TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#755/15-Nov-04

デジタル写真について TidBITS にいくつかの記事を書いてくれた Charles Maurer が、その締めくくりとしてカメラの購入にまつわる彼の体験談を語り、皆さんにも機種決定の参考にして頂ければと望んでいる。また今週号では、Consumer Reports 誌に Mac を誉めたたえる記事が載っている(ただしもちろん、注意して読むことが必要)のを Adam が報告し、Guy Kawasaki からの無料のオンライン・プレゼンテーションについて、Audion の無料化について、それから Firefox 1.0 のリリースについてもお伝えする。それからもう一つ... iPod ソックスだって? これは本当の話だ!

記事:

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MailBITS/15-Nov-04

Firefox 1.0 リリース -- Mozilla Organization がついにオープンソースのウェブ・ブラウザ Firefox のバージョン 1.0 をリリースした。このニュースは、Internet Explorer より安全なソフトを探していたwindows ユーザーにとってのほうがエキサイティングかもしれない。しかし、Mac ユーザーも Mac OS X 版が Safari と同じくらい軽快で、様々な機能が盛り込まれていることは嬉しいはずだ。例えば、新機能のライブブックマークで RSS feed を読んだり現在の記事のリストが表示されるようになった(ウェブログのエントリーやニュース・アップデートのようにだ)。検索バーでは Google だけでなく他の検索エンジンも含まれるようになった。そして、 Firefox はサードパーティーのツールバー(Amazon の A9 search toolbarのようなもの)をインストールできるようにもなった。Firefox 1.0 は 8.6 MB の無償ダウンロードで、Mac OS X 10.1 以上で利用できる。 [JLC](笠原)
[訳者注:11月17日時点でAmazon A9 toolbar の日本語版は公開されていません]

<http://www.mozilla.org/products/firefox/>(日本語)Firefox - Web の再発見
<http://toolbar.a9.com/>

Audion が金時計を獲得 -- ほろ苦い変化が起こり、至るところでスキン・スイッチ好きな音楽愛好家の目に涙が溢れることだろう。Panic Inc. が長寿命だったデジタル・オーディオ・ジュークボックスプログラムの Audion を引退させることを決めたのだ。Panic はそのソフトを彼らのサーバーからただ取り除くのではなく、Audion を無料で利用できるようにした、その上、これまでの応援に感謝してディスカウント・クーポンを購入者に送った。

<http://panic.com/audion/>(日本語)MacMP3 Official Site

Macintosh の MP3 プレーヤーの黎明期に、Audion は SoundJam (Casady & Greene によって公開され、最後には Apple の iTunes になった)とつばぜり合いを演じたものだった。Audion は"スキン" - 本質的には、アプリケーションの外見とインターフェースを変化させるモジュール - を、階層プレイリスト、ユーザー・レーティング、再生カウンター、音楽編集といったパワーユーザー向け機能とともに組み込むことで特徴を出した。しかしながら、やがて、Audion は、Apple の増え続けるデジタル音楽製品の攻勢や Audion が iPod の曲を管理できるにもかかわらず iTunes Music Store の DRM protection を扱えなかったり、 AirPort Express (日本では AirMac Express)のような Apple 製品のサポートをできなかったりするため、ニッチ市場を切り拓くことが不可能になった。それでも、Audion は成熟した便利なジュークボックスだ。それは、iTunes では決して使うことができないであろう機能を搭載している。そして、-無料!-これは大変なことだ。Panic の消費者の立場に立った振る舞いと製品の無料化に賞賛を送ろう;Panic は他に Usenet と FTP クライアントの Unison と Transmit 、その他 Mac ユーティリティー集を提供している。Audion 3.0.2 は Mac OS の 8.6 以上のバージョンと Mac OS X の全バージョンで使用できる。Panic の共同設立者 Cabel Sasser が Audion の進化をユーモラスに暴露的に書いた文章を公開している。クリスマスイブに Steve Jobs から電子メールを受け取るということがどういうものなのか興味のある方には一読の価値がある。[GD](笠原)

<http://panic.com/extras/audionstory/>(日本の写真)

Guy Kawasaki のオンライン講演を聴こう -- 元 Macintosh エバンジェリストの Guy Kawasaki が、The Art of the Start という新しい本を出した。新しい企業やプロジェクト、その他なんでもをスタートさせることについて書いた本だ。ほとんどが、起業ベンチャー・キャピタル会社の Garage Technology Ventures を指揮したここ数年の経験に基づいている。私は未だ読み終わってはいないが、読み終わった部分は実用的で鋭く、アイデアが火花を散らしていた。私は、近いうちに読み終わってレビューもできることを楽しみにしている。

<http://www.guykawasaki.com/books/>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/1591840562/tidbitselectro00/ref=nosim/>
<http://www.garage.com/>

ところで、Guy が無料で聴ける 1 時間のオンライン講演を 2 回行っている。これは、Raindance の技術を使って行われる。一回目は 2004年10月21日に行われた。次回は2004年11月18日の太平洋時間午前10時に行われる。彼の声を聞きながらプレゼンテーションのスライドを見ることができる。サインアップは少し面倒だが、難しいほどではない。Safari や Mac では動かないかもしれないという注意書きが出るが、私が一回目の講演を視聴したときには問題はなかった。Guy はいつもどおりの調子で、講演を楽しく示唆に富むものにしてくれたが、後になって、彼は私に聴衆のいない、反応のないところでのプレゼンテーションに戸惑ったと語ったものだったが。 [ACE](笠原)

<http://www.raindance.com/rndc/solutions/marketingExecutives.jsp?it=secNav>

ソックスでクリスマス! -- これはきっと世代的なものかもしれないが、私の感じでは、ホリデーギフトに下着類をもらうなんて、何と言うか... ちょっと低く見られたような気がするものだ。でも、そこで Apple が登場してそんな弱気を吹き飛ばしてくれる! この 12 月初旬から(予約注文は既に始まっている!)iPod を熱愛する人たちのために、iPod Socks の 6 足セットが、$30 で売り出されるのだ! 最近の iPod Photo のお目見えの際に初めて登場したものだが、このニットのソックスはオレンジ、ピンク、ブルー、グレー、パープル、グリーンの 6 色でセットになっていて、全てのサイズの iPod にフィットする。Apple によれば、「iPod をソックスに滑り込ませるだけで安全に(そして暖かく!)iPodをご利用いただけます。Dock に接続する時や、プレイリストを変更する時はソックスから取り出してください。」とのことだ。ボイスレコーダのような iPod 付属品が付いた状態で使えるかどうかはまだ発表されていない。

<http://store.apple.com/1-800-MY-APPLE/WebObjects/AppleStore?productLearnMore=M9720G/A>(日本語)iPod ソックス

でも疑問はまだまだ残る。コットン製だろうか? ウール製かな? ひょっとしたら混紡かも - そうだ! スパンデックス入りで伸縮自在? 同色の衣類と洗濯すべきか? iPod ソックスは乾燥機に入れちゃダメ? 猫たちは夢中になって追いかける? それからそれから、iPod シューズなんかは、いつになったら予約注文できるかな? [GD](永田)


Consumer Reports 誌のファンファーレもあと一歩

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Consumer Reports は有名な雑誌で、広範囲にわたる消費者向け製品についてのレビューや比較記事、推薦記事などを専門にしている。この雑誌が、遂に Macintosh について好意的なことを書いてくれる日が来た。2004 年 12 月号の表紙には「Mac を再検討するための 59,940 の理由」とまで印刷されている。(その記事の中で、Symantec 社の言葉として PC のウイルスが 60,000 個あるのに Mac のウイルスはたった 60 個だと書かれている。これが 59,940 という数字の意味だ。ただし、私はその 60 個のうちの多くは Mac OS X では全く動作しないに違いないと思うが。)事実上ウイルスの問題が無いこと以外に、Consumer Reports は現在 Windows ベースの PC を悩ませているスパイウェアの蔓延が Mac には影響が無いという正しい指摘もしている。さらに、この雑誌は Apple が信頼性やサポートの満足度について業界トップのランク付けをされていることについても賞賛している。確かに、サポートの満足度は Apple が過去3年間かけて上昇させてきたところで、一方 PC 各社に対するそのランク付けは下降してきている。(残念ながら、記事全文を読めるのは Consumer Reports の購読者だけだ。)

<http://www.consumerreports.org/>

なかなかいい記事だ、そうお思いでしょう? 確かに、今回の記事は過去数年間の状況を考えれば進歩に違いない。以前の Consumer Reports は、Mac について訳の分からないことを述べたり、まともでないやり方で Mac を PC と比べたりして、Mac ユーザーたちの間で芳ばしくない評判を得てきた。最近では、この雑誌はたいていの場合 Mac と PC を別々に議論するようになってきていたので、昔よりはましになったが、それでもこの雑誌のコンピュータ関係の記事を読む度に、私のまゆ毛はたびたび上下するのだった。その底流となる問題はずっと以前からただ一つ、Consumer Reports が主に価格を中心として物事を判断し、信頼性とか使い心地とかが二の次にされてきたからだ。そのこと自体は今も変わっていないし、今回の記事の冒頭で肯定的なことを述べておきながら、その記事の後半では以前と同じ無知のレベルに戻ってしまっている。

価格の点で言えば、Mac はほとんど常に PC よりも高価だ。その大きな原因は Mac では標準だけれども PC では追加となる装備にある。けれども初めは賞賛で始まるこの記事の後の方で、Consumer Reports は(データもなしに)Mac は機能相応の Windows PC よりもコストがかかると述べている。その Ratings 表を見れば、iMac G5 は $1,674 で、同レベル PC のうち一つの例外($1,850 の Sony)だけを除いて他のどれよりも高価なことになる。でも、もちろん、ここにリストされた iMac の価格には高品質の 17 インチモニタが含まれているのに、PC たちの価格はどれもそういうものは含まれていない。どこが「機能相応」なのだろうか。(LinuxInsider 誌には、相応する構成の Dell 製の PC よりも Mac の方が実際に価格が安いという記事が載った。)

<http://linuxinsider.com/story/37806.html>

もっと問題なのは、サポートとメンテナンスを続けるための費用は Mac の方が安いということが、どこにも全く触れられていないことだ。記事の最初で Mac にはウイルスやスパイウェアの問題がないということを大きく打ち上げておきながら、そういう利点そのものが、ソフトウェアの購入や、コンサルタントに支払う費用、生産性の喪失などのコストを抑えることに直接結び付いているという説明がどこにもないのだ。

Consumer Reports は Apple の信頼性とサポートについても賞賛しているが、ここでもそのことと価格との関連については一言も触れていない。Apple の信頼性のおおもとはより高品質のパーツと職人芸によるもので、価格が高めなのもそこから来ているのでははないのか? ユーザーの側からすれば、信頼できないハードウェアに対処するためには費用がかかるのではないか? それに、より良いサポートを提供するためにはそれに伴うコストがかかると思わないのだろうか?

さまざまの製品の使用時コストと全通算コストを計算することにかけては普段から定評のあるこの雑誌が、ことコンピュータの実社会における現実のコストに関してはこんなに大きな見落としをしているというのは、恥ずべきことだと思う。この“アンチ Mac”の目くらましは、この記事が Mac の購入に際してコストに追加されてくるさまざまの要因、例えば新しいソフトウェアの購入や、データを移行させたり変換したりするためにかかる時間などを正しく特定して加算していることによって、ますます厄介なものとなる。

もう一つ、奇妙なことがある。Consumer Reports はオペレーションシステムの使いやすさについても完全に無視しているという事実だ。例えば洗濯機の複雑なインターフェイスについては遠慮なく苦情を並べ立てるのに、Mac OS X が Windows XP に比べて比較的使いやすいということについては何も言わないのだ。皮肉なことに、Consumer Reports がコンピュータの工業デザインに対してコメントすることは稀だというのに、iMac G5 が iMac G4 に比べてスクリーンの調節可能性については劣るとか、iMac の背面がごちゃごちゃしたケーブルで醜くなるのを避けるために必要な Apple の Bluetooth ベースのワイヤレスキーボードやマウスを購入するのに余分の費用がかかるとか、そういうことはわざわざ書いてある。もちろん、多くの PC におけるお粗末な工業デザインとか、そういうデザインとコストとの関係などは、どこにも一言も書いてはいない。

この記事の最後に書いてある Mac への批判は、誇張されてはいるものの、正しい。Mac ユーザーがソフトウェアの選択肢が少ないという点で不利なことには疑問の余地が無い。特に娯楽系や教育系のソフトウェアについてははっきりとそのことが言える。当然ながら、本当にすべき質問は特定の目的に対する適切なソフトウェアが欠けているのかいないのかということだ。確かに Mac には手薄なところがあるが、それでもたいていの人々にとっては、それは問題にならないことだと私は思う。もしもあなた自身の目的に適したソフトウェアが見つけられるのならば、それ以外に大量の他のパッケージが買えるかどうかなどということは、あなたには無関係のはずだから。

最後に一言。Mac にはウイルスやスパイウェアの問題がないということが消費者向け製品を扱う雑誌に大々的に取り上げられるのを見るのは確かに嬉しいことだし、信頼性やサポートの面で Apple がトップランキングの評価を受けることも嬉しい。けれども、Mac と PC がどうして現状のような値札の差を持っているのか、その値札の差が必ずしも消費者のトータルなコストの差に結び付いてはいないのはどうしてなのか、そのようなことをきちんと論理づけて関連づけることが Consumer Reports 誌には依然として出来ていないことに、私は大きな不満を感じざるを得ない。


デジタルカメラ購入の手引き

文: Charles Maurer
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

前回の記事“デジタル写真の道理とセンサー”で、私は画像センサーに関する迷信のいくつかを一刀両断にして、この種の話題にいくらかの道理を持ち込もうと試みた。今日は、カメラの購入を検討する際に私ならばどこに注目するか、という話題について話をさせて頂きたい。抽象的な議論に陥るのを避けるために、今回は私の一番新しいカメラ、Sigma SD-10 を今年の前半に購入した際に私が検討した事柄を、詳しく述べてみたいと思う。もちろん皆さんはそれぞれに私とは違う使用目的をお持ちだろうけれど、このようにしてお話をさせて頂くことで、どんな機能が重要で、どんな付属品は無視してもよいかといったことの感触を、皆さんにも感じて頂けるのではないかと思う。また、この記事には SD-10 の詳細なレビューという意味合いも含めさせて頂きたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07860> (日本語)デジタル写真の道理とセンサー
<http://www.sigma-photo.com/html/Cameras_sd10.htm> (日本語)SIGMA SD10

予備的な質問をする -- 購入の前に自分自身に問うべき最初の質問は、そのカメラを何のために使いたいのかということだ。ここではできるだけ具体的な目的をはっきりさせておくべきだ。目的が具体的であればある程、機種選択の判断が容易になる。私の使用目的は以下の3つだった。(1) 友人たちの肖像写真を撮って、いくつかは額縁に入れて飾り、いくつかは公表用の写真に使う。(2) 私が執筆中の本に載せる写真を撮る。(3) ヒマラヤへ1ヵ月の徒歩旅行をするのでそこで写真を撮る。公表用の肖像写真と本に載せる写真とは商用レベルの品質の写真である必要があり、さらに本に載せる写真には最高度の柔軟性が必要だった。ヒマラヤでの写真については、ポスターサイズに拡大して壁に掛けられるだけの写真の明瞭度と詳細の良さが必要だった。私はまだ例のプロ用の機材、2-1/4 インチ×3-1/4 インチのレンジファインダーカメラを持ち続けており、こちらはビューカメラの持ち得るあらゆる柔軟性を兼ね備えていた。私としては、コントロール可能性においても品質においても、それより劣るようなデジタルカメラは買う気がしなかった。

一旦カメラの使用目的が明らかになれば、次はどの程度のレベルの画像センサーが必要になるのかを決めることになる。これは前回の記事のテーマだったので、ここで議論を繰り返すことはしない。まだ読んでいらっしゃらない方は、ぜひ今の機会に一読してみて頂きたい。私にとってはその答は明らかだった。私は、Bayer センサーならば最高のものを、Foveon ならば大きめのものを、必要としていたのだった。

さて、センサーと使用目的とが決まったら、次はカメラそのもののレベルを決める番だ。私は、デジタルカメラを3つのカテゴリーに分類している。(1) シンプルなスナップ写真用、(2) フル機能だがコンパクトで、レンズがボディーに固定式で交換レンズが使えないもの、それに (3) フル機能でレンズが交換できるもの、の3つだ。私は第1の種類のものは持っており、使用の便を考えて第2の種類のものを買い足そうと思っていたのだが、私の好みに合う融通性と品質とを考慮すれば、第3の種類のものを買うしかなかった。Digital Photography Review のデータベースをチェックしてみたところ、私の条件に合うものはレンズ2個が付属で $1,500 する Sigma SD-10 と、本体ボディーだけ(つまりレンズは別途購入しなければならない)で $5,000 や $8,000 もするような Kodak や Canon の機種しかないことが分かった。$5,000 を超えるような価格のものを買う気はなかった(何しろこの分野のテクノロジーはあまりにも急激に変化しているし、この種の電子機器はたいてい数年もすれば修理することさえ現実的でなくなってしまう)ので、私にはこの SD-10 を買うかそれとも従来持っていたもので我慢するか、そのどちらかしか道がなかった。

<http://www.dpreview.com/>

大きく引き伸ばした写真でも例の 2-1/4 インチ×3-1/4 インチカメラにひけを取らないだけのものにしたい、と私は思っていたので、真っ先に SD-10 がそれだけのものを提供できるかどうかを確認してみた。Sigma のウェブサイトから生の画像(これはどうやら三脚を使って撮影したもので、センサーについてもレンズについても、厳しいテストとなるようなものだった)をダウンロードして、それを PhotoZoom Pro(前回の記事参照)を使って 30 インチ×44 インチに拡大し、それをプリントアウトしてみた。色ずれやその他の問題点はたくさん見られたが、どれもソフトウェアで修正可能な程度のものだった。それ以外の画像処理は何も施さない段階でさえ、全体的な見栄えは驚くほど良かった。そこで、このカメラを自分で実地に検討してみることにした。

どんなカメラにも必要な3つの条件 -- 私は、どんなレベルのカメラにも、3つの絶対的必要条件を課している。第1に、すべてのメニューが英語で記されていなければならない。漢字など、私には覚えられない。私が写真を撮っている時には、カメラの画面に表示された象形文字が何を意味しているのかと説明書を探したりしている暇はない。英語のメニューでないのなら、無い方がましだ。すべてのメニューが英語でないのなら、それがどんなに優れたカメラでも、どれほど安く買えても、どんな理由があろうとも、私は絶対にそのカメラを買う気にはなれない。SD-10 には英語のメニューがあるので、私は次の条件に進めた。

第2に、カメラを使う時に、ファインダーを覗いて見ながら撮影できるものでなければ私は嫌だ。眼鏡をかけたままの状態で、フレーム全体を明瞭かつシャープに見ることができる必要がある。単純レンズの眼鏡でさえもこれができないカメラがたくさんあるというのに、私は三焦点レンズに相当する累進レンズの眼鏡をかけているのだ。SD-10 の接眼部分は調節可能なので、私が見たい眼鏡の部分を通した時にシャープに見えるように調整できる。また、ファインダーを覗いた時にフレーム以外の部分もたくさん見えるので、フレーム全体がちゃんと見渡せる。このフレーム外のスペースは、写真の構図を考えるために便利であるばかりでなく、私があの大きなレンジファインダーカメラを気に入っていた大きな理由の一つでもあった。つまり、ファインダーの一番下、余分のスペースの下にあるデジタル表示が、眼鏡のせいで読みづらくなってしまうという難点をある程度埋め合わせてくれるのだ。

第3の必要条件は、カメラの焦点合わせが信頼できるということだ。他のほとんどすべての要素に比べても比較にならない程、大きな影響を結果のシャープネスに及ぼすのが、カメラの焦点合わせシステムの性能なのだ。良質の距離測定カメラでは、焦点合わせは易しい。線がぴたりと合わさる所を選べばよいだけだからだ。けれどもこちらはただ画面の詳細度だけに頼って焦点を合わせなければならない。実際にレンズを調整するカムの形による誤差程度は、画面表示では隠れてしまうこともある。一眼レフのカメラ (SLR) には隠れたメカニズムなどは無い。あなたに見えるものが、そのまま写真となる。けれども、人間の目というものはカメラの焦点合わせのために作られている訳ではない。焦点の合った一番シャープな点を目だけで見極められる人はいない。私たちにできるのは、その点の前後でレンズを行き来させて、焦点がずれて見える両側の端を探し、それらのちょうど中間地点を選ぶことだけだ。大きくて明るい、光学的な焦点合わせシステムを今でも採用しているカメラはほとんど残っていない。なぜなら、電子的な焦点合わせシステムの方が製造コストも安く、売れ行きも良いからだ。でも、ほとんどの電子機器は人間の目よりも粗い識別力しか持っておらず、それ以外の弱点、例えばモーターには即時停止ができないこと、などの弱点もある。それに何よりも、どんな自動焦点合わせシステムであってもあなたが今何に焦点を合わせようとしているのかを察知することはできない。自動システムにできることは、フレームの中央部分に写っているものに焦点を合わせることだけだ。

SD-10 に、購入時に付いていた安いレンズで焦点合わせをさせようとしてみた時、私は思わずこのカメラは買わないと決心するところだった。ファインダーに写る画像は小さくて暗く、手動で焦点を合わせることさえ難しくて、自動の焦点合わせを試みた時には、レンズを極端に近くして始めた時とレンズを極端に遠くして始めた時とでレンズの落ち着く場所が一致しさえしなかった。けれども、その後しばらくカメラをいじっているうちに、焦点合わせの易しいものにカメラを向けた時には、この自動焦点合わせの誤差は私の目で合わせた時の誤差とほとんど同等であって、被写界深度を考えれば実用上充分なものだと思うに至った。依然として私の気に入るレベルではなかったが、少なくとも使えるというレベルではあった。結局、よく焦点の合った写真が撮れるようになるための最も重要な要素は、レンズに付いている自動焦点合わせのオン・オフスイッチであることが分かった。このスイッチをオンにして、シヤッターボタンを半分だけ押して焦点を対象物に合わせる。それからスイッチをオフに切り替えてから、フレームを合わせて写真を撮るのだ。この操作を自分に習慣づけることで、やっと私は焦点合わせの信頼性を得ることができた。また、私は可能な限りズームレンズを拡大した状態で焦点合わせをするようにしている。当時の私はまだこのシステムが信頼し切れていなかったのでファインダーの拡大器(Nikon 製がぴったりはまった)まで購入したものだが、後日これは不必要と分かった。それよりももっと重要なことは、口径の大きな(従って明るい)レンズを使うことだ。より良いレンズを使えば、自動でするには暗すぎる光源の下でも充分易しく手動で焦点合わせができる。

機能、付属品、仕掛けなど -- これまで述べてきたのは、私にとっての絶対的な必要条件ばかりだった。SD-10 がこれらを満たしていることが分かったので、私はさらに詳しく調べてみることにした。

デジタルカメラの利点の一つは、撮った写真が使えるかどうかがその現場に居ながらにして分かることだ。でもそれには、その写真が見られるならばという限定条件が付く。背面の液晶ディスプレイ (LCD) は、明るい日光の下でも見られる程に明るくなければならない。その一方で、夜間に使い物になるためにはそれを充分に暗くすることも可能でなければならない。SD-10 の場合は輝度を3段階に調整できるようになっているが、私はこれで充分な機能だと思う。また、SD-10 には LCD を保護するための透明なプラスチックのカバーも付いている。写真を撮るだけならばカバーを閉じたままでも使えるが、メニューを使うためにカバーを開くこともできる。

デジタルカメラでは、完璧な露光をすれば太陽の光の反映は純粋な白として記録されるが、微妙な色調、それも必要最小限の色調のみの情報を含んだ白も、きちんと記録されてディテールとして現われるものだ。 LCD 上にヒストグラムが表示されれば、この情報が明瞭にあなたに伝わるだろう。SD-10 はこの点うまく機能する。3つのカラーチャンネル(赤、緑、青)を重ね表示し、+ ボタンを押して画像を拡大すればその拡大された部分だけがグラフ表示される。このアプローチならばどんな露光計も敵ではない。私は狙いもせずにまず1枚だけ素早く写真を撮り、その写真の最も明るい部分が正しく露光されているかどうかをチェックし、必要な調整をし直してから本番の撮影にかかるようにしている。

カラースライドフィルムは、完全には白あるいは黒ではない、ハイライトとシャドウとの間の 7 段階の f-値の範囲に合わせてデザインされている。けれども、日光に照らされた風景をこの範囲の内部に抑え込むには、ちょっとテクニックが必要だ。デジタルセンサーは、少なくともそれに見合うだけの「ダイナミックレンジ」を持っている必要があるし、それよりも広いレンジを持っているに超したことはない。ずっと広ければ、ずっと素晴しい。絵画的な写真においては、解像度よりもむしろダイナミックレンジの方が重要なのが普通だ。被写体がシャドウに埋もれて全く見えないのならば、その被写体のディテールがいくら詳しくセンサーで解像されても、何の意味があるだろうか。このダイナミックレンジの大まかなテストならば、カメラショップの店頭でもできる。写真用のグレイ・スケールを、組織的に低露出で撮影してみれば分かる。私のテストの結果では、SD-10 のダイナミックレンジは素晴しいものだった。ハイライト部分が正しく露光されれば、シャドウの部分は 10 から 11 段階も暗い場合でさえ、ある程度のディテールを保つことができた。以下にリンクした2つのスクリーンショットは Sigma の PhotoPro ソフトウェアの画面のものだが、これを見ればディテールの抽出がどれほど易しくて効果的かが分かる。この写真は、ハイライト部分では完璧に露光されている。暗い方のバージョンは通常のダイナミックレンジを示している。これが、カラースライドで表示されるものとほぼ同じだ。明るい方のバージョンは、シャドウ部分にも追加のディテールが見てとれる。これだけのディテールがセンサーによって記録されており、Tonal Adjustment スライダーによって呼び出されたのだ。

<http://www.tidbits.com/resources/755/MonkRaw.jpg>
<http://www.tidbits.com/resources/755/MonkAdjusted.jpg>

デジタルカメラではフィルム感度(いわゆる "ISO" 感度)の選択肢(速度、という言い方をすることもあるが、意味を考えれば感度という言葉の方が正確だ)が提供されているが、実際にはデジタルカメラにおいてまともに適用できるような ISO 標準は無い。だから私は "ISO" と引用符を付けて述べたのだ。二つのデジタルカメラに対して感度や露光測定をきちんと比較したものなど、私は一度も見たことはないし、そんな比較が重要などと思ったこともない。なぜなら、そういう比較をして差が出たとしてもわずかなものだろうし、そもそも露出の差は一目で分かるものだからだ。けれども、私は SD-10 がどれほど注意深く調整されているかに興味があったので、購入した後に "ISO" 100 の状態でチェックしてみた。日光の下や通常の室内光の下では、このカメラの露光メーターの数値は私のスタジオ用露光メーターとほぼ完璧に一致した。(誤差は 1/3 f-値の範囲内だった。)キャリブレーション済みのグレイのスケールをさまざまの露出で撮影してみると、正確に露光された 95% の白はちょうどあるべき位置になり、白飛びの 2/3 から 1 段階下になった。(デジタルカメラでは、"ISO" 感度を増やしてもセンサーの感度が上がる訳ではない。ただ信号が増幅されるようになるだけで、同時にノイズも増幅されることになる。"ISO" 100 がたいていのカメラで標準の設定で、1600 くらいまで上げられるのが普通だが、400 より上に設定しても結果はあまり良くなるものではない。)

カメラによっては測光モードを切り替えられるものもある。あなたが撮りたい写真に合わせて、最も正確になると思われるモードをスポット測光、分割測光、平均測光のうちから選ぶ、という具合だ。私に言わせれば、こういう馬鹿げたことは機能のための機能でしかなく、あまりにも多くの電子機器を使いにくくしている元凶以外の何物でもないと思う。目の前の風景を最も正確に読み取れる測光モードはどれかと思案する暇があるくらいなら、さっさとテスト写真を撮ってからその結果を見て自動露光の設定を微妙に上下させて調整する方が、ずっと早いし結果も正確になる。それに、自動の多段露出というのも同じくらい無用の機能だ。露光時に正しい露出を決められるのなら、わざわざ多段露出する意味はほとんど無い。SD-10 には、これら2つの「機能」それぞれに専用のプッシュボタンと、これらのための表示スペースが設けてある。

気にする必要もないことだと私が思うものがもう一つある。それは、カメラによる色の再現についてだ。 TidBITS-749 の私の記事“色とコンピュータ”で説明した通り、これはまるでアメーバに向かってその形状を褒めたり叱りつけたりするようなものだからだ。レンズによる色の再現についてあれこれと思い悩むのも、またそれに輪をかけて無意味なことだ。レンズが画像をセンサーの上に投影する際に色合いを変えてしまうとしても、その作用は規則的かつわずかなものなので、生画像を使用可能な画像データに変換するソフトウェアがどんなものであっても、色合いへのそのような影響は自動的に修正されてしまうものだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07840> (日本語)色とコンピュータ

カメラが揺れた時に、その揺れと反対の方向にセンサーを動かすことで補正するカメラは可能であるし、実際非常に望ましい。SD-10 にはこの機能は無い。Sigma からこれを実現する望遠レンズが出ているが、この機能はカメラに内蔵されていてこそ、より価値のあるものだと思う。

動作速度が、多くのデジタルカメラの弱点の一つだ。スイッチが入るのに長い時間がかかることもあるし、撮った写真を処理してメモリに書き込むまでに長い間待たされることもある。どんなカメラを購入するにせよ、こうした速度があなたの使用目的に適切かどうかを必ず確認しておく方が良い。SD-10 は、反応こそ素早いものの、個々の写真の処理にはかなり時間がかかるので、時々私も次に進むまでに一呼吸待たなければならないことがある。幸いにも、この問題には回避策があって、恐ろしげに聞こえるかもしれないが実際はこれがかなり実用的だ。それは、カメラに2つか4つのピクセルを1つに結合させることで、1回の撮影ごとに処理しなければならないデータの量を半分ないし4分の1にするのだ。この方法によって解像度は減るが、連続的に多数のフレームを撮影しなければならないような場合には、光源や対象物に充分なコントロールを施している余裕は元々あまり無い。そういう状況では、写真の全般的な品質は最高度のものとは言えないのが普通なので、多少解像度が減ってもそれほど気にならない。SD-10 では、中程度の解像度にしておいても充分、大判雑誌の全面に載せる写真に必要なだけの情報が記録される。この話題については、前回の記事“デジタル写真の道理とセンサー”も参考にして頂きたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07860> (日本語)デジタル写真の道理とセンサー

埃は、画像センサーの大敵だ。レンズが交換可能なカメラではほとんど常に、レンズを取り外す度に埃がカメラの内部に入り込むことを覚悟しなければならない。入り込んだ埃がセンサーの上に落ち着けば、引き伸ばした写真に数え切れないほどの斑点が写ってしまうということになる。埃がカメラ内部に入り込むのを予防することで、撮影後の画像処理の手間が大幅に短縮できる結果になるものだ。SD-10 では、レンズ後方の開口部を透明のプラスチックシートがカバーしている。いくらかの埃がセンサーにたどり着くのを完全に免れることは不可能だが、このカバーのお陰で埃の量は普通よりもずっと少なくなる。

スタジオでの撮影では、カメラを直接ラップトップコンピュータに繋いで、撮影した写真を即座に適切なサイズで見ることができれば便利だ。SD-10 は、USB または FireWire で接続できる。FireWire で接続した時には、数秒で Sigma の PhotoPro アプリケーションに写真が現われる。下にリンクしたポスターの光源として、私は4個のストロボと3個のハロゲンランプを使った。これらの光源のバランスをとってベストな露出を探るには、メーターで測定するよりもコンピュータ画面に現われた画像を見る方が時間もかからないし簡単だった。

<http://www.tidbits.com/resources/748/HectorVasquez.jpg>

デジタルカメラを使うには、メモリーカードという隠れたコストがかかる。カメラの購入時には、メモリーカードの価格も早めに考慮に入れておくべきだ。この点、SD-10 は競合機種に比べて大きな利点を持っている。Foveon センサーからの生画像を保存するには、同等の Bayer によるものに比べてほぼ半分の保存容量しか必要ではないのだ。(センサーの比較については私の前回の記事“デジタル写真の道理とセンサー”を参照。)また、写真をメモリに書き込むにはしばらく時間がかかること、カードによって書き込み速度が異なることも忘れてはならない。Lexar からはいくつか高速のカードが出ていて、これらは write-acceleration と呼ばれる独自仕様のテクノロジーを使っている。SD-10 は、Lexar の write-acceleration テクノロジーもサポートしている。

もう一つ、デジタルカメラにかかる隠れたコストがある。予備のバッテリだ。ことに、バッテリが独自仕様の場合には注意が必要だ。私は、電源というものとは遥かにかけ離れた世界であるヒマラヤに旅行しようとしていたので、使い捨てのバッテリを持って行かなければならなかった。SD-10 は AA(単三)または CR-V3 のバッテリを使うのだが、実はリチウム電池でなければ使えなかった。マニュアルにはそうは書いてないのだが、リチウム電池以外では駄目だった。それに、私の経験では、SD-10 の電池寿命は意外なほど短く、特に気温が低いところでは非常に短かった。

バッテリの寿命が来るよりもずっと前から、一旦バッテリが死んだように見えて、バッテリトレイを外してから差し直せばまた生き返って数枚は写真が撮れるということがよくあった。それに、この現象はたいてい数回は繰り返すことができた。見たところ、このカメラの内部抵抗および電圧低下に対する許容度は非現実的なほどに厳しいもののようだ。あと2個の電池を並列に繋ぎ足すのが妥当な方策のようで、別売アクセサリのバッテリーパック/グリップ ($130) を基部にネジ止めして使えばよい。インドから帰国後、私は即座にこのバッテリーグリップを購入した。これを装着すると多少重量とサイズが増えるが、その代償として、カメラがずっと使いやすくなる。その一方で、カメラを三脚に取り付けた時にぐらぐらするようになってしまった。このバッテリーパックに普通のアルカリ乾電池を入れても使えたが、寿命はほんの短時間だった。(デジタルカメラでのバッテリの問題点については、下記リンクにあるバッテリリサイクルについての議論の 9 ページを参照。)

<http://www.ife.ee.ethz.ch/~zinniker/batak/ICBR2003_Zinniker.pdf>

スナップ写真には、内蔵のフラッシュが便利だ。戸外では、内蔵のフラッシュでシャドウを起こすのがちょうど良いことが多い。この目的のために、私は内蔵フラッシュが欲しいと思ったのだが、残念ながら SD-10 には内蔵フラッシュは付いていないので、Sigma から SD-10 専用に出ているオンカメラのユニットを購入することにした。このフラッシュは(35mm カメラ用のスケールで)ズームし、全方向に弾み、自動的に露出を調整してくれる。この種のユニットの常として、これもトップヘビーな感じで手品仕掛けのように見え、動作も不正確に思えた。室内では、カメラから取り外して腕を伸ばして持ち、壁に向けて狙えるような手持ちのフラッシュの方が私は好きだ。幸いなことに、私はまだこのフラッシュユニットを使わなければならないような機会に出会っていない。私がこれを買った主な動機は戸外で光を埋め足すためだが、このカメラは充分にダイナミックレンジが広く、Sigma のソフトウェアの“Fill Light”調整機能もあるので、まだフラッシュユニットに頼らなければならない必要を感じたことがないのだ。

本体の造りの品質がしっかりしているかどうかということを調べるのは、私のリストでは優先順位が低い。なぜなら、ヒンジとかラッチとかいう明白なものを別にすれば、デジタルカメラがどのようにして壊れるものなのか、私には想像がつかないからだ。私の経験では、電子機器が構造的に壊れるとしてもそれが目に見えたり予想できたりするのはごく稀なことだ。たいていの場合、問題が起こるのははんだ付け部分や箔線回路、あるいはスイッチの接触などだろう。カメラの外面はほとんどがプラスチック製だ。でも、この製品を運んで来てくれた飛行機だってたくさんのプラスチックを使って出来ているのだから。それに、SD-10 の内部は金属製だ。何よりも私に安心感を与えてくれているのは Kodak 製のカメラだ。SD-10 は、その機械的部品の、大多数とは言わずともかなりの部分を、最新型の Kodak 製カメラと共有している。もしも Kodak のカメラがオンボロのボロボロだったとしたら、信頼性を何よりも重視する市場に向けた製品としてはとんでもなく高価なオンボロボロボロになるだろう。だから、きっと Kodak の技術者たちには、Sigma の人たちがカメラの作り方を知らぬ人たちではないという自信があったに違いないだろう。

レンズ -- ほとんどのカメラ狂は、よいレンズが必要だといって、徹底的に、お金をかけて磨き上げ、そしてそれが一番だと思っている。ここで私は、もっとも気にかけたくない問題に突き当たる。「デジタル写真の道理とセンサー」で説明したように、レンズのあいだの違いを知るには、三脚を使って同一のテスト用写真を撮るしかない。レンズによる色ズレやひずみが異常に大きくない限り、写真を見て「おいおい、できの悪いレンズを使ったね」という人はいない。

とはいうものの、レンズの中には、看過できないほどの色ズレを引き起こすものがある。デジタルカメラに使う場合は特にそうだ。どうしてデジタルカメラで色ズレが起こりやすいのかは分からない。私はたくさんの仮説を読んだことがあるが、どれもこの問題を完全に説明できていないし、それでもやはりデジタルカメラではより多くの色ズレが起こるというのは事実なのだ。先ほどリンクした写真の、チェロのエンドピンの拡大挿入写真を見てほしい。(上の写真がオリジナルの状態だ。TidBITS-748 の「完璧主義者のための写真編集術」で述べたように、Asiva Shift+Gain を使ってチェロに当たっている光を均一化し、色ズレを取り除いた。)困ったことに、この問題は Foveon センサーを使うと悪化する。線がシャープなので、それがずれると、すべての部分が同じだけずれてしまうのだ。Bayer センサーはシャープさに若干欠ける代わりに、色ズレに対して若干寛容だ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07832> (日本語)完璧主義者のための写真編集術

フィルム式のカメラに高価なレンズをつけたときでも、異常な結果になることがある。私は、大枚をはたいた Leica M4s のために買った Leitz 90mm レンズの1つに、悪態をついていたことがある。Leitz が、問題があることを認めて、交換したほどだった。代わりのものは、ピントは正確に合うようになったが、光学的には全然よくなっていなかった。このレンズを使って、コントラストを保ちながら、人工物のフレア(光学的ノイズ)を防ぐには、私が持っているどのレンズと比べても、より注意深く撮影しなければならなかった。

広告にはよく、変調伝達関数(MTF)のグラフが載っている。これはレンズの光学的品質を手短に表すということになっている。しかし、このようなグラフは単純化された数学的モデルに基づいている。もしもこれで画像の品質を想像できるとしても(私には決してできないが)、これでチェロのエンドピンに現れた青のような予期せぬ欠陥を想像することはできない。こういうことはグラフではとらえきれないからだ。レンズの構成要素についてのきれいな図版も、非対称な要素の数も、風変わりなガラスでできた要素の数も、何の意味もない。レンズの設計というのは、科学ではなく芸術である。もしレンズがたくさんの構成要素からできていたら、それは芸術家がたくさんの絵の具を使ったということでしかない。

レンズを実際に試すことなしにレンズを比較する方法など、私には思いつかない。実際、私には「よりよい」というのがどういうことか分かったためしがないのだ。2つのレンズがあるとして、太陽が背後にあるとき、片方のレンズでよりシャープな写真が撮れ、太陽が正面にあるときは、もう片方でよりシャープな写真が撮れるとしよう。どちらがよりよいのだろうか。ほとんどの欠陥はソフトウェアで直せるのだから、もっもと重要なことは、どれだけ完全かではなく、どれだけ完全になりうるかということであると思う。両極端のレンズを考えよう。1つは、ぼんやりしているが一貫していて、電子的にシャープにすることができる。もう1つはシャープだが、ときに直すことのできない欠陥を見せる。私なら前者の方がいいと思う。

高価なレンズ程よいだろうという先入観は、私も持っているが、「だろう」というのが重要な部分だ。製造のしやすさ、製造量、マーケティングの計画といったことも価格を大きく左右する。私がフィルム式のカメラを買ったときは、先入観のままに高価なレンズしか買わなかった。Laica のレンズの1件で明らかなように、これはばかげたことだというのは分かっていたが、商用のフィルムを撮影するというのは精神的に疲れるので、何かがうまくいかないという危険性を最小化するためにあらゆる手を打ったと自分に思い込ませたかったのだ。デジタル写真の場合は事情が異なる。デジタル写真はすぐに見ることができるし、その場で改善することができる。デジタルカメラでは、高価なブランドという心もとない保険を購入する理由が見当たらない。

レンズのことを考えるとき、もっとも重要なことは、レンズの品質ではなく、レンズの光学的な視野である。小さな窓から1メートルほど離れたところに立って、庭を見ているとしよう。自然に見えるのは庭の一部分だけだろう。ここで、なんとかして庭全体を窓の視界に収まるように縮小することができたとしよう。こうすれば庭のすべてを見ることができるが、その庭の見え方はおかしくなるだろう。では、この窓が写真だとしたらどうだろうか。カメラのレンズがその写真の視野を生成する。あなたが目で見るのと同じ角度で「見る」レンズでは、写実的な写真が撮れるが、あなたの目よりも広い範囲を「見る」レンズでは、ひずんだ写真が撮れるだろう。

人間の目は、動かさないときで、およそ 45 度の広さの情景をとらえることができる。拡大した写真を見るときは、それが目に対して 45 度の角度になるような位置で持つ傾向があるはずだ。それなので、引き伸ばされた写真を見るとき、45 度の角度で「見る」レンズを使ったときに、もっとも自然な視野が得られる。より小さい、またはより大きい視角では、視野はひずんでしまう。文句なく自然に見える範囲というのはあるが、明確に定義されているわけではない。それでも、この範囲が、20〜30 度より狭くなることはないし、60〜70 度より広くなることもない。視角がそれより狭くなったり広くなったりすると、視野がひずみはじめる。このひずみをうまく使えば、芸術的効果を得ることもできるが、それもひずみであることには変わりがない。ひずみを使って派手な演出ができることもあるが、それはたいていの場合見せかけだけだ。

おおまかにいって、35mm カメラの場合、自然な視野の範囲は、30mm か 35mm のレンズから 80mm か 90mm のレンズまででカバーされる。最近では、ほとんどのカメラに、この範囲をカバーするズームレンズがついている。この範囲より広い範囲をカバーするレンズも多い。レンズがズームできる範囲が大きければ、カメラの売れ行きがよくなるので、生産者はピクセル数を押し上げるのと同じようにズーム倍率も押し上げる。しかし、焦点距離が長くなると、画質は急速に低下する。これは光学的な理由からではなく、焦点距離の長いレンズは手ぶれの効果を拡大するからである。ほとんどのデジタル画像センサーは小さいので、この問題はさらに増幅される。像の大きさが半分になったり4分の1になったりすれば、同じだけ動いたときのぶれは2倍になったり4倍になったりする。誤って三脚を必要とするような焦点距離に設定してしまい、撮れた写真がぶれているのを見てそれに気付くというのは嫌だから、私は 80mm か 90mm 相当の範囲を超える汎用レンズは使いたくない。

とはいえ、レンズ交換式のカメラを買うとすれば、私はできるたくさんの焦点距離を持つレンズをそろえたいと思う。私は、SD-10 用に、焦点距離が通常の範囲より長いレンズと短いレンズを購入した。この記事の最後で、SD-10 用の7つのレンズについて、私が気がついたことを書くつもりだ。

カメラとコンピュータ -- ほとんどの人は、デジタルカメラは光学機器であり、普通のカメラのフィルムを電気的な小道具で置き換えたものだと思っているだろう。私が思うに、デジタルカメラはデジタルコンピュータであり、デジタルコンピュータの回転するディスクの代わりに光学的機器を取り付けたものだと考えたほうが賢明だ。センサーが供給する情報は、センサーによって多かったり少なかったりするが、「デジタル写真の道理とセンサー」で述べたように、その違いは見かけよりは小さい。画像がどのように処理されるかということの方が、大きな違いを生む。つまり、画像がどのように補正され、バランスがとられ、ノイズが消され、シャープ化されるかということだ。

生の画像を使える画像にするために、典型的な画像処理プログラムは以下のことをする。

カメラの中の画像処理プログラムは、すべての写真をあつかうときに、デフォルトで以上のことをすべて行う。いうまでもないことだが、プログラムは写真を見て理解しながらこれらのことを行うことはできず、ただルールに従うことしかできない。デジタルカメラのレビューは、ほとんどの場合、カメラが生成する JPEG ファイルを吟味するから、実は、光学系やセンサーの品質を吟味しているのではなく、内蔵の画像処理ソフトウェアが使っているアルゴリズムの成果を吟味していることになる。

もしもあなたが、フィルム式全自動カメラのスナップ写真で満足できるなら、デジタルカメラに組み込まれた画像処理で満足できる結果が得られるだろう。しかし、そのような画像処理は、写真の情報を余すところなく引き出すこともなければ、最高の拡大写真を可能にすることもない。カメラの設定を変えることはできるが、カメラにはパソコンほど便利で高機能なものはついていない。私にとっては、TidBITS の読者の多くもそうだと思うが、ファイルを生の、処理されていないフォーマットで保存するカメラを買って、すべての画像処理を後でコンピュータで行うというほうが理にかなっている。

SD-10 がほかのカメラと比べてユニークな点は、このカメラはいっさいの画像処理をしないということだ。私にとっては、これは重要なメリットである。ソフトウェアが内蔵されていないので、カメラのメニューがきわめてシンプルになるのだ。SD-10 では、複雑なコマンドツリーをいったり来たりして隠れたサブメニューを探す必要がない。液晶画面の輝度を変えたければ、どうすればよいかはすぐに分かる。さらに、SD-10 では、画像処理のパラメータを誤って設定して写真を失ってしまうということは絶対にない。

画像を処理するためには、Sigma から出ている PhotoPro というプログラムがある。一見したところでは、PhotoPro にはがっかりさせられる。ルック・アンド・フィールは Windows から移植したようだし、Windows sRGB プロファイルが埋め込まれている(「色とコンピュータ」を参照)。バックグラウンドでアイドル状態にあるときにも CPU を独り占めするし、Mac 用のグラフィックパッケージとしては信じられないことに、モニタのキャリブレーションを「知る」ことがないので、PhotoPro で表示される色は、Photoshop や iPhotoの色とも違うし、プリンタから出力される色とも違う。それでも、PhotoProの操作はシンプルで使いやすく、私は Photoshop の RAW ファイルコンバータよりもこちらの方がいいと思う。(先にリンクしたスクリーンショットでPhotoPro のインターフェースを見てほしい。)写真を1つ1つ調節したいなら、PhotoPro は優れた道具になるし、ファイルがたくさん入ったフォルダを自動的に JPEG 変換した上で保存したいなら、それも PhotoPro でできる。さらに、RAW ファイルをハードドライブにコピーすれば、何かをやり直したいと思ったときはいつでも元に戻れる。

まとめ -- すべてのことを考慮すると、私の目的を考えれば、SD-10 を購入することは理にかなった判断だといえると思う。このカメラはアマチュア用の価格帯にあるが、プロ用のカメラのように感じられるし、機能する。得られる写真は、私が 2-1/4 インチ x 3-1/4 インチのフィルムで撮影したものと同じように見える。これ以上望むことはない。

SD-10 は私の目的には合致するが、あなたの目的には合わないかもしれない。私は写真を完璧にするために十分な時間をかけるのをいとわないが、あなたはそうでないかも知れない。もしあなたが時間をお金で買うほうを好むなら、フルフレームの Bayer センサーを使えば、より手軽に、同じだけの潜在的な品質を得られるだろう。SD-10 の Foveon センサーと同じ大きさの Bayer センサーは、全体的な品質としては少し劣るが、欠陥に対する許容力がある。35mmフィルムの品質で満足というのなら、もっとコンパクトで、小さいセンサーのついたカメラで十分用が果たせるだろう。

あなたがどう決心しようとも、全自動カメラよりもよいものを買おうとするなら、カメラと並んでコンピュータのことも考慮するべきだ。「デジタル写真の道理とセンサー」で述べたように、写真に含まれる情報量というのは、人々が考えるよりずっと少ない。目にとって大事なのは、情報の量よりも、情報がどのように表されているかということであって、ぶれや粒状感、画素化などといった視覚的ノイズのなかで、情報がどれだけはっきりと見えているかということなのだ。カメラは光学的な情報に加えて、光学的、電子的なノイズも符号化している。コンピュータはそのすべてを目に見える画像として復号し、ノイズを除去する。このコンピュータは、通常はカメラの中に埋め込まれているが、その代わりに Mac を使うこともできる。あなたのコンピュータを使えば、カメラに内蔵されているものよりもよいソフトウェアを使うことができる。私がこの連載を画像処理ソフトウェアの話から始めたのは(上にリンクした「完璧主義者のための写真編集術」)、こういうわけだ。カメラを買う前に、この記事に目を通し、どんなことが可能でどんなことをしたくなるかもしれないのかということについて認識してほしい。何を求めるべきか決めるときには、このことを念頭において、購入時にはソフトウェアの値段も考慮すること。

最後に、カナダの読者のために、これらの製品をカナダで購入することについて少々付け加えておきたい。2004 年の3月に、私は店頭で SD-10 を探したが、見つけられなかった。尋ね回っていると、セールスマンのうち2人が、Sigma のカメラは買わない方がいいといってきた。それは製品のせいではなくて、Sigma のカナダにおける販売店 Gentec International のせいだという。それがなぜかはすぐに分かった。Gentec は、私が買おうとしたりこのレビューのために借りようとしたりした製品の在庫を1つも持っていなく、すべては日本から送られてくるのを待つほかなかった。予想配送期間は、数週間のときもあったが、たいていは数ヶ月で、しかも値段はアメリカで買うより高かった。アメリカでは、棚に並んでいる製品を買うことができるというのに。私は製品を実際に目で見ることなく買うことになるわけだが、それにもかかわらず、いかなる理由でも返品を受け付けてくれる店舗がないというのも尋常ではない。こんなことをいうのは残念だが、これらの製品のベンダーは、実質的にはアメリカの通信販売業者だけだ。速くて安いだけでなく、返品を受け付けてくれる可能性も高い。もし何かを返品する必要が生じ、税金の還付を受けるには、B2G からダウンロードできる1ページの書類「Informal Adjustment Request」に記入すればよい。

<http://www.cbsa-asfc.gc.ca/E/pbg/cf/b2g/b2g-02b.pdf>

補遺:SD-10 用のレンズ -- 私は、SD-10 で 7つのレンズを試みた。特に注釈をつけた場合を除いて、全てのレンズはよく出来ている様に見えるが、しかし全てについて隅の方で色のにじみが見られる傾向がある。但しその程度は引き伸ばしで目を凝らして探せば気がつく程度の大きさである。注釈がない限り、私は無限遠で撮影したテスト画像のシャープさを私の判断の基礎とした。

最も安価な基本レンズは、Sigma がいくつかのキットに組み込んでいる 18-50mm f/3.5-5.6 ズームである。(これは単独では値段が付けられていず、$10 または $100 が他のアイテムに付け加えられる。)50mm では、このレンズはかなりシャープであるが 24mm と18mm ではよりソフトになる傾向があるように見える。このレンズは、しばしば過度の色にじみを示し、50mm 以下では "樽型" の凸状歪みの症状を示し、しかもそれは非対称なので完全にソフトウェアで修正することができない。このレンズのつくりは安っぽく見え薄暗い明かりの元では焦点合わせが困難になる程遅い (暗い)、但し絞りを f-値で一つだけ絞り込むと最大のシャープさとなる。もし私がコンピュータの前で十分時間をかければ、これの写真をどれにも負けない程に仕上げることは可能 - その画像は完全にすることが可能 - であるが、カメラの品質と同等とは思えない。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/18_50_DC.htm>(日本語)高性能、軽量、コンパクト。デジタル専用ズームレンズ 18-50mm F3.5-5.6 DC 株式会社シグマ

ここ数ヶ月で、Sigma は替りになるものも提供し始めた。それは 18-50mm f/2.8 ズーム (末端価格 $500) である。レビューするため一個借りたがそれを買い取ることに決めた。色にじみは少なく、とりわけ 50mm では、歪みももっと対称的であり、そして 24mm と 18mm ではもっとシャープである。焦点距離にかかわらず f/5.6 から f/11 の間が最もシャープである。このレンズはカメラとよく合っていると言える。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/18_50_EX_DC.htm>(日本語)小型・軽量化を実現したデジタル専用大口径標準ズームレンズ 18-50mm F2.8 EX DC 株式会社シグマ

望遠レンズで最も安いのは 55mm-200mm f/4-5.6 ズームである (末端価格 $140)。SD-10 上では、200mm は 35mm カメラでの 340mm に相当する。これは 8x の双眼鏡に相当する。かなり遠くまで届くので、遠くの物体のシャープな写真を撮るためには三脚だけではなく熱気流のない澄んだ空気も必要である。このレンズはあまりに安っぽく感じるので私は信用できなかったが、光学的にはしっかり出来ており、そして小さく軽量である。素人玄人を問わず、ちょっとした用途に携帯する望遠としては誰にでも合っていると言える。シャープさを最大にするには絞りを f-値で 2 か 3 程度絞り込む必要がある。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/55_200_DC.htm>(日本語)小型・軽量、デジタル専用望遠ズームレンズ 55-200mm F4-5.6 DC 株式会社シグマ

私の前回の記事のために、私は Sigma の最新の 50mm f/2.8 マクロ (末端価格 $250) を借りた。丁度手元にあったので、これを 18-50mm f/2.8 と 50mm で比較してみた。無限遠ではマクロレンズの方がちょっとソフトでフレアに対してより敏感であった。またマクロレンズは接写用に設計されたものなので、接写台にものせて試験してみた。ここではマクロの方が少々であるがシャープさがあった。どちらの距離でもズームの方が色にじみは少なかった。私はテクニカルな仕事のためにしかマクロを買わないと思う。通常の画像写真用には、極接写を含めて、私はズームの方が好みである。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/50_DG.HTM> (日本語)優れた光学性能を受け継ぎ、デジタル用に最適化 MACRO 50mm F2.8 EX DG 株式会社シグマ

より広い広角レンズとして、私は 14mm f/2.8 (末端価格 $900) を買った。このレンズは大きくて重たい。このレンズは、35mm との組み合わせでは現実的な光学的限界を無理に膨らせており、SD-10 とでは良くもあり悪くもあるという感じである。太陽が背後にあり、被写界にあまり白がなく、そして写真の中の被写体全てから非常に遠く離れている場合は、f/8 から f/16 の間では結構シャープだし色にじみも通常より多くなることもない。本当に遠い無限遠から近くなるにつれて、隅が柔らかくなってくる。写真が多くのコントラストを含む場合、フレア光は画像を更に柔らかくしそして色にじみも多くなり、時として異常とも言える量に達することもある。そして又、被写体の近くに太陽がいる場合、このレンズは極度の反射を生成しがちで、この場合修正は全く出来ない。樽型の歪もはっきり分かる程度見られるが、これは修正可能である。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/14_ex.htm> (日本語)大口径の超広角レンズ 14 mm F2.8 EX ASPHERICAL HSM  株式会社シグマ

私はこの 14mm は好きでないので、この記事のために、唯一の代替選択肢である 12-24mm f/4.5-5.6 (末端価格 $670) を借りた。こちらの方が更に大きいし 35mm 用としては現実的光学特性を無理に引き伸ばしているが、正反対の性格を備えている。14mm と較べると、正面から光が当たったあまり白のない遠景はより柔らかく見え、他の場合は隅もよりシャープだし時としても中心部もそうである場合もある。同じ様な樽型歪を持つが、色にじみは殆どなくフレア光からの邪魔な妨害はない。焦点合わせはもっと難しくかつ遅いが、より広角だし焦点距離全てに渡ってズームする。私はこのレンズもとりわけ好きなわけではないが、14mm よりはマシだと思う。f/11 か f/16 まで絞り込むと、その柔らかさは Focus Magic で補うことが出来るが、14mm の欠陥のいくつかは何を持っても修正できない。18-50mm f/2.8 ズームと 18mm と 24mm で比較してみると、12-24mm の方が一般的により柔らかいが色にじみも歪も少なく、シャープさでは f/16 でほぼ同等と言えるが、これはもう18-50mm のピークを外れている。建築とか庭園の写真用には、焦点深度を最大化するため私はしばしば f/16 まで絞り込む。従ってこの様な用途には 12-24mm の方を選ぶと思う。私は 14mm をこのレンズに換えるつもりだが、Sigma が SD-10 用に設計されより良く働く 12mm か 14mm のレンズを出してくれることを願っている。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/12_24_ex.htm> (日本語)画角122°からの超広角ズームレンズ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM  株式会社シグマ

15mm 魚眼 (末端価格 $450) は大きさもそこそこであるが、これも又 35mm フィルム用に設計されたものである。SD-10 に装着した場合、14mm よりもほんのちょっと多くをカバーするが、特徴のある見え方を提供する。これは魚眼像であり真っ直ぐな線は湾曲するが、画像のうち中心の部分のみが SD-10 の小さなセンサーで捕らえられるので、この湾曲の程度はそれ程ひどくならない。一方では、通常の広角レンズと違って、近接コーナーでは被写体を拡大しないし、どの角度も歪ませない。これは何を意味するかと言うと、真っ直ぐな線を含まない景色に対してはより自然な像を提供することになる。その違いは小さいが、私の目にはその違いは意味のある程大きい。私は Himalaya への旅にこのレンズと 14mm を持って行った。 14mm を使うことは殆どなかったが、こちらはかなり頻繁に使った。f/5.6 から f/11 の間が一番シャープであり、3本の広角レンズの中では一番シャープでもある。

<http://www.sigmaphoto.com/html/pages/15_ex.htm>(日本語)オートフォーカス対角線魚眼レンズ 15mm F2.8 EX DIAGONAL FISHEYE  株式会社シグマ

広角レンズのどれもが前面のフィルタは取り付けられない;取り付けられるのは後部のゼラチンフィルタだけであるが、これはあまり意味がない。全てのデジタルカメラでは、ソフトウェアが色バランスフィルタに取って代わったし、そして SD-10 の場合はソフトウェアが偏光フィルタにもその主たる用途に対して取って代わることを知ってちょっと驚いた。その主たる用途とは、太陽のグレアで洗い流される色の飽和度を上げることである。(私は他のデジタルカメラに関する偏光子の事は知らない。と言うのも SD-10 ではなぜこれらが必要でないかもわかっていないからである。) 私の経験で言うと SD-10 では、偏光フィルタが必要となる唯一の用途は窓や水面からの模様のある反射を減らすためであるが、実際の所これは実地においてよりも写真学の本での方が良く見られる。

これらのレンズ全ては SD-10 の他にも多くのカメラに装着できるが、私にはこれらが他のカメラとどの様に働くのか全く見当もつかない。イメージセンサーの光学特性はレンズとそれこそ何通りにも相互に影響しあうものなので、それをどうやって離婚させるのか私には分からない。

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TidBITS Talk/15-Nov-04 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋が る。こちらの方がずっと高速のはずた。

Consumer Reports が Mac に好意的 -- 最近の Consumer Reports がカバーストーリーで Mac と PC を比較したことを受けて、読者たちが反応する。(メッセージ数 13)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2373>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/234>

CPU アクセラレータの体験談 -- 先週号の Geoff Duncan が自分の古い Mac を新しい Power PC アクセラレータでアップグレードしたという記事を受けて、マシンをアップグレードした経験のある読者たちの声が寄せられた。(メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2372>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/235>

カメラのフォトセンサーについてもっと学ぼう -- デジタルカメラについての Charles Maurer の記事から、フォトセンサーについてもっと知るにはどこを調べればよいかという議論が巻き起こった。(メッセージ数 6)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2371>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/233>

iPod のバッテリを交換 -- 寿命の来た iPod バッテリを取り外してサードパーティのバッテリで置き換えたという体験談が、一人の読者から寄せられた。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2369>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/231>

Macworld Expo が Hynes に移る -- IDG World Expo から、次回の Boston での Macworld Expo が Hynes Convention Center を会場とするという発表があった。ここは新しくなった Boston Convention & Exhibition Center よりも狭い会場だ。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2374>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/236>


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