電話会社やケーブル会社、携帯電話の会社やインターネットプロバイダ、これらの会社は皆ほとんど同じことをしているんじゃないかという気がしているなら、その感覚は正しい。Glenn Fleishman が、通信業界でますます集中化が進んでいる現状について探究する。一方 Andrew Laurence は、エレガントなデザインの Sonos Digital Music System を使って一人でジャズを聴くことに無上の喜びを感じている。Apple は記録的な四半期業績を発表したが、利益のうち 60% は iPod やその他の音楽関係のものだった。ニュースの部では、Apple が Mac OS X Universal ロゴを発表して Universal Binary プログラム識別のために開発者たちが使えるようにした。
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Apple が Mac OS X Universalロゴプログラムを発表 -- Intel Core Duo ベースの出荷済み iMac とそれを近々フォローする MacBook Pro に合わせて、Apple は、開発者が universal binary なプログラムを識別させるために利用できる新しいロゴプログラムをアナウンスした。universal binary とは、PowerPC と Intel の両方のコードを持っているプログラムのことだ(Apple の Rosetta テクノロジのおかげで、大半の PowerPC オンリーなプログラムも Intel ベース Mac で動くだろうが、パフォーマンスはそこそこだ)。Mac OS X Universalロゴプログラムはライセンス契約を結ぶ必要があり、利用のガイドラインは非常に詳細だ。なので、私はApple の法務部門の怒りを買う危険を冒してまで TidBITS のウェブサイトでそのロゴを使う気にならない。その代わり、どうぞ Apple のサイトでチェックしてみて頂きたい。これから数ヶ月のうちに、私たちの使うソフトウェアのますます多くが universal binary バージョンへの移行を始めるにつれて、皆さんはこれを目印にしていくことになるのだから。 [ACE](笠原)
<http://developer.apple.com/softwarelicensing/agreements/maclogo.html>(日本語)Mac OS X Universalロゴプログラム
Disney と Pixar が合併? 私は現在話題沸騰中の Disney と Pixar との合併の可能性について何一つインサイダー情報は持っていないのだが Washington Post がコメントを求めてきたので答えた。それはいい記事で、Mike Musgrove が締めくくりに私の言葉を使ってくれたので、ここに転載しよう:
しかしながら、Jobs にとって Disney での重要な役割は彼の野望をいくらかでも満足させるだろうとアナリストはいっている。影響力のある Mac ニュースサイト TidBITS の発行人である Adam C. Engst は言う、「地球規模のトップブランドの一つである Disney に繋がることが Jobs にアピールしたであろうことは理解できる」と。
「Jobs は世界を変えたいと思っている。彼にとって金は問題ではないのだ」とEngstは言う。「世界を変えるということについてもうコンピュータは必要ではない...大衆文化こそが世界を変える手段なのだ」
<http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/01/19/AR2006011903190.html>
文: Geoff Duncan <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
いよいよ、公式な話となった: Apple は、もはやコンピュータ会社ではない。
Apple は先週、2006 年度の第1四半期の財務業績を発表し、この四半期で 57億5,000万ドルの売上高と 5億6,500万ドルの純利益を計上したと報告した。これは前年同期の業績に比べて売上高で 65% の増加となるが、売上総利益率は前年同期の 28.5% から 27.2% へと減少した。この四半期の米国市場以外の売上比率は 40% だった。売上高も利益も、同社の創業以来最高の四半期業績となる。
<http://www.apple.com/pr/library/2006/jan/18results.html>(日本語)アップル、第1四半期の業績を報告
もちろん、Apple はまだ Mac を作っている。同社はこの四半期中に 120万台以上の Macintosh コンピュータを出荷し、2005 年度第4四半期の結果とほぼ同じ、また前年同期と比べれば 20% の増加となった。前の四半期から売上げが増えなかったのはなぜだろうか? アメリカ国内での売上げと、ポータブル製品関係が今期は特に弱点だった。ノートブック製品ラインは古びた感じを否めなかったし、また Apple が PowerPC から Intel プロセッサに切り替えようとしているのが公に知られていたために、新しい Intel ベースの製品の詳細が明らかになるまでは購入を控えようという顧客がいたことも間違いない。(念のために書き添えておくと、Apple はついこの間の Macworld San Francisco で Intel パワーの iMac と MacBook Pro ポータブル機とを発表したばかりだ。)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08392>(日本語)Intel ベースの iMac と MacBook Pro、予想より早く出荷
しかしながら、売上げの観点から言えば、iPod のサクセス・ストーリーはまだまだ開花の途中だ。同社はこの第1四半期中に 1,400万台以上の iPod を出荷し、これは 29億ドルの売上げにあたる。この数字が重要なのは、iPod の売上げのみで Apple の四半期売上高のほぼ半分を占めているからだ。その上にその他の音楽関係の製品やサービス(例えば iTunes Music Store など)から来た金額を加算すれば、Apple の iPod および音楽関係のビジネスがこの四半期に Apple の売上高のおよそ 60% を占めたことになる。この四半期は、Apple のコンピュータ以外のビジネスが、初めて同社のデスクトップ、ノートブック、ソフトウェア、周辺機器およびサービス提供などによる稼ぎを上回った記念すべき時となった。
今後を見渡せば、Apple は第2四半期の売上高を 43億ドル程度と見込んでいる。この控え目な数字が出たために Apple の株価は時間外取引でかなり下がる羽目になった。このような用心深い売上高予想となった理由としては、ホリデーの買物シーズンが終わったので iPod の売れ行きも一段落するだろうと考えられること、また Intel ベースの機種が導入される前なので Macintosh の売れ行きも止まるだろうという考えもある。アナリストの中には、この会社がデジタル音楽プレイヤーという波風の立ちやすい市場からの収入にあまり頼り過ぎるのは避けた方がよいと警告する者もいる。
文: Andrew Laurence <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
Sonos Digital Music System など知ったことか。値段が高すぎる。
あなたが iPod 用のスピーカを探しているだけならば、この記事が読み飛ばされてしまったとしても、悪く思ったりはしない。しかし、もしもあなたが、テラスとダイニングルームにスピーカを据えつけて、それらをすべてリビングルームのハイファイにつなぎ、ついでに壁にはしゃれたボリュームコントールを取りつけたいというようなことを、一度でも考えたことがあるなら、新しいコーヒーをいれて、腰を落ち着けてほしい。
本当にこんなにたくさん機能が必要なの、と思わせる ZonePlayer ZP100 が500 ドル、どうして今までこういうものがなかったの、と思わせる無線コントローラ Controller CR100 が 400 ドルということになれば、そもそものデジタル音楽が置かれているコンピュータよりも、Sonos の方が高価になるかもしれない。Sonos のシステムは、現在販売されている音楽ストリーミングシステムの中でも、群を抜いて完成されている。ユーザがすでに何かを持っていることを前提にしたり、デジタル音楽が特定のフォーマットで保存されていることを前提にすることなく、完全なソリューションを提供しようと、果敢に問題に取り組んでいる。MAC アドレスやら WEP キーやら IP アドレスなどとうるさいことを言わなくとも、そのまますぐに使うことができる。私はこれまで、様々な音楽ストリーミングソリューションを見たり、それについて記事を書いたりしてきたが、妻に向かって「おい、こいつはすごいよ」と言ったのは、この製品が初めてだった。
非凡なハードウェア -- Zone Player ZP100 は、技術の粋を集めた製品で、驚くほど野心的だ。Zone Player は、簡単に言ってしまえば音楽再生装置で、単独で音楽システムとして機能するよう設計されており、既存の機器とも統合できる。1つの部屋でこれだけを使って音楽を聞きたいなら、8オームのスピーカを1組つなげばよい。ZonePlayer には、バインディングポストと、50ワットのクラス D アンプが付いている。デジタル音楽をハイファイに送りたいなら、RCA 可変レベル出力ジャックを使えばよい(サブウーファー用のプリアウトもある)。Sonos 配信システムにアナログ機器を追加したいなら、ラインレベル RCA 入力端子もある。ZonePlayer には4ポートの 10/100 Mbps スイッチングハブが内蔵されており、1台目の ZonePlayer は有線 Ethernet でネットワークにつなぐことになる。Sonos のすべての機器は、Sonosnet と呼ばれる、専用の閉じた無線メッシュネットワークに参加する。つまり、このネットワークの中では、すべての機器がブリッジとしてもアクセスポイントとしても機能する。(Sonosnet は 802.11g に基づいており、同じ周波数帯を使うが、ほかの機器と干渉しないよう、最も使われていないチャネルを自動的に選択する。私が使ったところ、802.11g ネットワークにも、2.4 GHz コードレス電話にも、影響は感じられなかった。)
ZonePlayer の筐体はグレーのプラスチックとアルミニウムの組み合わせで、Mac mini を思い起こさせる。大きさは 10.2 インチ× 8.2 インチ× 4.4 インチ(25.9 cm × 20.8 cm × 11.2 cm)で、重さは 10 ポンド(4.5 kg)、無音で動作する。前面の3つのボタンでボリュームとミュートを操作し、ほかのすべての機能は、手持ち式の Controller か、ソフトウェアの Desktop Controller から操作する。外見は美しいが、同時に繊細で、背景に溶け込む。目に付くところ(来客や配偶者の目に留まるところ)に躊躇なく置いておけるし、本棚や戸棚に収めても、安物機器のように冷却が必要ということもない。そのような細かいことに頭を悩ませることのないよう、巧みに設計されている。
<http://www.sonos.com/products/zoneplayer/>
手持ち式の Controller CR100 も同様に、形態と機能の両面で際立っている。3.5 インチ(8.9 cm)320 × 240 ピクセルの明るいカラー液晶画面に表示されるグラフィカルインターフェースは、色は鮮やかでアイコンは華やか、アニメーションは滑らか、レイアウトはすっきりとして、iPod や TiVo と組み合わせたらどうなるだろうかと考えずにはいられない。9つのバックライト付きボタン(PowerBook 風の気の利いた環境光センサー付き)で音楽の再生やメニューの選択ができ、さらに、画面上の項目にしたがって機能が変わる「ソフト」ボタンも3つある。iPod 風のスクロールホイールには選択ボタンも付き、音楽ライブラリの中をすばやく探し回ることができる。Controller に内蔵されたリチウムイオン電池は、2時間ほどで充電でき、次の充電が必要になるのは数日後だ。同梱の AC アダプタでも充電できるし、充電クレードルも50 ドルで別売りされている。(私が試したところでは、この電池は、前回充電したのがいつだったか思い出せないほど長持ちする。1週間とまではいかないが、四五日は持つ。Sonos によれば、2日から5日ということだが、それはおよそ正しいようだ。)Controller は、ユーザが指定した時間以上操作されないと、スリープする。加速度計が内蔵されているので、持ち上げると瞬時に起きる。長時間操作しないとディープスリープモードに移り、この場合も加速度計で起きるが、起きるのには数秒かかる。
Sonos によれば、Controller は耐水仕様で、すべてのすき間はパッキングでふさがれているという。私は、この主張をわざわざ検証しなかったが、水があるところで使うのも躊躇しなかった。頑丈な作りとゴムの外装を見れば、ことさらていねいに扱う必要はないとすぐに分かる。(しかし私は、よちよち歩きの子供が踏みつけかねないところに置いておくつもりもない。万一そういうことのないよう、キーロック機能があるとよいと思う。)底面のゴムに少し粘着性のあるのが、気が利いている。Controller をカウンターの上に放り投げても、驚いたことに、ほかのリモコンのように滑っていったりはしない。その場にぴったり着地する。
<http://www.sonos.com/products/controller/>
Sonos は一般的な音楽フォーマットのほとんどに対応している。AAC、AIFF、FLAC、MP3、Ogg Vorbis、WAV、そして WMA だ。インターネットラジオ局と、RealNetworks の Rhapsody サービスにも対応している。(このレビューではRhapsody のテストはしなかった。)Apple 製でないストリーミング製品はすべてそうなのだが、Sonos も iTunes Music Store で購入した音楽には(ほかのフォーマットに変換しない限り)対応しない。Apple の FairPlay デジタル著作権管理技術は、AirPort Express(日本では AirMac Express)以外のすべてのストリーミングソリューションを締め出している。
Sonos 流音楽の楽しみ方 -- 私がテストしたのは、2つの ZonePlayer と1つの Controller で構成される、2部屋用のスターターシステム(1,200 ドル)だ。ZonePlayer の1つをリビングルームに置き、RCA 出力ジャックからステレオシステムに音楽を送り、RCA 入力で DirecTV 受信機から音声を取り込んだ。もう一方の ZonePlayer はダイニングルームに置き、戸棚の上からブックシェルフ型スピーカを駆動させた。さらに、iTunes ライブラリを Sonos で聞けるようにするため、Sonos Desktop Controller アプリケーションをインストールした。Desktop Controller が音楽フォルダの場所をきいてくるので(音楽フォルダは複数作ることができ、それらは異なるサーバ上にあってもよい)、システム環境設定の Windows 共有を使って、ネットワークから音楽フォルダにアクセスできるようにする。(Sonos は SMB ファイル共有を使って音楽ライブラリにアクセスする。SMB に対応した機器なら、Mac だろうと、Windows や Linux であろうと、ネットワーク接続ストレージだろうと、ほとんどすべての機器にアクセスできる。)音楽を配信する準備が整ったら、2つの ZonePlayer をリンクしなければならない。そのためには、ZonePlayer でボタンを2つ押して、Desktop Controller で Add ZonePlayer を選択する(これは手持ち式 Controller からもできる)。ZonePlayer が利用可能になり、音楽ゾーンとして名前が付けられたら、さあ、パーティーの始まりだ。
音楽を演奏するのも、ZonePlayer を操作するのも、どちらも手持ち式の Controller から簡単にできる。インターフェースは明快そのもので、表示は明るくくっきりとして、ボタンを押したときの感触も素晴らしい。Mute、Play/Pause、Next、Back の各ボタンは、名前から予想される通りに機能する。スクロールホイールを使えば、広範なライブラリでも効率よく探し回れる(Sonos の Power Scroll にはボーナス点をあげたい。これは、アルファベットごとにスクロールするためのソフトボタンだ)。Select ボタンは、もちろん、その時点でハイライトされている項目なら何でも選択できる。
Zones ボタンを押すと、音楽ゾーンのリストが表示される。Controller は、ZonePlayer の無線が届く範囲にある限り、Sonosnet 上のどの ZonePlayer でも操作できる。それぞれのゾーンで独立した楽曲リストを演奏することもできるし、複数のゾーンを、同じ音楽を演奏するようにまとめることもできる。Party Mode では、すべてのゾーンが1つのリストを演奏するので、家中どこでも同じ音楽が聞ける。
音源として使えるのは、Music Library(コンピュータの中に作る)、Sonos Playlists(保存された楽曲リスト)、インターネットラジオ、そして ZonePlayer のライン入力だ。Music ボタンを押すと、現在のゾーンの楽曲リスト画面と、Now Playing 画面とが切り替わる。Now Playing 画面には、お決まりの曲の情報、つまりタイトル・アーティスト・アルバムの情報と、アルバムアート(もしあれば)が表示される。ライン入力音源から演奏しているときは、入力を受けている ZonePlayer の名前とアイコンが表示される。
率直に言って、Sonos 体験は極上だ。インストールと設定はあっという間に苦もなく終わり、音質も素晴らしい。それぞれの部屋で、同じライブラリから異なる曲を演奏し、それを Controller で家のどこからでも操作できるというのは、とても楽しい。それぞれのゾーンが同期して一緒に演奏するのが愉快なことと言ったら、私の父が家中のすべてのラジオで野球中継を流したとき以来の楽しさだ。ただ1つそのときと異なっているのは、レコードのコレクションすべてが Sonosnet で「放送」されているということだ。
私が気に入っている Sonos の使い方は、ライン入力音源から音楽を演奏するというものだ。このシステムをテストしている最中、DirecTV が音楽チャンネルの供給元を XM Radio に切り替えた。私が台所で夕食を作っていると、多くの日に XM の "Real Jazz" 局を(リビングルームに置いた ZonePlayer のライン入力から)聞くことができ、一方そのころ妻と息子は、息子がお気に入りの Sesame Street の音楽(CD から MP3 に落とし、ダイニングルームの Mac mini に保存したものを、Sonos の RCA アナログ出力からステレオに送って演奏する)を、リビングルームで聞くというわけだ。極楽極楽。
(置き換えられる)部分の合計以上のもの -- 私がこの製品のレビューを始めたときは、Sonos がつけた価格はいったいいかにして正当化できるのだろうかと疑問に思っていた。しかし、このシステムとともに暮らしてみて、これはひょっとして最も安価な音楽配信ソリューションかもしれない、少なくとも最も理解しやすいものだと思うようになった。
私は、ダイニングルームに壁埋め込み式のスピーカを設置したり、テラスと車庫にスピーカを吊るしたりしたいと考えたことがある。それにはどれだけの費用がかかるか、非常に簡単な構成(スピーカとケーブル、そしてスピーカ切り替え器)から、非常に本格的な構成(それぞれに独立したアンプとボリュームコントロールを付ける)まで試算してみた。選択肢はみるみる膨れ上がり、費用は考えるのもいやになった。このような大混乱のさなかでは、Sonos が大いに意味を成す。必要なものは、1台の ZonePlayer と1組のスピーカだけだ。(8オームのスピーカなら何でもよい。Sonos はブックシェルフ型スピーカも1組 180 ドルで販売している。)実際、私の家の近くの量販店 Best Buy では、Sonos を音楽配信界の出場選手だと考え、プロレタリアートのコンシューマ向け機器の棚に並べるのではなく、ブルジョワのホームシアター売り場に展示している。Sonos の1部屋あたり 500 ドルという価格は、一見すると高価なようだが、すべての問題(ケーブル接続、アンプ、ボリュームコントロール、リモコン)が一挙に解決することを考えれば、この価格はとても魅力的に感じられる。
それに加え、すべての ZonePlayer ZP100 には4ポートの 10/100 スイッチングハブが内蔵されており、Sonosnet は既存の IP ネットワークをそのハブにトンネルする。つまり、すべての部屋で、突如として有線 Ethernet が開通するのだ。これは本当に役に立つボーナスだ。
雑音も少し -- すべてのソリューションがそうであるように、Sonos にも不備がないわけではない。私が 2005 年 11 月にテストしたシステムには、バージョン 1.2 のファームウェアと Desktop Controller ソフトウェアが含まれていた。アナログライン入力の音声は、圧縮しても圧縮しなくても伝送できるが、圧縮しない場合、リモートの ZonePlayer では半秒ほどの遅れが生じ、混乱させられる。圧縮すれば、遅れは 75 ミリ秒まで短くなる(部屋のあいだのドアのところに立たない限り、この遅れには気がつかない)。このバージョンでは、楽曲リストの曲順を変えることもできない。最後に、ZonePlayer ZP100 は、すでにハイファイステレオが置いてあり、アンプにスピーカがつながっているような部屋には、理想的とは言えない。
しかし、1 月の Consumer Electronics Show で、Sonos は新しいハードウェアとバージョン 1.3 のファームウェアおよび Desktop Controller ソフトウェアを発表した。新しい ZonePlayer ZP80(今春出荷予定)は、アンプ内蔵機器と組み合わせて音楽を再生するためのものだ。ZP80 にはデジタルオーディオ出力が付き、ZP100 にあったアンプとスピーカジャックがない。これは物理的にも小さく(5.4 インチ× 5.5 インチ× 2.9 インチ、13.7 cm × 14 cm × 7.4 cm)、価格も、より求めやすい 350 ドルになる。バージョン 1.3 では、ラインレベルのアナログ出力ができるようになるほか、アルバムアートの全画面表示と、Apple Lossless および Audible 両フォーマットへの対応が追加され、さらに、リストの曲順が変更できるようになった。このバージョンはすべての ZonePlayer 製品に対応する。
<http://www.sonos.com/support/software_updates/>
<http://www.sonos.com/products/zoneplayer/zp80/>
要約すれば -- Sonos 製品が購入できるのは、Sonos のウェブサイト、様々なオンライン販売店、Tweeter、Best Buy の一部の店舗、そして高級ステレオショップだ。この製品は、簡単に言うなら、私が知る限り最高のデジタル音楽システムだ。Ferris Bueller の言葉をもじって言うなら、もし必要と資力があれば、お一つ手に入れることを強く勧める。
[最近2児の父になった Andrew Laurence は、Big Bird ではなく Miles Davis が与えられる境遇を、じっくり味わっている。]
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>
一昔前までは、電話会社がダイヤルトーンを供給し、ケーブル会社がテレビ局の番組と専用チャンネルを提供し、インターネット接続業者は電話線を利用したモデムを通じてサービスを提供していた。けれども最近の出来事を見渡せば、そんな日々がもはや遠い、遠い過去のものになったのは明らかだろう。
もちろん、皆さんは多くの異なった会社がケーブル線や電話線、あるいは電波(Wi-Fi やその他数多くの規格がある)を使って高速のインターネットアクセスを供給していることをご存じだろう。また、いろいろな電話会社が世界各地でケーブルテレビに似たサービスを提供していたり、アメリカ合衆国の国内では厳しい規制の網を潜って非常に高速の DSL あるいは fiber-to-the-home (FTTH) を使ったサービスが広く浸透していることも、ご存じかもしれない。さらには、国内の一部の地域においてケーブル会社が電話サービスを売り物にしていることさえあるのをご存じの方もおられるかもしれない。
明らかでないのは何かといえば、それはこれらの変化がどの程度の速さでこれから進行するのかということだろう。
ケーブル会社が電話に -- いくつかのメジャーなケーブル会社(“multiple systems operators”の略で MSO と呼ばれる)が最近 Sprint Nextel(米国内第三位の携帯電話会社)との間で、携帯電話サービスをケーブル会社の顧客に再販する契約に調印した。一つの請求書の中に何個ものサービスを盛り込むことで、別途の請求口座を保つための料金が月額にして最大 $20 も節約になる。各社にしてみれば、これによって可能となる相乗効果を狙うのも当然の成り行きというものだろう。
<http://www2.sprint.com/mr/news_dtl.do?id=8961>
けれどもこれは単なる請求書の金額だけの話ではない。ケーブル各社は自分の所有するテレビ番組を Sprint PCS 部門にライセンス供与して、第三世代 (3G) 携帯電話ネットワーク上で新型の携帯電話にストリーム配信し、ユーザーがオンデマンドで番組を見られるようにしようとしている。
さらにその先もある。Sprint は(他の携帯電話会社も同様だが)Wi-Fi および携帯電話の規格を備えたハンドセットを提供して、ボイス・オーバー・アイピー (VoIP) やインターネット電話の一つの形である unlicensed mobile access (UMA) を供給することを検討中だ。UMA があれば、基地局を経由した携帯電話の通信をする代わりに、近くの Wi-Fi ネットワーク(主に家庭内のもの)を感知してそれに接続し、ちょっとインターネットを使いながら携帯電話会社のゲートウェイに通話を送信して電話のシステムに繋がる、ということができる。
UMA ならばより高品質の室内通話ができる。これは今もって携帯電話を悩ます問題点だ。また、UMA を使った通話ならば電話会社もずっと長時間の通話を提供できる余裕があり、そのことによって Vonage やその他のプロバイダ経由のインターネット電話に切り替えようかと考えているユーザーたちをつなぎ止められるという効果もあるだろう。ヨーロッパにおいては、既にいくつかの携帯電話システムで、顧客が家庭のネットワークを使っているか他のインターネットネットワークを使っているかを感知して、それに応じて時間課金を家庭用無料通信分かローミング用無料通信分かのどちらから引くかを使い分けている。これは UMA の場合も可能かもしれないので、家庭内の通話についてはコストを増やすことなく UMA ベースのプランが電話線に置き換わるのも夢ではないだろう。
ブロードバンドワイヤレスの展望 -- でもちょっと待て、ワイヤレスに関してはそれだけの話では終わらない! ケーブル界の巨人である Comcast は最近、その資本進出の腕を伸ばして BelAir Networks 社に出資した。BelAir は屋外用のワイヤレスブロードバンド機器を作っており、これは大都市規模のネットワークで公共向けおよび政府のアクセスを提供するために使われている。BelAir はこの出資が発表されたのと同じ日にその最新の製品を公開している。これは有線ネットワークのケーブルに直接接続できるワイヤレスメッシュのアクセスポイントで、ネットワークケーブルを既に通っている電源を使って動作できるというものだ。
<http://www.belairnetworks.com/about_belair/press_releases_view.cfm?p_id=73>
BelAir の機器をもってすれば、ケーブル会社も都市規模の Wi-Fi ネットワークに進出できる。電柱の上に既に存在しているケーブル線にワイヤレスのアクセスポイントを繋げばよいだけだ。ただしこの話にはたくさんの「もしも」が介在している。アメリカ国内においては、ケーブル会社たちは何千もの地域ごとの機関や役所などに管轄されており、それぞれに事業税を払ったり機器の仕様の制限を受けたりする見返りとして、道路や電柱などを利用する権利を得ているのだ。それぞれの管轄規約によっては Wi-Fi アクセスを許容するものもあれば、中にはこれに制限を加えるものもあり、その他にはこれについて何も触れていないものも多いかもしれない。
しかしながら、多くの都市では既に以前から公共規模の Wi-Fi ネットワークの構築に私的な会社の手を借りようという計画を進めており、ケーブル会社たちはこの既存の関係を利用しながら新しいテクノロジーを導入するという形でこの新たなネットワークを供給してゆきたいと考えているかもしれない。そうすれば、電話会社とケーブル会社とに続く第三の会社が地方のブロードバンド市場に新規参入してくる事態を食い止められるだろうからだ。現時点では、中小の都市規模のネットワークならば双方向それぞれ 1 Mbps 程度までしか想定していないだろう。これは DSL やケーブルでの通常の下り方向の速度よりはやや少ない。けれどもサービスの価格の方が今日のダイヤルアップの料金と同程度、つまり月額で $15 から $25 になったら、と考えてみよう。(ちなみに 1 Mbps は通常の上り方向の速度より 30% から 300% も高速だ。)
大都市規模のネットワークでは、いくつか、あるいは非常に多数のメッシュネットワークを採用することになると思われるが、そこにおける Wi-Fi アクセスポイントはそれぞれ独立に何らかの形のバックホールで中央ネットワークに繋がるということはしない。その代わりに、いくつかのアクセスポイントが同じチャンネルにまとめられ、個々のユーザーのためにはコンジットとして働くとともに互いの間でもデータを送り合う、という働きをすることが多い。そのうちの一つのアクセスポイントだけが中央へのバックホールに繋がって、ネットワークとの間で相互のデータのやり取りをする。メッシュの形態にもいろいろあるが、その多くで欠点となっているのが、別のメッシュネットワークに飛ぶ度にそれがバックホールに達するまで何度も同じデータが送られ続けることだ。もしも A というユーザーがアクセスポイント 1 に接続し、それがアクセスポイント 2 に接続、次いでアクセスポイント 3 に接続、そしてそれがやっとバックホールに接続するならば、ユーザー A から送られたデータの一つ一つがすべてこれらのメッシュノードの全クラスタにわたって合計三度も空間を覆い尽くさなければならないことになる。これこそが、メッシュネットワークが通常ネットワークの拡張のため、あるいは(一つのノードが故障してもアクセスが切れないよう)多重化や予備システムのために使われている一方、広大な地域をカバーすることはできないことの理由だ。
毎秒25億回の振動は安くない -- ここが Sprint Nextel が再び登場する場面でもある:この二社は単に顧客と事業を統合しただけではない、二社の持つ周波数帯も統合したのである。この二社で全国の 80% をカバーする 2.5 GHz の周波数帯のライセンスを持っている。この帯域は、Wi-Fi や Bluetooth を含む非認可帯域の裾のほんのちょっと上の周波数から始まっており、元々は教育機関や遠距離学習向けに認可されていたものである。ここは美しいそして殆ど使われていない広帯域の空間である。(認可周波数帯はライセンスを持つ人だけが使えるものである;一方非認可周波数帯は誰でも使えるが使える機器に制限があり通常は FCC の認可を通ったものとなる。Wi-Fi 機器は一旦認可されれば、米国中どこでも誰でもそれを使うことが出来る。)
数年前に、連邦議会は教育機関及び非営利団体が持つ地域毎に割り当てられた周波数を民間の営利企業にサブライセンスすることを許可した。これはこうすることでより高度の通信サービスの普及に拍車をかけたいという思いからであった。しかしながら、多くの通信業者は興味を示さなかった。その結果、これらのライセンスは、Sprint PCS と WorldCom によって、他に BellSouth と四番目の会社もあるがこの二社は大きなシェアは持っていない、あっという間に買い取られてしまった。(これら 4社合わせて全ライセンスの 90%を保有している。)
Sprint と WorldCom は 2000年に、一つにはこれらの貴重と思われるライセンスを一つにするため殆ど合併する所まで行った。しかし実際は、Nextel が 2003年に会社更生法下にある WorldCom の 2.5 GHz ライセンスを買い取り、そして Sprint Nextel の合併は、一方で二つの小さな携帯電話事業者を一つにするのと、もう一方ではこれらのライセンスを一緒にするツールとしての役割もあったと見られている。この 2.5 GHz 帯域はこれらの事業者にとっては魅力的である。なぜならば、Wi-Fi よりもより強力な電波の使用が認められているのでカバーできる範囲も広がり、その上、ライセンスが与えられている地域の周波数は全てこれらの事業者が占有しているので電波干渉の障害は起こりえないからである。
合併以前にも Sprint と Nextel、それに別の所有者が持つ Clearwire (2004年に携帯電話の元祖である Craig McCaw に買われた会社) は、全米各地の小さな市場で 2.5 GHz 帯を使ったワイヤレスブロードバンドの実験をしていた。Clearwire は、私の故郷でもある Eugene, OR のような場所で、そして国際的には Dublin, Ireland のような都市での低速のブロードバンドサービスを展開してきている。これらの場所は、ブロードバンドサービスの選択肢は殆どなく地域電話会社のサービスエリアも小さいが、支払能力は高い人々が多い地域といった特徴がある。
ことをさらに複雑にしているのは、この 2.5 GHz 帯は FCC、現に教育番組を配信している機関、Sprint Nextel のようなサブライセンス組、そしてその他の興味を持つ会社等の間で進んでいる多年度にわたる周波数割当て再編交渉の真っ只中に位置していることである。2.5 GHz 帯はデジタル時代のためには非効率な構成となっている、アナログ放送と初期のデータサービスの名残として。新しいプロポーザルは、既存のライセンスの一部は移動させることで残すが、他の人達が使用できる所を大幅に広げることになるであろう。この帯域は、ちょうど市場に出始めてきたばかりの point-to-multi-point ブロードバンドワイヤレス標準である WiMax の展開のためには欠かせないものなるかもしれない。
WiMax は最初は都市での企業向けの T-1 と呼ばれる 1.544 Mbps の専用デジタル回線を置き換える手段として普及すると見られている。WiMax の場合、高い所に置かれる中央ベースステーションから比較的狭い広がりを持つ扇形の中にある多くの受信者をまかなえる。初期の pre-WiMax 施設の事例では - WiMax 標準に対する認証を受けた機器が丁度出始めたばかりである - T-1 回線よりも速いサービスをより安価な値段で提供している。通常、有線の T-1 を 2回線引くと設備投資も運用コストも大体 2倍となる;双方向 3 Mbps のワイヤレス回線を設置する場合、月々の費用は1本の T-1 回線よりも 10 から 30% 増し程度だし、設置時の複雑さも緩和できる、ハードウェアコストも少ない、それに設置工事も早い。田舎では、有線のインフラがない場合には WiMax が基本的なブロードバンドとなりうる。
テレビから呼び出し音が -- きっと皆さんは頭をかかえているに違いない、"必要なのは電話がかけられて、Web をサーフ出来ればいいだけなのに!" と。ご心配なく。その通り出来ます、ただこれまでよりも色々な方法で、しかも請求書の数も少なくて済むでしょう。これまでは一連の企業がサービスの融合でコストを下げますというたびに、皆で笑いだしたものである、そうですよね?しかし今度こそ違うかもしれない、多くの異なった業種の企業が競ってあなたの注文を貰いたいと競うことになるので、本当にサービスも良くなりトータルのコストも下がるかもしれない。
例えば、私の妻と私は過去二年間に市内と長距離の電話それに携帯を加えて色々削ってきて月に約 $300 (これには私の仕事上の電話代も入っている) だったものを $160 にまで下げた。これに加えて、家からは国内どこでもと 22カ国への電話はかけ放題と、携帯の月極めの無料通話時間のプール制度を手に入れることが出来た(我々がこの契約時間を超過することは殆どなかったのだが、使い残しがあった場合はそれをプールして他の月にオーバーしてしまうのを防ぐのに使える)。これらを実現するため、長距離電話の契約を使用時間に応じた料金体系から定額の voice over IP プランに変更し、携帯の契約先を Verizon と AT&T Wireless から Cingular に変えたのだが、これは未使用時間を繰り越せる仕組み (未使用の時間は最大 12ヶ月まで持越しできる) にしたのと、二人で同じプランに入って携帯のコストを下げる (このお陰で二人の間での通話時間はカウントされないということでもある) ためである。
これから進むであろう通信の融合は、奇妙で、分かりづらく、そして抗し難いものであろうが、結果としては、米国の大部分の人そして世界中の多くの人が今以上の料金を払うことなくずっと速い下り回線でインターネットアクセスが出来 - もうすでに現実となっている所もある - そしてこれに携帯と長距離を加えて今通常のユーザーが払っているよりもかなり安いレベルにセットされた定額料金となるであろう。そしてそれは良いことである。
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
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, , 日本語版最終更新:2006年 1月 27日 金曜日, S. HOSOKAWA