TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#746/13-Sep-04

Safari 又は Mac OS X の FTP server を使っている人は先週の Security Update 2004-09-07 には注意が必要だ。早速アップグレードした人たちが経験した問題の詳細についても読んだほうがいいだろう。 iPod にワイヤレス・ヘッドフォンを探してる? Adam の Bluetake の i-Phono のレビューが参考になるだろう。あなたの考えを整理するために助けが必要? Matt Neuburg による MindCad の Pyramid についてのレビューが解決してくれるかもしれない。今週のリリースとして、 Nisus Writer Express 2.0、 DragThing 5.3.1、 XBit 1.0.1、 Allume の Creative Essentials バンドル版を取り上げる。

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MailBITS/13-Sep-04

Allume がグラフィックの聖火を引き継ぐ -- 私のお気に入りの統合グラフィックソフトの一つ、 CorelDRAW と Corel PHOTO-PAINT ( TidBITS-457の記事“CorelDRAW 8:Hedy な体験”を参照)は、不幸にも長年にわたり不明確な取扱を受けた後、バージョン11へのアップデートを最後に、この1月に Mac への開発を打ち切られてしまった。私はこれで袋小路に入ったように感じた--しかし、終わってはいなかった。 Creative Essentials という Allume (旧 Aladdin )によって作られた新しいグラフィックソフト・パッケージは150ドルという低価格で Corel のソフトを買っていた人々にとってすばらしい機会だ(しかも、2004年10月11日まで、 Allume はその製品が一本売り上げるごとに1ドルを寄付する)。フィックスされていないバグがあることは心しよう。それと、使える限り高速なコンピューターを使うこと。このプログラムは少々動きが重いから。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05193>(日本語)CorelDRAW 8:Hedy な体験
<http://www.allume.com/mac/creative/>
<http://www.allume.com/company/pressroom/releases/allume/091004donate.html>

素晴らしさはそれにとどまらない。Creative Essentials は 3-D の風景画像作成ソフト Bryce5 と次バージョンへのバージョンアップ割引を含んでいる。( Corel は MetaCreations から買い取った Bryce も葬っていた。現在、 Bryce はアクティブに開発を続けている DAZ Productions によって拾い上げられた)。 Creative Essentials は アニメーションツールの Toon Boom Studio Express も含んでいる。それには、フルバージョンのToon Boom Studioへのアップグレード割引と25の Bitstream 社製フォントもついている。 [MAN](笠原)

<http://www.brycetech.com/>
<http://www.toonboom.com/products/toonBoomStudioExpress/>(日本語)Nisus Writer Express (1.1.2)

Nisus Writer Express 2.0 出荷 -- Nisus Software は同社の強力な Mac OS X 用ワードプロセッサーソフトに30以上の新機能を追加して、 Nisus Writer Express 2.0 の出荷を開始した。改良点にはユーザー定義スタイル、脚注、巻末注、組み込み表作成ツールや Nisus Writer Classic のものとよく似た感じで動作する検索・置き換えダイアログ、等々が含まれる。いくつかの機能、自動補完やすべてのフォントでの太字・斜体の適用(フォントがそのバリエーションを持たない場合に、 OS X 下で往々にしてできないことがある)等は Mac OS X 10.3 の下だけで利用できる。Nisus Writer Express 2.0 は Mac OS X 10.2 以降が必要で、 Nisus Writer Express 1.0 の所有者は無料アップグレードが受けられる。そうでない場合、ダウンロード版で60ドル、CD版で70ドル。 Nisus Writer 6.0 以降の所有者は45ドルでダウンロード版、55ドルでCD版を購入することができる。21メガバイトの30日間試用版がダウンロードできる。 [JLC](笠原)

<http://www.nisus.com/Express/>

DragThing 5.3.1 が電子メールのカウント機能を追加 -- TLA Systems がローンチャーと Dock 代替ツールの DragThing に新機能を追加したバージョン 5.3.1 をリリースした。このバージョンは、 アップルの Mail、 Entourage、 Eudora、 Mailsmith、 NetNewsWire、 PowerMail の受信箱に入っている未読メッセージの数を表示するようになった。(しかし、バージョン 5.3.1 は、Eudora についてはこの機能を無効にしてある。これは、巨大な受信箱を扱うときに発生する過大な負荷のためだ。ただし、パッチをダウンロードして有効にすることもできる)。さらに、新機能としては新機能としてはアプリケーションごとのコンテクストメニューのコマンド( iTues におけるプレイ/ポーズのような操作)を表示できるようになった。たくさんのバグフィックスもなされている。 DragThing 5.3.1 は DragThing 5.0 以降の所有者には無償アップデート。新規購入は29ドル、バージョン2と4からのアップグレードは12ドルで提供される。アップデートは9メガのダウンロードで、 Mac OS X 10.2 以降が必要。 [JLC](笠原)

<http://www.dragthing.com/english/whatsnew.shtml>
<http://www.dragthing.com/english/history.html>


Security Update 2004-09-07 に問題を引き起こす可能性

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

Apple は先週一連のセキュリティ問題に対応した Security Update 2004-09-07 をリリースした。アップデートされたコンポーネントには次のものが含まれる:Apache 2, CoreFoundation, FTP, IPSec, Kerberos, OpenLDAP, OpenSSH, PPPDialer, QuickTime Streaming Server, rsync, Safari, SquirrelMail, そして tcpdump - 更なる詳細については Apple のサイトを参照されたい。残念なことには、これら変更点のうち二つに問題点が見つかっている。

<http://www.apple.com/support/security/security_updates.html> (日本語)アップル - サポート - TIL (Apple Security Updates)

Safari に対する変更により数多くの Web サイトでレンダリングの問題が発生している。と言っても、この問題の原因は Web サイト自身にあるようである。多くのサイトはブラウザのバージョンを検出し、そしてブラウザに合わせて多少違ったバージョンのページを提供する。どうも、この新しいバージョンの Safari がいくつかのサイトでたまたま Netscape 4 と認識され、その結果現代のブラウザではうまくいかないダイナミック HTML を送り出してしまうらしい。この問題に遭遇している少なくともいくつかのサイトでは (FedEx, CompUSA, そして Best Buy が含まれる)、OpenCube からの QuickMenu Pro と呼ばれる製品にこの問題は起因していた。OpenCube はその後この問題を解決しているが、QuickMenu Pro のアップデートをするかしないかはサイト次第という状況にある。この QuickMenu Pro にあったバグをいぶり出した HyperJeff Network の Jeff に拍手を送りたい。

<http://osx.hyperjeff.net/>

もう一つ、Mac OS X のクライアント版に入っている lukemftpd FTP サーバーに内在するセキュリティ問題を回避するため、Apple はこれを tnftpd FTP サーバーに置き換えた (Mac OS X Server では xftp を使っている);この結果、不幸なことに、アップグレードされた Mac に FTP 経由で接続する時ログインが困難になる問題に遭遇する人が出てきた。下記リンクにある Apple サポートフォーラムでの議論ではいくつかの解が提供されているが、多分一番いい方法はこの問題のせいにしてこの際 SFTP に切り替えてしまうことであろう。そうすれば FTP に関する長年続いてきたセキュリティ問題は払拭されてしまう。Apple からは近いうちに通常の FTP のための修正がリリースされるものと思われる。

<http://discussions.info.apple.com/webx?128@@.689a720d>

このセキュリティアップデートは Mac OS X 10.2.8, Mac OS X 10.3.4, そして Mac OS X 10.3.5 のクライアント版とサーバー版に適用される。この Security Update 2004-09-07 を入手する一番易しい方法は Software Update 経由とすることである;さもないと Apple Downloads ページから正しいバージョンを探し出さなければならない。クライアント版のダウンロードは 7.6 MB;サーバー版のダウンロードは 12.6 MB である。[ACE](カメ)

<http://www.apple.com/support/downloads/> (日本語)ソフトウェアアップデート

[訳注:この2つの問題に両方とも対応した修正版“Security Update 2004-09-07 version 1.1”が Apple から出ています。詳しくは Apple のページをご覧ください。]

(日本語)ソフトウェアアップデート


TidBITSブラウズ用アプリXBit 1.0

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 貞広正則 <msadahiro@peccom.com>

10年ほどこのサイトを訪れているのであれば、おそらく Akif Eyler 氏の無料テキストブラウザーEasy View を覚えているだろう。Easy View は、我々がTidBITS を編集する際に使用する setext を含む数々のテキストフォーマットに対応していて、TidBITS を3ペイン分割のウィンドウで表示する。各号をリストアップするペイン、ある号の記事をリストアップするペイン、そして実際に記事をテキストで表示する3つ目の大きなペインである。でも大変残念なことに、Akif は他の事に関心を移し、アプリケーションをアップデートしたい者にはだれでも Easy View のソースコードを提供したのだが、何も生まれることは無かった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbtxt=Easy%20View%20Akif>
<ftp://ftp.tidbits.com/info-mac/dev/src/easy-view-src-260.hqx>

しかし、今になって ZenVilla Software の Kevin LaCoste 氏が、setextフォーマットで編集された TidBITS を見るのに、Easy View のように3ペイン分割のウィンドウを使って表示する XBit 1.0をリリースした。XBit は複数のフォーマットからインデックスを作成する柔軟性は持ち合わせていないが、ウィンドウ表示は向上し、読む進行度合いを記録できるように記事や号にマークを付けることができる、さらに我々の FTP サーバから自動的に新しい号をダウンロードできる。XBit は一つの記事の中での検索はできるが、複数の記事にまたがった検索はできない。

<http://zenvilla.com/>

XBit は15ドルで無料ではないが、十分な機能を備えた、期限無しのデモ版をダウンロードすることができる。はっきり言って、私は Kevin がこのユーティリティを有料にすることには何の問題もない。つまり、彼は TidBITS 自体からお金を得ている(これは禁止されている)わけではないし、彼がたった一人で、我々からの手助けを受けること無く XBit を開発したのだから。TidBITS を受け取ったり、読んだり、検索する他の方法が有ることを考えると、XBit にどれほどの市場があるのかは分からない。しかし、それは Kevinが考えることである。最初にはっきりさせておかなければいけないことは、setext フォーマットを使い続けることや FTP 経由でのダウンロードサービスを、無期限に保証することはできないということである。しかし我々が全員に提供している公のフォーマットやサービスはどんなものであれ、Kevin も将来にわたって、常にアクセス可能である。それでも、もしあなたが専用のプログラムを使って一連のテキストファイルをオフラインで読むことが気に入っているのであれば、KBit はチェックする価値がある。


i-Phono で iPod からコードをなくす

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

私は iPod が気に入っているが、コードつきのイヤホンというものは大嫌いだ。耳の中に何かを入れるのがいやだということもあるが、それよりも、コードがいつもからまって、じゃまなのだ。もちろん、今では白いコードが、ほとんど iPod そのものと同じように象徴的アイコンになっていることは承知しているが、それでも私をイライラさせることには変わりがない。きっと Steve Jobs も同じだろう。彼が Mac のケーブルを嫌っていることはよく知られているから。

それなのに、2004 年1月の Macworld Expo San Francisco で、iPod をBluetooth 対応にする可能性について Phil Schiller に質問したところ、彼は笑って相手にしなかった。今や、Bluetake が i-Phono を作ってくれたので、彼に笑い返すことができる。

<http://www.bluetake.com/products/BT420EX.htm>

数ヶ月前の Macworld Expo Boston で、Clement Wen という男が、廊下にいた私に近づいてきて、彼の会社の iPod 用 Bluetooth ドングルとヘッドホンを試してみないかと聞いてきた。私はもちろんやりたいと答え、その場で数分間聞いてみた。よさそうに思えたが、廊下は視聴するにはひどい環境だったので、もう一度視聴するためにセットを送ってもらえないかと聞いてみた。そういうわけで、私は i-Phono を通常の環境で使う機会を得たのである。

ハードウェアのセットアップ -- i-Photo は2つの部分からできている。1つは小さなオーディオドングルで、iPod のヘッドホンジャックにつなぐ短いケーブルがついている。(これは他の標準的なヘッドホンジャックにもつながる。)もう1つはスポーツタイプのヘッドホン(つまり、頭の上でなく首の後ろを回るタイプ)で、Bluetooth 対応の携帯電話で使うためのマイクが付属している。Bluetake はドングルを固定するためのマジックテープと両面テープも同梱してくれているが、当のドングルは、あなたが想像するように、かなり不格好だ。将来的には iPod の上部にぴったりはまるようにする予定だそうだ。ドングルとヘッドホンの両方に内蔵されている電池を充電するのは簡単だ。Bluetake はコンセント差し込み式と USB 方式の2つの充電器を同梱しているし、分配ケーブルもあるので両方の機器を同時に充電することもできる。

充電が完了したところで、説明書にしたがいペア設定をした。これは、両方の機器の電源の入れ方さえ覚えれば、きわめて簡単だ。あとはオーディオドングルを iPod につないで、ヘッドホンのつけ方を習得するだけの話だ。(私がスポーツタイプのヘッドホンをつけるのはこれが初めてだった。)

耳で調べる -- i-Phono の音質は、最高に素晴らしいとはいえないにしても、かなりよい。もっとも、私は、自分に音質を云々する資格があるというつもりはないけれど。i-Phono を机の上において、そこから何メートルも離れていないところで静かに座っていたときでも、原因不明のパチパチという音が何度か聞こえた。仕事場を歩き回ってみたが(i-Phone は机の上に置いたままで)、音質は変わらなかった。でも、隣の部屋までゆくと音がとぎれとぎれになった。うまいことに、ヘッドホンかまたはドングルのボタンを押すことで、すぐに電源を切ることができる。(ただし、不思議なことに、ヘッドホンから電源を入れ直すと、ドングルから入れ直したときと比べて、時間が長くかかる。)音調調節はよくできている。耳障りになるくらい音量をあげることすらできる。ヘッドホンにも音量ボタンがついているが、これはおおまかな調節しかできない。

何時間もヘッドホンをつけていると、耳の上の頭皮がひりひりするが、私が持っているヘッドセット式電話をのぞけば、耳がぐしょぐしょになったりひりひりしたりしないヘッドホンというのはめったにない。i-Phono はそれほど心地よくはなかったので、テストの範囲をこえてつけていようとは思わなかったが、もし私が、普通のスピーカから音楽を流すのが問題となるような職場で働いていたなら、このヘッドホンに慣れるよう努めるかもしれない。このヘッドホンが、運動しても外れないかどうかは、わからない。きっと、どんな運動をするのかによるのだろう。私は、これをつけて(ということは iPod を持って)、ジョギングのようなことをしようとは思わない。

電池は連続演奏した場合でおよそ6時間持つことになっているが、実際にそれだけの時間連続演奏することはできなかった。iPod の電池もそんなに持たない。(現実には、iPod より長く電池が持つというだけで十分だ。)

他の用途 -- i-Phono を iPod と使うのはうまくいったので、Mac のヘッドホンジャックにオーディオドングルをさしてみたが、これもうまくいくことが確認できた。では、Bluetooth 内蔵の、私の 12 インチ PowerBook とヘッドホンは直接つながるだろうか。ペア設定はうまくできたが、Bluetooth 設定ペインはヘッドホンが使えると知らせてはくれなかったし、サウンドペインにはヘッドホンが現れなかった。この件について調べていたら、ヘッドホンをMac と直接つなげることはできないと明言しているサイトを見つけた。その記事によると、Bluetake はこの問題に取り組んでおり、まもなく解決するだろうとのことだった。

Bluetake によれば、ヘッドホンと携帯電話を直接ペアにして、電話がかかってきたときには自動的に音楽を止めることもできるそうだが、私は適当な携帯電話を持っていないので、この機能はテストできなかった。(以下にあげたレビューのうちいくつかは、この機能にふれている。)コードレス電話のヘッドホンジャックにオーディオドングルをつなごうとしたが、プラグのサイズが違っていたし、ヘッドホンに内蔵されているマイクが使える見込みはなかった。

結論 -- i-Phono は、クールなテクノロジーということでいえば、まちがいなく優等生である。iPod をポケットの奥深くにしのばせて、コードを気にせずに歩くことができるというのは素晴らしいことだ。しかし、これは 250ドルする(実売価格は 200 ドルから 230 ドルだろう)から、安いとはいえない。売っているのを見つけるのも難しいが、Shopping.com や MySimon のような価格比較サービスを使えば(後者の場合は、sponsored matches のカテゴリを見るとよい)見つけることができるだろう。

<http://www2.shopping.com/xFS?KW=bluetake+i-Phono>
<http://mysimon.search.com.com/search?qt=bluetake>

もしあなたが iPod のコードをなくしたいと強く望んでいるのでなければ(あるいはそのために 200 ドル以上を払うほど強く望んでいるのでなければ)、もう数ヶ月様子を見て、Bluetake が i-Phono を改良するのを待った方がいいだろう。不格好なドングルは、すでに出回っている FM トランスミッタのような形に変わるだろうし、Bluetake はヘッドホンが Mac と直接つながり、iChat の音声チャットや voice control、インターネット電話ソフトなどで使えるように改良しているらしい。最後に、ヘッドホンの形状も改善されて、不快感を感じることなくつけていられるようになったらいいと思う。

一方、もしあなたが iPod に入れ込んでいて、ワイヤレスヘッドホンを切望しているなら、i-Phono を試してみてほしい。一つのヘッドホンにこれだけの金額をつぎ込むのだから、その前に他のレビューを読むことを強くすすめる。Modtown と iPodlounge が詳細なレビューを載せているし、Bluetake のサイトからもいくつかの記事にリンクがはってある。

<http://modtown.co.uk/mt/review2.php?id=iphono>
<http://www.ipodlounge.com/reviews_more.php?id=4377_0_6_0_C>
<http://www.bluetake.com/products/BT420EX/BT420EX_subN.htm>


Pyramid でセラピー

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS 読者の皆さんならご存じのように、私はこれまで何年もの間、データを Mac 上で保存して整理するためのさまざまな興味深い方法について探究を続けてきた。この終わり無き探究の旅はとても楽しく、その過程で私は数々の面白いプログラムについて多くのことを学んできた。また、それに伴って私自身についても何かを学べたと思う。私という人間は、二面性を持った人格だったのだ。

私の人格の片面は、パワーユーザーだ。これでもかと言うほどにたくさんの機能を持ったアプリケーションが大好きで、いろいろといじり回すことができて、何でもかんでも構成しカスタマイズできるアプリケーションに夢中になる。けれども私の人格のもう一方の面は、禅に通じるようなある種の美的感覚というか、何かそういうものを指向しているようだ。エレガンスとシンプルさを好み、「わび」「さび」の心さえも求めているのだ。これは、iData Pro や Hog Bay Notebook をレビューした私の記事を読んで頂ければお察し頂けると思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1196>
(日本語)
WebArranger は Web よりも使える
復活: Helix の逆襲
それはキーパー(Idea Keeper だ、それは
Boswell:テキスト保管庫
断片情報キーパーをあと3つ
Tinderbox でハートに火を点けて
デジタル下駄箱: iData Pro X 1.0.5
NoteTaker でテイク・ノオト
Hog Bay Notebook でグイッと行こう
DEVONthink は考える、あなたのために
よく使い込んだ NoteBook
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07319> (日本語)Hog Bay Notebook でグイッと行こう
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07145> (日本語)デジタル下駄箱: iData Pro X 1.0.5

MindCad の Pyramid は、はっきりと私のこの第二の側面の方に訴えかけてくる。これは、思考の過程を地図に描くプログラムで、これを使ってあなたはチャートを描き、それがいろいろなアイデア相互の関係を示すビジュアルな図式となるのだ。Pyramid には、ConceptDraw に見られるような思考地図の“パワーユーザー機能”は無い。Inspiration に匹敵するものですらない。Pyramid ではたった一種類のチャートしか作れないし、その複雑度においても独自のレイアウト規則がかなりの制限となっており、アウトライナーも付随していない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06179>(日本語)ConceptDraw コネクション
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04586>(日本語)Inspiration 5.0: 驚異の生存者

それでも、Pyramid のシンプルさ、それこそがその美しさそのものとも言える。アイデアを配置して表現しようとする時、その明瞭さこそが価値となるだろう。Pyramid は非常に小さくてシンプルなので、誇張でなくほんの2分もあればプログラムのすべてが身に付く。複雑なオプションの数々に迷うこともなく、ただそのまま、ただ自然にプログラムを使いこなすだけだ。フォームについて思い煩って時間をつぶすこともなく、データの内容そのものに直接向き合える。Pyramid はすばやくあなた自身の分身となるのであって、これこそがそもそも思考地図ソフトウェアにあなたが求めていたものではないだろうか。

<http://www.mindcad.com/>

チャートの中のアート -- 新規の Pyramid 書類は、基本的にはただの空っぽの空間だ。Command-ダブルクリックすると、編集可能なテキスト領域が現われて楕円形の輪で囲まれる。これが“topic”と呼ばれるもので、メインの項目になる。そこで Command-矢印キー(上、下、左、右)を押すと、この topic に属する子供の項目“item”が作られる。こちらは編集可能なテキスト領域が長方形で囲まれており、topic から四方向、つまり北、南、西、東のどちらにでも伸びて分岐することができる。それらの子供 item で Command-矢印キーを使えば、さらなる子孫、つまり子供の子供を作っていくことができる。こうして、一つの topic には item の子孫の群れの束が最大四本付随できる。それぞれの束に属する item 同士の相互関係はそれらを結ぶ直線によって示され、こうして繋いで示された item たちの図は、まるであなたが昔学校で歴史の時間に習った系図のように見える。

また、ダブルクリックをすれば、どの topic にも結ばれていない、独立の item を作ることもできる。それに子供や子孫を付けることもできるが、とにかくそこから伸びる束は四方向のうちいずれか一方向のみにしか伸びることができない。また、その書類にはどの item 階層にも属していない別種の独立オブジェクト、注釈と画像を追加することもできる。注釈は Shift-ダブルクリックで作れ、編集可能テキストの入る独立ボックスだ。画像は、画像ファイルをその書類にドラッグしてくればよい。

というわけで、一つの書類は四つの種類のオブジェクトから成る。最大四本ずつの関連する item の束が付随した topic が何個か、ただ一方向のみに伸びることのできる独立の item がいくつか、それから注釈と、画像、この四種類だ。これらのオブジェクトのそれぞれはドラッグすれば自由に位置を変えられるが、それぞれの item の束や、topic に item の束が付随した内部レイアウト構造は、すべて Pyramid が自動的に決めることになる。

束の中で item の位置を自由に調整できないというのは不便な制限のように思えるかもしれないが、実際に使ってみるとこれが責任から解放された有難みに感じられてくる。そのお陰であなたは内容だけに集中することができ、形式的なことはすべて Pyramid が担当してくれるのだ。また、あなたが担当すべき調整事項はすべてシンプルでわかりやすいものだけ、という意味もある。例えば、サブ item をドラッグするということは、その項目を現在の束から切り離してどこか別の既存の item か topic に付随させるという意味合いしかあり得ず、実際 Pyramid はそう解釈してそのように操作してくれるのだ。

北へ、ではなく上へ! -- ここまでで説明してきたようなことだけから成る Pyramid 書類でさえも充分使い道があるだろうが、Pyramid はもう一歩進んで、いくつかのさらなる新次元をも提供してくれる。まず第一に、これまで説明してきたのは正確に言うと書類ではなくて一つの“sheet”なのだ。書類には好きなだけの枚数の sheet を含めることができる。これは複数枚のワークシートを持てる Excel のワークブックと同じことだ。複数の sheet はタブによって表示され、sheet 同士の間の移動にはウィンドウ上部にあるタブを使う。これらの sheet によってトップレベルのカテゴリー分けが加わることになり、そのことによって Pyramid 図式の比較的シンプルな性格にある程度の埋め合わせが与えられる。例えば、一つの topic は item の束を四つしか持てず、その topic が成長を遂げるに従って図式はどんどん錯綜してしまう可能性があるが、そんな時には追加の情報を表現するために sheet を加えればよい。

個々の item に、いくつもの便利な属性を持たせることもできる。その中で最もパワフルなのがリンクだ。一つの item を別の sheet へとリンクさせることができ、それをクリックすればその sheet にスイッチされる。また、item をどんな種類のディスク上にある書類にでもリンクさせることができ、そのリンクをクリックすればその書類が開く。また、URL にリンクさせれば、それをクリックすると普通にその URL が開かれる。このシンプルな機能のお陰で、あなたの書類のパワーと深みが一段と増すことになるのだ。

また、個々の item にスタイル付きテキストから成る“note”を持たせることもできる。これは重要なことだ。なぜなら、item 自体のテキストに数個以上の単語を入れると書類の上で面積を取りすぎるからだ。だから、item 自体は数語以内に抑えておき、それ以上の詳しいことは、サブ item か、リンクか、あるいは note か(またはこれら三つすべて)に表現するようにするのだ。

Pyramid には、よく使う操作に対応したエレガントなショートカットの数々が、驚くほどのレパートリーと言えるほどに用意されている。直観的にドロー系のプログラムにあるべきと思えることはすべてできるし、さらにそれ以上踏み込んだこともたくさんできる。キーボードのみを使う操作で、sheet 上のすべてのオブジェクトの間を動いたり、編集したり、移動させたりできる。(けれども奇妙なことに、sheet から sheet へ移ったり、item からその note へ移ったりするには、マウスを使わなければならない。)Option-ドラッグで item をコピーしたり、Command-Option-ドラッグでそのテキストスタイルをコピーしたり、Command-Shift-Option-ドラッグでそのカラーをコピーしたりできる。オブジェクトを整列させたり、ロックしたり、何個かのオブジェクトを一つに統合させたり、あるいは何行かにわたるオブジェクトをいくつかに分割したりするメニュー項目もある。それから、個々の item に、その冒頭か末尾(あるいはその両方)にチェックマークを表示させることもできるので、Pyramid 書類にチェックリストや、to-do リスト、そういったものを自由に含ませることもできる。

Pyramid 書類は、さまざまの方法で外の世界とコミュニケーションができる。スタイル付きテキストを Pyramid 書類の中へドラッグすれば、それが一つの item になる。Pyramid 内の編集可能テキストをどれでも別の書類へドラッグできる。また、一つの Pyramid 書類全体をスタイル付きテキストとして書き出すこともできる。そうするとその書類の内部構造は失われるけれども順序は保たれ、すべての topic、item、注釈、それに note の内容が書き出される。さらに、Pyramid 書類を OPML として書き出すこともできる。OPML というのは XML の一種で、書類の階層構造を保つけれどもテキストのスタイルは失われる。もう一つ、sheet を PNG 画像として書き出すこともできる。

将来の方向 -- Pyramid を使い始めながら、早くも私の心はこのプログラムが将来進むべき方向性を想像し始めた。それは決して現状でのこのプログラムに不満があるからというわけではないし、Pyramid に複雑度が増してごちゃごちゃしたものに変貌してゆくのを見たい気持ちもさらさらない。実際のところ、MindCad の人たちから、ユーザーが item ごとにカスタムアイコンを付けられるようにしたり、書類全体にわたるアピアランス(item を繋ぐ直線にいろいろなスタイルを与える、など)を設定できるようにしたりしたいと考えていると聞いた時、私は思わず口をあんぐり開けてしまった。私にとっては、そんなものはただこのプログラムのクリーンですっきりした姿を台なしにするものでしかない。けれども、私にもささやかながらいくつかのアイデアがあって、これならば将来の発展のために使えるのではないかと思える。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06959>(日本語)Tinderbox でハートに火を点けて

結論 -- Pyramid は、まさに新鮮な空気の息吹きそのものだ。そのインターフェイスのシンプルさとエレガンス、細部まで注意の行き届いた造り、プログラムの明快さと反応の良さ、これらすべてが一体となって便利で手軽な使用感を醸し出している。Pyramid こそ、初めて Mac OS X が登場した時に私が予言したことの実証だ。それは、Apple が素晴しいシステムレベルのアプリケーション・フレームワークと、無料の開発ツールとを用意してくれたのだから、それによって近い将来、何か本当に独創的な、心から興味を持てるようなプログラムが、きっと生まれてくるに違いないという予言だ。それに、Pyramid は価格も非常に手ごろだ。思考地図の考え方に魅せられてはいるけれども既存のプログラムはどれも複雑すぎたり高価すぎたりして手が出なかったという人は、ぜひとも Pyramid を試してみるべきだ。

Pyramid は Mac OS X 10.3 Panther かそれ以降を要する。価格は $30 で、400K ダウンロードのデモ版もある。


TidBITS Talk/13-Sep-04 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論につながる。こちらの方がずっと高速のはずである。

安価なカラーレーザープリンタは存在するか? もし "インクジェットの穴" にお金を投げ込むのは馬鹿馬鹿しいと感じているなら、Mac に使えるカラーレーザープリンタについて読んで欲しい。更に、非レーザープリンタで Postscript を印刷するソフトウェアについても論議されている。(メッセージ数 17)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2307>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/171>

NoteBook 対 NoteTaker -- テキスト断片保管がこれほど多くの製品を生み出すなどと誰が想像しただろうか?先端を行く二つのプログラムの比較論議である。(メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2308>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/172>

Canada のインターネット音楽販売 -- Canada では未だ iTunes Music Store が一つもない - なぜか?読者が見解を披露している。(メッセージ数 3)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2309>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/173>


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