TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#692/11-Aug-03

Apple の堂々とした 17 インチ PowerBook G4 は大きすぎるだろうか? Michael Shappe はそうは思っていない。彼も、PC ラップトップから転向してきたことを喜んでいる一人なのだ。Adam からは、賢いスクロール法で Mac OS X をもっと能率的に使いこなすためのいくつかのヒントが紹介される。Sander Lam は先日亡くなったオランダ語版翻訳者、Walter Van Lerberghe の思い出を語る。ニュースの部では、Default Folder X 1.8、AirPort 3.1.1 と OmniWeb 4.5 のリリースについて概観する。

記事:

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MailBITS/11-Aug-03

Default Folder X 1.8 リリース -- St. Clair Software の Jon Gotow は先週 Default Folder X 1.8 をリリースした。これは Mac OS X における開く・保存の標準ダイアログの機能を拡張するための彼のユーティリティの最新版だ。今回この Mac OS X 版の Default Folder X にも復活した旧機能は、保存ダイアログ内の項目を Option-クリックするとその名前がコピーされ、わざわざタイプせずに済むようになるというものだ。それ以外の改良点としては、お気に入りのフォルダを開くためにシステム全般で利くキーボードショートカット、すべてのアプリケーションで共通に1つのデフォルトフォルダを指定できる機能(これはハードディスクのあちこちに無秩序に書類を保存してしまう人には便利だ)や動作速度の向上、ユーザーインターフェイスの細かな改良などがある。今回のアップデートは登録ユーザーには無料で、新規に購入する場合の価格は $35 となっている。Default Folder X 1.8 は 3.1 MB のダウンロードだ。[ACE](永田)

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolderX/>
<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolderX/release.html>

AirPort 3.1.1 がパフォーマンスと互換性を改善 -- Apple はバージョン 3.1.1 の AirPort(訳注: 日本では AirMac)ソフトウェアをリリースした。AirPort Extreme Base Station ファームウェアのバージョン 5.1.1 も、その一部として含まれている。AirPort 3.1.1 での変更点としては、ワイヤードとワイヤレスのクライアント間のパフォーマンスの改善、LAN 上でのマルチキャスト・トラフィックの扱いの強化、それに AirPort Extreme Base Station で NAT や DHCP を使った場合の挙動やパフォーマンスの改良、などがある。また、The Wireless Networking Starter Kit のフォーラムでの報告として聞いた話だが、このファームウェアアップデートによって、PC 上の D-Link DWL G520 PCI カードで AirPort Extreme Base Station に接続するのが可能になったということだ。この組み合わせは、以前のバージョンでは接続不可能だった。AirPort 3.1.1 は 7.8 MB のダウンロードで、Software Update からも、また Apple から直接にも入手できる。[ACE](永田)

<http://wireless-starter-kit.com/phpBB2/viewtopic.php?t=434>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=70176>

OmniWeb 4.5 リリース -- The Omni Group が OmniWeb 4.5 をリリースした。この Mac OS X 用ウェブブラウザのメジャーなアップデートだ。The Omni Group の開発者たちは、これまで自前のレンダリングエンジンをこのプログラムの中で使用していたのをやめて、Apple の WebCore および JavaScriptCore フレームワーク(これら二つはどちらもオープンソースの KDE プロジェクトに基づいている)つまり Safari のベースとなっているテクノロジーと同じものを使用するように切り替えた。その結果、ページのロードが速く、より首尾一貫した挙動になり、ウェブのスタンダードをより忠実にサポートするようになった。それと同時に、OmniWeb の開発者たちが独自の機能を開発することに集中できるようにもなった。そのような機能としては、音声でコントロールするナビゲーション、履歴の検索、広範にわたるセキュリティーおよびフィルターのオプションなどが挙げられる。(例えば、広告専門として知られているサーバからの画像は表示しない、というようなことができる。)OmniWeb 4.5 は 4.3 MB のダウンロードだ。フル版を使用するためのライセンスは $30 となっているが、これまでの OmniWeb 4.x バージョンのライセンスを既に持っているユーザーには今回のアップデートは無料だ。[JLC](永田)

<http://www.omnigroup.com/applications/omniweb/>
<http://developer.apple.com/darwin/projects/webcore/>


Mac OS X スクロールヒント

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

全体が一画面に収まりきらないウィンドウをスクロールする事以上に当たり前として捉えている事があるだろうか?まあ息をすることは間違いなくスクロールする事を越しているだろうが、日頃スクロールするやり方について少しでも時間を費やしてみる事など我々大部分にはないであろう。そこで、スクロールバーや、アロー(矢印のキー)、Home と End、Page Up と Page Down のような、明らかなナビゲーションキーの基本を超えて行くにはどうすればいいのかについてのヒントについて読み進んで欲しい。付け加えておくと、ここで扱うものは、スクロールホイールのついたマウスのように気の利いたものにお金を注ぎ込む事なしにできるものばかりである。

ダブルアロー・スクロールバー -- Apple のスクロールバーに対するデフォルト設定が良いと思えた事など一度もない。この設定では、シングルアローをスクロールバーの両端に(上向きアローを上端に、下向きアローを下端に)置くか、ダブルアローをスクロールバーの一端に(上向きと下向きのアローをくっつけてスクロールバーの下端に)置くかの選択はさせてくれる。しかし Apple は、ダブルアローをスクロールバーの両端に置くという当然考えられる第三の選択肢を披露していない。これをやらせるコードは、クラシック Mac OS にも Mac OS X にもこれまでずっと組み込まれて来ているのにである。

これを可能にするのが、 Mac OS 8.5 から Mac OS 9 (そして Mac OS X の Classic アプリケーション) では Tom Schmidt のフリーウェア Scroll Bars (5.6K ダウンロード) であり、スクロールバーの両端にダブルアローを配置させてくれる。Mac OS X では、Marcel Bresink の無償の TinkerTool 2 (480K ダウンロード) が使え、ここでもスクロールバーの両端のダブルアローが使えるようにできる(その他の気の利いた機能もついてくる)。

<http://homepage.mac.com/TomDar2/software.html>
<http://www.bresink.de/osx/TinkerTool2.html>

もしコマンドラインを使うのが気にならないのであれば、簡単な Unix コマンドで、TinkerTool をダウンロードして使うよりもずっと手短にダブルスクロールアローが使えるようにできる。まず Terminal を走らせて次の行をプロンプトの所に貼り付けるだけである (これをやるには、管理者レベルのアカウントでログインしている事が必要であるが)。そうした上で、ログアウトし再ログインするか、Mac を再起動するかすればダブルアローを使い始められる。

defaults write "Apple Global Domain" AppleScrollBarVariant DoubleBoth

これをやった後、やはりダブルスクロールアローは好みに合わないと思った場合は、次の操作をすれば Apple のデフォルト設定に戻れる。Mac OS 9 上では Appearance コントロールパネルの Options タブから (Mac OS X の Classic アプリケーション上では Apple メニューからが最も入りやすい)、或いは Mac OS X の General 設定画面からできる。

ジャンプスクロール -- とりわけ長いドキュメントの場合はスクロールが煩雑になる事がある。これがスクロールバーの空きの部分をクリックした時どうなるかを決める新しいオプションを Apple が付け加えた理由かもしれない。従来はこれをやると次のページへとスクロールした。これは容易に理解でき、スクロールバーのどこをクリックするか選ぶ時大きなターゲットを与えてくれる。Mac OS X のGeneral 設定画面では、スクロールバー上でクリックするとページではなくドキュメントとしてクリックした場所に対応するところまでスクロールするモードを選択することができるようになった。つまり、ドキュメント上で一番上にいたとして下方ほぼ真中をクリックしたとすると、そのドキュメントもほぼ真中までスクロールする。更に、スクロールバーの一番下を再度クリックすると一気に一番下までスクロールしてくれる。このモードは、Cocoa と Carbon アプリケーションでは機能するが、Classic アプリケーションではダメである。

私も一台の Mac でこの機能をオンにしてあるが、正直に言うと、気が変になりそうである。というのは、このドキュメントの長さはどのぐらいで、自分の欲しい部分に対応するのはスクロールバー上ではどの辺であろうかと常に気を巡らさなければいけないからである。幸いにして、これが本当に役に立ちそうな時だけこれを使うという方法がある。

まず通常のページ毎スクロールの設定のままにしておき、長いドキュメントである特定の場所に超空間のジャンプをしたいという場合だけその場所に向けてスクロールバー上で Option クリックをして一回だけのジャンプをするのである。私の経験から言うと、これは iPhoto ではとりわけ有効である。というのは、何千枚もの写真をスクロールしていると際限なく時間がかかってしまう。私は、まず大体行きたいところを見当つけて Option クリックジャンプをし、それから通常のクリックをして短い距離をスクロールするのである。

アプリケーションドラッグとスペーススクロール -- アプリケーションによっては、クリック&ドラッグする、或いはスペースバーを押すことでスクロールする代替手段もある。これらの方法は一般的ではあるが、どこでもサポートされているわけではない。一例をあげれば、アイコンビューで Finder ウィンドウを使っている時、Command-Option を押し込んだままそのウィンドウの中でクリックしドラッグすればスクロールされる。

Adobe Acrobat (少なくともバージョン 5.0) では、ハンドツールを使っている時にはドラッグしてスクロールできる。これを可能にする条件は、一つのページの部分にズームインしているか、或いは Display 設定が Continuous ページレイアウトオプションの一つに設定されているかである。もし通常は Single Page レイアウトのままが良いが場合によってはドラッグしてスクロールしたいと言う時は、ドキュメント単位で View メニューからこの設定を変えられる。同じことが Apple の Preview にも当てはまる - ドラッグスクロールを有効にするには View メニューで Continuous Scrolling を選択する。

<http://www.adobe.com/products/acrobat/>

PDF ファイルをまず中身がどんなものかをざっと見るだけのためにダウンロードするのは好きになれない?そういう人は、Manfred Schubert の PDF Browser Plugin を試されると良い。これは Safari と他のいくつかの Web ブラウザ上で PDF を見ることを可能にする。これはこの主題からはずれていないかって?これを取り上げた理由は、これを使えばデフォルトで Web ブラウザの中で PDF ファイルをドラッグスクロールできるからである。追加の機能としては、PDF ファイルを保存し次に Acrobat Reader のような他の PDF viewer で開く事ができる。

<http://www.schubert-it.com/pluginpdf/>

最後に、あまり目立たないがスペースバーの事も忘れないで欲しい。この世の始まり(少なくともキーボードの始まり)から、インターネットアプリケーションの主眼はテキストを読むことにあり、メールクライアントも、Usenet ニュースリーダーも、そして後に Web ブラウザも、長いテキストのスクロールダウンのショートカットとしてスペースバーを使ってきた。これは、Eudora, Mail (プレビュー画面で), Entourage, Safari, Internet Explorer, Camino, Preview 等々で機能する。しかしドキュメント上でスクロールアップして戻る機能のサポートはそれ程当たり前ではない;Entourage, Mail, それに Safari では Shift-スペースバーが使える;Internet Explorer では Option-スペースバーとなる。インターネットのコンテンツを読むのにあなたがお使いになる特定のアプリケーションがスペースバーを使ったスクロールをサポートしているかの保証は出来ないが、その可能性は高いし、少なくとも試してみる価値はあると思う。

スクロール、スクロール、スクロール -- 私は、何も Mac OS X 上でどうスクロールするのかを時間をかけて色々考えてみるべきだと言っているわけではないが、一回だけ少々の時間を割いてやる事で、一つのウィンドウの内容が全部見えない時に、Mac の使い勝手を良くする新しい仕掛けをいくつか学べるのである。

PayBITS: Adam のスクロールヒントがあなたの Mac 生活の助けになったなら、彼に対して数ドルを PayBITS で送ることを考えて頂けませんか?
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PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


わしの王国をやるから Mac をよこせ! - Walter Van Lerberghe 追悼

by Sander Lam <sanderlm@knoware.nl>

電子メールだけの付き合いで、お互いにどれだけ相手のことがわかるようになるのだろうか? 私は、Walter Van Lerberghe と直接会ったことはほんの数回しかない。けれども私たち二人は、数え切れないほどの電子メールのメッセージを交換し合った。そのほとんどが、毎週の TidBITS をオランダ語に翻訳するという、私たちが共にかかわっていたボランティアの活動に関するものだったのだが、そのような交流が続いていくうちに、私たちは折にふれて個人的な他の事柄についても話を交わすようになっていった。

2003 年 7 月 11 日に、Walter は亡くなった。私は、自分のハードディスクや保存用の CD の中から、彼の思い出(メモリー)を1メガバイトほど、取り出して眺めてみた。この理由は悲しいものだったけれど、そうしてみることは実際心地良いものだった。なぜなら、Walter からのメッセージはいつも、何かしら明るい輝きに満ちていたからだ。彼はよく、楽しい人生に話題を向けてくれた。例えばベルギー人の醸造するビールが世界最高だ、とも話してくれたし、彼の話にはいつも、真剣さとユーモアとが絶妙のバランスで保たれていた。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07278>(日本語)<Walter Van Lerberghe を偲んで

Walter は、言葉、というものに熱中するのが大好きだった。彼にとって、それはいわば自分の小さな灰色の脳細胞を活性化させておくための気晴しのようなものだった。そう、これはかのベルギー人、アガサ・クリスティーの小説に登場するエルキュール・ポワロの有名な台詞だ。Walter はハイファイ機器の説明書を書くのが仕事で、これにはさまざまの技術用語を表現するために自分で新たに言葉を発明するという作業が含まれていた。そして、Walter の守備範囲はオランダ語、フランス語、英語だけでは止まらなかった。彼と妻は休暇をテネリーフで過ごすのが好きで、そこはカナリア諸島、つまりスペイン領だったことから、Walter はスペイン語の勉強まで始めたのだった。

1991 年のこと、彼は健康を害して仕事を辞めることになり、そこで彼は余った時間を彼のもう一つの大きな趣味、つまり Macintosh に充てるようになった。彼は熱心な TidBITS 読者となり、その後 1996 年になってこのニュースレターをフランス語に翻訳するボランティアを求める呼びかけがあった時、彼はこの機会を利用して自分の二つの趣味を結び付けることができると考え、いつも変わらず高い品質の記事を届けてくれる TidBITS に少しでも恩返しをしよう、とこの呼びかけに応えることにしたのだ。

TidBITS のオランダ語への翻訳が実現されたのはそれよりもかなり後になってからのことだったが、紆余曲折はあったものの Jan Vanderwegen と Walter の二人がボランティアの人々を必要なだけの人数にまで集めることに成功した。初期の頃は Walter が自らかなりの量の翻訳作業を担い、私たち他の者たちが皆投げ出さずに続けて行けるようにと励ましの声を掛け続けてもくれ、こうして私たちチームは何とか軌道に乗って行った。そうこうするうちにチームの人数も増え、作業の行程も固まって安定したものになってきた頃には、Walter は私たちチームの常任の最終編集者となっていた。彼は何年かの間フランス語とオランダ語の両方の作業をしていたが、そのうちに彼もフランス語版の方の仕事は諦めざるを得ないことになった。

Walter は自分自身にもまたチームのメンバーたちにも、要求すべきことはきちんと要求したが、同時に彼はどこで手綱を緩めるべきかという勘どころも心得ていた。英語のコンピュータ専門用語を無理やりすべてオランダ語の単語に替えなければ、というやり方は全く馬鹿げている、というのが彼の持論だった。また、オランダ語の TidBITS の品質の高さは自分の誇りだと、ことあるごとに私たちに言ってくれていた。彼は、オランダ語翻訳、という言葉は使わずに、オランダ語“バージョン”という言い方を好んだ。だからこそ、私たちのバージョンでは記事タイトルでの大文字の使い方がアメリカの習慣とは違っているし、句読点の使い方も、またその他いろいろな点でも、元とは違っている点が多々あるのだ。

Walter はまた、TidBITS をもっと知ってもらおう、ということにも力を注いだ。知り合いの人には誰でも TidBITS のことを話したのはもちろん、オランダの MacFan 誌のインタビューにも喜んで応じた。(「MacFan と TidBITS、この2つさえあれば Mac ユーザーは完璧ですね。」)TidBITS のロゴ入りの t-シャツが初めて注文できるようになった時、Walter が気を揉んでいたことはただ一つ、それは、彼が次にテネリーフへ行く時にその t-シャツを着て行けるように届くのが間に合うかどうか、ということだった。(彼が注文したのは2枚のシャツだった。彼の妻と二人仲良く TidBITS ロゴのシャツを着てビーチに寝そべっていたのかどうかは、結局彼は話してくれなかった。)

Walter は、翻訳チームの中でお互いに個人的な付き合いを築くことにも心を砕いてくれた。私たちのメーリングリスト、これは翻訳上の問題を議論するために作られたものだったのだが、ある時私たちは、可笑しな詩をこのメーリングリストで嵐のように互いにやり取りし合ったことがある。真面目な「仕事」の合間に皆の間でちょっと微笑んで一息つく時間がとれただけではなく、これは私たちが言葉というものを大切にしているのだ、ということをお互いの間で確認し合うことにもなった。それだけではなく、私たちが皆 Macintosh に興味を持っていることも、お互いの絆の重要な要素だった。こうして私たちは次第にお互いをもっと知りたく思うようになり、そこで Walter は私たちに、いつか皆で一緒に食事でもしてもっとお互いに親交を深めよう、と提案した。チーム全員が一堂に会することは結局実現できなかったが、翻訳チームのメンバーが何人かだけ時々集まって会合する、というのは既に伝統になっていて、私たち全員、お互い同士の、またオランダ語 TidBITS との間の、強い絆を作り上げる力となっている。

この記事のタイトル、“My Kingdom for a Mac!”(「わしの王国をやるから Mac をよこせ!」)というのは、シェイクスピアの「リチャード三世」の有名な台詞をもじったもので、これは以前 Walter が電子メールの署名部分に使っていたものだ。このわずか5つの単語の中に、彼の人となりが浮かび上がるのを私たちは感じる。これは Mac を賛美する歌であり、同時にまた、ちょっとした言葉遊びでもあるのだから。Walter は、Mac を携えて逝くことはできなかったが、確かに彼は、私たちの中に追憶の王国を遺してくれたのだ。


Apple の 17 インチ PowerBook G4

文: Michael Scott Shappe <mshappe@kurimconsulting.com>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

大概の人が 17 インチ PowerBook G4 を初めて見て最初に口にしてしまうのは、今更言う必要もない次のような言葉である。「うわー、こいつは大きいや!」

<http://www.apple.com/powerbook/index17.html>

それ以外の表現はほとんどあり得ない。ほとんどの電子機器が小さくなっていくなかで、Apple はまた新たな一歩を一見直観に反した方向へ踏み出し、あのように大きなラップトップを生み出したのだ。しかし、PowerBook はその一方で滑らかで薄くつややかであり、その大きさと構成からすると驚く程軽い。つまり、大きさだけではない印象的なマシンということだ。

もちろん、見た目が良いからという理由だけでラップトップを買う人はほとんどいない。もしそうなら、ほとんどの家庭にあるラップトップはいつも棚に飾られたままということになってしまうだろう! ラップトップを買うのは、持ち運びできる便利なコンピュータが欲しいからである。この観点からすると、信じるかどうかは別として 17 インチ PowerBook G4 は実に見事に成功しているのだ。

テーブルに置いたときにはそれなりに大きく感じるが、私は自分のヒザの上に置いたとき扱いにくいとは感じていない。6.8 ポンド (3.1 kg) という重さは、多くの最近のラップトップには負けるが、自分が使ってきたほとんどのものよりは軽い。例えば、私の古い Fujitsu Lifebook 420D は 7.3 ポンドもある。Toshiba は最近 17 インチのラップトップ、P25 シリーズを発表したが、これはなんと 10 ポンドもある。これらと比較すると 6.8 ポンドなら何の問題も無いし、これは PowerBook を使っていない時に私のヒザの上にいることの多い私の飼い猫の半分ちょっとの重さでしかない。

<http://www.fujitsupc.com/www/products_overview.shtml>
<http://portables.toshiba.com/>

キーボード -- キーボードは 12 インチ PowerBook のフルサイズのものとまったく同じようであり、画面に向かって奥に追いやられているため手前に手のひらや手首を置く広いスペースがある。このスペースが広すぎだという人もいるが、私はこのほうが好きだ。私がいつも使っている別のラップトップ(Toshiba Tecra) は手前に十分なスペースが無いだけでなく、鋭い縁が手首に食い込んで痛い。PowerBook なら長時間の使用でも遥かに快適に使うことができる。

キーボードを押したときの移動量は適切で、確かな押しごたえがある。キーは、アルミの外観にもかかわらず実はプラスチックであるが、他のケースの部分と比べても剛性はほとんと変わらない。

意外にも、このマシンで起きた唯一の問題がこのキーボードだった。一月半ほど使用した後、T キーが抜けかけの歯のようにグラグラしたあと取れてしまったのだ。私は、薄いキーを使っても充分な移動量が確保できるよう設計したために生じた欠陥だと感じている。もしあなたの指がキーの縁に近い場所を押しているなら、爪で隣のキーの下側を引っかけるかもしれない。おかげで私は以前よりも少し注意深くタイプするようになった。

今までの Apple のポータブルとは異なり、このキーボードのキーは現場で交換するようには設計されていないので、T キーが使えなくなったのはとても困ったことだ。Apple に電話すると担当者から当惑が伝わってきたが、最終的にこれを保証期間内の修理とする許可が得られ (どうやら PowerBook のキーボードでは異例のことらしい)、発送に使う箱を私に送る手続きをしてくれた。幸いにも、Apple が約束した通り 4 営業日でマシンは手元に戻ってきた。

多くの感嘆の声にもかかわらずさほど大きな話題になっていないのが、キーボードのバックライト機能だ。暗い部屋では、スピーカーグリルに隠されている光センサーがキーボードの下を走っている光ファイバーをオンにする。キーの刻印は印刷ではなくエッチング処理されており、透過してきた光で刻印だけが照らし出される。同時に、光センサーは自動的に画面の明るさを落とし、全体的な明るさのレベルを釣り合わせる。画面とキーボードの明るさはファンクションキーを使って調整することが可能だ。システム環境設定のディスプレイで自動設定になっていると、ファンクションキーはそれをまったく無効にするのではなくその自動システムの上限を設定することになる。

今、私はほとんど明かりの無い部屋でこれをタイプしているが、キーボードの明るさを上げているため普通サイズのキーに書かれている刻印はすべて明るくクリアーに見える。しかしながら、ハーフサイズのキー (ファンクションキーやカーソルキー) はそれほどでもない。

ホットに行こう -- マシンは、しばらくするとヒザの上や手の下でかなり暖かくなる。その熱が不愉快と感じるかどうかは個人差があるだろう。しばらく使っていなければ、最初にそれをヒザの上に載せたときには金属製のケースがそうであるように心地よい冷たさを感じる。しかし、一時間もすると明らかに熱くなってくる。私の場合、ラップトップが快適と感じる以上に熱くなった時は、マシンをスリープ状態にし立ち上がってしばらくの間ストレッチ運動をすべきサインだと思うことにしている。

もしこれをヒザの上ではなくテーブルの上で使うつもりなら、この熱はさして問題にならないであろう。Apple はこのマシンをある意味デスクトップ Mac の代替品と位置づけているので、それが熱への対処がさほどされなかった理由なのかもしれない。

確かに、17 インチ PowerBook G4 はデスクトップ Mac の代替品としては充分すぎるほどのハードウエア機能を持っている。背面から正面に向かって左側には電源端子、モデム端子、USB 1.1 ポート、PC Card スロット、マイク端子、そしてヘッドフォン端子があり、背面から正面に向かって右側には DVI ビデオ端子、S-Video 端子、Gigabit Ethernet ポート、FireWire 800 と FireWire 400 ポート、そしてもう一つ USB 1.1 ポートがある。アナログモニタやテレビに接続するため、Apple は DVI を VGA へ、そして S-Video を RCA に変換するケーブルも用意している。これだけ備わっていれば、最近の考えうるほとんどすべての周辺機器が使えることだろう。これまでに耳にしたことがある唯一の不満は、高速の USB 2.0 ポートが無いということだ。

17 インチ PowerBook G4 は標準で 2 種類、Bluetooth と AirPort Extreme(802.11g) (訳注: 日本では AirMac Extreme) のワイヤレスネットワークオプションが装備されている。私は AirPort Extreme Base Station を持っていないが、802.11g は 802.11b ベースのステーション (例えばオリジナルのAirPort (訳注: 日本ではAirMac)) と互換であり、私はほとんどいつもそれを使ってネットワークにアクセスしている。初期のワイヤレスネットワークの異常に悩まされたこともあったが、それは私が使用している SMC 社の 802.11bワイヤレスゲートウェイの非標準オプションのせいだと判明した。それをオフにした後は、すべて順調に動作している。

<http://www.smc.com/index.cfm?sec=Products&pg=Product-Details&prod=76&site=c>

ラップトップで映画を -- このように大きなラップトップを購入する理由は、もちろん大きな画面を手に入れるためであるが、この PowerBook の 17 インチの画面は本当に美しい。明るく鮮明でクリアであり、グラフィックを多用するビデオゲームをプレイできるほどレスポンスも速いと思う (描画性能を計るための重要な指標である)。画面をいろいろな角度からみてもゆがんで見えることはない。

明るい日光の下でも、画面を見るのにまったく問題はない。画面のコントラストは、コードを書いたり気軽にウェブサーフィンをしたり電子メールを読み書きするのに充分である。しかしながら、本格的な写真の修正など色を正確に識別する必要がある作業は行ないたいと思わないだろう。比較すると、前述のToshiba Tecra は日光の下ではまったくといっていいほど使用に堪えなかった。Apple が 16:9 というワイドスクリーンの画面縦横比を採用したことに対しては、個人的には未だに自信を持って同意はしかねる。私だったら、幅もそうだが高さもあったほうが好ましいと思ったであろう (例えば 1440 × 900 ではなく 1440 × 1280の解像度)。

スロットローディングの SuperDrive は、CD、CD-R、CD-RW、DVD、そして DVD-Rのすべてが読める。もちろん CD-R、CD-RW、DVD-R の書き込みも可能だ。今のところ、すべての優れた Apple 製品の例に漏れずこの機能は問題なく動作している (最初に発表されたとき、実際は一倍速なのに誤って 2 倍速と Apple のウェブサイトに表示されていた。これは Power Mac の 4 倍速 SuperDrive と比べると遅いが、持ち運びするためには速度を犠牲とせざると得ない)。DVD の再生は、他のプロセスでプロセッサに負担がかかっていない限りスムーズだ。

キーボードの両側にある大きなスピーカーは、音楽を流したり (例えば iTunesで) DVD のサウンドトラックを再生しながら聴くには充分だと思う。根っからのオーディオファンならもちろんライン出力あるいはヘッドフォンジャックを通して外部に出力したいと思うだろうが、日常的に使用するぶんには特に不満は無い。

それでは、性能はどうだろうか? 答えは、あなたが何を求めているかによるとしか言えない。もしもあなたがハイエンドビデオカードの付いた 3 GHz のマシンを使い慣れているような PC ユーザーなら、少しがっかりするかもしれない。しかし、それ以外の人や私と同じ目的、ウェブの開発やグラフィックデザイン、そしてウェブサーフィンのためなら、特に 1GB の RAM があれば言うこと無しだ。[編者註: Apple は私に 17 インチ PowerBook G4 を一週間貸してくれた。使ってみると、Mac OS X が自分の 400 MHz で動作する Titanium PowerBook G4 と比べきびきびと動作するのが分かった。プロセッサに負担がかかる Adobe Photoshop、InDesign、Final Cut Express、そして iMovie などのアプリケーションもはっきりと分かるほど動作が速かった。実際の話、その美しい画面やデザイン (バネ仕掛けのヒンジの意匠は、それ自身特別な賞に値する) も素晴らしいが、それにもかかわらず、私が最も強い印象を受けたのは 17 インチPowerBook G4 の全体的な速さそのものだった。-Jeff Carlson]

パワフルにパワーを -- 電源を取るための場所を探すことは、最近は簡単になってきたとはいえ、ラップトップを持って旅行するときなどは特に心配の種になりかねない。あなたは、PowerBook の比較的高速なクロックスピードと大きな画面を考えると、AC 電源コードを使わずにいられる時間はかなり短いと思っているかもしれない。嬉しいことに、実は必ずしもそうではない。

バッテリーで作動する機器はみなそうだが、バッテリーの寿命はそれで何をするかによって違ってくる。AirPort (邦名 AirMac) と Bluetooth、そしてキーボードのバックライトをオフにし、画面のバックライトを見える範囲で最低の設定にすれば、バッテリー切れの警告が出るまで丸々 3 時間半文章を書いたりプログラミングしたりすることができる。その明るさでも画面は充分に見られたが、どこまで見ることが可能かは明らかに周りの光の状況により左右される。ハードディスクにある音楽を iTunes で聴くと (これによりハードディスクは回転し続ける)、バッテリーの使用可能時間は短くなるが、大きくは減らない。AirPort (邦名 AirMac) がオンでも、警告が出るまで充分 2 時間以上はバッテリーで駆動できる。CD や DVD の本格的な再生はバッテリーを使って行なったことはないので、これがバッテリー使用可能時間にどのような影響を及ぼすかは私には分からない。

そう、もちろんこれよりも長時間バッテリーで動作するラップトップは他にもあるが、全体のパワーと実用性でこの PowerBook に迫るものを私は知らない。同じような条件で、私の Toshiba Tecra はせいぜい 2 時間ちょうどがいいところだ。

Apple の AC アダプタは、コンセントにつなぐときも便利なように設計されている。これは白い四角形をしており、少し細いケーブルでコンピュータにつながる。2 つの角にあるはね上げ式のツメが、ケーブルをまとめてだらんとたるまないようにするのに役立つ (アダプターをケースにしまうときにも便利だ)。もう一つの角には取り外し可能なプラグモジュールがある。このモジュールが装着されていれば、そのままはね上げ式のプラグをコンセントに差し込める。しかし、PowerBook には、このプラグモジュールと付け替えて使える丈夫な延長コードも同梱されている。このモジュールの設計はとても賢い。しかし、外国のコンセント用モジュールもそのまま使えるのか、あるいはまったく別な ACアダプタが必要なのかは不明確である。

総合評価 -- 私がキーボードであった問題を別にすると、唯一の不満はPowerBook の価格だ。3,200 ドルというのは、デスクトップあるいはラップトップにかかわらず現在発売されているコンピュータの中で一番高価な部類に入る。Toshiba の 17 インチの競合機は 1,000 ドル以上も安い (3.2 ポンド重いが)。私はこの Apple の最高機種を欲しいと思い買うことができたが、いくらハイエンドのマシンとはいっても Windows や Linux マシンなど Intel のライバルたちよりも遥かに高い金額を付け続けることは Apple のためにならないだろう。

このマシンは、私にとって Macintosh と NeXTstep のコミュニティーへ戻ってきたことを意味している。私は 1980 年代と 1990 年代の初期にその双方の熱心な愛好者だったのだ。今、このそれほど小さくはないラップトップの完全な虜になっている。価格は確かに高いが、騙されたとは思っていない。これから数年間は、自宅で、そして外出先でこのマシンの生産性と楽しさを享受することだろう。

[Michael Scott Shappe はソフトウエアエンジニア、ウェブデザイナー、そしてコピーエディターであり、そしてあるときはレビューもする。数年ほどWindows と Linux の世界にいた後、最近 Macintosh へと戻ってきたばかりだ。彼はまだ、依然としてLinuxがすばらしいと思っているが、Windows との距離が取れるようになってとても満足している。]

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TidBITS Talk/11-Aug-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

メールのアーカイブ方法 -- じゃあ、あなたはこれまでに受け取った古い電子メールのメッセージの数々を、どうやって保管しているの? TidBITS Talk の読者たちが、いろいろな解決法を持ち寄って議論した。(メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2026>

個人用情報マネージャの利用法 -- 人によって NoteTaker よりも NoteBook の方を好んだり、あるいはその反対だったりするのはどうしてだろうか、また全然別のものを推薦する人もいるのはなぜだろうか、と考えていくうちに、私たちは人々がこうしたプログラムに何を求めているのかを探り出すのが先決だ、ということに思い至った。さあ、議論に加わりましょう! (メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2027>

FireVue とハードドライブでのバックアップ -- FireVue や、その他のハードディスクによるバックアップの方法を探り続けている人は他にもいた。そうしたアプローチを検討中の人には必読。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2028>

Office X 10.1.4 の問題点 -- Microsoft が最近リリースした Office 10.1.4 アップグレードには、Entourage を Exchange サーバと共に使おうとしている Entourage ユーザーにとっては非常にありがたい機能が含まれている。ただ、このアップグレードには用心しておかねばならない点もいくつかある。(メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2030>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA