TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#807/05-Dec-05

お休み明けのこの特大号の目玉は、Jeff Carlson がアフリカのサファリにも持って行けるようなデジタルカメラを求めて Canon PowerShot S2 IS を選んだ物語だ。また、Tonya は革新的なストリーミング音楽サービスの Pandora を使ってみた体験を語る。Adam はユーザーに優しいアプリケーションのインストール方法を開発者たちに提案し、Matt Neuburg は Gentium というオープンソースのユニコードフォントについて報告する。Glenn Fleishman は、Mac 用の TaxCut が消滅したことをお伝えする。リリースのお知らせも盛り沢山で、Security Update 2005-009、BBEdit 8.2.4、TextWrangler 2.1.1、iPod ビデオをサポートした EyeTV 1.8.4、Rhapsody のウェブブラウザ版、“Take Control of Apple Mail in Tiger”、“Take Control of Podcasting on the Mac”、それに “Take Control of Buying a Digital Camera ”の第2版(これはクリスマスまで半額セール中)がある。

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MailBITS/05-Dec-05

Holiday 2005 ギフトアイディア募集締切り間近 -- 今年は年末ギフト提案特集号のための提案のお便りの出足がちょっと悪く、特にハードウェアとゲームのカテゴリーへの提案が少ないようだ。なので、投稿を遠慮しておられたあなた、どうぞ 2005 年 12 月 7 日までにもう少し提案を寄せて下さい! 例年と同様、アイディアはすべて TidBITS Talk で受け付けているので、あなたの提案を<[email protected]> あてに送るか、または TidBITS Talk ウェブフォーラムで投稿して頂きたい。その際、どうか HTML ではなくプレインテキストのフォーマットを使って頂くようお願いしたい。カテゴリ別のスレッドもすでに設定してある。一つのメッセージには一つの商品かアイディアだけに限ること、推薦する理由、URL かその他のコンタクト情報をつけて、そして自分の製品を推薦するのは控えて欲しい。よろしくお願いします! [ACE](永田)

<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/>

Security Update 2005-009 リリース -- Apple が Security Update 2005-009 をリリースした。Mac OS X 10.3.9 および Mac OS X 10.4.3 のそれぞれデスクトップ版とサーバ版について、さまざまな種類の攻撃の可能性に対する予防措置が施されている。一番大きく変更を受けたのは Safari で、その変更の主なものを挙げると、まず Apple によるクレジットカードのセキュリティコード処理が改善され、JavaScript エンジンの PCRE(正規表現)ライブラリにおけるバグが除かれ、長過ぎる名前のファイルが予期しない場所にダウンロードされてしまわないよう修正が行なわれ、JavaScript 生成のダイアログで表示元サイト名が分かるようになり、WebKit ベースのアプリケーションで任意のコードを実行される恐れのあったヒープオーバーフローが修正された。今回修正を受けた Mac OS X コンポーネントはそれ以外にも多数あり、Apache2、apache_mod_ssl、CoreFoundation、CoreTypes、curl、iodbcadmintool、OpenSSL、passwordserver、QuickDraw Manager、ServerMigration、sudo、syslog などだ。Security Update 2005-009 はソフトウェア・アップデート経由で、あるいはそれぞれの Mac OS X バージョンごとの独立ダウンロード版としても入手できる。サイズは 6 MB から 33 MB までの間だ。[ACE](永田)

<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=302847>(日本語)About Security Update 2005-009
(日本語)アップル - サポート - TIL(Apple セキュリティアップデートについて)

Mac 用は1つ、Windows 用は19 -- 米国の Mac 所有者が税務署に支払いをするオプションがまた一つ減ってしまった。ここ数年間、H&R Block はその比較的よく出来た確定申告書の準備と申告をするオンラインサイトに加えて、TaxCut for Mac OS X を開発してきた。しかし、TaxCut 2005 (税務年度のことでリリース年のことではない) はもう出されない。

<http://taxcut.com/>

税申告準備用の Web サイトの普及で、即時のフィードバックが得られ、アップデートのダウンロードも必要でなくなり、そして色々な嵩上げ販売商法も目につくようになった状況下では ($75 で会計士にチェックして貰おう、更に $15 払えばチーズサンドウィッチをお届けする!)、スタンドアロンの Mac OS X 税務ソフトウェアでは勝ち目がないという事であろう。そうではあっても、Intuit の TurboTax は Mac 用のオプションとして残っている (Intuit はまた Windows 版もオンライン版も出している)。国税申告用の 2005年版は目下発売中である;州税用のアドオンは来月には店頭に現れるであろう。

<http://turbotax.intuit.com/>

長いこと私は税理士に頼んでいた。これは込み入った支払い問題や諸々の事情があったためである。そして TaxCut に切り替えた。その Web サイトが気に入ったし、スタンドアロン版は多少足りない点が目についたが、正しい選択のように思えたからである。さて今度は TaxCut から別のに乗り換えなければならないわけだが、私の Quicken のデータを TurboTax [訳注:どちらも Intuit の製品] に移すのがどれほど易しいか見るのが楽しみでもある。[GF](カメ)

Bare Bones テキストエディタをアップデート -- Bare Bones Software はその二つのテキストエディタ、強力な BBEdit とフリーウェアの TextWrangler の両方をアップデートした。この二つとも同じテキストエンジンを共有していて、各種のバグ修正が行われたのと Script メニューをオフにする機能が追加された。BBEdit 8.2.4 は無料のアップデートで 15.2 MB のダウンロード;TextWrangler 2.1.1 は 9 MB のダウンロードである。[ACE](カメ)

<http://www.barebones.com/support/updates.shtml>
<http://www.barebones.com/support/bbedit/current_notes.shtml>
<http://www.barebones.com/support/textwrangler/current_notes.shtml>

Gentium オープンソースとなる -- Gentium は Victor Gualtney が (英国の University of Reading で) デザインした美しいそして無料の Unicode フォントである。これが今度は、長いこと言語学への計算機応用やそれに関連した運動に重要なそして惜しみない援助役をしてきた先見性のある機関である SIL International を通して流通されることとなった。Gentium には Latin アルファベット及びその全変種と読みわけ記号に対応する広範囲な文字を、更に Greek (Ancient 及び Modern) と表音記号も含んでおり、ラテン語記述システムや転写に携わろうという人、古典学者等々にはもってこいの選択肢となっている。ニュースとしては SIL は新しい "Open Font License" 制度に移して、ユーザーが Gentium に変更を加え更なる発展に貢献するのを可能にしたことである。言語、フォント、そしてオープンソース運動に関心のある人達にとっては、これは重要でかつ賞賛に値する展開であろう。[MAN](カメ)

<http://www.sil.org/>
<http://www.sil.org/computing/>
<http://scripts.sil.org/cms/scripts/page.php?site_id=nrsi&id=gentium>

EyeTV 1.8.4 で iPod ビデオに一発エクスポート -- あなたの新しい iPod でビデオを見ないのは iTunes Music Store から入手できる TV 番組が極めて限られているからだというのであれば、Elgato Systems の EyeTV の最新版に注目すべきである。EyeTV は、ビデオハードウェアと一緒になって TV を自分の Mac 上で見て録画し、不要のコンテンツを切り落とし、そして (Roxio の Toast と合わせて) 録画した番組を CD や DVD に焼付けが出来るようにする。最新版であるバージョン 1.8.4 では、番組をビデオ iPod 用の二つのフォーマットのどちらかでエクスポート出来る機能が付け加えられた。二つのフォーマット:QuickTime H.264 か MPEG-4 で、Elgato によれば、後者の方が5倍速くかつより高画質の出力を提供しているという。このアップデートは EyeTV の登録ユーザーに対しては無償であるが、EyeTV そのものは $80 する。Elgato からの目が眩むほど入り組んだバンドルにも組み込まれている (主に国際テレビジョン標準のせいである;米国の Mac ユーザーに合うのは4つしかない)。[ACE](カメ)

<http://www.elgato.com/>
<http://www.elgato.com/index.php?file=products_eyetvmain>
<http://www.elgato.com/index.php?file=support_updates_eyetv>


DealBITS 抽選: GarageSale 1.9

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

一年ほど前、この DealBITS 抽選で iwascoding.com の GarageSale というプログラムを取り上げた。GarageSale は Mac OS X 用のアプリケーションで、eBay のオークションにポストする際のフロントエンドとして働く。iPhoto や iSight カメラとも連動していて、ちゃんとしたテキスト編集ツールも備えており、ポストした後もあなたのオークションを追跡してくれる。これは、これまでの DealBITS 抽選の中で最も人気あるものの一つになった。どうやら、多くの TidBITS 読者の皆さんが eBay のオークションにポストしていて、eBay のウェブベースのインターフェイスには不満をお持ちのようだ。もしもあなたがそういう人たちの一人で、まだ GarageSale を試していないとおっしゃるなら、今回改めて最新版のこのプログラムを手に入れられるチャンスがある。この最新版では美しいデザインのテンプレートが多数付属しており、なかなか良いインターフェイスを使ってこれらのテンプレートを無料で使ったりカスタマイズしたりできるようになった。(ただし、このようなデザインを使うと eBay から課金されることがあるようだ。)GarageSale はまた Mac OS X 10.4 Tiger の機能を利用するようになっており、Dashboard ウィジェットでアクティブなオークションを追跡したり、Core Image 対応の画像エディタが新装備されて画像を改善できたり、Spotlight でオークションテンプレートを検索できたり、Automator を使ってオークションや画像処理の作業を自動化したりできるようになった。

<http://www.iwascoding.com/GarageSale/>

今週の DealBITS 抽選では、GarageSale(マシン 5 台で使える Family Pack ライセンス)を3本、賞品にする。それぞれ定価 $44.99 相当の製品だ。幸運が足りずに当選から漏れた応募者にも GarageSale(シングルユーザ及び Family Pack ライセンス双方とも)の割引価格の資格が贈られるので、eBay のオークションにポストする作業を楽にできるプログラムが欲しいと思われる方は、ぜひ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

<http://www.tidbits.com/dealbits/iwascoding2/>
<http://www.tidbits.com/about/privacy.html>(日本語)TidBITS プライバシー規約

[訳注: 応募期間は 11:59 PM, 11-Dec-2005 Pacific Standard Time まで、つまり日本時間で 12 月 12 日(月曜日)の午後 5 時頃までとなっています。]


RealNetworks からブラウザベースの Rhapsody 登場

文: Geoff Duncan <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

RealNetworks 社は今日、Rhapsody.com の発表を行なった。これは、アメリカ合衆国内のブロードバンドユーザーを対象にした同社のストリーミング音楽購読サービスである Rhapsody の、ブラウザベースのバージョンをベータ版の段階で公開したものだ。従来、Rhapsody サービスは Windows 専用のジュークボックス・アプリケーションを走らせているユーザーのみにしか利用できなかった。今回の新しいブラウザベースのバージョンでは、このサービスの持つ人気の諸機能が初めて Mac や Linux のユーザーにも開かれることとなった。Apple の iTunes Music Store ではユーザーが個々のトラックを購入してダウンロードするのだが、Rhapsody ユーザーの場合はそれとは違ってインターネット経由のストリーミング・オーディオ・サービスにサインアップ契約することになる。Rhapsody Unlimited サービスに契約した購読者は、月額 $10 の購読料で好きなだけオーディオストリームを受けることができる。言うまでもなく、サービスへの購読を中止した場合には音楽へのアクセスは全くできなくなるし、また iPod やその他のポータブル音楽プレイヤー、あるいは Mac や Linux ユーザー用の家庭用デジタル音楽プレイヤーなどに対するサポートは存在していない。

この Rhapsody.com の登場によって、どんなユーザーでも毎月 25 曲までならば 無料で オンデマンドのストリームを受けることができるし、テーマとジャンルで分類された 25 局のコマーシャル無しストリーミング「ラジオ局」の番組を聞くこともできる。Rhapsody は現在、大手のミュージックレーベル5社と、独立の配付ルートのものを合わせて 140 万曲以上のトラックを持っているので、RealNetworks は商用の音楽の巨大なライブラリへの無料のストリーミングアクセスを可能にしたことになり、その結果としてユーザーたちが Rhapsody に夢中になって(ブラウザベースのプレイヤーから充分な広告収入が会社にもたらされるとともに)究極的には RealNetworks 社が勝ち残ることができるだろうと願っているわけだ。

<http://www.rhapsody.com/>
<http://www.realnetworks.com/company/press/releases/2005/rhapcom.html>

Rhapsody.com にアクセスするためには、ユーザーはまずブラウザ用プラグインの Rhapsody Player Engine をインストールしてからサインアップしなければならない。(電子メールアドレス、郵便番号と生まれた年を記入する必要があるが、クレジットカードの情報は要求されない。)Real 社によれば Mac OS X 10.3.9 かそれ以降で Internet Explorer、Firefox と Safari をサポートしているとのことだが、私が試したところ Firefox 1.5 でインストールは見事に失敗した。でも Safari でのインストールはうまく行き、その後は Firefox でも Rhapsody.com にアクセスできるようになった。インストールのことはさておき、Rhapsody でのオーディオ品質は何となくあまり一定していないような感じで、ブラウザベースのインターフェイスも時として笑ってしまうような変なところがある。(現在、'60s Pop station のすべての曲が Jan and Dean の曲と表示されている。)でも、ベータ版のリリースに過ぎないとはいえ、今回の Real の動きは間違いなく、Apple に対して iTunes Music Store にストリーミングと購読オプションを考慮して欲しいという圧力をさらに強めるものとなるだろう。


アプリケーションのより良いインストール方法

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X の package(つまりフォルダがあたかもファイルであるかのように見えるもの、今ではほとんどのアプリケーションがこの形で作られている)が良いところの一つは、そうすることでインストールが易しくなるということだ。あなたはディスクイメージをダウンロードして、必要ならばそのウィンドウを開き、それからそこにあるプログラムをあなたの「アプリケーション」フォルダへとドラッグすればよい。これ以上簡単なことがあるだろうか?

いや待て、よく考えると、もしも「アプリケーション」フォルダがドラッグ先としてちゃんとそこに見えていたらもっと簡単なのに、と思うことはないだろうか。でも、あなたが「アプリケーション」フォルダを Dock に入れているか、他の何らかの方法でそれを常に見えるようにしているかしない限り、あなたはいちいちそれを表示させる手間を掛けなければならない。例えば新しくウィンドウを開いたり、ディスクイメージのウィンドウでツールバーのひし形をクリックしてサイドバーを表示させたり、といったことが必要になる。けれども、もしもそのソフトウェアの開発者が、ディスクイメージのウィンドウの中で「アプリケーション」フォルダのエイリアスを既に作ってくれていたとしたら、そうしたら、インストールの作業は単にプログラムを同じウィンドウ内でほんの短い距離ドラッグするというだけのことになるのではないだろうか? さらにそこにちょっとした説明のテキストとか、例えば矢印のようなグラフィカルなヒントなどで示すものがあったら、そのインストールの作業は現状よりももっとより良いユーザー体験になると言えるのではないだろうか。

何年か前の MacHack の会場で、私は MindVision の Josh Ferguson と FileStorm についてお喋りしていた時に、まさにこのアイデアを考えていた。FileStorm は見栄えの良いディスクイメージを手軽に作れるツールだ。でも、良いアイデアというものには往々にして付きまとうように、私はその時のアイデアをどうすれば実現できるのか、よく考えてみることをしなかった。でも、ついこの間のこと、私は Dejal Systems のサーバ・モニタリング・ツールである Simon のベータ版をダウンロードしていて、Dejal の David Sinclair がまさにこのアイデアを実装してくれていることに気付いてとても嬉しかった。

<http://www.mindvision.com/filestorm.asp>
<http://www.dejal.com/simon/>

私は David にいったいこれをどうやって実現したのかと聞いてみた。彼は、このテクニックを O'Reilly の MacDevCenter に載った Ben Artin の記事で読んだのだと教えてくれた。Ben Artin は Jim Matthews と共同で Fetch を書いている人だ。(そして彼は MacHack の常連でもあった。「すべての道は Dearborn, Michigan に通ず」というのは本当だった!)詳しいことは Ben の記事全文を読んでいただきたいが、簡単に言えば、すべての鍵は通常のエイリアスの代わりに Unix のシンボリックリンクに依存するという点にあった。シンボリックリンクならば、開発者のマシンの「アプリケーション」フォルダへのエイリアスではなく、インストール時点でのシステムにおける「アプリケーション」フォルダをきちんと指し示すことができるからだ。

<http://www.macdevcenter.com/pub/a/mac/2005/09/02/easy-access-to-application-folder-from-a-disk.html>

もしもあなたがソフトウェア開発者で、あなたの作ったソフトウェアが「アプリケーション」フォルダの中にインストールされるべきものなら、ぜひあなたもこのアプローチを採用して、ユーザーたちがもっと手軽にインストール作業をおこなうことができるように配慮していただきたいと思う。私と同じように普通のユーザーで、新しいプログラムをインストールしようとする度に「アプリケーション」フォルダのアイコンを出してこなければならないのが面倒だとお思いのあなたには、購入されたソフトウェアの開発者たちに宛てて穏やかな提案のメッセージを送ってみられるのも悪くないのでは、と助言しておこう。


ホリデー音楽は Pandora で iTunes を鳴らそう

文: Tonya Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ホリデーシーズンはもうすぐそこだ。もしもあなたが家族の中で一番の技術担当なら、きっとあなたは今頃 iTunes のスマートプレイリストと格闘して、一群れのホリデー・ミュージックたちを何とか順序良く柵の中に囲い込もうとしていることだろう。静かな音楽、元気のよい音楽、馬鹿げた音楽、いろんなやつが群れているのだから。もしもあなたにたっぷりとまとまった時間があって、誰にも邪魔されずに iTunes のメタデータシステムを設定・管理して、情報ウィンドウのすべてのフィールドに心ゆくまでデータを書き込む余裕があったなら、きっとあなたは音楽の妖精と共に別天地を楽しむことができるだろう。でも、現実の生活はそううまくはいかない。「ジャンル」フィールドだけで何時間かを費やしてしまったあなたに、気難し屋の叔父さんは「そんなに時間をかける意味があるのかね」と嫌味を言い始め、ティーンエイジャーの従兄弟たちはあなたの選んだ音楽なんてみんな退屈さ、と言い出し、その上あなたの息子がトナカイさながらにやかましい音を立ててあたりを歩き回る、となれば、もうあなたは自分の音楽を整理しようという計画を全部放り出して、専門家たちの手を借りられたら、という気になってしまうに違いない。

専門家たちは、Pandora という名の新しいインターネット・サービスという形でやって来た。これは、従来の Music Genome Project に基づいており、現在までに 15,000 曲以上の音楽を解析して、曲と曲が似ていたり違ったりするのはどういう特質に依るのかを決定することを目指している。Pandora は、もはや混乱の泥沼となってしまった音楽聴取の世界に、熟達の音楽司書の導きの手を差し入れて、骨折りせずにぴったりふさわしい音楽だけをインターネット・ラジオのスタイルであなたのコンピュータにストリームしてくれる。あなたの側での作業負担は最小限に抑えられている。通常のラジオ放送局と同じように、あなたが聞いた曲に thumbs up の目印を付けて、どんな曲を気に入ったかを手軽に覚えておけるようにもできる。ただし、曲を自分のマシンに保存したり、聞き直したりすることはできない。でも、その曲を iTunes Music Store で購入したり Amazon でその CD を注文したりするコマンドは用意されている。Pandora はスポンサー広告付きモードでは無料で、広告をなくすには年額 $36 の購読が必要になる。ライセンス関係の問題により、これはアメリカ合衆国内に在住の人しか利用できない。

<http://www.pandora.com/>

箱を開けてみよう -- 実際の動作は次のようなものだ: まず、あなたは好きなアーティスト名か曲名を一つ(あるいはいくつか)選ぶ。例えばあなたが Ray Charles を選んだとしよう。これを使って一つの“station”ができる。すると、Pandora は即座に Ray Charles の曲をいくつかと、それから Ray Charles が好きな人ならば気に入るだろうと思えるような曲、例えば The Marigolds の“Rollin' Stone”のようなもの何曲かを一つのプレイリストに組み上げ、その演奏を始める。Flash ベースのエレガントなインターフェイスに曲名、アーティスト名とアルバムの画像が表示される。その曲が演奏されている間、あなたはそれを聞く他に、それぞれの画像をクリックしていろいろな操作をすることができる。まず、その曲がなぜ選ばれたのかがわかる。例えば「クラシック・ソウルで、穏やかなシンコペーションのリズムを持ち、アクースティック・リズムピアノを使っているから」といった具合だ。それから、その曲に thumbs up の目印を付けて Pandora がその station でその曲に似た曲をもっと多く演奏するようにしたり、あるいは直接その曲をお気に入りリストに登録して後で参照するようにもできる。もしもその曲が嫌いなら、thumbs down を付けられる。すると、Pandora は即座に次の曲に移り、あなたのフィードバックがその後の選曲に反映される。また、トラックの演奏を一時停止したり、次の曲にジャンプすることもできる。

Pandora の Flash ベースのインターフェイスはウェブブラウザの中で動作する(Mac ユーザーについては、Mac OS X 10.3 かそれ以降の Safari または Firefox でしか動作しない)が、ブラウザのウィンドウを最小化しておけば普通のアプリケーションのつや消しメタル調ウィンドウとほとんど変わらない。私たちの古いブルーベリー色の iBook では Safari で Pandora を扱うことができなかったが、Rogue Amoeba の Airfoil ユーティリティを使うことで、AirPort Express に接続された私たちのステレオで Pandora に演奏させることができた。ちなみに、Pandora はブロードバンド接続を必要とする。

<http://www.rogueamoeba.com/airfoil/>

Pandora 社の人たちは、音楽を共有したいという欲求をよく理解している。あなたの station(つまり「ラジオ局」)へのカスタムリンクを電子メールで他の人に送ることができる。(下記のリンクは私の Ray Charles station だ。)また、他の Pandora ユーザーたちが最も多く聞いている人気の station ベスト 20 を聞くこともできる。私は“International Pop Overthrow Radio”がお気に入りだ。

<http://www.pandora.com/?sc=sh3075857>

TidBITS 読者の皆さんのすべてがクリスマスの音楽に興味がある訳ではないということは私もよく承知しているが、でも、もしあなたがそういうものに興味がおありなら、今すぐ Pandora で新しい station を、何かホリデー向けの曲かアーティスト名を使って始めてみることができる。私の場合、“holiday”というキーワードをアーティスト名に結び付けて使えるという FAQ の説明は、いろいろ試したけれども結局うまくいかなかった。Pandora は、Ray Charles や Henry Mancini がどちらも素晴らしいクリスマスアルバムを出しているということを知らないようだ。でも、私が“Jingle Bells”という曲名で新しい station を始めてみたところ、こちらはとてもうまくいった。私はまず The Mormon Tabernacle Choir、Ella Fitzgerald、Brenda Lee など七人のアーティストのうちどれが一番好きかという質問を受けたが、その後で station は“Christmas Island”という曲を皮切りに演奏を始めた。これはココナツの木を歌ったとても楽しいナンバーだが、私には初めて聞く曲だった。どうやら、私は素晴らしいパンドラの箱を開けてしまったようだ。この箱を開けてしまうと、たちまち iTunes が以前ほど楽しいものではなくなってしまった。私のライブラリの中を散々探し回って音楽を見つける、といういつもの作業が急に無味乾燥に思えてきた。その代わりに、Pandora がほんの 10 秒ほどで、まさに私が聞きたかったようなタイプの音楽を提供してくれる。それに、これはクリスマスの曲なのだから、私はその曲を自分のものとしてとっておきたいとも思わない。こういう曲は、一年のうちほんの何週間かしか聞かないものだから。

高い音、低い音 -- もしもあなたの iTunes ライブラリが私のと似ているなら、きっとそこには 5,000 もの項目があって、何時間もかけて集中作業しなければ(私の場合 Adam と協力した作業が必要だし)効果的な分類なんて無理で、いつの日かその結果を利用してスマートプレイリストを作ろうというのもそれ無しには望めないことだろう。それに、私が新しい曲を買ってくる度に、ますますメタデータに時間を割かなければならなくなるのも目に見えている。ところが Pandora では、最大 100 個までの station を作ることができ、それぞれが常に成長し続けているライブラリからフィードを受けることができる。現時点でさえ、元ライブラリには 10,000 人を超えるアーティストと 300,000 を超える曲数が含まれているのだ。音楽を自分の手元に所有して自分で整理できるのは確かに考え方としては魅力的だが、現実の私の生活とうまく調和して行けることではないように思える。現実の生活では、時間が最優先なのだから。

私は Pandora をかなり気に入っているが、現在のところクラシック音楽は全く含まれていないし、ラテン音楽もまだ導入に向けて作業中とのことだ。その他にも重要な分野が欠けているのかもしれないが私は音楽の専門家ではないのでよく分からない。私の希望を言えば、カルチャーの区分とか、いろいろな祝日関係などに基づいてユーザーが曲をリクエストできたり、インスパイア系、ラウド系、1980 年代、といったような、ムードや年代に基づいてラジオストリームをリクエストできたりすれば素晴らしいだろうにと思う。それから、Pandora を使ってみると Gracenote Media Recognition Service(従来 CDDB と呼ばれていたサービス)がメタデータ中の一連の利用可能な部分だけを iTunes に読み込むという点に関していかに限られたことしかできないかが実感できるし、もしも Apple が Pandora のスマートリストを iTunes に読み込めるようにしてくれたらどんなにか素晴らしいだろうにとも思う。

<http://www.gracenote.com/music/corporate/FAQs.html/faqset=what/page=1>

でも今のところは、私は Pandora を聞くので充分満足だ。膨大な私の未整理の iTunes 音楽は傍らに山積みになったままだけれど。いつの日か誰かがこれを自動的に分類・整理できる方法を発見してくれるか、あるいは私がある朝猛烈な決意をもって目覚め、メタデータと格闘する気になる日が来るまでは。でも、ここで周りを見回せば、私の場合、お母さんが一緒にトナカイ遊びをしてくれないかなあ、と待ちこがれている六歳の子供が、すぐ横にいるのだから...


Canon PowerShot S2 IS 購入

文: Jeff Carlson <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

まもなくやってくる年末年始の休みに向けて、私は、今持っているコンパクトタイプのデジタルカメラよりも高機能で融通の利く、新しいデジタルカメラを購入したいと考えた。私の年老いた Canon PowerShot S200 は、長いあいだよく働いてくれているけれど、サファリで動物の写真を撮るという任に堪えるとは思えなかった。そこで、私は決定を迫られた。本格的な一眼レフ(SLR)デジタルカメラにアップグレードするか、それとも、そこそこ本格的だけれども持ち運びが重荷にならないコンパクトなものを探すかだ。幸運なことに、ちょうどそのとき、私の同僚である Larry Chen が "Take Control of Buying a Digital Camera" 電子ブックの第2版を上梓し、私はその編集を務めた。彼のアドバイスを道しるべとして、私はちょうどよいカメラを選ぶことができた。Canon PowerShot S2 IS だ。

<http://consumer.usa.canon.com/ir/controller?act=ModelDetailAct&fcategoryid=144&modelid=11368>(日本語)キヤノン:PowerShot S2 IS
(日本語)デジタルカメラ詳細データ
<http://www.takecontrolbooks.com/buying-digicam.html?14@@!pt=TRK-0015-TB807&cp=CPN51201HOL>

[“ Take Control of Buying a Digital Camera” 第2版は、第1版を持っている人には無料のアップデートとなる。第1版を持っていない人にとっては、クリスマスまで 50 パーセントオフのセール中だ。ほかのコンシューマ向け電子機器についての本、“ Take Control of Digital TV” と “ Take Control of Your iPod: Beyond the Music”、“ Take Control of Buying a Mac” も同様にセール中だ。この割引は、これらの本ならどれでも、何冊でも適用される。上記のリンクを使えば、必要なクーポンが自動的に入力される。-Adam]

自己分析 -- 様々なカメラのモデルやレビューを見る前に、腰を落ち着けて、私がどんなタイプの写真家であるのか見極めることにした。かつては、私は「スナップ写真家」で、最高の写真を得ようと手を尽くすよりも、とにかく写真を撮るということに関心があった。私が普通に撮る分には、小さなコンパクトカメラで、ほとんどの写真について十分な画質が得られたし、小さいカメラは持ち運ぶのも簡単だった。しかし、今回は、私は南アフリカに行く予定にしており、そこでは、見渡す限りのサバンナや、野生の豹や象、そのほかSeattle ではお目にかかれない被写体(中でも最も野性味あふれるものといえば、私の姪と甥だ)を撮影する機会があるだろう。そう考えると、私はスナップ写真家というよりは、Larry の言う「芸術的写真家」として撮影することになるだろう。つまり、携帯性よりは画質を重視することになる。

ところが、より高い品質を求めるならば、普通はデジタル一眼レフ(DSLR)カメラということになる。このタイプのカメラでは、それぞれの目的にレンズを使い分け、非常に高い解像度(現在は 6 から 16 メガピクセル)で写真を撮ることができる。また、DSLR では、ホワイトバランスや ISO 感度といった、マニュアルで調節できる設定項目の数も多い。“ Take Control of Buying a Digital Camera” 第2版には、新しく DSLR についての章が加えられ、必要となるおおよその価格が分かるほか、コンパクトカメラでは経験することのないような DSLR に特有の事柄(例えば焦点距離の換算比率やセンサーに付くゴミ)についても解説している。

DSLR というのは魅力的だが、その価格(ローエンドでも 1,000 ドル)は私には高すぎると思ったし、技術的にも私が扱える範囲を越えていると思った。私は写真を勉強したわけではないし、ただ単に、最小の労力でできるだけよい写真を撮りたいだけなのだ。勉強するのは吝かでないが、専門家になれるほど頻繁に写真を撮るわけでもない。加えて、DSLR を買うとすれば、1つのシステムに投資をすることになる。ほとんどのモデルでは、本体だけを買って、それからレンズを1つから3つと関連する周辺機器を購入する。巨大な撮影機材一式を引きずって歩くというのは、興味をそそられる考えではなかった。

優先項目を設定 -- DSLR が対象外となり、コンパクトカメラでは役不足なので、その中間にあるたくさんのデジタルカメラをかきわけることとなった。探索の幅をせばめるため、私にとってどの機能が最も重要なのかを見極める必要があった。すぐに思いつくことは、高い解像度が望ましいということだ。ということは、現在では、少なくとも4メガピクセルの解像度があるカメラを探すということになる。しかし、それだけでは、探索範囲はほとんど変わらなかった。

そこで、私は項目を並べ立てることにした。どんなときでもオートフォーカスモードだけしか使えないということのないよう、何らかのマニュアルフォーカス機能は欲しい。それに関連して、思い切ったクロースアップを撮影しようとしてもレンズとカメラのプロセッサがおかしなピントに合わせることのないよう、ちゃんとしたマクロ機能も欲しい。同時に、私は動物などを離れたところから撮影することになるのだから、ズームもしっかりしたものが欲しい。さらに、ある程度の連写速度も欲しい。ほとんどのデジタルカメラ、特に高解像度の機種では、画像を補足し、メモリカードに保存し、次の画像の準備ができるまでに時間がかかるので、連写速度は、見落としがちだが重要な問題となる。ライオンに向かって、カメラがピクセルを消化するまで動かないでくれと言うわけにもいかないし、子供たちに言ったって聞いてくれはしない。

大きさも重要だ。実際、Larry の電子ブックにも、呼び物の機能を詮索する前に、大きさと使い勝手について考えるのが良いと、ちゃんと書いてある。なぜならカメラというものは、シャッターボタンを押すよりもずっと頻繁に、持ち運んで、構えて、そして調整ボタンを操作しなければならないものだからだ。ボタンが画面上に表示されたり、エルゴノミクスが貧弱だったりして、フラストレーションを感じるようでは、どんなに多くの機能で飾り立てられているとしても、そのカメラは結局家に置いて行かれることになる。何年もコンパクトカメラを使ってきたので、ポケットカメラよりは大きいけれど、バックパックやショルダーバッグに放り込め、そしてすばやく取り出せるほどには小さいものが欲しいと思った。

ミッドレンジのデジタルカメラというのは、各メーカーが昨今の「差別化機能拡張競争」に勝ち残るため、思いつく限りのありとあらゆる機能をつめ込むものでもある。そこで、私は無視できる機能の短いリストも作った。例えば、デジタルズームは役に立たないし、PictBridge 対応機能は、それに対応するフォトプリンタを持っていれば良いものだろうが、私はそういうプリンタを持っていない。デジタルビデオカメラの小さいものを持っているのでビデオ機能も要らないし、内蔵エフェクトは願い下げだ。

最後に、特定のカメラメーカーが一番だと思っている人もいるけれど、私はこだわらない。私は Canon のモデルから調べ始めたけれど、それは、これまでCanon の製品でいい思いをしてきたからだ。私の S200 はいまだによく働いているし、その前に購入した S100 は、誤って川に落としてしまったことがあるというのに、今でもそれなりの写真を撮ることができる。

選定と購入 -- 私は、コンピュータマニアらしく、オンラインで検索してみた。Digital Photography Review などのウェブサイトには、現行モデルについて、頭がクラクラするほど詳細なレビューが掲載されていて、写真家たちがどのモデルに興味を持っているかを知る、良いバロメータになる。私が Canon PowerShot S2 IS に出会ったのは、そんなときだった。

<http://www.dpreview.com/>
<http://www.dpreview.com/reviews/canons2is/>

すると、私の同僚で、TidBITS の寄稿編集者でもある Glenn Fleishman が、1つ前のモデルである PowerShot S1 IS を持っているということが分かって、私はカメラ購入における価値ある一手を加えることができた。つまり、友人や家族から実体験を得ることができたのだ。S2 はいくつかの面で S1 から改良されている。例えば、解像度が高くなり、連写速度も速くなっている。筐体のスタイルは同じで、私が要求する大きさとエルゴノミクスに適合しており、右側の丸くなったグリップは私の手にぴったりだ。

Glenn のカメラで遊び、レビューを読み、S2 で撮影したサンプル画像をオンラインで見て、私はこれを購入することにした。ここでもまた、Larry のアドバイスが役に立った。オンラインの価格比較サイトをいくつか使い、提示価格である 500 ドルの半値で販売している販売店を見つけた。しかし、私は不安に感じた。私はその販売店になじみがなかったし(購入者の評価はなかなか良かったが)、ほかのほとんどの販売店は、このカメラを提示価格そのままで売っているか(買い手を引きつけるために値下げをする必要がないというのは、このモデルが人気がある証拠だ)、在庫切れかのどちらかだったからだ。おそらくは、この安売り店で購入してもよかったのだろうが、良い話に過ぎるように思えたので、私はおびえてしまった。

そこで、私は dealmac.com に向かい、“ S2 IS” についてのお知らせを送ってもらうよう設定した。すると数週間後、Dell のオンラインストアがこのカメラを取り扱っていて、割引クーポンと無料配送サービスがあり、その結果価格が 350 ドルほどにまで下がるという電子メールが届いた。私はそれに飛びつき、ついでに 512 MB SD メモリカードも2枚購入した。

<http://www.dealmac.com/>

優先項目と現実 -- さて、ついに製品を手に入れたところで、私の優先項目リストは満たされただろうか。

S2 の解像度は 5 MP で、私にとっては十分すぎるほどだ。写真を撮ってみると、きれいで鮮明だ。(そのうち何枚かは、私の Flickr サイトで見ることができる。それぞれの画像のメタデータに、使用したカメラも記録されているので、写真ページの右の欄を見れば、どの写真が S2 で撮ったもので、どれがそうでないかが分かる。)写真にかなりの量のノイズが入ることがあって驚いたが、再び Larry の電子ブックが期待に応えてくれた。ノイズというのは、ISO感度が高いときに生じやすい。私は高感度撮影をテストしたあと、ISO 感度をリセットするのを忘れていたのだ。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/>

マニュアルフォーカスについては、鏡筒の周囲にフォーカスリングがあるものに比べればスムーズではないが、ボタンがよく考えられた位置についている。このボタンは鏡筒の左側面(より正確に言うなら、レンズの突起)にあって、左手でそれを押しながら、右手の親指でカメラ後面の4方向ロッカースイッチを操作することができる。上方に押せば焦点距離が長くなり、下方に押せば短くなる。便利な(とはいえ少し物足りない)画面拡大機能で、ピントを確認できる。

マクロ機能は、信じられないほどすごい。Super Macro モードを見てみると、仕様によれば、0.0 インチ離れた被写体にピントを合わせることができる。写真を撮ろうとするものにぶつかってレンズを傷つけないようにと、Canon がわざわざ注意しているほどだ!

12 倍光学ズームも素晴らしい。私の S200 が 2 倍ズームなのと比べればなおさらだ。私の Flickr サイトでは、私のオフィスのそばにある Lenin 像を、1区画ほど離れたところから最大ズームで撮影した写真を掲載している。S2のズームでもう1つ良いところは、ズームインしても鏡筒が前にせり出さないということだ。撮影モードになると鏡筒が一定の長さまで伸び、ズームするとレンズがその範囲内で調節される。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/45674756/>

連写速度も、1.6 秒と、これまた素晴らしい。私は、データフローを妨げないように、高速メモリカードに追加の出費をすることを忘れなかった。この機能のおかげで、気付かないうちにカードを一杯にしてしまいかねないので、気をつけなければならないだろう。

もう1つ、このカメラを手にしてはじめて、あってよかったと感じた機能がある。私の S200 や妻の Canon PowerShot S50 では、カメラの電源を入れると自動的に、いつでもフラッシュが使用可能になる。しかし、大抵の場合、フラッシュは明るすぎて、画像をかき消してしまうか、あるいは前景の被写体と背景とのあいだのコントラストが高くなりすぎるかだ。S2 には、フラッシュの明るさを調節する設定があるだけでなく、フラッシュを使うにはフラッシュ部分を手で物理的に持ち上げる必要がある。そのため、撮影の前にいちいちフラッシュをオフにする必要がない。

終わりに -- このカメラを購入してから何ヶ月か経つが、私はこれが気に入っている。それも、Larry が私の疑問にすべて答えてくれる本を書いてくれたおかげだ(私がこの本の編集を買って出た第1の理由はこれだ)。私はこの記事を、南アフリカに向かう機上で書いているから、これまでの調査と実験が報われるかどうかは、じきにはっきりするだろう。当地でのインターネットアクセスがゆるせば、私は Flickr サイトに写真をアップロードするつもりだ。 お楽しみに!


Take Control ニュース/05-Dec-05

文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Take Control の注文が PayPal にも対応 -- 私たちの友人でもある eSellerate がショッピング・カート機能をアップグレードしてくれたお陰で、Take Control 電子ブックの注文に際して PayPal による支払いを受け付けることができるようになった。注文のプロセスは以前とほとんど変わっていないが、Billing Info スクリーンでクレジットカードによる支払いと PayPal による支払いのどちらかが選べるようになった。PayPal ラジオボタンを選ぶとクレジットカードのフィールドが消え、そこで Continue Checkout ボタンをクリックすれば、最初に PayPal ログイン画面が表示され、次に PayPal 認証画面に移り、それから eSellerate カートの Confirm Order 画面に戻って注文作業が完了できるようになる。という訳で、オンラインアイテムの購入を PayPal アカウントのお金で決済したい方、あるいは以前にクレジットカードを使ってトラブルを経験した方は、次回の注文からどうぞこの新しい PayPal オプションをお試し頂きたい。

“ Take Control of Podcasting on the Mac” リリース -- 自分だけのポッドキャストが作れると考えただけでも興奮するのだけれど、実際にどこに手をつければよいのか、どうすればうまく事が運べるのか、そういうことに何か助言が欲しいとお思いの方は、私たちの最新刊の電子ブック“Take Control of Podcasting on the Mac”で一から十まで手引きを受ければもう安心、あなたもポッドキャスティングの時流に乗ることができる。長年のポッドキャスターでもある Andy Williams Affleck の手によって書かれた“Take Control of Podcasting on the Mac”は、あなたの手を取ってスタートからゴールまで、ポッドキャスティングの成功に至る道を導いてくれる。Andy はまずあなたが番組のトピックやフォーマットをじっくり考え、磨き上げて行けるように、最高のオーディオギアを揃えられるように、そして人気のある四つのプログラム、Audio Hijack Pro、GarageBand、Audacity、それに SoundStudio を使って録音する際それぞれの長所と短所を理解できるようにお手伝いする。これらのプログラムそれぞれに、どうやって録音するかについてステップ・バイ・ステップの説明がある。また、あなたの録音をどうやって編集するか、追加のオーディオをミキシングしたり、余計な音を消したりする方法の解説もある。それから Andy はあなたのポッドキャストファイルをどうやって(何のために)エンコードしたりタグ付けしたりするのかも説明してくれる。最後に、ポッドキャスト出版用ツールの選び方や、帯域幅のコストを巡る重要なアドバイス、それにあなたのポッドキャストを宣伝するための七つの方法までも語ってくれる。この電子ブックは単体では $10 で、“Take Control of Recording in GarageBand”と組み合わせれば $17.50 のバンドル価格で入手できる。

<http://www.takecontrolbooks.com/podcasting-mac.html?14@@!pt=TRK-0029-TB807-TCNEWS>

“ Take Control of Apple Mail in Tiger” リリース -- もしもあなたが Tiger で Apple の Mail を使っているなら、そしてこれをもっと能率的に使いたい、あるいはこの挙動に納得が行かない、と思っているのなら、私たちのもう一つの最新刊の電子ブック“Take Control of Apple Mail in Tiger”をぜひお読み頂きたい。もはや並ぶもの無き Joe Kissell の手になるこの電子ブックは、あなたが Mail 2.0 に関して必要とすべき手引きをまさにドンピシャリで提供してくれる。

Joe は何ヵ月も前から、この電子ブックを前回彼が Panther での Mail について書いた電子ブックへのアップデートとして書き綴ってきた。その作業の中で、彼はいろいろな新機能について綿密に調べ尽した。Spotlight での検索、インターフェイスの変更、スマート・メールボックスのベストな使用法、Mail が HTML をサポートするようになったのは現実的には結局どうだったのか、ミーティング招待機能の使い方は、Mail で .Mac を使うには、等々の点だ。こうして Joe が書き進めるにつれて(実際彼は書いて、書いて、書きまくった)彼が新しく書き加えた分だけで 80 ページを上回ることになり、今回の電子ブックの総ページ数は何と 184 ページ、これがすべてきちんと系統立てられて、あなたがこのソフトウェアを楽しく、能率的なやり方で使いこなし、あなたの作業をてきぱきとこなせるようになるために必要な、まさにそのための情報が満載された本になっているのだ。

Mail のサポートするいくつかの異なった電子メールプロトコルについて、新規のアカウントを設定するために最適な方法のいくつかについて、メッセージやアドレスの読み込み方法について、Mail のペアレンタル・コントロール機能の使い方について、この本で学べる。でもそれは単なる始まりに過ぎない。次に Joe は、どうやって受信済みメールの表示をカスタマイズして多数のメッセージを素早くブラウズできるようにするか、受信済みメールの表示スタイルをどうコントロールするか、添付された写真をどうやってスライドショー表示するか、ミーティング招待にどう返事するか、Spotlight でどのようにしてメッセージを検索するか、スマート・メールボックスでメールを整理するにはどうすればよいか、と話を進める。それから、話はメールの送信に移る。メッセージに素早くアドレスを付ける方法、添付ファイルを送るトリック、それに Mail の新しい HTML サポートに関する情報もある。また、ルールに関しての七つの鍵となるアドバイスや、スパムフィルタやアドレス補完のために使われる Previous Recipients リストを改善させるための五つの方法、そしてスマート・メールボックスについての六つの提案も付いている。それだけではない。ソフトウェア機能の話の枠を越えて、Joe は接続の不調に対する解決法や、破損したメールボックスの修復、さらには Spotlight 検索の正確度を上げるためのテクニックまで語ってくれる。用語索引も充実しており、電子ブックの最後には 11 ページにわたる Mail 関係製品のリソースリストもある。

この電子ブックは単体では $10 で、また Tiger 用にアップデートされたばかりの“Take Control of Spam with Apple Mail”と組み合わせれば $12.50 のバンドル価格で入手できる。出たてほやほやのこの二冊、両方ならお買得です!

<http://www.takecontrolbooks.com/tiger-apple-mail.html?14@@!pt=TRK-0028-TB807-TCNEWS>
<http://www.takecontrolbooks.com/spam-apple-mail.html?14@@!pt=TRK-0005-TB807-TCNEWS>

“ Take Control of Spam with Apple Mail” アップデート -- バージョン 1.2 のアップデート版“Take Control of Spam with Apple Mail”もリリースとなった。今回のアップデートでは Tiger 版の Mail にも対応し、さらにはスパム対抗ソフトウェアのアップデート版に関する情報や、スパムを減らすための他の方法についても検討を加えている。今回のアップデートは従来版のオーナーの方には無料で、入手するにはお持ちの電子ブックの Check for Updates ボタンをクリックして頂きたい。最も重要な変更点のみを以下に挙げておこう:

まだ“Take Control of Spam with Apple Mail”を読んでいない方で、Apple Mail の Junk Mail フィルタが思ったほどうまく働いていないと感じている方は、ぜひ今すぐこれをお読み頂きたい! あなたの Inbox にスパムが一杯、という状態を我慢する必要は、全然無いはずなのだから。

<http://www.takecontrolbooks.com/spam-apple-mail.html?14@@!pt=TRK-0005-TB807-TCNEWS>


TidBITS Talk/05-Dec-05 のホットな話題

文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。

アンチウイルスの防御は必要か? -- PC の世界で見られるようなウィルスの問題は、Mac には無い。では、Mac ユーザーはアンチウィルスのソフトウェアなんて、持たなくてもよいのだろうか? (メッセージ数 21)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2795>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/640/>

キーボードでアプリケーション切替 -- 年末ギフトの提案として LiteSwitch が挙がったことで、キーボードによるアプリケーション切替についての議論が盛り上がった。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2806>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/651/>

ブログ、wiki、フォーラム -- ブログと wiki と討論フォーラムと、どういう場合にどれを使い分ければよいのだろうか? (メッセージ数 3)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2791>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/636/>

空港で電源を探す方法・使う方法 -- TidBITS Talk 読者たちが、PowerBook の電源アダプタの話題を、空港で電源をどうやって見つけるか、という議論へと進化させる。(メッセージ数 12)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2802>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/645/>

デジタル写真の参考書 -- デジタル写真についてどんな本を読むのがよいか、TidBITS Talk 読者たちからいろいろな提案が寄せられる。(メッセージ数 7)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2792>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/637/>

音楽ファイルの変換 -- オリジナルの AAC ファイルを MP3 の CD に焼くことができないという苦情を発端に、いろいろな音楽ファイルフォーマットとその変換について議論が起こる。(メッセージ数 8)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2794>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/639/>

PowerBook を不正な使用から保護 -- あなたの PowerBook を完璧に安全に保つには、どうすればよいのだろうか? (メッセージ数 3)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2801>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/646/>

オーディオブックの適正なフォーマットは -- オーディオブックを CD にリッピングするには、どのエンコード設定がベストだろうか? (メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=2798>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/639/>


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Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳

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