あなたは、物事をきちんと整理しておくために費やす時間の方が、実際にあなたがリストにあるものの達成のために動く時間よりも多いタイプだろうか? Jeff Porten が先週の記事に続き、今週は整理システム Getting Things Done を実行に移すための具体的なステップについて語る。AppleCare オーナーの皆さんには、Universal Binary 版の TechTool Deluxe を含んだブート可能 CD が作れるディスクイメージをダウンロードできるというお知らせがある。また今週は Bluetooth Mighty Mouse と、Mark/Space の The Missing Sync for Windows Mobile 5 がリリースされ、MacBook Pro のバッテリのリコールと、IP 電話の通話音声をポッドキャスト用に録音する手間が簡単になった Audio Hijack Pro の新バージョンのニュースもある。
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ワイヤレス Mighty Mouse がデビュー -- 漫画の主人公の Mighty Mouse は尻尾を持っていたかもしれないが、Apple は自分の Mighty Mouse の尻尾にナイフを一振り、その USB ケーブルをやめて Bluetooth 2.0 経由のワイヤレス接続で取り替えた。本体の造りとしては、このワイヤレスの Mighty Mouse も基本的にはこれまでのケーブル付きのものと同じだ。(もちろん、ケーブルが無いことだけを除いて。)これまでと同様、最大四種類のボタンを独立にプログラムすることができる。マウス上部の左右にあるタッチセンサーを利用した二つのボタンと、クリックにも対応した 360 度スクロールボール、それにマウスの側面を握りしめた時にアクションを起こせる感圧センサーボタンがある。AA(単3)電池一本または二本で動作し、一定時間使用しなければ自動的に省電力モードに切り替わり、また使用しない時にバッテリが消耗するのを防ぐためのオフスイッチも付いている。Apple はバッテリ寿命について現時点では何も発表していない。このワイヤレス Mighty Mouse は現在入手可能で価格は $70 だ。ボタンのアクションをカスタマイズするには Mac OS X 10.4.6 かそれ以降を必要とする。従来のワイヤードの Mighty Mouse も引き続き $50 で販売され、こちらの方は(Apple の発表内容としてはちょっと奇妙ながら)Windows 2000 または Windows XP を使う PC でも動作する。[ACE](永田)
<http://en.wikipedia.org/wiki/Mighty_Mouse>
<http://www.apple.com/mightymouse/>(日本語)アップル - Mighty Mouse
<http://www.apple.com/mightymouse/software.html>(日本語)アップル - Mighty Mouse - ソフトウェア
<http://www.apple.com/mightymouse/specs.html> (日本語)アップル - Mighty Mouse - 仕様
Apple、パフォーマンスを理由に MacBook Pro バッテリをリコール -- Apple は 15 インチ MacBook Pro で 2006 年 2 月から 2006 年 5 月までに販売されたものの一部を対象にバッテリの全世界リコールを始めた。リコールの理由はパフォーマンスの不足だという。(つまり、Dell のラップトップ機が火災を起こしたという最近の事例のような、安全上のリスクに関するリコールではない。)このリコールプログラムの対象になるかどうかを調べるには、バッテリの下部を見て、記載されているモデル番号が A1175 で、かつ 12 桁のシリアル番号の最後の 4 桁が U7SA, U7SB, U7SC のいずれかであるのを確認すればよい。[JLC](永田)
<https://support.apple.com/macbookpro15/batteryexchange/>
<http://www.gizmodo.com/gadgets/dell/another-dell-laptop-goes-kabloom-190579.php>
Missing Sync for Windows Mobile 2.5 で Mac Sync -- 最近のハイエンドの携帯電話の多くは Microsoft の Windows Mobile 5 オペレーティングシステムで動いており、その結果として Mac ユーザーはコンタクト情報その他のデータを同期することができないでいた。ところが今回、Mark/Space の The Missing Sync for Windows Mobile 2.5 がリリースされてそのハードルを飛び越えることができるようになった。この新バージョンでは、Mac OS X 10.4.7 かそれ以降の Apple の Sync Services と連係して住所やカレンダー項目、to-do リストなどを処理することができ、また Microsoft Entourage との同期のサポートをはっきり謳っている。さらに、iTunes や iPhoto 用のプラグインも付属していて音楽や写真を携帯電話に転送したりでき、その機器をデスクトップにマウントして直接ファイル転送をすることさえ可能だ。バージョン 2.5 で新設されたツールバーがコマンドへの素早いアクセスも提供しており、これで Windows Mobile ソフトウェアのインストールも手軽にできる。The Missing Sync for Windows Mobile 2.5 はバージョン 2.0 やそれ以降のオーナーには無料のアップグレードで、新規購入ならば電子ダウンロード版で $40(CD 版ならば $50)となる。古いバージョンから、またはいくつかの指定された他製品からのアップグレード価格は $20 だ。[JLC](永田)
<http://www.microsoft.com/windowsmobile/>
<http://www.markspace.com/missingsync_windowsmobile.php>
<http://www.markspace.com/missingsync_wm_upgrade.php>
舞台裏システムの模様替えが延期に -- 新しいバックエンドシステムだが、他の予定に追われてテストを完了することができず、稼動開始を今週に延期することにした。次号の TidBITS #841 は新システムにて作成と配送が行なわれる予定なので、どうか無事を祈っていて頂きたい。もしも何か変なことが起これば ExtraBITS ウェブログに掲載するので、そちらにもどうか目を配って頂ければと思う。[ACE](永田)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08610>(日本語)TidBITS 舞台裏システムの模様替えが間近に
<http://www.tidbits.com/ExtraBITS/>
文: Matt Neuburg <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Apple がサードパーティのソフトウェアに依存していることは、長年 AppleCare Protection Plan の弱点となっていた。何年も前から、AppleCare を購入した人たちは、パッケージに Micromat の TechTool Deluxe CD が入っているのにその CD が AppleCare を購入したそのコンピュータ自体をブートできなかったり、たとえブートできても(さらに悪いことに)走らせるとハードディスクの構造にダメージを与えてしまい、データが復旧不可能になってしまうことさえある、と苦情を言い続けてきた。TechTool のバージョン改訂はその頻度も少なく、時間的にも非常に間が空いてしまって、メジャーなオペレーティングシステムの改訂やハードウェアの変更にも大きな遅れをとるのが常だった。Apple も、そんな改訂があっても購入した人に知らせることさえしなかった。(少なくとも、購入者たるこの私に通知が来たことは一度もなかった。)
<http://www.apple.com/support/products/> (日本語)アップル - サポート - AppleCare製品概要
<http://www.micromat.com/index.php?option=com_content&task=view&id=37&Itemid=51>
そういう事情に苦しめられてきた既存の AppleCare 契約者たちには、きっとこのニュースは大歓迎だろう。今回、Micromat は TechTool の新バージョン (3.1.1) を出して、二つの形で提供することになった。一つは Intel ベースの Mac 用で、もう一つは PowerPC ベースの Mac 用だ。これは Apple から無料ダウンロードで入手できる。(その際 AppleCare に登録されたあなたのマシンのシリアル番号が必要だ。)このダウンロードは 200 MB ほどで、ディスクイメージの形式になっている。このディスクイメージを使って、ソフトウェアをあなたのコンピュータにインストールすることも、あるいはブート可能な CD を焼くこともできる。
<https://support.apple.com/techtooldeluxe/main?id=dl>
TechTool Deluxe 3.1.1 では、Intel ベースの Mac をサポートするようになったことに加え、起動ボリュームの Volume Structure テストが実行できるようになり、Diagnostic および Rezero Unit テストが更新され、Drive Hardware および Directory Scan のオプションが追加された。ソフトウェアアップデータも 4.5 MB のダウンロードで入手可能だ。
<http://www.micromat.com/index.php?option=com_content&task=view&id=166&Itemid=61>
文: Glenn Fleishman <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Audio Hijack Pro が電話での会話をより良く捕捉できるようアップデートされた。いや、これは別に Rogue Amoeba の連中が NSA と秘密の契約を結んだという訳ではない。[訳注: NSA とはアメリカ国家安全保障局 (National Security Agency) のことです。いわゆる「超スパイ機関」ですね。]そうではなくて、コンピュータ対コンピュータにしろ、コンピュータ対 PSTN(公衆交換電話網 Public Switched Telephone Network、つまり一般の加入電話回線ネットワークのこと)にしろ、VoIP (Voice over Internet Protocol) の通話を録音したいというユーザーの声が多いのを、彼らは聞き入れてくれた訳だ。
<http://www.rogueamoeba.com/audiohijackpro/>
Audio Hijack Pro 2.7 では、私が去年 O'Reilly Networks のために説明し、その後 Andy Affleck-Williams と協力して彼の電子ブック“Take Control of Podcasting on the Mac”(これは私が編集者だった)にも組み入れた、あのかなり厄介なセットアップの手続きをせずに済むようになた。Audio Hijack Pro は、どんなアプリケーションからでも、あるいはシステムリソースからでもサウンドを取り込んで、かつそれをそのまま流して通過させるようにデザインされている。複数個のキャプチャストリームを組み合わせればライブのミキシングもできるし、内蔵のフィルタを使えばライブでの処理もできる。
<http://www.macdevcenter.com/pub/a/mac/2005/10/10/how-to-podcast.html>
<http://www.takecontrolbooks.com/podcasting-mac.html?14@@!pt=TRK-TB840>(日本語)Take Control Ebooks: あなたの知りたいことがすぐわかる
ただ、もともと困難であったのは、ポッドキャストを録音したい時、あるいはその他の目的でも、個々の声を録音しながら、それと同時に、ヘッドセットのイヤピースに送るサウンドの全部または一部を、エコーを避けるために抑えたいような場合だ。また、会話の双方の声を別々にキャプチャしつつ、それらを別々のオーディオファイルに録音しておいてから後で別のアプリケーションを使ってミキシングするという余分の手間を掛けずに済ますことは、これまで Audio Hijack Pro の内部ではできなかった。
ところが今回の新バージョンでは、これは既存の登録ユーザーには無料のアップデートなのだが、MegaMix という機能が追加された。これを使えば会話の両方の側ともに捕まえることができ、さらに個々の音声を別々に録音するというオプションも付いている。これで、単にストリームを作成 (Session > New) しておいてから VoIP プログラムを選ぶだけで、細かいことまでちゃんと処理される。会話の両方の側をミキシングしてしまうというデフォルトの設定を変えたい場合は、Input タブの Advanced をクリックしてから Separate Inputs and Outputs by Channel をチェックすればよい。(Rogue Amoeba では下記のブログ項目の中に分かりやすい図解を示している。)
<http://www.rogueamoeba.com/utm/posts/Article/ahp27-tour-2006-07-31-12-00>
いくつかのメジャーな VoIP プログラムにも既に解決法は存在している。Apple の iChat AV は直接 GarageBand 3 に録音できるようになっている。その際、電話会議の参加者一人につき一つずつのトラックができる。Skype 用の新しいプラグインである Ecamm Network の Call Recorder は、Skype の中で複数トラックの録音ができるようにする。また、Gizmo Project も、ずっと以前から直接の MP3 録音を提供してきている。
<http://www.apple.com/macosx/features/ichat/>(日本語)アップル - Mac OS X - iChat AV
<http://www.apple.com/ilife/garageband/features/ichatrecording.html>(日本語)アップル - iLife - GarageBand - iChatインタビューの録音
<http://www.skype.com/>
<http://www.ecamm.com/mac/callrecorder/>
<http://www.gizmoproject.com/screen-shots.html>
文: Jeff Porten <[email protected]>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
この記事の第一部では、David Allen の Getting Things Done(GTD)システムを紹介し、そのシステムを実践するために役立ちそうなプログラムをいくつか概観した。第二部では、GTD をどのように機能させたらよいか、特に Macを日々どのように使えばよいか、詳しく見てゆきたいと思う。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08614>(日本語)あなたの Macintosh で Getting Things Done(第一部)
Aqua Finder で水のごとき心 -- 思い出していただきたいのだが、GTD において鍵となるのは、はっきりとした作業やあいまいな計画、ふとした思いつきを、できる限りすばやく正しいバケツに集め、頭の中から追い出すことだ。Apple は、その限りない Infinite Loop [訳注: Apple 本社の周囲を取り巻いている道路の名称] な英知によって、収集バケツを私たちすべてがいつでも目にするところに置いてくれているのだが、それを正しく生産性ツールとして使っている人はほとんどいない。何について話しているのかって? Finder のデスクトップだ。
さて、あなたのデスクトップには何があるだろうか。あなたが、私の顧客の95 パーセントと同じだとすれば、デスクトップには以下のものがあるだろう。よく使う書類やアプリケーションのエイリアス、先週の火曜日に作業をした、謎のファイル名を持った書類、クリスマスの時期になれば重要になるかもしれないメモがいくつか、そして最も大切なものは、なんらかの Project of the Week(今週のプロジェクト)に関連したファイルだ。
そこで私は、以下のことを提案したい。あなたの ユーザ フォルダの中に、"Desktop Storage"(デスクトップ保管所)という名前のフォルダを作り、デスクトップにあるものすべてをそのフォルダにドラッグしよう。あっという間にきれいさっぱり!
「でも、Project of the Week はどうなるの?」心配は要らない。マスターリスト(これは、第一部でご案内したように、iCal でも、TextEdit 書類でも、OmniOutliner のアウトラインでも、何でもよい)に、"Review Desktop Storage"(デスクトップ保管所を点検する)という繰り返し項目を加えればよい。Project of the Week は、どこかのリストに入れておく。ほかは? ほかのことは後回しにすればよい。もちろん、エイリアスを Dock に置いたり(そして要らなくなったものを定期的に掃除したり)、謎の書類をファイルしたり、クリスマス項目が感謝祭項目の後にくるように(これについては後述)してもよい。大事なことは、こういったことをすぐにやる必要はないということだ。これらの項目は、デスクトップ上で腐らせておいたところで決して組織化されることはないのだから、しばらくのあいだ格納場所にしまっておいたところで、その場所に戻ることを思い出させる項目がマスターリストにあると確信できれば、何の害もない。
どうしてこんなことをするのかって? 机の上をまっさらな白紙状態にするためだ。デスクトップを(Finder のウインドウが何も開いていない状態で)クリックし、表示 > 表示オプションを表示 を開くと、ファイルの表示方法を設定することができる。私の好みは、フォントは 11 ポイント、アイコンは最小、ラベルは右側、常に名前で並べ替えるという設定だ。こうすると、こじんまりと整ったリストができ、大抵はウインドウを開いていてもその背後に見える。仕事をしているあいだずっと、作業したり、ダウンロードしたり、変更したり、ぐちゃぐちゃにしてしまったりしたものはすべて、デスクトップに置いておく(例外が1つあって、すでに別の場所できちんと整頓されているファイルについて作業するときは、その書類の代わりにエイリアスを使う)。1日が終わると、デスクトップ上のファイルは、その日概念的に訪れた場所の地図になっている。変更日で並べ替えれば、訪れた場所を時系列で眺めることもできる。
その日の最後に(実際は数日おきになってしまうことが多いのだが)デスクトップを処理する。すでに作業を終え、今後2度と作業する必要のないファイルは、それが後日必要になる可能性があるかどうかによって、ファイルするかゴミ箱に捨てる。将来必要となるファイルは、備忘録システムに格納するか、"Someday"(いつか)フォルダに放り込む。すぐに追加の作業が必要となるファイルには注釈をつけ、適切なタスクシステムに格納する。
あなたはきっと「それはよいが、どうやって?」とつぶやいていることだろう。実は、これらはすべて、Finder に iCal と AppleScript を振りかけるだけでできる。
タグラインに備忘録にソフトウェアに、ああ、なんてこった! -- 基本的なことから始めよう。仕事を中断し、デスクトップを処理するとしよう。デスクトップは定期的に片づけているのだから、そこには十数個のファイルしかないだろう。その中の1つのファイルについて考えてみよう。それが後で必要になることがあるだろうか。もしなければ、捨ててしまおう。ゴミ箱はあなたの味方だ。ここでの目標は、ディスクスペースの節約ではない。今ではディスクスペースは潤沢で、将来必要になったときのための URL を何億兆でも保存しておける。「これはもう2度と決して注意を向ける必要はない」と言うことによって、心の中のスペースを節約するのだ。
あるいはひょっとして、そのファイルが再び必要になるかもしれない。ファイルが進行中のプロジェクトの一部分であって、すぐに必要となるだろうときは、Active Projects(進行中のプロジェクト)フォルダの中に適切な名前のサブフォルダを作り、そこに入れておこう。現在の私のデスクトップには、まさにこの原稿が置いてあり、1日の終わりには、これは Active Projectsフォルダに収まることになる。しかし、この記事が公開された後では、これはもう進行中のプロジェクトではなくなる。そうなれば、書類を移動して、長期保存のためにファイリングすることになる。
あなたのフォルダ構造はこんな風になっているのではないだろうか。
Users > jporten > Documents > Writing > Mac > TidBITS > In Progress > GTD > Drafts
私もかつてはそうだった。何ともひどいものだ。今では、私のファイル構造は以下のようになっている(アクティブな場所とアーカイブされた場所の両方を示す)。
Users > jporten > Active Projects > TidBITS GTD
Users > jporten > Archives > 2006-07
これだけだ。私は毎月新しいフォルダを作り、それを Finder のサイドバーに入れておき、書類をごっそりとその中にファイルして、私の目の前から消してしまう。ファイルが必要になれば、私は通常それを最後にいつ使ったかを覚えているので、正しいフォルダに直行できる。あるいは、代わりに Spotlightに探してもらうこともある。もちろん、フォルダをいじくりまわすのに何時間も消費するという手もあるが、人生は短い。書類をその古さだけによってファイルするこのシステムは、Noguchi [訳注: 野口悠紀雄氏の「超」整理法] と呼ばれ、紙の書類に対してもうまく機能する。私がこのシステムをはじめに知ったウェブページは、残念ながらオフラインになってしまったが、下記のページがいくつかの優れた二次的資料へリンクしている。
<http://vielmetti.typepad.com/vacuum/2005/10/noguchi_filing_.html>
これまで、ゴミ箱について、現在の仕事について、そして完了した仕事について、どのようにするかを見てきた。では、後になってから戻りたいものについては、どうすればよいだろう。これは2つのカテゴリーに分けられる。取りかかるときに取りかかる(それがいつかは重要でない)ものと、ある特定の日時に再び目にしたいものとだ。
前者については、ホームフォルダの中に Someday フォルダを作る。ここに入るのは、2008 年の仕事に関するばかばかしいアイディアを書きとめた断片から、見てみたい URL、遊んでみたいソフトウェアまで、様々なものだ。これらの項目に共通していることは2つだけだ。どれにも締め切りがないので、永遠にその場所に置いてあってもよい。そして、すべてに(情報を見る ウインドウの)コメントが書き込まれていて、それを表すために黄色い Finder ラベルが付いている。コメントを見れば、そのファイルをどうしようとしていたのか思い出せるというわけだ。実際に着手するまで何ヶ月もあいだが空くかもしれないので、そのファイルを保存した理由を覚えておくために時間を浪費することはない。短い文をコメント欄に書き込んで黄色いラベルを付けるまでを一挙に行う AppleScript を起動する。黄色にしたのは、コメントを読むのを忘れないようにするための「付箋」という意味だ。(もちろん、このスクリプトは私のウェブサイトに置いてある。もう1つ、処理すべき項目を Someday フォルダからランダムに1つ選ぶスクリプトもある。こうすれば、少しは楽しくなるだろう。一番かび臭いものから順に取りかかるなんてまっぴらだ。)
<http://jeffporten.com/2006/07/31/tidbits-gtd-applescripts/>
しかし、締め切りのあるものについては、それが必要なとき、早くも遅くもないときに、確実に目にするようにしたい。そこで、もう1つフォルダを作って、そこに、その年が終わるまでの日数分、1日につき1つずつのフォルダを置いておく。Adam が私に、10 月のどこかで MacBook とジューサーミキサーを接続することについての記事を書いてほしいと言ったとしたら、そのメモを9 月終わりあたりのフォルダの1つにドラッグする。毎朝、私が寝ているがコンピュータが起きている時間に、iCal イベントがスクリプトを起動して、その日のファイルがデスクトップ上に広げられる。するとあら不思議、その項目がその日処理するべき項目に加わるというわけだ。このスクリプトもダウンロードできる。
私にとって、この方法のよいところは、これが「ファイルして忘れる」という処理であることで、私の前には、ほとんどいつでも、達成の容易な目標があることになる。ウェブサイトを見ていて、後で戻ってこようと思ったら、URL をSafari からデスクトップにドラッグする。後でそれを処理するときには、その場でウェブサイトを読むか、週末用の備忘録に加えるか、あるいは何らかのプロジェクトや作業に付け加える。こうすることで、すべてをもらさず捕らえることができ、それでいて、何かをどこに置けばよいかあれこれ考えるのに1時間かかるなどということはほとんどない。
この記事のはじめで、デスクトップをきれいに掃除したわけが、もうお分かりいただけただろうか。デスクトップというのは特別な存在なのだ。ハードディスクの中のほかのどの場所も、いつでも利用可能な大きな標的とはならない。望むなら、Desktop Storage を処理する段になったときに、項目をすべてデスクトップに広げて処理してもよい。しかし、処理しきれなかったら、再び元の場所に戻そう。デスクトップは作業場であり、人生の雑多な物事を置いておくところではない。そのためにこそハードディスクが存在し、それを隅々まで訪れるように促すリストが存在する。
項目を作業とリンクする -- もう少しファイルについて考えてみよう。というのも、私たちが作業をすると、そのほとんどは最終的にファイルとなって、ハードディスクのどこかに収まることになるからだ。もしあなたが、何もかも整理整頓せずにはいられないのなら(ここまで読み進んでいるのだから、きっとそうなのだろう)、何かの作業に取りかかろうとするときに大切なことは、関連するファイルをすぐに引き出すことができるということだ。OmniOutlinerを使えば、これは簡単だ。ファイルかエイリアスをアウトラインにドラッグするだけでよい。では、iCal や Life Balance のような、ファイルのインポートができないタスクマネージャなら、どうすればよいだろう。
(ついでながら、私は Entourage を軽んじるつもりはない。Entourage の内部リンク機能は、作業をプロジェクトやファイルとリンクするのに適したシステムだ。私はそれも何年も使ってきた。しかし、長期間使ってみると、私の必要を満たすだけの柔軟性がなかったので、私のシステムに組み込むのはあきらめた。私が思うに、もしあなたが Entourage ユーザで、自分のシステムを築いているなら、ソフトウェアの内部に完全にとどまり、私がご説明しているような特殊な技の手助けを必要としないかもしれない。しかし、私に言わせれば、データ管理の手助けとなる AppleScript ユーティリティを使っていないなら、このソフトウェアの能力の半分を使い損ねていることになる。)
<http://scriptbuilders.net/cat.php?category_list=2&act=show_cat&cat_id=2>
iCal のイベントとタスクに URL 欄があることに気が付いている方もいらっしゃることだろう。Safari でコピーした URL をそこにペーストすれば、それをもう一度選択したとき、気の利いた「場所へ移動」ボタンが現れる。実に便利だ。しかし、ファイルについても同じことができる。というのも、ハードディスクにあるファイルは何でも、file:///Users/jporten/Desktop/gtd%20article.rtf のように「URL 化」することができるからだ。問題は、ファイルを別のフォルダに移動したとき、この URL がファイルを追跡してくれないということだ。そこで、私はもう1つ AppleScript スクリプトを作成した(これも私のサイトからダウンロードできる)。これは、エイリアスを作成し、URL がそのエイリアスにリンクするようにする。URL は常にエイリアスを参照し、そのエイリアスは、実物のファイルがどこへ動こうと、そのファイルを参照する。複数のファイルにリンクしたければ、そのファイルすべてを含むフォルダにリンクすればよい。同じ技は、アドレスブックの URL 欄でも問題なく使えるので、人とファイルとを結びつけることもできる。
明示的な URL 欄を持たない、そのほかのアプリケーションについては、Macらしい素敵な技が、すべての Cocoa アプリケーションで使える。(どのアプリケーションが Cocoa であるか、見た目だけでは分からないことが多い。それを調べるのに時間を費やすぐらいなら、お気に入りのアプリケーションで実際に試してみて、使えるかどうか見たほうがよい。)テキスト欄に URL をペーストすると、見た目は通常のテキストのままだが、多くのアプリケーションはそれが URL であると認識する。Life Balance では、Command-クリックすれば開くことができる。「テキストエディット」では、Control-クリックして「URL を開く」を選ぶ。これで、ほとんどどんなもの同士でも、好きなように結び付けることができる。例えば、あるファイルを別のファイルとリンクしたいなら、一方のファイルの URL をもう一方のファイルの Finder コメントに書き込めばよい。この場合も Command-クリックで開くことができる。
目の前にあるものと進行中のものとを分ける -- まだお気づきになっていないかもしれないが、私がお話ししてきたデスクトップの処理には、目の前のファイルに注意を集中させるという、大きな利点がある。何かについて作業をする必要があれば、それをデスクトップに広げる。作業が終われば、それをどこか適切な場所に片付ける。ハードドライブにはほかにも 300,000 のファイルがあるって? しかしそれは邪魔にはならない。では、この方法は様々な仕事にも適用できるだろうか。私が行っていることをお伝えしよう。
マスターリストには、それがどこに置いてあろうと、人生の中でやってみたいと思っている雑多な物事が書かれることになる。これは巨大なリストになり、ひるんでしまうが、それに取り組むには、おそらく数十年の時間があるのだから、問題はない。問題となるのは、午後 3 時に、読みたかった本の事をラジオで聞いたり、エアコンから不可思議な音が聞こえてきたりして、それを書き留めて次へ進もうと思ったときだ。あるいは、絶対確実に今日中に思い出したく、2週間後では困るという場合だ。
そういうときは、iCal にタスクを入力しよう。私は、デスクトップを使っているのと同じような方法で、iCal のタスクリストを使っている。1日は、空の状態か、もしくは、その日になったら現れるように前もって登録しておいたイベントで始まる。iCal には、まだ期限が来ていないイベントを隠す機能があるので、期限欄には実際の締め切り日を書き込まず、その項目を思い出したい期日を書き込むようにしよう。仕事を、小規模で実行可能な「次のアクション」に適切に分割しているなら、締め切り日が常に思い出したい日と同じとなることもある。しかし、あるプロジェクトをすばやく書き留め、後で見直すという場合、"Big report due August 31"(長文レポート、8 月 31 日締め切り)と書いて、「締め切り日」、つまり思い出したい日を、8 月 7 日、あるいはその長文レポートを仕上げるのに必要な時間だけ前の日に設定しよう。
理想的には、毎日の終わりに、iCal のタスクはすべて、次の3つのうちいずれかになっているはずだ。完了したか、マスターリストに移動して iCal からは削除されたか、それほど重要でないと判断して単純に削除したかだ。(新しいアイディアは何でも、しばらくのあいだ温めておくことで、多くの時間が節約できることが分かった。馬鹿げたアイディアが熟して異臭を放つようになるには時間がかかる。)そうであれば、iCal の To Do リストはいつも短く、実行可能になる。そしてもちろん、マスターリストには、これらのことを実行するよう促すような Routine 繰り返しタスクがある。私は、すでに完了した作業についても見直しをすることにしている。特に、完了した作業が進行中のプロジェクトの最初の段階にすぎないことが判明したときなど、マスターリストに書き留める価値があるということもある。
私が iCal に加えているタスクには、もっと重要なカテゴリが1つある。これは、実際のタスクというわけでは全くない。「待ち」備忘録とでも言うべきものだ。これらは、私の手から離れたが、それが完了することを期待してよい項目だ。例えば、"WF email from Adam re GTD article"(GTD 記事についてAdam からメール待ち)や、"WF rebate from Amazon"(Amazon の返金待ち)などだ。これは、将来追加の作業が必要になるかもしれないが、今は何もないということについて、すばやく書き留めておくのによい方法だ。Quicksilverや DoBeDo Dashboard ウィジェット、あるいは iCal に統合されたお好きなユーティリティを使って、iCal に飛び込まなくともリストをアップデートできれば、さらにすばやくできる。
<http://quicksilver.blacktree.com/ >
<http://www.bluehenley.com/products/dobedo/>
ところで、Project of the Week をデスクトップから削除してしまうというアイディアに、恐怖のあまりまだ身がすくんでいるというなら、iCalViewer を強く勧める。これは、iCal のイベントやタスクを、デスクトップの上に背景画像として貼り付けるという、素晴らしいユーティリティーだ。もしもあなたが、私と同じように、何かをする必要があると思い出させるものが常に目の前に突きつけられていなければならないというのであれば、あるいは会議の準備に取りかかるために重い腰を上げるのに 30 分かかるというのであれば、これが助け舟になる。しかし、この目的でファイルを使ってはいけない。iCal を使おう。
電子メールを手なずけ受信箱を空にしよう -- ここまでで、一つの流れにお気付きになっただろうか。デスクトップについても iCal タスクについても、私はあなたのワークスペースをクリーンかつフレッシュに保つことをお勧めした。そうすることで、そこに現われてあなたの即座の注意を引こうとするものは何でも、いつもすばやく扱えて現在の生活に直接関与するものだけになるからだ。さて、これと同じことが当てはまる場所がもう一つある。あなたの電子メールだ。私が保存している電子メールのメッセージは 1997 年に遡るものまで含み、その総数はおよそ 650,000 件近くになるが、現在この文章を書いている時点で、私の受信箱に入っているメッセージの個数は、ゼロだ。
その基本となる考え方は、受信箱をあくまでも受信箱として扱うこと、やるべきことを自分に思い出させるための準備舞台となるフォルダとして使ったりしないことだ。そちらの目的のためには、ちゃんとあなたのマスターリストと iCal が控えている。そして、あなたの受信箱を空にする際には、次のルールに従ってメッセージをすべて処理してゆけばよい。まずメッセージを読んで、すぐできること(ここではほんの2分間ほどでできることの話だ)は済ませてしまい、そうでないものはメッセージをファイルして完全に忘れ去ってしまうことだ。Merlin Mann は奇しくもこの作業を“Inbox Zero”と呼んでいるが、私はもはやこれなしに電子メールの作業をすることなど考えられない。
私は Apple Mail を使っているが、それと組み合わせて InDev の素晴らしいツール、MailTags と Mail Act-On も使っている。MailTags は、あなたの電子メールメッセージそれぞれにタグや期限の日付などのメタデータを付随させる。Mail Act-On の方は、メールの各種処理のために素早く使えるキーボードコマンドが作れる。同様の機能は Entourage にも存在している。Thunderbird や Eudora、あるいは Gmail のユーザーがこれらをどう処理しているのか私は知らないが、きっと Google で調べればこれらのテクニックを再現する方法がわかるだろうと思う。
ここでもやはり、Finder のファイリングシステムを作る際に使ったのと同じ原則に従うべきだ。管理に手間をかける必要のあるようなフォルダ階層を作るためだけに時間を費やしてはならない。できる限り単純なファイリング方法であなたの必要を満たすことを心掛けるのだ。私の場合、自分が何らかのアクションを起こす必要のあるような電子メールを分類するのに、全部合わせてもたった七つのカテゴリーにしか分けていない。最初の五つは Urgent(緊急)から Lowest(最低)まで、優先度による分類だ。Urgent(緊急)は文字通り、絶対今日中にしなければ生き死ににかかわる、というタスクだ。私の電子メールメッセージの大多数はその次の二つの優先度、High(高度)または Normal(通常)のどちらかにファイルされる。あとの二つ、Low(低度)と Lowest(最低)は私の経験上何ヵ月も目を通されずに放っておかれることがあるので、電子メールの優先度を振り分ける時にはそれを考えに入れておかなければならない。
残った二つのカテゴリー(MailTags はカテゴリーと呼ばずに“projects”と呼ぶ)が ReplyTo(要返信)と WaitingFor(待機中)だ。ReplyTo(要返信)は友人への電子メールや、期限を持たない一般的なビジネス関係の通信などに使う。デフォルトでは、私の評価フォルダの中でこれらに High(高度)と Normal(通常)の中間の優先度を付けているが、時として私は他の事柄の予定の進行具合に応じて優先度を上げたり下げたりすることもある。(私の評価フォルダはこの場合 Mail のスマートメールボックスだ。並べ順がうまく行くよう、名前の頭に番号を付けて 20 High, 25 ReplyTo, 30 Normal, 99 WaitingFor のようにしている。)もう一つの WaitingFor(待機中)は、その電子メールに関して何かするべきことがあるけれどもまだそれをする段階に来てはいない場合、あるいは私が送った電子メールに対する返信を待っている場合などが該当する。時に私は MailTags のノートフィールドを使って、自分が何を待っているのかを具体的に明記しておくこともある。次にその電子メールを見た際に、それが一目では分からないと思えるような場合だ。
ただし、私が決してしないことがある。それは、一つ一つのメッセージごとに関連するかもしれないプロジェクト名を忘れずにすべて記入しておく、というような類いの作業だ。私の経験上、Spotlight 検索があるのだから、わざわざそんな作業をする必要はほとんどない。いくつもの連続した電子メールメッセージをまとめて一度に評価したいような場合には、それ専用のプロジェクトを作って一つのスマートメールボックスに集めておく。ただし、一つ Routine タスクが作ってあって、週ごとにそれらのフォルダを間引きするよう催促してくる。Apple Mail の中に溜まりに溜まったフォルダが 16,000 個、という事態は避けたいからだ。フォルダは五個から十個程度ですべてが現在作業中、という状態が望ましい。作業が終わったら、私はそのスマートメールボックスを消去し、またそのフォルダが必要になった場合に備えてどこかにその MailTag を書き残しておく。メッセージ自体は、私の Read Mail(読み終わったメール)アーカイブに静かに隠退させる。こうして私のメールボックスは、iCal やデスクトップと同様、現在作業中の事柄だけをそのままリストしたものとなり、役にも立たぬトリビアや気を散らすガラクタなどに埋め尽くされることがなくなる。
MailTags には一つ新機能があって、個々の電子メールメッセージを iCal のタスクに直接結び付けることができる。その結果、私のタスクには MailTags のノートフィールド内に書き込まれた古いものと iCal に結び付けられた新しいものとが混在している。私は現在、Urgent(緊急)と High(高度)の優先度のものには iCal タスクを使い、Normal(通常)やそれ以下の優先度のものは Mail 内部のみで扱うというやり方に傾きつつある。ここでもやはり、iCal が山のようなゴミに埋もれて私にやる気を無くさせる、という事態を避けたいということが根本にあるのだ。MailTag で iCal タスクに繋がった電子メールメッセージは、タスク URL のフィールドに使われる巧みな実装方法のお陰で、iCal から直接に開くこともできる。
MailTags はまたファイリングのツールとしても素晴らしい。なぜなら、これを使ってあなたの電子メールにも Noguchi メソッドが適用できるからだ。電子メールは、いったん読んでしまえば、ゴミ箱か、Read Mail フォルダのどちらかに行く。もしも優先度やカテゴリー分けが付けられていれば、あるいは iCal タスクに繋げられているならば、そのメッセージはその旨フラグを付けられ、スマートメールボックスに回収されることもできる。必要な実行が終わったら、私は単にそのタグを消してそれをスマートメールボックスの外に出す。そのメッセージ自体は既に Read Mail フォルダの中にあるのだから、そのまま今後のためにそこに残される。
最後にもう一言。これまで述べてきたことすべてを機能させるために、私の Routine リストには一つのアクションステップが存在している。それは、私のスマートメールボックスにあるメッセージをチェックせよという、一日一回の督促だ。それを見るごとに、私はまず Urgent(緊急)のものから始めて順々に時間がなくなるまで続ける。High(高度)の優先度が付いている項目までは、たいてい私は時間がとれる。Normal(通常)の付いた項目はしばらく後回しにされるかもしれないが、かなり定期的にクリアされるべきものだ。そこでもう一つ、毎週一回の督促が出て、ここに手落ちがないかを確認できるようにしている。そして最後に、もう一つ別の督促が毎週現われて、WaitingFor(待機中)のものをチェックして拾い忘れがないかを見るように言ってくる。たいていは、私はこの作業をスマートメールボックスの作業と共にし、合わせてタグの評価のクリーンアップもするようにしている。
ゼロに達し、事を成し遂げる -- こうして、私たちは「水のごとき Mac 心」を目指して三つの禅 (Zen) の境地にたどり着いた。Inbox Zero、Desktop Zero、そして iCal Zero の三つだ。これら三つのワークスペースが現在どれほどおそろしく散らかっていても、それは関係ない。正しい分別をもってあなたのマスターリストとそれを支える各種のリストとを使いこなしさえすれば、あなたもこれら三つを高度に機能的かつストレスのない場所に変えることができ、あなたの仕事を系統付けて常に大切なことだけに焦点を絞ることができる。けれどもここで問題となるのは、はたしてそれで実際にあなたが事を成し遂げる助けになるのかどうかだ。
この種のシステムすべてに言えることだが、これが役に立つかどうかはやはりあなた次第だ。私の「クリーンな」iCal リストにも、もうかれこれしばらく居座り続けている項目がいくつかある。だから、私も体験から証言できる通り、このシステムは愚図な自分を直してくれる特効薬というわけではない。あなたがすべきことは、やはりあなたが実際にする必要があるのだ。ただ、私が一番ありがたいと感じるのは、そしてこれこそが私にとっての「水のごとき心」なのだが、GTD が私に、ある問題に対処する方法を与えてくれることだ。きっと多くの皆さんも同じ問題を抱えていらっしゃることと思うが、それは私の「こんなことをしたい」と感じる心が「それをするためにどれだけ時間の余裕があるか」ということをほとんど考慮してくれないという問題だ。私は(今でも!)イタリア語を習いたいし、Python も勉強したい。どちらも私はまだ手をつけていないし、どちらもどこか隅っこの Someday フォルダの中に押し込められたままだ。自分がイタリア語を学びたかったということを私が忘れて、後日また同じことを考えだしたとしても、何の問題もない、ただ同じことが二度書き込まれるだけだ。全然構わない。こうした私のとりとめもない、しかもすぐには強いて必要もないようなアイデアをもちゃんと尊重してくれ、それでいて優先度の高い他のことの邪魔はしないように正しく配慮してくれる、そのようなシステムは私の目にとまったものとしてはこれが初めてだ。
おそらく GTD の最も傑出した点は、ちょっと道を踏み外した後でも簡単に元の道に戻ることができるところだろう。私は数日間きちんと電子メールの処理をしなかったことがあって、その結果私の受信箱には 150 通ものメッセージが溜まってしまったことがあった。その後暇を見つけてほんの一時間ほど作業をした結果、今ではまた「ゼロ」状態に復帰している。たとえ私が悪夢のような一ヵ月間を過ごした後で 750 通とか 2,250 通とかの電子メールメッセージを溜め込んだとしても、たいていは数日のうちに私は道を踏み外しているのに気付いて元の習慣に戻ることができるだろう。でも、私の Desktop Storage フォルダには現在 4 GB ものファイルたちが私を待っている。私が処理を完了させられないでいる Desktop 一掃作業の数十回分に当たる。でも、これらのファイルのほとんどは優先度が低い。正直言って、二度と見直しもしなかったし、それを残念にも思わなかったものばかりだ。それでも、こいつらをちゃんと処理してやらなけりゃ、やっぱりきちんとしたいから、という気持ちに駆られている自分がいるのも確かだ。そして、その切迫した気持ちこそが、このシステムが働き続けるための原動力、フィードバックループなのだ。
GTD 関係リソース -- ここで述べてきたいろいろな処理の段取りは、私が膨大な量の錯誤と試行を繰り返した結果見いだしてきたものだ。(「試行錯誤」と言わずにあえて「錯誤と試行」と言ったのは、誤りの量の方が試行の回数よりもはるかに多かったのを言葉に表わしたかったからだ。)GTD には何かしらその信奉者に GTD 自体をいじり回す気を起こさせるところがあって、それにハマると誰もがオンラインフォーラムなどに行って自分がいじり回したことをこまごまと書いてみたいという気持ちになるものだ。だから、私の考え方があなたの味覚にピッタリと嵌まらなくても、どうぞご安心を。そこらを見渡せばそれこそ 10,000 種類もの別の方法があって、あなたもその中から智恵を拝借したり、それをもとに自分のやり方を作ったりすることができる。
やはりまず初めに見るべきところは、Merlin Mann のウェブログ 43 Folders だろう。ここは情報量も多く読んでいて楽しい。ウェブログを訪れて、そのアーカイブの初めまで戻ってすべてを読み通す時間をかけるだけの価値のあるところは少ないが、ここはその一つだと言ってもよいだろう。43 Folders は討論フォーラムを二つ(一つはウェブベース、もう一つは電子メールによる)と wiki を一つ、生み出してきた。これらにはすべて Mac 中心の考え方が香り続けていて気持ちがよい。Darwin という名の深遠なる魔術を学んでみたいとお考えのあなたには、これらの討論ボードに出没している数多くの Unix 達人たちの言葉も参考になるだろう。
<http://www.43folders.com/ >
<http://board.43folders.com/ >
<http://groups.google.com/group/43Folders >
<http://wiki.43folders.com/index.php/Main_Page>
それ以外の GTD 討論が見つかる場所として、Office Zealot にリンクされた一連のブログも忘れてはならない。Office Zealot と 43 Folders をチェックしておくだけでも、あなたが自分のシステムをいじり回すために必要以上の時間を費やしてしまうに十分な内容を目にすることができるだろう。Office Zealot にリストされるものは定期的に入れ替わりがあるようだが、現在この記事を執筆している時点では、一番目立ってリンクされているのは Slacker Manager と Michael Hyatt だ。この二つのブログはどちらも、私が目にするいろいろなリストで読むべきべきところとして頻繁に推薦されている。
<http://www.officezealot.com/gtd/>
<http://slackermanager.com/>
<http://michaelhyatt.blogs.com/>
最後にもう一つ、「マザーシップ」の DavidCo がある、ここは David Allen 自身のホームだ。(カルト信奉者たちが親しみを込めて“The David”と呼ぶ、あの創始者だ。)私はあまり頻繁にはここを訪れない。ここはいろいろなワークショップやセミナー、個人コンサルティングなどの宣伝文句がちょっと強すぎて鼻につくからだ。(でも、そういう催しは十分参加する価値があるという話はよく聞く。料金は高いが。)ただ、ここのアーカイブは素晴らしい。一日か二日、午後一杯を費やして良いアイデアを探し回るだけの価値は十分ある。また、いろいろなヒントやコツを載せた無料の月刊ニュースレターもお勧めできる。
それからこれはさきほども書いたが、私が何度も触れた AppleScript スクリプトのリンクはこちら:
<http://jeffporten.com/2006/07/31/tidbits-gtd-applescripts/>
こうした作業システムを開発するのに、私は丸々数年もかけてきた。そして、これから一年後にはさらにいくつか新しいテクニックを組み込んでいるだろうし、いくつかのテクニックは捨て去っているだろうと私は確信を持って言える。同じように、一年後の私は間違いなく必要以上の時間を新しいソフトウェアをいじり回すのに費やしてしまっているだろうし、サンドイッチの注文票を美しい山に積み上げている自分の姿も目に浮かぶ。私たちは皆、そんな獣のような一面もあるものだ。いずれにしても、あなたがこれから自分のやり方を始めてみたいとお思いなら、まずは手始めに“Getting Things Done”の本を読んでから、考え得るすべてのものをあなたの受信箱に押し込んで、それからその中身を少しずつ、まずは小さなシステムから始めて段々と処理して行くようにするのがよいと思う。
本当に自分にぴったりとしたものになるまでには何ヵ月もかかるかもしれない。それを使いこなして本当に生産性が上がったと感じられるようになるにはさらにあと何ヵ月かかかるだろう。ただ、それを経験してきた私たちの多くは、この旅をしてきて良かった、と感じているのだ。
[Jeff Porten は Washington, DC. 在住のインターネット・コンサルタントだ。彼の場合、七つの効果的習慣のうちたぶん三つぐらいは実行している。]
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Read more about PayBITS: <http://www.tidbits.com/paybits/> PayBITS の説明:
文: Adam C. Engst <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
Parallels Desktop の $10 引きクーポンを延長 -- Parallels 社の方々のご好意により、Take Control of Running Windows on a Mac に付属の Parallels Desktop $10 引きクーポンの有効期間が延長になった。この電子ブックにもともと付属しているのと同じクーポンコードが、書かれているように 2006 年 7 月 31 日には終了しない。これから eSellerate 経由でダウンロードされる方、Check for Updates ページを利用される方のためにこちらの情報はすべてアップデートしておいたが、今回この電子ブックに変更を加えたのはクーポンの有効期限のところのみなので、電子ブックのバージョンは変更せず 1.0.2 のままとした。だから、この 7 月 31 日までに Parallels Desktop の $10 引きクーポンをお使いにならなかった方も、どうぞご心配なく。お持ちのクーポンはもうしばらくの間有効となっている。それでも、Parallels 社の人たちがいつまでもクーポンを有効と認めて下さると私たちが保証することはできないので、クーポンを使ってみようかとお思いの方はどうぞお早めにご利用のほどを。
<http://www.takecontrolbooks.com/windows-on-mac.html?14@@!pt=TRK-0034-TB840-TCNEWS>
文: TidBITS Staff <[email protected]>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
各話題の下の1つ目のリンクは従来型の TidBITS Talk インターフェイスを開く。2つ目のリンクは私たちの Web Crossing サーバ上で同じ討論に繋がる。画面上の見栄えが異なるほか、こちらの方が高速のはずだ。
Mac 開発者求む: 共同編集プログラム開発されたし -- 他人と協同して文章を書いたり編集したりするアプリケーションを求めての Adam の記事に、多数の提案が寄せられた。その中で、TidBITS や Macworld が求めていることに応えられるものはあるだろうか? (メッセージ数 12)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3064>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/895/>
AppleCare がブート可能な TechTool CD を提供 -- Universal Binary 版のTechTool Deluxe が出たが、AppleCare メンバーにはブート可能な CD を焼ける無料のディスクイメージがダウンロードできるようになった。ところでつい最近 AppleCare が期限切れになったというあなたも、これは是非チェックしてみるべきだ。(メッセージ数 1)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=3066>
<http://emperor.tidbits.com/TidBITS/Talk/898/>
_ Take Control 電子ブック日本語版好評発売中
Tiger でのファイル共有、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther でのユーザとアカウント、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther のカスタマイズ、TidBITS 翻訳チーム訳
Panther へのアップグレード、TidBITS 翻訳チーム訳
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, , 日本語版最終更新:2006年 8月 5日 土曜日, S. HOSOKAWA