TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#799/03-Oct-05

今週はメロドラマの花盛り、ドロドロした話の連続だ。Adam は、Apple の商標を使用した AdWords を Google が是認しないようにという Apple の不可解な要求について調査する。一方 Jeff Carlson は、従来の Palm OS ではなく Windows Mobile を使った Treo を製造すると述べた最近の Palm による発表に目を向ける。ニュースの部では、EMC Dantz が Retrospect 6.1 をリリースして Tiger とのフル互換性を提供し、Apple が iPod nano の液晶画面の傷についての苦情に応えた。

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MailBITS/03-Oct-05

Apple が iPod nano の欠陥を認める -- 私が iPod nano について書いた直後(TidBITS-796 の「iPod nano が iPod mini に代わって新登場」参照)、ある読者から「iPod nano が明らかな、過激な、事故的な誤使用がないにもかかわらず、スクリーンが簡単に壊れることに関するレポートはどうなってるんでしょうか?」という質問が寄せられた。デバイスが発売されて数日しか経っていないので、彼が何について語っているのか理解できなかった。しかし、間もなく、iPod nano のスクリーンに傷がついたというだけでなく、誤使用をしてないのにスクリーンが壊れたという人のレポートを、ウェブで目にし始めた。この時点でも、私はこれについてあまり注意を払わなかった。何十万ものコンシューマハードウェアデバイスにあっては、いくつかの不良品が現れるのは珍しいことではないからだ。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08242>(日本語)iPod nano が iPod mini に代わって新登場
<http://www.apple.com/ipodnano/>(日本語)アップル - iPod nano

しかし、先週、Apple の Worldwide Marketing 担当上級副社長 Phil Schiller が Macworld Magazine のインタビューでこの問題を認めた。0.1% 未満のiPod nano が製造上の欠陥の影響を受けており、この問題に遭遇したユーザは AppleCare に電話して iPod nano の交換を受けられると述べた。傷について、Schiller は、iPod nano のスクリーンは現行のカラー表示の iPod ラインで使われているものと同じ素材が使われており、現行モデルには苦情はきていないと付け加えた。(積極的なユーザが一缶 $4 の Brasso で彼のブラック iPod nano を新品同様に甦らせた成功例を報告している。) [JLC](笠原) [訳注:Brasso は金属磨きの名称]

<http://www.macworld.com/news/2005/09/27/nanoscreen/index.php>
<http://todd.dailey.info/archives/2005/09/27/restore-your-ipod-nano-to-new-condition-with-a-4-can-of-brasso/>

Retrospect 6.1 が Tiger とのフル互換を達成 -- Retrospect 6.0 は Mac OS X 10.4 Tiger と一般的にうまく使えるとはいうものの、Tigerの新しい二つの機能はサポートしていなかった。一つは、 Mac OS X 10.4 server 上に保存したファイルに対して誰がアクセスや変更ができるのかを管理者がコントロールできるようにする access control lists (ACLs) で、あと一つは、将来の Mac アプリケーションで使われるようになる予定の extended attributes だ。EMC Dantz は ACLs と extended attributes をサポートした Retrospect 6.1 をリリースした。大半の人々は、Retrospect 6.0 でこの機能が省略されていたことに気づきもしなかったことは言うまでもないが、何はともあれ、アップデートされるのは素晴らしいことだ。同様のアップデートなる Retrospect Express 6.1 も将来的には提供されるだろう(Tiger 上で Retrospect Express を使っているユーザは必ず Retrospect Express 6.0.212 にアップデートしておくべきだ)。Retrospect 6.1 update は Retrospect 6.0 ユーザには無料で 24 MB のダウンロードだ。 [ACE](笠原)

<http://www.dantz.com/updates>
<http://kb.dantz.com/display/2n/articleDirect/index.asp?aid=7971&r=0.7230188>(日本語)Dantz

DealBITS 抽選:Dejal Simon の当選者 -- 先週の DealBITS 抽選で、199 名の応募者の中から抽選で選ばれて Simon Standard ($59.95 相当) を受け取ることになったのは、subtraction.com の Khoi Vinh 、bucknell.edu の Erik Lofgren 、cken.org の Tim Maecken の3名だ。おめでとう!残念ながら当選しなかった皆さんも、10 月 12 日までに下記2つめのリンクを使えば Simon 購入の際に $10 または $50 節約できる。Simon Standard は $49.95 ($10 値引)、Simon Enterprise (テスト数無制限)は $145 ($50 値引)、そして Simon 1 から Simon 2 へのアップグレードライセンスが $9.95 ($10 値引)となる。この割引はすべての TidBITS 読者のために提供されている。今後も DealBITS 抽選を、どうぞよろしく。[ACE](笠原)

<http://www.dejal.com/simon/?ref=tb>
<http://www.dejal.com/store/?prod=simon&special=tb5y9m764h3e&ref=tb>
<http://www.tidbits.com/dealbits/dejal-simon/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08260>(日本語)DealBITS 抽選: Dejal Simon


DealBITS 抽選: ぬいぐるみの犬と Fetch 5.0

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

それ自体で独自のマスコットを持っているというような Mac プログラムはそう多くはないが、FTP/SFTP のプログラムである Fetch はその点、長年にわたって異彩を放ち続けてきた。グラフィカルな FTP プログラムとしてはどんなプラットフォームにも先駆けた最初のものの一つで、Jim Matthews が 1989 年に Dartmouth College に勤めていた時に書き上げたのだった。その後 2000 年になって Jim はテレビ番組“Who Wants to Be a Millionaire”(クイズ・ミリオネア)で獲得した賞金を使って Fetch の権利を Dartmouth 大学から買い取り、それ以後はこのプログラムの開発作業を再開して、Mac OS X への移植、インターフェイスの改訂、SFTP のサポート追加などを実現させてきた。その結果である Fetch 5.0 はぜい肉を取り除いたエレガントなファイル転送プログラムに仕上がって、ウェブ出版や、インターネット FTP サイトへのアップロードとダウンロード、サービス店鋪へのファイル送信、それにあなたのネットワーク内でただファイルをあちこち転送するためだけにも、理想的なものとなっている。

<http://www.fetchsoftworks.com/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08116> (日本語)Fetch 5 も散歩の準備万端

今週の DealBITS 抽選では、Fetch のマスコット犬、あなたのモニタの上で眠るようにきちんと調教された豪華な犬のぬいぐるみ(2つ目のリンクに写真)に、Fetch 5.0 のライセンス($25 相当)を付けたものを1本、賞品にする。幸運が足りずに当選から漏れた応募者にも Fetch の大幅割引価格の資格が贈られるので、Fetch を安く手に入れたいと思っていた方は、どうぞ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたの紹介で応募して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

<http://www.tidbits.com/dealbits/fetch/>
<http://fetchsoftworks.com/plushtoy.jpg>
<http://www.tidbits.com/about/privacy.html> (日本語)TidBITS プライバシー規約

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 09-Oct-2005 まで、つまり日本時間で 10 月 10 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


Windows Treo で Palm OS の将来に疑問符

文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>  
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

26-Sep-05 に、Palm, Microsoft, そして Verizon Wireless の首脳が合同の記者会見を開いて、Microsoft Windows Mobile 5.0 で走る、Palm OS ではない、新しい Palm Treo スマートフォンを発表した。過去数ヶ月の間その様な噂は流れていたが (Engadget でその一つの写真を見ることが出来るし、このサイトではこの 8月の初めに開発モデルと思われるもののビデオまで流していた)、この発表は会社としての Palm と (色々な変遷を経てきたが) Palm オペレーティングシステムとを常に関連付けて来た人達にとっては少なからずのショックであった。

<http://www.palm.com/us/company/pr/news_feed_story.epl?reqid=760974>
<http://www.palm.com/us/company/?creativeID=RFB|windows_20050927>
<http://www.engadget.com/entry/1234000867059961/>
(日本語)Palm Japan

記者会見はあったが、Windows Treo がすでに売り出されているわけではないし、未だ型番すら決まっていない状況である。市場にお目見えするのは 2006年の初めと見られており、そして最初は Verizon Wireless ネットワーク限定となるであろう。

Palm はこれまで Palm OS にあれだけ金をかけて来たのに、なぜ Windows Mobile に乗り換えるのであろうか?いや、私の友人の言葉を借りれば、"最悪の事業計画にしか見えない。そもそも Palm の名前を使うのならその OS に固執すべきである。" しかしながら、もし過去の Palm の歴史に注意を払って来ていれば、事情はそう単純でないことにお気づきであろう。またそうでなかった人には、全く訳が分からない話かもしれない。しかし、Windows ベースの Palm ブランドのハンドヘルド機というのは明らかに奇異な組み合わせではあるが、Palm, Inc. が生き延びるためには、これがまさに必要とされるものなのかもしれない。

ねじれた家系図 -- 私が最後に TidBITS に Palm の記事を書いたのは (TidBITS-717 の "PalmSource が Palm OS Cobalt での Mac サポートを停止" 参照)、Palm, Inc. がその Palm OS 部門をスピンオフさせ PalmSource と呼ばれる子会社とした時であった。この時点までに、Palm は最有力のハンドヘルドメーカーになっていたのだが、その世界に革新をもたらすための努力を殆どしなかった。それがライバル達に付け入る隙を与える結果となり、Microsoft は Windows CE (PocketPC とも呼ばれていたが、今はWindows Mobile である) を創り出し、そして Research in Motion (RIM) は Blackberry ハンドヘルドで成功をおさめる事となった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07543>(日本語)PalmSource が Palm OS Cobalt での Mac サポートを停止
<http://www.blackberry.com/na/index.shtml>

Palm は何らかの形のスマートフォン製品が必要であるという認識から、ライバルである Handspring - 同社は元々 Palm の創始者達が自らのハンドヘルドの道を貫くため袂を分けて始めたものである - を買収し、Handspring の前途有望と見込まれる Treo のスマートフォン製品群を入手したのである。Palm と Handspring は合併して palmOne (不自然な大文字化を伴って) となった。Palm はハードウェアの設計を担当し、一方で PalmSource はその OS を palmOne や Sony の様な業者ににライセンス供与するという Microsoft 流の事業を試みた。

<http://www.palmsource.com/>(日本語)Palm Software and Palm OS

不運な事には、事はうまく運ばなかった、とりわけ PalmSource にとっては。Sony はこの市場から完全に撤退し、その結果大手の Palm OS のライセンス先は palmOne だけとなってしまった。更に悪い事には、鳴り物入りで宣伝された Palm OS Cobalt として知られる Palm OS 6 は palmOne に殆ど無視されたままとなった。Cobalt はそもそもモバイルハンドヘルドを頭において開発されたのだが、palmOne は Palm OS 5 (別称 Garnet) で Treo 製品群を十分に作動させるのに成功してしまった。PalmSource がスピンオフしてほぼ二年となる今日でも、Cobalt はどのハンドヘルドにも採用されていない (もっとも Oswin Technology は 5月の PalmSource DevCon で Cobalt スマートフォンをデモしていたが)。

<http://www.palminfocenter.com/view_story.asp?ID=7874>
<http://www.oswintech.com/>

2005年7月には、palmOne は PalmSource に $30 million を支払って Palm の名前に対する全権利を獲得し、自社の名前もようやくまともに大文字化された Palm, Inc. に変えた。一方で、PalmSource はその開発努力をシフトして、Cobalt を Linux 上で動かそうとしている。9月には、PalmSource は東京を拠点とする Access Co., Ltd. による $324.3 million のキャッシュ買収に合意したと発表した。

<http://www.palm.com/us/company/pr/news_feed_story.epl?reqid=712951>
<http://www.palmsource.com/opensource/>
<http://www.palmsource.com/press/2005/090905_access.html>

これらの役者がそれぞれの場所におさまった具合を見ていると、Apple と Macintosh との比較をせずにはいられない:Apple も Palm も、若くしてその世界を席巻し、ぬくぬくと育ち、そして徐々にではあるが確実に市場の隅へと追いやられたのである - Microsoft によって。私は、多くの人達と違って、もし Apple がその Mac OS をライセンスしていたなら、パーソナルコンピュータ市場を我が物にしていただろうとは信じたことはない;この方法は一回だけ本当に成功した... Microsoft で。(Linux についてはまだ結論が出たとはいえないが、これは少し筋の違う問題だと思う: Linux はハイテク市場で著しい進出を遂げた草の根オペレーティングシステムであるが、その原動力は金儲けのための市場支配ではなく、Microsoft の寡占を弱めるための市場支配である。)

もし PalmSource が Palm に対して Cobalt を使い始めるよう確信させる事が出来ていれば、もっといい結果が残せたであろう。しかし、外から見ている限り、彼らはこの 2年間を Cobalt をデバイスメーカーに売り込むことにではなく小手先の間に合わせの修理に費やしてきた様に見える。Steve Jobs の有名な言葉は言う、"本物のアーティストは実際に物を創り出す。"

<http://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Jobs>

Microsoft 登場 -- こうして Palm がまるでハロウィーンのキャンディーを全部食べてしまったあとの子供がするようにくず紙の山を叩いていた間に、Microsoft は比較的ゆっくりと、しかし着実に Windows Mobile の開発を進めていた。私が実際に手で触れて使った最後のバージョンは 2001 年のもので、これは私が HOW Magazine のために HP iPaq のレビュー記事を書いた時のことだったが、それ以前のバージョンに比べて確かに改善の跡は見られたものの、依然として直観に反した造りで使いづらいと感じたものだった。今回登場予定の Treo を動かすことになる Windows Mobile 5.0 の方は、どうやらもっと使えるものになるようだ。

<http://www.microsoft.com/windowsmobile/5/>

そして、Palm OS においてはトラブルの種であって Windows Mobile ではきちんと提供されているのが、Microsoft Exchange との間の遠隔統合だ。Exchange Server に投資済みの会社なら、社員たちが直接スマートフォンを使ってやり取りできることを望むだろう。新 Treo ではそれが提供できる。この新機種では、まだ指定して転送された電子メールを受け取ることはできない - これこそが RIM の Blackberry ハンドヘルド機がこれほど人気を集める鍵となった機能だった - けれども、将来にはこの機能も組み込まれるはずだ。

一つ良かったことといえば、少なくともこの Palm/Microsoft/Verizon 合同記者会見のストリーム映像で見て取れる限り、Palm がその電話ソフトウェアに関する経験をうまく新 Treo に応用しているらしいことだ。電話とオーガナイザを一つの機器に統合していることの利点は別にすれば、この Treo の一番の利点といえばそのソフトウェアが優れていることだった。例えば Palm のデモでは、新 Treo にかかってきた電話に対して発信者宛てに短いテキストのメッセージを送ることで通話を拒否することができることが示された。相手をボイスメールに送ったり、かかってきたものをただ無視したりといったことをする必要がなくなるわけだ。

もう一つ大きな利点が Windows Treo にはある。Verizon Wireless の EV-DO ネットワークで BroadbandAccess サービスを利用できる機能だ。同社のプレスリリースによれば、ここではダウンロード速度が平均で 400 から 700 Kbps に達する。現行の Treo ではまだ EV-DO をサポートできないようだ。

Mac での Palm サポート -- 以前からと同じく、ネイティブな Mac のサポートは欠けているというか、はっきりしない。実際にこの機器がリリースされれば、もっと具体的なことが分かるだろうが。しかしながら、ここでは Mac 開発者の Mark/Space の姿勢が期待できることをお薦めしておきたい。現在 Mark/Space では既存の Windows Mobile 機器向けに The Missing Sync for Windows Mobile 2.0 を提供している。(今のところ Windows Mobile 5.0 はまだサポートされていないが。)

<http://www.markspace.com/missingsync_windowsmobile.php>

Palm が Palm Desktop をアップデートして新しい機器との互換性を提供することは考えられるが、私はあまり期待をかけていない。私が 2004 年 8 月に報告した問題(TidBITS-744 の記事“Palm HotSync インストール地獄の回避”を参照)をこの会社が修正したのもほんのつい最近(この数カ月以内)だったのだから。インストーラがアクセス権の問題にぶつかってしまい、回避が猛烈に困難になるという問題だった。

Palm Desktop 4.2.1 Rev D で、やっとこの問題が修正された。(技術的に言えば Rev C で修正されたのだが、その後短期間ながらこれは入手できなくなり、次いで Rev D が登場した。もしもあなたが Palm Desktop 4.2.1 Rev C をダウンロードしてインストールし、HotSync が問題なく動いているのなら、わざわざ Rev D にアップデートする必要はない。インストーラは 17.1 MB のダウンロードだ。)

<http://www.palm.com/us/support/macintosh/macdesk421revd.html>

友人が PowerBook に Palm Desktop 4.2.1 Rev C をインストールするのを助けた経験では、Rev C のインストーラを正しく動かすにはあらかじめ Palm Desktop および HotSync 関係の痕跡をすべて根こそぎ消し去っておく必要があった。Palm の指示にあるように単にアプリケーションフォルダを消去しただけではうまく行かなかった。Palm や HotSync 関係の初期設定ファイルやその他の関係ファイル(例えば同期用のコンジットなど)も、インストールの前にすべて見つけだして消去しておかなければならなかった。

Palm OS の将来は -- Palm OS が死んだ、と主張するのはまだ時期尚早だと思う。Palm, Inc. では依然として多数のオーガナイザや Treo を売り続けている(最近の会計四半期の報告では 470,000 台の Treo が売れたとしている)し、Palm の CEO である Ed Colligan は Windows Treo の記者会見で同社が Palm OS の Treo も販売を続けることを明言している。また、Palm, Inc. は PalmSource とのブランド契約の一部として四年分の Palm OS ライセンス料も払っている。

<http://www.palm.com/us/company/pr/news_feed_story.epl?reqid=760060>

それでも、PalmSource が売却され Microsoft が踏み込んできたことで、私は Palm OS が今後何か目覚ましいものでも見せて行かない限り、他の前途有望なオペレーティングシステムたちが辿ってきたのと同じ運命に巻き込まれるのは避けられないのではないかと思わざるを得ない。BeOS に何が起こったのかを考えてみるとよい。BeOS は、PalmSource へと売却され、その後全く何の便りもなくなってしまったのだから。


Apple が Google AdWords を弾圧

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

もしあなたが、Mac に関連した製品を作っていたり、Mac に関連したコンサルティングなどのサービスを提供していたりしたら、おそらく Apple の商標の1つや2つ、"Mac" とか "Macintosh" とかを、広告の中で使っているだろう。おそらくあなたは、そのことについて、気にかけたことすらなかっただろう。結局のところ、あなたの行為は、Macintosh が Apple にとって利益をもたらすものであり続けるために、経済を活性化するのに貢献しているのだから。独立系開発者が作るソフトウェアがなかったり、Mac コンサルタントがいなかったりしたら、Mac の世界はあっという間に衰退してしまう。

それなのに、最近起こっている奇妙なできごとから判断するに、Apple は本当に、サードパーティーの広告に Apple の商標を使わせない方向に動いているようだ。先週、私は、Google AdWords Support から、困惑させられる電子メールを受け取った。曰く、私が "Take Control of Mac OS X Backups" のために掲載していた広告のテキストに、"Mac" という商標が使われていたため、いくつかの広告が「非承認」となった(広告を表示するキーワードの中に"Mac" を含めていたことについては、何のお咎めもなかった)。Google からのこのメッセージでは、何か月も掲載されていたこれらの広告が、なぜ突然Apple の商標を侵害するようになったのか(このメッセージは商標の所有者を明記していなかったが、きっとそういうことだろう)、詳しいことは分からなかった。Google の Trademark Complaint Procedures ページへのリンクはあったが、そこには、商標を侵害したことになっている私にとって、役立つことは何も書かれていなかった。

<http://www.google.com/tm_complaint_adwords.html>

私は当初、これはきっと何かの間違いに違いないと思っていた。Macintosh に関連した製品の広告に Apple の商標を使うのを、Apple が制限するなんてことは、まるっきり馬鹿げた話だからだ。Apple には、Apple の商標や著作権の使用について、非常に明確なガイドラインがあって、その中にはこうある。

「第三者の開発者(デベロッパ)の方は、Apple、Macintosh、iMacまたはその他のアップル商標のうちワード・マーク(語彙表示の商標)を(ただし、アップルロゴまたはアップルの所有するグラフィックシンボルおよびロゴを除く)、第三者の製品がアップル製品または技術と互換性があることを表示するために、参照表示という形式で、パッケージ、販売促進資料に使用できます。ただし、以下の項目を全て満たすことを条件とします。」

<http://www.apple.com/legal/trademark/guidelinesfor3rdparties.html>(日本語)アップル - Legal Information - アップル商標および著作権使用に関するガイドライン

しかし、その後私が、Bare Bones Software や Fetch Softworks など、いくつかのよく知られた Macintosh の開発者やコンサルタントから聞いた話では、彼らの Google AdWords 広告もまた非承認になったという。ところが、この禁制はすべてに適用されているわけではなく、Google で "Apple Mac" と検索すれば、テキストに "Mac" を使った広告が、いまだにたくさん現れる。ますます話が込み入ってきた。

<http://www.google.com/search?q=Apple+Mac>

次に私は、Google AdWords Support に質問をして、Apple の商標利用についてのガイドラインが広く公開されているにもかかわらず、どうしていくつかの広告だけが対象となり、どのような基準で非承認になったのかを見出そうとした。彼らの名誉のために言えば、Google AdWords Support はとてもすばやく返答してくれた。けれども、文章は至極一般的で、役に立たなかった。このメッセージでも、「"Mac" という商標の所有者」と言うだけで、それが Apple であると特定されてはいなかったが、「掲載されていた貴方の AdWords 広告に、商標所有者の許諾やその他法的権限なしに商標が使用されていると、"Mac" という商標の所有者が私たちに通知しました」と書かれていた。さらに、もし私が "Mac" という言葉を広告に使えるはずだと思うならば、商標の所有者とのあいだで問題を解決しなければならないと続いていた。

Google はもう少しまともな企業だと思っていたが、このような遠回しの返答が気に障ったので、もっと具体的に、特定の私の広告に "Mac" という言葉が含まれていたために、Apple Computer が明示的に非承認にするよう求めたのかどうか、確認したいと尋ねた。もし私の広告に対して、実際にそのような申し立てがあったのなら、Apple の商標ガイドラインが必要な許可を与えているように思われるということを考えれば、私にその申し立てを見る機会が与えられてしかるべきというものだろう。私はまた、どうしていくつかの広告だけが非承認になったのか、もう一度聞いてみた。再びすばやい返答があって、少しは追加の情報が得られたが、実際に役に立ったとまではいかなかった。Google は、Apple の要請のコピーを提供することを拒み(商標の所有者が Apple であると彼らが認めたのは、これが初めてだった)、そのほかの質問については無視した。商標を使った広告が非承認になったときに、もう一度承認してもらうにはどうすればよいか、この返答で初めて具体的な手順が示された。それによると、Apple が、レターヘッドのついた便箋に署名つきで、商標使用の権限を与えると明示した手紙を書き、私の Google ログイン用メールアドレスかカスタマー ID を添えて、Google にファックスしなければならない。

私は、Google の公式見解を知りたいと思い、Google の広報に連絡してみた。そこを通して、Google の上級商標顧問 Rose Hagan はこう語った。「私たちの方針では、広告主の機密情報を保護するため、私たちの商標方針に関連する特定の行為についての情報を開示することはありません。しかしながら、EU を対象とした広告に関して、私たちの商標申し立て手続きに基づき、Apple からの申し立てがあったという事実は認めます。米国とカナダ以外の地域における、私たちの長年にわたる方針は、もし商標の所有者が拒否すれば、商標をキーワードとして使うことを許可しないというものです。」

Hagan はさらに「Google AdWords は、宣伝活動の対象を定める基準を用い、商標をキーワードまたは本文に含む広告を表示するかどうか決めています。広告がどこを対象としているかに応じて、どの商標方針が適用されるかが決まります」と言った。しかし、私が、"Mac" という言葉を使った新しい広告を制作して申し込んだところ、その宣伝活動は米国内に限定されていたにもかかわらず、商標を含んでいるという理由で即座に却下された。ただし、私が、地理的な配布条件に基づき異議を申し立てると、Google はこの広告を許可した。

あなたが Mac に関連した製品やサービスを EU で販売するために、Google AdWords を使いたいと思ったら、どうすればいいのだろうか。幸運を祈ろう。あなたの唯一の望みは、Appel の法務部門が Google に許可書を送ることしかなく、現時点では、そのような許可書が欲しいと思う人すべてに Apple が許可書を発行する意志があるということを示すものは何もない。さらに詳しい情報を知りたいという私の請求は無視されてしまったが、Apple の商標部門 <appletm@apple.com> に連絡を取ってみるという方法もある。EU の商標法と米国の商標法とがどのように違うために、このような制限が可能となっているのか、私が調べた限りでは残念ながら分からなかった。

ここで問題となっている Apple の商標に何が含まれているかというと、どうやら、Apple、iPod、Shuffle、Mac、Mac Mini、iMac、iBook、PowerBook、Power Mac、iTunes、、iTMS のようだ。もちろん、これで Apple の商標のすべてが尽くされているわけではない。このリストの中には、本当に愉快な項目も含まれている。例えば、AirMac、Encyclomedia、HotSauce、Moof(そしてそれに関連する dogcow ロゴ)、PowerLunch、SourceBug、そして極め付けは Yum だ。

<http://www.apple.com/legal/trademark/appletmlist.html>

もちろん、"apple" や "shuffle" などの言葉を含む、Apple に関連しない広告を、この理由で Google が非承認にするということもあり得るが、Apple の商標は特定の主題に限定されているから、理論的には、リンゴの皮むき器やカードのシャッフルトリックについての本を広告することは引き続き可能だ。このような状況では、異議申し立ては直ちに認められるだろうと願わずにはいられない。

ここまで読んでいただいたなら、この大混乱について主に責めを負うべきは、Google ではないと私が考えていることはお分かりいただけたと思う。Google AdWords Support の当初の対応はまずかったとは思うが、最終的には Google の広報が公式見解を示し、その中で、Google AdWords で EU を対象にしたいと思わない人がこの問題を回避するにはどうすればよいか、必要な手がかりが得られた。

Apple は別問題だ。何人かの人から聞いたところでは、Apple Developer Relations もこの問題を認識していて、Google の商標顧問が示唆したのと同じ回避方法(配布の地理的な制限)を提案しているそうだが、私が Apple の広報に、この状況を説明する公式見解を求めたところ、回答が得られなかった。公式見解がない以上、私にできる唯一のことは、Apple の動機と目的を推測することだが、この場合、それは普段よりも難しい。通常、Apple が評判の悪い方向に動くときは、人気の低下という代償を払ったとしても、どのように利益を守っているのかが、比較的簡単に分かるものだ。Apple が Macworld Boston から撤退したときもそうだったし、Think Secret を訴えたときも、GarageBand のための FireWire オーディオインタフェースについての情報がリークされたことに関してオンラインジャーナリストから記録を召喚しようとしたときも、確かにそうだった。このような場合、Apple は、製品のリリーススケジュールを管理下に置き、新規顧客を引きつけるためのマーケティング費用を管理し、企業秘密を管理しようとしていたのだ。

今回も、管理というのが問題になっているようだ。Apple の商標使用ガイドラインは極めて明快だが、ほとんどの人はその存在すら知らないだろうし、今回のような要請は、Apple の商標を Google AdWords で不適切に使っている人たちを、少なくとも EU において一掃するための、力任せの方法なのかもしれない。そうだとすれば、このやり方は極めて心得違いに思える。というのも、このような方法では、EU の顧客に知ってもらうために GoogleAdWords を頼りとしている、Macintosh と iPod の正当な開発者やコンサルタント、再販業者のすべてが被害を被るからだ。確かに、検索時に適切なキーワードが入力されれば、いずれにせよ広告は表示されるのだから、広告の本文に Apple の商標を含めることが絶対に不可欠ということはない。そうは言っても、Macintosh やiPod に関する製品やサービスを効果的に広告しようとすれば、Google の窮屈な文字数制限の中で、分かりやすく説明する言い回しを考えつくというのは、ちょっと無理がある。何といっても、商標を使ったとしても十分に難しいことだってあるのだから。

今回の動きは、あらゆる種類のサードパーティーの広告やマーケティング媒体から Apple の商標を締め出すためのアドバルーンなのだろうか。そうではないという可能性が高いが、EU で Apple の商標使用を制限するということだけでも、馬鹿げたことに思える。もう一度言うと、管理という意味を別にすれば、そもそもなぜ Apple がこのようなことを思いついたのか、よく分からない。Apple 外の人がソフトウェアやその他の製品やサービスで成功することがなければ、Macintosh の世界はすぐにしぼんでしまい、iPod もまた、これまでに登場したいかなるケースやアクセサリにもそれほど依存していないとは言っても、損害を被る。現状の限定された Macintosh 市場では、新規顧客を引きつけるのは容易ではなく、それをさらに難しくするなんてことは、誰の利益になるとも思えない。

最後に、悪意があった場合ではなく、最も愚かな場合を想定して、こう考えてみよう。つまり、Apple のがむしゃらな法律家たちが、Apple の商標をとんでもなく不正な方法で使った広告を Google で見かけ、本来あるべきよりもはるかに広範な停止命令を、あるいは Google の弁護士たちがそうだと解釈したものを送り付けることによって、その広告を締め出すことにしたのだと想像してみよう。Apple がこのような早まった行動をとって、しかも Apple の広報も Apple Developer Relations も当初は何が起こっているか知らなかったとすれば、これは極めて残念なことだ。AdWords が非承認になったおかげで、Macintosh 開発者コミュニティの中に、いたずらに髪をかきむしって激怒する人が続出しているのだから。このような決定の背後に何らかの合理性があったとしても、Apple はこのような激しい感情が巻き起こることを予期するべきだったし、その怒りに対処するため、Mac の開発者や報道関係者がわめき立てるのを待つのではなく、あらかじめ手はずを調えるべきだった。今はただ、Apple がいかにして、本来避けることのできた混乱を収拾するのか、見守ることしかできない。


TidBITS Talk/03-Oct-05 のホットな話題

文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。

XPostFacto 4 の使用体験 -- Mac OS X をサポート外のシステムにインストールできるというこのソフトウェアについて、実際に使用してみた体験を聞かせて欲しいと願っている読者がいる。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2721>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/570/>

ファイルコピーの問題 -- Mac OS X の Unix 基盤に内蔵のものからいろいろの商用製品まで、さまざまなバックアップ・同期化ツールについて読者たちが議論する。(メッセージ数 12)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2722>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/571/>

映画・広告と製品の使用 -- 映画の中や広告の中などで Mac が使われているのを見るたび、Apple がお金を払ってそうさせているのだろうかという疑問が湧く。今日の業界で、こういう形での製品の使用はどれほど一般的なのだろうか?(映画“March of the Penguins”(邦題「皇帝ペンギン」)では製氷業界がずいぶん得点を稼いだのだろう!)(メッセージ数 7)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2724>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/573/>

.Mac グループの問題点 -- どのユーザーが .Mac グループにアクセスできるかについて矛盾があり、混乱を招いているという指摘が読者から届いた。(メッセージ数 1)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2725>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/574/>

使いやすい「目覚まし時計」プログラム? -- プロセッサのパワー向上と最新のエレクトロニクスが揃っているのに、今時 iBook をシンプルな目覚まし時計として使うということすらこんなに難しいことなのか? いや、実は、いくつもの方法が可能だ。(メッセージ数 5)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2726>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/575/>

究極のキーボードを求めて -- 読者たちからいろいろな提案が届いた。(メッセージ数 13)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2727>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/576/>


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA