TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#778/02-May-05

Mac OS X 10.4 がやってきた。この特別増量の TidBITS では、私たちのスポットライトで Tiger の新機能を照らし出したい。最初は、Adam が「あなたはアップグレードすべきか?」という質問を投げかける。Joe Kissell はインストールのプロセスをレビューする。次に、Glenn Fleishman と一緒に Spotlight を観察し、それがどのようにデータとのつきあい方を変えるのかを掘り下げ、Matt Neuburg が Dashboard と Automator をレビューする。さらに、より高速になった Power Mac G5 モデルと低価格になった二つの Apple Cinema Display についてもお報せする。

記事:

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MailBITS/02-May-05

Apple の最高速 Power Mac G5 -- 先週、Apple はプロフェッショナル用 Power Mac G5 モデルのアップグレードバージョンをリリースした。CPU のスピードを上げ、より大きなハードディスク、高速で 2 層記録 をサポートした 16X SuperDrive 、全てのモデルに 512 MB の RAM を搭載した。シングルプロセッサの 1.8 GHz Power Mac G5 は依然 $1,500 (169,800円) で購入可能だが、標準のデュアルプロセッサモデルは $2,000 (236,040円:デュアル2GHz PowerPC G5、160 GB ハードディスク、ATI Radeon 9600 ビデオカード、PCI スロット 3 本)、$2,500 (293,790円:デュアル 2.3 GHz PowerPC G5、 250 GB ハードディスク, ATI Radeon 9600、PCI-X スロット 3 本)、$3,000 (351,540円:デュアル 2.7 GHz PowerPC G5、250 GB ハードドライブ、30インチ Apple Cinema HD Display 1基接続可能 ATI Radeon 9650、 PCI-X スロット 3基)で出荷されている。前のモデルは、デュアル 1.8 GHz、デュアル 2.0 GHz、デュアル 2.5 GHzだった。同様に興味深いのは、2 層記録対応の 16x SuperDrive だ。これは2層 DVD ディスク一枚に 8.5 GB のコンテンツを焼くことが可能だ。全てのデュアルプロセッサシステムは Mac OS X 10.4 Tiger と共に出荷される。

<http://www.apple.com/powermac/>(日本語)アップル - Power Mac G5

リリースの日は、私が "Take Control of Buying a Mac" で指摘した傾向に素晴らしくよくマッチしている。そこで、私は Power Mac のリビジョンは年の中間と年末に行われることが多いことを示した。今回のものは前回のものより少し早かったが、Tiger がリリースされるスケジュールに影響されたことは明白だ。もし Apple がこのやり方を踏襲するなら、今年の終わり頃に多分 3 GHz へのスピードアップが行われ、大きな変更から 3 年になる Power Mac ラインへのメジャーアップグレードが 2006 年の中旬に行われることを予言しよう。 [ACE](笠原)

<http://www.takecontrolbooks.com/buying-mac.html>

Cinema Display が値下げ -- Apple は先週、Apple Cinema Display の小さいモデル二つの値段も下げた。エントリーレベルの 20 インチモデルは $200 値下げされ、 $1,000 から $800 (89,800円) になった。23 インチは $300 の値下げで、$1,800 から $1,500 (169,800円)になった。広大な 30 インチディスプレイは $3,000 (324,800円) に据え置かれたが、新しいデュアル 2.7 GHz Power Mac G5 が 30 インチディスプレイを標準仕様でサポートするようになり、ビデオカードの追加を必要としなくなった。他の Power Mac G5 で30インチを使うためには、BTO オプションで $350 の Nvidia GeForce 6800 Ultra DDL ビデオカードが必要となる。既存のマシンのための追加キットは $500 か $600 で PCI スロットの一つをカードに充てなければならない。1.67 GHz 17 インチ PowerBook にも 30 インチディスプレイのビルトインサポートが提供されている。 [ACE](笠原)

<http://www.apple.com/displays/>(日本語)アップル - ディスプレイ


Tiger と目と目が合って

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

さて、ついに、Tiger が発売された。ようやく、鳴り物入りの機能について当て推量することもなくなった。それどころでなく、私たちは Tiger をさまざまな側面からじっくり眺めているのだ。今週号の残りすべてを使って、またこれからの号の多くの記事もそうなるに違いないが、私たちは、何が新しくなり、それにはどんな意味があり、どう機能するのかということについて書こうと思う。たとえば今週は、アップグレードの手順、Dashboard、Automator、Spotlight についての記事をお届けする。

しかし、TidBITS の中で、読者が望むような、Tiger に値するほど細部にわたった情報をお届けすることはできない。そのためにこそ Take Control 電子ブックがあるのだ。これは、Tiger へのアップグレード、Tiger のカスタマイズ、Tiger でのユーザとアカウント、Tiger での(ほかの Mac や別のプラットフォームとの)ファイル共有についての、丹精を込めて調べられ、読みやすく編集された、350 ページを越えるアドバイスだ。この電子ブックにはよい点が多い。安いし、いかなるコピープロテクトもかかっていない。無料でアップデートできるし、今すぐ手に入る。Tiger についてのほかの本が現れる何週間も何か月も前に。Tonya と私は、Joe Kissell、Matt Neuburg、Kirk McElhearn、Glenn Fleishman と共に、何か月も身を粉にして働き、4冊の電子ブックすべてを Tiger と同時に販売したのだ(海外から予約をしてくれたかたがたのためにつけ加えると、私たちは電子ブックを世界中どこでも現地時間で 4 月 29 日の午後 6 時に出荷した)。

<http://www.takecontrolbooks.com/>(日本語)Take Control Ebooks: あなたの知りたいことがすぐわかる

しかし、ここで TidBITS の記事を始めるにあたって、これまでに電子ブックをお買い上げくださった数千人のかたがたには思いもつかなかっただろう質問について考えたい。あなたはアップグレードするべきなのだろうか、するべきだとすれば、いつ? もしあなたが、いつアップグレードするか迷っているなら、あなたが以下の範疇のいずれかにあてはまるかどうか考えてみるのもよいだろう。

趣味人 -- Macintosh を趣味だと思っている人の多くは、すでにアップグレードすることにしているだろう。もしそうでないなら、Tiger を注文することをお勧めする。オペレーティングシステムが新しいバージョンになるということは、新しいおもちゃ、探検するべき新しい機能、そして友人とのおしゃべりのための無限に近い話題が手に入るということだ。もしもあなたが、自分のことを Macintosh 趣味人だと自認するなら、すぐにアップグレードすることをお勧めする。そうしてはじめて、この一族の一員であるという意識を持ち続けることができるというものだ。

<http://www.apple.com/macosx/overview/>(日本語)アップル - Mac OS X - 概要

ファイリング障碍者 -- もしあなたが、Mac でファイルをよく無くすなら、Tiger の Spotlight 技術があなたの新しい親友となるだろう。さらに言うなら、Spotlight は、書類をどこにファイルしたらよいか分からなくなったことのある人や、精密な階層ファイルシステムというものがあまり理解できずに、すべてをデスクトップに保存している人すべてにとって助けになるだろう。あなたが「それを置いたのはあれの隣のあれの上だよ」などと言うような人なら、Spotlight がファイリングのアナロジーという人工的なものを一掃するので、たとえば「誰に向けてその手紙を書いたのか? それを書いたのはいつか? なんと書いたか?」というようなことで、概念的に検索することができるようになる。私のお勧めは、今すぐアップグレードすることだ。そうすれば、あなたのハードディスクの暗黒の秩序に、少なくともいくばくかの光を当てることができる。

<http://www.apple.com/macosx/features/spotlight/>(日本語)アップル - Mac OS X - Spotlight

スクリプタ -- 多くの人は Mac を手動で使っているだけだが、コンピュータの素晴らしい使用法の1つは繰り返しの作業を自動化することだということを理解している人もいる。そういう人たちは、QuicKeys、iKey、Keyboard Maestro といったマクロユーティリティを長く使い、その多くはさらに進んで AppleScript を学んでいる。あなたがこの範疇に入るなら、あなたの自動化道具箱に次に加えるべきものは Automator だ。これはスクリプティングを越えて、たくさんのアプリケーションを操り人形のように行進させることなく作業を自動化するための視覚的なインターフェースを提供する。Automator が提供する可能性は、そのすべてがサードパーティーの開発者によって完全に実現されるまでには少し時間がかかるにせよ、これらの人々にとって比較的早期にアップグレードする理由になるだろうと思う。

<http://www.apple.com/macosx/features/automator/>(日本語)アップル - Mac OS X - Automator

短期注意型 -- ちょっと待って、すぐに調べたいことがある。そう、今週私が旅行する Albuquerque と Santa Fe 地区の天気予報はよさそうだ。では、執筆に戻るとしよう。もしあなたが、私のように、何かをちょっと調べたり小さなユーティリティを使ったりすることが多いなら(ちょっと失礼、現在の天気をオーストラリアの友人に説明するのに、華氏を摂氏に変換しないと)Dashboard とウィジェットの山は、アップグレードするためのよい理由となる。とはいえ、Konfabulator のおかげで、Tiger の Dashboard ウィジェットでできることのほとんどが Panther でも利用できないとしても私は驚かない。だから、Dashboard のためだけに、すぐにアップグレードする必要はないだろう。

<http://www.apple.com/macosx/features/dashboard/>(日本語)アップル - Mac OS X - Dashboard
<http://www.konfabulator.com/>

締め切り駆動型 -- この範疇に入る人のほとんどは、仕事を終えるためにあくせく働いており、早い時期にアップグレードするべきだと言ったら、正直に言って押し売りということになる。その理由は単純だ。そういう人は、Microsoft Word や Adobe Photoshop といったものに深く依存しており、オペレーティングシステムの機能が日々の仕事に影響を与えることはほとんどない。また、Tiger をインストールしたり、新しい機能に慣れたりするのに時間を割くというのは非現実的だ。もしあなたがこのような働きバチの1人なら、アップグレードを勧めはするが、それは Apple がいくつかのマイナーアップデートをリリースして、初期の問題を払拭してからの話だ。そして、Tiger をインストールして、新しい機能に親しむための時間を費やすはっきりした機会を得るまでは、アップグレードするべきではない。

旧弊家 -- 「壊れていないなら修理するな」があなたのモットーで、Panther が特別壊れているわけでもないなら、あなたはアップグレードするべきだとはいわないが、今後 12 か月か 18 か月のあいだに、Spotlight やAutomator、Dashboard を面白い仕方で利用した新しいアプリケーションが登場するだろう。そういう見込みが魅力的に思えたなら、その時点でアップグレードするというのは意味がある。加えて、来年あたりに新しい Mac を買えば、Tiger がプレインストールされているだろうから、それまでアップグレードを控えてもよいだろう。

Tiger の詳細 -- Apple から最初に発表された詳細を要約すると、Tigerのシングルユーザライセンスは 130 ドル(14,800 円)で、5ユーザライセンスの Mac OS X Tiger ファミリーパックは 200 ドル(22,800 円)だ。2005 年 4 月 12 日以降に新しい Mac を買った人は、Mac OS Up-To-Dateアップグレードパッケージを 10 ドル(1,980 円)で購入できる(これは2005 年 7 月 22 日まで提供される)。Take Control 電子ブックに、TidBITSのスポンサーである Small Dog Electronics のすべての注文に使える 5 ドル分のクーポンがついていることもお忘れなく。もちろんこれは Tiger の購入にも有効だ。

<http://www.apple.com/macosx/uptodate/>(日本語)アップル - Mac OS X - Up-To-Dateプログラム
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08068>(日本語)Mac OS X 10.4 Tiger のリリースが 29-Apr-05 に
<http://www.smalldog.com/>

Tiger には最低でも 256 MB の RAM が必要だ(しかし、少なくとも 512 MBをインストールしていただきたい)。PowerPC G3、G4、G5 プロセッサと内蔵の FireWire を備えたすべての Macintosh で動く。

Tiger は DVD メディアによる販売のみとなる。もしあなたの Mac が、そのほかの点では適合しているのに、CD ドライブだけしか備えていないというなら、あなたの Mac を FireWire ターゲットディスクモードで起動して、DVDを備えたほかの Mac からインストールするか、Apple に 10 ドル(それに加えてあなたの地域での消費税: 日本では税込み 1,980 円)を払って Tiger のCD セットを手に入れることもできる。CD セットを注文するには、下記のリンクから PDF をダウンロードして、支払い方法と、購入証明クーポン、そしてオリジナルの Tiger DVD を同封して送る。Apple が言うには、在庫があれば、注文を受け取ってから 24 時間以内に CD を発送するそうだが、郵送のみになるという。だから、注文を郵送してからディスクを受け取るまで、Appleに在庫があるとして、2週間から3週間かかるかもしれない。

<http://images.apple.com/macosx/pdf/tigermediaexchange.pdf>(日本語)Mac OS X v10.4 "Tiger" メディア交換


Tiger のインストール手順を点検する

文: Joe Kissell <jk@alt.cc>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

初めてプレリリース版の Tiger をインストールしてみた時、私は心配になった。きっとたいていの人は、インストール後に自分のマシンがきちんと動かなくなったらどうしょうと思って心配になるのだろうが、私の場合は全く違った心配だった。それは、もしもこの作業が何の問題もなく終わるようなら、いったい誰がアップグレードについての私の電子ブックを買いたい気になるだろうか、という心配だ。明らかに Apple はかなりの注意を払ってこのインストーラを作ったようだ。この Tiger のインストーラはこれまでのどのバージョンの Mac OS X のものよりもはるかに優れている。ユーザーとしては、私は最高に嬉しかった。でも著者としては、それほど嬉しさも感じなかった。

さて、その後 43 回ほどのインストールを(また今後も回数は増えるだろうが)重ねてみて、私の喜びも、私の心配も、今はどちらもそれなりに中程度のものに落ち着いている。私はこのインストーラも、その信頼できる相棒たる設定アシスタントも、どちらもかなり細かい点まで知り尽くすに至った。Tiger のインストール作業はいろいろな快い驚きに満ちていたが、私が胸をなで下ろしたのは(いやいや、残念に思ったのは)それでもやはりたくさんの興味深い問題点や疑問点が残っていることで、そういう点についての専門家の手引きを私の新しい電子ブック“Take Control of Upgrading to Tiger”という形で $5 を払って手に入れていただける価値は充分にあるだろうと思う。

<http://www.takecontrolbooks.com/tiger-upgrading.html>

Tiger メディア -- 最初の驚きは、Adam の記事でも触れられたように、Tiger が DVD のみで出荷されていることだ。CD ベースのインストーラを入手するには、Tiger DVD を Apple へ $10 を添えて返送し、別パッケージが郵送されてくるのを待つしかない。すべてのインストーラが(Xcode Tools も含め)一つのディスクに全部まとめられているのはシンプルで良いし、これでインストール作業もずっと手早く済ませられ、紛失したり混乱させられたりする可能性も減るだろう。けれども、DVD リーダーが付いていないだけでそれ以外の点では Tiger 互換であるようなマシンを持っている人にとっては、納得できないことだと言わざるを得ないだろう。

インストール方法いろいろ -- Mac OS X が既にインストールされている上にアップグレードする場合は、以前からと同様にインストーラが三通りのインストール方法を提供する。「アップグレード」「アーカイブしてからインストール」それに「消去してからインストール」の三つだ。私は、これら三つの方法をさまざまの状況下で何度も試してみた。デフォルトの選択肢である「アップグレード」は一般的に言って信頼できるが、他の二つの方法のどちらかを使った方が、ずっとクリーンな(かつディスク容量も食わない)システムを作れる。以前私は、たいていの人に「アーカイブしてからインストール」の方が勧められると述べていた。なぜなら、その方法が「アップグレード」の簡単さと「消去してからインストール」の堅牢性との中庸を提供していたからだ。私は、今回も同じアドバイスを繰り返すようになる(他の数々の Mac ウェブサイトでも同様だった)だろうと思い込んでいた。でも、違った。これは私にも意外だったことだが、今回は「消去してからインストール」の方が(本当に正しいやり方で実行したら、という条件付きだが)ずっと手早く、より効果的に、しかもより安全に、あなたが以前から持っているものを新しいシステムに取り入れることのできる方法と言えることがわかった。ただし、しっかりしたバックアップがとってあることが絶対条件だ。あなたのハードディスクを消去する前に、必ず少なくとも一つ、できれば二つの、バックアップを用意しておくことを皆さんに強くお勧めしておきたい。信頼できるバックアップを作るにはどうすればよいか知りたいとおっしゃる方は、私のもう一冊の電子ブック“Take Control of Mac OS Backups”をどうぞご覧いただきたい。

<http://www.takecontrolbooks.com/backup-macosx.html>

この新しい考え方のための鍵となるのが、移行アシスタント(古い Mac から新しい Mac へとファイルを移動させるために Apple が提供しているものと同じツール)だ。このプログラムを別途走らせる必要はない。その能力のすべては設定アシスタントの中に「ファイル転送」という名前の下で統合されている。「消去してからインストール」を実行した後で再起動すると、設定アシスタントがあなたのファイルや各種設定を別の Mac あるいはパーティションからコピーするかどうか尋ねてくる。あなたが古いシステムのブート可能なコピーを別パーティションに、あるいは(こちらの方が望ましいが)第二内蔵ディスクまたは外付けのハードディスクにちゃんと残してある限り、移行アシスタントは非常に巧みなやり方であなたの古いファイルを Tiger の中に取り込んでくれる。もちろんこれは完璧とは言えない。いくつかのファイルは手でコピーしたり、あるいは再インストールしたりする必要があるかもしれない。それでも、あなたがしなければならない余分の手作業の量は「アーカイブしてからインストール」を使う場合に比べてこちらの方法の方がはるかに少なくて済むし、作業に伴う精神的な圧迫感もずっと少ない。ファイルの復旧に関する細かいことはすべて、“Take Control of Upgrading to Tiger”の中で(両方ともの方法について)説明しておいた。

追加のソフトウェア -- インストールに際しては、いくつかの追加のソフトウェアパッケージを取捨選択することができる。私の感覚では、Apple の選んだデフォルトの選択肢はかなり奇妙なものに思える。例えば言語翻訳関係のものが、1 GB 以上も必要であるのにすべてデフォルトでオンになっている。でも、Mac OS X を複数の言語で使いたい人々は比較的少数だろうし、利用可能な言語すべてを使いこなせる人などほとんどいないだろう。全般的に、選択できるオプションの種類は Panther と比べて少なくなっている。例えば、BSD Subsystem は従来のバージョンの Mac OS X では選択肢に入っていたが、今回はこれをオフにすることができなくなっている。(これは良いことだ。たくさんのサードパーティのアプリケーションがこれに依存しているのだから。)

インストールの後は -- インストールが終わったら、設定アシスタントがいつも通りに現われて、ユーザ名とパスワードを(必要ならば)選択し、.Mac アカウントを(持っているならば)設定し、Apple にユーザ登録し、といった作業にあなたを導いてくれる。この部分の作業手順は、従来よりもかなりすっきりしたように思える。しかしながら、その次の再起動の際に、ファイルのアクセス権関係の必要条件が変更された影響でいくつかの重要な起動項目が使えなくなっているという現象に遭遇するかもしれない。これらの項目のアクセス権設定が自動的に修正されるようになっていたらもっと親切だっただろうにと思う。少なくとも、Tiger の最初の起動の時点で、それらの項目が使用できないことと、なぜそれらが利用不可になったかの理由を表示してくれるようにはなって欲しいと思う。

細かな問題点 -- この Tiger インストーラはかなり改良されているとはいえ、まだまだもっと利口な挙動をして欲しいところもある。例えば、「アップグレード」と「アーカイブしてからインストール」(その後に「ファイル転送」を実行した場合)の両方とも、あなたのログイン項目(従来は起動項目と呼ばれていたもの)をすべてそのままに残してしまう。けれども、そういう項目の中には Tiger と互換性のない古いアプリケーションを指していて、そのままでは問題を起こしてしまうものもあった。インストーラがこれらの項目を不使用にしておいて、ユーザーが簡単にそれらを一つ一つオンに戻せる手段を提供する、というのがより賢明な方策と言えるだろう。また、「ファイル転送」はいくつかのアプリケーションと環境設定パネルを新しいシステムに移してくれるが、それらがしばしば依存することのあるカーネル機能拡張については移してくれない。その結果、ソフトウェアが半端にインストールされた状態になってしまって実際には動いてくれず、その原因が何なのか手掛かりも見えない、ということになる。たしかにインストーラはその種のもののうちいくつか(例えば Virex など)については親切に警告してくれるが、たいていの場合は何も警告が出ない。それから、インターフェイスが奇妙に見える個所もいくつかあった。特に設定アシスタントの「ファイル転送」の部分で目立った。例えば、「パーティション」というのが実は「パーティションまたは外部ハードディスク」の意味であることが明らかに見て取れないような表現が見られるし、古いシステムの中からどのコンポーネントを転送すべきか選ぶ画面では、判断の材料になる情報が充分に提供されていないように思えた。

あなたも Take Control -- 全体としては、いくつか不満な点はあるものの、どちらかと言えばやはりこの Tiger インストーラは暖かくて気持ちの良い感じを私に与えてくれる。けれどもどうひいき目に見ても、たくさんの疑問が残されていることは間違いない。アップグレードの前にどんな手順で準備をしておくべきだろうか? 私の場合はどのアップグレード方法が最適なのか? まずハードディスクをパーティション分けしておくべきか? もしそうなら、どうやってするの? 「アーカイブしてからインストール」の後はどのファイルを転送をすればいい? 後になってうまく動かないものが見つかったら、どうやって対処するのか? こうした疑問や、その他数々の疑問に対する答が、87 ページある電子ブック“Take Control of Upgrading to Tiger”に詰め込まれており、アップグレード作業の各段階においてあなたが知っているべきことのすべてが詳しく説明されている。今後新たな情報が判明するに従い、電子ブックの無料アップデートも出していく予定だ。

<http://www.takecontrolbooks.com/tiger-upgrading.html>


Spotlight にスポットライトを

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Spotlight について詳しく書いてみたい。Spotlight は Tiger の呼び物の機能の一つで、これまでは時間のかかる面倒な作業だったシステムワイドな検索を、誰にでも抵抗なく仕事の流れの一部として効率的に取り入れることのできるものに変えている。実際、Spotlight はあまりにも見事に動作するので、ゆくゆくは電子メールやファイル、その他のデータなどをファイリングするという概念が消滅してしまうのではないかと思えるほどだ。でも今はまだその段階までには達していない。

Spotlight の全般的な機能については以下にいろいろと説明してある。どんなファイルからでも素早くどんなテキストも見つけられるし、システム環境設定の中のメニューを特定するために使うこともできる。以下では、まず最初に Spotlight がどんな風に働くのかの概要を簡単に説明し、その後で他ではなかなか聞けないかもしれないような細かい分野について分け入ってみたい。それから締めくくりとして、自分が作り出したものの上にわざわざ整理の手を加えなければならないという厄介事から、Spotlight がいかにして私たちを救い出してくれるのかについて考察してみよう。

Spotlight を一言で言うと -- Spotlight のアプローチはごくシンプルだ。すべてが高速かつ効率的に索引化され、しかもそれが常時進行でおこなわれる。Tiger をインストールして再起動すると、このオペレーティングシステムがまず最初にする仕事が、あなたのハードディスクを索引付けすることなのだ。私は何度もテストのインストールを繰り返したが、実際この索引付けが働いていることに気付きさえしなかった。ただ、何人かのユーザーはマシンのプロセッサパワーが 50% はこの仕事に振り分けられていると報告しているようだ。この初期索引付けが終了するまでは、Spotlight を使うことができない。ただ、システムメニューバーの右上のところにある青い Spotlight アイコンをクリックすると、この作業が終わるまでにおよそどれくらいの時間が掛かると Tiger が予想しているかが表示される。虫眼鏡アイコンの真ん中に点が脈打っていることで、索引付けの作業が進行中であることが示される。

作業が終了すると、Tiger がその後は自動的にあらゆる書類の変更に対して索引を更新し、あらゆる新規の書類に対してそれを索引に組み込む。これらの作業も、やはり静かに裏側で進行する。はっきりとお分かりいただけなかった方のためにもう一度繰り返すと、Spotlight は毎晩決まった時間に全ハードディスクを再索引付けしたりはしない。一晩中コンピュータをオンにしておかねばならなかったり、真夜中にいきなりドライブアクセスの騒音をたて始めたりすることもない。従来にもいろいろの全般的索引付けプログラムはあったし、Apple も同種の試みをいくつかしてきたが、それら従来のものはすべてその種のやかましさを要求するものばかりだった。

私はまだ Tiger をストレステストしたことはない。例えば Automator でランダムなテキストを含む 1 メガバイトサイズの書類を 1,000 個作らせる、といったことは試していない。でも、そういうことを試してみれば、きっと Spotlight の常時進行索引付けがどんな風に働くのかの実感が掴めるだろう。

索引のアップデートをファイルシステムのレベルでオペレーティングシステムに統合させることによって、Tiger はローレベルのシステムパッチ(これは常に危険なことだ)や上記の深夜の再索引付け、あるいは有効なデータを見落とすおそれのあるサブセット索引付けなどをすべて回避している。

Apple はまた、なかなかうまいトリックも達成している。何らかの最適化を索引に施すことで即座に結果が出るようにし、その結果 Spotlight の検索はあなたがタイプを始めたその瞬間から動き始める。あなたが検索語をタイプし終えた頃には、たぶん予想を含めた単語検索をしているのか、あるいはただプログラミングが素晴らしいだけなのかはわからないが、たいていの場合検索はもうほとんど終わっているのだ。

私の感じでは、Spotlight は私の 1 GHz 15 インチのアルミニウム PowerBook G4 でも、デュアル 1.25 GHz の Power Mac G4 でも、どちらも信じられないほどきびきびと動作した。Apple がサポートしている最もローエンドのマシンではどんな感じになるのか、ぜひ知りたいと思っている。

Spotlight は、右上にあるアイコンをクリックするか、または Command-スペースを押すかすることで、いつでも利用できる。また、デフォルトではすべての Finder ウィンドウにも現われるし、またこれが一番重要なことだが、「開く」と「保存」のダイアログボックスにも現われる。開くべきファイルを探してあちこちナビゲートして回る必要はもうない! どのフォルダにファイルを保存すべきかをナビゲートして見つける必要もない! 私は今でも Default Folder が大好きで大切にしているが、今後の私のワークフローの中での重要性はかなり減っていくだろう。

<http://www.stclairsoft.com/DefaultFolder/>

Apple はコマンドラインからも Spotlight を使えるようにしている。mdls コマンドで、どんなファイルでもそれに附随したメタデータがわかる。mdfind コマンドの方は、基本的に Spotlight 検索を実行する。

<http://developer.apple.com/macosx/tiger/spotlight.html>(日本語)アップル - Mac OS X - Spotlight

Spotlight 検索を絞り込む -- Spotlight はもっと高度な検索がしたいという人にもちゃんと応えてくれる。検索語だけでなく、日付・時刻、ファイル名、その他のメタデータによって対象を制限することができるのだ。メタデータというのは目的のデータに附随したデータ、例えばファイルの修正時刻、カメラの絞り値、QuickTime ムービーのフォーマットや長さ、あるいは TIFF 画像のヘッダに含まれている撮影者の名前、などのことだ。

たいていの場合検索はまずキーワード(検索語)でスタートするが、それで多数の結果が出てきた時はすぐにその一部分に検索を絞り込みたくなってくるものだ。Apple は検索の中に何らかの用語法を組み込んだようだが、これはまだあまり明らかにされていない。つまり、検索を絞り込むために使われる特別の単語があるらしい。残念なことに、それらの単語は現在のところ Apple のサイトにも、Tiger リリース版の Spotlight Help の中にも、情報として提供されていないようだ。

制限された検索を実験してみることで、ある程度のことはわかる。Spotlight についての Apple のページでは、検索語の後に「日付:昨日」と追加すれば昨日作成されたファイルだけが検索されると書いてある。昨日作成された画像ファイルをすべて見つけたければ、「日付:昨日 種類:イメージ」と入力すればよい。この用語法は、いずれ完全に情報として公開されることだろう。このような限定的用語は特に「開く」「保存」のダイアログで便利に使える。そういう場所では Spotlight の検索結果が膨大になりがちだからだ。

<http://www.apple.com/macosx/features/spotlight/>

デジタルメディア機器の提供するメタデータがますます豊かなものになってきつつある現在、それを使いこなすことができるというのはとてもありがたいことだ。特定の Canon カメラで特定の解像度で撮影した写真だけを検索できる、それだけでも素晴らしいではないか。これまでは、そういうことをするには iView Media Pro のようなカタログプログラムが必要で、しかも常にカタログを更新しておかなければならなかったのだから。

さて、この種の検索限定アドオンを Apple の秘密の用語法を使わずに利用できる、もう一つ別の方法がある。それがスマートフォルダだ。

検索結果をフォルダとして -- いくつか前のバージョンの Entourage で、Microsoft は疑似メールボックスとして実際は検索パラメータをメールボックスの形で表示したものを使っていた。残念なことに、膨大な数のメッセージを扱っている私たちのような者にとっては、当時 Microsoft が使っていた検索エンジンではとても耐えられないほど時間が掛かってしまっていた。

Spotlight はこの考え方を継承して、それをスマートフォルダという形でデスクトップに拡張してみせた。このスマートフォルダとは、本質的にはあなたが定義した検索パラメータに対応する検索結果をライブでまとめたものだ。Spotlight の動作速度は充分速いので、あなたの目にはこのスマートフォルダが動的に保持されているという事実がわからないほどだろう。

それに伴って、Apple は Panther の高度検索機能を Finder から削除した。Finder の編集メニューから「検索」を選ぶと、新規のスマートフォルダが作られる。(New Smart Folder コマンドと同じダイアログが使われる)このスマートフォルダはまだ保存されていない。ただの検索語以上に絞り込んだ検索を始めるには、さきほど説明した未公開の用語法を使う方法もあるが、今述べているスマートフォルダを使うこともできる。

スマートフォルダを新たに作った時、デフォルトのパラメータは「種類:制限なし」「最後に開いた日:制限なし」となっている。検索パラメータの上には、「サーバ」「コンピュータ」「ホーム」「その他」というボタンが並んでいる。「ホーム」に設定しておけば、検索は現在のユーザのホームディレクトリ内に限定される。私は、Spotlight の能力を最大限に利用するために「コンピュータ」に設定している。私が書類やその他のファイルを、Apple が推奨しているように自分のホームディレクトリ内のみに置くのではなく、ハードドライブのあちこちに置いているというのも理由の一つだ。(「その他」をクリックすれば特定のフォルダやハードドライブを加えたり除外したりできる。)

Finder のウィンドウ内でも、Spotlight フィールドに検索語をタイプするだけでスマートフォルダが作れる。こちらのスマートフォルダには「種類」と「最後に開いた日」のデフォルト範囲が表示されないが、右上隅の「保存」ボタンの横にある「+」をクリックすれば条件の追加ができる。

スマートフォルダを使って Spotlight フィールドの内容を混ぜることもできる。検索語や、検索を制限する条件を入力するフィールドのことだ。どんな検索条件でも、横にある「+」をクリックすれば条件が追加できる。条件の名前から出るポップアップメニューで、いくつかあるお気に入りの条件を選択することもできるし、「その他」を選択してもよい。

この「その他」には、Spotlight のサポートする既成のメタデータがずらりと並んでいる。例えば、URL を選べばその URL を含む書類がすべて検索される。「お気に入りに追加」ボックスをチェックしておけば、その属性が条件ポップアップメニューに登場するようになる。

スマートフォルダの説明が長くなり過ぎたようだが、まだまだ言いたいことはある。例えば指定した書類カテゴリーについて検索結果のうちトップ5を表示するか、それともすべての結果を表示するかが選べる。日付や種類でも並べ替えができる。ファイルの横にある「i」ボタンをクリックすればその情報の要約が見られる。PDF 書類をその最初のページのサムネール画像で表示できる。画像も表示できる。その他挙げていけばきりがない。

ファイリングを考え直す -- ファイルの整理というのは面倒な作業で、そもそもコンピュータというのはそういう作業を我々に代わってしてくれるものだ、そうでしょう? だからこそ、Creo から数年前に Six Degrees というプログラムが出た時に私はあんなにも興奮させられたのだった。Six Degrees は Mac と Windows でいくつかの電子メールプログラムと統合され、受取人とメッセージ件名(討論スレッド)と添付書類が互いに三角形の三頂点の関係に位置していた。つまり、電子メールの世界を回転させて、あなたが誰と通信したか、話題は何だったか、そしてどんなファイルが関連していたか、のいずれの点にもウィンドウ表示の中心を合わせることができた。(この製品はその後 Ralston Technology Group に売却され、現在は Clarity という名前で販売されている。)

<http://www.ralstontech.com/>

この考え方はささやかなものではあったが、重大な目標を含んでいた。Spotlight はこれをさらに、はるかに超えて拡張することになる。Six Degrees は、電子メールのメッセージをどのメールボックスに保存するか、ファイルをどのフォルダに入れるべきかという判断をしなくてもよい状態に、人々を解放しようとしていた。

まだ現時点では、Spotlight がすべての障壁を取り壊して、一つの巨大な電子メールフォルダにすべてのメッセージを入れてよいようにしたり、私たちが作ったり受け取ったりするすべてのファイルを一つの巨大な Finder フォルダに保存したりできる状態に達しているとは思えない。けれども、私から見て実際に人々がコンピュータにして欲しいと思っていること、つまり整理整頓に多大な時間を費やさなくてもよいように、という目標に向かって、私たちを大きく一歩進めてくれていることだけは確かなようだ。

おそらくまだこれからしばらく時間が掛かるだろうが、情報というものの未来は、今よりもずっと無定形のものになると私は思う。情報のかたまりが個々バラバラに存在しているのではなく、すべての画像、手紙、レポート、プレゼンテーション、ムービー、その他のプロジェクトの構成要素が、ある意味でひとつのデータ媒体として融合したものの中に泡の一つ一つとして集まり、私たちはその中をいろいろの異なった方法でナビゲートして動き回ることができるのだ。日付によって、内容によって、ビジュアルなプレゼンテーションによって、キーワードによって、あるいはいろいろな属性によって。

つまり、私たちのデータに手を伸ばせるインターフェイスは、もはやファイルやフォルダといった使い古されたメタファーである必要はない。それに代わるものは、私たちが理解する必要のない基盤構造と、自分が覚えている形で物事を見つけたいという私たちの欲求との間に介在する、豊かでインタラクティブなアプローチなのだ。早い話、内容をよく表わすようなファイル名を工夫する必要とはおさらば、ということだ。

デスクトップの情報の未来を見通したこの方法を考え出したのは私ではない。Apple でもない。それは、Yale 大学でコンピュータサイエンス教授をしている David Gelernter だった。彼はこの考え方を、少なくとも 1991 年にはもう語り始めていた。このアイデアを具現化するために彼が創設した会社はもう消滅してしまったが、彼のアイデアの根本を知りたければ 2003 年の彼のインタビューを読むとよくわかる。Information Beams のセクションだ。

<http://java.sun.com/developer/technicalArticles/Interviews/gelernter_qa.html>

このインタビューで、彼はこう語った。「私が何か新たに“現実世界の”情報を(電子情報ではなく)得た時、新しい記憶が生まれる。例えば晴れた昼下がりに Red Parrot の前で Melissa と会って話をした、という記憶だ。私は、こんな記憶に名前を付けたり、この記憶をディレクトリに保管したりはしない。その記憶に含まれるどんなことでも、それを回収のためのキーとして使って、記憶を呼び戻すことができるはずだ。」

Spotlight はおそらく、メインストリームのオペレーションシステムやプログラムとしては初めて、私たちがいかに考え、私たちが何を保存しているか、その両者の間に正しい道筋を付けようとした Gelernter のヒューマニスト的な観点に向けて、大きく一歩を踏み出したものと言えるだろう。


Dashboard のご紹介

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Tiger の新しい Dashboard 機能は、常に動いている擬似アプリケーションだと思えばよい。常に動いているという意味は、それを終了させることができないということだ。擬似アプリケーションという意味は、これは(実際にはある面で Dock のようなもので)独立したプロセスではなく、(Dock と同じように)他のどのアプリケーションとも異なった仕方で動くということだ。

Dashboard は、常に2つの状態のどちらかにある。それが最前面のアプリケーションでないときは、不可視で不活性だ。Dashboard を呼び出すためには、ユーザが設定したキーボードショートカット(デフォルトでは F12)を押すか、Dock 内のアイコンをクリックする。そうして最前面のアプリケーションになったときには、画面全体を使い、すべてのウインドウやデスクトップ、メニューバーを暗い霧で覆いつくす。シャーロック・ホームズの物語に描かれるロンドンのようだ。その霧の前で、ほぼ長方形をした明るい色の領域がいくつか光り輝いている。これらはウィジェットと呼ばれ、Dashboard が主人役を務めている。Dashboard が最前面にあるときにあなたができることは、1つのウィジェットを操作することだけだ。1つに注目して、1つをドラッグし、1つをクリックする。そのあいだ、他のアプリケーションは背面で動き続けている。Dashboard を使い終わったら、霧のどこかをクリックすれば、霧もすべてのウィジェットも消えてなくなる。そしてコンピュータを普通に使うことができるようになる。

ウィジェットそのものもある種の擬似アプリケーションだ。事実上は単なるウインドウだが、通常のウインドウとは異なり、タイトルバーがないし、Aquaスタイルのインターフェースもメニューもない。実際、ウィジェットにはインターフェースの標準ルールが実質的に存在しない。事実上、開発者が心に描いたままのスタイルと形でスクリーンの上に描かれている。舞台裏をのぞいてみれば、ウィジェットは1枚の Web ページとそっくりだ。Carbon や Cocoa ではなく、HTML と CSS、JavaScript によって実装されている。1つのウィジェットはバンドルファイルになっていて、デフォルトでは十数個のウィジェットが /ライブラリ/Widgets フォルダにインストールされている。実は、Finder で(コンテキストメニューの パッケージの内容を表示 コマンドを使って)ウィジェットバンドルを開くことができ、その「コード」を読むことができる。サードパーティーのウィジェットは、すでにさまざまなウェブサイトから手に入るようになっているが、このフォルダにインストールすることもできるし、ユーザの ~/ライブラリ/Widgets フォルダにインストールすることもできる。

<http://www.dashboardlineup.com/easyfile/>
<http://www.dashboardexchange.com/widgets/>

インストールされたウィジェットはバイキング料理のようなもので、その中から好きなものを選ぶことができる。Dashboard を呼び出したときに何が現れるかはあなたしだいだ。スクリーンの左下にある大きな「+」をクリックすると、ウィジェットバーが現れ、そこに、インストールされているウィジェットのアイコンがすべて表示される。アイコンをクリックするかドラッグすると、そのウィジェットが Dashboard のメイン画面に現れる。同様に、ウィジェットバーが表示されているときに、メイン画面にあるウィジェットについている「x」をクリックすると、そのウィジェットが表示されなくなる(ウィジェットバーが表示されていないときにウィジェットの「x」を表示するには、Option キーを押しながら、そのウィジェットの上にマウスポインタを持ってくる)。特定のウィジェットを複数表示することも可能で、そうすれば役に立つ。たとえば、世界時計ウィジェットは、ある時間帯に合わされた時計をひとつだけ表示するから、たとえば Los Angeles と Indianapolis の時間を表示するには、世界時計ウィジェットを2つ表示し、1つを太平洋標準時刻に、もう1つを、えーと、Indianapolis が属している何とかという時間帯に合わせればよい。

Dashboard の基本概念、つまり、Dashboard が見えないときは何も操作ができず、最前面にあるときは他のことが何もできないというのは、特にKonfabulator と比較すると、制限が強すぎるように思われるかもしれない。Konfabulator の場合は、ウィジェットを通常のアプリケーションウインドウと同時に表示できる。しかし、Dashboard ウィジェットというものが、ちらっと見たり、少しだけ作業をして、すぐに片付けるものだと考えれば、これにも納得できるだろう。時計を常に見たいなら、システム環境設定の(日付と時刻)時計を使えばよい。時計を作業の合間にときどき見たいなら、Dashboardの時計を使えばよい。そういう観点から言うと、Dashboard が最前面にないときに、ウィジェットが、(ウインドウのように)スクリーン上の場所を占領したり、(アプリケーションのように)Dock の枠を埋めたり、(ステータスメニューのように)メニューバーの空き領域を圧迫したり、CPU 時間を使ったりしないということは、ユーザにとってうれしいことだろう。その一方で、単一のレイヤーという基本概念は、明らかに大きなモニタを使うユーザを優遇している。私の 12 インチ iBook は、ウィジェットを6つも表示すれば、ぎゅうぎゅうになってしまう。

<http://www.konfabulator.com/>

ウィジェットを HTML と JavaScript に基づくものにしたという点については、議論の余地がある。ユーザの視点から言えば、統一されたインターフェースがないということは、明らかに困惑のもとだ。Aqua ウインドウを一目見れば、どの部分や要素が何をするのかがすぐに分かる。しかし、ウィジェットはどれもが異なっている。実際に試してみない限り、(ボタンのような)クリックできるところがどこなのか分からないし、(タイトルバーのような)ドラッグできるところがどこなのかも分からない。それに、どれもがおかしな格好をしていて、それぞれが互いに似ていないし、私たちが Mac OS X で親しんでいるどんなものとも似ていない。プログラマの視点から言えば、人によって反応は異なるだろう。もしあなたがすでに JavaScript の専門家なら、あなたは喜んでいるかもしれない。しかし、Cocoa の洗練さと便利さに比べれば、HTMLと JavaScript によるプログラミング方法というのは、私には煩雑なように感じられる。私自身の MemoryStick アプリケーションはよいウィジェットになるだろうが、Dashboard プログラマドキュメントを読んでいるうちに、膨大な書き直しをしてウィジェットにしようという気が萎えてしまった。Tiger における Dashboard というものが、本当に役に立ち生産的な部分になるかどうかを判断するためには、もう少し待って、Tiger が成熟するにつれ、どのようなウィジェットが書かれ、それらをユーザがどのように使うのか、見きわめる必要がある。

<http://www.dori.com/dashboard/>
<http://www.versiontracker.com/dyn/moreinfo/macosx/13636>


Automator を紹介します

文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>

Mac の歴史は、Apple による通常のユーザーが自分のコンピュータのもつプログラム能力を使えるようにしたいという試みで敷詰められている。Apple イベントはアプリケーション同士が何をするのかお互いに話が出来るようにした。AppleScript はユーザーが Apple イベントを英語のようなプログラム言語で操ることが出来るようにした。AppleScript Studio は一つの AppleScript スクリプトが Cocoa インターフェースの中に包み込まれるのを可能にした。それでもゴールははるか遠いままであった。大多数のユーザーはプログラム言語との係わりなど望まない。既製品のスクリプトもあるが、自分のやりたい事が分からない場合、或いはそれをやってくれるものが見つからない場合はどうする?問題は、自分がユーザーとして何をしたいのか事前に知るのは不可能なことである - それ故にプログラムの力を自らが所有することが大事になるのである。

<http://macscripter.net/>

それでは、何をやらなければならないかと言うと、あなたが必要とする "積木" を用意し、あなたがスクリプト言語を知らなくとも、あなた がやりたいことを、 あなた自身で、あなた がそれを組み立てられるようにすることである。Apple はこのチャレンジに応えるべく Automator を出してきた。

Action です -- Automator の "積木" は Action と呼ばれるファイルである。Tiger には 200を超える Action がプリインストールされている;これらがやれることは例えば、iCal イベントを作る、PDF 内の画像を圧縮する、或いはフォルダ内のファイル名を変えるといったことである。Automator をスタートさせると、インストールされている Action が全て表示される;簡単なドラッグ&ドロップを使って自分の必要なものを上から下への Workflow と呼ばれる配列を作る。その後その配列を動作させるには Workflow を走らせれば良い;その Workflow を保存して後で都合に合わせて又走らせることも出来るし、それを友達に送ることも出来る、等々である。

Workflow に力を与えているのは何も Action を順番にこなしていくことだけではない:一つの Action は順番に並んだ前の Action からの入力を受け入れ、そして出力を生成して配列の次の Action に _その_ 入力として伝えていくことも出来る。更に、Action はインターフェースを持ってそこの付随した設定を指定することも出来る。例えば、iTunes のボリューム(音量)を決める Action の中ではその Action のインターフェースにあるスライダから来る値が新しいボリューム値となる。そのスライダを、Automator の中で配列を作っていく途中で事前に決めておくことも出来る;代わりに、その決定を遅らせその Workflow が走った時に別のウィンドウとしてスライダが出てくるようにも出来る。場合によっては、Action の全ての目的は、実際に走った時にユーザーからの入力をリクエストするというのだってありうる。

Workflow はこの様にして Action から Action へのデータの流れとユーザーの入力、それも事前に与えられる場合と Workflow が走るにつれての場合との両方について、賢い相互作用を提供している。参考のための例題を挙げよう。まず 100枚の画像があり、それを Image001, Image002, の様な具合に名前の変更をしたいとしよう。(これは本当に役に立つ;私はこの様な事をするにはどうすればいいかしょっちゅう聞かれる。) これをやらせる Automator の配列は以下の様になる:

使い易さというのはつかみ所のない概念であるが、この配列は実際の所作るのはいたって簡単であった。私はこれを Automator にあまり先のことは考えず自然に組み上げた - 始めた時は、自分が何をしたいのか、或いは Automator が何をさせてくれるのかもはっきりしていなかった。私が Rename のステップに入った時、Automator は自ら私に対してその前に自衛策として Copy ステップを入れるよう進言してきた;この様な警告や一つの Action の出力は次に対する入力として適切かどうかのチェックを通して、Automator は全くの初心者にも手助けをしてくれる。

Action はスクリプト機能をパッケージする方法としては素晴らしい。一つの AppleScript スクリプトを Action に転換するには二分ほどかかる。AppleScript プログラマーとして言えば、スクリプトを裸のままあなたに送るよりも一つの Action として送る方がいいと思う。そうすれば、それをあなたは自分の配列の中に組み込んで、自分では AppleScript の事を何も知らないでも (そしてそれを変更するのに私に頼ること無しに) そのインターフェースを通してカスタマイズすることも出来る。そして、Action を Objective-C で書くことも可能である。もっと言えば、アプリケーションのバンドルに Action を含ませることも出来るので、そうすれば更なるインストールをすること無しにそれらを Automator が使えるようになる;例えば、単に BBEdit 8.2 (BBEdit 8 の顧客には無料のアップデート) を走らせれば、Automator に 20個余りのテキストプロセス用の BBEdit Action が魔法のように現れる。

<http://www.barebones.com/support/bbedit/updates.shtml>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/current_notes.shtml>

これだけのことが揃えば、近いうちに更なる Action が続々と世に出されてくるのではないかと期待する - 大手のデベロッパーはそのアプリケーションにバンドルしてくるだろうし、スクリプトを書く人は既存のスクリプトを再パッケージするのに使ってくるであろう。この様に動き出せば、私が思うに、エンドユーザーはすぐに Automator こそが長年の夢をかなえるものであることに気付くであろう:ついに、誰でも Mac をプログラム出来る!

<http://www.apple.com/downloads/macosx/automator/>


Take Control ニュース/02-May-05

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Tiger 電子ブック 5,000 部販売を達成 -- Tiger がリリースされてから 3 日も経っていないというのに、同時にリリースした私たちの四冊の Take Control 電子ブック Tiger 版は、この月曜日の日中にもう 5,000 冊の販売を達成した。購入して下さった皆さん、皆さんの応援に感謝いたします! また、四冊とも Tiger と同時リリースをするためにあんなにも頑張って仕事を仕上げて下さった四人の著者の方々にも、特別の感謝を捧げたい。さあ、次の目標は 10,000 部だ!

あなたの内なる支配欲を Take Control -- いや、これは決して私たちの刊行予定タイトルではない。そうではなくて、鋭く世相を捕える Joy of Tech 漫画がまたクリーンヒットを飛ばしてくれたのだ。下記リンクの漫画をどうぞご覧あれ。自分のことを書いた本にお世辞が足りないのを Steve Jobs が気に入らなかったという理由で、Apple が報復措置として Wiley 社の本を Apple Store から撤去した最近の騒ぎを元に、Apple と Jobs を痛烈に皮肉っている。

<http://www.geekculture.com/joyoftech/joyarchives/679.html>


TidBITS Talk/02-May-05 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバでの討論に繋がる。こちらの方が高速のはずだ。

Steve Jobs の伝記は認められない -- 刊行予定だった Steve Jobs の伝記が気に入らず、Apple 社はその出版社への報復として Apple の小売店からすべての Wiley 社刊の書籍を撤去するという手段に出た。この Apple の行動は Wiley 社にダメージを与えただろうか? Wiley の本を書いている他の著者たちには? また Apple 自身には? あるいは、すべての側がダメージを受けたのだろうか? (メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2563>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/422>

iMac G5 から煙が! -- iMac G5 が焼けてしまったという Matt Neuburg の記事は同様の経験をした人たちからの体験談を呼び集め、どの程度の数の故障ならば統計的に許容範囲かという議論も巻き起こす。(メッセージ数 15)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2561>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/420>

Mini の電源 -- 持ち運び用の Mac として Mac mini を使おうと考えている一人の読者が、予備の電源装置を購入したいと考えている。けれども Apple からは部品として別売されていない。これを別途購入する道はたしかにあるのだが、とても高くつく。(メッセージ数 7)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2560>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/419>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA