TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#833/12-Jun-06

誰もが使いこなせる良いウェブデザインプログラム、これこそまさに、現代のソフトウェアの世界において人々がこぞって探し求める「聖杯」そのものではないか。はたして Apple の iWeb はその答なのか? そこで、“Take Control of iWeb”の著者でもある Steve Sande が iWeb と、RapidWeaver と Sandvox を比較検討する。また今週号では Jeff Carlson が、Canon PowerShot S2 IS デジタルカメラを持って旅した彼のサファリ体験(いや、ブラウザの名前ではなくて、南アフリカでの冒険旅行だ)を振り返る。その他のお知らせとしては、最も影響力のあった人物を選ぶ MacTech 25 の公開投票、Yojimbo 1.2 のリリース、それから MacNotables のポッドキャストでは、夫とともに働く妻の姿が浮かび上がる。

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MailBITS/12-Jun-06

MacTech 25 最も影響力のある人調査 -- MacTech Magazine は、Macintosh のテクニカル分野で最も影響力のある人 25 名を選ぶ MacTech 25 の投票を開始した。MacTech はこれを、「開発者、ライター、ブロッガー、問題解決能力に長けた人物や魅力的な個性を持った人物などの、Macintosh コミュニティに対する技術的貢献を表彰する」よう企画し、Apple の従業員や MacTech スタッフ、コラムニストだけは除外した(その中には、ほかのところで表彰される人もいるだろう。)MacTech 25 の投票は 6 月 15 日まで公開で行われる。もちろん、TidBITS の発行人である Adam Engst(彼は毎年 MDJ Power 25 でトップ 5 位にランクされ、Apple 社員にしか遅れをとっていない)や TidBITS スタッフメンバーへの投票は大歓迎だ。もし、事がうまく運んだなら、優勝者にとって間違いなく増えるであろう巨大な力を良いことにのみ使うことを約束しよう。しかし、私たちとしては、二次審査として水着審査がないことを切に願っている。

<http://www.mactech.com/mostinfluential/>

MacTech について説明すると、それは 2 年前にプログラマ向けの雑誌から一般的な Mac 技術雑誌になったものだ。購読したいと思う方のために、Microsoft の Mac Business Unit が、試読のための MacTech の 6 ヶ月「無料」購読を、条件を満たす人に限定数提供してくれていることをお伝えしたい。Mac Business Unit は、Mac を Windows メインのネットワークに組み込む記事や同様の話題に関する記事で MacTech と一緒に仕事をしてきた。(「無料」と括弧書きにしたのは、無料とはいうものの $10 の郵便料金と手数料がかかるためだ。これは、本当に雑誌を欲しいと思っているのかどうか確認するためであって、ニューススタンドで購入すれば普通 $50 を超す金額がかかる。)申し込みには短いアンケートに答えることが必要で、アメリカとカナダ国内でのみ有効だ(その他の国々の読者の方々には、いろいろと他にも企画があるようだが)。[JLC](笠原)

<http://www.mactech.com/ms-survey/tidbits.php>

Yojimbo 1.2にてインポート、エクスポート、リンクを改良 -- Bare Bones Software は、個人情報を管理してくれる Yojimbo の大がかりなアップ デートをリリースした( Yojimbo の詳細については、我々のレビュー; 「Yojimbo はあなたの情報を守る用心棒」を参照)。 Yojimbo 1.2 では Edit メニュー中へ新たに追加された Copy Item Link コマンドにより、ユー ザーはYojimbo 項目へ直接リンクが可能となる。このコマンドは、選択された 項目を指し示す、ローカルのマシンでの使用に適した x-yojimbo-item URL を クリップボード中に格納する(項目をインターネット上で共有することはでき ない)。また新たに Yojimbo ブックマークと Yojimbo ウェブ・アーカイブを (Safari や Camino、Firefox、OmniWeb で)ワンクリックで生成する、2つの ブックマークレット(ウェブブラウザのブックマークに埋め込むことのできる JavaScript)や、拡張された AppleScript の import 命令、テキストファイル ではなくクリッピングファイルとしてのブックマークのエクスポート、項目の 内容を検索する場合に検索語をハイライト表示する機能、統合されたクラッシ ュの報告機能、 アプリケーションを再起動しても Check Spelling As You Type の設定を記憶しておく機能(すべてのアプリケーションにこの機能がある べきだ)、が追加されている。 Yojimbo に初めて接する人や、その内容が理解 しにくい人のために、 Bare Bones 社では Quick Start Movie (もし既に Yojimbo をお使いなら、 Help メニューをチェックしてみて欲しい)や Yojimbo の概要を述べた Getting Started の文書を提供している。 Yojimbo 1.2 は Mac OS X 10.4.3 以降のシステムで走り、登録済みのユーザーは 無料 でアップデートできる。ダウンロードサイズは7 MB だ。 [ACE](田中)

<http://www.barebones.com/products/yojimbo/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08407>(日本語)Yojimbo はあなたの情報を守る用心棒
<http://www.barebones.com/support/updates.shtml>

Adam と Tonya が MacNotables で一緒に仕事することについて語る -- 最新の MacNotables ポッドキャストで、いつもと少し違ったことをした。今回 Chuck Joiner と電話で話をしていたのがたまたま Tonya と私だけだったので、話の自然な流れとして、Mac 業界で夫婦一緒に仕事をすることがどういうことなのか、TidBITS や Take Control の運営においてさまざまな業務をどのように分担しているのかという議論になった。例えば、私はネットワーク管理者をしている間に、Tonya が財政面の面倒を見ているというようなことだ。私たちは特にこの話題について準備をしていた訳ではないので、この番組は普段とは大きく異なって広範な話題についての話し合いになった。私たちは、私たちが一緒に仕事できているということに関して驚いたり、夫婦で一緒に仕事することを想像できなかったりする人々からしばしばコメントを受け取っている。しかし、私たちにとっては、これがまさに私たちのライフスタイルなのだ。ぜひ、お聴きください。 [ACE](笠原)

<http://macnotables.com/archives/2006/652.html>

DealBITS 抽選:TextExpander 当選者 -- 先週の DealBITS 抽選で当選し、 SmileOnMyMac の TextExpander($29.95 相当)を受け取ることになったのは mac.com の Raymond Cheydleur、iinet.com の Mac Carter、mac.com の Ken Marcus、mac.com の Hugh Lester、speakeasy.net の David Steffens だ。おめでとう!残念ながら当選しなかった応募者の皆さんも、TextExpander 購入の際に $10 の値引きが受けられる。765 人の応募者に感謝します。今後も DealBITS 抽選を、どうぞよろしく。[ACE](笠原)

<http://smileonmymac.com/textexpander/>


iWeb 参戦

文: Steve Sande <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

ウェプページエディタの分野に集うアプリケーションは、頭でっかちの状態が続いている。Mac では、Dreamweaver と GoLive がプロフェッショナル向けの巨艦として君臨する一方で、BBEdit などのテキストエディタが、HTML を手で書くために未だ広範に使われている。しかし、その中間領域には、これまでほとんど何もなかった。ほとんどのウェブデザインアプリケーションは、ごく普通の人にとって混乱を招くだけであった。その混乱を避けたいとすれば、最良のツールはいったい何だろうか。

Apple は、「普通の私たち」のために製品を作っていると自負しており、iLife '06 スイートの一部に iWeb を含めることで、この領域をカバーしようとしている。この製品が 2006 年の Macworld Expo で発表されたとき、私はちょうどその会場にいたので、さっそくこの新しいウェブデザインプログラムを試してみた。たった数分使っただけで、これでウェブサイト制作が簡単になると、すぐに実感した。

<http://www.apple.com/ilife/iweb/>(日本語)アップル - iLife - iWeb

それが分かると、私はますますこのプログラムを深く知りたいと思うようになり、ついに最近、"Take Control of iWeb: iLife '06 Edition" を上梓した。これを執筆しているあいだ、iWeb の長所を多く発見し、欠点もいくつか発見したが、それについては回避策も見つかった。

<http://www.takecontrolbooks.com/iweb.html?14@@!pt=TB833>

5月にリリースされた iWeb 1.1 で、それらの欠陥のいくつか、特に .Mac で公開されたブログやポッドキャストへのコメントや検索の追加に関する問題が対処された。5月2度目のアップデートとなった最新バージョン 1.1.1 は、iWeb 1.1 がもたらしたバグを修正し、アップロードに関する問題のいくつかも解決したようだ。

<http://www.apple.com/support/downloads/iweb111.html>(日本語)アップル - サポート - ダウンロード - iWeb 1.1.1

もちろん、この分野では Apple が唯一の登場人物というわけではない。そこで、この記事では、Realmac Software の RapidWeaver と、Karelia Software から最近リリースされた Sandvox についても、特徴や機能、対象となるユーザといったことについて、基本的なことを概観しようと思う。これら3つのアプリケーションはどれもユニバーサルバイナリだから、Intel ベースの Mac を持っている人は、CPU 速度の恩恵を受けることができる。どのツールを使ったとしても、ウェブサイトをすばやく、それほど苦労せずに公開することができるだろう。

iWeb 1.1.1 -- iWeb が主に対象とするユーザは、ウェブサイトを立ち上げた経験のない .Mac ユーザだ。そのため、中心となるのはプロがデザインした18 のテンプレートで、それぞれのテンプレートに7種のページがあり、全体としてページを様々にカスタマイズできる。テンプレートの中には大分物足りないものもあるが(例えば Doodle)、そのほかのものは、例えば Gazette など、美しく機能的だ。テンプレートを選んだら、そのテンプレートのデザイン要素を使った Welcome(ようこそ)ページ、About Me(プロフィール)ページ、ブログ、Podcast(オーディオもビデオも)、フォトアルバム、ムービーページ、あるいは白紙のページを追加することができる。いくつかのサードパーティーが iWeb 用のテンプレートを制作し販売しており、この分野は今後小規模の会社で賑わうことになるだろう。

iWeb でウェブページを作るときは、ページの各要素を WYSIWYG(What You See Is What You Get)環境で操作できる。iWeb でページを作成しているときと、そのページを .Mac やほかのウェブサーバで公開したときとで、見た目にはほとんど違いがない。プロのウェブデザイナーに言わせると、iWeb が生成する HTML と CSS のコードはかなり汚く、標準に従っていないということだが、iWeb でデザインされたページが、様々なプラットフォームの様々なブラウザで、正確に表示されないという例はあまり見たことがない。

テキストや写真、図形といったページ要素をウェブページに置いてゆく際の柔軟性ということについては、iWeb に並ぶものはない。要素を追加したり削除したりするのは簡単だし、要素をレイヤーに置いて独特の効果を実現するという機能は、この記事で紹介するほかのプログラムには備わっていない。

iWeb では、iLife '06 のほかのプログラムとシームレスに統合されていることを利用して、ページを簡単に作ることができる。写真を追加したいなら、iPhoto ライブラリから写真をドラッグして、iWeb のプレースホルダにドロップすればよい。お気に入りの iTunes プレイリストをサイトに載せて友人に見せたいと思うなら、iWeb メディアブラウザのプレイリストアイコンを、リストを置きたいところまでドラッグすればよい。そうすれば、iWeb は曲のタイトルをリストにしてくれ、それぞれ iTunes Music Store で試聴できるサンプルにリンクが張られる。

ページを全世界と共有する段になれば、Apple の .Mac サービスの会員は、作りたてのウェブサイトをクリック1つで公開することができ、サーバサイド機能もいくつか(アクセスカウンタや Java ベースのスライドショー、ブログのコメント)使える。これらの機能は、ほかのウェブサーバでサイトを公開する場合には利用できない。ほかのウェブサーバで公開したいと思う iWeb ユーザは、まずサイトファイルをローカルフォルダに書き出し、それを手動でウェブサーバにコピーしなければならない。.Mac でないサーバに直接アップロードする方法はない。

簡単に使えるウェブサイトデザインツールを探している企業にとっては、iWebは最善の選択肢とはいえないかもしれない。このプログラムでは、HTML を埋め込むことができないから、アフィリエイト広告やウェブストアのようなものを追加しようとすれば、特別な方法が必要となる。幸い、Mac プログラマのChad Brantly が iWeb Enhancer という小さく安価な(13 ドル)ツールを作っており、これを使えば iWeb サイトに HTML や JavaScript を加えることができる。

<http://web.mac.com/cbrantly/iWeb/Software/iWeb Enhancer.html>

営利目的の事業者なら、.Mac の利用規約では e コマースが禁止されていることに注意する必要がある。どこか別のホスティングサービスを探す必要があるだろう。

これらの注意事項を措くとすれば、iWeb は、魅力的で機能的なウェブサイトを作りたいと思う Mac ユーザにとって簡単に使えるツールだ。80 ドルのiLife '06 スイートの一部であることを考えればお買い得で、Dreamweaver やGoLive のようなプロ用ウェブデザインツールのように、習得するのが難しいこともないし、コストもそれほどかからない。

RapidWeaver 3.5 -- Realmac Software の RapidWeaver は iWeb と同じ聴衆を狙ったものである:機能満載の Web サイトを手早くそして簡単に作って送り出したいと言う人達。iWeb がでる前は、私は自分の個人の Web サイトのために RapidWeaver 3.2.1 を使っていて、これはとても使い易いと感じていた。バージョン 3.5 は現在はベータの状態である - このトライアル版または最新の商用版 (3.2.1) を Realmac のサイトからダウンロードできる。

<http://www.realmacsoftware.com/rapidweaver/>
<http://www.realmacsoftware.com/rapidweaver/mirrors.php>(日本語)act2.com RapidWeaver

iWeb の様に、RapidWeaver もすでに用意されたテンプレートを出発点として使う。これにはいくつものページタイプが用意されていてそこから選択する(Blog, Contact Form, File Sharing, HTML Code, iFrame, Movie Album, Offsite Page, Photo Album, QuickTime, そして Styled Text)。RapidWeaver の動きについてあえて文句がある点を一つ挙げるとすれば、それは一枚のページ用のコンテンツを入力した後、それが実際にどの様に見えるのかを見るためには、次に Preview ボタンを押さなければならない事ぐらいである。一方では、RapidWeaver はパッケージによって生成された HTML タグを見る (しかし残念なことには編集は出来ない) という自由度を与えてくれる。これはより高度のユーザーには強力なトラブルシュートツールとなる。

テンプレートは iWeb や Sandvox の様には創造的なデザインとはなっていない。少々の例外を除けば、RapidWeaver サイトは、レイアウトやナビゲーションについては似たようなものであるが、主として、色、幅、それにタイプフェースに違いが見られる。RapidWeaver 3.5 では Theme Variations と呼ばれる新機能が追加される。これを使えば、いくつかのテーマスタイルを組み合わせる事が出来、RapidWeaver サイトの平板さから抜け出す事が出来る。サードパーティからのテンプレートも出ている。

他の iLife アプリケーションから多くのデザインエレメントをドラッグ・ドロップ出来るが、RapidWeaver は iWeb が提供している様な緊密な統合性は有していない。従って、もし iPhoto や iMovie HD からのコンテンツを多用するつもりなら、iWeb の方が適していると言える。

RapidWeaver は .Mac や他の Web サーバーにサイトを送り出す時は同様に問題なく動作する。内蔵の FTP クライアントがコンテンツをあなたのサーバーに素早く移動させ、そして将来アップデートする時に備えてそのログイン情報を保存する。3.5 ベータでは SFTP (Secure FTP) もサポートしているので、セキュリティが心配な人でも RapidWeaver で安心感が得られる。

iWeb と違って、RapidWeaver は生の HTML コードをページと iframe とに入力する方法を提供している。これは、一つの Web ページをフレームや他のページに埋め込むのに使われる技術である。iframe は、例えば Zen Cart や似たような e-commerce サイトをあなたの Web サイトに埋め込みたいと言うような場合に有用である。

<http://www.zencart.com/>

私の経験から言えば、Realmac Software は RapidWeaver のアップデートに関して、新機能の追加、バグ修正のためのどちらの理由からでも良くやってきている。そして、RapidWeaver ユーザーのコミュニティは、Realmac フォーラムに積極的に参加している。

<http://realmacsoftware.com/support/>

RapidWeaver は、比較的易しい Web のデザインをしたいがテンプレートの見かけにはあまりこだわらないという Mac ユーザー向きである。単独ユーザーライセンスの値段は $40 である。

Sandvox 1.0.1 -- Mac のための簡単な Web デザインツールの世界への新規参入者は、Karelia Software の Sandvox である。私は、過去数ヶ月の間に Sandvox のいくつかのベータリリースを試す機会に恵まれたが、完成版を見る事が出来て大変嬉しい。

<http://www.karelia.com/>

iWeb や RapidWeaver と同様に Sandvox もテンプレートベースである。Sandvox 1.0.1 には出来のいいそして興味深いテンプレートが 27 付いている;もし Karelia からのイーメールアップデートに申し込めば、更に5つのテンプレートが無料でもらえる。ページタイプには、Text, Photo, Contact Form, External Link, File Download, Movie Page, Site Map, そして (Pro ユーザー限定の) Raw HTML が含まれる。

Sandvox はページレットというサイトに機能を添加する小さなプラグインを持っていることが特長である。サイドバーや記事の中に写真を入れたい?写真ページレットを使えばいい。自分のサイトに del.icio.us リストを入れればより引き立つと思う?そうするページレットを加えればいい。ページとページレットの両方の設定を変えるには Inspector ツールを使う。ページレットを使うことで色々なかっこいい機能を加える事が出来るが、Sandvox はページ上のどこに配置できるかに制限を設けている。

<http://del.icio.us/>

Sandvox は三つのアプリケーションの中では、サイトを送る事に関しては一番自由度があり、.Mac, FTP, SFTP, そして WebDAV をサポートしている。それに、標準に則ったページを作成すると言う意味合いからすると、殆どが XHTML 1.0 Strict として作成されるので、一番いい仕事をしてくれると言える。Pro を使う人は、自分で作成した HTML を送る前に World Wide Web Consortium の検証ソフトを使って検証することさえ出来る。

<http://www.w3.org/>

残念なことには、私が Sandvox をこの記事を書くためにテストしている時、数多くのエラーに遭遇した。そのどれもがプログラムをクラッシュさせることはなかったが、その度にバグレポートに記入し Karelia に提出するように言われた。

Karelia はプログラマー向けの Developer's Kit も出している。これによって新しいデータソース、ページ或いはページレットタイプ、或いはエレメントを作成できる。これに加えて、自分で自分のページデザインをしたい人のための Designer's Guide も出している。この情報を公開することで、Karelia は新たな機能とデザインへの扉を開いている。

<http://wiki.karelia.com/Sandvox_Developers_Guide>
<http://wiki.karelia.com/Sandvox_Designers_Guide>

Sandvox は、高品質の HTML と標準準拠を貫きながら、del.icio.us リストや Flickr ギャラリーのような日常的なブログへの簡単なアクセスも欲しいというユーザー向きである。通常版は $40、Pro 版は $70 の導入促進価格が設定されている (これらの値段は 16-Jun-06 以降値上げされる)。

<http://www.flickr.com/>

結論 これら 3本のプログラムはいずれも Web サイトデザインをこれから始めようとする人や私のように怠け者のウェブマスタには取って置きのものであるが、お奨めするのは RapidWeaver と Sandvox のお試し版をダウンロードし試してみて、これらに余分についている機能が Apple の iWeb の使い易さと柔軟性に勝るものかどうか見極めることである。その上で、iWeb に決めるのであれば、私の電子本にも目を向けてくれる事を願いたい。


南アフリカを 113 億のピクセルに

文: Jeff Carlson <[email protected]>

南アフリカ旅行で撮ったデジタル写真の残りを全部ダウンロードし終えてみて、私は妻と私が撮り溜めたもの、風景や、サイ、象、ライオン、それにもちろん私たち家族も写っているこれらの写真が、全部で 2,272 枚、ピクセル数にすればおよそ 113 億という膨大な量に達していることを知った。出発の前に私が書いた記事(“Canon PowerShot S2 IS 購入”を参照)でも触れたように、これらの写真のほとんどは、あえてこの旅行のために購入したカメラで撮影したものだ。まだまだこれからこの膨大な写真を並べ替えたりどれを残すか考えたりしなければならないし、その作業には何ヵ月もかかるかもしれないが、とりあえず今回は前の記事の続きとして、このカメラを使ってみた体験談と、野外でデジタル写真を撮影する際に学んだいくつかの教訓とをお話ししておきたいと思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08348>(日本語)Canon PowerShot S2 IS 購入

私が旅行したのは 2005 年の 11 月だったが、その後 Canon はこの S2 IS をアップデートしたバージョンとして PowerShot S3 IS をリリースした。解像度が S2 で 5 メガピクセル (MP) だったのに比べてこの S3 では 6 MP(600 万画素)となり、光量不足の状況や高速アクションなどで使える ISO 800 の高感度設定 (S2 では最大 ISO 400)、より高品質のビデオ録画機能、大型化した 2 インチ液晶スクリーン、シルバーから黒へのボディーカラー変更、その他いくつかの細かい変更もある。私の見たところこれらの変更点はそれほど大きなものではないので今持っている私のカメラを買い替えようとは思わないが、もしも今から新しくカメラを買おうというのならば、たぶん私は S3 の方を選ぶだろう。

<http://consumer.usa.canon.com/ir/controller?act=ModelDetailAct&fcategoryid=144&modelid=13077>(日本語)キヤノン:PowerShot S3 IS

コントロール方法やデザインなどはこれら両者のカメラで基本的に同じもののようなので、以下の文章で書く私の S2 に対する印象は、全般的に S3 にも同じように当てはまるものと仮定しても差し支えないと思う。

使用感 -- 去年の旅行を準備していた時期、私は Laurence Chen の電子ブック“Take Control of Buying a Digital Camera”の第2版を編集する作業をしていた。これがそもそも私が新しいカメラを買おうと探し回るきっかけとなったのだった。この電子ブックの中で、Larry はカメラには使用感というものが重要だと強調していた。つまり、そのカメラが毎日の使用の中でどれだけうまく働いてくれるか、ということだ。この S2 について言えば、私は各種コントロールのレイアウトがとても機能的で使いやすいと思った。

<http://www.takecontrolbooks.com/buying-digicam.html?14@@!pt=TB833>(日本語)Take Control Ebooks: あなたの知りたいことがすぐわかる

例えば、私にとって重要な機能の一つは手動焦点合わせモードに切り替えられることだった。この S2 IS では、普通のデジタル SLR(一眼レフ)機にあるようなレンズ筒のまわりの焦点合わせリングは付いていないが、その代わりに左手の親指で MF ボタンを押し込んだ状態のまま右手の親指で四方向ロッカースイッチを操作すれば焦点距離が調整できる。液晶画面上のかなり広い領域をズーム拡大して、写そうとするものの一部をクローズアップ表示できるので、かなりの程度ピントの調整が目で見て判断できる。(私の古いカムコーダ−にもこの機能があったらなあ、と思ったものだ。)ちょっと練習しただけでコントロール部分を見ずに手動で焦点合わせができたので、それ以後はファインダーの中にあるものだけに注意を集中することができるようになった。

また、これは初めのうちは気付かなかったものだが、私はもう一つ別の焦点合わせ機能も頻繁に使うようになった。自動焦点合わせを稼動させた状態で Set ボタンを押してロッカースイッチを使うと、スクリーン上で小さな緑色の長方形の枠が動かせて、焦点合わせがその領域を優先して行なわれるようになる。例えばとかげのクローズアップ写真を撮るような時にはこの機能を使うととても便利で、わざわざ手動の焦点合わせを使う必要がなかった。それに Set ボタンはロッカースイッチのすぐ下にあるので、見ないで押すのも簡単だ。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/74590875/in/set-1388514/>

もう一つ良い使用感の例を挙げよう。背面にあるボタンの一つ、これは右手の親指で簡単にアクセスできるものだが、このボタンにたくさんのカメラの機能を対応付けできる。私は、このボタンを ISO(シャッター速度)の調整に割り当てている。光量不足の状態や、高速で動くものを撮影したい時などに便利だ。いちいちメニューをナビゲートする(いつでもこれは面倒なものだ)代わりに、ボタン一つで即座に ISO 設定が切り替わるようになる。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/144623245/in/set-1388514/>

野外での機能 -- この S2 IS には毎秒およそ 2.4 枚の画像の撮影ができる高速連写モード機能がある。Sabi Sands 保護区でライオンの群れを見つけた時には、私はこの機能を存分に使いこなした。ライオンを目前に見たのはあの時が初めてだったのだ。ただ、悪いこともあって、これで私は 512 MB カードをほぼ満杯にしてしまった上に、ちょうどその時は予備のカードを持って来るのを忘れていた。もちろん撮影オプションを低い解像度の写真に切り替えたり、写真をより高い圧縮比に切り替えたりもできたのだが、でも... 何と言っても目の前に野生のライオンがいたのだから!

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/73907398/in/set-1388514/>
<http://sabi.krugerpark.co.za/>

少し時間が経ってから、私は気が付いた。私たちは彼らのなわばりの中にいるのだけれども、ライオンたちは私たちが乗っている Land Rover のことを実際それほど気にしている訳でもなかった。それに、その時はまだ夕方早い時間だったので、とりわけ彼らはけだるい様子だった。彼らがのんびり休んでいる間に、私はカメラ内に撮り溜めた写真のうちのいくつかを消去して空きを作り、その夜の遠征の最後まで使えるのに充分なだけの空きをカード上に作った。

もう一つ、私にとって有難かったのはこのカメラの動作が比較的静かなことだった。フィルムに撮影するカメラとは違って、デジタルカメラでは写真を撮る際にカシャッという音は聞こえない。(その音をわざと出させるようにもできるが、もちろん私はそんな馬鹿げたサウンド効果はカメラが届いたその日にオフにしておいた。)静かな場所で撮影中にじっとファインダーを覗き込んでいるような場合にはズームモーターの作動音が聞こえてくるが、それを除けばこのカメラは静粛だと言える。

普段ならば音の問題を気にする必要もないが、私たちが加わったサファリ旅行の中に Imfolozi での徒歩ツアーがあった。Land Rover に乗っての他のツアーとは違い、この Imfolozi で私たちは中央地域のキャンプに宿泊しつつ林の中へ何度もハイキングで歩いて行ったのだ。私たちは野生の自然そのもののまっただ中にいて、大きなライフル銃を抱えた二人のガイドたちに守られていた。ツアーに先立って、私たちは重要なガイドラインをしっかりと教え込まれた。動物と出会った時には、決して逃げてはいけない。逃げれば自分が獲物と見なされるからだ。ライオンと出会ったら、しっかりと地面を踏みしめて相手を見下ろすこと。たとえライオンがあなたを「模擬攻撃」で威嚇してきても怯んではいけない。ただし、豹(レパード)に出会ったら、ゆっくりと歩き続け、決して目を合わせてはいけない。目が合えば攻撃の意志があると見なされるかもしれないからだ。私たちはこれらのルールを実地にテストされる羽目になった。黒サイと出会ってしまったのだ。より一般的な白サイに比べ、黒サイはより攻撃的だと言われる。サイというのは視力は弱いが素晴らしい聴力を持っており、私たちはそういう場合手近な木や薮の陰に隠れてじっとしているようにと言われていた。サイがあたりを警戒している間、私は相手にこちらの位置を知らせる危険のある音を出すことなしに何枚かの写真を撮ることができた。緊張の数分間が過ぎて、ガイドたちは大騒ぎしたり岩を投げたりすることでやっとサイを追い払ってくれた。

<http://www.ecoafrica.com/african/safaris/KZNWildlife/4dayImfoloziWildernessTrails.html>
<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/165503694/in/set-1388514/>
<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/71839706/in/set-1388514/>

最後にもう一つ、ちょっとお恥ずかしいことだが、私はこのカメラのデジタルズーム機能に心底驚かされた。普段、私はデジタルズーム機能などというものは真っ先にオフにしてしまう。なぜなら、一般にデジタルズームを使うと細部の乱れた写真が出来てしまうからだ。これは、カメラの画像プロセッサがピクセル間に補間法を施すことで、より強力な光学ズームのシミュレーションを行なっているからだ。

けれども、Kim と私が St. Lucia の町の近くでカバを探しに出かけた時のことだ。この近辺にはよくカバが出没するのだという。最初は小さな濡れた岩の塊のように見えていたが、実はこれが三頭のカバたちが入江のところから半身を見せているのだとわかった。カメラの通常の 12 倍ズームでは、これがカバだと判別することはできたものの、フレームの中で充分な大きさで写っているとは言えなかった。別に失うものはない(メモリカード上のバイトも別に失われる訳ではない)と思い切って、私はデジタルズーム機能をオンにしてみた。予期した通り画像はほんの少しぼやけたものになったが、ピクセルが四角くなって見えるというような醜い画像ではなく、ほんの少しピンぼけかな、と思える程度の出来映えに撮影できた。私はやはりデジタルズーム機能を諸手を挙げてお勧めすることはできないが、まあ半分程度の出来映えの写真が手に入るか、それとも何も写らないか、ということならば大きな違いだろう。テクノロジーが進歩しているのを目の当たりにするのは嬉しいことだ。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/165538775/in/set-1388514/>
<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/73318248/in/set-1388514/>

野生のピクセルを貯蔵する -- フィルムに撮影するのとは違って、デジタル写真の場合はどうやってそれを保管するのかという問題が大きい。撮影済みのフィルムをソックスに詰め込んでスーツケースに入れておくというようなことができないからだ。これも Larry の電子ブックにある助言に従ってのことだが、私は二枚の 512 MB SD メモリカードを持って行った。この作戦は素晴らしくうまく機能した。片方のカードが一杯になれば、もう片方のカードに差し替えてそのまま撮影を続けることができる。私は 15 インチ PowerBook G4 を持って行ったので、一杯になったカードの中身はこちらに移し、iPhoto を使って写真をハードドライブに保存するようにした。ただ、次の旅の機会には一つだけ変えたいと思うことがある。それは、充分なハードディスク空き容量があるように心掛けるということだ。今回の旅行の終わり近くには、新しく撮った写真を保存する余地を作るために他のデータ、例えば音楽ファイルや古い写真などを DVD ディスクに焼かなければならない羽目になったからだ。

私はまた iPod と、Apple iPod Camera Connector も持って行ったが、ラップトップ機を抱えて行くには都合の悪い小旅行のような際に便利だった。この iPod Camera Connector というのはシンプルで小さな USB アダプタで、カメラを iPod に接続して写真を iPod のハードドライブにダウンロードできるようにするというものだ。これを使うと iPod のバッテリ残量はかなり急激に減ってしまうが、とにかくこれがあったお陰で私の場合は三日間の徒歩ツアーに PowerBook を抱えて行かずに済んだ。

<http://www.apple.com/ipod/accessories.html>(日本語)アップル - iPod - アクセサリ

お別れにもう一枚 -- この PowerShot S2 IS に本当に否定的な意見を述べることがあるとすれば、それはたった一つだ。レンズキャップのデザインがどうしようもなく悪い。なにしろ、きちんと嵌まらないのだ。ごく薄いフェルトによってレンズ筒との間の摩擦を提供しているのだが、このキャップがしょっちゅう外れて落ちるので、そのためレンズが風雨にさらされることになってしまう。一つの対処法はフェルトの厚みを増すために絶縁テープを二回巻き付けてやることだという話を聞いたことがあるが、旅行から帰った今は、私はカメラを小さな合成ゴム製のケースに入れて、私のコンピュータバッグの中に入れている間にレンズキャップが外れないようにしている。

私は特に写真の専門知識を学んだことがある訳ではない。だから、そんな私にとってはこの S2 は信じられないほど使いやすく、あえてこう言わせて頂けるならば、素晴らしい傑作の写真の数々を生み出してくれた。(Larry にどやされた形であるフォトコンテストに一枚を応募してみたところ、何と賞を獲得してしまった!)南アフリカ旅行でのこの体験で、次はデジタル一眼レフへと昇る階段を踏み出してみようかという考えが浮かんだのも確かだが、少なくとも今のところ、私はこの S2 の小型サイズと素晴らしい使用感に、最高の魅力を感じている。

<http://www.flickr.com/photos/jeffcarlson/87261440/>


TidBITS Talk/12-Jun-06 のホットな話題

文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。

GraphicConverter と RAW ファイル -- ある読者から、写真ファイルを RAW から TIFF へと変換するとサイズが小さくなるようだが、これはおかしい、という声が挙がった。(メッセージ数 4)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3022>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/854/>

複数モニタのユーザ向けのユーティリティ -- モニタ三台というのは多すぎるのか? ある読者はマウスをドラッグしてドラッグしてドラッグするのに疲れてしまったが、実は、この反復作業を省くことができ、それでいてこの広大なスクリーン面積の利点もすべて享受できるという解決策があった。(メッセージ数 9)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3023>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/855/>

FileMaker Mobile 8 と PDA の未来 -- 先週号の Joe Kissell の記事を読んで、FileMaker Mobile 8 を使っている読者たちがいろいろと反応を寄せた。また、ウェブ対応の携帯可能データベースがより良い解決策になり得るのかどうか、そういうものはどれほど簡単に実現できるものなのか、という議論も巻き起こった。(メッセージ数 8)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3025>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/856/>

OSX 10.4 のカラーの問題、特に iPhoto で -- 奇妙なカラー残像を経験したある読者が、これは自分のシステムに何か問題があるのだろうかと質問し、それに対していくつかの問題解決法の提案が寄せられる。(メッセージ数 2)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3027>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/860/>

Firefox アップグレードとその他の問題 -- Firefox の自動アップデート機能の副作用だろうか、ある読者が自分のインターネット接続が干渉を受けているのではないかと疑念を膨らませる。(メッセージ数 6)

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3028>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/861/>


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Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2006年 6月 17日 土曜日, S. HOSOKAWA