TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#754/08-Nov-04

Red Sox がワールドシリーズで優勝したことも意外だったが、Geoff Duncan が彼にかけられた Mac OS X の呪いから遂に解放されたのも、意外な理由からだった。Sonnet の Encore/ST G4 Duet アップグレードカードのおかげで、彼は Mac OS X を一度に数時間以上も続けて使えるようになり、Mac OS 9 でさえも速度の向上が見られた。今週号ではまた Mac OS X 10.3.6 アップグレードについて簡潔に概観し、Apple のワイヤレスベースステーションに関する USB プリンタの互換リストが更新されたことをお伝えし、先週の DealBITS 抽選の当選者をお知らせする。

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MailBITS/08-Nov-04

新しい AirPort USBプリンター互換リスト -- 残念ながら、Apple は AirPort Express(日本では AirMac Express)および AirPort Extreme(日本では AirMac Express)のベースステーションと互換性のある USBプリンターのリストを公表していない。これらの機種は base station を無線ネットワーク上のどのコンピューターからでも使えるプリントサーバーにする USB ポートを持っている。私が理由を訊いたときに、Apple はそのリストが手に負えないものになってしまったと述べた。残念!どのプリンターがこれらの Apple base station で動くのかを探すことは、メーカーのウェブサイトではできないというのに。ベースステーションを購入してからそれがあなたの USB プリンターと非互換だったとわかる、などという目には遭いたくないだろう。逆に、あなたのベースステーション用にプリンターを購入してみたら非互換だった、という目にも遭いたくないだろう。

新しいリストが現れた:The iFelix unofficial Airport Extreme and Express Printer Compatibility List がそれだ。それは情報をいくつかのシンプルな階層として取り扱っている:前に Apple のリストに載っていたプリンターは太字;後に加えられたものは標準文字;James Clay(the iFelix list の作者)が彼自身でテストしたものは濃い赤として表示されている。そのページは、確認済みの非互換プリンターと既知の Wi-Fi 互換プリンターについてもリストしている。これは素晴らしいリストだ。もしあなたが付け加える情報を持っているなら、それを提供するようお勧めしたい。そして、iFelix がこのすばらしい作品であり続けられるよう願っている。Apple Discussions for AirPort Express でのスレッドも役に立つだろう。[GF](笠原)

<http://www.efelix.co.uk/tech/1013.html>
<http://discussions.info.apple.com/webx?128@241.xeJJaayPASb.1@.6898602a>

EU iTunes Music Store 訂正 -- 先週号で、私たちは誤ってアイルランドが EU iTunes Music Store の開始に含まれない唯一の EU 加盟国であると書いた( TidBITS-753の記事“Apple が iPhod Photo, iPod U2, Euro iTMS を発表”を参照)。私たちが書こうとしたのは、アイルランドは EU iTMS のサービスに含まれない唯一の~ユーロ通貨国~であるということだった。[JLC](笠原)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07877>(日本語)Apple が iPhod Photo, iPod U2, Euro iTMS を発表
<http://www.euro.ecb.int/en/what/countries.html>

DealBITS 抽選: MaxUpgrades の iMove 当選者 -- yahoo.com の Marie Smolnik さんと sbcglobal.net の David Stoler さんおめでとう!先週の DealBITS の応募者の中から抽選の結果、このお二人が選ばれました。お二人には 149ドル相当の MaxUpgrades iMove 移動式テーブルを発送いたします。惜しくも抽選に漏れた全員が iMove 購入時に 20% の割引が受けられます。247名の応募者の皆さんに感謝いたします。読者の皆さん、クールな賞品獲得のチャンス、外れてもディスカウントを受けられる DealBITS 抽選にご注目! [ACE](笠原)

<http://www.maxupgrades.com/pressimove.htm>
<http://www.tidbits.com/dealbits/maxupgrades.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07876> (日本語)DealBITS 抽選: MaxUpgrades の iMove


Mac OS X 10.3.6 がネットワークとアプリケーションの安定性を改善

文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

2004年11月5日、Apple は、 Mac OS X 10.3 Panther の無償アップデートとなる Mac OS X 10.3.6 をリリースした。アップデートには新バージョンの Safari Webブラウザが入っている。新バージョンではウェブページをロードしたりフォームデータを送信したりするときに 60秒後に止まってしまうことはなくなり、ユーザーがキャンセルしようとするまで試行を繰り返すようになった。Apple は .Mac ユーザーに対して iDisk とのシンクロに関するバグを修正した。10.3.5 では、ユーザーがエリアの割当を変えたときに正しくアップデートされなかった。

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=300080>(日本語)Mac OS X 10.3.6 Update (Delta) について
<http://www.apple.com/macosx/upgrade/>(日本語)アップル - Mac OS X - アップグレード

さらに、Apple は AFP (AppleShare によるファイル共有)、NFS (Unix ファイル共有)と SMB (Windowsネットワーク)等のネットワークでのファイル共有機能を改良し、ネットワークでマウントしたボリュームからのアプリケーションを起動することが可能になった。アップデートは新バージョンの計算機、DVD プレーヤ、イメージキャプチャ、その他いくつかのパッチを提供している。

Mac OS 10.3.6 update は Software Update と単体インストーラで提供される。Software Update 経由の場合、最近のセキュリティ・アップデートをインストールしている 10.3.5 ユーザーには 14 MB 程度だが、最近のアップデートをインストールしていないユーザーにははるかに大きなもの(最大 34 MB)になるだろう。(Software Update が既存のファイルを置き換えずに変更を加えることができる場合にはインストールサイズを減らすことができるかもしれない)。アップデートは combo installer ( 92 MB のダウンロード)としても提供される。これは、 Mac OS X 10.3 から 10.3.5 までの全てのバージョンをアップデートできる。

<http://www.apple.com/support/downloads/macosxupdate_10_3_6.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - Mac OS X Update 10.3.6
<http://www.apple.com/support/downloads/macosxcombinedupdate_10_3_6.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - Mac OS X Combined Update 10.3.6
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=25799> (日本語)Mac OS X: ソフトウェアアップデートのサイズは複数あります

さらに、Apple は Mac OS X Server 10.3.6もリリースした。これは、 Mac OS X 10.3.6 update に加えて、Open Directory、File Services、Fibre Channel Utility、Mail Server、と LDAP をアップデートする。

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=300100>(日本語)Mac OS X Server 10.3.6 Update について

私たちは、Mac OS X 10.3.6 にしたことで2つの予期しない変化があることに気付いた。一つは悪く、一つは良いことだった。一つ目とは、Safari のアップデートが June 2004 developer preview version of Safari を利用不可にしてしまうことだ。開発者は Apple から新しい developer preview バージョンをダウンロードできる。ただし、(Camino や Firefoxのような)他のウェブ・ブラウザーが使える場合だ。二つ目は、Apple が iBook と PowerBook で、モニタ部を閉じたりスリープを実行してスリープ状態に入るときに、数秒から30秒以上もかかるという症状を改善したように見えることだ。10.3.6 へのアップデートで密かに消滅したこの遅れは、完全にスリープ状態に入ってしまうまでにラップトップマシンを動かしてしまうことを招き、ラップトップマシンの HDD を余計に消耗させることに繋がっていたのだった。(ラップトップマシンを閉じたら「すぐ」にケースに入れたいのだ。40秒後じゃなく!)


Sonnet の Encore/ST G4 Duet で唄う

文: Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
訳: 貞広正則 <msadahiro@peccom.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

小説には、いわゆる「裏の歴史」というジャンルがあって、重要な歴史的事実がもしも違った風に起こっていたならばどうなっていたか、ということを想像して話を繰り広げることがある。例えば、もしも英国が南部連邦を支援しに来ていたらアメリカ南北戦争はどうなっていたか? もしもフビライ・ハーンが 1281 年に日本を侵略することに成功していたら? もしもマルチン・ルターが 1505 年に突然宗教にのめり込むことなく法律の勉強を続けていたとしたら? そうしたら、いったい歴史はどう変わっていたのだろうか、と。

ここ二年ほどの間、私はある種そういう裏の歴史の中で生きてきた。私の場合は、もしも Mac OS X というものが無かったら、というものだ。いや、もう少し正確に言えば、もしも私がどんなに頑張っても Mac OS X を使える方法が無かったならば、私の生活はどんなものか、というものだった。そんなことは空想科学小説の中だけの話だとお思いだろうか。あるいは、頭のネジの外れた被害妄想狂が、熱に浮かされてたわごとを言っているのだろうとお思いだろうか。いやいや、そうではない。これはちゃんとした現実の話なのだ。ずっと長い間これが私の現実で、それが解決したのは、私が Sonnet の Encore/ST G4 Duet プロセッサアップグレードをインストールした時が初めてだった。

[訳注: 日本で販売されている製品は、“Encore/ST G4 Duet”ではなく“Crescendo/ST G4 Duet”と呼ばれているようです。]

<http://www.sonnettech.com/product/encore_st_duet.html> (日本語)Sonnet | 製品情報

汝の上に X 印を -- 2002 年の初めごろ、私はデュアルプロセッサの Power Mac G4 (QuickSilver) を入手した。これは、私も Mac OS X の時流に乗り遅れないように、そして私のちっぽけなデジタルオーディオ・プロジェクトスタジオも少しは機能を拡張させたい、と願ってのことだった。1980 年代の終わりごろに私が Macintosh に転向したのは、Unix に付きまとう技術的なごまかしの山にうんざりしてのことだった(私は PC の使用を考慮したことは一度もない)のだが、今回は Apple が私のために Unix か Windows かと悩まずに済むようにしてくれたのだという気がして、それなら私もこれに慣れ親しんでみよう、という気持ちになったからだ。

この新しい G4 が Mac OS 9 で動く、そのパフォーマンスの素晴しさに私は息を飲んだ。(これは、私がメインで使っているオーディオソフトウェアがデュアルプロセッサに対応していたからだ。)けれども、Mac OS X の方が完全にボロボロであるのを見て私は唖然とした。細かいことをここで触れるのは差し控えたいが、このオペレーティングシステムはたいていインストールも完了せず、ましてやきちんとブートすることなどあまり無かった。アプリケーションはいつクラッシュするかわからず、いきなり異常な挙動をすることもあった。たとえ動作を続けている時であっても、プログラムがタイプ入力やマウス操作を無視するようなことが珍しくなかった。私の Mac がカーネルパニックに陥るまでの平均所要時間は4時間以下で、起動後数分で止まってしまうことも多かった。いろいろなアップデートやシステム更新のたびにいくつかの症状が変化することはあったと思うが、たいていの症状は、どうやらその日の天気とか月の満ち欠けとかだけで決まるように思えた。私がどんなにのたうちまわり、体をよじって苦闘しても、Mac OS X はちっとも安定せず、使い物にならない以外の何物でもなかった。

友達も、同僚たちも、Macintosh のプロフェッショナルたちも、皆途方に暮れた。私のような問題を見聞きしたことがある人は誰もいなかった。皆、まずは再インストールを勧め、何度やっても問題が解決しないのを見るや、ハードウェア、特に RAM メモリの交換を勧めるのだった。

というわけで私は何でもやってみた。私が書き残しておいた記録によると、私は 2002 年の 9 月中旬以来 Mac OS X 10.2 のインストールを何と 166 回も試みている。どのインストールも、たいていあまり長くは続かなかった。その後 Panther になったが、Panther のインストールには一度も成功しなかった。このマシンはあらゆる種類のハードウェア診断にことごとく合格したが、それでも私は 2002 年から 2003 年にかけて RAM を5回、ハードドライブを3回、ビデオカードを3回、キーボードとマウスを4回、オーディオインターフェイスを3回、交換している。それだけでなく、私はコアマシンのスワップさえも _4回_ も試みている。同じくらい古いデュアルプロセッサシステムのマシンとの間でいろいろな組み合わせで入れ替えをしてみた。(実は、この時期に何人かの Apple 社員の人たちが個人的にこっそりと援助の手を差し伸べてくれたのだ。ここでお名前を言うことはできないが、どうもありがとう!)そういう努力にもかかわらず、個々の症状がこれらのゴタゴタのどこかの段階で少しだけ変わったという程度のことはあったものの、Mac OS 9 が問題なく走るのに Mac OS X の方はボロボロ、という事実だけは変わらなかった。Mac OS X が走らないと考えられる理由は、何も見当たらなかった。なのに、実際走ってくれないという事実だけが、厳然と存在していた。そのうち、友人たちやクライアントたちは自分たちの Mac を私に触らせるのを嫌がるようになってきた。私が悪霊に取り憑かれていると思ったのだろう。

X に沈黙を 重ねしは -- 結局、私自身は Mac OS X が使えなくてもそれほど気にならなかった。2003 年の初頭までは、プロフェッショナル用のオーディオの世界で Mac OS X はまだあまりまともに動き出していなかった。プロレベルのオーディオインターフェイス用にはドライバも無かったし、初期のドライバといえば信じられないほどバグだらけだった。アプリケーションも、例えば Digital Performer、ProTools、Cubase、Logic のようなものは Mac OS X に対応したバージョンが無いか、あっても動作が鈍いとか信頼性が少ないとか、あるいは重大な機能が欠けているとかいうものしか無かった。Apple の CoreAudio デジタル・オーディオ・アーキテクチャは Mac OS X 10.2 Jaguar で初めて登場したが、安定した動作が期待できるようになったのは 2003 年に入ってからの Jaguar アップデート以後だった。それに、これは現在に至ってもまだ定まらない目標に過ぎず、開発者たちは皆この動く目標に狙いを定められずにいる。私がたいていの音楽プロジェクトにおいて中心的な位置で使っているソフトウェアも、依然として Mac OS X に対応したものが出ていない。この事実だけでも、私があまりにも頻繁に首を突っ込んでいるライブラリの中に 6,000 近くものプロジェクトが現存していることを考えれば、重大な障害以外の何物でもない。例えて言えば、Apple が小説家に向かってこう言っているようなものだ。「もちろんですよ。Mac OS X は、あなたがお書きになったものすべてと互換です。なぜなら、すべてをタイプし直せばよいのですから!」と。仮に私が Mac OS X を走らせることができたとしても、実際問題として私はそれを _使う_ ことができなかっただろう。

だから、要するに私はあきらめた。毎週月曜日には、私はいそいそと Mac OS X を走らせて(あるいは、こちらの場合の方が多かったが、再インストールして)TidBITS のサーバに接続できるようにし、他のスタッフたちが私と iChat で連絡できるようにした。でもそれ以外のことは、すべて私は Mac OS 9 を使ってこなした。こんな面倒なコンピュータなんかすべて放り捨ててフルタイムのミュージシャンになろうかと、幾度思ったか知れない。もちろんそれは馬鹿げた考えだったが、少なくともそうすれば私はギターを手にした仕事に専心できるのであって、ギターというものは一度も“アップグレード”なんてことはせずに _何十年も_ 使い続けられるのだ!

ソネットを詠む -- そんなある日、私の Mac OS 9 システムが、起動時にこんなダイアログを表示した。「内蔵メモリテストで、内蔵キャッシュメモリに問題が見つかりました。サービス技術者に援助を求めてください。」その後二週間にわたって、何十回と普通の再起動やコールドブートをしたにもかかわらず、このエラー、そしてこの下手な説明は、二度と現れなかった。信頼できる Apple の技術者に電話したところ、このエラーはプロセッサ・キャッシュについてのもので、そこに問題があるとすれば、可能な解決策としては、コンピュータのプロセッサカードを交換することだということが分かった。そこで私はふと思った。私の Mac OS X が不安定なのは、_2つ目の_ プロセッサのキャッシュに断続的に問題が起こっているせいではないだろうか。結局のところ、Mac OS 9 は通常1つの CPU しか使わないし、もしかしたら私の Mac OS 9 オーディオソフトウェアは問題を起こさないような仕方で2つ目の CPU を使うのかもしれない。一方、Mac OS X は、仕事をプロセッサに割り振ることについてはより平等主義だから、より欠陥につまずきやすいのかもしれない。

私が聞いたところでは、私の G4 のように「古い」G4 用のデュアルプロセッサ・カードの在庫が Apple にまだあったとしても、それと交換するのはとても高くつくだろうということだった。しかし、現行の Mac は Mac OS 9 では起動しないから、新しいマシンを買うという選択肢はあり得なかった。そこで、私はサードパーティーのプロセッサに交換する可能性について調べることにした。

Power Mac G4 システムのプロセッサ・アップグレードを選ぶというのは、やってみると複雑な無数の可能性があることが分かって、Apple の分かりにくいモデル命名方法は、「QuickSilver」や「AGP Graphics」といった用語にしたところで分かりにくいので、役に立たない。(TidBITS はずっと、Apple のミニマリストなモデル命名法を非難してきた。 TidBITS-485 の「Macintosh製品名の衰退: 名は体を表す」を見てほしい。)おそらく、Power Mac G4 を持っている人の多くは、自分のモデルが Apple の製品目録のどれに当てはまるのか、知らないだろう。しかし、Mac のモデルが異なれば、使用できるプロセッサ・アップグレードのタイプとスピードの選択肢が劇的に変わることもあるのだ。たとえば、初期の「Yikes」G4 のアップグレードには限られた選択肢しかないし、比較的最近の Mirrored Drive Door や FireWire 800 マシン用のプロセッサ・アップグレードはまだない。Apple が公開している Power Mac G4 の製品分類表は、人を混乱させる。もしあなたが自分のモデルを知らなかった場合、机の下にもぐり込んでいくつかのポートの向きを調べることになっても驚かないように。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05436>(日本語)Macintosh 製品名の衰退: 名は体を表す
<http://www.info.apple.com/kbnum/n58418/>(日本語)Power Mac G4: 機種を区別する方法
<http://www.info.apple.com/kbnum/n42739/> (日本語)Power Mac G4: 機種を区別する方法(パート 2)

混乱に拍車をかけるように、初期の AGP Graphics Power Mac G4 モデルに搭載されている Uni-North ASIC コンポーネントの一部は、デュアルプロセッサをサポートしない(これらのマシンもシングルプロセッサのアップグレードはサポートしている)。Sonnet が、どうやって Uni-North のバージョンを調べるかを説明している。私の知る限り、この情報は Sonnet の Duet 製品だけでなく、すべてのマルチプロセッサ・アップグレードに当てはめられる。

<http://www.sonnettech.com/support/errata/duet_errata.html>(日本語)Sonnet | サポート情報

結局、私の Power Mac G4 には、現在デュアルプロセッサの選択肢が3種類あることが分かった。Sonnet の Encore/ST G4 Duet、GigaDesigns の Dual G-celerator、そして PowerForce の Dual G4 Series 133 であり、PowerLogixや Other World Computing からさまざまな名前で販売されている。現在の価格は、1 GHz の GigaDesigns G-celerator(1.2 GHz までクロックアップできる)が 580 ドル、Sonnet か PowerForce の 1.25 - 1.3 GHz デュアルプロセッサ・アップグレードが、製品や販売元によって 650 ドルから 750 ドル程度だ。

<http://www.sonnettech.com/product/encore_st_duet.html> (日本語)Sonnet | 製品情報
<http://www.gigadesigns.com/productsM5d1012q.html>
<http://www.gigadesigns.com/productsM5d1213q.html>
<http://www.powerlogix.com/products/G4_dual_cpu_133/index.html>
<http://eshop.macsales.com/Catalog_Item.cfm?ID=6499&Item=PLGPFD745723ACQ>

私は Mac OS 9 でデュアルプロセッサを使おうという数少ない人種の1人だから、PowerForce Dual G4 は考慮に入れなかった。というのも、この製品は、私が調べた限りでは、Mac OS 9 では1つのプロセッサしか使えない。私と同じような環境の音楽・オーディオ仲間の誰一人として、Sonnet のプロセッサ・アップグレードで問題や相性の悪さを経験したことがないという事実に、私は勇気づけられた。何人かは PowerForce や GigaDesigns のアップグレードでも良い結果を得ているが、中には特定の機能(たとえば ADAT の同期)で、デジタル「ひび割れ」を経験した人もいる。すべての人について条件が等しくないということは、十分に分かっている。かれらは同じ機器を使っているわけではないし、私と同じモデルの Macintosh を使っているのは1人しかいない。さらに、何人かは GiGaDesigns のアップグレード(ユーザーがジャンパーを変えることで、システムバスの乗数を設定できる)でクロックアップを試したのかもしれない。そうはいっても、私にとっては、Sonnet のアップグレードがもっともよい出発点であるように思えた。

私にはそれほど必要ないことであるが、Sonnet Duet アップグレードを使うと、パフォーマンスが向上する。プロセッサが 800 MHz から 1.27 GHz になるから、単純計算でクロックスピードが 58 パーセント上がることになる。しかし、パフォーマンスがそれだけ向上すると期待するのは現実的でない。256Kの2次キャッシュと 2MB の3次キャッシュはそのままだし、システムバスのスピードも変わらず 133 MHz だ。さらに、ハードドライブ、ビデオカード、ネットワークやその他のシステムもいっさい速くならない。CPU に負荷がかかるような例外的な作業を除けば、いくらかの操作には 15 から 20 パーセント程度のパフォーマンス向上しか期待できないだろうし、その他の、インターネットやディスクアクセス、グラフィックのパフォーマンスに大きく依存するような仕事では、パフォーマンスの違いはほとんど感じられないだろう。

インストールする -- Power Mac G4 にプロセッサ・アップグレードをインストールするとき、更なる混乱の一つに、Mac が適切なファームウェアにバージョンアップされているかどうかを見極めることがある。AGP Graphics、Gigabit Ethernet、そして Digital Audio モデルの中には、バージョン4.2.8のファームウェアへのアップデートが必要なものがある。Mac OS 9 や Mac OS X(OS Xでは、Production Information あるいは Hardware Overview のセクションでリスト表示している)のどちらであってもシステムプロファイラを使えば、あなたが現在使っている Mac のファームウェアバージョンを確認でき、Apple からオンラインでファームウェアのアップデータを入手可能である。しかし、Power Mac G4 では、ファームウェアは、(CD ではなく)書き込み可能なハードディスクから Mac OS 9を立ち上げた場合のみ、アップデータをかけることができる。そして、どんなファームウェアのアップデートも、プロセッサ・アップグレードをインストールしようとする前に実行しておかなければならない。さらに、Power Mac G4 プロセッサ・アップグレードカードは一般的には、Mac OS 9.2.1以降しかサポートしていないので、もしもそれより古いバージョンを使っているならば、カード取り付け前にアップグレードしておかなければならない。おそらく、OS をアップグレードする際に、ファームウエアのアップグレードも一緒にすることもできよう。

<http://www.info.apple.com/kbnum/n120068/>(日本語)Power Mac G4 Firmware Update 4.2.8 に関する情報とソフトウェアのダウンロード

Power Mac G4 でプロセッサ・アップグレードをインストールする祭には、現在のプロセッサが載っているドーターカードを外し、新しいものをその場所に取り付けることになる。ドーターカードはマザーボードにしっかりとネジ止めされているが、この過程は、考え方としては、RAM や PCI カードを取り付けるのとそれほどは違わない。しかし、プロセッサは、通常はヒートシンク(巨大な金属製のフィンが熱を発散する)そして時には、専用のファンが備わっている独自の冷却装置を持っているので、外すためには余分の手順が必要である。詳細は G4 モデルそれぞれで違っているが、冷却装置とプロセッサを外し、取り付ける作業は、コンピュータ内部をいじることを得意としない者に取っては、取っ付きにくいものかもしれない。始める前に必ず、あなたが所有している Mac 用の説明書を読み、もし何か分からないことがあれば、より技術的な能力を持つ友人か専門の技術者にインストールを依頼する方がよいだろう。Sonnet の説明書は、Duet アップグレードがサポートするあらゆる機種の写真が掲載され、分かりやすくしっかりと図示されているので、道具を手にしている写真が多いからといって、恐れる必要はない。あなたの Mac で必要なのは少しの部分に過ぎないのだから。(Sonnet はまた、それぞれの市場でフランス語、ドイツ語のドキュメントを用意している)私は写真を撮りながらのインストールであったが、それでもかかった時間は10分ほどだった。もし興味を持ったなら、あるいはただ単に私の Mac の内部を見たいのなら、下記のURL をチェックしてもらいたい。

<http://www.tidbits.com/resources/754/duet-installation/>

一旦、Encore Duet をインストールしてしまえば、アップグレードを十分に動作させるには、Mac OS 9 と Mac OS Xの両方とも、ほんの少しのソフトウエアが必要なだけである。(それぞれの OS で、これらのソフトウエアコンポーネントがなくても動くことは動くのだが。)このソフトウエアは、OS 9ではスリープをサポートし、OS Xでは、L2 と L3 プロセッサキャッシュをサポートするので、OS が正確にプロセッサのスピードやキャッシュサイズを把握する。

そして判決は... これらの紆余曲折の後結局の所、Sonnet Encore/ST G4 Duet のアップグレードはやる価値があったのか?私にとっては、これは文句なしに "Yes!" である。

まず、このマシンの Mac OS X に関するのろいは、それがどんなものであれ、どうも解けたらしいのである!Mac OS X 10.3 Panther は何事もなくインストールされ正常に動いているようである。それでもアプリケーションのクラッシュは何度か経験したが、これも通常のソフトウェアバグ以上の何者でもないように思える:OS は安定しているし Apple が意図したように動いているように見える。

次に - そして(私にとっては)うれしい事に - Mac OS 9 も引き続いて順調に動作、いやむしろより快調に動作している。これまでもこのマシン上で遅いということはなかったのだが、Mac OS 9 は今はまさしく飛んでいる。最も顕著な性能向上は私の主たる音楽制作ソフトウェアで見られる。例を挙げれば、ある種のタスク (サンプルレートやフォーマットの変換、等) では 30% の改善が見られ、そしてある特殊なタスク (残響効果処理のような) では 60% という驚愕的な向上が見られた。もっとも私にとってこの様なプロセシングパワーが絶対に _必要_ なわけではないが、結構うきうきさせるものがあり、恐る恐るではあるが、よりプロセッサ依存型のアプローチをプロジェクトを選んで試みるようになってきている。

私は多少の不具合を経験したが、はっきりさせて置きたいのは - 私が確かめられる範囲では - これらは私のマシンに固有の問題であって Duet アップグレード一般に言えるものではないと言うことである。私は、何とか他に11人の Duet ユーザーにコンタクトすることが出来たが、その中の誰もこのようなは問題には遭遇していないし、Sonnet も彼らのテストシステム上でこれらを再現できていない。

繰り返すが、これは私の知る限り、私だけの問題であるか、あるはまだ私のマシンには何かおかしいものが残っているのかもしれない。例えば、私は二枚のビデオカードをそれもそれぞれ異なるメーカーのものを (システムに付いてきたオリジナルの Nvidia GeForce2 MX と ATI Radeon カード) を使っているが、これは標準のセットアップではない。更に複数の内部ハードドライブを持っているし、その上、FireWire ベースのオーディオハードウェアもしょっちゅう使っているので、これがスリープに干渉しているのかもしれない。

幸いにして、これらの再起動やスリープの問題は、私にとってはさして重大なものではない。私のマシンはオーディオ処理のため何時間も稼動することもあるので、自らスリープさせる必要はない。(自動スリープにしてしまうと TidBITS の自動化や夜毎のバックアップが阻害されてしまう。) 同様に、私のマシンはスケジュールに沿って再起動したりシャットダウンしたりすることもない。この再起動の問題は、もしこのマシンを自動的に再起動しなければならい立場だったら (これをサーバーとして構成していたら多分)、私を立ち止まらせていたであろう;その場合、私だったら自動再起動が失敗した場合にシステムをジャンプスタートさせるために Sophisticated Circuit の PowerKey Kick-off の様なものに頼ることになっていたと思う。

<http://www.sophisticatedcircuits.com/products/kick-off/kick-off.html>

それで結論は:我々のように未だ Mac OS 9 を走らせる必要があるものにとっては - 或いは適当なソフトウェアが Mac OS X 用には出ていない人にとっては - プロセッサのアップグレードは自分のマシンの寿命を延ばすだけでなく、その足取りにしっかりした更なる弾みを加える有効な手段である。私の場合は格別劇的なわけではない:500 MHz やそれより遅い単プロセッサ G4 システムを 1.2, 1.3, 或いは 1.4 GHz デュアルプロセッサのスピード狂に変える事を想像してみて欲しい!そして未だ Mac OS X に安心感を持てない我々のような人にとっては、手間とお金をかけて見知らぬ全く新しいシステムを買うというよりは、プロセッサのアップグレードで安心感のある既存の Mac を生かすのは大いに理にかなっている。Sonnet Encore/ST G4 Duet は、Mac OS 9 からしかアクセスできない長年の私の労作を捨て去ることなく Mac OS X へのアクセスを可能にしてくれる:Mac OS X アプリケーションが私の必要な機能を与えてくれる様になるまでは - 或いは全てを投げ捨ててギター演奏で身を立てようと決心するまでは - これが私にとっては殆ど唯一の解なのである。


TidBITS Talk/08-Nov-04 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方がずっと高速のはずだ。

Mac 用の音声認識口述筆記ソフトウェア -- 音声口述筆記をするには、現在 Mac 上でどんな選択肢があるのだろうか? 読者たちが経験談を寄せる。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2366>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/228>

iPod Photo について -- Apple が iPod に新しい一ひねりを加えた。読者たちがいろいろな立場からの感想を寄せる。現存のデジタルカメラとの間で直接インターフェイスできる iPod Photo があったらいいのに、と希望する写真家たちからの声もあった。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2365>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/227>

サーバーサイドのオープンソース・アンチスパム対処法 -- Postini のスパムフィルターサービスに関する先週の記事に関して、サーバーサイドのアンチスパムソフトウェアについて、またそれがどれほど実効性があるかについて、議論があった。(メッセージ数 3)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2364>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/226>

Mac 用の統計ソフトウェア -- Mac を使っているのがデザイナーやその他のいろいろなタイプのクリエイターたちだけでないのはもちろんだが、本格的な数値処理のための統計パッケージのソフトウェアも実際多数ある。(メッセージ数 25)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2362>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/224>

印刷物からウェブへのワークフローを作る -- 今では、紙に印刷されたものからウェブへと情報を移すことは易しくなったと考えられがちだが、ある場から別の場へと移動するためには、やはり越えなければならない障害物がいくつも残っている。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2361>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/223>


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