TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#691/04-Aug-03

今週号では、あなたとデータの安全にスポットを当てる。まず最初に、Derek Miller があなたの PayPal パスワードを手に入れようとあたかも PayPal から来たように見せかける悪賢いスパムに関する警告 (とそれを見つけだす方法) をお伝えする。次に、 Adam がハードディスクを利用するバックアップとして優れた選択肢である Granite Digital 社の FireVue Hot Swap Drive System をレビューする。ニュースでは、 Entourage に新しく加わった Exchange のサポート、Tinderbox 2.0、そして Font Reserve 3.1.2 を取り上げている。

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MailBITS/04-Aug-03

Entourage が Exchange のサポートを開始 -- Mac を PC などと共存する環境に迎え入れるための一策として、Microsoft は Entourage X を Microsoft Exchange Server と動作できるよう更新した。Entourage ですでにサポートされている電子メールとカレンダー機能に付け加えて、Exchange ミーティングの閲覧とスケジュール設定、カレンダーのサーバーとの同期、そしてサーバーのグローバルアドレスリストを利用した電子メールアドレスの検索がサポートされるようになった。これらの改良点はより大きい Office X 10.1.4 アップデートの一部で、これには Word、 Excel、そして PowerPoint の安定性の問題に対するアップデートも含まれている。

この最新版アップデートをインストールする前に、以前のいくつかのパッチやセキュリティーアップデートをまとめた Microsoft 社の Office X 10.1.2 Updateがインストールされているかどうかを確認しよう。(私はこれに含まれている古いアップデートを個別にインストールしてあったので Office X 10.1.2 Update を全部適用する必要は無かった。しかし、10.1.4 アップデートは 14.6 MB のダウンロードとなる 10.1.2 をすべてインストールするまで動作しなかった。) さらにバージョン番号で混乱させられるが、古い Office X 10.1.3 Update (Italian Spelling Tool と French Proofing Tools が変更されている) はインストールしていなくても 10.1.4 にアップグレードできる。 Office X 10.1.4 Update は、28.6 MB のダウンロードであり、無料だ。[JLC] (佐藤)

<http://www.microsoft.com/mac/products/entouragex/entouragex.aspx?pid=exchangeupdate>
<http://www.microsoft.com/mac/downloads.aspx>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07039>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-662.html#lnk1>

Tinderbox 2 がウェブログツールを改善 -- Tinderbox 2 が Eastgate Systems 社からリリースされた。これは、ノートやその他の情報コンテンツを組織化して保存するための同社のユーティリティへのアップデートだ。(TidBITS-651 の記事“Tinderbox でハートに火を点けて”を参照。)全体的にスピードアップしていること、インターフェイスに磨きがかけられたことに加えて、この新バージョンでは Tinderbox Weblog Assistant が加わり、これを使って個人的ウェブログを組み上げることができるようになった。もしもあなたが既に Moveable Type、Radio UserLand、あるいは Blogger のようなウェブログ用ソフトウェアをお使いなら、Tinderbox 2 から簡単にノートをウェブログの項目として送ることもできる。今回の Tinderbox 2 アップグレードの価格は $70 で、これには今後1年間の無料アップグレードも含まれている。もしもあなたが前バージョンの Tinderbox を購入して1年未満ならば、3.7 MB のデモ版をダウンロードしてインストールすれば、自動的にそのアプリケーションのロックが解除される。このプログラムのフル版の購入価格は $145 だ。[JLC](永田)

<http://www.eastgate.com/Tinderbox/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06959>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-651.html#lnk3>

Font Reserve 3.1.2 アップデートのリリース -- Extensis 社から Font Reserve のマイナーアップデートが出た。これは同社から出ているいくつかのフォント管理ユーティリティのうちの1つだ。(Extensis 社の製品としてはもともと Suitcase があり、そこに最近同社は Font Reserve の生みの親である DiamondSoft 社を買収した。TidBITS-686 の記事“Extensis が DiamondSoft を買収”を参照。この買収劇に関する FAQ と、両製品の未来に対してこれが何を意味するかについて説明したページも Extensis のウェブサイトにある。)Font Reserve 3.1.2 アップデートで最も注目すべき点は、Classic 環境でフォントを使用可に変える機能が改良されたことだ。また、Adobe Illustrator 10 用の Font Reserve プラグインがクラッシュを引き起こす問題が修正されている。InDesign 2 や QuarkXPress 4 および 5 のためのプラグインについても、内容は発表されていないが改良が施されていると言う。(Font Reserve の詳細については、FireVue でバックアップ の記事“Font Reserve が Mac OS X に”を参照。)今回のアップデートは無料で、9.4 MB のダウンロードだ。[JLC](永田)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07248>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-686.html#lnk1>
<http://www.extensis.com/suitcase/fontreservesuitcase_q_a.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06751>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-620.html#lnk2>
<http://www.fontreserve.com/support/downloads.html>


詐欺師達が PayPal ユーザを狙っている

文: Derek K. Miller <dkmiller@penmachine.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

多くの迷惑メールは単に迷惑なだけだ - 時間と労力とコンピュータ資源の無駄なのは確かだが、大抵の場合、危険ではない。しかし、少数ながら無視できない数の迷惑メール送信者は、単に紛らわしかったり、品がないだけにとどまらず、意図的に人々を欺こうとしている。彼らの手段は技術的にも心理学的にもどんどん進歩してきている。そして多くは大手の ISP のユーザ、オンライン販売者、テレコムキャリアなどを狙っている。この記事では人気がある eBay の子会社 PayPal オンライン支払いサービス会社を狙った詐欺を取り上げたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06260>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-562.html#lnk1>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06862>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-637.html#lnk1>

電子メールによる詐欺は新しいものではない。手紙、電報、そして電話を使用した犯罪者達の詐欺の手法の続きでしかない。悪名高い“ナイジェリアの預金”詐欺は 1920 年代の架空のスペインの牢人を扱った手紙での詐欺にまで遡れる。しかし、ナイジェリアの預金詐欺は笑ってしまえるほど見え見えであるのに対し、PayPal を狙った詐欺は非常に巧妙だ。

<http://www.snopes.com/inboxer/scams/nigeria.htm>

なぜ PayPal? -- この問題は PayPal のせいではない。諸般の理由でこのサービスを嫌う人々もいるが、PayPal のスタッフは安全で使いやすいよう、多大な労力を費やしている。しかし、この二つのゴールは時に相反する場合もある。ではなぜ詐欺師達は PayPal を狙っているのか?

まず、人々は PayPal に銀行口座とクレジットカードの情報を信頼して提供している。PayPal は幅広く使用されており、多くの人達は PayPal の口座に多額の資金を預けている。eBay のオークションの多数は PayPal 経由の支払いを受け入れており、eBay の世界の外でも多くのサービスがこれを使用している。TidBITS 自身の著者支払いシステムの PayBITS もその一つだ。端的に言えば、PayPal に金があるからなのだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06909>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-643.html#lnk4>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05499>
(日本語)<http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/TidBITS-jp-492.html#lnk1>

そして、インターネットアクセスがある人にとっては PayPal を使用するのは簡単だ。それは同時に、多くの PayPal ユーザが日常的にその技術を使用していても、インターネットの電子メールやオンラインの金銭取引の詳細に疎いことを意味する。ある程度努力すれば、犯罪者達は比較的熟練したインターネットユーザでさえも PayPal のウェブサイトにログインしていると思いこませることが出来る。ところが実際には見知らぬ相手に個人や金銭関係の情報を与えてしまっているのだ。

簡単に言えば、PayPal はユーザに人気があるのと同じ理由で詐欺師達に人気があるのだ。完全にオンラインでの金へのアクセスと移動が、非常に簡単で速やかに出来る。そのため、騙されると素早く簡単にそれも完全にオンラインで金を失うことも可能なのだ。

なぜ自分が? -- ではどうやって PayPal 詐欺師達は電子メールアドレスを手に入れるのか?他の迷惑メール送信者と同じ方法でだ。Usenet や Web ページに掲載されたアドレスを収穫したり (おそらく、私みたいに PayPal 支払いリンクがサイトにある場合など特にそうだ)、誰かが商売取引を行なったりした会社が違法に収集したアドレスのデータベースを入手したり、Hotmail、Earthlink、AOL、や Pobox などの電子メールプロバイダへの無差別的な“辞書”攻撃などがある。

<http://www.faqs.org/faqs/net-abuse-faq/harvest/>
<http://www.wired.com/news/infostructure/0,1377,57132,00.html>

PayPal を使用している人達の数があまりに多いため、何百万という電子メールアドレスに無差別に迷惑メールを送れば、そのうちのかなりは PayPal の口座を持っており、何人かは PayPal から何らかの情報を再入力する要請があったのだと思いこませることができる。

詐欺の実体 -- 多くの迷惑メール同様、PayPal 詐欺も少しづつ異なっている。だが、それらの目的は同一だ。被害者が PayPal と通信していると信じさせて、その信頼とそして彼らの金をごまかし取ることだ。

多くの場合、その手法は PayPal から来たように見えるよう偽造された電子メールとして現れる。そして PayPal が利用者リストの再確認とか、データベースの問題があって何らかの情報を再入力する必要があるとか、もしくは何らかの正当な理由を挙げて、ユーザ名とパスワードを使用してログインし、場合によってはクレジットカード情報や銀行口座の暗証番号などを入力させる。電子メールには PayPal が所有しているサイトから来たような (しかし実際には違う) リンクが含まれていたり、メール自体に HTML のフォームが含まれていたりする。私の手許には先週,このようなのが来た。

<http://www.penmachine.com/paypalscam/>

時が経つにつれ、これらの詐欺はより巧妙になってきている。最初の頃は明らかに紛らわしいリンクを含んだだけのテキストの電子メールメッセージだった。だが最近は正真正銘の PayPal ロゴ (場合によっては PayPal のサイト自体にリンクしている) や PayPal 自体の Web ページと同様な構成と HTML でフォーマットされたメッセージが送られてくる。

だがそれでもメッセージの本当の意図が見え隠れしている。私が受け取ったもの全てにデザインの間違いや合法的な会社から普通受け取らないような文章が含まれている。スペルの間違いやいい加減だったり (一箇所で“e-mail”と書いて別個所で“email”と書いたり) 、均一でないフォントの大きさを使用したり、単語の間のスペースが抜けていたりする。多くの場合、PayPal 自体のページから直接盗んだわけではない文章はちょっとずれていたり、奇妙だったりして、プロが書いた文章でないのが一目瞭然だ。他には IP 番号や、paypal.com 以外のドメインを指している URL 等でもばれる。しかし、HTML メールではメッセージのソースを直接詳細に検査しないことにはこれらの徴候を見つけられないだろう。

しかし私みたいに技術的なライター兼編集者でない人達にすれば、これらの間違いに気付くのは難しいだろう。私が先週受け取った詐欺メールは個人情報を搾取した後、本当の PayPal のサイトへ転送するようになっていた。これでは不用心な被害者は PayPal の口座から金が消え始めるまで騙されたことにも気がつかないだろう (定期的に口座の活動をチェックする良い理由だ)。

後遺症と予防処置 -- 名前、電子メールアドレス、パスワード、そして銀行口座の情報を入手した犯罪者は最低でも PayPal 口座を空にできる。また名前を使用して詐欺目的のオークションやマネーランドリングなどを行なったり、(極端な例では) その情報を使用して本人になりすます事も可能だ。これらは単なる違法行為とはいえない重大な犯罪だ。

<http://catless.ncl.ac.uk/Risks/22.82.html#subj11>

そこで、もしあなたが PayPal を使用しているのなら、気を付けなくてはならない。幸運なことに、それは容易だ。まず、PayPal は絶対にパスワードを要請するメールを送ってはこない。ログインする必要がある取引はどれも paypal.com Web サイトを経由する必要があり、安全な (https)、暗号化されたコネクションを使用する (だから常に Web ブラウザのアドレス欄の頭に https がついていて、URL のドメイン名が paypal.com である事を確認するべきだ)。だがさらに気をつけよう。一部の詐欺師達は paypal.com ドメインを他のサイトのユーザ名として使用する変わった URL を使用している (本当のドメインは @ の後に隠れている)。だからもし以下のような URL があったとしたら、ブラウザは paypal.com ではなくて、実は example.com へ行くのだ。

<https://www.paypal.com:abc%123@example.com/>

PayPal 自体もその Security Center に有用な詐欺防止情報をまとめている:

<http://www.paypal.com/cgi-bin/webscr?cmd=p/gen/security-main-outside>

もし誰かが PayPal 詐欺で騙そうとしてきたら、返事をせず何ら被害を蒙らなかったとしても、PayPal の Security Center ページの "Report a Problem" リンクを使用して彼らにそれを報告することが可能で、彼らが犯罪者達を見つけて追求する手助けとなる。PayPal に関連した詐欺電子メールはヘッダも含めて <spoof@paypal.com> へ転送するよう、呼びかけている。

PayPal はそれでも非常に有用だ。日常生活で怪しい行為を認識するのと同様、使いやすさを邪魔して私達の金を盗もうとしている人々を発見する方法を学ばなければならない。問題を防ぐ一番簡単な方法は自分でブラウザにその URL をタイプしてログインすることだ。

この状況は Calvin and Hobbes の漫画を思い出させる。Calvin が罫線の入った紙に大きな字で以下のようなメッセージが書かれたメモを持ってくる:“国家の重大な用件のため Calvin の頭脳が必要なため、学校を休ませてあげてください。署名大統領 追伸:本当だって”。ちょっと気をつければ、嘘のメッセージを見つけられるようになるだろう。

[Derek K. Miller はカナダのバンクーバー在住のライター、編集者、ドラマー、そして主夫だ。彼は自分の Web サイトで不気味なくらい幅広いウェブログの日記をつけている。]

<http://www.penmachine.com/>

PayBITS: もし Derek の警告のおかげであなたや知り合いが詐欺の被害に遭うのを免れることができたら、PayBITS 経由で数ドル送るのはどう?
<https://www.paypal.com/xclick/business=dkmiller%40pobox.com>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


FireVue でバックアップ

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は、日常しっかりとバックアップを取ることがとても大事だとする推進者の一人であり(ところで _あなたは_ 最近バックアップを取りましたか?)自分でも長年 Dantz Development の Retrospect と DAT テープドライブの組み合わせに頼ってきた。ただ時間と共に、この 2.6 GB DAT テープは私のネットワーク上にあるマシンからのデータ量を扱うには容量不足となってしまった。それで、Ecrix (今は Exabyte の所有; TidBITS-569 の "Ecrix 社製 VXA-1 テープドライブ:高速・大容量バックアップ" そして TidBITS-594 の "Ecrix 社と Exabyte 社が合併" を参照) の VXA-1 テープドライブに切り替えた。でもこれも一年そこらしか持たなかった。と言うのも、このテープは非圧縮で 33 GB しか記録できず、私の保持するデータは増えつづけ、理に叶う三セットバックアップ方式を維持していくためには更にテープを買い増ししなければならなくなってしまったのである。当時、この 33 GB のテープは、5 本組みで買っても一本 $65 した - テープ代としては相当な金額である。そして問題が始まった。バックアップサーバとして使っていた Performa 6400 上の Retrospect の旧版がバックアップ時に時折クラッシュするようになったのである。そうなると、VXA-1 ドライブはある種のループ状態に入ることがありマニュアルでの介入が必要となる。これは面倒であるし、そして何回かこのループ状態から VXA-1 を救ってやっているうちに、挿入しているテープが使い物にならなくなり本当に堪忍袋の緒が切れてしまった。言うまでもないことだが、テープ一巻当り $65 では、こんなことを長期には続けられない。

<http://www.dantz.com/en/products/mac_desktop/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06322>(日本語)Ecrix 社製 VXA-1 テープドライブ:高速・大容量バックアップ
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06539>(日本語)<Ecrix 社と Exabyte 社が合併>

ハードドライブにする -- 色々な種類のバックアップメディアの値段を比較してみた時、ギガバイト当りの値段から言えばハードドライブが間違いなく一番であることは明らかであった。とはいっても、計算そのものは多少注意を要する。FireWire ドライブは、同等の裸の IDE ドライブに比べると FireWire ブリッジボード、ケース、それに電源装置が必要なので約 $100 程高くつくからである。数多くのメーカーが自分のドライブを放り込めるキットを出しているが、ちょっと考えてみても、嫌々ながら次の二つのオプションからの選択しかなさそうに思う:バックアップセットを切り替える度に、裸のドライブをケースから出し入れして入れ替える、そうでなければ、三つの独立したキットを買い揃え、切替をする度に FireWire と電源コードを差し替えする。(このトピックに関しての更なる論議は TidBITS-574 の "FireWire ハードディスクでバックアップ" を参照されたい。)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06383>(日本語)FireWire ハードディスクでバックアップ

と言うわけで、VXA-1 に愛想が尽きてハードドライブバックアップに宗旨換えしようと思った時、Granite Digital に助けを求めた。この会社は、長年高品質の SCSI ケーブルや記憶装置関連のアクセサリで知られている。この会社が FireVue Hot Swap Drive System と呼ばれるユニークな製品を作っている。これは、FireWire ドライブベイで、必要な電源、ファン、それに Oxford 911 ベースの FireWire ブリッジボードを含んでいる。付属していないのはハードドライブである;ハードドライブは標準の 3.5 インチ IDE ドライブを自分で買って、特製のトレイに装着し、FireVue のベイに差し込むのである。FireVue ベイとトレイ一個が付いたキットで $200 (現在セール中で $180) であり、追加のトレイは $30 する。

<http://www.granitedigital.com/catalog/pg26_firewireidehotswapdrive.htm>

もちろん Granite Digital からドライブのついた FireVue Hot Swap Drive System も買えるが、実際の所、ドライブそのものの値段は他で探すほうが安いものが見つかる。私の場合は、ハードドライブの値段を知りたい場合まず PriceWatch で調べ、次に Dealnews の特別セールを探す;この二つの間で、私の場合ドライブ当りだいたい $100 費やす - これまでの所、80 GB ドライブ二個、それから 120 GB ドライブを一個買った。

<http://www.pricewatch.com/>
<http://dealnews.com/>

FireVue は私の状況に完璧の解であった。$250 そこそこで必要なドライブベイとトレー 3枚が揃う、それに必要に応じてトレーに入れるハードドライブのサイズを大きく出来る。私の最初の 3個のドライブの構成は、オフィスにころがっていた 60 GB のドライブ一個と 80 GB のドライブ 2個であった。60 GB ドライブが一杯になった時、それをトレーから取り除き 120 GB のドライブに入れ替えた。私の目標とするのは、ドライブが一杯になったらシステムから外して子孫のために取っておくというものである。ハードドライブはバックアップ用のアーカイブ媒体として最適なものだなどという幻想は持っていないが、それでも役に立つものを捨てるのは嫌いだし(そして私の Mac も常により大きなドライブがついてくる)、将来先に行ってアーカイブディスクの一つが使い物にならなくなってアーカイブ一式が必要になるとか何かを失う事になるとかといった事態についてはあまり心配していない。

(私が Performa 6400 を使っていた事に興味を持たれどうやってこの仕事をやり繰りしてきたか不思議に思われた人のために - 今は使っていません。全ては、私のデスクトップ Mac として新しいデュアル 1 GHz Power Mac G4 を買った時に同時進行形として始まった。それまで使っていた Mac OS X で走る 450 MHz Power Mac G4 に、年を経てきた Mac OS 9 ベースの Performa 6400 からサーバの役目を引き継がせたのである。Performa は FireWire を持たないし、それに Retrospect にやらせようと思っていたソフトウェアベースの圧縮には動作が遅すぎたであろう。更にネットワークのアップグレードもやった。10 Mbps Ethernet ハブを安い 10/100 Mbps スイッチに置換え、100 Mbps Ethernet 付きの Mac のバックアップを新しいサーバに取る時にはその能力全部を使えるようにした。この様に、たった一つの決断が - SCSI ベースの VXA-1 テープドライブから FireWire ベースの FireVue への変更 - どれほどのことが先に解決されねばならないかに依存するのかは驚きである。)

より良いバックアップ、より速いリストア -- テープのバックアップというのは概してデータをテープに書き込む時には結構気持ち良く行くものだが、いつも私はテープからデータをリストアして取り出す時にはイライラさせられた。(忘れてならないのは、データのリストアこそが重要だということだ。)それでも、私のネットワークの速度が向上し、かつ高速のハードディスクにバックアップするようになって、バックアップ作業が以前よりもさらに速くなったのはとても嬉しいことだった。けれども、バックアップの方が良くなったことよりも、もっとさらに良くなったのがリストアの作業の方で、Retrospect がテープの上でファイルを探すのに数分も待たされるというようなことがなくなり、また過去にバックアップされた同一ファイルのさまざまのバージョンにアクセスするためにいくつものテープを出し入れする必要もなくなったのだ。

もう1つ、ハードディスクをバックアップに使うようになって良くなったことがある。それは、Finder でディスクを見るだけで現在の空き容量がわかるようになったことだ。テープではそうは行かない。新しいテープを入れるべきか、前と同じメディアをリサイクルできるか、というのは山勘で決めるしかなかった。その点、ハードドライブでは、ドライブがいつ一杯になるのかについてあらかじめ大まかな予測が立てられるようになった。

残念なことに、最新版の Retrospect 5.1 でさえもバックアップセットを複数個のハードディスクにまたがらせることはできない。CD、DVD、カートリッジドライブなどのリムーバブルメディアではできるのに、ハードディスクではできないのだ。今のところ、これは私にとっての問題にはなっていない。なぜなら私のネットワークでのデータすべてと、それに対する数ヵ月分の差分、というもの全部を保持するのに十分の容量が私のバックアップドライブにはあり、次々と大容量になって行くドライブの進化のペースが、私が保存データ量を増やせる能力を上回っているだろうと思えるからだ。そもそも、Retrospect はデータを圧縮(大部分が電子メールである私のデータの場合 30% から 45% ほど)できるし、それに同じファイルが複数個のマシンに存在している場合には1つだけしかバックアップしないので、データのコピーの際の重複は極力避けられているのだから。

もしもあなたが巨大なデータセットを必要とする作業をしているなら - 例えば大きな画像ファイルや、巨大なデータベース、あるいはビデオなどを扱っているなら、その場合には今のところテープのようなリムーバブルのバックアップメディアに頼らざるを得ないかも知れない。ただ、Retrospect も将来のバージョンではきっとバックアップセットを複数個のハードディスクにまたがらせる機能を追加してくれると思うが。いずれにしても、以前にも述べたことがある通り、本格的なアーカイブ作業のためにはやはりテープの方が向いていると言えるだろう。

悩みや不満もある -- この FireVue Hot Swap Drive System は、考え方としては理想的だが、現実の実装方法は完璧とは言えない。ドライブをきついトレイの中にフィットさせるのは簡単ではないし、その際にトレイの側面を走っているケーブルを傷めないように細心の注意を払わなければならない。Granite Digital ではラッチハンドルをトレイの前面に付けてトレイの挿入・排出を易しくできるように工夫してくれてはいるが、この挿入メカニズムにはカチッとはまる感触が感じられず、時にはラッチハンドルを下げてもきちんとドライブが装着されていないこともある。もっと困ったことは、トレイを排出させるために小さな丸いキーを使って鍵を開けなければならないことだ。トレイを取り出すために1つ余分の作業が必要であること自体が不満なのではない。そうではなくて、このキーが小さくて安っぽく、すぐにどこかに見失ってしまうし、使うにもちょっとしたコツが要るからだ。セキュリティーを気にしなくてもよい人のために、キーの代わりに固定式の大きめのつまみのようなものが付けられるようにしてくれればいいのに、と思う。

もっと SMART な FireVue -- こうして私は自分で購入した FireVue システムを使って数ヵ月間満足して過ごしたが、その後 Granite Digital から私に新しいバージョンができたからレビューしてくれないか、という依頼が届いた。それは FireVue SMART Hot Swap Drive System という名前で、SMART 機能(つまり“Self-Monitoring, Analysis, and Reporting Technology”)をサポートするハードドライブについて常時そのフィードバックを表示できる LCD パネルが前面に設けられたのだ。SMART 機能以外の新機能としては、旧バージョンの FireVue で私がイライラさせられた点、つまりドライブをトレイにインストールするのが少しだけ易しくなり、またトレイの挿入の感触も向上している。キーは依然として必要だが、少なくとも前のものと同じキーのようで、両者で別のキーを使い分ける必要はない。これらの機能向上と引き替えに価格は高く(トレイ1個のキットが $280、追加の SMART LCD トレイが $50、追加の標準トレイが $30)なっており、価格の違いに見合うだけのものがあるかという判断を迫られることになる。この FireVue SMART Hot Swap Drive System のトレイは旧バージョンの FireVue Hot Swap Drive System のトレイとは別もので、両者を混ぜて使うことはできない。

<http://www.granitedigital.com/catalog/pg32_firewiresmarthotswapdrive.htm>

私はこれまで SMART 機能については知らなかったが、これはハードドライブの信頼性向上のために大手のハードドライブ製造元の会社の多くが共同で開発した興味深いテクノロジーのようだ。SMART 対応のドライブには一連の自己診断ルーチンが組み込まれており、ドライブの内部動作をモニターして、その結果をコンピュータ上で動作する専用のソフトウェアか、または Granite Digital 製の SMART LCD トレイのような統合インターフェイスに対して報告するようになっている。

私はこの SMART LCD の表示が気に入った。ピーク・平均双方のデータレートのような情報が常時表示されるのだから。平均データレートはたいていの場合かなり低い数字だった。これはデータが比較的遅いネットワークを経由して届いているからだろう。Menu と Select という2つのボタンがあり、これらを使ってその他の内蔵インターフェイスを巡回することができる。例えば FireVue の FireWire ブリッジボードや、ドライブ自体、FireWire ポート、さらにはホストについての情報を表示したりすることもできる。(表示によれば現在1個のホストが接続されていて、2個までのホストが接続可能、となっていた。この点は私の好奇心をそそった。)

何と言っても一番本格的にオタク度満点の情報・コントロールと言えるのが Diagnostics/Utils メニューだ。ここの項目にアクセスするためにはまずドライブの FireWire ケーブルをコンピュータから外しておかなければならない。これは同時に Mac 上で動作している別の活動と衝突する可能性があるからだ。ここの項目を使って、SMART に関するあらゆる種類の属性、例えばさまざまのタイプのエラーレート、再配置されたセクタ、内部温度などを見ることができる。またエラーログも見られるが、私の見るところこのログはサポート担当のエンジニア以外には理解できないようなものだった。もしもドライブの健康度が気になるなら、各種のテストを走らせることもできる。SMART セルフテスト、読み込みテスト、検証テストがあり、それぞれ短・長のテスト方法が選べる。ディスクを消去するオプションまであって、これはちょっと怖いと思えた。なぜならそのインターフェイスがあまりにも単純なものだったので、間違ってそのオプションを選んでしまったらと考えてしまったのだ。(ヒント: 心配ならば、いつもしっかりと Menu ボタンを押し続けるように心がければよい。)

正直言って、この SMART 機能のサポートは今のところ私にはいくらかの娯楽的寄与以上のものは与えてくれていない。なぜなら、私はまだこのトレイに装着したドライブで何の問題も経験していないからだ。ただ、この SMART バージョンの FireVue を受け取るよりも前に、私は別のドライブで問題を経験していた。もしもこのドライブに SMART 診断が適用できていたら良かったのに、と思う。このドライブでは、例によって徹底した Retrospect の検証機能が次第に奇妙なエラーを報告するようになり、結局その原因はドライブ上に悪いブロックがあることだとわかった。単純な再フォーマットではこの問題は解消されなかったが、Disk Utility で“Zero all data”オプションをオンにして再フォーマットすることで、すべての悪いブロックがうまくマッピングから外された。今はこのドライブは正常に動いているが、次にバックアップを回す時にはたぶんこのドライブをローテーションから外すことにするつもりでいる。

これぞ SMART なバックアップ戦略 -- これが私の実感だ。今のところ、私は自分のバックアップ戦略にかなり満足している。高速で、柔軟性もあり、費用も比較的安い。それに、トレイの1つを万一のために両親の家に保管して、何週間かに一度ずつ全体をローテーションする、という使い方もできる。もちろん、これがどんな場合でも最良のものだなどと言うつもりはない。データ量が非常に少ない人には CD か DVD に保存する方が向いているだろうし、反対にもっと大量のデータがあったりアーカイブの必要があったりする人にはたぶんテープを中心にしたやり方の方が適しているだろう。けれども、少なくとも数台の Mac を使っていて、かつ総データ量が1つのハードディスクに十分収まる程度であるような人には、私は自信を持って FireVue Hot Swap Drive System と、安価なドライブ、という組み合わせをお勧めしたい。

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PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


TidBITS Talk/04-Aug-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: 湯本 敬<ymo@big.or.jp>

Casady & Greene 社製品の将来 -- この過去のスレッドへの最近のメッセージは、以前に Casady & Greene 社から販売されていた Glider Pro がどこから無料でダウンロード出来るようになったかを明らかにしている。 (5 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1993>

iTrip とその他の FM トランスミッター -- 以前のスレッドに対して別の有益なアップデートがあった。それは、iTrip をイギリスで使用することは法律的に問題があるかもしれないことが判明したことだ。もしあなたがイギリスで iTr ip を利用する計画があるなら、もっと調査する価値がある。 (13 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1947>

Mailsmith 2.0 に対するコメント -- Unicodeが扱えないこと、アドレス帳の統合、アップルスクリプトのサポート、IMAP が扱えないこと、テキスト編集能力などなど、Mailsmithについての広範囲な討論が展開された。 (32 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2021>

Macworld Expo の年齢政策 -- ニューヨークで開催された Macworld Expoから13歳未満の子供を禁止する IDG World Expo の方針について、ほとんどのメールは私達の非難に肯定的だった。一方、何人かの人から、展示会に来た子供達に対しての正当な懸念(IDG World が公表したものとは別であったが)を投げかけられた。 (21 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2022>

スーパードライブのないマックにiDVD 3.0.1をインストールする -- このスレッドにはたった1つしかメッセージがないが、スーパードライブがないマックに iLife DVDからiDVD 3をインストールする方法について教えてくれるので是非読んで欲しい。 (1 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2023>

wOzNet tracking -- 私たちは、Steve Wozniak の新しい wOzNet プロジェクトがプライバシーに及ぼす影響について心配するべきでしょうか。確かにある人はそう考えるかも知れませんが、私たちが携帯電話によって既にいつでも追跡されていることを指摘する人もいます。 (11 コメント)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2024>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA