPort Extreme Base Station を複数含むネットワーク中でそれを“中継”機器としての設定できるようになり、(2.4 GHz のコードレス電話や電子レンジなどの) 妨害機器が近くにある際のネットワークの速度も改善 された。そして、Apple は Windows XP と Windows 2000 用の AirPort Extreme Admin Utility のベータ版をリリースした。Apple によれば、これは混合コンピュータ環境の多くのユーザが希望していたものだ。AirPort 3.1 アップデートは Mac OS X 10.2.6 以降を必要とし、Software Update か独立した 7 MB のダウンロードのいずれかとして入手可能だ。[JLC] (倉石)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07228>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120224>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120226>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07047>

iPod Software 2.0.1 がリリースされる -- Apple は性能や Windows 互換性を高めた iPod Software 2.0.1 をドックコネクタを装備した 2003 年版 iPod モデル用にリリースした (それ以前の iPod モデルのソフトウェアは 1.3 版のままだ)。この 2.0.1 アップデートは MP3 Variable Bit Rate (VBR) の曲の再生と操作性能を改善し、目覚し時計と On-The-Go プレーリストを性能アップし、アジア圏言語のサポートを改善し、そしてアーティスト名での並べ替えや左右のチャンネル切り替えでの問題を直した。バックライトも改良され、iPod を使用している最中は数秒後に自動的に切らないようになった。最新の iPod モデルは Mac と Window 双方と働く。また、Windows ユーザはこのアップデートで USB 2.0 接続が可能になったことを喜ぶだろう (別売りの $20 の FireWire と USB 2.0 ケーブルへの iPod Dock Connector を使用する必要がある)。これは新しい iPod が発表になったときに約束された ものだ。このアップデートでは Audible.com コンテンツのサポートが加えられ、複数の iPod を一つのコンピュータで使用することが可能になり、接続時間が短くなり、全体として性能が向上していている。この iPod Software 2.0.1 は Mac OS X 10.1.2 以降を必要とし、Software Update か独立した 30 MB のダウンロードのいずれかとして入手可能だ。Windows ユーザは同時に MusicMatch Jukebox 7.5 をダウンロードして USB 2.0 機能を手に入れよう。 [JLC] (倉石)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120229>
<http://www.apple.com/ipod/download/ipodsoftwareupdate13.html>
<http://store.apple.com/1-800-MY-APPLE/WebObjects/AppleStore?productLearnMore=M9126G%2FA>
<http://www.audible.com/>
<http://www.musicmatch.com/download/free/?OS=pc&OEM=APPLE>

メールは速やかに、確実でなけりゃ -- Bare Bones Software は、同社の POP/SMTP 電子メールクライアント、Mailsmith のバージョン 2.0 をリリースした。(TidBITS-638の記事“Mailsmith 1.5: すごい、鋭い、電子メールマシン”を参照。)標準的な電子メールクライアント機能に加えて、Mailsmith には Bare Bones 社の BBEdit にあるような重要なテキスト処理能力が組み込まれている。今回のバージョンでは PCRE-ベースの正規表現検索が装備された。このバージョンではまた、Michael Tsai の SpamSieve(TidBITS-667 の記事“TidBITS ご用達ツール: SpamSieve”を参照)や PGP、それに Apple のアドレスブックとの間に、継ぎ目のない連携を実現している。インターフェイスの細々とした点や、内部でのスレッドの処理や保存方法などの実装は大きく書き直され、その結果としてスムーズで高速、信頼性が高くて直観的なユーザー体験が得られるようになった。Mailsmith は Mac OS X 10.2 Jaguar かそれ以降を必要とし、価格は $100 だ。今回のアップグレードは Mailsmith 1.5 のオーナーには無料で、$80 のクロスグレードもある。新規購入者は 2003 年 7 月 30 日までに注文すれば無料で SpamSieve 1.3 が貰える。30 日間有効のデモ版が 12.9 MB のダウンロードで入手可能だ。[MAN](永田)

<http://www.barebones.com/products/mailsmith/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06870>
(日本語)<Mailsmith 1.5: すごい、鋭い、電子メールマシン
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1227> (日本語)Mailsmith と分散フィルタリング、その 1| Mailsmith と分散フィルタリング、その 2
<http://www.c-command.com/spamsieve/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07076>(日本語)TidBITS ご用達ツール: SpamSieve
<http://www.pgp.com/>
<http://www.barebones.com/products/mailsmith/demo.shtml>

Macworld CreativePro 展示会場への無料パス -- WWDC と MacHack とがすでに到来した今、次に控えているのが、ニューヨーク市で 2003 年 7 月 16 日から 2003 年 7 月 18 日まで開催される Macworld CreativePro Conference and Expo だ。もしもあなたが出席を予定していて無料パス($35 相当)を欲しいならば、私の友人である Peachpit Press のスタッフたちからの良いお知らせがある。あなたのちゃんとした郵送先住所を記入した電子メールを <macworld@peachpit.com> 宛に送って欲しい。(1通のメールにつき2枚のパスが送られるので、1枚は友人にでも分けてはいかが?)パスは枚数に限りがあり、先着順に送られるので、欲しい人は今日すぐに、Peachpit の在庫がなくなる前にリクエストを送っておこう。そして忘れないで! もしもこの無料パスが貰えたら、どうか会場では Peachpit のブースに立ち寄って、彼らに一言お礼を言い、ついでに TidBITS スタッフの誰かが書いた本を一冊、手に取って頂ければと思う。[JLC](永田)

<http://www.macworldexpo.com/macworld2003/V40/>
<http://www.peachpit.com/>


Apple、64 ビット Power Mac G5 を発表

文: Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

Apple は本日“世界最速のパーソナルコンピュータ”の名を冠した Power Mac G5シリーズを発表した。このデスクトップコンピュータは 1.6 から 2 GHz のプロセッサスピード、高速な内部バス、そして 64 ビットアーキテクチャのプロセッサを装備し、これにより Power Mac シリーズでもっとも必要とされていた速度が大幅に向上され、同時に将来に対する明確なロードマップを示している。この新マシンの価格は標準構成で 2,000 ドルから 3,000 ドルであり、2003 年 8 月に出荷を開始する予定である。

<http://www.apple.com/powermac/>

旧世代から新世代へ -- Power Mac G5 の外見においては Apple のインダストリアル・デザインのさらに別な方向性が示された。新モデルの筐体は陽極酸化アルミ製で四角のハンドルが取り付けられており、前後の網目によりマシン内部の 4つの“熱源ゾーン”を風が通り抜けるようになっている (この新しいデザインはすでに“cheese grater (=チーズおろし金)”と呼ばれており、その見た目を見事に表している)。内部には少なくても9個のファンがあるが、これらの通常動作時の音量は“Windtunnels (= 風洞)”という少し不名誉なニックネームを持つ初期のPower Mac G4 (Mirrored Drive Door) システムよりもはるかに静かだと Apple は言っている。もちろん Power Mac G5 には背面にすべての入出力端子が備わっているが、前面にも USB、FireWire、そしてヘッドフォンジャックが用意されており机の下に潜る必要は少なくなるだろう。

<http://www.apple.com/powermac/design.html>

G5 誕生 -- 真の違いは内部にある。Power Mac G5 システムは、Apple がPowerPC G5 と呼んでいる 64 ビットの IBM 970 プロセッサを基に構成されている。PowerPC G5 は IBM の POWER4 アーキテクチャ (同社のハイエンド e-ビジネスサーバーにて使用されている) を受け継いでおり、Motorola が開発した G3 や G4プロセッサの嫡流というわけではない。しかしながら PowerPC G5 が現行 Mac で使われているプロセッサの直接の子孫ではないとしても、少なくともそれは従姉妹と呼ばれるべきものだ。PowerPC アーキテクチャの基礎は Apple、Motorola、そして IBM の共同開発によるものであったし、64 ビットアーキテクチャへの拡張も最初から考慮されていた。結局のところ IBM はプロセッサクラスタリングやサーバ、組込システムに焦点を絞ることを決め POWER4 アーキテクチャの原形と共に枝分かれし、Motorola は高性能の AltiVec ユニット (Apple は Velocity Engine と呼んでいる) を生み出すこととなった。PowerPC G5 は、この IBM の POWER4 アーキテクチャと最適化された Velocity Engine の統合、そしてニューヨークのFishkill にある IBM の新工場での 130 ナノメートル製造プロセスにより結実したのだ。

<http://www.apple.com/g5/ibmprocess.html>

PowerPC G5 の主な機能は次のようになっている:

それだけではない。近年のコンピュータアーキテクチャにおける問題の一つに、RAM、PCI、あるいは FireWire バス、そして (最悪の) ディスクドライブなどコンピュータの他の部品からの情報を待つだけのために、プロセッサが驚くべき量の時間を無為に過ごさなければいけないということがある。プロセッサは、コンピュータのこれらのサブシステムで処理が終わったあとすぐ動作できるように、それを待っている間分岐予測 (無駄な推測?) を行ってはいるが、基本的にはプロセッサの待ち時間は短いほうが良い。そのため、Apple は Power Mac G5 の主要なサブシステムのほとんどすべてをそれぞれ独自の高速バス上に配置し (機器間を行き来するデータが衝突しないように: RAM は 333 あるいは 400 MHz のバスに、PCI-X カードは 133 MHz のバスへ、などのように)、そして一番注目すべき点として G5 プロセッサ用に 800 MHz から 1 GHz の速度で別々に動作する 32 ビット単一方向バスを 2 本用意したことがあげられる。これらはまとめてフロントサイドバスと呼ばれているが、これは前モデルのハイエンド Powre Mac G4 で使用されていた 167 MHz から著しく高速化されており、さらにデュアルプロセッサ G5 システムではそれぞれのプロセッサ毎に別個のフロントサイドバスを持っているためデュアルプロセッサマシンの性能向上に大きく貢献している。

Apple のトップモデル -- Apple は 8 月から 3 種類の構成で Power Mac G5を出荷する予定だ。全ての構成で Bluetooth と Airport Extreme (日本ではAirMac Exreme) がオプションで用意され、8x AGP Pro グラフィックカード用スロット、Serial ATA ハードディスク、プロセッサ毎の 512K L2 プロセッサキャッシュ、4 倍速 SuperDrive、FireWire 800 ポート × 1、FireWire 400 ポート × 2(うち 1 つは前面)、新規採用された USB 2.0 ポート × 3 (1 つは前面)、USB 1.1 ポート × 2 (1 つはキーボード) 、内部ハードディスクベイ (空きは 1 つ)、内蔵 Gigabit Ethernet、56 Kbps V.92 モデム、アナログおよび新たな光オーディオ入出力、そして前面にヘッドフォンジャックを装備している。起動は Mac OS X からで、Mac OS 9 からは起動できない (しかし、当然ながら Classic 環境はMac OS X で利用可能である)。

エントリーレベルのモデルは 2,000 ドルで、1.6 GHz PowerPC G5 プロセッサと800 MHz フロントサイドバス、256 MB の PC2700 (333 MHz) RAM、Nvidia GeForce FX 5200 Ultra ビデオカード (64 MB ビデオ RAM)、80 GB ハードディスク、そして 3 個のフルサイズの 33 MHz/64 ビット PCI バスを装備している。ミッドレンジモデルは 2,400 ドルで、1.8 GHz PowerPC G5 プロセッサと 900 MHz フロントサイドバス、512 MB の PC3200 (400 MHz) RAM、Nvidia GeForce FX 5200 Ultraビデオカード (64 MB ビデオ RAM)、160 GB ハードディスク、そして 3 個のフルサイズ PCI-X 拡張スロット (1 つは 133 MHz で残りは 100 MHz) を持っている。3,000 ドルのハイエンドシステムは、2 GHz PowerPC G5 プロセッサ 2 個と各プロセッサ毎の 1 GHz フロントサイドバス、512 MB の PC3200 (400 MHz) RAM、ATI Radeon 9600 Pro ビデオカード (64 MB ビデオ RAM)、160 GB ハードディスク、そして 3 個のフルサイズ PCI-X 拡張スロット (1 つは 133 MHz で残りは 100 MHz)を装備している。

これらの構成は販売店、Apple Store あるいはオンライン Apple Store の BTO オプションにより変更することが可能である。

ヒット商品 -- 夏の終わりに出荷が開始されれば、Power Mac G5 が陳腐化してきている Apple の Power Macintosh シリーズの性能を大幅に向上するのは間違いないところだ。多数の Macintosh 支持者たちがこれらのマシンをすでに注文したであろうことは、想像に難くない。PowerPC G5 プロセッサとこの新システムのアーキテクチャは Apple にとって大きく成長するチャンスである。この製品が進化するに従い、プロセッサやフロントサイドキャッシュ、その他の内部コンポーネントの速度向上と共に、さらに多岐に渡るマルチプロセッサシステムが登場することを期待している。

開発者にとって PowerPC G5 への移行がどれだけの痛みを伴うものになるかは現時点では不明である。ハイエンドのメディアアプリケーションやアクションゲームなら特に PowerPC G5 用にコンパイルしたいと思うだろう。特にまだしばらくはApple のラップトップ製品で G3 あるいは G4 プロセッサが使われ続けるだろうから、プログラマーたちは現在あるいは将来の PowerPC G3 または G4 ユーザーとの間で混乱を招かないような形で PowerPC G5 版のプログラムを用意する方法を見つけ出して欲しいものだ。

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Mac OS X 10.3 Panther、WWDC で跳躍する

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今日の Apple の Worldwide Developer Conference で Steve Jobs は次期バージョンの Mac OS X を披露した。コードネームを Panther といい、2003年末前に出荷の予定で $130 である。Mac OS X 10.2 Jaguar は前のバージョンに対して大きいのも小さいのも含めて非常に数多くの改良が加えられていたが、初期の印象からいうと、Panther も Jaguar と同じ道を歩むように見える。Jobs は Panther には 100 を越える大きな変更が加えられていると語っている。そこで、これまでにわかっている情報を元に、それがどんなものか概観してみたい。

<http://www.apple.com/macosx/panther/>

新 Finder -- Panther は、全く新しい半光沢メタルの Finder となり、標準のウィンドウに対していくつかの重要な変更が加えられ、Jobs によればよりユーザー中心になっていると言う。とりわけ Apple が強調しようとしているのは、人々が実際に使うフォルダで、これをウィンドウの左端に位置する新しい Places サイドバーに入れて表示する。これは、iPhoto のアルバムとか iTunes のプレイリストのような感じのものである。Places サイドバーの上部はアクセスできるボリュームを表示;下部はあなたのお気に入りのフォルダを収納している。この Places サイドバーにあるアイテムをクリックすることでそこに直接跳ぶことができる。Finder はこの Places サイドバーを使った新しい Open and Save ダイアログを持つことになった;これが、これまでの長いこと苛まされてきた Open and Save ダイアログの悪夢から我々を解放してくれることになるかどうか楽しみである。

Labels もついに Panther Finder に戻ってきた。そして誰ものハードディスクの上部に殆んど使われることなく長いこと置き去りにされてきた Network アイコンを使ったネットワークブラウジングも戻ってきた。Panther の Finder では検索も高速化しているはずであるし、それに iTunes や Mail 上での検索のように、画面上のアイテムはあなたのタイプするのにあわせてマッチするものに絞られていく。ちょっと驚かされたのだが、Apple は Finder ウィンドウのツールバーに Action メニューを付け加えた;それは、Finder 上で Control-クリックするか右クリックすれば出現するコンテクストメニューの内容を単に含んでいるだけである。これは私にとっては、Apple は多くのユーザーにとってのコンテクストメニューには使用感の問題があることを認め始めた証のように見える;ただ見ただけではコンテクストメニューが使えるのかどうかはわかる術がないのである。

<http://www.apple.com/macosx/panther/finder.html>

最後に、Expose (実際は最後の "e" の上にアクセント記号がつき発音も途切れ途切れの QuickTime ウェブキャストから聞き取れる限りでは "エクスポゼ" と発音するらしい) という散らかった Desktop を綺麗にする手助けをする事を狙った新機能がある。Expose には三つの機能があり、ファンクションキーから、ポインターをスクリーンの隅にもっていくか、或いはマルチボタンマウスのボタンから起動できる。最初の機能は、Quartz を使ってすべての開いているウィンドウをタイル化してしまう;一つのウィンドウ上にマウスを持っていけばタイトルを表示し、クリックすればばそれを(他のウィンドウと共に)拡大し最も前面のウィンドウとして表示する。二番目は、現在のアプリケーション内にあるすべてのウィンドウをタイル化しその他のアプリケーションのウィンドウはグレーにしてしまう;そして又、クリックしたウィンドウは拡大される。三番目の機能は、Desktop にアクセスできるようにすべての開いているウィンドウを単純に隠してしまう。Apple は、それでは同じファンクションキーをもう一度押せば、隠されたウィンドウは再度表示されるのかについては何もいっていない。

<http://www.apple.com/macosx/panther/expose.html>

ネットワークの改善 -- 最近のインターネットや LAN との接続性を強調する風潮に合わせて、Panther は色々な変更を加えて Mac を更により良いネットワーク市民にしようとしている。SMB と Active Directory サポートが改善されたので、Mac の Windows ネットワークとの共存は更にたやすくなるはずである。IPSec (IP Security) ベースの VPN も追加されている。

Mac だけの範疇では、Panther はファイルを iDisk とバックグラウンドで自動的に同期できる。これを使えば重要なファイルのバックアップコピーを常にアップデートするのも容易になる(ただ iDisk の 100 MB の容量も今日この頃ではあっという間に一杯になってしまう)。そして、より良い iDisk の統合は、コンピュータ間のファイル共用がより便利になる事を意味する。Jobs は、これはたまにしかつながないラップトップの場合とても便利であると説明していた。要は、これは .Mac 経由で同期するローカルフォルダなのである。

<http://www.apple.com/macosx/panther/idisk.html>

Mail 2.0 と Address Book -- Apple のバンドルされたメールクライアントも Panther で大きくアップグレードされる。性能は著しく改善されたと言われている、そして Mail は Safari の HTML エンジンを使うので、HTML レンダリングの質も速度も向上するであろう。メーリングリストに参加している人にとっては、ディスカッションスレッドを辿ったり読んだりするためのインターフェースが一新される。Mail のスパムフィルタも改善され精度が向上したと言われている、そして Spam Assassin や Brightmail といったサーバサイドのスパムマーキングツールも使えるようになる。最後に、これまでは Microsoft の Entourage にしかなかった優れもののツールがある:返信や転送はメッセージとリンク付けられるので、あるメッセージに自分で何をしたのか辿りやすくなる。

<http://www.apple.com/macosx/panther/mail.html>

Mail の Address Book との統合も強化されている。そしていくつかのちょっとした機能についてもメールの宛先を記入するに際して便利だと思う人もいるであろう。例えば、"安全" リストにのっていないドメインにアドレスされたメッセージをハイライトする機能とかである。その他のちょっと気の利いた統合もある - Address Book のコンタクト情報の何処かを変更したとき、新しいオプションとしてその新しい情報をすべてのコンタクトに自動的に通知できる機能である。最後に、Address Book はラベルや電話帳をプリントできる。

ユーザーのスイッチとセキュリティー -- キーノートの中で、Steve Jobs は複数ユーザーの扱いについては Windows XP が Mac OS X を凌駕していることを認めた。Windows XP では、ユーザーを別の人に切り替えるだけのためにすべてのアプリケーションを終了させる必要は無いのだ。この機能が Panther で実現されることになり、これで Mac OS X も、家族で1台のマシンを使っていて複数アカウントの使い方の面倒さに悩まされていたようなケースがずっと素早く簡単に使えるようになる。“アカウント”環境設定画面で「高速ユーザー切り替え」を設定しておけばこの方法が使え、また同時に、個々のユーザーごとにより多くのレベルのセキュリティーから選んで設定できるようにもなる。

それ以外に向上したセキュリティー機能としては FileVault がある。これはあなたのホームディレクトリの内容全体を 128-bit AES (Advanced Encryption Standard) によって暗号化する。この機能はいつでも自由に動作させることができ、PowerBook や iBook のファイルを保護するのに最適だ。また、ラップトップユーザーにとって有難いもう1つの機能として、Panther では Mac がスリープから覚める際にパスワードを要求するようにする設定項目が追加された。

最後に、独立の開発者たちによるいくつかのユーティリティが大いに影響を受けるであろう Panther の新機能として、新設の“secure delete”機能が挙げられる。これは、消去したファイルをランダムなデータで7回繰り返して上書きすることで、そのファイルが決して回復されないようにするというものだ。

ファクスとプレビュー -- Panther ではまた、これまで何年もの間にわたって良いソフトウェアにあまり恵まれなかった、ほとんど無視され続けてきた分野にも Apple が参入することになった。それが、ファクスだ。あなたが Mac の内蔵モデムを電話線に繋いでいるなら、どんな書類でもその“印刷”ダイアログから直接に、あなたのアドレスブックにファクス番号が登録されている相手に向けて、ファクスで送ることができる。到着したファクスも、印刷したり、電子メールとして転送したり、一新された“プレビュー”アプリケーションで表示させたりできる。プレビューは今回複数ページのファクスにも対応するようになった。プレビューを使って、アンチエイリアスやスムージングの技術で白黒画像を 8-bit グレイスケールに変換すれば、ファクスが画面上で読みやすくなるだろう。これは私の希望だが、eFax のようなインターネットファクスサービスとの統合もぜひ実現して欲しい。Apple がどんなに素晴しい機能を Panther に追加してくれたとしても、ファクスの受信のために専用の第2電話線が必要だというのは、やはり何とも不便なものだから。

<http://www.apple.com/macosx/panther/faxing.html>

プレビューには他の改良点もある。特に、動作速度やリンク関係の機能が改善された。Apple によれば「プレビューの URL サポートにより長い書類の中での移動が短い時間でできる」ということだ。具体的な内容ははっきりしていないが、PDF ブックマークやリンクが使えるという意味だと期待したい。また、他の書類へのリンクやインターネット上の資料へのリンクもサポートされている。もしもこの新しいプレビューがこうしたすべてのタイプのリンクをサポートしていて、かつ Acrobat Reader よりも高速ならば、きっと Mac 上の最も強力な PDF ブラウザの地位を、現在の Acrobat Reader に取って替わって占めることになるかも知れない。プレビューが Acrobat Reader を駆逐する力となるべきその他の機能としては、PDF 書類内からテキストをコピーする機能の改善(現在 Acrobat Reader ではこの機能に難がある)やインデックス使用のテキスト検索などがある。

<http://www.apple.com/macosx/panther/preview.html>

フォントブック -- Panther で大きな打撃を受けるのは“secure delete”ユーティリティの開発者たちが間違いなく一番だろうが、フォント関係のユーティリティーの開発者たちもやはり大きな影響を受けることになる。それは、Panther に新装備される Font Book だ。Suitcase や Font Reserve と同じように、Font Book はあなたのフォントをインストール・プレビュー・検索し、個々のフォントの使用可・使用中止を切り替えることができる。この切り替えは動的にいつでも実行でき、フォントセットの変更のためにいちいちアプリケーションを起動し直したりする必要もない。

<http://www.apple.com/macosx/panther/font_book.html>

フォントパネルも機能が強化され、フォントにおける合字、カーニング、数字間隔、分数のレンダリング、その他を有効利用できる助けになる。また、文字パレットを使って個々の文字をすべての利用可能なフォントで描出したものをプレビューできるようになり、これはユニコードのユーザーにとっては有難いものになるだろう。

さて、アップグレードすべきか? -- Steve Jobs の言葉によれば、Apple は七百万人のアクティブな Mac OS X ユーザーを持っており、今年の終わりまでには Mac OS X への移行が完了するのだという。つまりそれは、Mac OS 9 から Mac OS X へと移行したいと思っている人々がすべてその時点までにそれを終えていると彼が予想している、という意味なのだろうと私は思う。けれども一方では、新しい Mac を購入する理由が見つかるまでの間は Mac OS 9 を当面使い続けようという人々が現実に存在しているのも、疑いようのない事実だ。

Jaguar への移行の時に起こったことを思い起こせば、現在の Jaguar ユーザーのうちのかなりの人々はわざわざ $130 も払って Panther に移行することには抵抗を感じるだろう、というのは十分に予想できることだろう。だから、無視できないパーセンテージのユーザーが Jaguar に留まる、というのが現実的な見方だろう。私が MacHack の会場で部屋一杯に集まったシェアウェア作家たちに、いったいどれくらいのユーザーが Mac OS X 10.1 から Mac OS X 10.2 への移行を果たしていないと見積もっているか、と聞いてみたところ、その返答の中には、20% くらいだと思う、という高い数字まであった。私は、それは多すぎると思った。Jaguar は Mac OS X 10.1 に比べてこんなにも良くなっているのだから。当然ながら、実際に Panther が Jaguar に比べてどれほど良いものになるのかは、当分の間私たちにはわからない。けれども、私の予想では、Jaguar で十分、と考えて Panther へは移行しない人々の数は、Mac OS X 10.1 に留まっている人々の数よりも、もっと多くなるだろうと予測するのが妥当なところかも知れない、という気がする。Apple も当然、アップグレードしない人々がいることは考えに入れているだろう。だからこそ、彼らは iChat AV を Panther に無料で含めて、Jaguar でそれを使いたい人には $30 の料金を課することにしたのだろう。

私たちは、もちろん Panther が登場した時には虎の子の $130 を払ってアップグレードするつもりでいる。その時には、もっとずっと詳しい記事をお伝えして、Panther が本当に皆さんの貴重なお金を支払うに価するものなのかどうか、私たちの意見を書いてみたいと思っているので、皆さんもどうか楽しみに待っていて頂きたい。

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iSightとiChat AVの出会い

文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: mizo <mizo-tid@grf-design.com>

もしあなたが E-mail やテキストメッセージの非人間的な性質を嘆いているような人だったら、Apple が顔の見える時間を提供してくれる。今日の WWDC に於いて Apple は iChat に音声と映像をやりとりする機能を追加した iChat AV を披露した。iChat AV のパブリックベータ版が 3.6MB でダウンロード可能である。同時に発表されたのは iSight というコンパクトなビデオカメラで、iChat AV の音声/映像機能に利用できる。iSight は現在発売中である。

<http://www.apple.com/ichat/>

Apple によると iChat AV はどんな FireWire DV や Webcam をもサポートし、インストール中に自動的に設定するという。他の iChat AV ユーザはメンバーリストの名前の脇に現れる音声/映像アイコンによって利用可能な接続の種類が表示される。デフォルトウィンドウサイズは 352 x 288 ピクセル(ビデオセッション中に変更可能)で、フルスクリーンモードも備えている。今年の終わり頃にはリリースされる Mac OS X 10.3 Panther に iChat AV は含まれる予定である。Mac OS X 10.2 Jaguar に執着したい人は、2003年 12月 31日以降、$30 で iChat AV にアップグレード可能である。

実は Apple は Panther にアップグレードするだけでなく、Apple のディスプレイやノートにぴったりな iSight ビデオカメラも買って欲しいのだ。iSight はオートフォーカス、 640 x 480 ピクセル、暗い場所でもしっかりと写る F/2.8 の絞りを備えていて、フレームレートは 30 fps である。音声に関してはデュアルエレメントノイズ抑制マイクを備えている。なおかつ重量は 2.5 Oz (63.8グラム)と小さくて軽い。

<http://www.apple.com/isight/>

我々は iChat AV と iSight についてよりくわしく特集する予定だが、先だって行ったテストでは、様々なマイクや FireWire webcam と iChat はうまく動作して、音声は驚くほどクリアかつ全二重(訳注:電話と同じように音声の送受信を同時に行うこと)であった。


MacHack の 2003 年度ベスト・ハック・コンテスト

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>

長年にわたる伝統に違わず、MacHack 開発者カンファレンスの核心といえば、それは毎年恒例の MacHax Group による Best Hack Contest だ。このベスト・ハック・コンテストでは、大勢の Macintosh 開発者たち、それも、さまざまの技術レベルの人たちが、一人で、あるいは小人数のグループで、思い思いにプログラミングの技を競い、自分たちのプログラミングの才能を見せあったり、お互いに新たな技術を学びあったりしつつ、同時に思う存分楽しんだり、友人たちを楽しませるために工夫をこらしたりするのだ。今年は Apple が Worldwide Developers Conference (WWDC) の日程変更をした余波を受けて例年より参加者数は少なかったものの、ハック・コンテストへのエントリー作品の数は 50 を超えていた。数だけを比べれば確かに最近数年のものよりも少なかったが、全体的な作品の品質とユーモア度とは、ともに十分高いものだった。

<http://www.machack.com/> (日本語)<MacHack の 2002 年度ベスト・ハック・コンテスト

騒音で溢れかえることの多いハック・コンテストの会場でノートをとるのは、なかなか難しいことだ。スクリーン上で何が起こっているのかに注意を払うことを忘れず、その傍らでプレゼンターの氏名とハック作品の名前とを間違えずに書き留めなければならないし、それと同時に回りの人たちと感想を言い合うのだし、その上ステージから時折聴衆に向けて投げられるいろいろな記念品の類を取りはぐれないよう目を光らせることも忘れてはならない。というわけで今年は、ある参加者から勧められて、合作ノート取り用のソフトウェアを使ってみる実験にしよう、という気になったのだ。私は、今回のノートを取るために Hydra という合作ノート用エディタを使ってみた。これは、ローカルネットワークあるいはインターネット上で複数の人たちが共通の書類を同時に編集できるために作られたソフトウェアだ。Rendezvous を使って他の人々が私の書類に接続することも簡単だったし、他の人が現在編集中の行には立ち入らないようにする、というコツを皆が掴んだあとは、すべてが非常にうまくいった。下の2つ目のリンクで、この原稿そのものをご覧頂ける。ただし、これはテキストファイルとして保存してあるので、どの部分を誰が書いたかを示すためのカラーや、その他の判別用要素などは表示することができなかったが。

<http://hydra.globalse.org/>
<http://www.tidbits.com/resources/685/hack-contest.txt>

今年の MacHack のテーマは“Unstoppable”だった。これは1つには Mac OS X の信頼性を誉めてのことと、もう1つには Apple による WWDC の日程変更による悪影響を意識してのこと、その両方を暗に示唆して名付けられたものだろう。そういうわけで、多くのハックがこのテーマをきっかけとしてアイデアを得ていたようだ。中でも、Mac OS X における“ビジー”カーソル、あの虹色の「死の回転ピザ」(Spinning Pizza of Death、愛称として“SPOD”と呼ばれている)はしょっちゅう登場していた。何といっても、あの Spinning Pizza of Death が現われたら、これはもうストップ不可能になることも多いのだから! まあ、冗談はこれくらいにして、ハックの紹介を始めよう。

選外の佳作たちt -- 例年どおり、上位の5位までに入賞しなかったハックの中にも、なかなか素晴しいもの、楽しいものがたくさんあった。

最後にもう一つ、これは公式に出展されたハックではないのだが、長さ4フィートの木製の棒をホテルの部屋に隠しておくという、私が以前から続けている MacHack ジョークが、今年もまだ続けられるのを発見して私は大変に喜んだ。(このジョークがどのようにして始まったかについては、TidBITS-585 の記事“MacHax Hack Contest 2001”でお読み頂きたい。)昨年、ハック・コンテストが終了した後、私はこの棒をホテルのロビーのちょっと高くなった部分を仕切る花壇の中に埋めておいた。私はそのことを自分のカレンダーに書き留めておくのをすっかり忘れていたのだが、今回会場で大勢の人たちから「あの棒」のことを尋ねられて、何とか記憶を辿って棒の隠し場所を探し出すことができた。ハック・コンテストの最中に「これこそ“unstoppable”なハックだ!」と泥で汚れた棒を高く持ち上げてみせた私に、会場の人々は大笑いで応えてくれた。その後、私は来年のために、今度は一段と難易度の高い隠し方を選んだ。今回は、あえて棒が丸見えになっている状態で隠したのだ。カンファレンス最終日の一日中、どうやら誰も私の隠した棒に気付かなかったようだったが、それでもこれから丸一年間、ホテルのスタッフたちに気付かれずに無事に残ってくれるかどうか、来年のカンファレンスが楽しみだ。そもそも私が最初にこの棒を賞品としてもらったのは、いったい私がこんな大きなものをどうやって家に持って帰るのかを見てみよう、という主催者のいたずら心からだったのだが、今回のコンテスト主催者たちは、このいたずら心の棒を高く持ち上げて(いや、つまり、ハードルを高くして)緊急用発煙筒を賞品として私にくれた。これは、飛行機内に持ち込むこともできないし、かと言って郵便で送ることもできない。もちろん、こんなものをホテルに隠しておくのは気が引ける。幸いなことに、Dick と Andy の Furnas 親子が、私のために Ithaca まで車で持って帰ってくれることになった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06470>(日本語)MacHax Hack Contest 2001

さて、選外のものの紹介はこれくらいにして、ここからは 2003 年度上位入賞作品、トップ5をご紹介しよう。

第5位: Size Doesn't Matter -- Nicholas Straker のハックは、めまいのするようなものだった。私は決して大げさな物言いをしているわけではない。Microsoft Windows の次のバージョンではこんなにスムーズにウィンドウが回転できるようになるだろう、というムービー(おそらく画像処理のパワーを誇示するための宣伝)のパロディーであるこの Size Doesn't Matter は、Mac OS X でも同様に未実装の機能、つまりあらゆるウィンドウをそれぞれの一頂点を中心にぐるぐる回転させる、という様子を実演してみせた。そうこうするうちに、Nicholas があまりにも多数のウィンドウを回し続け、その上メニューバーまでもぐるぐる回すものだから、聴衆の多くが車酔いの症状を示し始めてしまった。でも、翌朝にはどうやら回復した人が多かったようで、第5位に入賞するだけの投票が集まった。

第3位(同点): GUI Kablooie -- Andrew Pontious と Mac Murrett のこのハックは、非常にプレゼンテーションがうまく、同点の第3位に入賞した。初めのうちは、彼らは Finder のウィンドウを使って Breakout ゲームを作るのだ、と言っていた。これで聴衆の期待度を下げて気分を白けさせておいてから、突然ハックはぐんぐん良くなり始め、最後にはこれが実は Asteroids タイプのゲームで、自分がスクリーンの隅から隅まで飛び回り、SPOD を撃ちまくってウィンドウやアイコンを攻撃するのだ、とわかった。デモとして見事だっただけでなく、驚くほど楽しい気分にさせられた。私はあとで自分でこのハックを走らせてみて、重ねてその楽しさを実感することもできた。気晴しが必要な時に備えて、こいつはぜひ常備しておかなくちゃ、と思っている。(ただし、GUI Kablooie はあなたがアイコンを撃破しても実際にファイルを消去するわけではないのだが、ウィンドウは本当に閉じてしまうし、これをプレイした後にすべてを正常な表示に戻すためにはコンピュータを再起動する必要がある、ということは注意しておくべきだろう。)

第3位(同点): Interface Unbuilder -- GUI Kablooie が Mac の画面上に見えるものを使って何とはなしの不平不満を解消するために使えるものだとしたら、Gorman Christian 作の Interface Unbuilder というハックの方は、もっと具体的に暴力的になりたい人のためのツールと言えるだろう。Interface Unbuilder がインストールされていると、動作中のどんな Cocoa アプリケーションの中でも、好きなコントロールを Option-ドラッグすればそのコントロールが新しい場所に移動してしまう。もっと驚くことには、コントロールを他のアプリケーションの中へも移動できてしまうのだ。どこへ移動されたとしても、そのコントロールを操作すればそれは元のアプリケーションに作用する! 言うまでもなく、この Gorman のハックに対して「便利ィ〜!」という嘲笑の野次を飛ばすような人は誰もいなかった。

第2位: AirPong -- Paul Scandariato と Jon Johnson という二人の 18 歳の青年によって書かれた AirPong は、シンプルなコンセプト(つまり、スクリーンの両端にあるパドルを使ってボールを打ち合う Pong ゲーム)をもとにそれを拡張しようとする。この場合は、ネットワーク上への拡張が試みられた。最大4台までの Mac を使って AirPong のプレイフィールドが拡がる。ボールはもちろん「死の回転ピザ」(SPOD) で、プレイそのものも、ネットワークを横切ってスクリーンからスクリーンへと SPOD が飛び交うのは、技術的に素晴しいと同時に、見ても楽しいものだった。

第1位: Unstoppable Progress -- 圧倒的多数の得票で第1位をさらった(得票数で第2位の倍以上だった)のは、Jon Gotow と、15 歳になる彼の息子 Ben との親子チームの作品、Unstoppable Progress だった。Unstoppable Progress はプログレスバーにハックを加えて、プログレスバーが次第に一杯になっていって、ついにバーが右端まで達した瞬間、Aqua テーマのバーの端から“水”が溢れはじめるようにした。その数秒後には、そのプログレスバーを含むダイアログの中に水が溜まりはじめ、水面には波まで立って寄せては返すという凝りようだ。(そう、この作品の名前は MacLeak でも良かったと思う。今は亡き MacWEEK マガジンを思い起こさせるだろう。)彼らのプレゼンテーションが終わった瞬間、大喝采が沸き起こり、私は Ben と Jon は確実に何か賞を取るに違いないと確信した。なぜなら、Unstoppable Progress はカンファレンスのテーマそのものを凝縮させており、まったく何の実用性も無いことのために巧みな技術を駆使して、グラフィカルに高度な応用価値を提供しつつ、かつおもしろさのレベルも非常に高いものだったからだ。例年と同様、第1位の賞品はかの憧れの Victor A-Trap 賞、つまり Victor 社製のネズミ取り器の表面に印字された“RAT Trap”の文字に X-Acto ナイフによる切り込みを入れて“R”と“T”の文字を削り落とし、classic Mac OS をプログラマーがパッチするのに使ったトラップアドレスの名前に合わせて“A-Trap”と変えてある、というものだった。けれども今回は、Jon と Ben は副賞として FireWire ドライブキットと Nvidia ビデオカードも貰った。

Jon Gotow は Default Folder の作者として知られている。これは開く・保存のダイアログボックスを拡張する古参のシステムユーティリティで、同種のユーティリティの中では唯一つ、Mac OS X へのジャンプを果たしたものだ。ごく最近のことだが、 Default Folder X は Macworld で 2002 年度 Best System Enhancement Utility Editors Choice 賞を受賞したばかりだ。息子の Ben は FlashMath という数学クイズのアプリケーションを書いており、これは一人または数人の生徒に対して、時折彼らが何をやっていてもそれを中断させて問題を出す、というものだ。素晴しいハックを作ってくれた二人に、おめでとうの言葉を贈りたい。

<http://www.stclairsoftware.com/>

ハックの入手法 -- MacHack 終了後には誰もが睡眠不足の解消に努めなければならない(ある晩には私は 2 AM に就寝することができたが、それ以外の晩はすべて 4 AM 以降の就寝だった)にもかかわらず、MacHax Group のスタッフたちは見事な早業を見せて、すべてのハックを含んだ CD をすでに完成させており、ソースコードに目を通してみたいとか、ハックを自分のマシンで試してみたいとかいう人たちのために発売している。注意しておかなければならないのは、これらのハックはほとんど確実にクラッシュを引き起こすような類のものであって、使用後にはたいてい再起動が必要になるという心構えで使うべきだ、ということだ。この CD の価格は $20 で、アメリカ合衆国またはカナダからの注文には $5、それ以外の国からの注文には $15 の送料がかかる。

<http://www.hax.com/BestHackCDForm.html>

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TidBITS Talk/23-Jun-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: mizo <mizo-tid@grf-design.com>

Power Mac G4 の電源ユニット交換 -- 読者は Apple の電源ユニット交換プログラムに関する自らの経験で議論に加わっている。中には何故 Apple は最初からより静かなマシンを作らなかったのかという議論もある。(11 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1976>

Microsort が Mac 版 IE を止める -- Microsoft が Internet Explorer の開発を止めることで、Mac での Web ブラウズにはどんな影響があるのか?Safari は猛追しているが、まだ Internet Explorer の方がうまく動くところもある。(24 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1975>

NoteTaker 1.5 に関して -- 新バージョンの NoteTaker が現れると同時に、アップグレードに際して人々が抱えた問題に関するディスカッションがあちこちで持ちあがった。(3 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1974>

PowerPC G5 がもうすぐ出る -- 今週の WWDC に向けて、Apple の Web サイトで漏れだした G5 のスペックに喚起され、読者は Apple のハードウェアの将来を予言する。(8 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1973>

Apple と Unix の商標 -- 古い話だ。誰が Unix を所有しているのか?Unix に関するたくさんの歴史的経緯に関して、また Apple が Mac OS X に於いてどのように使用しているのかについてのディスカッション。(12 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1971>


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