TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#773/01-Apr-05

誰が想像しただろうか? Apple は今日記者会見を開いて今後の製品とマーケティングの戦略を語り、Mac OS X 10.4 のリリース日程と、iPod 関係のいくつかのマーケティング及びセールス提携、それに新しい Power Mac の展望について見通しを述べた。また、Geoff Duncan はシアトル市内で喫茶店内の Wi-Fi が禁止されたことをお伝えし、Glenn Fleishman は Mac mini のスカートの中を覗く。それから、緊急モーションセンサーを利用してラップトップ機を保護するラップトップバッグのニュースと、偶然にも Mac OS X 10.4 のゴールデンマスターを無料で入手できた一人のユーザーの幸運の物語もお伝えする。.

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MailBITS/01-Apr-05

Matias が緊急モーションセンサー技術をバッグに導入 -- ラップトップバッグのデザイナー、Edgar Matias が今日発表したところによると、彼の会社は Apple の緊急モーションセンサー・テクノロジーについてライセンス契約を結び、PowerBook および iBook ポータブルコンピュータ用の新シリーズのバッグにこのテクノロジーを応用することにした、と述べた。この緊急モーションセンサー・テクノロジーが最初に登場したのは 2005 年 1 月 31 日に発表された Apple の新しい PowerBook G4 シリーズに付属してのことで、これは軸位置の変動と加速運動を自動的に探知して即座にハードドライブのヘッドをパークさせ、データ喪失の危険度を減らすというものだった。今回 Matias が発表した新しい Laptop Armor/Inflatable シリーズのバッグにも、同種のセンサーチップが埋め込まれている。このバッグを背負っている人がバッグの中身の重量のせいで(前に、後に、あるいは左右に)ぐらついた時、バッグの回りにエアバッグが膨らみ、ラップトップ機にもその人にも保護の役割を果たすことになる。体の前側に来る肩紐の部分にもエアバッグが付いていて、前向きに転んだ時にも保護してくれる。エアバッグが膨らむ速度のためには鍵となる要素があって、これにはカナダの British Columbia 州で栽培されている野菜から抽出した秘密の成分が使われているという。この点について同社は詳しい情報は明かせないとしている。一旦開いてしまったエアバッグは Matias 社に送り返して、バッグを再び折り畳み内蔵のエア・キャニスターを交換してもらうことになる。$50 の追加料金を前払いしておけば、最大5回まで Matias 社がこの交換サービスをしてくれる。自分はしょっちゅう転んで困るという人は、$35 のセルフ交換キットを購入すれば、交換用のキャニスターのセットと折り畳み方の詳しい説明書が付いている。この Laptop Armor/Inflatable バッグは Apple のすべてのラップトップ機のサイズに適合するよう各種サイズが揃っており、いずれも 2005 年 4 月 1 日時点で定価が $200 となっている。[JLC](永田)

<http://www.laptoparmor.com/>


Mac OS X 10.4 のイースターエッグ、発見さるも失わる

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

以下の物語はマサチューセッツ州 Littleton に住む TidBITS 読者の Nancy Kotary から伝えられたものである:

「最近、このあたりの気候は(またまた!)とても寒くなってきたのよ。それでね、なぜかそれと時を合わせたみたいにして、私の 15 インチ PowerBook G4 が変になってきたのに気付いたの。家に帰って見ると、変なウィンドウがいっぱい開いていたり、デスクトップに新しいフォルダが出来ていてその名前が“ag899uiogheo”みたいな変な名前だったりするのよ。これは修理に出さなきゃ、って思っていたんだけど、でもね、偶然その原因がわかっちゃったの。実はね、私はいつもコンピュータを開いたままで置いておいたんだけど、うちの猫が、あったかいキーボードを気に入ったみたいで、その上に寝そべっていたってわけなの。」

「それでね、せっかく猫ちゃんが気に入ってるんだから、って思うと、コンピュータを閉じてしまうのはかわいそうな気がしてきて、それに猫の手でいったいどんなことが起こるものなのか、っていう好奇心も湧いてきたのよ。でもね、昨日、とってもびっくりすることが起こったの。丸まっている猫ちゃん越しに PowerBook の画面を見ると、ソフトウェア・アップデートが走っていて、何だか知らないけど、ものすごく大きなダウンロードが進行中だったの。終わるまでに4時間か5時間ぐらいかかったかしら。それでね、それでね、終わってみたら、それが、Mac OS 10.4 のゴールデン・マスターのインストーラだったの! 凄くない? 私はその日のうちにそれを CD に焼いてインストールもしちゃったわよ。無料でよ!」

さて、私たちの予想を言えば、これはきっと何か秘密のキー組み合わせがあって、それを押せばソフトウェア・アップデートから Mac OS X 10.4 が“見える”ようになってダウンロードできるようになるのに違いないと思う。たぶん、これはソフトウェアのイースターエッグとして組み込まれていたのだろう。(何しろイースターの週の前後に発見されたのだから。)それとも、Apple の人たちが開発作業中に最新のビルドを手軽に取って来られるようにという工夫だったのかもしれない。ただ、その猫が押したキー組み合わせが実際何だったのかは知る由もない。というわけで、まるで「失われたコード」のように、無料で Mac OS X 10.4 インストーラがダウンロードできるというこの偶然の大事件は、おそらく二度と繰り返されることはないだろう。


クールな冷却パッケージ

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

The Plasticsmith がまたやってくれた。でき立てほやほやの Mac mini に、発光するプラスティックの台座「mini skirt」をもたらした同社が、新しいスタンドを発表した。mini hover skirt だ。

<http://www.plasticsmith.com/miniskirt>

SF ファンや船舶マニアなら知っているように、ホバースカートというのは、船体の下部を空気ジェットがとりまいているものだ。下向きのジェットによる空気圧によって船体が地面から浮き上がり、それによって摩擦がなくなるから、液体の上でも固体の上でも、安価な推進装置で進むことができる。

mini hover skirt は、お笑いと実用性とを組み合わせたものだ。この製品はMac mini の底に取り付けるもので、静かだが強力な空気送風機が内蔵されていて、しばしばほのかに温かくなる Mac mini を冷やし、同時に宇宙時代の音響効果を生みだす。

Mac mini に Bluetooth と AirPort Extreme オプションを追加した人たちは、mini hover skirt を別売りの電池で動かせば、ケーブルをすべて取り除くことができる。残念ながら、電池を使うと、海の波のような音が掃除機並みに高くなってしまう。

しかし、追いかけモードを使用し、Salling Clicker をインストールすれば、Mac mini があなたの後を追いかけて部屋の中を動き回るようにすることができる。たとえば、Bluetooth Jabra ヘッドセットを使って、Mac mini をヘッドレスモードにし、Wi-Fi ネットワークから引き出したウェブページを読み上げさせ、それを Bluetooth を通して聞くことができる。

<http://homepage.mac.com/jonassalling/Shareware/Clicker/>
<http://www.jabra.com/JabraCMS/NA/EN/MainMenu/Products/WirelessHeadsets/JabraBT800/JabraBT800.htm>

mini hover skirt の価格は、オプションの有無によって、800 ドルから1,000 ドルのあいだを漂う予定だ。Mac mini がどこかに行ってしまったときのための探知装置を付けると、50 ドルの追加となる。

<http://www.plasticsmith.com/minihoverskirt>


Seattle の喫茶店の爆発で無料 Wi-Fi が禁止に

文: Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Seattle 市議会は、市内での無料 Wi-Fi アクセスを禁止する緊急条例を可決した。これは、人気の喫茶店「Beans, Beans, The Magical Fruit」で先週起きた爆発事故について調査していた専門家と消防局からの報告を受けたものだ。この条例はただちに発効される。制限されていない Wi-Fi アクセスを提供した個人または法人は、軽犯罪法違反となり、Wi-Fi 機器の没収と、5,000ドル以下の罰金が科せられる。Seattle 市はまた、Wi-Fi 検査財団(WTF)を設立し、市内の Wi-Fi アクセスを評価し規制することとした。WTF は、喫茶店での Wi-Fi 使用を電子メールとテキストのみのウェブサイト(または画像表示を停止したウェブブラウズ)に限定する法案について検討することになっている。

消防局調査チームのリーダーである Cindy Aerie は、公式な調査報告はまだ作成中であるとしながらも、先週の爆発の原因は、すべての証拠が示すところでは、店主が席数を増やすための場所を確保しようとして、施設に備え付けの大容量エスプレッソマシン2台のうち1台を移動したことにあると話した。このマシンが移された位置は、この建物の中にある目に見えない「Wi-Fi 高熱帯」の中心にあたり、そこでは、喫茶店内と周辺の家庭や企業とで無線インターネットユーザが使用しているハードウェアから送信される電波が集中し、空気中およびコーヒーマシンのボイラー内の水分子が励起されていた。

「店主がこの状況の危険性について知っていたという可能性はおそらくないだろう」と、Seattle 市長の Greg Nickels は語っている。

Aerie によれば、「これはちょうど、店主がコーヒーマシンを低出力の電子レンジに数時間入れていたようなものだ」。調査チームの見解では、コーヒーマシンを Wi-Fi 輻射にさらした状態で何時間か普通に使用した結果、マシン内の水タンクの内部蒸気圧が以上に高くなり、水タンクが爆発した。

爆発時に飛散した破片により、喫茶店内の5人のインターネットユーザが負傷した。負傷した顧客はいずれも「ブロガー」であると考えられているが、ワシントン州のプライバシー法は彼らの氏名を公表することを禁じている。5人はSeattle の Harborview 医療センターで治療を受け、4人はすでに退院した。1人はまだ入院しているが、重傷ではない。

消防局は、公式の調査結果を次の月曜日に発表する予定だ。

Tacoma、Everett、Renton 各市の市議会と、Seattle の東に位置するKirkland、Bellevue、Redmond のハイテクコミュニティーは、今週にも同じように無料 Wi-Fi サービスを禁止する条例を審議する予定だ。

「我々は公共の安全を考慮しなければならない」と、Bellevue 市議員の Don Davidson は語っている。

しかし、無料 Wi-Fi を禁止すれば、近年の経済停滞から抜け出そうと苦慮し続けている地域に経済的な打撃を与えるとして、この動きに反対する人たちもいる。Kirkland のテクノロジー企業 NuttinButNet の主任を務める Ijay Kaeは、次のように述べている。「無料 Wi-Fi を禁止すれば、多くの地域の大企業で働く契約社員やオフサイト労働者、社員たちの生産性が大幅に低下することになる。私たちは、仕事を Wi-Fi が規制されていない地域にアウトソースしなければならなくなるかもしれない。ひょっとしたら海外に。」

しかしながら、オンラインコミュニティーは、この新しい規制を冷静に受け取っているようだ。Tribble と名乗るブロガーによれば、「いずれにせよ、ブログのすべてを読む時間のある人なんていないんだし、これは両得だよ。読むべきものは減って、文句を言うべきものが増えるわけだ。」


Apple、製品とマーケティングのプランを発表

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Apple は本日、慣例を破って記者会見を開き、来るべき製品についての計画を発表した。業界ウォッチャーの中には、この動きはパートナーである Motorola にせかされてのことだと考える人がいる。Motorola が iTunes phone を発表しようとしたとき、Apple との合意が得られずに発表を遅らさざるをえなかったことがあるのだ。Motorola 携帯電話部門の部長 Ron Garriques は、「Steve にとっての展望というのは、日曜に製品を発表して月曜に売るというものだ」と語ったことがあるのだが、今回は、気まぐれな Jobs に対し、計画をすべて見せてしまった方が Apple にとってよいということを納得させたと伝えられている。

<http://www.eweek.com/article2/0,1759,1776757,00.asp>

もう1つ驚いたことには、Apple は私たちも含めたウェブ出版者たちを記者会見に招待し、QuickTime を使ったウェブキャストを提供して、電話会議による質問を受け付けた。そのおかげで、私たちは、たくさんのスタッフと友人たちの協力を得て、会見の内容をすべてお伝えすることができる。

iPod double-shuffle -- 記者会見のほとんどは今後の Macintosh モデルについて語るのに費やされ、それについてはこのあとの記事で取り上げるけれども、Steve Jobs は冒頭の数分間を iPod の新しいマーケティング活動に割いた。

第1のマーケティング戦略には、iPod U2 Special Edition と同じように、iPod の外見を変更することが含まれている。今回は、大手ガムメーカー Wrigley との提携だ。ちっぽけな iPod shuffle は、もともと不気味なほどガムのパッケージに似ていたが、さらに Wrigley の Doublemint ガムに似せるために、緑色のジャケットをかぶせられる。しかし、外見がかわいくなるだけではなく、新しい iPod には 2 GB の RAM が搭載され、それにふさわしく、名称は iPod double-shuffle となり、価格も 200 ドルとなる。最近の Appleと Pepsi のキャンペーンと同様、「当たり」の印がついたガムには、iPod double-shuffle と無料で引き換えできるコードが書かれている。Wrigley はまた、すべての店舗内展示物に iPod double-shuffle 販売促進用の広告を追加し、iPod double-shuffle を身に付けると「歩いて、ガムを噛んで、2倍の曲を聴く」ことができると売り込むテレビ広告も計画している。

<http://www.tidbits.com/resources/773/double.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07958>(日本語)Pepsi が iTunes Music Store に再挑戦

Steve Jobs の周囲では現実がゆがんでいることはよく知られているとはいえ、このニュースは、記者会見の間中私たちの多くが参加していた裏の iChatセッションに失笑を巻き起こした。ケースを変えたり RAM を追加したりするのに大したコストがかかるはずはないから、この契約で Apple が損をすることはないだろうが、次々に訪れるつまらない菓子メーカーや飲料メーカーと手を組むということになれば、Apple は iPod と iTunes のブランド力を弱める危険性があるように思われるのだ。その結果が、U2 Special Edition のときのように、象徴的な白地に白のデザインから離れた iPod であるときには、特にそう思われる。

Dell、DJ を捨てて iPod へ -- Michael Dell が金儲けの機会に背を向けたといって非難されたことなど一度もない。他社によって製造された製品を売るという伝統を持つ Dell Computer は、自社の MP3 プレイヤーの販売を中止し、その代わりに Apple の iPod 製品を再販すると伝えられた。「まぁ、ここにいるのは名誉なことではないがね」といいながら、Michael Dell は今日の記者会見で Steve Jobs と一緒に舞台に姿を見せた。「私たちは儲けるために商売をしているのだし、私たちの PC とシームレスに動く iPod を船1杯分売ることができれば、すべての人にとって利益になる。」Dell はまた、販売するすべてのコンピュータに iTunes と QuickTime をバンドルするそうだ。

<http://www1.us.dell.com/content/products/category.aspx/dj?c=us&cs=19&l=en&s=dhs>

Dell との提携は、Apple にとって大きな意味がある。Dell は毎日たくさんのPC を販売しており、その過程でほかの製品も積極的に売り込んでいる。HP との提携と同じように、Apple はもう1つの大規模な販売網へのアクセスを手に入れ、iPod の将来を確かなものにするのだ。


Tiger の名前変更、出荷間近

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

新型 iPod double-shuffle の手短な紹介に引き続き Steve Jobs は目前のニュースに取り掛かった。Mac OS X オペレーティングシステムの待ちに待った新バージョンが準備でき、皆さんのお近くの小売店にもうすぐ届くとアナウンスしたのだ。 (OK、これはホントのニュースではなかった。) Mac OS X 10.4 は2005年4月22日の深夜、店頭とオンラインで購入可能になる。

<http://www.apple.com/macosx/>(日本語)アップル - Mac OS X

驚いたことに、Apple はこのリリースの公式名称が “Mac OS X 10.4 Wombat” になることを明らかにした。Apple は 1 年以上に渡って、このバージョンの Mac OS X を Tiger として説明し続け、開発者達にコードネーム Tiger という名の元に開発版を配布していた。そしてさらに、“虎の毛皮”モチーフをロゴやデスクトップのスクリーンショットのプロトタイプとして製作していたにもかかわらず、最後になって、それら全ては破棄されてしまった。そして、代わりに選ばれたのが Wombat だった。(Apple の Mac OS X に関するウェブサイトはまだ置き換えられていない。どうやら、それは製品が消費者の手元に届くまでは変更されないようだ。)

質問セッションにおいて Steve Jobs が答えたことによると、この変更の目的は「ThinkSecret のような、知ったかぶりの噂話サイトを締め出すこと」らしい。Jobs は多分、ウォンバットが大きな猫でないこと、以前の Mac OS X のコードネームの Jaguar や Panther に似ていないという事実を誇っているのだろう。「私たちは、これらの噂話サイトがこのことに気づくことができなかっただろうし、100 万年かかっても気づかないと思っていた。それは猫ではない!獰猛なものでもない!」と Jobs は語った。「それは、小さな可愛い Australia 産の有袋動物の一種だ 。」

この変更が “Tiger-ready” としてソフトウェアを準備してしまっている開発者やタイトルに "Tiger" と入れて告知してしまっている出版社へ与えるインパクトがどのようなものか尋ねられたとき、Jobs 曰く、「彼らはそれを乗り越えるだろう。」そして、彼は、そのような名前、少なくともオーストラリアではその呼び方が誰かをまぬけ呼ばわりするものであると取られかねない名前、によって Mac OS X が被るであろう売上へのインパクトについては取り合わなかった。何といっても、捕まえたウォンバットは簡単に飼い馴らすことができ、呼ばれたらすぐに来るようになると、Jobs は指摘した。彼の言葉によると、「Mac OS X 10.4 Wombat も、Automator 機能のおかげで、そのようになるだろう」。

<http://www.thinksecret.com/>
<http://news.com.com/Apple+suit+foreshadows+coming+products/2100-1047_3-5513582.html>
<http://serf.org/womFAQ.txt>
<http://www.apple.com/macosx/tiger/automator.html>


Mac mini が micro、nano、pico へと縮み行く

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が Mac mini で大成功をおさめたのは、その小さなフォームファクターと価格の安さからだった。そこでこの会社は、コンピュータをもっといろいろの小さなサイズに作っていくことを真剣に考慮し始めた。今日の記者会見でも、かなりの時間がこの点に関することに費やされ、Steve Jobs は Mac mini がいかにユーザーたちに、またマスコミに受け入れられたかについて長々と語り続けた。それから突然彼は新製品の発表に移った。それは、おお! 何という発表だったことか! MP3 プレイヤーの有象無象の中に登場した iPod がすべてを打ち破ってあっという間に市場を席巻したのと同じように、今回の超ミニサイズの新しい Mac たち - Mac micro、Mac nano、Mac pico の3種類 - は、コンピュータがどんなものであるべきか、私たちがコンピュータをどう使うかの既成概念を根本から覆すものとなるだろう。Steve Jobs いわく、Apple はこれらの3種類の新機種をすべて 2005 年の後半のうちには出荷する見通しで、年末のホリデーショッピングシーズンにはぜひとも間に合わせたいと述べた。

Mac micro -- 新シリーズの先頭を飾るのは $250 の Mac micro だ。これは Apple によればちょっと厚めのペーパーバックの本と同じくらいのサイズで、重さは 3 ポンド(1.4 kg)以下とのことだ。この Mac micro には 450 MHz の G4 プロセッサと 256 MB の RAM、それに 30 または 60 GB の 1.8 インチハードディスク(iPod に使われているのと同じもの)が付く。標準装備のポートとしては、mini-DVI(VGA と composite/S-Video もアダプタを介してサポート)やモデムポート、10/100 Mbps Ethernet、それに FireWire も付いて、今後 Apple が高速バスに真剣に取り組む気があるのかどうかという賑やかな推測合戦にも一応の決着がつくことになりそうだ。

同社が予想する Mac micro のユーザー層というのは、仕事を常に身に付けていたいけれどもキーボードとマウス、大画面モニタといったものは行く先ごとにどこでも利用ができる、という人たちだ。光学ドライブが付いていない点については、Jobs は Apple としては多くの Mac micro ユーザーが他の Mac にもアクセス可能である(Mac micro を FireWire Target Disk Mode としておいてインストールするなどができる)ことを予期していると述べ、また後刻の質疑応答において、この光学ドライブの欠如はまた「サードパーティの参入の機会」でもあると述べた。

Mac nano -- Mac micro でも大きすぎるというあなたには、また、やっぱり内蔵スクリーンはどうしても欲しいというあなたには、Mac nano がその答かもしれない。意外にも、この $150 の Mac nano は驚異的に安価な PowerPC G3 プロセッサ(今でも広く生産され続けている)を使っており、これに 30 GB のハードディスクを組み合わせている。メモリはたった 256 MB しか搭載していないので、この Mac nano は“nano-kernel”(ナノカーネル)つまり高度にぜい肉を搾り落としたバージョンの Mac OS X を使っており、その速度たるや、フルスケールの Mac ユーザーさえもうらやましさによだれを垂らすという代物だ。また、Aqua インターフェイスを削除しているという点でも改善したシステムと言える。いずれにしても Mac nano においては Aqua などまるきり意味を成さない。なぜなら、このナノサイズのコンピュータ画面たるや、ちょうど iPod photo を思わせるようなもので、2 インチのカラースクリーン(160 x 128 ピクセル)に過ぎないからだ。入力はタッチセンサー付きスクリーンでスタイラスペンを使っておこない、またこの Mac nano には iPod に似たクリックホイールが付いていてナビゲーションに使える。iPod と同じように、Mac nano も FireWire を使ってバッテリーの充電(およそ 10 時間使用可能)をおこない、フル装備の Mac との間で同期もできる。その他の機能としては内蔵の Bluetooth と、composite/S-Video 出力やオーディオ出力などがある。

明らかに、この Mac nano は長年要望の声が多かった Apple の PDA という位置を占めるものであり、Jobs はソフトウェア開発者たちに向けて、Cocoa ベースの Mac OS X アプリケーションはただ Xcode を使って小型スクリーン向けのインターフェイスを作るだけでそのまま Mac nano で走るようになると述べた。一例として彼は iPhoto のプログラムとしてのフルの実力をミニチュアサイズの画面で提供できるバージョンを示してみせた。(ただし、Adjust パネルのみは例外で、これは PowerPC G4 または G5 ベースの Mac でしか動作しない。)

Apple が遂に PDA に参入したことで、残る主要な疑問は、今後携帯電話機能も組み込まれることになるかどうか、ということだけになった。

Mac pico -- さて、最後にたどり着くのは $50 の Mac pico、これはたった 3 オンス(85 グラム)の録音・表示機器で、コンピュータ遍在の世界に向けての Apple の秘密兵器と言える。Mac pico の最大の特徴はそれが非常に小さくて非常に安価だということで、家にも、仕事場にも、これを気軽に何個でも置いておけるというところだ。2 インチのカラー液晶ディスプレイと 256 MB の静的 RAM を装備し、指またはスタイラスペンを使ってタッチスクリーンで、あるいは内蔵マイクロフォンによって入力をおこなう。背面にあるマウント器具は、やもりの足の研究の成果を生かした粘着テクノロジーを用いており、時間とともに粘着力が下がる心配なしにどんな物の表面にもしっかりと粘着する。

<http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/2953852.stm>
<http://www.ubiq.com/hypertext/weiser/UbiHome.html>
<http://www.ubiq.com/parctab/>

この Mac pico はもちろんバッテリで動くが、充電は誘電ベースのプレートにユニットを貼付けておこなうか、または液晶スクリーンの縁取りとして太陽電池セルを組み付けてソーラーパワーによる充電をおこなうかが選べる。バッテリの寿命は使用度に反比例するが、新開発の省電力テクノロジーにより、使用中以外の Mac pico は事実上消費電力ゼロを達成している。

Apple はこの Mac pico がデータの記録のためにタッチスクリーンまたはマイクロフォンを通して使われることを想定している。いったん入力されたデータは、Bluetooth 経由でフル装備の Mac に転送したり、またはそのままスクリーン上に表示したりすることもできる。Mac pico には HyperCard に似たメタファーが使われており、次・前のボタンによってスクリーンをナビゲーションできるようになっている。


Power Mac GX シリーズのご紹介

文: Apollo Fris <apollofris@gmail.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

もしもあなたが、Apple の Power Macintosh G5 各モデルはそろそろ古びてきたと感じていて、Steve Jobs が 2003 年 6 月の Worldwide Developer Conference で約束した 3 GHz はいつになったら実現するのだろうかと思っているのなら、あなたはもう少し待つ必要があるが、それだけの価値はある。Apple は本日、IBM 製の新しい PowerPC チップを搭載した 3 GHz から3.6 GHz にいたるハイエンドデスクトップの新シリーズを来年出荷すると発表した。その一方で、Apple は G3 から G4、G5 までの命名慣行を破ることに決めた。これは明らかに、商標問題を避けるためだ。

次の世代の Power Mac に付けるべき名称としては、「G6」というのがもっとも明白なものだが、G6 というのは、すでに Pontiac が盛んに宣伝に使っている。同社の新しい性能のセダンは「世界初の G6」というのが売りなのだ。G6 はまた、Canon のデジタルカメラの名称でもある。G6 で G6 に G6 をつなぐなどということになったら、どれだけ混乱するだろうか。さらに悪いことに、G7 と G8 は、それぞれ 先進経済大国「Group of 7」と、それにロシアを加えた「Group of 8」にとられている。さらに進んで、G9 となると、Suunto の腕時計の名前として押さえられている。

<http://www.pontiac.com/fuelingzone/index.jsp?deepLink=g6>
<http://consumer.usa.canon.com/ir/controller?act=ModelDetailAct&fcategoryid=144&modelid=10463>
<http://www.suuntowatches.com/g9.htm>

だから、今日の記者会見で Steve Jobs が語ったところでは、Apple は G3、G4、G5 からいくつかの世代を飛ばして、一気に「GX」にするということだ。これは「ジーテン」と発音し、現在 Mac OS X を中心としているマーケティング戦略と合致する。新しい Power Mac GX モデルは、「Mac OS X 10.X Platypus(カモノハシ)と同じころに」出荷され、ファッショナブルな人工毛皮に覆われた何種類かの筐体が使用されるという。これらのデザインは、Mac OS X のさまざまなバージョンに付けられた名前、すなわち、Cheetah、Puma、Jaguar、Panther、Wombat、Tiger にそれぞれ対応する。(Tiger が含まれているのは、Apple が Mac OS X 10.4 の名称を Wombat に変更したときには、すでにデザインができ上がっていたからだ)。斬新なデザインと色とりどりの外見は、Apple が iMac にさまざまな色のケースを提供していた時代を思い起こさせ、また現在の iPod mini のカラーバリエーションも連想させる。しかし、この毛皮は美しいだけではない。その機能については、このあとの記事でお知らせする。

Jobs は、Power Mac GX デスクトップマシンに関する詳細については、多くを語らなかった。おそらく、遠い先の話だからだろう(私たちの推定では、次のバージョンの Mac OS X のスケジュールから考えて、出荷は 2006 年の第3四半期になるだろう)。IBM 製の新しいプロセッサに加えて、Power Mac GX には新しいワイヤレス技術が導入され、Jobs が嫌っていることがよく知られているケーブルの散乱が軽減される。これには、ワイヤレス電力供給やワイヤレスディスプレイも含まれる予定だ。「我々はついに最後のケーブルを片づけた」と Jobs は語っている。


Apple の iFuzz ナノテクノロジーが熱いチップを冷やす

文: Apollo Fris <apollofris@gmail.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

毛皮というのは、普通は保温のためのものだが、Apple が計画している Power Mac GX を覆っているスタイリッシュな新素材は冷却システムであり、現行の世代である Power Mac G5 で使われている冷却技術をさらに改善するものだ。Power Mac GX のマシンは、ささやくように静かだとうわさされており、それはそもそもファンの必要がないからなのか、それとも毛皮に冷却特性だけでなく吸音特性があるからなのかははっきりしないが、動作音が静かだというのは、音楽や映像を扱うユーザには歓迎されるだろう。明らかに、Apple が研究開発に費やした多額の投資は、生物にヒントを得たナノテクノロジー(もちろん特許申請済み)によって報われた。毛皮のコートは、間違いなく Apple によってマーケティングに適した名前がつけられるだろうが(Apple の技術者たちのあいだでは「iFuzz」と呼ばれているらしい)、プロセッサや、冷却液が流れる何百もの微細管が詰まったケースの内部から、それぞれの「毛」の中に実際に熱を吸い上げる。水冷式システムは現在のデュアル 2.5 GHz Power Mac G5 モデルと似ているが、性能は段違いに優れている。

1本1本の毛そのものに熱電特性があって、過剰な熱を直接電気エネルギーに変換する。さらに、その電力が電源装置に戻されるから、消費電力が目覚ましく減少する。電子冷却(「ペルティエ冷却」とも呼ばれる)は、PC ユーザがCPU をオーバークロックするときに使われていたことがあるが、私たちが知る限り、主流のコンピュータメーカーが採用するのは初めてだ。(ペルティエ冷却を使ってビールを冷やすという楽しい使い方もある。下記の一番下のリンクを参照。)さらに、熱電素材というのは通常は極めてもろいのだが、Apple は独自の技術によって、熱電素材のナノ粒子を、驚くほど柔軟な素材に仕立て上げた。

<http://www.pcworld.com/news/article/0,aid,107235,00.asp>
<http://www.overclockers.com/topiclist/index21.asp#PELTIERS>
<http://en.wikipedia.org/wiki/Thermoelectric>
<http://www.popsci.com/popsci/how2/article/0,20967,695635,00.html>

iFuzz を使用したことによりもたらされた利点は計り知れない。iFuzz は、現在の水冷式システムやファンによる冷却技術をしのぐ冷却効果を持つだけでなく、2つの点で電力の節約にも貢献する。まず、ファンの使用を減らすか、またはまったくなくすことができる。また、毛そのものに熱電特性があるため、電力が発生する。

放熱と節電の両方で進歩が見られたことから、当然予想されるように、Appleは毛皮筐体を使った PowerBook G5 も(ついに!)開発し終えているとうわさされている(Jobs は、今日の記者会見ではうわさの PowerBook G5 に言及しなかった)。情報筋によれば、PowerBook は「確かに少々暖かく」なり、ファンを必要とするが、その外見は「ひざの上に猫が座っているようなもの」だという。Apple のエンジニアの1人が悪ふざけに PowerBook G5 のファンを改造して、のどをごろごろ鳴らすような音が出るようにしたのは確かなようだが、彼は、最終結果には「ちょっと面食らった」そうだ。毛の生えた PowerBookというものがどういうものか見てみたいと思ったら、iBook に毛皮を付けたプロジェクトを見てほしい。

<http://www.malaran.com/2.0/ibook/furbook12.html>

iFuzz 素材は、現在いくつかの政府機関で、幅広い環境に耐えられるどうか検査されている。特に、Apple のシェアが教育市場と一般家庭市場で高いことから、この毛皮には、素材をむしったり、切ったり、押しつぶしたり、さては食べたりしようとしても大丈夫であることが求められている。また、連邦環境保護庁は、この毛皮に使われているナノテクノロジーがアスベスト繊維過敏症を悪化させるのではないかと懸念している。同庁は、ナノメートルサイズの小片やナノチューブが環境や健康に与える影響についての一般的な調査を行っている。

<http://es.epa.gov/ncer/nano/factsheet/>

このように革新的な製品には、このような規制の壁が立ちはだかるものだが、Apple が開発の過程で数え切れないほどのテストをしたことは間違いなく、ほとんど問題はないだろうと考えられている。冷蔵庫から自動車まで、ありとあらゆるさまざまな分野の企業が iFuzz に興味を持って、Apple にコンタクトをとっている。いつの日か、夏の暑い日に、運転席のシートに毛皮のカバーを喜んでつけることになるかもしれない!

[Dr. Apollo Fris は Cornell 大学の計算機化学者および物質化学者で、分子電子工学と化学的ナノテクノロジーを研究している。彼はいつも、TidBITS の編集者である Adam Engst の昼のジョギングを普段より速くさせている。]


[ 訳注: お楽しみいただけましたか? 念のため申し添えますが、この号、TidBITS#773/01-Apr-05 の すべての 記事は、あくまでもエイプリルフールの日のみ、4月1日の、一日限りの内容となっておりますので、あしからず!]


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