TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#854/06-Nov-06

最初の Take Control 電子ブックが出版された時からもう三年も経ったのかと思うと信じられないような気もするが、それでも既刊カタログにずらりと並んだ 44 のタイトルは決して嘘ではない。Adam が、この壮大なる実験の現況がどんな具合か(なかなかいい具合だ!)を概観し、三周年を記念した 50% 引きセールについてお知らせする。また今週号では Glenn Fleishman が AirPort Card の新たなセキュリティ脆弱性についていくつかの事実と FUD(恐れ、不安、疑念)を巡り詳しく語る。ソフトウェアの話題としては、Charles Maurer が再登場して Adobe Photoshop の代わりに使えるいくつかの製品を検討し、またリリースのニュースとしては SpamSieve 2.5、DVD Studio Pro 4.1.1、Final Cut Express HD 3.5.1、iTunes 7.0.2、Aperture 1.5.1、それから (PRODUCT RED) iPod nano には 8 GB 版が出た。最後に、Glenn の見るところ Windows ユーザーたちにとって TidBITS に最も近いもの、Windows Secrets を紹介し、それから PDFpen が当たる新しい DealBITS 抽選をお知らせする。

記事:


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DealBITS 抽選: Microsoft Office の当選者

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

先週、Microsoft によって提供された 5 本の Microsoft Office 2004 は、1,959 人の応募者という DealBITS 史上最高の記録を立てる大人気になった。その先週の DealBITS 抽選で当選し、Microsoft Office 2004 Standard Edition($399 相当)を受け取ったのは、certif.com の Gerry Swislow、gmail.com の Anthony Patrinos、mac.com の Lou Hosta、gmail.com の John Williamson、boctor.net の Peter Boctor の 5 名だ。おめでとう! 当選しなかったが、まだ Microsoft Office 2004 を購入しようか考えている人のために、Microsoft は 25% 引きの ホリデークーポン(Office のバージョンによって $15 から $100 に相当)を、2007 年 1 月 16 日まで提供している(これは 2006 年 10 月31 から 2007 年 1 月 16 日の間に購入した Office が対象となる)。


DealBITS 抽選: PDFpen 3.0

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

近頃、PDF ファイルのやり取りを伴う仕事を多くこなしている。そして、特定のタスクのために Adobe の Acrobat Professional から逃れられないでいる。私は、 Take Control 電子ブックのオンデマンド印刷版を用意するためにページを移動したり、Take Control のサンプルを作るためにページを削除したり、配布資料を作るためにページにテキストを挿入したりといった用途には SmileOnMyMac の PDFpen のほうが向いていると分かった(PDF ベースの対話型フォームを作りたいと思うような人のために SmileOnMyMac は PDFpenPro を提供している。それ以外では全く同一で、ほぼ倍の値段がするが)。PDFpen 3.0 の新機能には、オリジナルのPDF上のテキストの置き換えや画像の移動、リサイズ、コピー、削除、リッチテキストのコピー・ペースト、枠を超えたテキストのコピーなどが含まれている。もしあなたが PDF で仕事をするなら、PDFpen 3.0 は決定的に使う価値のあるツールだ。

今週の DealBITS 抽選では、$49.95 相当の PDFpen 3.0 を 3 本賞品にする。幸運が足りずに当選から漏れた応募者にも PDFpen とPDFpenPro の購入に際して値引が受けられるので、ぜひ奮って DealBITS ページで応募して頂きたい 。寄せられた情報のすべては TidBITS の 包括的プライバシー規約の下で扱われる。どうかご自分のスパムフィルターに注意されたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PST, 12-Nov-2006 まで、つまり日本時間で 11 月 13 日(月曜日)の午後 5 時頃までとなっています。]


SpamSieve 2.5 スパムフィルタを強化

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Michael Tsai は彼の有名なスパムフィルターツールの最新版となる SpamSieve 2.5 をリリースした。これは、 Apple Mail、Emailer、Entourage の v.X 以降のバージョン、Eudora の 5.2 以降のバージョン(スポンサーモードまたは有料モード)、GyazMail、Mailsmith、Outlook Express 5、PowerMail に対応している。SpamSieve 2.5 に盛り込まれた数多くの強化点は、すり抜け始めていたイメージスパムに対する、より正確な検出や大きなパフォーマンス改善、小さなメモリ使用量、そして、アップデートを簡単にするための新しいアップデート機能等だ。SpamSieve 2.5 は登録ユーザには無償アップデートで、新規購入は $30 だ。30 日間限定の試用バージョンが 3.6 MB のダウンロードで利用可能だ。


Take Control 電子ブックの三周年(半額セール中!)

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちはこのたび Take Control シリーズの電子ブックを出版して丸三年を過ぎた。これを記念して、2006 年 11 月 13 日までの間、私たちの電子ブックすべてを対象に 50% 引きセールを実施している。 こちらのリンクを使って 私たちのカタログページを訪れて、そこで注文をして頂きたい。すると、あなたが eSellerate でカートに入れた電子ブック(一冊でも、何冊でも)に対して割引価格が表示される。(ただしこの割引は QOOP や Amazon.com を通じて購入した印刷版の本については適用されない。)このセールをお知らせするとともに、この記事では私は最近一年間に私たちが成し遂げたことのいくつかを書き記しつつ、次の一年間に私たちがどこを目指すつもりなのかについても少し考えを示しておきたいと思う。

この一年を数字で -- この三年目の一年間で合計すれば、私たちは全部で 35 冊の電子ブックを出版した。新刊が 15 冊、アップデートが 14 冊、翻訳版が 2 冊、Macworld Superguide が 3 冊、それに私の“iPhoto 6: Visual QuickStart Guide”の電子ブック版だ。これは前年に比べれば新刊が 2 冊増えた一方でアップデートは 5 冊少なくなったことになる。アップデートの数が減ったのは計画性が向上したことと、著者たちが手軽に個々の電子ブックの Check for Updates ウェブページに新情報をポストできるようにしたことによるものだろう。このようなアップデートのメカニズムのお陰で、ほんのちょっとした変更がある度に新しい PDF を制作するよりもより素早く新情報が読者たちの手許に届けられるようになったからだ。

Macworld Superguide シリーズの本と私の“iPhoto 6: Visual QuickStart Guide”の電子ブック版とを加えれば、合計して 44 冊の電子ブックと 8 冊の翻訳版が私たちのカタログに並ぶこととなった。もちろん、Mac OS X 10.3 Panther のことを扱った最も初期の電子ブックなどは毎月ほんの数えるほどしか売れなくなったし、また翻訳版もごくたまにしか売れない傾向にある。これらはまだそれほどタイトル数が多くないのでいわゆる「 ロングテール」の域に属するものと考えてよいかどうかはわからないが、このような古い電子ブックでもまだその助言を必要としている人のお役に立っているのは嬉しいことだ。ことに、伝統的な本の世界では、古くなった本を見つけ出すのはとても難しいことだから。

売り上げの面では、今年も増加がみられた。総売上は 34,000 冊ほどで、昨年の 31,000 冊に比べて 10% ほどの増加となった。私たちはもっと良い結果を期待してはいたのだが、最初の年は Panther、二年目は Tiger という Mac OS X のメジャーリリースによって引き起こされたセールスの加速がこの年には無かったために思うほどの数字にはならなかった。2007 年には Mac OS X 10.5 Leopard がリリースされるので、来年こそはと期待をかけているところだ。全体の合計では、およそ 89,000 冊の電子ブックを売り上げたことになる。この調子で行けば、来年にはきっと 100,000 冊の大台に乗るだろう。その時が近づけば何か書くつもりではいるが、100,000 冊目の電子ブックを買った人には何か記念になることをして差し上げたいと考えている。

個々のタイトルについて見れば、この三年目のベストセラーリストのトップになったのは Joe Kissell の“Take Control of Maintaining Your Mac”で、これまでにおよそ 3,000 冊ほど売れた。けれどもそれより興味深いのは Joe の“Take Control of Mac OS X Backups”で、これは長期にわたって最も着実に売れ続け、総合計では 6,300 冊以上となり、彼のトップセラーの“Take Control of Upgrading to Panther”に続く第2位に位置する。このことを考えれば、印刷版の“Real World Mac Maintenance and Backups”が Amazon.com の売り上げランキングの上位に位置して数日前に在庫切れになってしまったというのも驚くにはあたらないことだろう。

もっと手軽に印刷を -- この一年で私たちが成し遂げたもののうち何か一つを挙げろと言われれば、それは私たちのオンデマンド印刷サービスの確立だろう。私たちの読者のうち一部の人たちは実際に電子ブックを紙に印刷している。だから、私たちはそういう読者の皆さんがそれほどコストを掛けずにプロ級の仕上がりで、プリンタから出力された用紙の束という姿ではなくきちんとした本の形に印刷されたものとして電子ブックを手にできるような、そんな方法を提供できればと考えたのだ。今日ではオンデマンド印刷のサービスはあちこちに見られるようになったので、簡単に理想的なサービスが見つかるだろうと思われるかもしれないが、実際は何ヵ月もの間どの選択肢も次々とドミノのように倒れ続けてしまった。あるものは変な紙を使っていたし、料金が高すぎるものもたくさんあった。それに、個々の著者にそれぞれどれだけ払うべきかが見てわかるような会計報告書を提供してくれるサービスが私たちには必要だった。何よりも私たちが一番望んだのは、私たちの既存の eSellerate ショッピングカートにプラグインとして組み入れて使えるようなシステムだったが、結局それは不可能だと判明した。

そうこうするうちに、私たちは QOOPと呼ばれる会社を見つけた。ここなら、私たちが新しく電子ブックを出す際にそれと合わせてオンデマンド印刷した本を二次的な選択肢として提供することが可能になる。個々の電子ブックの Check for Updates ボタンを使うのだ。こうして、新しい電子ブックを購入した読者が、印刷版が欲しいならば美しくスパイラル製本されたものも購入することができるようになった。そして“Take Control of Thanksgiving Dinner”の時からは、印刷版のみが欲しいという読者のために、電子ブックを購入せずに印刷版の本だけを直接私たちのウェブサイトから購入できるサービスも始めた。

今私たちが取り組んでいる一番の難問は、できる限りすべての本について印刷のオプションを標準化し明確化することだ。現在のところ、私たちのカタログページを事細かにじっくりと見れば個々のタイトルごとに利用可能な印刷版のフォーマット(オンデマンド印刷、伝統的な書籍、その他)がわかるし、また個々のタイトルごとのページでもその左側にそれが明記してある。さらに オンデマンド印刷についてのページも別途用意してあって、提供されているサービスの概要を説明するとともに印刷本の一つの写真を例として表示している。

印刷といえば、もう一つ私たちの成し遂げた大きなことがある。Peachpit Press から出版した二冊の本だ。一冊はさきほど触れた Joe の“Real World Mac Maintenance and Backups”で、もう一冊はフォントに関する Sharon Zardetto Aker の二つの電子ブックを一つの本にまとめた“Real World Mac OS X Fonts”だ。

沈思黙考してみる -- Tonya と私が今年学んだことの一つは、次々と新しいタイトルを送り出し続けることは難しいし、しかも必ずしも望ましいことでもない、ということだ。どうやら問題点は、私たちが知らず知らずのうちに細かいところに注意を払う習慣にこだわってしまうことのようだ。そのため編集作業は遅れがちになるし、出版の作業を他の人に代わってもらうことも難しくなる。その結果、新しい本や大幅なアップデートを出版するといった作業のために私たちの時間が大きく費やされてしまい、すべての電子ブックに等しく影響を及ぼすような、もっと大局的な仕事に振り分けられる時間が削られてしまうのだ。例えば、私たちが Apple と協力して .Mac ユーザーに“Take Control of .Mac”の抜粋版と値引きとを提供した宣伝企画は、大量の仕事と調整作業を必要としたが、結局全面的な大成功に終わった。また、私たちのシステムの改良のためにコード書きの作業を必要とするアイデアを私はたくさんあたためてはいるものの、今までのところ私はそれらを仕上げるのに十分なだけの時間を見つけられずにいる。

もう一つ、今年学んだ教訓は、テクノロジーの世界以外へと足を踏み出そうとしても、私たちにはまだまだ知らなければならないことがたくさんある、ということだ。だから、今後はこの方面をもっと慎重に扱っていこうと思う。Sam Seller の“Take Control of Booking a Cheap Airline Ticket”については一見テクノロジーとは別の話題に思えたかもしれないが、本当のところこれは特定の目的のためにインターネットを利用するという話なので、ちゃんと内容を伴った結果が残せた。けれどもそれよりずっと困難だったのは Joe の“Take Control of Thanksgiving Dinner”だ。これについては、その内容がテクノロジーの世界とほとんど接点が無かったので、私たちはいつもと全く違った聴衆に向けてマーケティングする方法を学ぶ必要に迫られた。(例えば、私たちはこの本の 11 月での売り上げ一冊ごとに $1 を Joe がボランティアで働いたことのある San Francisco Food Bank に寄付することにしているし、その見返りとして次期宣伝活動の機会に Joe と彼の電子ブックをテレビコマーシャルで紹介してもらえることになっている。これはドキドキものだ!)ここでの私たちの目標は料理本の出版者になることではない。そうではなくて、Take Control シリーズをもっと広い範囲の聴衆にも知ってもらい、もっと多くの人たちに電子ブックを試してもらおうということが目標なのだ。

残念なことだが、より良い PDF を制作しようという部分の作業は、今もって厄介なことこの上ない。これは以前にも言ったことだが、やはりまたもう一度言っておかねばならない。Apago の PDF Enhancer 3.1 と SmileOnMyMac の PDFpenPro 3.0 が無かったとしたら、私は Acrobat Professional を屈服させて私の必要に合わせるための作業に追われるあまり、きっと正気を失っていたことだろう。PDF Enhancer は私たちの PDF を圧縮して扱いやすいサイズにする(多くの場合 80% から 90% ほども小さくなる)ことにかけては魔法のような働きができる上、その他にもスケーリングなどさまざまの画像処理を施して私たちのオンデマンド印刷版を準備する鍵となったり、もっと一般的に私たちの PDF ファイルの奥底に潜むいろいろな問題点を修正したりもする。PDFpenPro の方もまた、オンデマンド印刷版のためにページの再編成をしたり、サンプルを作るためにページを消去したり、サンプルや教室用コピーのためにスタンプを入れたりといった作業の助けになる。いずれの作業も、Acrobat Professional ではずっと面倒なことになってしまう。

また、Microsoft Word も、あまりにも多くのことが厄介すぎる。例えば、内部リンクは Word の Hyperlink ダイアログで作らなければならないが、このダイアログはマウスのスクロールホイールが登場するより以前からずっとアップデートされていないし、見出しを選択するのにタイプ入力で選べる機能が無い。(Word 内蔵の内部リンク機能はあまりにもバグが多すぎて使い物にならない。)iKey を使って自動化してはいるものの、それでもまだこの Word の Hyperlink 機能は時間を無駄に費やし、予想できない挙動をし、往々にして協力を拒んでくる。その上、これらの内部リンクが実際に動くのは PDF 生成のステップを通過してから後のことで、しかもこのステップには Windows 版の Word と Acrobat を使わねばならない。少なくとも私たちの場合はそれらを Tonya の新しい MacBook Pro で Parallels Desktop を使って走らせられるようになったので構わないのだが。ぜひとも次のバージョンの Microsoft Word for the Mac では、フルにリンクされてブックマークも付いた PDF を生成するためのもっと良いツールが提供されるようになって欲しいものだ。

ありがとう! -- 私たちの観点からは、これまでの Take Control の歩みは非常なる大成功だった。私たちは皆、こんなにも多くの人たちが私たちの電子ブックを十冊とかそれ以上も揃えていて下さることにわくわくした気持ちでいるし、電子ブックを読んでこんなに一味違う生活ができるようになったという読者の皆さんからのサクセスストーリーのお便りを頂くのも嬉しい。電子本の世界に踏み出す実験を、私たちは心の底から楽しみながら続けている。

そのことに対して、まずは私たちの電子ブックを買って下さった何千何万という人たちに、感謝をささげたい。最初の電子ブックを 2003 年の 10 月に出版した時、私たちは確かに望みを高く掲げていた。けれども Take Control がこれほどまでに私たちの日々の生活の中心的存在となり、これほどまでに私たちを多方面に伸ばしてくれ、これほどまでに多くの興味深い人々に私たちを引き合わせてくれるようになるものだとは、当時の私たちには予想すらできなかったことだ。そして、才能溢れる著者や編集者の面々にも、心からの感謝をささげたい。この人たちの力なしには、何も実現することはなかったのだから: Joe Kissell, Glenn Fleishman, Matt Neuburg, Kirk McElhearn, Tom Negrino, Jeff Tolbert, Caroline Rose, Larry Chen, Scott Knaster, Steve Sande, Brian Tanaka, Clark Humphrey, Lea Galanter, Andy Affleck, Sharon Zardetto Aker, Sam Sellers, Arnie Keller, Dan Frakes, Michael Cohen, Don Sellers, Jeff Carlson, そして Karen Anderson という面々だ。それから、私からの特別の個人的感謝を、Tonya にささげたい。皆が想像するよりも遥かにたくさんのことを、彼女はしているのだから。


一連の Apple アップデート

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple はこの2週間のうちに沢山のメンテナンスアップデートをポストした。それらのなかには、わずかな詳細事項しか提供されていないものがある。(残念なことに、私たちはそれにも驚かなくなってしまった。)アップデートは全てソフトウェアアップデート経由か単独のダウンロードで利用可能だ。

DVD Studio Pro 4.1.1 (2.3 MB のダウンロード) は、Intel ベースの Mac 上でのDDP(Disc Description Protocol) と CMF(Cutting Master Format)ファイルに関する問題を修正した。 Final Cut Express HD 3.5.1 (14.5 MB のダウンロード) はシンプルに「特定のハードウェアとの互換性への対応」としか書いていない。そして、 Tunes 7.0.2 i (25 MB のダウンロード)は複数のバグフィックスと、先週販売開始された第二世代の Pod shuffle iサポートを加えた。

Apple は、写真家向けに Canon Digital Rebel XTi/400D/Kiss X Digital、Nikon D80、Pentax *ist DS 等のデジタルカメラとの互換性を改良した Digital Camera RAW Support Updateをリリースした。これは、巨大な Canon RAW ファイルの取扱に関する問題点や Intel ベースの Mac での DNG 互換性に対処し、Aperture からのエクスポートにまつわる問題点を修復もしている。アップデートは PowerPC Mac (1.4 MB のダウンロード)と ユニバーサルフォーマット (2.4 MB のダウンロード)とで利用できるようになっている。(ユニバーサルは PowerPC でも Intel ベースの Mac でも動くようにほのめかしているものの Apple は後者を 「Intel 専用」としているのではと疑っている。なぜなら、ユニバーサルバージョンは私の PowerPC ベースのマシンにインストールすることができなかったからだ。)

もっと目覚ましいアップデートは、 安定性とパフォーマンスに関する 100 以上もの問題を追求した、 Aperture 1.5.1 (125 MB のダウンロード)だ。主なものを挙げればキーワードサポートの改良や、Loupe の挙動、プレビューのレスポンス、そのほかの変更点がある。

Apple は他にフル機能で試用期間 30 日間限定バージョンである無料の Aperture 1.5 trial,もリリースした。この 132 MB のダウンロードには正規版にあるようなサンプル画像やチュートリアルは含まれていない。

最後にもう一つ、これはソフトウェアのアップデートではないが、Apple は (PRODUCT RED) iPod nano の 8 GB バージョンを提供し始めた("新しい iPod nano が赤 (RED) に加わる " 16-Oct-06 参照)。明るい赤色の音楽プレーヤーは黒の 8 GB iPod nano と同額の $250 だ。しかし、Apple は売り上げ1台につき $10 をアフリカで AIDS と戦うのを援助するため (RED) movement に寄付する。


もう一つのマイナーな AirPort 脆弱性が暴かれる

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Mac OS X がオリジナルの AirPort Card 経由での攻撃を受ける危険性がある。これは 先週 Month of Kernel Bugs の一部として公表された攻撃方法のためである。この攻撃によりある"内部のカーネル構造" が破壊され、それがカーネルパニックを引き起こしクラッシュするというものである。この攻撃の開発者によれば、ちょっとした努力を注ぐだけでこれを化身させてマシンのコントロールを乗っ取ってしまうルートレベルの弱点攻撃にすることは出来るということである。

公表された方法は AirPort Card にしか通用しない。このカードは 1999年に Mac に採用された内蔵の 802.11b Wi-Fi アダプタで、2002年の後半までのモデル全てに使われている。Apple はこの AirPort Card の販売をだいぶ前に止めている - アダプタだけが死んで他の所は大丈夫というまだ使えるコンピュータの持ち主にとっては甚だ残念なことではある。2003年以降に導入された Mac 全機種には AirPort Extreme (802.11g) ネットワーク用のスロットが装備されている;この AirPort Extreme Card スロットはオリジナルの AirPort Card とはコンパチでない。

更にこの攻撃の開発者は、この弱点攻撃は Mac がアクティブスキャンモードに置かれている時に最も効果的に働くと言っている。このモードでは Mac OS X に含まれているコマンドラインツールや KisMACを必要とする。The Washington Post の Security Fix ブログの Brian Krebs との短いインタビューの中で、この弱点攻撃の開発者は Krebs に対してこう語っている、自分は AirPort Card を備えた Mac がアイドルで関連付けの無い状態に居る時進入するためのベクターを幾つか見つけたが、話のできる様な結果には未だ至っていないと。

多かれ少なかれ、この弱点攻撃は再現のためのレシピとして公開されたのであって、コンピュータを単にクラッシュさせるよう意図された既成のアプリケーションに組み込まれたものではない。いずれ オープンソースの Metasploit フレームワークに採用されることであろう。これはソフトウェアやオペレーティングシステムを、データの不正パッケージやその他の方法を使って自動的に負荷試験をするシステムである。(この記事を書いている時点でこの開発者はこれは Metasploit の一部だと言っているが、私にはそのモジュールリストの中にこれを代表している項目を見つける事が出来ない。)

Month of Kernel Bugs (MoKB) は少ない数の標準のツールを用いてオペレーティングシステムのカーネルに対して大量の無作為の入力を生成して - ぼやかして - 負荷試験をするのだが、攻撃を受けたコンピュータ上に発生したエラーと関係付けて、どの様な入力が弱点攻撃に基づくエラーやクラッシュの原因となったかの推測に使われる。このプロジェクトからの情報では、更に 5つの Apple カーネルバグがあり、今後 30日程の間に公開されるであろうとの事である。(この記事を書いている段階では、Apple バグの新しいものは公開されていない。)

結構無責任な動きとして、MoKB のコーディネータは、弱点攻撃のリリースに先立って関係するシステムメーカーに対して系統だって事前通知をする事は無いであろうと語っている。脆弱性が見つかったその日にリリースされる弱点攻撃は "zero-day exploits" と呼ばれている。セキュリティの世界では、これは悪態と見なされており、それはプールの中で糞をすることと子供にドラッグを売りつけることの間ぐらいに悪いことと見なされている。利口さにも色々あるが、理論的であるよりは実利的でありたいと願うのでない限り、関係者に事前に情報を提供しないという理由は殆ど見当たらない。

MoKB コーディネーター、LMH という名前でしか自らを明らかにしていないが、の態度はまさに飽き飽きする古めかしい "Apple はセキュリティ欠陥には耳を貸さないし、そんなものは存在しないと装っている" という論議そのものである。この 8月に始まった業界ソープオペラ "To the Maynor Born: Cache and Crash," は、明らかに多くの愛好家やプロのセキュリティ研究者をして、Apple はセキュリティ欠陥があるとそれを組織的に否定するものと思い込ませてしまったようだ。この大ロマンの話に関して言えば、Apple に渡されたとする物を実際に見たことがあるというのは極めて少数の人に限られているというのはかなりはっきりしている。と言うことは、この事件をもって Apple はセキュリティ問題を無視しているとかセキュリティ研究者を悪用しているとか言うのは早計で、もっと時を遡っての調べを必要とする。(Apple は Krebs に対して AirPort 欠陥については目下調査中である、そしてこの事を知ったのは "つい最近" であると語っている。)

無線ドライバハックは Mac と Windows を標的にするか | Apple、注意深く Wi-Fi 脆弱性を否定 | AirPort アップデートが Wi-Fi 攻撃を防止

LMH's Kernel Fun blog ブログ上でのこれに関するポストに対するコメントのなかで、男性か女性か分からないが書いている、"全ての親-Mac 偏執症はただ単純に役立たずである事が証明されるのは単に時間の問題である。事実 Apple はいい仕事をするが、明らかに彼らも他の人と同じ様に間違いをしでかす。" 声高の Mac 狂信者が Mac 社会全体の利益を代表しているなどと信頼の置ける人が思うであろうということ自体滑稽である。経験の深い Mac ユーザーからのもっと現実的な見方も、この件に関して Ryan Russell のブログ書き込みに 二つめのコメント (Dave Schroeder による) として見る事ができる。

Macintosh にまつわることに関する定常的なレポーターの一人として、私は Mac OS X が難攻不落であるなどと反射的には信じていないことをはっきり言っておきたいと思う。事実、私は報告された欠陥、及び免疫力を持たないユーザー社会として我々が直面するリスクについては常日頃書いてきている。Apple はそのオペレーティングシステムを強固な基盤の上に作ったとは言っても、だからと言って、考慮の対象となっていないベクターを使った弱点攻撃を予め排除するのは不可能である。

この記事のまとめ?2003年当初以降に出荷された全ての Mac モデル、及びそれ以前の Mac でもアクティブスキャンをオンにしていないものは、脆弱でないことが知られている。この脆弱性を突くには、近隣の、或いはあなたのコンピュータにまで届く高ゲインアンテナを備えたユーザーも必要である。私が思うには、Apple は Mac OS X 10.3 及び 10.4 のユーザーのために比較的短期間にパッチを提供し、他の MoKB 発表にも時間外勤務をしてでもきちんと目配りをして行くであろう。


無所属の Windows メーリングリストがさらに大きく

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

TidBITS にこんな質問が寄せられることがある。「このリストはすばらしいけれど、Windows 版はないのですか?」そのような人には、私はいつも、同じSeattle 在住の Brian Livingston が発行している Windows Secrets ニュースレターを購読するようすすめている。Brian は清廉潔白そのもののジャーナリストで、Windows ユーザが必要とする調査を徹底的に行うことで評判高い。彼は長いあいだ InfoWorld のコラムニストを務め、大部の本 Windows Secrets も、Windows 95 を皮切りに、何冊か書いている。彼のリストは、過去にほかのメーリングリストと合併を繰り返すことで、専門知識を深め、今ではそれぞれの分野の専門家をスタッフとして抱えている。

Windows Secrets は、Windows ユーザのためのコツや小技を専門としてきたLangaList と合併することになり、さらに大きく、さらによいものになろうとしている。両リストが合わさると、購読者の数は正味で 272,000 人を超えることになる。Byte の編集長も務めた Fred Langa は、長いあいだ PC Worldの寄稿編集者を務めている Fred Dunn とともに、合併したリストに加わる。このリストは、しばらくの移行期間のあいだ、Windows Secrets and LangaList と呼ばれることになる。

Brian のリストには無料版と有料版とがある。有料版には、電子ブック、ティップス、アーカイブへのアクセス、Windows パッチの詳細な分析が含まれる。しかし、ここからが Brian の頭の良いところで、このニュースレターのために支払うべき最小金額が定められていない。1 ドル払ってもよいし、1,000 ドル払ってもよい。ごくわずかな支払いでも付録を受け取るのに十分とすることで、人々は、特に更新時に、自分が受けとるものの価値を熟考することになる。このリストのアップグレードページには、15 ドル、25 ドル、50ドルという選択肢がラジオボタンで表示されているが、手動で任意の数字を入力することもできる。Brain が言うには、彼も、彼の同僚も、総収入の数字や、付録のために何らかの金額を払った購読者の人数を公表することはないそうだが、ほとんどの有料版購読者は1年に 10 ドルから 100 ドルのあいだの金額を払っているそうだ。

Brian と Fred の読者の数というのは、私たちにとっては垂涎ものだ。私たちの読者は、彼らの 20 パーセントにも満たない。それでも、Windows に対するApple の市場シェアよりは、はるかに大きな割合だが。しかし、私たちは彼らの成功をねたんだりはしない。さらに多くの Windows ユーザが価値ある情報を手にするというのは、よいことだ。なにしろ、Windows ユーザをだしにすれば、こう冗談を言わないわけにはゆかないのだから。彼らには救いの手が必要だ、と。


ラクダか馬か: Photoshop に代わるもの

  文: Charles Maurer
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Adobe Photoshop は、私にはラクダを思い起こさせる。あるいは、お役人連中が作った馬といってもよい。扱いにくく、御しがたい。すばらしく役に立つし、これだけのことができる写真エディタはほかにないが、簡単には乗りこなせない。

私個人としては、Photoshop は必要不可欠なのだが、それは、Photoshop 自体の機能のためというよりも、Asiva のプラグイン、特に Shift+Gain を動かすのに必要であるためだ。ところが、残念ながら Asiva は店をたたんでしまった。同社のプラグインは、現行バージョンの Photoshop では問題なく動くが、Intel ベース Mac のために再コンパイルされることはないだろう。そのため、私は、ほかに馬はいないかと目を光らせるようになった。購入しようと思うものは、まだ見つかっていない。なにしろ、Shift+Gain に取って代わるというのは容易なことではない。それでも、興味深いものがいくつか見つかっている。

また、もっと安いラクダ、PhotoLine も見つけた。これは貧者のためのPhotoshop CS2 だ。創造と困惑とを引き起こす力においては Photoshop CS2に匹敵するが、価格は Adobe Photoshop Elements と似たようなものだ。CS2と比べれば、速くもないし安定してもいないが、速度も安定性もなかなかのものだ。ただ、残念ながら、マニュアルがあまりに貧弱で、その優れた機能も、多くの人にとっては使えそうにない。

写真エディタの要件 -- それぞれの製品について詳しく話す前に、私が写真エディタに期待するものを述べておいたほうがよいだろう。以下、順不同に、私が求める機能を挙げる。

光学的問題の修正

カメラの構え方による問題の修正

色の調整

被写体に対する変更

機械的な必要性

Photoshop と仲間たち -- Photoshop CS2 にはさまざまな機能がそろっているので、これらのことをすべてこなすことができる。Photoshop Elements 5は、アナモフィックなスクイーズ処理ができないが、そのほかのことはすべてできる。ただし、現在のところ、Windows 版だけしかない。Photoshop Elements 3 と 4 では、光学的シャープ処理とモーションブラーの除去もできない。一般的にいって、Photoshop CS2 のほうが Photoshop Elements よりも、細かく複雑な調整ができる一方、複雑な作業を簡単にこなすこともできる。しかし、これらの作業の中には、サードパーティー製品を使うことによって、よりよい結果が得られたり、より簡単にできたりするものがある。私はいつも、Photoshop CS2 を補って、 Photomatix でコントラストを調整し(16-Oct-06 の " Photomatix: バーチャル魔法の杖 " 参照)、Noise Ninja でノイズを除去して細部を強調し、Asiva Shift+Gain で色を調整して色縁を除去し、 PhotoZoom Pro で画像を拡大している。(後者2つの製品について、詳しくは 27-Sep-04 の " 完璧主義者のための写真編集術 " 参照。)

PhotoRetouch -- PhotoRetouch Digicam は機能に制限を受けた、アマチュア向け版に直したPhotoRetouch Pro だ。私は Pro 版の方を試したことがないので、以下のコメントは私の推定に過ぎず、直接の経験によるものではないことをお断りしておく。

どちらのアプリケーションも、写真の編集のみに特化され、それ専用に開発されたものだ。Photoshop に比べれば、これらが扱うことのできる機能の種類は限られている。例えば広告やチラシのレイアウトのようなことはできない。けれども写真の編集そのものについては、よく考え抜かれた処理の組み合わせを提供できているようだ。それぞれの処理を施すには、それをエアブラシツールで塗るか、またはそれを画像全体に適用してから不要な部分を消すかのどちらかにする。これらの作業には選択・レイヤー操作・マスキングなどが全く関与しない。これこそ、PhotoRetouch が Photoshop よりも柔軟性が少ない一方でより直接的かつ効果的である理由だ。

先ほどリストした私の要件について見れば、PhotoRetouch はフレームのアナモフィックなスクイーズ処理、曲線の直線化、細部のコントラスト強調、モーションブラーの除去と作成、画像の一部の置き換え、太陽の追加、それに PNG ファイルの処理、以上の機能を除いた、それら以外についてはすべてかなり手軽に十分な仕事ができる。光学的シャープ処理はできないようだが、“smart sharpening”と呼ぶアルゴリズムは提供でき、これが単なる「アンシャープマスク」よりは高度なことができる。Digicam 版ではこの機能が 8-bit カラーに制限されている。

私の推測では、この Digicam 版で一眼レフを使わない人にはほとんどすべての場合十分なことが提供できていると思う。つまり 8-bit の画像センサーを持つカメラにはこれで十分ということだ。Pro 版は、最上級のアマチュアにもプロフェッショナルたちにも十分満足なことができ、しかもそれが Photoshop よりも手軽にできるところが利点だろうが、一方でプロならばきっと時々は Photoshop が必要になることもあるだろうし、私自身も PhotoRetouch を使いながら Photomatix、Noise Ninja や PhotoZoom Pro といったツールを補助として使っている。このことは私が Photoshop を使う時と同じだ。

PhotoRetouch では Photoshop よりもコントロールの種類が少ないにもかかわらず、それらコントロールのラベルは Photoshop と同程度に混乱させられる。例えば“color change”と“color modify”は別物だし、“quantifier”がカラーキャストを除去する。また、いくら PhotoRetouch が Photoshop よりもシンプルだとはいえやはりかなりの程度の時間を投資して習い覚える必要がある。それに Digicam 版にはヘルプファイルもマニュアルも全く付いておらず、ウェブ上に QuickTime チュートリアルがあってほんのちょっとした手がかり程度になるだけだ。私は Pro 版のマニュアルをダウンロードして、明らかに Digicam 版には当てはまらない部分は無視して読むことにした。

この Digicam 版は私の目的には全般的にうまく働いてくれたが、いくつかの罠が組み込まれていることだけには注意していなければならないことに気付いた。16-bit の画像も、保存した途端に、警告もなしに黙って 8 bit で上書きされてしまうからだ。

Binuscan 社は Digicam 版をウェブで販売しているが、その価格も使用条件も、単純なものでもないし、はっきりと書かれてもいない。この PhotoRetouch Digicam ウェブページ にはこのプログラムが無料だと書いてあるのに、Buy(購入)ボタンを押せば別のページが開いて、そこには価格が 49 ユーロ ($60-$65 程度) であり、購入はアプリケーションの内部からしかできないと表示される。もしもあなたがこのアプリケーションが無料だと思ってダウンロードしたとすると、あなたがファイルを保存しようとした時になってからウィンドウが現われて、これはデモ版で保存が 30 回までに限られていると言ってくる。このウィンドウに Buy ボタンが表示されるので、それをクリックするとウェブページが開いて、厚かましくもこの製品の価格は今のところ 49 ユーロであるが販売総数が 3,000 に達するやいなや 149 ユーロ ($180-$190 程度) に値上がりすると表示される。つまりは「間もなく」値上がりするぞと言いたいのだ。それに加えて、ページの下の方に小さい字で書かれているところを読めば「ご注文の確定の前に General Sales Conditions を読まれることをお勧めします.... いったんダウンロードされたソフトウェアを返品することはできません」だそうだ。その Conditions のリンクをクリックして、ぱっと見たところではありふれたライセンス条項が並んでいるように見える文章をあえてしっかり読んで、法律用語を慎重に解読してみたならば、この条項が普通のものとは違っていることが判明することだろう。あなたが購入しようとしているライセンスは、この製品をたった一台のコンピュータのみで使用することの権利であって、しかもそれは勝手な一台ではなく、あなたが既に当初インストールした、そのコンピュータのみに限られているのだ。組み込まれている稼動スキームにより、これを別の場所に移して使うことはできない。もしもあなたのコンピュータが盗まれたり壊れたりして別のコンピュータに交換しなければならなくなった場合には、あなたがそのことを記録して申請すれば Binuscan はあなたがこれを別のマシンで使えるようにしてくれるが、それもたった一回のみ、しかも購入後最初の一年以内に限られている。つまり、Binuscan はあなたが今 49 ユーロを払うこと、そして次にあなたがコンピュータをアップグレードした時には別途 149 ユーロを払うこと、を期待しているのだ。

Pro 版の販売に関する Binuscan の挙動はさらに不透明なものになる。サイトの中には、Pro 版の価格がどこにも全く表示されていない。彼らが販売しようとしているその製品の使用条項も明かされていないし、いわんや何の保証も表記されていない。私は彼らに価格とライセンス条項を尋ねてみたが、彼らからは何の返事も届かなかった。そこで私は友人たちに頼んで、推定顧客として同じことを尋ねてもらった。Binuscan から届いた返事は、$950 プラス送料が $30 から $40 というものだった。ライセンス条項について具体的に尋ねてもらったところ、友人の一人に返事が届いて、Pro 版は何台のコンピュータにでもインストールできるが、動作には USB キーが必要とのことだった。保証についての彼の質問に対する返事はなかった。もう一人の友人の問い合わせには、Binuscan はライセンス条項すらも送ってこなかった。

これらの製品はそれ自体として考えれば、私としても喜んで推薦できるものだ。けれどもこの開発者のビジネスのやり方を見れば、私は躊躇せざるを得ない。また、Digicam については用心していないと罠に陥るおそれがあることも指摘しておくべきだろう。写真エディタを能率的かつ効果的に使いこなす方法を学ぶには非常に時間がかかるので、使い慣れたプログラムから他のものへ乗り換えたいと思う人が少ないのも確かだ。実際問題としては、人は写真エディタを購入するのではない。購入するのはライセンスであって、それをもって人々はその開発者と縁を結ぶことになり、彼の今後の成果をサポートするわけだ。もしもあなたがコンパクトカメラあるいは「プロシューマ」向けカメラを持っているのなら、今のところは PhotoRetouch Digicam が最適かもしれない。けれどももしもあなたが一眼レフのカメラを買ったなら、少なくとも時によってはあなたも 16-bit カラーで作業できるようになりたいと思うに違いない。そのためには、Pro 版が必要だ。あなたが PhotoRetouch のことを十分に学び終えた頃に、あなたは二つの選択肢のうち片方を選ばなければならないことになる。学びに投資した時間をすべて無駄にする(あなたが身に着けたスキルはほとんどどれも Photoshop には持ち込めないものばかりだから)か、または千ドルという大金を注ぎ込んでアップグレードするか、どちらかだ。

LightZone -- LightZone は、まだレースに登場して間もない。当歳馬だが、期待の新馬だ。内部の仕組みにちょっと変わったところがあり、ユーザーインターフェイスもユニークだ。このインターフェイスはシンプルであると同時に非常に精巧に出来ている。LightZone は、Photoshop ならば高度なテクニックが必要になることが、初心者にも実行できるようにしてくれる。

Photoshop や PhotoRetouch のようにピクセルをペイントする代わりに、LightZone は画像の処理を計算のレイヤーの積み重ねによって行なう。コンピュータ用語で言えばベクトルのスタックを作るのだ。ウィンドウペインの中へツールを引っ張ってくれば、その処理が現在の画像に適用可能かどうかがわかる。限られた領域だけにツールを適用させたい時には、スプラインツール、ベジエツール、あるいはポリゴンツールを使って領域を描けばよいし、ドローツールでその領域の境界部分に端処理を施すこともできる。そのツールの効果が気に入らなければ、ツールを取り替えたり順序を変えたりもできる。

もちろん他の写真エディタにもベクトルのスタックを作るものがある。例えば Aperture や Imaginator もそうだ。LightZone がこれら他の製品と違っているのは、混乱させられるだけのややこしい仕掛けを一掃して、代わりに比類なく多才な一連のツールのセットで置き換えたところだ。例えば、LightZone のノイズツールは単に粒状のノイズを除去できるだけでなく、幅の狭いものならば色縁も除去できる。

LightZone での作業は、Photoshop での作業とは根本的に違っている。たくさんあるツールの中からどれを一度だけ適用するかを選ぶのではなくて、少ない数のツールを何度も異なった方法で適用する、そのやり方をあなたが選ぶのだ。例えば、コントラストの調整のために Photoshop はメニューから直接アクセスできる七つのダイアログボックスを提供している上、さらに上級ユーザー向けにはコントラストのマスキングまで提供している。そういうものの代わりに、LightZone はたった二つ、ZoneMapper と ToneMapper しか提供しない。前者は、Photoshop の Curves ツールをより直観的に直したようなものだが、後者は独特だ。仮に、あなたの写真が銅板の上にレリーフとして彫り込まれたと想像してみよう。よりクリアにしたければ、彫り込みの深さを調節することになる。そのためにあなたはまず (1) ハンマーのサイズを選んでから、(2) 打ち込みの力をコントロールし、(3) 広い領域に打ち込むのか、それとも輪郭のついた部分だけを狙うのかを決めて、それから (4) レリーフのすべての部分を同じように調整するのか、それともそれぞれの部分の深みに応じて場所ごとに違った調整を施すのかを決める、という手順を踏むだろう。これこそが、まさに Lightzone の ToneMapper がコントラストをコントロールする方法だ。最初の三つのパラメータはスライダでコントロールし、四番目はポップアップメニューで選ぶ。これで、その写真全体にハンマーを打ち込むにしても、好きな一部分だけに打ち込むにしても、何度でも、好きなだけ、好きな方法で実行できる。(このハンマーとは、輝度に適用される二種類の難解な処理の組み合わせであって、一つはコントラストマスクの適用、もう一つは双方向フィルタ (bilateral filter) と呼ばれる難しい非線形数学に基づいたマスク処理だ。)

LightZone は、少数のシンプルなツールによって驚くほど複雑な処理もこなせるのだが、基本的な機能で欠けているものもやはりいくつかある。特に不満な欠落点を二つ挙げれば、LightZone には互いに近づき合う線を修正することができず、また個別の色ごとに処理を施す方法がどこにも提供されていない。例えば黄色だけを明るくしたり、あるいは幅が広すぎてノイズツールでは除去できない赤い色縁部分の彩度を下げたり、といったことができない。ただ、開発者たちはこれらの機能も近いうちに追加することを予定している。これらが実現されたら、ぜひまた長いレビュー記事を書いてみたい。これは、目を離さずにいる価値のある製品だ。

LightZone はまるで Core Image を使っているかのようにも見えるが、実際のところこれは Java でプログラムされている。つまり、これは Windows でも Linux でも、Mac OS X と同等に動作する。バージョン 1 の価格は $150 で、これはバージョン 2 への無料アップデートも含んだ価格だ。バージョン 2 はリリース時には $250 となる予定だという。無料で使えるバージョン 1 のデモ版がダウンロードできるし、またバージョン 2 の公開ベータ版も、また Linux 用の完全パッケージもある。

PayBITS: Photoshop の代わりとなるものについて Charles の勧めが役に立ったなら、 国境なき医師団への寄付を彼はお願いしています。
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Take Control ニュース/06-Nov-06

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Thanksgiving のディナーを料理しつつ飢えに苦しむ人も思おう -- Thanksgiving で大切にするものといえば、家族と、食べ物だ。そして、家族や食べ物を持たない人たちを助けたいという気持ちから、私たちはこの 11 月の間 Joe Kissell の電子ブック“Take Control of Thanksgiving Dinner”の売り上げ一冊ごとに $1 を San Francisco Food Bank に寄付することにした。これは San Francisco 市内で飢えに苦しむ人をなくそうという目的の非営利団体だ。(Joe もここでボランティア活動をしている。)

Joe の本を一つでも読んだことがある人なら、Mac OS X をインストールしたり、堅固なバックアップ戦術を組み上げたりといった、コンピュータ上での複雑な作業をするためにあなたを助け導いて行ける、素晴らしい技量を彼が発揮していることをご存じだろう。彼は、それと同じに驚くほど素晴らしい仕事を、Thanksgiving のディナーを計画して準備するすべての作業段階についても書き上げてくれた。そこに編集と、テストを加え、内部リンクも完備させたので、正直言って私はこの電子ブック“Take Control of Thanksgiving Dinner”こそ私たちのベストタイトルの一つだと自負している。今週は(11 月 13 日まで)記念の 50% 引きセールを実施中なので、通常の電子ブックフォーマットのものならばたった $5 で購入できる。けれどももしも印刷した本の方が台所で使うのに便利だとお思いならば、印刷版の本も $19.99 で購入できる。


TidBITS Talk/06-Nov-06 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

MacBook Pro Core 2 Duo のハードドライブ選択肢 -- Apple の新しいプロ向けラップトップは三種類のハードドライブ構成を提供しているが、これらはサードパーティのベンダーから購入できるものと比較するとどうなのか? それから、そもそもハードドライブの容量というものは、宣伝されている容量の数字と比較して、あなたが使える実際のディスク容量はどれくらいになるのか、私たちはまたこの議論に立ち戻る。 (16メッセージ)


tb_badge_trans-jp2 _ Take Control Take Control 電子ブック日本語版好評発売中

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2006年 11月 14日 火曜日, S. HOSOKAWA