TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#693/18-Aug-03

Mac の世界で最も力を持っているのは果たして誰か? 毎年恒例の調査、MDJ Power 25 の結果によれば、それは Steve Jobs だ。けれども我らが Adam も、この調査結果で4年連続のトップ5入りを果たした。それにはちゃんと理由があるのだ。また、Kirk McElhearn はコマンドラインを使っていくつかのファイル操作を易しくこなす方法を解説し、Adam は電子本について彼が現在取り組んでいる実験について報告する。リリースのお知らせは、GraphicConverter 4.8、Security Update 2003-08-14、TextWrangler 1.5、DVD Studio Pro 2 だ。

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MailBITS/18-Aug-03

TidBITS の出版者 Adam Engst が MDJ Power 25 で第4位に -- 毎年恒例の MDJ Power 25 調査の結果が出た。TidBITS 出版者の Adam Engst はこれで4年連続で上位5位以内にランクされ、今年は第4位だった。この MDJ Power 25 は、Macintosh 業界で真にパワーと影響力を持っているのは誰かを、長年の業界インサイダーたちの意見を聞いて決定しようというものだ。昨年から2年連続で、Apple 社員以外で上位5位以内に入ったのは Adam ただ一人だった。Apple の CEO、Steve Jobs が、今年も Mac 業界の最重要人物たる票を集めた。(これは誰もが認める結果だろう。)第2位は Apple の Chief Software Technology Officer である Avie Tevanian、第3位は Vice President of Software Engineering の Bertrand Serlet、そして第5位は Vice President of Design の Jonathan Ive だった。Adam がこのように連続して上位にランクされたのは何故だろうか? それは、業界のインサイダーたちが TidBITS を必読のものと見なしており、Macintosh コミュニティーをより良いものにしようとする Adam の裏舞台でのたゆまぬ努力を、彼らが認めているからなのだ。

<http://www.macjournals.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1246>
(日本語)我らがナンバー 2!TidBITS の出版者 Adam Engst が MDJ Power 25 で第3位に

この投票には、Apple 社員に(さらに言えば特にトップに近い幹部社員に)より大きなパワーと影響力を認めようとする傾向がある。25 人から成るこのリストのうち、2000 年と 2001 年には 10 人が Apple 社員であったが、これが 2002 年は 14 人、2003 年は 16 人となった。それと入れ替わりにリストから外れていったのが独立の Macintosh 開発者たちだった。(2000 年は 7 人、2001 年は 8 人、そして今年はたった 3 人で、それも IBM 社の Dr. John E. Kelly を数えればの話で、彼は PowerPC G5 チップ開発グループの責任者というだけの理由でリストに入ったのだ。)文筆家、ジャーナリスト、出版者たちの数は毎年少しずつ減るだけに止まった。2000 年の 8 人から始まり、2001 年と 2002 年は 7 人に減り、2003 年は 6 人になった。ここで浮かぶ懸念は、この傾向が Cupertino(Apple 本社)へのパワーの一極集中を反映しているのではないか、ということだ。もしもそうなら、これは Macintosh 世界の全体としての健全性に悪影響を与えかねない。あるいは、MDJ としての業界インサイダーたちの選定の仕方(少なくともそのうちで投票する意思を示してくれた人たち)に、何らかの形で Apple の方を向いた片寄りがあったのかも知れない。もう一つ言えるのは、「パワー」と「影響力」という言葉の間にちょっと紛らわしい点があるということだ。つまり、Apple 社員たちは確かに非常に大きなパワーを持っている。(なぜなら、彼らの一挙手一投足のほとんどすべてが Apple の顧客たちに影響を与えるからだ。)けれども Adam や、New York Times の David Pogue (第6位)、MacInTouch の Ric Ford (第 12 位)、Mac Publishing の Rick LePage (第 14 位) のような人たちこそが、私たちの知識、私たちの会話、私たちの思考の方法にまで、大きな影響を与えているのだ。[GD](永田)

Apple が Security Update 2003-08-14 をリリース -- Apple は Mac OS X 用のセキュリティー・アップデート、Security Update 2003-08-14 をリリースした。これは 1.1 MB のダウンロードで、Software Update から利用できる。今回のリリースでは FreeBSD のネットワーク機能に関連した部分で 1 だけずれていたプログラミングの誤りを修正して、その誤りを悪用して遠隔ユーザーが Mac OS X システムにルートレベルの権限でアクセスができてしまう可能性のあった抜け穴を塞いだ。この問題は元々 wu-ftpd の FTP サーバにおいて発見されたもので、FreeBSD Unix および FreeBSD 由来のオペレーティングシステム(Solaris および数種の Linux を含む)に影響を与えるものだった。現時点で Apple はこのアップデートについての詳しい情報は何も発表していない。しかしながら、この潜在的問題が Mac OS X なり他のオペレーティングシステムなりで実際に悪用されたという事例は全く伝えられていない。[GD](永田)

<http://www.info.apple.com/usen/security/security_updates.html>
<http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CAN-2003-0466>
<http://www.info.apple.com/usen/security/index.html>

TextWrangler 1.5 がスクリプティングとシンタックスカラーを追加 -- Bare Bones Software 社は、同社のスマートなテキストエディタの最新版、TextWrangler 1.5 をリリースした。今回の新機能の目玉は AppleScript の完全サポートを追加したことで、これで TextWrangler がテキストファイル関連の自動化ワークフローのツールとして使えるようになった。さらに嬉しいことに、TextWrangler 内での任意の一連のアクションのセットが AppleScript スクリプトとして記録できるようになり、好きなスクリプトを内蔵のメニューコマンドとして登録することもできるようになった。また、TextWrangler 1.5 にはシンタックス・カラーリングとソースコード・ナビゲーションという堂々の新機能もあり、これは Fortran、Java、Object Pascal、Perl、Python、Rez、Tcl、TeX、それに Unix シェルスクリプトなどのコードをサポートしている。

このテキストエディタはそのコアとなるテキスト編集エンジンを BBEdit と共有しているものの、TextWrangler では BBEdit のより強力な機能のいくつかが外されている。例えば柔軟性のある HTML タグ機能、CodeWarrior との統合、バージョンコントロールシステムのサポート、等々だ。しかしながら、価格面では TextWrangler が BBEdit より $130 も安いので、めったに HTML ファイルの編集をしない人、BBEdit にはあまりにも機能が多すぎると感じる人、また BBEdit のパワーの一部だけでも低価格で利用したいと思うような人に、人気のソフトウェアとなっている。TextWrangler 1.5 の価格は $50 だが、登録ユーザーは無料でアップグレードできる。Mac OS X 10.2 またはそれ以降が必要で、Mac OS X 10.2.6 が強く推奨されている。30 日間のみ有効の期間限定デモ版が 7.6 MB のダウンロードで利用可能だ。[ACE](永田)

<http://www.barebones.com/products/textwrangler/>

DVD Studio Pro 2 登場 -- DVD Studio Pro 2 が National Association of Broadcasters (NAB) カンファレンスで発表されたのは4ヵ月も前のことだったが、今回やっと Apple はこのプロフェッショナル級の DVD 制作ツールを出荷し始めた。DVD Studio Pro 2 は、2001 年に Apple が Spruce Technologies を買収した時に獲得したテクノロジーを組み込んでいた前バージョンとは異なり、一から大幅に書き直されている。今回の新バージョンでは、タイムライン・ベースのトラック編集、DVD メニューシステムをカスタマイズできるメニューエディタ、改良された MPEG-2 エンコーダ、多数のデザイン・テンプレートなどが追加されている。プログラムのインターフェイスも改訂され、3つの異なるモードを提供するようになった。Basic モード (iDVD と類似)、Extended モード (より多様なカスタマイズ可能)、Advanced モード (隅々まで手が届く) の3つだ。DVD Studio Pro 2 は、これもやはり NAB で発表され一足先に 6 月に出荷された Final Cut Pro 4(TidBITS-684 の記事“Apple、Final Cut Pro 4 を発売”を参照)と統合されている。DVD Studio Pro 2 のフル版の価格は $500 で、DVD Studio Pro 1.5 からのアップグレード価格は $200 となっている。(ただしバージョン 1.5 を 2003 年 4 月 6 日から 2003 年 8 月 15 日までの間に購入したユーザーは Apple の Up-To-Date プログラムを使って $30 の送料のみでアップグレードできる。)少なくとも 733 MHz 以上で走る PowerPC G4 プロセッサと AGP グラフィックスカードを備えた Mac と、Mac OS X 10.2.6 かそれ以降が必要で、インストールには DVD ドライブが必要だ。スーパードライブに関してはプログラムを使うために必要という訳ではないが、プロジェクトを DVD-R メディアに焼くためには必要となる。[JLC](永田)

<http://www.apple.com/dvdstudiopro/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07229>
<http://www.apple.com/dvdstudiopro/uptodate.html>(日本語)Apple、Final Cut Pro 4 を発売

GraphicConverter 4.8 も登場済み -- これは先々週にリリースされていたが、我々はうっかりと報告するのを忘れてしまった。Lemke Software が、その著名な画像編集アプリケーション、GraphicConverter をバージョン 4.8 にアップデートしていたのだ。以前から感じていたことだが、このペースでいつもアップデートを続けてくれるとは、いったい Lemke 社の人たちはどうやって眠る時間を確保しているんだろうか? GraphicConverter 4.8 では、いつも通り数え切れないほどの改良と修正とが施されている。例えば、新たに“unskew”効果が追加され、またカラーチャンネルを入れ替える機能も加わっている。Palm のサポートも改良され、Foto PDB ファイルや Palm 画像ストリームの読み込みもサポートされた。さらに、デジタルカメラから直接画像を取り込んだり、Canon や Kodak のカメラで生成された画像を探知したりする機能も改良された。GraphicConverter 4.8 は Mac OS 8.6 またはそれ以降、ならびに Mac OS X でも動作し、$35 のシェアウェア、4.3 MB のダウンロードだ。[JLC](永田)

<http://www.lemkesoft.de/en/graphcon.htm>
<http://www.lemkesoft.de/en/graphdownld_en.htm>


電子書籍の実験は続く

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は電子書籍の進化というものに魅せられてきた。これには、紙に印刷された書籍として生まれて後に電子書籍に形を変えたものも、また元々デジタル世界のためだけに書かれたものも、どちらも含まれている。そういうわけで、私はこれら両方のタイプのものについて、それぞれに実験を続けているのだ。

新シリーズ“10 Quick Steps Guides” -- ラジオ番組のホストの David Lawrence(Online Tonight や、新番組の David Lawrence Show などで有名)が新シリーズの電子本の出版を始めた。彼はこれに“10 Quick Steps Guides”という名前を付けた。これは1冊あたり $10 で、それぞれが 10 段階に分かれたフォーマットになっており、それらのステップを踏んで読めば何か1つの作業ができるか、あるいは何かを成し遂げるためのヒントが身に付く、という風に作られている。とても珍しいことだが、この“10 Quick Steps Guides”の電子本には PDF 版(スクリーン上で読むため)と、それから耳で聴くための MP3 フォーマット版とがある。

<http://www.onlinetonight.net/>
<http://thedavidlawrenceshow.com/>
<http://www.10quicksteps.com/>

私自身、“10 Quick Steps Guides”のうち2冊の著者だ。1冊はスパムを避けるための本で、目障りなスパムメールを見えなくするための、互いに関連した一連の対策を説明している。もう1冊はどうすれば Wi-Fi 接続ができるかという本で、私が The Wireless Networking Starter Kit を書いている時に集めた情報を駆使して解説をしている。

<http://www.10quicksteps.com/spam/>
<http://www.10quicksteps.com/wifi/>
<http://wireless-starter-kit.com/>

これまでのところ、私の本は Wi-Fi 10 Quick Steps Guide の方が Stopping Spam 10 Quick Steps Guide に比べておよそ2倍のペースで売れている。これは私には意外だった。当初は、私はスパム防止の本の方が売れると予想していた。私にはスパムの方がより大きな問題に思えたし、それにこちらの本は新たに一から書いた本で、およそ $25 で買える別の(より詳しい)本の内容の一部を書き直しただけの本とは違っていたからだ。この結果から私が得た教訓は、従来型の分厚い書籍よりも、簡潔な電子本の方に魅力を感じる人たちが、相当に存在しているということだった。

おもしろいことに、私の Stopping Spam 10 Quick Steps Guide が出版されてから間もなく、David は彼のラジオ番組に元スパム発信者という人をゲストに迎えて話を聞いた。その人物は、私の書いたことに同意してくれただけでなく、実際私のアドバイスに従えばスバムに対する防御として有効に働くだろうと言ってくれた。もしもあなたがスパムメールの量にうんざりしているのなら、ぜひこの Stopping Spam 10 Quick Steps Guide に目を通して私の推薦する防御策を試してみて頂きたい。スパムの量が多くなる度に新たに別の電子メールアカウントを作るという普通のやり方とは一味違う方法で、対処ができるのだから。

もう1つおもしろい事実がある。それは、これらの本の PDF 版の方が、およそ4対1の割合で MP3 版よりもよく売れているということだ。たぶん、普通の電子出版ならばこれよりももっと大きな差がついていただろう。多くの人々の意識の中で David がラジオの有名人として定着しており、皆が彼の声を知っているからこその、これは4対1という数字なのだろうと思う。オーディオ版の 10 Quick Steps Guides は、近日中に Audible.com にも登場する予定だという。その形でどれほどの売れ行きを達成するか、興味を持って見守ってゆきたい。

iPhoto 2 VQS が電子本に -- さて、元々スクリーン上で読むために書かれた本の話から、従来型の書籍から電子本へと形を変えた本に話題を移そう。私の一番新しい著書、iPhoto 2 for Mac OS X: Visual QuickStart Guide が、今回 Lockergnome から PDF フォーマットで出版されることになった。Glenn Fleishman と私が The Wireless Networking Starter Kit を Lockergnome から PDF で出した時と同様、この iPhoto VQS の電子版も、印刷版の書籍の売り上げを邪魔しないようにとの配慮から価格を $14 と設定した。これは、送料を含まない印刷版の価格とほぼ同じだ。

<http://store.eSellerate.net/a.asp?c=0_SKU5164366758_AFL0770764229>
<http://tutorials.lockergnome.com/>

当然のことながら、既に印刷版の iPhoto 2 VQS を購入済みの人は、無料で電子版を入手することができる。(方法については本の最初のページを参照。)つまり、今回新たに電子版の方を購入したいと思う主な動機と言えば、例えば外国から注文するような場合に高額になる送料を節約したい場合とか、充実した検索やナビゲーションの機能を使いこなすためとか、あるいは単純に不必要な紙資源の浪費を抑えたいという動機などが考えられるだろう。

これまでのところ、およそ 180 人の人たちが印刷版の購入後に無料の電子版の申し込みをしている。また、古い iPhoto 1.1 の解説本の電子版(これは誰でも無料で入手できる)はおよそ 500 人がダウンロードしている。後者を入手するには、<get-iphoto-vqs@tidbits.com> あてに電子メールを送ればよい。

役割も前提も、ともに変化してゆく -- これらの実験のおかげで私の目が開かれて見えてきたことはいくつかあるが、その最大のものは、本の出版にまつわる標準的な用語のほとんどが、電子本の登場によってその意味が揺らいでしまったということだった。例えば、著者というものは長々しい本を書いて出版者に渡し、それからその出版者は書店に本を送って売ってもらう、というような考え方に私たちは長年馴染んできた。けれども、電子書籍の出版の世界においては、それぞれの役割も変わり、いろいろな前提条件も違ってくるのだ。

純粋にデジタル世界での配布だけを考えて書かれた電子書籍は、伝統的な紙の書籍ほど長いことは滅多にない。その理由は、人々があまり長時間コンピュータの画面を読み続けることは望まないものだということ、紙の書籍ならばあまり短いとパンフレットみたいに貧相に見えてしまうところを電子書籍ならばそのような心配が要らないこと、たいていの電子本は比較的値段が安いこと、それに、正直言って短い方が著者が楽なこと、などが考えられる。実際、電子本の多くは雑誌のちょっと大がかりな特集記事程度の長さであるのが現状だ。違いといえば、読者としてのあなたがある特定の話題についての情報を探していたとして、それを最新号の雑誌で見つけられるかどうかは基本的に運次第だが、電子本についてはあなたの目的にぴったり合ったものを見つけることも可能かも知れない、ということだろうか。

電子本の世界では、出版者と書店との間にあまり差が無いのも事実だ。伝統的な書物の出版者ならば、本を作り上げてそれを販売ルートに乗せることに多大な労力を注ぐものだが、直接販売に力を注ぐことはほとんどなかった。その結果、著者の懐に入る印税は最大でも店頭販売価格の 20% ほどに止まっていた。(一般的に言って、店頭販売価格は本の定価の半分程度のことが多い。)

それとは対照的に、電子本の出版者は著者に対してほぼ完璧に体裁の整ったテキストを提供することを要求するのと引き替えに、最大で正規の価格の 50% まで程度の印税を払ってくれ、彼ら自身は販売とマーケティングにより多くの努力を集中させるのだ。例えば、David は頻繁に自分のラジオ番組で 10 Quick Steps Guides の宣伝をしている。また、電子本の出版者たちはお互いに他者の本を売ることにも積極的なことが多く、さらに著者が直接自分の本を売り上げた場合には普通よりも高い歩合を出してくれることもある。だからこそ、David の 10 Quick Steps Guides の何冊かは GnomeTomes のサイトにも出ているのだし、また David が Audible.com のような会社と提携しようとしているのも同じ理由からだ。

そうは言っても、全般的に見て電子本の世界はまだまだ経済的には伝統的な書籍出版の世界に比べて及びもつかない。平均的なコンピュータ関係書籍ならば、8,000 部から 12,000 部売れて著者の懐には $5,000 から $15,000 が入るというのが普通だろう。対照的に、私の経験から言えば電子本の売り上げは 200 部から 2,000 部までという程度で、著者が受け取るのは $1,000 から $4,000 というのが妥当な予想だろう。ここで大きな違いとなるのは電子本を作るために必要な時間と労力だ。伝統的な本を作るには何ヵ月もかかるところを、電子本なら最初から最後までほんの数日か数週間かで出来てしまうかも知れない。

ただ、売り上げの数が低いからといって、それが電子本の全体的な価値が低いことを意味しているなどという誤りには陥らないで頂きたい。その大きな理由は、こうした電子出版者たちは、個々それぞれに独自の顧客層を持っているからなのだ。David は自分のラジオ番組の聴取層を持ち、Lockergnome ニュースレターはまた独自の購読者層を持っているのだ。そして、これらのメンバーたちは、たとえ双方が共通したコンテンツに興味を持っているとしても、必ずしも層として大きく交わっているとは限らない。この事実を考えれば、これらの電子出版者たちが書店に似ているとするのが、むしろ自然に思えてくるだろう。1つの町にある書店は、普通別の町の書店と競合したりはしない。なぜなら、お互いに地理的に離れた顧客層を持っているからだ。Lockergnome で物を買う人たちは、David の 10 Quick Steps ウェブサイトなど一度も訪れたことがないかも知れないのだ。

さらに言えば、1つの書店が同じ本を数百冊も売り上げるということは非常に稀なことだろう。だからこそ、私の 10 Quick Steps Guides 本や Lockergnome で出した The Wireless Networking Starter Kit の PDF 版も、それほど膨大な売り上げにはならなかったのだ。だから、私はこの実験結果に大変満足している。今必要なのは、このような個々のトピックに特化した電子本書店を、もっともっとたくさん作ることだ。それさえ実現すれば、電子書籍が伝統的な書籍に負けないくらいの売り上げのレベルを達成することも、夢ではないだろう。


Mac ユーザのための Unix コマンドライン手引き、その 3

文: Kirk McElhearn <kirk@mcelhearn.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

レッスン 3: ファイルやディレクトリの移動、複製、そして削除

このシリーズの最初の二回では、Terminal を使用して Mac OS X の心臓部である Unix コマンドラインへアクセスするための基本と、そして Terminal を使用して Mac のファイルシステム内を移動する方法を取り上げた。基本の復習にこれらの記事を読み返すのも良いだろう。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1238>

Mac OS X Finder の強力な機能の一つは考える必要もないくらいファイル管理を簡略にするその能力だ。例えば、ファイルのアイコンを一つのウィンドウからもう一つへドラッグした場合、このファイルをある場所から別の場所へ移動するコマンドを出すという基本的な動作を Finder はグラフィックとして表わす。

コマンドをタイプするのに比べて、Finder ウィンドウでアイコンを移動するほうが確かに速い。だが、ファイルやフォルダ (ディレクトリ)を移動、複製、もしくは削除する際にはコマンドラインを使用する方が、Finder に比べて便利な場合もある。いくつか例を挙げよう:

コマンドラインの使用に慣れるにしたがって、ファイル操作に使用する利点をさらに発見していくだろう。

ファイルの移動と複製に関する注意 -- 歴史的に、Mac OS はファイルの保存に独自の方法を使用してきた。多くのファイルはデータフォークとリソースフォークと呼ばれる二つの部分からなっている。Mac OS 9 以前には、データフォークがデータ (ファイルの内容やアプリケーションのコードなど) を内蔵しており、リソースフォークが設定、アイコン、その他の情報を内蔵していた。多くのファイルはこの複フォークシステムを使用していた。もし Mac のファイルを PC 形式のフロッピーに移して Windows コンピュータから見たことがあるなら、ファイルと一緒に複製されたフォルダを発見しただろう。これらのフォルダにはリソースフォークが入っている。Windows は複フォークのファイルを理解しないため、リソースフォークを別フォルダに入れるのは Windows がそれを削除するのを防ぐ一つの方法だった。だが残念なことに、そして驚くべきと言いたいぐらいだが、Mac OS X で使用できる標準的な Unix のコマンドもリソースフォークを認識できない。

リソースフォークを含むファイルを複製や移動する際には、これは重大な問題となる。リソースフォークを含むファイルはまだ存在している。アプリケーションや Classic アプリケーションで作成されるファイルだけでなく、Mac OS X ネイティブなアプリケーションの一部もそうだ。cp と mv コマンドは発見したリソースフォークを除去し、ファイルを使用不可能にしかねない。Apple は CpMac と MvMac という二つのコマンド (大文字が重要であることに注意) を提供することによってこの問題に対処している。だがなぜか、これらのコマンドは Developer Tools と一緒にしかインストールされないため、多くの人達はインストールしていないだろう。これらのコマンドラインツールはリソースフォークを維持しながらファイルを複製し移動することを可能にする。これにより複製や移動後も続けて使用可能であることを保証する。

他には ditto というコマンドには -rsrcfork オプションがついており、CpMac や MvMac 同様、ファイルを複製する際にリソースフォークを保存することを可能にする。

cp でファイルを複製 -- cp (copy) コマンドは名前通りの動作を行なう。ファイルを一つの場所から別の場所へ複製する。(これは Finder で Option を押しながら同じボリューム上の一つのウィンドウから別のウィンドウへファイルをドラッグするのと同等だ。) 基本的な使用では cp は (相対的もしくは絶対的パスをつけて名前を指定した) ファイルを (同じく相対的もしくは絶対的パスをつけて名前を指定した) ディレクトリへ複製する。基本的な形式は以下の通りだ:

% cp 複製元 複製先

これを理解した上で、ファイル複製の例をいくつか見てみよう。

% cp ~/Documents/MyFile.rtf ~/Public

上記の例では、"MyFile.rtf" ファイルを私の Home ディレクトリの Documents ディレクトリから、Public ディレクトリへ複製した。ここにあればどのユーザでもファイルにアクセスできる。見ての通り、最初の部分、cp、がコマンド、二番目の、~/Documents/MyFile.rtf、が複製元、三番目の ~/Public が複製先だ。複製元も複製先も絶対的ファイルパスを使用した: この場合、ファイルシステムの何処にいようと、このコマンドを実行できる。

だが、もし Documents ディレクトリにいるのであれば、複製元に絶対的ファイルパスを指定する必要はない。コマンドで絶対的と相対的ファイルパスを混合するのも許されているから、以下をタイプするだけで良い。

% cp MyFile.rtf ~/Public

ファイルをこのような単純な形で複製する場合、複製元はファイル名で複製先はディレクトリだ。(複製先がファイル名でも良い。cp の他の活用方法については以下を見て欲しい。) だが、複製元は複数のファイル名でも良い。このコマンドを実行する際には、シェル (タイプされたコマンドを受けとり、解釈して、結果を表示する Unix のプログラム) は指定されたディレクトリの中身をチェックし、ファイルが存在することを確認する。もしタイプしたファイルが複数あって、かつそれらがすべて存在している場合は、シェルはそれら全てを行く先へ複製する。以下のコマンドを使用すれば三つのファイルを Public ディレクトリへ複製できる:

% cp MyFile1.rtf MyFile2.rtf MyFile3.rtf ~/Public

ワイルドカードを使用してファイルを複製 -- 上記のコマンドをもっと短縮したかったら、ワイルドカードを使用してタイプする手間を省ける:

% cp MyFile* ~/Public

この * のワイルドカードはシェルに MyFile で名前が始まるファイルを全て見つけて、~/Public へ複製するよう指示している。もしそのようなファイルが 10 あれば、その 10 個全てが複製される。もし最初の三つだけ複製したいのであれあば、個別に名前を入れるか、以下のコマンドを使用すれば良い:

% cp MyFile[1-3].rtf ~/Public

もし全ての .rtf ファイルを複製元のディレクトリから複製したいのであれば、以下を使用すれば良い:

% cp *.rtf ~/Public

このコマンドは .rtf で終わる全てのファイルを Public フォルダへ複製する。ファイル名のどこにでもアステリスク (*) ワイルドカードを使用できる。

警告:ファイルをコピーする事は既存のファイルを置き換える -- Finder では本当に置き換えたいのかを尋ねる警告を表示するが、cp コマンドはデフォルトで行き先にある同様に名付けられたファイルを静かに置き換えてしまう。同じことが mv コマンドについても言える(下記参照)。これはコマンドラインを使うことに伴う危険の一つである - 新しい動作は新しい習慣を求める。これらの二つのコマンドを使う時最も安全な方法は -i (interactive 対話型) オプションを使うことである。これはシェルに対して同じ名前のファイルがある場合に確認するよう命じる。このオプションを使う時は、イエスの時(ファイルを置き換える)は y を、そしてノーの時は n をタイプする。一例を示すと:

% cp -i MyFile1.rtf New_Directory/
overwrite New_Directory/MyFile1.rtf? y
%

この overwrite 質問に対して n とタイプすれば、このコマンドは何もせずに停止する。

ファイルをコピーし名前を変える -- 上記の例では、上記の例では、複製元はファイルで複製先はディレクトリであった。しかし行き先はファイル名であってもよい。これは、ファイルをコピーし同時にその名前も変えてしまいたい時には有用である。例えば、MyFile.rtf を Public フォルダにコピーし名前を MyFile1.rtf に付け替えたい時には次のコマンドを実行する:

% cp MyFile.rtf ~/Public/MyFile1.rtf

同じことを同じフォルダ内でやる場合は、ただ次のようでいい:

% cp MyFile.rtf MyFile1.rtf

cp でディレクトリをコピーする -- ファイルのみならずディレクトリも cp を使ってコピーできるが、その動作は少々違っている。cp がディレクトリで動作するには -R (recursive 繰り返し型) オプションが必要である。この -R オプションは指定されたディレクトリのみならず、その他の全てのコンテンツと全てのサブディレクトリをコピーするよう命じる。ディレクトリをコピーするには次の基本形を使ったコマンドを実行する必要がある:

% cp -R 複製元 複製先

これまでに説明したファイルのコピーに関するその他のオプションや方法はディレクトリに対しても同様に動作する。しかしながら注意して欲しいのは、コピーする時にディレクトリの名前は変更できるが、そのサブディレクトリやその他のコンテンツの名前を変えることは出来ないことである。

mv でファイルやディレクトリを移動する -- mv (move 移動) コマンドはファイルやディレクトリを一つの場所から別の場所へと移動させる。これは、一つの Finder ウィンドウから同じボリューム上の別のウィンドウにファイルをドラッグしたのと同じ様に働く。注意して欲しいのは、ボリュームを越えて mv コマンドを操作すると、該当するファイルやディレクトリは元の場所からは削除されてしまう事である。これが Finder の場合だと、ドラッグする時 Command を押しつづけていない限り、通常はボリュームを越える場合はコピーされる。この様に、mv コマンドはカット&ペーストのように働き、元の場所からファイルやディレクトリを切り取り、新しい場所にそれを貼り付ける。mv コマンドは、cp コマンドと殆んど同じ様に働くが、一番の違いはディレクトリを動かすのに -R オプションを使う必要がないことである。mv の練習として、上で使った例で、cp を mv で置き換えてやってみて欲しい。

% mv MyFile.rtf ~/Public/MyFile.rtf

上記の例では、MyFile.rtf と呼ばれるファイルが Public フォルダに移動される。オペレーティングシステムは、まずファイルを書き込み、それからコピーされたファイルは正しく書き込まれているかチェックした上で元のファイルを削除する。

デフォルトでは、この mv コマンドは(まさしく cp のように)行き先での同様な名前のファイルは何でも置き換えてしまう。この振る舞いは、本当に置き換えてもいいのかを聞く警告を表示する Finder とは違っている。もちろん、この危険から守るため、mv コマンドを他の多くのコマンドと同様 -i (interactive) オプション付きで走らせることもできる。

mv でファイルやディレクトリの名前を変更する -- ファイルやディレクトリを mv を使って移動する時行き先の名前を変えられるので、そのアイテムの名前を以下の例のように変更する事もできる:

% mv MyFile.rtf NewlyNamed.rtf

残念ながら、多くのファイルをワイルドカードを使って一度に名前を変更するのは(例えば一連のファイルに特定のストリングを頭につける)そう簡単なことではない:これをやる最善の方法は、Apple が Mac OS X に付けている Add and Trim AppleScript スクリプトを使う方法である;これは /Library/Scripts/Finder Scripts の中にある。

mkdir でディレクトリを作る -- これまであるディレクトリから他へとファイルをコピーしたり移動したりする事を学んだが、これらのファイルを入れるディレクトリを作らなければならない時もあろう。mkdir (make directory ディレクトリ作成) コマンドは使い易い。一例は:

% mkdir Test

このコマンドは Test と呼ばれる新しいディレクトリを現在のディレクトリの中に作成する。このコマンドは / で始まっていないので、シェルは相対パスを意味しているのだと理解する。もしこの同じディレクトリを、例えば Documents というディレクトリの中に作りたいというのであれば、まず cd (change directory) を使ってそのディレクトリに移った後上記のコマンドを走らせるか、或いは、どこからでも次のを走らせればよい:

% mkdir ~/Documents/Test

mkdir コマンドを使えば、いっぺんに複数のディレクトリを作ることもできる。例えば、Test1, Test2, そして Test3 と呼ばれる三つのディレクトリを現在のワーキングディレクトリの中に作りたい場合、次のようにやればいい:

% mkdir Test1 Test2 Test3

もしディレクトリを階層化して作りたい場合も、mkdir は役に立つ。唯一の条件は、コマンドを階層化する順序に従って設定することで、サブディレクトリの前には親ディレクトリを作り、サブ・サブディレクトリの前には、等々というようにである。次のような一連のディレクトリ、サブディレクトリを作るには:

Test1/Test2/Test3

次のコマンドを走らせる必要がある。

% mkdir -p Test1/Test2/Test3

この -p (path パス) オプションはコマンドに対して、必要に応じて中間ディレクトリを作るよう命じる。このコマンドでは、最初に Test1 ディレクトリを作り、次に Test2 サブディレクトリを、そして最後にその下の階層に Test3 を作る。

rmdir でディレクトリを削除 -- rmdir (remove directory ディレクトリ削除) コマンドはその名の通りで:ディレクトリを取り除き永久に消してしまう。ファイルに使う rm コマンド同様、このコマンドも大変強力である:一旦削除してしまったら、復旧は出来ない。

但し、rmdir は空のディレクトリにしか働かない。一方で、rm はディレクトリとファイルの両方に働くので、ディレクトリとその中にあるファイルの両方を消去できる。ファイルとディレクトリの両方に使える rm の方が使い易いと感じるかもしれない - そもそも二つのコマンドよりも一つで済むならそれに越した事はない。

空のディレクトリを削除するには、次のコマンドを走らせる:

% rmdir Directory1

一つのコマンドでいくつかの空のディレクトリを削除する事もできる。ただその名前をシングルスペースで分けてやればいい。指定するのはただその名前だけか(現在のワーキングディレクトリの中で相対パスの場合)、そのパス(絶対パスの場合)である。以下は、三つのディレクトリ - Directory1, OldDocuments, それに Video - を同時に削除する例であるが、それぞれを指定するやり方を変えている:

% rmdir Directory1 ~/Documents/OldDocuments ../Video

また rmdir を使って階層化されたディレクトリも削除できるが、全てのディレクトリが空である場合に限られる。次のように -p (path) オプションを使う:

% rmdir -p Directory1/Directory2/Directory3

rmdir を使って不利な点は、rm コマンドと違って、削除の確認を聞いてくる -i (interactive) オプション、それから -v (verbose 詳細表示) オプションが使えないことである。

rm でファイルを消去 -- rm (remove; 消去) コマンドは、Terminal で使えるコマンドの中で最も強力かつ危険なコマンドの一つである。事前に警告しておこう。rm でファイルを消去すると、それは完全に削除される。ファイル復旧プログラムの中には、このようにして消されたファイルを探すことができるものもあるかもしれないが、 rm で削除されたファイルは二度とは元に戻らないと考えたほうが間違いない。rm で * ワイルドカードを使うときには、さらに注意が必要だ。ディレクトリ内のすべてのファイルを警告無しに消してしまうかもしれない。

多くの Unix コマンドは、たとえあなたの経験浅くても実行するのに危険はないのだが、rm は別格で、例えるなら弾が込められている拳銃のようなものだ。このため、このコマンドを使うときは最大限の注意を払わなければいけない。しかしながら、rm (そしてその他も) へ安全装置をかける簡単な方法がある。この不安を取り除くための安全策は、以下をご覧頂きたい。

rm コマンドを実行するのは、比較的シンプルである。まず、ディレクトリの中身を ls で見てみよう:

% ls
File1 File2 File3

このうちの一つを消去するためには、次のコマンドを実行する:

% rm File1

また ls を使い、ちゃんと実行されたか確認する:

% ls
File2 File3

消去したファイルが本当に消されたことが分かる。リストに表示されなくなった。

ファイルを安全に消す方法 -- 上で示したファイルを消去する第一の方法は、コマンドラインによほど自信のある人向けである。この方法は万が一のことを考えていないのだが、自分を守るためにできる簡単な安全策がある。rm コマンドには -i (interactive; 対話形式) オプションがあり、これを使うとファイル毎に本当に消してよいかどうか確認を求めてくる。このオプションを使うには、コマンドを次のように実行する:

% rm -i File2

すると、シェルが確認を求めてくる。

remove File2?

消して良いなら y を、やめるなら n を入力する。

remove File2? y

y を入力すれば、ファイルは消去される。n を入力すれば、ファイルは何も変更されない。どちらの場合でも、Terminal は新しいプロンプトを表示する。他の情報は一切表示されない。ディレクトリ内を確認するには再び ls を使う必要がある。

もっと安全にファイルを消す方法が知りたい? それなら、Finder のまねをして、ファイルをゴミ箱に入れよう。こうすれば、ゴミ箱を自分で空にしない限り消されない。次の mv コマンドを試してみよう:

% mv MyFilertf ~/.Trash

rm コマンドからさらにフィードバックを得る -- rm コマンドには別のオプション、-v (verbose; 詳細) があり、消去するときにそのファイルの名前を表示する。このオプションを使うと、シェルは次のように表示する:

% rm -v File3
File3
%

どのように表示されるかを示すために、ファイル消去後のプロンプトも含めて書いてある。このオプションはファイルの名前を表示するだけだが、どのファイルが消されたかを正確に確かめるのに役立つ。もちろん、入力間違いをして誤ったファイルを消してしまったとしても時既に遅いが。

rm でディレクトリを消去 -- rmdir で空のディレクトリを消すことができるが、rm コマンドでも -d オプションを使って同じことが可能だ。ディレクトリを削除するには、より安全に行えるよう -i と -v オプションを使って次のようにコマンドを実行する:

% rm -div Directory1

rm コマンドで -r (recursive; 再帰的) オプションを用いることにより、ディレクトリを再帰的に、つまりディレクトリとそのサブディレクトリに加えてそこに含まれているファイルをすべて、削除することができる。これは、Finderでサブフォルダとファイルを含むフォルダをゴミ箱に捨てるのと同じことだ。ただ違うのは、やはり必要だからといってゴミ箱から取り戻すことができないことだ。rm を弾が込められた拳銃とすれば、rm -r は弾が込められたバズーカ砲だ。このコマンドがどれほど危険か、言葉には書き尽くせない。なぜなら、たった一つのミスのためにとてつもない数のファイルをなくすこともあるからだ。

これがどのように動作するか、また -i オプションを使ってどのように最低限の予防ができるのか、見てみよう。最初に、何層かに渡るディレクトリを作成する:

% mkdir -p Directory1/Directory2/Directory3

次に、この 3 つすべてのディレクトリを消去するために、次のコマンドを実行する:

% rm -ir Directory1
remove Directory1? y
remove Directory1/Directory2? y
remove Directory1/Directory2/Directory3? y

見て分かるように、-i オプションを使わなければこのコマンドは全てのディレクトリを何の警告も無しに削除することだろう。それでは、もしこのディレクトリのうちどれかを消したくないと思ったときはどうなるだろう? 好きなときに n を入力すれば、それとそれより上のディレクトリを取っておける。どうなるか見てみよう:

% rm -ir Directory1
remove Directory1? y
remove Directory1/Directory2? y
remove Directory1/Directory2/Directory3? n
rm: Directory1/Directory2: Directory not empty
rm: Directory1: Directory not empty

階層構造のどの時点でも、ファイルやディレクトリを消したくないと思った場合、その親ディレクトリ無しにそれを取っておくことは許されない。上記の例では、 Directory3 を消さないとしたことで Directory2 (親ディレクトリ) を削除することができず、Directory1 (Directory2 の親) もまた消すことができないため、結果的にこれら 3 つのディレクトリすべてが消去されないということになる。

まとめ -- 今回の記事では、コピー、移動、そしてファイルやディレクトリの消去と同時にディレクトリの作成のために欠くことのできないコマンドを紹介した。これらのコマンド、cp、mv、rm、mkdir、そして rmdir は Finderでいつもおこなっている動作と同じ基本機能を提供するが、いくつか例にも挙げたように場合によってはさらに強力だったり柔軟性を発揮したりする。ほとんどの操作は Finder で行うほうが簡単であるが、これらのコマンドは、Finderにはまねの出来ないいくつかの機能など、パワフルな別の手段をあなたに与えくれる。

[Kirk McElhearn はフランス・アルプスの村に住むフリーランスのライター兼翻訳家だ。この記事は、2003 年中に Addison-Wesley 社から刊行予定の著書、Unix for Mac OS X: Learning the Command Line からの抄録である。]

<http://www.mcelhearn.com/unix.html>

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TidBITS Talk/18-Aug-03 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: 湯本 敬<ymo@big.or.jp>

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