今週はバラエティに富んだ記事が集まった。Mac OS X ユーザーが陥りやすいフォントに関する誤りについて説明した Sharon Zardetto Aker の記事に、ウェブ検索ユーティリティの DEVONagent 2.0 を検討した Matt Neuburg の記事もある。Adam は緊急モーションセンサーを利用した実用性ゼロのハックを紹介しつつ今は亡き MacHack を惜しみ、Mark Anbinder は近日発売予定の Nike+iPod Sport Kit でワークアウト中のランナーがトレーニング情報を生かせるようになることを報告する。ニュースの部では、Apple が Mac ニュースサイト相手の控訴審で敗北し、iWeb 1.1.1 がいくつかのバグを修正、それから Folklore.org では文字になっていた物語が読み聞かせの伝統に立ち戻る。
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控訴審の判決で Mac ニュースサイトが Apple に勝利 -- これはオンラインのニュースサイトにとっては画期的な勝利となるが、先週出された控訴審判決で、Apple には業務機密の漏洩の出所を追跡する目的で電子メールを召喚することができないという裁定が下った。2004 年の 12 月に、PowerPage と Apple Insider の両サイトが、Apple のある未発表のオーディオ製品(コードネーム Asteroid)に関する記事を掲載した。そこには会社内部からリークされたこの製品の詳細情報や図面まで含まれていた。Apple はこの情報漏洩の出所を特定することができず、氏名不詳のままで機密保持合意違反についての訴訟を起こした。そして、その人物の身元を特定する作業の一環として、Apple は情報源の身元を明らかにするかもしれない電子メールの記録を入手するために PowerPage の ISP に対する召喚状の交付を求めていた。Apple の主張によればこのサイトの所有者は正当なジャーナリズムに従事する者ではなく、また仮にそうであったとしても彼らには匿名の情報源を保護する権利はないとしていた。電子フロンティア財団 (Electronic Frontier Foundation, EFF) はこの訴訟を重く見て、この情報を入手しようとする Apple の試みは連邦法にもカリフォルニア州法にも違反するものだと主張した。2005 年の 3 月に下級審で Apple に有利な判決が出されたが、カリフォルニア州の控訴裁判所で出された先週の判決は、この下級審の判決を覆すものとなった。先週の判決が意味することの一つは、民事裁判にかかわる要求によってプロバイダ (ISP) が個人の電子メールを引き渡すように強要されることはない、ということだ。そして、それは必ずしもジャーナリストだけに限らず、基本的に誰にでも適用される、ということのようだ。[JK](永田)
<http://www.eff.org/news/archives/2006_05.php#004698>
<http://www.eff.org/Censorship/Apple_v_Does/H028579.pdf>
iWeb 1.1.1 がコメント、検索、発行を改良 -- Apple は先週 iWeb 1.1.1 をリリースした。このアップデートでは「.Mac に公開された Blog と Podcast へのコメント、および検索機能のサポートを改善」しているという。これら二つの機能は最近の iWeb 1.1 で導入されたものだ。また今回のアップデートでは .Mac へのサイトの公開に関する問題も解消したという。この iWeb 1.1.1 アップデータは 88.8 MB とかなり重めの独立ダウンロード(ソフトウェア・アップデート経由でも入手できる)だが、以前の 1.0.1 および 1.1 アップデートでの変更部分も含んでいる。[JLC](永田)
<http://www.apple.com/support/downloads/iweb111.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - iWeb 1.1.1
Mac の歴史から伝説話を朗読で -- Mac 界の有名人たちの物語、かの有名な現実歪曲オーラ、長年にわたる睡眠不足の日々が、ついに Derek Warren による朗読の形で聴けるようになった。Macintosh Folklore Radio 局で Warren が読んでいる文章は、Mac デザイナーの Andy Hertzfeld のサイトである Folklore.org に載っているもので、これは Hertzfeld 氏が Revolution in the Valley という本にまとめた文章の一部をサイトに掲載しているものだ。私は去年 TidBITS で、彼のチャーミングかつ生き生きとしたこの物語をレビューしたことがある。(“革新は絶え間なく続く”の記事を参照。)
<http://folklore.trideja.com/>
<http://www.folklore.org/>
<http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0596007191/tidbitselectro00/ref=nosim/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07960>(日本語)革新は絶え間なく続く
Warren は、Hertzfeld が彼の著作に対して適用した Creative Commons ライセンスの条項に従ってこれらの文章を朗読している。(ただ、Warren はそれに加えて直接許可を求めることもしている。)これらの物語はポッドキャストとして iTunes Music Store からダウンロードすることもできる。考えてみれば皮肉なことだ。真実の話を伝えようという趣旨のサイトが“Folklore.org”(「伝承の物語」)という名前で呼ばれ、文字で書き綴られた歴史そのものが“読み聞かせの物語”に変貌し、そしてそれを朗読している当人の声は、それを「伝承の物語」として最初に書いたのとは違う人物が物語る声なのだから。[GF](永田)
<http://creativecommons.org/licenses/by-nc/1.0/>
<http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewPodcast?id=154536992>
文: Mark H. Anbinder <[email protected]>
訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>
先週、Apple と Nike は合同で Nike+iPod Sport Kit をアナウンスした。これは、 Nike のスニーカーと iPod nano を使い、ランナーが自分のパフォーマンスを記録するためのツーピースの無線機器で、6月下旬に出荷される。iPod がランニング中に、情報を表示し音によるフィードバックも提供してくれるようになる。さらに、iTunes 6.0.5(無償ダウンロードとしてまもなく提供される)が動作しているコンピュータにつないだとき、ランニングの統計情報を iTunes と同期してくれる。その情報は Nike の nikeplus.com ウェブサイトとも同期され、他のランナーたちと競い合うことが出来る。
<http://www.apple.com/ipod/nike/>(日本語)ナイキとアップル、Nike+iPodを発表
<http://www.nikeplus.com/>
Nike+ Air Zoom Moire から始まる Nike の新しい "Nike+" には、中敷の下に Nike+iPod センサーを納めるポケットが設けられている。このセンサーが加速度計を備えており、あなたが走った記録(距離、時間、ペース、消費カロリー)を nano の Dock コネクタに接続したレシーバーに無線で飛ばすのだ。
走る前に "Power Song" を選んでおけば、ボタンに触れるだけで鼓舞激励が得られ、直線コースをゆっくり走るのも苦にならない。iTunes Music Store は、アスリートの紹介によるランニングに適した特別なミュージック iMix を提供する。
Apple は Nike+iPod Sport Kits が 6 月下旬に、アップルのオンラインストア、Apple Store (www.apple.com)、アップル直営店、アップル認定販売店、ならびにNike.com (www.nike.com)、Niketown、NikeWomenストア、および米国内のセレクトショップを通じて $30 で販売開始されると述べた。言うまでもなく iPod nano($150 から $250、日本では17,800円〜2,7800円)と Nike+ スニーカー($85 から $110)は別売だ。同社は、センサーに組み込まれた電池は交換できない。そして、電池の寿命は、使い方や他の要因にもよると述べている。このため、しばしばセンサーを買い替えることになるかもしれない。センサーは防水だ。このことは、水中に没するようなことが無ければ、雨中のランニングによる水濡れでは故障しないことを意味する。
この賢明なジョイントプロジェクトが Dock コネクタを装備した他の iPod モデルで動作できない(動かさない)のは設計上の理由からではない。私が推測するに、Apple はランナーに対し、耐ショック性の劣るハードディスクの iPod より SRAM のモデルを使うよう望んでいるということだろう。
競技ランナーとしての顔を持つ Adam による Nike+iPod Sport Kit についての意見を彼の MacNotables ポッドキャストのトピックとして聞くことができる。
<http://www.macnotables.com/archives/2006/649.html>
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
開発者カンファレンスの MacHack は、毎年この時期に開催されてきたものだった。今はもうこのカンファレンスは開催されなくなったが、それでもやはりこの季節が巡ってくると、とてつもなくクールだけれども実用性は皆無なハックを作ってみたいという衝動が、ふつふつと体の中に沸き上がってくる。さて、私自身は最近の PowerBook、iBook、MacBook あるいは MacBook Pro のいずれも持っておらず、これらのマシンに搭載されている緊急モーションセンサーを使ったハックがいろいろ出てきているのを実地に試してみることはできないのだが、いずれにしても自分で試すよりはビデオに映されているのを眺める方が安全には違いない。
Anthony Maddox の作ったハック、MacSaber は緊急モーションセンサーから得られる情報を利用して、Mac を空中で揺すると Star Wars のライト・セイバー(光サーベル)の効果音を発してくれる。高価な PowerBook を振り回しながら必死の顔でバトルを繰り広げるという、間抜けな光景を想像してみよう。
<http://isnoop.net/blog/2006/05/20/macsaber-turn-your-mac-into-a-jedi-weapon>
<http://youtube.com/results?search=macsaber&search_type=search_videos&search=Search>
もう一つ、緊急モーションセンサーを濫用する方法をご紹介しよう。Erling Ellingsen の SmackBook Pro ハックだ。これは仮想デスクトップのユーティリティと連携して、ユーザーが Mac の左右の側面をバシンと叩くと、違うデスクトップに切り替わるというものだ。
<http://blog.medallia.com/2006/05/smacbook_pro.html>
こうしたハックを見ていると、その他にもこんな風に緊急モーションセンサーを使いこなせるんじゃないかというアイデアが次々と沸き上がってくる。どれもこれも痛快無比、使って納得のものばかりだろう。もっとも、Mac のために良くないことであるのは疑いないが:
文: Matt Neuburg <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
私が TidBITS に DEVONagent を激賞した記事を書いてから、もう一年以上が経った。それでも、このプログラムがしてくれることへの私の熱狂ぶりは今も決して衰えてはいない。DEVONagent は、既存の検索エンジンを利用してインターネット検索をするのだが、それに加えてもう一歩先まで進んでくれる。あなたが指定した検索条件の詳細に反応して不要なヒットをフィルターに通して消したり、見つかったページにあるテキストを独自のデータベースの中に取り込んだり、その取り込んだテキストを単語単位で索引付けおよびランク付けし、それを使ってあなたの求める情報が見つかる可能性を向上させたりする。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07977>(日本語)Google も踏むを恐れるところ DEVONagent が飛び込む
<http://www.devon-technologies.com/products/devonagent/>
DEVONagent 2.0 では多数の細かな改良が施されて、以前にもまして鋭い知識探求ツールとなった。あなたの最初の検索語に、二次的な検索語を付随させることができる。その場合、DEVONagent はダウンロードされたテキストの中でその二次的な検索語を検索する。(しかしながら、奇妙なことに最初の検索結果を見ている際にあとから二次的な検索語を指定することはできない。)また、別々の言語で書かれたテキストはそれを考慮して検索されるようになった。検索の終了時に自動的にアクションを実行できるようにもなった。例えば Growl 通知(検索には時間がかかることもあるので便利)などもできる。従来のバージョンでは、その種のアクションは予約検索と共にしか使えなかった。新しい Dashboard ウィジェットで素早く検索が始められるようになった。検索結果のテキスト内でよく使われている用語から抽出された話題が、ランク付けリストばかりでなくネットワーク図表の中にも表示されるようになった。
<http://www.growl.info/>
<http://www.devon-technologies.com/files/screenshots/devonagent/devonagent-2.jpg>
以上が、良くなった点だ。DEVONagent 2.0 でのいろいろな新機能のお陰で、この便利で頼りになるプログラムがますますその能力を高めたことに疑問の余地はない。けれども、こうした機能的な改善にもかかわらず、DEVONagent のインターフェイスは依然として不細工で、訳のわからない謎に毒され、またカスタマイズも難しいままだ。
DEVONagent の機能性の中核にあるのが、その独自の Search Set という概念だ。その名前に反して、これは「セット」でも何でもない。これは、単に検索を実行させるための指令を記述したものに過ぎない。だから、DEVONagent のユーザーがまず何よりも必要なことは、それぞれの Search Set が何をするのか、どうすれば新しい Search Set が作れるのかを理解することだろう。ところがどうしたことか、どちらも、ほとんど不可能に近いのだ。
その Search Set が何をするのかを知りたければ、メニューで Tools > Edit Search Sets... を選んで Search Sets ウィンドウを開くことになる。(そもそも、なぜ Window > Search Sets というメニュー名にしないのだろうか。第一このウィンドウはモーダルダイアログではないのだから、名前の後に点々が付いている理由が分からない!)でも、そのウィンドウを開いてもまだどんな検索をするのかはさっぱり分からない。なぜなら、検索の心臓部を成しているのはこのプログラムが使う「プラグイン」であって、あなたの検索語からどんな URL がはじき出されるのか、あるいは生成されたリンクをリストしたページがどんな風に解析されるのかについての具体的な指示はそれらのプラグインの中に含まれているからだ。そこで、あなたは Search Sets ウィンドウの Plugins タブに切り替えることになる。ところが、ここは現在の Search Set がどんなプラグインを使っているかの情報のみが表示されている訳ではない。そうではなくて、何と 130 以上もあるプラグインすべてのリストが表示され、あなたはその中でチェックされたプラグインがどれかを探して回る羽目になる。簡単な作業ではない。なぜなら、これらのプラグインは階層的に並べられているので、展開表示の三角マークを開いたり閉じたり、それもすべて手でクリックしてやる必要がある。けれども目当てのプラグインが見つかっても _まだ_、依然としてそれら個々のプラグインが何をするものなのかは分からない。なぜなら、 DEVONagent はその情報を表示するインターフェイスを提供していないからだ。その代わりに、あなたはわざわざ DEVONagent アプリケーションバンドルを開いて、埋め込まれている XML の“plist”ファイルを読まなければならない。これらのファイルこそが DEVONagent の機能の心臓部なのに、それでもこのプログラムはそれらを見たり理解したりできるためのインターフェイスを提供してくれないのだ!
あなたが自分でプラグインを作って、カスタマイズされた検索をできるようにしたいという場合はどうだろうか。実は、私もトライしてみたのだが、その作業に関する説明は何度読んでも理解できないし、作業の手順もあまりにも不細工(まず初めに Property List Editor を使ってファイルを作っておかなければならないし、テストする度に毎回 DEVONagent の終了・再起動を繰り返さなければならない)ということで、結局私も最後はお手上げだった。ただ、私の場合は幸運なことに、普段私が使うような検索ページに必要なプラグインはすべて出来合いのものが DEVONagent の中に内蔵されていた。けれども残念なことに、それらすべてが完璧に動作するという訳ではなかった。例えば付属の TidBITS プラグインが“neuburg applescript”という検索で私の最近の記事“Notes from the AppleScript World”を検出してくれなかったので、私はこのプラグインを修正しようと思ったのだが...(まあ、いずれにしても TidBITS に対する DEVONagent 検索は今は全く動作しない。私たちのアーカイブサーバにあまりにも大きな負担をかける傾向が見られたので、私たちのサーバの方でブロックをかけてしまったからだ。)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08418> (日本語)AppleScript 世界からの報告
たとえそういう問題点があっても、最高のマニュアルがありさえすれば、まだその困難も和らげられていただろう。ところが残念なことに、DEVONagent のマニュアルはやはり旧態依然のままだ。実例もほとんど書いてくれていないし、読む度にこの著者の母国語は英語ではないなという感じが付きまとう。例えば次のような文章をご覧頂きたい。こんな意味不明の言葉で、検索語シンタックスの説明の肝心な部分が済まされているのだ:
「DEVONagent は検索語の一部が角括弧 [...] で囲まれている場合、その部分を無視します。例えば PubMed や Nucleotide など、ある種のデータベースの中でタイトル名や著者名をスキャンするためには便利です。例: name[Author]word[Title]」
こうした手落ちは、初期のバージョンのものならばまあ許せる。けれどもこれはバージョン 2.0 のリリースなのだ。ならばもっと合理化された、見て意味の分かるインターフェイスが、きっちりとしたマニュアルに裏打ちされて提供されてしかるべきだと私は思う。もちろん、もしもアップグレードが無料だったら、問題点が多少あっても我慢できるというものかもしれない。けれどもこれは $20 もするアップグレードであって、製品の価格自体も上がっている。このプログラムは今回から $50 となり、従来の $35 からは大幅値上げだ。私の目には、この値上がりと不格好なインターフェイス、助けにならないマニュアル、というだけでも相当深刻な障害になるのではないかという感じがする。ただ、何よりも良いことがある。デモ版 (5.7 MB のダウンロード) をダウンロードすれば、誰もが自分の目で見て判断できることだ。なお、このプログラムは Mac OS X 10.3.9 かそれ以降を必要とする。
<http://www.devon-technologies.com/download/>
文: Sharon Zardetto Aker <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>
Mac OS X におけるフォントの取り扱いには、頭を抱えてしまう人もいるだろう。それも無理のないことだ。Mac OS X は様々な種類のフォントに対応しているし、その多数のフォントがいくつもの場所に格納されており、さらに Mac OS X 10.4 Tiger はデフォルトでいくつかのフォントを重複してインストールする。それでもまだまだ序の口なのだ。
私は、最近上梓した "Take Control of Fonts in Mac OS X" とその姉妹本 "Take Control of Font Problems in Mac OS X" のために、何か月ものあいだフォントについて調べるなかで、ウェブを徘徊し、多くの掲示板をのぞき込み、自分の Mac で果敢に実験し、そして友人の(あるいはその友人の、またその友人の友人の)グラフィックデザイナーたちの緊急連絡先を務めてきた。多くの人々の誤解や管理上の失敗を見たなかで、際立ってよく見られるものが1つある。それは、フォントを1つの Fonts フォルダにまとめようとすることだ。
<http://www.takecontrolbooks.com/fonts-macosx.html?14@@!pt=TB831>
<http://www.takecontrolbooks.com/font-problems-macosx.html?14@@!pt=TB831>
人々がどうしてそんなことをするのか、正確にはわからない。(そういう私は、自分自身がどうしてこうまで Mac を使うことについて詳細に調べているのか分からない。本を書こうというときですら、理由も分からずただそうしているだけだ。)それでも、多くのユーザが、システムを探求し、あれこれ変更し、そしてトラブルを招くことがある。Tiger に含まれている Font Book アプリケーションは、それ以前のバージョンからはるかに改善されているので、Font フォルダを直接操作する必要はほとんどないはずだ。(Font Book 以上のものを必要とするグラフィックのプロなら、サードパーティーのフォントマネージャを使えば、Fonts フォルダのあれこれを知る必要がなくなる。)それでも、例えばユーザがフォントを追加したとき、フォントが重複してしまったように見えるので、それを取り除きたいと思うこともあるだろうし、あるいはフォントファイルを手動で操作することが「普通」であった Mac OS 9 環境を経験しているユーザもいるだろう。理由はどうあれ、まずはフォントが格納されている場所を求めて、ドライブをあちこち探し回る(おそらくは Spotlight で "Fonts" という名前のフォルダを検索する)だろうが、Tiger では少なくとも3つ、ひょっとすると4つの様々なフォルダが見つかって、驚くことになる。
Adobe の Creative Suite をインストールすれば、Fonts フォルダがもう1つ(/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts)増え、Microsoft Office をインストールすれば、さらにもう1つ(/アプリケーション/Microsoft Office 2004/Office/Fonts)増える。
<http://www.adobe.com/creativesuite/>
<http://www.microsoft.com/mac/products/office2004/>
多くの人は、このような外見上の大混乱に直面すると、フォントがいたるところに散らばっているのはばかげていると考え、ファイルをあちこち動かしたり、1つないし2つの Fonts フォルダにまとめようとしたりする。
そうすれば見かけはシンプルになるのだが、全体として考えれば、それは誤りだ。というのも、フォントが格納されている場所によって、そのフォントがどのアプリケーションから(そして、マルチユーザ Mac ならどのユーザから)見えるのかが決まるからだ。ほとんどのフォントにとって、それぞれの場所にあるのには、ちゃんとした理由がある。以下、上述の Fonts フォルダそれぞれについて、詳細をお知らせしよう。
システム の Fonts フォルダ -- Tiger は 30 のフォントをこのフォルダ(/システム/ライブラリ/Fonts)にインストールする。この中には極めて重要なものがあり、それを削除してしまうと、メニューやダイアログがちんぷんかんぷんで訳の分からないものになったり、Mac が立ち上がらなくなったりする。なかでも最重要のフォントは LucidaGrande、Geneva、Monaco、Helvetica だ。それに劣らず重要なものが Keyboard と LastResort で、これらのフォントはフォントメニューに現れることすらない。2つの AquaKana OpenType ファイルが絶対に必要かどうかということには議論の余地があるが、私がよく考えた上での意見を述べるなら、Apple がわざわざ不可視にしている(フォントメニューに現れない)ということは、手をつけるべきではないということだ。実際のところ、システム の Fonts フォルダには決して手をつけないのがよい。フォントを入れたり出したりするべきではない。
システム の Fonts フォルダにあるフォントを削除しようとすると、このフォルダは独特の挙動を示す。フォントをドラッグして取り出そうとすると、ドラッグした先に自動的にコピーが作られ、元のファイルはその場にとどまる。このフォルダからフォントを本当に削除するには、ゴミ箱に直接送るしかない。ゴミ箱にドラッグするか、またはファイルを選択して Command-Delete を押すか、アイコンを Control-クリックまたは右クリックしてコンテクストメニューを表示し「ゴミ箱に入れる」を選択する。その際には管理者パスワードを入力する必要がある。こういうことを知るのは学究的な意味ではよいことだが、誤って削除することのないようにこれだけの保護手段が講じられていることを考えれば、システムフォントには絶対に手をつけるべきではないと肝に銘じよう。
ライブラリ の Fonts フォルダ -- このフォルダ (/ライブラリ/Fonts) に置かれたフォントは全てのユーザアカウントから "見る" ことが出来るので、そのマシンのユーザの誰もが使える。ユーザが一人しかいない Mac ではフォントをここに置くか ユーザの Fonts フォルダに置くかでの違いは出てこない。Tiger ではこのフォルダに 35 のフォントを入れている;Apple の iLife と iWork アプリケーションも自分のフォントをここに入れる。
ユーザ の Fonts フォルダ -- Mac 上のユーザアカウントは個別に独自の Fonts フォルダ (~/ライブラリ/Fonts) を持つ;そこにあるフォントはそのユーザにのみ有効である。Tiger はこのフォルダにはフォントを何も入れない;Microsoft Office はそのフォントをここに入れる - Office X は 15 のフォントしか入れないが、Office 2004 では何と気前良く 77 のフォントをここに入れる!もしあなたがただ一人のユーザであれば、自分でインストールするフォントは全てここに置くべきである。多人数で使う Mac の場合、あるフォントはある特定のアカウント専用にするのも一考である (そうすればこれらのフォントが他のユーザの Font メニューを取り散らかさないで済む);特定のマシン上の全てのユーザと共有するためには /ライブラリ/Fonts の中に入っていなければならない。
Classic の Fonts フォルダ -- もし Classic 環境があなたのマシンにインストールされているならば、Mac OS 9 System Folder (/System Folder/Fonts) にあるフォントだけが Classic アプリケーションに有効となる (これらは Tiger アプリケーションに対しても有効となる)。Tiger のフォントの幅広い選択肢とは異なって、Classic 環境では Mac TrueType と PostScript Type 1 フォントだけが有効である。Tiger がスクリーン上でフォントのスムーズ化を自動的に行うのは Mac OS X 環境下でのみであるので、Classic 下で Type 1 フォントをスクリーン上で正しく描く (あの有名で恐ろしい "ギザギザ" なしで) ためには、Adobe の ATM Light version 4.6.2 かそれ以降が Classic にインストールされていなければならない。
<http://www.adobe.com/products/atmlight/main.html>
Adobe の Fonts フォルダ -- PostScript フォントの発明者としての特典を生かして、Adobe はそのアプリケーションに気前良く盛り沢山のフォントをつけて提供してくる。しかしながら、これらがデフォルトの場所に置かれている限り (/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts)、Adobe アプリケーションからしか使えない。もしこれらのフォントを自分のアプリケーション全部で使おうとするなら、これらを ライブラリ の Fonts か ユーザの Fonts フォルダに移さなければならない。これは良いアイディアだと思えるかもしれない、しかしこれらの OpenType フォントのためのおびただしい数のタイプフェースを Adobe 以外のアプリケーションがどう扱うを見るまではである:例えば、Warnock Pro は 32 ものタイプフェースを持っており Word では 20 以上の項目として表示される!闇雲に全ての Adobe フォントを他のフォルダに移してしまうのではなく、自分の気に入りのフォントだけをいくつか移して Font Book を使ってそれをオンオフする方がスマートである。(注意しなければいけない事は、これらのフォントを Tiger Fonts フォルダのどれか一つに入れない限り Font Book からは見えないことである;Adobe のフォルダは Adobe のアプリケーションに "属している" ので、Font Book からはその内容は管理できない。)
Adobe Fonts フォルダに関する他の間違いは、他の Font フォルダにフォントを移した後それを消去してしまうことである。Adobe はその中にサブフォルダを埋め込んでいて (/ライブラリ/Application Support/Adobe/Fonts/Reqrd/Base) そこには更に多くのフォントが入っていて、これらは Adobe アプリケーションによってツールパレットの様なものに使われるのである。これらのフォントがそのフォルダ - その特定のフォルダパス - にないと、Adobe アプリケーションは開くことすら出来なくなる。
Microsoft の Fonts フォルダ -- このフォルダは (/Applications/Microsoft Office 2004/Office/Fonts)、"生兵法はけがのもと" のカテゴリに属するかなりの混乱へと導く撒餌みたいなものである。もしあなたが Tiger は、例えばたった今説明した Adobe のような "アプリケーション Fonts フォルダ" をサポートしている事を知っているなら、このフォルダは Microsoft アプリケーション用のフォントを保持していると思っても何ら不思議はない - とりわけそこに入っているフォントは全てあなたの Fonts メニューに現れてくるのであるから。このフォルダからあるフォントを取り出してもそのフォントは未だあなたの Font メニューには残っている事を発見した時から混乱が始まる。或いは逆に、あるフォントをこのフォルダに付け加えても、そのフォントはあなたの Font メニューには現れてこない。或いはまた、これらのフォントはあなたの ユーザの fonts フォルダにもある事に気づいて 70 以上もある複製ファイルの一つまたは全部のファイルを消去しようと決心しても何事も起こらない。
このフォルダは単なる保管庫なのである;Tiger はここに全くアクセスしない、これがその中身を変えても Font メニューには何の影響もでない理由である。Microsoft Office は初めて走らせた時にこれらのフォントをあなたの ユーザの Fonts フォルダにコピーする;オリジナルは元の場所に残され、次のユーザアカウントが Office を走らせた時にコピーされるのを待つ、というわけである。Tiger がアクセスするのは ユーザの Fonts フォルダにあるコピーの方である。
フォント、フォント、いたる所フォントだらけ -- Tiger は非常に沢山の Fonts フォルダを使用するので自分のフォント用にどのフォルダを使うのかは問題ではないとか、或いは全てのフォントまとめて一緒にしてやれば管理が簡単になるとか思うのは間違っている。まず色々なフォルダ間の違いを理解し、自分のフォントにどの様に(そして誰が)アクセスするのかによってどこに入れるのかを決める必要がある。
[Sharon Zardetto Aker は、1984年の誕生以来 Mac について書いてきており、電子出版への進出も最近の二つの "Take Control of Fonts" タイトルで果たした。これら二冊の電子本には 350ページに渡ってフォントに関するこの様な話が満載されている。]
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
あなたの Mac で Windows を走らす時のためのアドバイス -- もうかれこれ何年も、Macintosh ユーザーたちは自分の Mac で Windows を走らせる(いや、少なくともトボトボ歩かせる)ことは出来ていた。例えば Virtual PC のような製品のお陰だ。けれども今日では、Boot Camp とか Parallels Desktop のようなソフトウェアが Intel ベースの Mac 用に登場したお陰で、Mac コミュニティーにも賑やかに質問が飛び交う時代になった。こういう新しいオプションはどういう風に動いているのか、いろいろな状況ごとにベストな選択肢はどれか、Windows を Mac にインストールするにあたって起こりがちな厄介な問題を避けるにはどうすればいいか、といった具合だ。
そこで、あの名著“Take Control of Upgrading to Tiger”の著者でもある Joe Kissell が、新刊書“Take Control of Running Windows on a Mac”を引っ提げてあなたの手助けに馳せ参じてくれた。この 104 ページの電子ブックの中で Joe は、あなたの Mac で Windows を走らせたいと思うのはいったい何のためかと検討し、Windows を走らせるための選択肢のうちどれがベストかをあなたの状況に応じて選ぶにはどうすべきかと助言を述べ、引き続き Boot Camp、Parallels Desktop、それに Q を Intel ベースの Mac にインストールする方法について、現実に即した詳しい説明を展開する。
<http://www.takecontrolbooks.com/windows-on-mac.html?14@@!pt=TRK-0034-TB831-TCNEWS>
いったんインストールが済めば、続いてこの電子ブックはよくある問題点に出会った場合にどうすればそれを回避できるかについての説明に進む。例えばマウスやキーボードが正しく働くようにするには、別のプラットフォームとの間でファイルを共有するには、あるいは一部の Mac mini で起こって混乱の元となるエラーを直すにはどうすればよいか、という具合だ。Joe はまた(Boot Camp のインストールのため、必要ならば)スリップストリームのインストーラディスクを作る方法や、あなたの Windows インストールをウイルスやマルウェアから保護する方法についても筆を進めるのを忘れていない。最後にある付録では、PowerPC Mac で Windows を走らせるいくつかのオプションをまとめている。
この電子ブックには Parallels Desktop(たいていの状況で Joe はこのプログラムを勧めている)の購入価格が $10 値引きになる期間限定クーポンが付いている。だから、もしもあなたが Parallels Desktop も購入するのならば、この電子ブックは事実上無料という計算になる!
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。
Apple がきっかけで思い出した信用と検証 -- ソフトウェアアップデートに際しての Apple のセキュリティ施策について書いた Glenn Fleishman の記事を受けて、個人の認証や公開暗号鍵の削除などについてもっと別の方法はないのかという質問が届く。(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3003>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/835/>
PGP Desktop 9 -- PGP Desktop はまだ Intel ベースの Mac では動作しないが、GPG の方は動作する、と読者たちから情報が届く。(メッセージ数 3)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3004>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/836/>
NYC 五番街の Apple Store -- Apple は先週、初めての 24 時間営業 Apple リテール店を開店した。一方 Dell も、独自のリテール店を作る予定だと発表した。(ただし、顧客がその店内で購入した製品の現物をそのまま持ち帰るという訳には行かないという。)(メッセージ数 2)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3006>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/838/>
LCD と目の疲れ -- LCD モニタを使った後は目が疲れる、と訴えた読者に、その原因や解決法の提案などがいろいろと寄せられる。(メッセージ数 9)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3007>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/839/>
多国語用の Tigre、アリマスカ? -- あなたが必要とする国語のために、その国で別途ローカライズ版の Mac OS X を購入する必要があるのだろうか? 実は、ただ一つのバージョンの Mac OS X がすべての国語を扱っているのだ。もちろんスペルチェッキングも含めて。(メッセージ数 4)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3008>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/840/>
ラップトップの電源アダプタは交換可能か? -- Apple は MacBook 用と MacBook Pro 用で異なるワット数の電源アダプタを付属させている。MacBook のアダプタで MacBook Pro を充電することはできるだろうか? 私たちは決定的な答を見つけた。(メッセージ数 10)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3009>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/841/>
Eudora からの旅立ち、IMAP へ -- Chris Pepper は持ち運んで移動可能な電子メール環境を探し求めてきたが、その探索の旅ももう終わりに近づいているのかもしれない。(メッセージ数 1)
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<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/842/>
_ Take Control 電子ブック日本語版好評発売中
Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳
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, , 日本語版最終更新:2006年 6月 3日 土曜日, S. HOSOKAWA