TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#687/07-Jul-03

通勤・通学中に時間を持て余しているときはどうしたら良いだろう? Kirk McElhearn が、Mac や iPod でカセットテープのように手軽に聞けるAudible.comのオーディオブックを試してみた。Keith Cooper はデジタルフォトのカラーマネージメントがなぜ必要かを解説する。今週はそのほかにAirPort (日本ではAirMac) 3.1 による Broadcom 社製チップ使用 802.11g PCカードのサポート、Mac 版 Adobe Premiere の終焉、そしてもうすぐ始まるMacworld Expo イベントについてお伝えする。

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MailBITS/07-Jul-03

AirPort 3.1 がサードパーティー製 802.11g PC カードをサポート --AirPort Extreme が対応していない PowerBook オーナーでも、PC カードスロットがあればサードパーティー製 802.11g カードを使って高速な AirPort Extreme ネットワークに接続することができる。Apple の最新の AirPort 3.1アップデートでは、Apple の内蔵 AirPort Extreme カードで採用しているBroadcom 社製チップを使っている PC カードもサポートしていることが判明したのだ。つまり、もしあなたがチタニウム PowerBook G4 の信号レベルが弱いと嘆いているのなら、サードパーティ製カードを使って強い信号レベルと高速な 802.11g ネットワークへと一気にレベルアップできるということだ。Asante 社と Buffalo Technologies 社は、双方とも自社の 802.11g カードがMac OS X と AirPort 3.1 アップデートの組み合わせで動作するとしている。他のメーカー製でも Broadcom 製チップを採用していれば動作すると思われる。Buffalo Technology のカードは約 60 ドルで現在販売中であり、Asanteのカードは 100 ドルで今月中に出荷される予定だ。 [ACE] (佐藤) [訳注: 文中の AirPort は、日本では AirMac となっている]

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=120224>
<http://www.asante.com/products/adapters/AL5402-XG/>
<http://www.buffalotech.com/wireless/products/airstation/wlicbg54a.php>

Adobe Premiere が Mac 版に幕 -- Adobe Systems 社は、12 年目を迎えるビデオ編集アプリケーションの最新版となる Adobe Premiere Pro を、単独のアプリケーションおよび同じく発表された Adobe Video Collection アプリケーションパッケージのスタンダード版とプロフェッショナル版双方に同梱して、今年 8 月に販売開始すると発表した。しかしながら Adobe は Macintosh版 Premiere Pro はリリースせず、ビデオアプリケーションはすべて Windows XP プラットフォームに集約するようだ。おそらく Adobe は、ハードウエアをも自由にできる Apple の豊富なデジタルビデオアプリケーションのラインナップ (主として最近改良されたFinal Cut Pro だが、Final Cut Express、iMovie、iDVD、そして iDVD Studio Pro もそうだ) に対抗するための時間と努力に見合う価値が無くなったと判断したのであろう。現 Premiere ユーザーは Windows版 への移行を考えるかもしれないが、Apple が Final Cut Pro への乗り換え版を提供するとしても驚きはしない。[GD] (佐藤)

<http://www.adobe.com/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200307/070703PREMIEREPRO.html>
<http://www.apple.com/finalcutpro/>


Macworld Expo NY 2003 イベント

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 溝畑 考史 <mizo-tid@grf-design.com>

正式名称は "Macworld CreativePro Conference and Expo" のようだが、どんな言い逃れをしようとも Apple と IDG World Expo の度重なる交渉の結果であることは間違いない。我々は今回のショーを "Macworld Expo" と呼ぼうではないか(気難し屋なら、"the Conference Formerly Known as Macworld Expo" でもかまわないが)。まぁ名前やら開催場所はともかくとして、今年は、来週の 7月 16日から 8日まで New York はショータイムだ。

<http://www.macworldexpo.com/macworld2003/>

TidBITSイベント -- 私もショーに参加するつもりだ。普段の講演や他のイベントの補完にもなるだろう。是非やって来て、声を掛けて欲しい。人と会う、ということはこういうトレードショーでもっとも楽しみとしていることだ。

Netter's Dinner -- 新しくクリエイティヴ・プロフェッショナルに的を絞ったショーではあるが、Al Tucker は第6回 East Coast Macworld Netter's Dinner に向けて丹念に計画している。7月 16日(水)18:00 頃、ロビーの彫像前に集まって、18:30 にはレストランに移動する。Kagi 経由の先行予約が必要だ。参加される向きは以下のリンクを参照して欲しい。当日お会いしましょう!

<http://avalon.rockefeller.edu/nettersdinner/>


Mac のカラー向上

文: Keith Cooper <kc@northlight-images.co.uk>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

カラーの画像を印刷してなぜうまく印刷できないのか疑問に思ったことはあるだろうか?あの深い青空と遠くの丘と森は画面上ではきれいだったのに…見えるとおりになぜ印刷できないのだろう?

これは Mac でのカラー管理の問題の一つだ。カラー管理なくしては、デジタルカメラの画像をインクジェットプリンタで再生するのは試行錯誤を必要とし、多量のインクと紙の無駄遣いになる。

基本的な難点はモニタの色は赤、緑、そして青い光の合成によって再現されるのに対し、プリンタでは色インク (大抵の場合、シアン、マジェンタ、黄、そして黒色) を混ぜることによって再現している点だ。もし全てのモニタの全ての色が同じであれば、そして全てのプリンタが同じインクと紙を使用すれば、合わせるのは楽だ。だが現実には、同一機種のプリンタを使用しても微妙に異なるし、モニタも歳をとるにつれて特性が変化してくる。

このような予想外の色の変化は、プロジェクトの高額な間違いや遅れにつながる。業務用印刷では、カラー管理に大きな労力が払われる。このためだけの業界が存在しているほどだ。業務用にはそれで良いが、一般ユーザや写真をちょっと改善したいだけの写真家らはどうすれば良いのだろうか?

Mac が再び登場 -- 嬉しい事に Mac を所有していれば、それはオペレーティングシステムにカラー管理技術の最高峰が全て詰めこまれたシステムだという点だ。1993 年に International Color Consortium (ICC) を創始した会社の一つとして、Apple はオープン標準や機種に依存しないファイル形式を定めるのに貢献した。この結果が ColorSync だ。そして Mac OS X では、カラー管理を扱う新しいパワフルな道具がいくつかある (古い Mac ではColorSync があるが、ここまで幅広い道具は揃っていない)。

<http://www.apple.com/colorsync/>

カラー管理は基本的にそれぞれの機器のプロファイルに依存する。カメラ、スキャナー、モニタ、もしくはプリンタなどの特定のハードウェアのプロファイルはその特性を表わす多数のデータを含んでいる。例えば、プロファイルはその機器が表現できる色の範囲 (演色範囲と呼ばれる) を含んでいる。プロファイルを使用して、ColorSync は異なった機器の間でデータを翻訳し、統一のとれた色情報の操作を可能にする。

一番の利点は多くのユーザにとって内蔵カラー管理は目に見えないという点だ。デジタルカメラをつなげて iPhoto へ画像を転送する際、必要な変換が全て行なわれる。インポート中に画像ファイルに適切なカラー情報が適用される。そして、画像を見る際に、ColorSync が表示の為にモニタにあわせ、印刷の為にプリンタにあわせる。これも目に見えないところで ColorSync がユーザからの入力を必要とせずに全部やってくれる。だからといって調整が出来ないということではない。

ColorSync Utility (Mac OS X Applications フォルダ中の Utilities フォルダにある) を使用すれば、それぞれの機器に適用されているプロファイルの確認と、おかしくなったプロファイルの修復が可能だ。プロファイルの中身をみて、その演色範囲を可視化も出来る (回転可能な 3D の物体として表示される)。物体ビューはその機器が表示できる色の数を表わす。システム上のいくつかの標準プロファイルを見れば、色々な機器の差が一目で分かるだろう。

それぞれの機器に ColorSync のために登録されたプロファイルがある。いくつかは複数のプロファイルがあって、新しいのを選べるようになっている。System Preferences の ColorSync 設定パネルからカラー情報が指定されていないファイルの為にデフォルトのプロファイルを設定できるようになっている。

ここまでありながら、なぜそれでも結果が今一つなのだろうか?これはプロファイルの正確さの問題だ。多くの機器は一般的なプロファイルが付随しており、これは平均的な一致でしかない。

モニターから始める -- もしあなたのモニターが正しい色を表示していないとすると、印刷で正しい色を出す仕事はもっと大変になる。System Preferences の Displays 設定ウィンドウには画面の解像度に関する通常の設定の他に、ColorSync プロファイルを選択するするための Color タブが含まれている。もしそのハードウェアがこれをサポートしていれば、画面から直接情報にアクセス可能である。

まず、ディスプレイに対して一連のモニタープロファイルから一つ選択できる。そのモニターに合う物を選択するのが一番である、例えば Apple Studio Display を持っているなら Apple Studio Display をというように。またCalibrate ボタンをクリックしてプロファイルをカスタマイズし精度を上げることもできる。このボタンをクリックすると Display Calibrator アプリケーションが立ち上がり、色がどの様に表示されるかを決めるステップを順序立てて案内していってくれる。しかしながら、この方法でキャリブレートするということはある程度自分の視覚の狂いも反映してしまう事を認識しておく必要がある。他にも同様のことをする似たようなユーティリティがある。例えば、前には Photoshop に付いてきた Adobe Gamma がそうである。SuperCal (Mac OS 9 と Mac OS X 用) も同じことをするがもっと詳細にまで立ち入る。これらの方法は、勿論、キャリブレーションを全くしないよりずっとましなので、Mac上で何らかの画像をいじろうと思っている人には Display Calibrator を走らせることをお奨めする。

<http://www.bergdesign.com/supercal/>

色の精度を究極まで高めるにはハードウェアの助けが必要となる。比色計を購入すれば、モニターの色出力を正確に測定する事で色のプロファイルを正しく決定できる。検討すべき比色計としては Gretag Macbeth の $250 の Eye-One Display、ColorVision の $230 の Spyder、或いは Monaco System の $300の MonacoOptix などがある。

<http://www.i1color.com/products/i1_display.asp>
<http://www.colorvision.com/store/monitor_geu102.shtml>
<http://www.monacosys.com/products/monacooptix/monacooptix.html>

あなたのカラー印刷の色がおかしく見える理由 -- モニターを色が正確に出るよう設定するのは、より良い写真印刷への道の半ばでしかない。プリンタも色を正確に出力できなければならない、ということはもう一段の複雑さを意味する。プリンタドライバは固有の内部プロファイルを持っており、紙の設定とその画像はどう印刷されるべきかを "ベストゲス" するドライバ調整部とからなっている。プリンタのメーカーはすべてのオプションをカバーできる設定を提供している。と言ういことは、そのドライバはどの特定の設定にも最適化されているわけではない。

プリンタの中には特定の紙に対するプロファイルを追加でインストールしColorSync ユーティリティの中で選択できるようにしているものもある。もし、プリンタメーカーのインクと紙を使うのであれば、その ColorSync プロファイルを試してみる価値がある。他のメーカーからのインクと用紙を使う場合は全く同じ結果にはまずならない。そうは言っても、プリンタメーカーが皆さんを信じこまさせようとしていることとは裏腹に、サードパーティのインクと紙でもあなたのプリンタを駄目にしたりはしない優秀なのは出回っている。例えば、私の場合、白黒写真を印刷する時は、Lyson から出ているこれ専用のSmall Gamut インクセットを使っている。

<http://www.lyson.com/>
<http://www.inksupply.com/>

もし Photoshop Elements のようなアプリケーションから印刷するのであれば、いくつかのプリンタ用に用意された追加のプロファイルを使うというオプションも残されている。だからといって、勿論、いつでもデフォルトを受け入れられると言うわけではない - 特定の画像に対してカラー管理をいじりたい場合、印刷過程の中のどこでカラー管理をしたいのか決めなければならない。それには三つのオプションがある。第一に、使っているアプリケーションが自らカラー管理をする場合、それを使う事が出来るが、同時にプリンタドライバの方のカラー管理を (No Colour Adjustment ラジオボタン) 切ってやる必要がある。第二は、ColorSync にそれをやらせる方法である。最後の三番目は、カラー管理の仕事をプリンタドライバ自身に任せてしまう方法である。この場合、プリンタメーカーが組み込んだデフォルトの設定を、それが何であれ使う事になる。最初のオプションの場合、ただ一つのプロファイルだけを適用することが大事である。さもないと、結果は惨憺たる物になってしまうであろう。例えてみれば、英語からスペイン語へ翻訳する時、直接やるのと、英語から日本語に訳してそれからスペイン語へとやるようなものである。中間のステップは少なければ少ないほど良い。

<http://www.adobe.com/products/photoshopel/main.html>

お分かりのように、アプリケーションの Print をただ単に選択する方法から、カラー管理がどこでなされるべきかを考える必要がある場合まで色々ある。ColorSync とドライバの組み込みプロファイルがやれる事を考えた時、それに任せてしまえば良いじゃないかとお思いであろう?

ある特定のインク/紙/プリンタの組み合わせ用にカスタマイズされた固有のプロファイルを持つのは意味があることである。サードパーティのインクと紙の業者の中には(Lyson のように)いくつかの製品用にプロファイルを提供している所もあるが、大多数はやっていない。印刷品質を最善にするにはカスタムプロファイルが必要である。次回の記事では、私が ColorVision のデバイスやソフトウェアをカスタムプロファイルする PrintFIX を使って、私のインクジェットプリンタにどうやってより正確なプロファイルを与える事が出来るようになったかについてお話する。

[Keith Cooper は写真家でありかつ長年の Mac コンサルタントでもある。彼はまた成人向け教室で写真学とデジタル画像について教えている。彼の Webサイトに行けば更なる写真とか Mac 情報が見られる。]

<http://www.northlight-images.co.uk/links.html>


「耳で聴く読書」はいかが?

文: Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私の世代が、きっと最後の世代だろう。ラジオというものが、単なる音楽やニュースやスポーツ中継を聴くためだけのものではなくて、話を聴いて楽しむための第一級の娯楽の源泉であった世代は。私は 1959 年生まれで、私はテレビの普及とともに成長した。子供時代には、自分の話題がかなりの部分テレビの内容に結び付いていたのは確かだ。けれども、子供時代の私はラジオもよく聴いた。そして、当時の私は話し言葉というものの持つ力を実感し、話し言葉だけでも聴く人をとりこにでき、夢中にさせるだけの底力があるのだということを、自分の心に焼き付けたのだった。

ティーンエイジャーとなった私は、かの偉大なコミカル・ストーリーテラー、Jean Shepherd の熱狂的なファンとなり、次々と彼が織り成し語り続ける、彼のインディアナでの青年時代の物語に聞き入った。ニューヨークに住んでいた頃には、毎晩 10:15 PM になると WOR ラジオにダイヤルを合わせ、彼の話と風変わりな音楽とが交互に続くのを聴いて楽しんだ。また、その後には Garrison Keillor のファンにもなった。彼のラジオ番組、Prairie Home Companion で、想像上の田舎町を舞台に登場人物たちが繰り広げる彼の辛口のストーリーが、私は大好きだった。

<http://www.shep-archives.com/>
<http://phc.mpr.org/>

私は熱心な読書家でもある。小説も、ノンフィクションも読むし、その量も毎週数冊ずつというペースだ。幸い私はかなり速い速度で読めるので、自分の広範な興味にも何とか付いて行けている。けれども、こんなにも話し言葉と読書とが両方好きな私も、本の朗読のテープ録音を聴くというアイデアに染まるまでには至っていなかった。ラジオ番組は、本来そのメディアのために作られ、それに適合するように育ってきた歴史に裏付けられている。その一方、朗読版の本というものは単に誰かが本を読んでそれを録音したものに過ぎない。何かが違っている、という気が私にはして、私はラジオ番組や伝統的な本ほどには魅力を感じてこなかった。それでも、長時間通勤の人には大人気だという話はよく聞くし、退屈な自動車旅行では時間つぶしに(そして運転中眠らずにいるのに)最適、という声も絶えず私の耳に入っていた。

というわけで、Apple が iTunes への追加機能として Audible.com で販売されている音声コンテンツ(朗読版の本など)のサポートを発表したのを機会に、私もこの朗読版の本を試してみようか、と思い立った。私が日々利用しているプログラムの中に、話し言葉のテキストを聴くためのユーザー・フレンドリーな機能がせっかく内蔵されているのだから、と。(Audible.com を利用するためには iTunes 3 かそれ以降が必要で、Mac OS X のみで動作する。)

<http://www.apple.com/itunes/audiobooks.html>

これを聴いて! -- Audible.com というのは、簡単に言えばオーディオ本やその他の録音された作品、例えばラジオ番組や雑誌・新聞など、をダウンロードできるオンライン書店のようなもので、一般の e-コマース・サイトと同じように利用できる。まずはここのページを眺めたりカタログを検索したりして、欲しいアイテムをショッピングカートに入れ、支払いはクレジットカードで済ませる。支払いが完了すると、Audible.com はあなたの購入した本を Library に入れてくれる。ここにはあなたがこれまでに購入したすべての本がリストされているのだ。これらのオーディオ本は、いくつかのフォーマットの中から選んですぐにダウンロードすることもできるし、すぐにダウンロードするのが帯域幅の事情で無理ならば、その本の全部または一部についてダウンロードを延期することもできる。おもしろいことに、Audible.com では iTunes Music Store とは違って購入済みの本はいつでもダウンロードし直すことができるので、ファイルが見つからなくなったり間違って消してしまったりしても安心だ。

<http://www.audible.com/>

サインアップを済ませた私は、まず初めに John Grisham の最新の小説、The King of Torts を購入してみた。録音時間はちょっと 12 時間を切る程度だ。このオーディオファイルは2部に分かれており、いろいろなフォーマットのうち私が再生できるものを探すと、それぞれ 22 MB、42 MB、84 MB というファイルサイズだった。これらのフォーマットの違いはオーディオ圧縮のタイプの違いによるものだ。Audible.com のヘルプページを見れば、これら三者のフォーマットはそれぞれ AM ラジオ、FM ラジオ、そして MP3、に相応の音質だと説明されている。私はブロードバンドの DSL 接続を使っているので一番良い音質のものを選んだが、モデムでダウンロードするユーザーはたぶん一番音質の低いものを選んだ方が良いだろう。そうでないとダウンロードするために何時間もかかってしまう。多少音質が悪いとは言っても、これは話し言葉に過ぎないのだから、普通の人ならば AM ラジオ程度の音質で十分だろう。ただし、古い本の中には非常に悪い音質で元々録音されているものもあり、そういうもののサンプルサウンドを聴いてみると、電話で聞こえる声程度の音質しかなかったこともあった。

オーディオファイルのダウンロードが済めば、それをダブルクリックするだけで iTunes が開き、それをあなたの音楽ライブラリに読み込んでくれる。この操作を初めてする時には、ダイアログが開いて Audible.com でのあなたのユーザー名とパスワードを聞いてくる。するとその後は iTunes が Audible.com のウェブサイトに接続してあなたのアカウントを開くようになる。(このアカウントチェックにより Audible.com ファイルのコピーが防止される。)これで、あなたはオーディオ本を iTunes で聴いたり、あなたの iPod に転送したり、またオーディオ CD に焼いたりすることもできる。(ただしオーディオ CD への録音は標準オーディオフォーマットに限られており、MP3 CD に焼くことはできない。もちろん、あとでオーディオ CD を MP3 フォーマットに変換するのはできる。これは iTunes Music Store で購入したサウンドトラックと同じだ。)

実際に聴く時の操作は簡単だ。iTunes はまさにこういうものの再生には最適のツールと言える。オーディオ本のファイルを聴くのを中断して、 iTunes を終了させると、どこまで聴いたかを自動的に覚えていてくれるので、次に聴く時にいちいちファイルの中を探し回る必要もない。ただ、少なくとも私がダウンロードしたファイルについては、ファイル中の特定の場所、例えば章の冒頭などに飛ぶ方法は提供されていない。どうやら、Audible.com では本によっては章のマーカーが提供されていて、iTunes でも iPod でも使えるものがあるようなのだが。小説ではそれほど問題にならないかも知れないが、ノンフィクションの本ではいくつかの章を飛ばして読んだりすることも多いのでちょっと困った問題だと言える。また、目次とかトラックリストのようなものが一切無いのも、私には不満だった。各章の名前とか、章の長さなどは、ぜひ知りたいものだ。聴きながら新しい章に入る時、この章はこれからどのくらい時間がかかるのかは知っておきたいことが多いのだ。もっとも、Grisham の小説に関してはこれはあまり問題ではなかった。彼の小説ではどの章も比較的短い(15 分か 20 分くらい)からだ。けれども他の本の多くでは、章を聴き始める時にその章の終わりまで聴く時間があるかどうかがわかると便利だと思う。

自分の Mac のない場所で Audible.com のオーディオ本を聴きたい人はどうすれば良いのだろうか?(自動車の中で聴く人は多い。また、地下鉄の中や、大陸横断の飛行機の中で、ということもあるだろう。)それには、iTunes Music Store のサウンドトラックとよく似たコピー防止技術の一種を使用している Audible.com のファイルフォーマットと互換な MP3 プレイヤーがいろいろあるので、それを使えば良いのだ。もちろん、たいていの Mac ユーザーは iPod を利用するのだろう。iPod のソフトウェアは Audible.com のコンテンツもうまく扱えるようになっており、iTunes で聴く時と同様に、最後に聴き終えた位置も記憶してくれる。皮肉なことに、あなたが止める度にその位置を記憶してくれることにかけては、オーディオ本のための最古のテクノロジー、すなわち普通のカセットテープ、に勝るものはない。iPod が Audible.com の本でどこまで読んだかをきちんと記憶できないことがある、という報告も聞かれるという。ただ、Apple によれば iPod のバッテリが消耗するかハードリセットをかけるかでもしない限り iPod はあなたがトラックを切り替えた場合でも常にあなたが居た場所を記憶するはずということだ。Audible.com のトラック内の位置は、iPod と iTunes との間でシンクロナイズしてもそのまま記憶が保たれる。最悪の場合でも、iPod のスクロールホイールを使ってトラック内の場所を探ることはできるだろう。ただし、他のソースから標準の MP3 フォーマットで入手したオーディオ本については、iTunes も iPod もあなたが最後に聴き終えた位置を記憶することができないことを注意しておきたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1986>

耳障りな音 -- 世界中の人々は、おそらく次の二つのグループに分けられるだろう: オーディオ本が好きな人々と、好きになれない人々とだ。私は、自分がどちらのグループに属しているのか、まだはっきりとは確信が持てない。The King of Torts の最初の数章を聴いてみた段階では、私は早くも自分が物語に夢中になっているのを感じていた。ただ、朗読の速度がちょっと遅過ぎるという気がしてはいたが。もっとも、これは私が速読を習慣にしているのでやむを得ないことなのかも知れない。(いずれにしても、速読のできる人は、本の朗読を聴くのは自分で読むよりもかなり余分に時間がかかることを覚悟しておくべきだろう。)しかしながら、小説が進んで行くに従って、私の興味は段々と失せて行った。朗読者は確かにうまい人には違いなかったが、登場人物を区別するため、例えば黒人と白人、南部の金持ちの白人たちと物語の主人公、という対比を強調するために、あまりにもステレオタイプにはまり過ぎた、異なったアクセントを使っているのが、私には次第に耳障りになってきて、数分後には完全に薄っぺらなものに聞こえるようになってしまった。女性のセリフを言う時にちょっとわざとらしい裏声を使うのも、段々イヤな感じに聞こえてきた。

本を選ぶ時には、あらかじめそれぞれの本の RealAudio サンプルを試し聴きすることができるので、慣れた人は自分の好きな声を選んで購入するようになる。朗読者によっては、その声があまりにも退屈かつ大げさな発音で、私ならこれを 10 時間も聴き続けるなんて耐えられないと思うようなものもある。生徒を眠らせる力は最高で生徒の興味を引く力は最低、という高校の地理の教師のようなものだ。けれども、このことはあなたがどのようにしてその本を聴くか、あなたがその本に何を期待するか、といったことによって大きく左右される。通勤途中の時間をつぶすために聴く人たちが、私と違う基準を持っているのは当然予想されることだ。私の場合は、フレンチ・アルプスをのぞむテラスに座り、両耳には最高級のヘッドフォンをかけ、脇のテーブルには私の iBook を置いて、ゆったりと物語に集中するのだから、マンハッタンに向かう F 列車に揺られながら聴く場合とは違うものを要求したくなるのも自然なことだろう。

白状しよう: ミステリーを読む時には、私は確かに文芸上のエリート主義に走り過ぎる傾向がある。そこで、次に私はぐっと趣向を変えて Jonathan Franzen のエッセイ集、How to be Alone を選んでみた。こちらは、ずっといい感じで聴くことができた。父親のアルツハイマー症について書いた最初のエッセイは、著者自身の朗読によるものだった。それ以外の章を朗読した人の声は、Grisham の朗読者に比べてずっと文章のトーンにマッチした読み方だった。もっともこれはノンフィクションの朗読の方が小説の朗読よりも私の感覚に合っているということなのかも知れない。

お金の音も聞こえる -- これらの本は、決して安い買い物ではない。印刷された本物の本と比べても、大体ハードカバー版と同じくらいの値段がする。ただ、たいていの人々は本ごとに個別に購入することはしない。Audible.com には定期購読のサービスがあって、毎月1冊 ($15) または2冊 ($20) の本と、オーディオ雑誌・新聞・ラジオ番組などから1つ、というセットを定額で購入できるのだ。ちょっと高いと思えるかも知れないが、カセットテープや CD で販売されているオーディオ本の値段と比べればかなりお買い得と言えるだろう。特に、送料などは何も払う必要がないし、昼でも夜でもいつでも気軽に聴けることを考えるならば。また、iPod を使う人にとっては Audible.com のサービスの有難さは特筆に値する。なぜなら、購入したテープやディスクから MP3 ファイルに変換してから聴く手間が必要ないからだ。あと、言い添えておくことがあるとすれば、オーディオ本を聴くのが多くの人にとって印刷された本を読むよりもずっと時間がかかる(たいていは 10 時間以上かかる)ことを考えれば、毎月2冊というのが時間的に可能な上限ではないかということだ。

最後に、あなたがオーディオ本を好きになれるかどうかは、あなたが本に向かう方法と、あなたが朗読者に期待するものの大きさとに依存するということを再び注意しておきたい。すでにオーディオ本のファンである人たちにとっては、Audible.com のサービスは素晴しいと感じられるだろうし、iTunes や iPod との間で継ぎ目なしの連携が得られているのも素晴しい。オーディオ本を試したことは無かったけれども通勤時間が長くて何か時間つぶしを探しているという人は、もしも iPod を持っているのならばぜひ Audible.com を試してみるべきだろう。iPod なんか持っていないという人は、近所の公共図書館へ行って、まずはテープに録音された本をいくつか借りて聴いてみるのがよい。もしも気に入ったら、それから iPod と Audible.com アカウントに出費すればよいだろう。私自身はと言えば、もしも私が毎日通勤に時間をかけていて、かつ iPod も持っていたならば、たぶん Audible.com に吸い寄せられていただろうが、そうではない現状からは、何人かの朗読者たちの読み方にイライラさせられることもあって、安からぬ費用を払い余分の時間をかけるまでの価値があるものとは思えないでいる。

[Kirk McElhearn はフリーランスのライター兼翻訳家で、フレンチ・アルプスのある村に住んでいる。彼は現在“Unix for Mac OS X: Learning the Command Line”を著述中で、この本は 2003 年の後半に Addison-Wesley 社から出版される予定だ。]

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TidBITS Talk/07-Jun-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: 湯本 敬 <ymo@big.or.jp>

iPod 2.01 と Audible.com のサポート -- アップルは iPod 2.0.1 ソフトウェア・アップデートで Audible.com をサポートしたと述べているが、この言明は以前から iPod で Audible.com を使ってきた人たちをいたく混乱させている。その後、議論は iPod 上で聞けるようにテキストをスピーチに変換するための方法に関する議論へと変わった。(6 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1986>

NoteBook 対 NoteTaker -- 共通の先祖を共有するこうしたプログラムのユーザは、各々のプログラムの長所について討議し続けます。(8 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1989>

10.3 Panther アップグレード -- アップルのMac OS Xに関する価格戦略についての議論と、Pantherに約束された特別な機能のうちのいくつかに関しての話題!(4 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1991>

フラグメンテーション解消および最適化 -- 結局、あなたのハードディスクを実際に最適化することは時間の浪費ですか? TidBITS Talk でノーと言う人も何人かはいますが、他の人たちは David Shayer に賛成です。(10 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1992>

Casady & Greene 製品の将来 -- Casady & Greene が廃業をした今、プログラムの Mac OS Xバージョンに加えて、Glider Pro の開発者を見つける探究!(4 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1993>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA