TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#767/21-Feb-05

セキュリティ上の問題となる「同形異字」なりすましについて書いた先週の記事に引き続き、Glenn Fleishman がフォローアップの記事を披露する。それから Matt Neuburg の記事が二つ、QuicKeys X3 の紹介と、Zengobi の変わったプログラム Curio のレビューだ。Adam からは、あなたの電子メールアドレスが TidBITS の受け取りを拒否したり返送してしまったりした場合に何が起こるかの説明と、返送が度重なったせいで購読が中止になってしまった場合にあなたがとるべき対策の解説がある。ニュースの部では、私たちのサーバの引っ越しがほぼ完了したこと、それに LaunchBar 4 のリリースについてお知らせする。

記事:

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MailBITS/21-Feb-05

サーバの引っ越しはほぼ完了 -- 先週の私たちは、サーバの引っ越しに関して一勝一敗という成績だった。私は、digital.forest の Chuck Goolsbee に特に頼んで私たちのメインの Xserve の引っ越し作業を日中の時間にしてもらい、私自身がシャットダウン・スタートアップの操作に立ち会って見守ることができるようにしておいた。(当初彼はダウン中の悪影響を最小限に抑えようと、私のタイムゾーンで 2:30 AM という時刻に引っ越しを予定していた。)この決断のお陰で私はゆっくり眠ることができたし、私が手を加えなければならないような問題も何も起こらなかったし、Chuck も交通渋滞その他問題に出くわすことはなく、そのためダウンしていた時間もほんの一時間ほどで済んだ。

その一方で、私たちのデータベースや検索サーバを新しい棲み家に移すのを担当した Geoff Duncan の作業は、いろいろな悪霊に取り付かれてしまった。彼のメインのウェブサーバは電源回路が死んでしまい(Mac の電源を入れようとしても「カチッ」と音がするだけ、というのは絶対に耳にしたくない経験だ)彼のデュアル Ethernet 装備の Power Mac は原因不明の理由で内部・外部ネットワーク間のブリッジを止めてしまい、その上彼自身自宅の引っ越しのために現実世界の所有物を運ばねばならない日が翌日に迫っていたので即座に問題に対処する余裕がなかった。家の引っ越しの後で Geoff は Power Mac G3 (Blue & White) を新しいメインのウェブサーバとして据え付け、Linksys ルータを使って二つのネットワークをブリッジするようにした。ただ、こうしてハードウェアもソフトウェアもいろいろに変わったので、彼はまだいろいろと細かい問題点の修正に追われているところだ。だから、皆さんは db.tidbits.com で検索エラーや変なページ、ところどころのリンク切れなどの問題に出会うことがあるかもしれないが、すべてが正常に戻るのももう間もなくのはずだ。[ACE]

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07981>(日本語)2005 年 2 月 18 日は TidBITS サーバの引っ越し

LaunchBar 4 が発進 -- Objective Development が LaunchBar 4 をリリースした。これはファイルやブックマーク、その他のものを適合生成のキーボードショートカットを使って開く、高く評価されているユーティリティだが、これにメジャーな改良を加えたバージョンだ。( TidBITS-671 の記事“TidBITS 御用達ツール:LaunchBar”を参照。)今回の新バージョンでは索引スキャナをいくつか追加(例えば iTunes や iPhoto のライブラリ、Sherlock チャンネルなども検索できるようになった)し、Google や Wikipedia などのウェブサイトを LaunchBar から直接検索できる検索テンプレートも加わり、データベースの記録(例えば iTunes のプレイリストや Address Book など)も LaunchBar インターフェイスを離れることなく一覧できるようになり、またマルチスレッドの索引付けエンジンも新たに装備された。LaunchBar 4.0.1 の価格は1シートの Business License で $40、Home User License で $20 となる。$30 の Family License は一つの家庭内で五台までのコンピュータをカバーする。また、LaunchBar 3 からのアップデート価格は $20 (business) と $10 (home) だ。LaunchBar 4 は 500K のダウンロードで、1セッションあたり七回まで使える無料試用ライセンスが付属している。[JLC]

<http://www.obdev.at/products/launchbar/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07107>(日本語)TidBITS 御用達ツール:LaunchBar


TidBITS の電子メールが戻ってくると

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

私たちがすべてのメーリングリストを Web Crossing ベースの新しいサーバに移したことの、もっとも大きな利点は、購読しているみなさんが、ご自身の購読を1つのユーザアカウントで集中管理できるようになったということだ。それによって、もしあなたが電子メールアドレスを変更したいと思ったら、一度変更するだけで、私たちの手助けを必要とせずに、TidBITS や Take Control のすべてのメーリングリストについて自動的に新しいアドレスが使われるようになる。もしアドレスを変更したいと思ったら、Account Help ページにその方法が書かれているので、参照してほしい。(訳注: 日本語版の TidBITS はまだサーバの移行を済ませていません。)

<http://www.tidbits.com/about/account-help.html>

しかしながら、とてもたくさんの人々が、メーリングリストの購読を更新する手間を省いて、電子メールアドレスの使用をやめてしまう。おそらく、購読者が古いアカウントを完全に消去してしまったか、あるいは単に使うのをやめて、受信メールがディスクの割り当てを超えてしまったかで、新しいメッセージが拒否されるようになる。あるいは、プロバイダが定期的に掃除をして、使われていないアドレスを消去しているのかもしれない。詳細はどうあれ、私たちの側に何が起こるかというと、私たちがそのアドレスに対して、TidBITS の最新号や、TidBITS Talk のメッセージ、あるいは Take Control 電子ブック無料アップデートのお知らせなどを送ろうとすると、そのメッセージが配達不能として返ってくるのだ。

今までは、TidBITS 本誌が返ってくると、それは専用のアカウントに戻り、週に一度、Geoff Duncan がメールボックスごとダウンロードして、彼が作った HyperCard ベースのユーティリティ Hired Thug を使って処理し、宛先不明のアドレスを突き止め、それをリストから消していた。Hired Thug はなかなかよくできていたが、TidBITS のメーリングリストの豊かな多様性と、Web Crossing 以前のサーバの設定とを考えると、Hired Thug を TidBITS Talk やTake Control メーリングリスト、各種翻訳版にも使うというのは現実的ではなかった。これらのリストで戻ってくるメールは、ほとんど私が手で処理しており、これはぜひ信じていただきたいのだが、宛先不明の処理というのは決して楽しい時間の過ごし方ではない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04761>(日本語)正統のメーリングリストにあらず

Web Crossing のメーリングリスト運営方法は少し異なっていて、宛先不明の処理をよりよく自動的にこなすことができる。それには、可変エンベロープリターンパス(VERP)という技術を使う。VERP を使うと、すべてのメッセージは封筒にそれぞれ異なる差し出し人アドレスが書かれた状態で送られるが、その差し出し人アドレスは、本質的には SMTP プロトコルレベルでの差し出し人アドレスとなる。(実際の手紙と同じように、電子メールは仮想的な封筒に入れられて送信されるが、その封筒を見るのは SMTP サーバだけで、封筒に書かれているアドレスは、あなたが目にするメッセージの To 行と From 行に書かれているものとは必ずしも一致しない。)Web Crossing が送る封筒には、たとえば <bounce.3054461a.3032@tidbits.com>のような差し出し人アドレスが書かれていて、これによって、受け取り人と中に入っているメッセージの両方を一意に特定できる。もしあなたのメールサーバが、私たちからのメッセージを拒絶したり送り返したりしたら、Web Crossing が封筒に書かれた差し出し人アドレスを見て、そこからユーザを割り出し、あなたのメールアドレスから何度メールが返ってきたのかを記録しているカウンターの数字を1つ増やす。もしもあなたのアドレスから、3日以上にわたって3回以上メールが戻ってきたら、あなたの TidBITS アカウントは「宛先不明」に分類されて、私たちは電子メールの送信を止める。ということはつまり、あなたが週に一度の TidBITS のお知らせだけを購読しているなら、あなたのアカウントが宛先不明になるには通常(特別号やときどきのお休みがなければ)3週間かかる。もしあなたが TidBITS Talk を購読していて、毎日受け取っていれば、3日で宛先不明になることもある。

<http://cr.yp.to/proto/verp.txt>

これは少しややこしいのだが、あなたの TidBITS アカウントが宛先不明になって、私たちのリストから一切メールを受け取らなくなったとしても、あなたはリストを 購読 し続けている。これによって、私たちは宛先不明のアドレスにわざわざ届けるということをしなくてすむが、あなたの方では、ウェブ経由であなたのアカウントにログインして、私たちのシステムにあなたのアドレスが復活したことを知らせるか、あるいは電子メールアドレスを現在使っているものに変更することができる。だから、もしあなたが TidBITS がこなくなったと思っていたり、ここ何日か TidBITS Talk を受け取っていないというなら、まず始めにするべきことは(あなたのスパムフィルターを確認するのはもちろん!)、ログインしてあなたのアカウントが宛先不明になっていないか確認することだ。最初にも書いたけれど、ログインして電子メールアドレスを変更する方法については、Account Help ページを見てほしい。Account Help ページにある適切なリンクをたどってログインすれば、Web Crossing が自動的にあなたのアドレスを確認するよう求めてくる。

<http://www.tidbits.com/about/account-help.html>

宛先不明というのは、メーリングリストにとっては由々しき問題だ。私たちは、毎週1から2パーセントのアドレスから返ってくるメールを受け取る。これは、私たちのリストの大きさでは、数百のアドレスということになる。これまでは、宛先不明のアドレスを特定するのに全力を尽くし、それをリストから取り除いていたけれど、一度そうしてしまえば、一時的な問題でメールを受け取れなかった人が購読を再開しようと思うと、再度新規購読をするか、私たちに助けを求めるかしか方法がなかった。今では、あなたはご自身の TidBITS アカウントをすべてウェブから管理できるようになったので、一時的な配送の問題が起こっても、ご自身で元に戻すことができる。それによって私たちの時間も解放され、私たちは TidBITS 最新号の内容を充実させることに集中できるのである。


同形異字 についての反応

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

前号の TidBITS で、私はローマ字に良く似たあるいは全く同じ形をした非英語文字について書いた。詐欺師は、この文字を使って、鍛えられた目を持ってしても同一に見えるドメイン名を登録し、安全であるかのように見えるよう SSL(セキュア・ソケット・レイヤー)デジタル証明書を取得することが可能なのだ。( TidBITS-766の“自分の目も URL も信用できない”を参照)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07983>(日本語)自分の目も URL も信用できない

この一週間に、見せ掛けに対するいくつかの報告に値する動きがあった。

まず、Mozilla Foundation は Firefox 1.0 での標準設定で国際化ドメイン名(IDN)のサポートを不使用にすることにした。彼らは、1.1 ではもっとエレガントな方法を開発したいと願っている。彼らは(そして他の人々も)、良く知られたサイトと同形異字(紛らわしく書かれた)ドメイン名を許しているレジストラを非難している。

<http://news.netcraft.com/archives/2005/02/15/firefox_to_disable_idn_support_as_phishing_defense.html>

Netcraft の記事で Mozilla や Firefox などオープンソースの "gecko" を使ったブラウザで IDN のサポートを不使用にする方法を説明している。ロケーションフィールドに "about:config" とタイプしReturnキーを押す。スクロールして "network.enableIDN" の設定を探す。この設定が true になっていたら、Wクリックして false にする。ウィンドウを閉じる。というものだ。

あなたがこの設定をオンにしておきたいのなら、Firefox 用 SpoofStick をインストールすることをお勧めする。これはブラウザ機能拡張で同形異字や他のウェブ上の成りすましの兆候があれば警告してくれる。

<http://www.corestreet.com/spoofstick/>

面白いことに、Firefox と Mozilla は同じプログラムを共有しているにもかかわらず、SpoofStick を Mozilla にインストールしようとしたら Mozilla がクラッシュしたと一人のユーザーが書いていた。私が考える限りだが、Mozilla のプラグインインフラは Firefox の機能拡張をサポートしていないのだろう。Mozilla ユーザーは TrustBar を注意深く見守ったほうがいいだろう。これは、同じやり方ではないが、成りすましドメインを特定することを助けてくれるだろう。

<http://trustbar.mozdev.org/>

他の読者は、彼女のユーザーグループが Safari 用 Saft を使うようにアドバイスをしていたと書いていた。それは、Safari の組み込み機能を拡張し、同形異字の警告を付け加えるものだ。

<http://haoli.dnsalias.com/Saft/>

最後に、何人かの読者が指摘しているには、彼らは彼らの様々なブラウザやシステムでは成りすましが動作しないということだ。その理由は?ここで問題になっているように punycode 経由での IDN サポートより前に作られたシステムとブラウザ (Mac OS 9 下の iCab のように)を使っているということだ。このケースでは、古きことは良きことといえるだろう。


QuicKeys X3 岐路に立つ

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

CE Software 社は、数年間続いた財政的損失と、疑問の残る会社買収を経て、その QuickMail 製品を(Outspring Inc. に)売却し、それから 2004 年の 4 月になって Startly Technologies, LLC という名前で非公開企業となった。現在残っている製品で最も重要なものは、あの古参のマクロユーティリティ、QuicKeys X で、Mac OS X 用のバージョン 3.0 ("X3" と呼ばれる) は、会社の再編以来最初に登場するメジャーな改訂版だ。

<http://www.cesoft.com/products/qkx.html>
<http://www3.cesoft.com/home/pressrel/FS.0903.html>
<http://www.cesoft.com/company/news/040720-startly.html>
<http://www.outspring.com/about/about.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06603>(日本語)QuicKeys X: 幽霊の再来

まずはっきりと言えるのは、QuicKeys X3 が玉石混交だということだ。一方では、そのインターフェイスが大きく改善された。実際のところ、QuicKeys の 15 年間にわたる全歴史の中で、今回のバージョンが最高のインターフェイスであることに疑いの余地はない。1996 年に遡るが私が "Classic" 版の QuicKeys 3.5 をレビューした時、モーダルなダイアログがダイアログの上に次々と重なっており、それらを一つ一つ段階を追って設定して行かなければならないというおそろしく不細工な作りを、私は手厳しく批判したものだった。だが、その時代はもはや過ぎた。今では、モーダルでない通常の編集ウィンドウが使われ、便利なインスペクター・パレットも控えており、ツールチップもあり、順序をなしたステップはその場で展開表示にすれば詳細が一覧できてドラッグによる並べ替えも可能、つまり QuicKeys は今や最高度の Cocoa ウィジェットとその運用の素晴らしいお手本と言える。カラーやそのシェード付けも見た目に美しく、クリック可能なアイテムはその上をマウスが通り過ぎただけでハイライト表示になる。目にも美しく、使っても楽しい。特に印象的なのはデモを使って一連の作業を記録するところだ。ボタンやメニューの上にマウスを持ってくると、QuicKeys はその部分以外の画面を暗くし、あなたがどのインターフェイス部分をクリックしようとしていると認識したのかを、そのハイライト効果によってはっきり示してくれる。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00858>(日本語)形態、機能と Quickeys 3.5(第二部)

けれども他方では、QuicKeys は Apple の Accessibility API をフルに活用できないでいる。QuicKeys がさまざまのインターフェイスウィジェットを見たりクリックしたりできるのはまさにこの Accessibility API を通してしているというのに。そのため、皮肉なことに、AppleScript や GUI スクリプティングを使えば簡単に検知してコントロールできるようなウィジェットに対して盲目、という状態になってしまっている。例えば、システム環境設定の 共有 パネルにあるサービスのリストについては、AppleScript ならば(PreFab の UI Browser を使ってすぐにわかったことだが)このリストが8つの行と2つのカラムを持った表を成していることを認識でき、最初の行が何を言っているか(「パーソナルファイル共有」)そしてその行のチェックボックスがチェックされているかどうかも報告することができる。また、AppleScript はそのチェックボックスがチェックされていない場合チェックを入れることもできる。けれども QuicKeys は、そのパネルの上には 開始 ボタン以外何も見ることができない。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07102>(日本語)Mac OS X でスクリプト化不能だったことを可能にする
<http://www.prefab.com/uibrowser/>

また、今回のバージョンの QuicKeys では、何年も前の "Classic" バージョンの QuicKeys に存在していたものと同じ機能を再導入している。それが、決定判断だ。これは非常に重大な機能だ。なぜなら、異なった状況に応じてマクロに異なったことをさせたいというのはよくあることだからだ。例えばファイル共有をオンにしたいという場合、「パーソナルファイル共有」チェックボックスがチェックされていなければ、それをクリックすればよい。でも、それが既にチェックされているならば、クリックしてはいけない。(それではオフになってしまうからだ。)ところが残念なことに、QuicKeys にとっての決定判断とは、そこでマクロを中止するか、それとも手順中の別のステップへ飛ぶか、というものでしかない。つまり、プログラミングで言う "goto" を使うということで、これはあらゆるプログラミング構成の中で最も不細工なものと言っても過言ではないだろう。また、QuicKeys X3 では変数の導入もなされているが、マニュアルにはこんなことが書いてある。「変数というのは、このプログラムのかなり高度な機能の一つだ」そうだ。おやおや、これは何かちょっと変だと思わなければ。そもそも変数というのはプログラミングにおいて最もシンプルな事柄のはずで、他のすべての事柄の基礎となるものだ。(ここで言われているような)どこか神秘的で使い方の難しいものなどではない。ここで明らかに何が欠けているのかと言えば、CE と Startly が、おそらく QuicKeys をシンプルでダイアログベースのものに留めておきたいという願いからのものなのだろう、ここに本物のプログラミング言語を賦与しないという決断を下してしまったということだ。けれどもユーザーが何か本当に使い勝手のあることを成し遂げようとすれば、そこで本当に必要とされるのは、本物のプログラミング言語だ。(これこそがまさに、私が 1996 年に憤激のあまり QuicKeys を放棄して、WestCode Software の OneClick に乗り換えた理由だった。けれども何たることか、OneClick は終に Mac OS X へと飛び込むことはなかった。)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=00801>(日本語)Mac とマクロをめぐって

そういうわけで、結果として QuicKeys X3 は何とも中途半端な位置を占めることになってしまった。$100 という価格は、競合するマクロユーティリティである Script Software の iKey ($30) や Stairways Software の Keyboard Maestro ($20) に比べてかなり高い。それでいて、Accessibility API のパワーは備えておらず、AppleScript ならば無料で使えるプログラミング可能性も欠けている。QuicKeys X3 の素晴らしいインターフェイスだけでこの飛び抜けた価格に値するかどうか、それはユーザー各人が自分で判断すべきことだろう。

<http://www.scriptsoftware.com/ikey/>
<http://www.keyboardmaestro.com/main/>


散らかり放題を Curio で片付ける

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

きちんと片付いた世界などというものはあり得ない。だからこそ、私はいつもコンピュータの上で情報を保存したり取り出したりするための新しくて興味深い方法を発見し続けているのだ。そういう新しい方法というものは、たいてい階層的な構成の中に順序付けをしたり、高度な検索機能を使って情報を取り出したり、という内容を含んでいる。とにかく、私はアウトラインやデータベース、キーワードや索引付けといったものに魅せられているわけだ。けれども、このようなアプローチは誰にでもどんな場合でも当てはまるわけではない。つまるところ、人間の頭の中も決してきちんと片付いた場所ではないのだから。どんな階層構造も付加できなかったり、どんなキーワードもふさわしくなかったり、検索すべきどんな言葉もはっきりしていなかったりするかもしれない。作業の進行に従って、そういうものを適宜その場で工夫しなければならないということもあるだろう。現在何が揃っていて、どういう風にそれを組み合わせて行けばよいのか、本当にぼんやりとした感覚だけが頭の中にあるという状態であって、その感覚を頼りに進めて行くだけで充分なのかもしれない。ひょっとしたら、あなたの手持ちは頭の中のぼんやりと雲のように濁ったスープ状態(アイデアと目標)と、あなたのコンピュータの中の雑然とした材料(書類や URL など)だけかもしれないのだ。

Zengobi 社の Curio は、そのようなスープの中をあなたが泳ぎ回る手助けをしようとする。それはアウトラインやデータベース、キーワードといったような左脳的道具に頼るのではなく、もっと右脳的なもの、つまり絵を描くことによってするのだ。このプログラムは、自分自身のことを「アイデア開発環境」と称しているが、実はそれ以外にもありとあらゆる目的に使える。以下では簡単にそのインターフェイスを紹介し、それから Curio が特に得意とする分野を評価してみたい。

<http://www.zengobi.com/products/curio/>

あなたの資産をカバーする -- 一つの Curio 書類は一つまたはそれ以上のページから成り、このページは「アイデア空間 (idea space)」と呼ばれる。個々のアイデア空間は単純なドロープログラムの書類のようなものだ。これはホワイトボードのようなものだと思えばよい。いやむしろ、我々がみんな子供の頃にぺたぺた貼付けて遊んだ Colorform の台紙のようのものだと思うのがぴったりするかもしれない。この台紙にあなたが貼付けていくべきオブジェクトが「図 (figure)」だ。一つの図は、直線(矢印が付いていてもよい)かもしれないし、何か幾何的な図形でも、あるいは一塊のテキストでもよい。実際のところこの後者二つは同じものとして扱われる。なぜなら、テキストは何らかの幾何的な図形の内側に書かれるからだ。これらの個々の図はリサイズしたり回転させたりすることもできるし、いくつかの図を整列させたりグループ付けしたりすることもできる。図にチェックボックスを付けたり「旗 (flag)」(例えばクエスチョンマークのような小さなアイコン)でマーク付けしたり、あるいは「ランク付け (rating)」(0 個から 5 個までの星)を割り当てたりすることもできる。また、何の上にでも文章をなぐり書きすることができる。

<http://www.ugames.com/colorforms/>
<http://www.eagletribune.com/news/stories/20011229/LI_006.htm>

個々の図は、また「資産 (asset)」の代表となることもできる。ここからが面白くなるところだ。資産とは、あなたのハードディスクにある書類のことだ。Curio の中で一つの図をダブルクリックすると、その書類がそのオーナーであるアプリケーションによって開かれる。また、資産は URL であってもよい。それを Curio でダブルクリックすれば、その URL をあなたのウェブブラウザが開く。その資産がプレビューできるものである場合、例えば画像ファイルのような場合は、プレビューが Curio の中にも現われる。それ以外の場合には、その書類アイコンとタイトルが見えるだけだ。実際、あなたのブラウザから画像を Curio 書類の中へドラッグすれば、その画像がプレビューとして表示され、それをダブルクリックすればその元のウェブページが開くようになる。

こうして、Curio 書類には単なるドロー書類以上のものが含まれることになる。つまり、これはたくさんのドローオブジェクトを集めたもので、それらのオブジェクトは外の世界にあるものを代表するものでもあるのだ。実際は、外の世界だけでなく内の世界を代表することもできる。つまり、Curio 書類はパッケージであって、その中で一つの資産をコピーしてそれ自身も同じパッケージの中に位置するようにし、そのコピーの方もやはり同じに見え、元々それを作ったプログラムで編集するようにもできるということだ。そればかりでなく、一つの資産を何個でも数多くの図で代表させることができる。言葉を変えて言えば、あなたのハードディスク上の一つの書類が、一つの Curio 書類の中でいくつもの場所に同時に登場することができるのだ。

というわけで、Curio がどのようにして混沌の中に光明をもたらすことができるのか、もうおわかりだろう。あなたのハードディスクの中に 50 個の書類があったとしても、たった一つの Curio 書類の中で、それらの多数の書類をいくつものアイデア空間という形でさまざまの組み合わせに利用できるようにし、それぞれにテキストや URL、なぐり書きの文章などを付けることもできる、ということだ。

分析と統合 -- O'Reilly の 2004 年 Mac OS X Innovators コンテストで、Curio は2位入賞という輝かしい成績を得た。それでも、あえて批判的な見方をして Curio を細かく吟味すれば、そもそもこれは一体なぜこんな大騒ぎをしているのか、と言いたくもなるかもしれない。結局のところ、私がこれまでレビューしてきたような数々の情報断片キーパーやオーガナイザーたち(例えば iData 2、Tinderbox、TAO などといったものたち)もディスク上のファイルへのリンクを保存できるし、いくつかのもの(NoteTaker と DEVONthink)に至ってはそれらのファイル自体を自分の書類の内部に保管できるオプションを持つものさえある。その上、Curio のこれ以外の面に注目すれば、どう贔屓目に見てもそれは生焼けの実装という感じを拭いきれない。これならば Curio が他のプログラムと同程度にうまくできる、と言えるような機能は、実のところ一つもない。そう考えてみれば、いったい O'Reilly の人たちはちゃんとしたアウトライナーや思考マッププログラム、図式プログラムや資産マネージャなどを見たことがあるのだろうか、という気になってくるのも無理からぬことだろう。

<http://press.oreilly.com/pub/pr/1245>

例えば、Curio におけるアイデア空間は階層的に配置できるし、一つのアイデア空間の中でも、いくつかの図を組み合わせて「リスト (list)」と呼ばれる特別の図の内部に置き、階層的な配列として表示することができる。ところが Curio を本物のアウトライナーとして使うのは全く無理だ。TAO や NoteTaker に見られるような階層的整理やナビゲーションのパワーがどこにも見られないのだから。

Curio のドロー関係の能力は魅力的だが、本格的なドロー作業に使うことは考えられない。いろいろな形や矢印を描くことはできるが、矢印の先端が自動的に図形に張り付くことはないので、ConceptDraw や OmniGraffle の作るような本物のダイアグラムを作ることもできなければ、Pyramid のような、さらには Inspiration すらも含め、専門の思考マッププログラムが提供する効率性をもってアイデアを生み出し連結させることもできない。

Curio には検索機能がある。けれどもそれはあなたの作ったテキストブロックで、あるいはあなたが資産に付属させたノートの中で、単純な検索をするだけだ。資産自体の内容を検索することはできない。何かがチェックされているか、あるいは特定の旗が立っているかどうかを検索することもできない。それに、検索結果の表示の考え方は、合致した箇所を集めて表示するというものではなくて、単に合致しなかった部分をすべて薄く表示するだけだ。どの図が合致したかを確かめるには、すべてのアイデア空間をあなたが一つ一つスクロールして、目で見てまわる必要がある。Tinderbox や DEVONthink のようなパワフルなキーワード機能や索引付け、あるいは NoteTaker や TAO の検索機能と比較してみれば、その差は歴然だろう。

個々の図を「ジャンプターゲット」とすることができる。つまり、一つのアイデア空間で矢印の画像をダブルクリックすると、その図が別のアイデア空間の中で表示されるのだ。けれどもこれは異なった Curio 書類どうしの間では働かないし、Tinderbox や NoteTaker でのハイパーリンク機能に比べれば大きな隔たりがある。

Curio は「探偵 (Sleuth)」という名のウェブ検索機能を提供する。けれども、これは単に既存の検索エンジンやその他のサイトを利用するためのフロントエンドを予め設定してあるものにすぎない。一度に一つのエンジンしか検索できないし、例えば Sherlock のようなコンパクトなインターフェイスを提供するわけでもなく、また DEVONagent のように検索結果を集めてくれるわけでもない。実際、これは全然本物の検索ツールではない。これは単なるウェブブラウザで、本物のウェブブラウザを使う場合に比べて何ら実際的な利点はない。その上、Finder やあなたのブラウザとの間を行き来せずに Curio の中で直接書類やウェブページを出してみせるような「サービス」もない。これも NoteTaker や DEVONthink との大きな違いだろう。

TAO: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07847>(日本語)TAO は上げ相場
Pyramid: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07812>(日本語)Pyramid でセラピー
iData: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07761>(日本語)iData Pro、Cocoaに対応
DEVONthink: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07575>(日本語)DEVONthink は考える、あなたのために
NoteTaker: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07157>(日本語)NoteTaker でテイク・ノオト
Tinderbox: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06959>(日本語)Tinderbox でハートに火を点けて
ConceptDraw: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06179>(日本語)ConceptDraw コネクション
Inspiration: <http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07096>(日本語)Inspiration 7 に霊感を受ける

その一方で、Curio がどんな考え方をもってあなたのいろいろな資産を管理し表示しようとしているのかということに、あなたがもしも注意を集中したならば、上に述べてきたようなただし書きのいくつかは消え失せてしまうことだろう。つまるところ Curio はスーパー・ドローイング・ツールを目指しているわけではない。なぜなら、もしもあなたが Curio 書類の中にスーパー・ドローイングを含めたいならば、それは可能だからだ。あなたは、何かスーパー・ドローイング・ツールを使って、それを編集すればよいだけのことだ。Curio は素晴らしいワードプロセッサでも、素晴らしいアウトライナーでもある必要はない。なぜなら、何か他のアプリケーションで作ったワードプロセッサ書類やアウトライン書類を Curio 書類の中に埋め込むことができるからだ。実際、Curio 書類の中からどんな種類の新規書類を作ることもできる。予め Curio に空の書類を渡しておきさえすれば、いつでもそれを埋め込まれた資産として複製し、それをどれかのアイデア空間の中で代表させればよい。それを編集させるのも、ワンタッチでできるのだから。

こうして見てくると、Curio の強みが何かを理解するためには、あなたが持っている資産そのものに注意を集中することが重要だということがわかる。つまり、あなたはさまざまの写真や URL、PDF、スプレッドシート、Word ファイル、その他あらゆる種類の書類を作ったり集めたりしている。そういうさまざまの資産を、あなたがホワイトボードの上で並べて披露するところを想像してみるとよい。そして、そのホワイトボードが縮まって一つの書類になったと考えてみよう。単純に整理のための目的でそれをあなた自身に提示して見せるのもよい。または、Curio の本来の目的である「アイデア開発」のために使うのもよいだろう。何らかの研究あるいは発案プロジェクトの一環として、これらの資産を収集して提示するわけだ。それから、それらを他の人たちのために披露して見せることもできる。Curio には驚くほど良質の HTML 書き出し機能(それぞれの資産は file プロトコルの URL を通じてアクセス可能となる)があり、ホワイトボード上に表現されたあなたのアイデア空間たちを PDF あるいは画像ファイルとして書き出すことができる。

結論 -- いくつかの明快かつシンプルなドロー図式を使って、混沌のスープを、つまりあなたのハードディスクの混沌とあなたの頭脳の中の混沌とを、切り分け整理して行くご自分が想像できるのならば、そういうあなたには Curio こそがまさに暗闇の中の灯台の光のようにあなたを導き手招きしてくれるだろう。このプログラムの価格は $130 で、その機能がどれもまだ未完成という状態を考えればかなり高く思える(私は正直のところ $30 とか、その程度の価格が順当なところだと思った)が、いずれにしても興味を持てたユーザーの方は自分自身でご判断頂きたい。30 日間有効のデモ版が 5.6 MB のダウンロードで入手可能だから。Curio にはよく出来たオンラインヘルプが付いており、チュートリアルも付属している。このチュートリアルは便利だが、その文章は時々これが AltaVista の Babel Fish 自動翻訳を使ったのではないかと思えることがある。(「書類で良い足の上に立つ」って何のことだ?)Mac OS X 10.2.8 かそれ以降が必要だ。

<http://www.zengobi.com/products/download.html>

PayBITS: あなたのコンピュータの曇りを晴らすことができて、Matt にお礼したくなりませんか? ならば、少額のお金を彼に送ってみましょう!
<http://www.paypal.com/xclick/business=matt%40tidbits.com>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


Take Control ニュース/21-Feb-05

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

もうリリース直前に来ているタイトルもいくつかあるが、今週はそれらを早く完成させたいという気持ちを高ぶらせてくれる嬉しい励ましの声が、“Take Control of Mac OS X Backups”に対する好意的なレビュー記事という形で届いた。

<http://www.tidbits.com/takecontrol/news/>

MacGuild が "Take Control of Mac OS X Backups" に A ランクを -- 「企業国家アメリカのための究極の Apple ユーザーグループ」と自称する Macintosh Guild が Joe Kissell の電子ブック“Take Control of Mac OS X Backups”をレビューし、A (Outstanding) という成績を付けてくれた。[ACE]

<http://mac-guild.org/reviews/book043.html>
<http://www.tidbits.com/takecontrol/backup-macosx.html>


TidBITS Talk/21-Feb-05 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方がずっと高速のはずだ。

ヘッドフォン・ヘッドセットをどう使い分ける? -- 音楽用ヘッドフォンやイヤーバッド、電話用のヘッドフォンもあるが、その中で、音楽を聴くのにも電話で話すにも、どちらにも使えるものはあるだろうか? (メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2471>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/329>

Mac mini の使用感 -- Apple の Mac mini がそろそろ購入者たちの手元に届き始めているが、実際の使い心地はどうだろうか? メモリの限界や、ワイヤレス周辺機器の使用などについて、読者たちが考察する。(メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2473>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/331>

私の e-life を新しいマシンに移す -- 新しい PowerBook が届くのを待ちながら、今のマシンから新しいマシンへとデータを転送する一番良い方法は何だろうか、と一人の読者が考え込んでいた。(メッセージ数 13)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2475>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/334>


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非営利、非商用の出版物およびウェブサイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載またはウェブページにリンクすることが できます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありませ ん。書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA