TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#856/20-Nov-06

Thanksgiving(感謝祭)の休暇を前にして、お知らせしたいことがたくさんある。Jeff Carlson は、彼の新しい MacBook Pro が従来の Apple ラップトップ機に比べてかかる費用がぐっと安くなったことに驚嘆し、また Retrospect をアップグレードした際には卑劣な仕打ちとも言えるような問題に遭遇した。Matt Neuburg は PTHPasteboard 4.0 のリリースを報告し、MindManager の Mac 版について概観する。Glenn Fleishman は、最近の Apple の発表を聞いて飛行機の中での電源と iPod について考える。リリースのお知らせとしては、Intel ベースの Mac に向けた各種のファームウェアアップデート、Apple Remote Desktop 3.1、それに“Take Control of Digital TV”のアップデートがある。次号は休暇後の 2006 年 12 月 4 日の発行となるが、その間どうぞ TidBITS Talk にホリデーギフトの提案をお寄せ頂きたい!

記事:


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皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります


サンクスギビング休載: 次号は 04-Dec-06

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

今週の木曜日はアメリカの感謝祭休日。家族や友人との時間を過ごすため (そして勿論、Joe Kissell の電子ブックの助けを借りてサンクスギビング料理を“Take Control”するため) 、一週間休ませてもらう。次号は 04-Dec-06 に出るが、それまでの最新ニュースはホームページ上に掲載する予定だ。


あなたのホリデー 2006 ギフトアイデアを募集

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ホリデーギフト特集が毎年恒例のことになった私たちにとって、Thanksgiving が近づいてくるのは警告のしるしだ。さあ、特集の準備を始めなければ! ということで、今年も読者の皆さんからのギフトのお薦めを集めて、12 月の上旬ごろにお届けしたいと考えている。どうか、あなたの欲しいものリストにはどんなものが載ったか、あなたの大切な人のために今年は何を贈り物にしたいと考えているか、皆さんのアイデアを教えて頂ければと思う。いつものように、アイデアは TidBITS Talk で受け付けているので、[email protected] 宛にメールで送るか、または TidBITS Talk ウェブフォーラムに投稿するかして頂きたい。その際、どうぞ文章はプレーンテキストで、HTML は避けて下さるよう、お願いしたい。カテゴリー別のスレッドも既に設定してある。一つのメッセージには一つだけの製品またはアイデアに限ること、推薦する理由と、URL やその他のコンタクト情報を添えること、また自分の製品でなく誰か他の人の製品のみを推薦すること、もお願いしたい。可能な限り、これまでのギフト特集に載っていないものを推薦して頂きたい。繰り返しの推薦になる場合は号に載せるのを止めることも考えている。これまでにどんなものが推薦されているかを確認するため、投稿の前に 2005 , 2004, 2003 の三年分のギフト特集号も見直してみて頂きたい。どうぞよろしくお願いします!


Apple が Intel ベース Mac のファームウェアをアップデート

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple は先週、同社の Intel ベース Mac ラインのための ファームウェアアップデートをリリースした。これは Boot Camp、起動やスリープからの復帰時の問題に対応したものだ。アップデートに際しては、絶対に指示に従って進めることが重要だ(印刷するとよい)。 Firmware Restoration CD の作成に関する指示もある。このアップデートは全ての Intel ベース Mac に効果がある。ソフトウェアアップデート経由でも直接のダウンロードでも利用可能だ。モデルによって、 MacBook Pro EFI Firmware Update 1.2 (2.7 MB)、 iMac EFI Firmware Update 1.1 (6.1 MB)、 MacBook EFI Firmware Update 1.0 (1.6 MB)、 Mac mini EFI Firmware Update 1.1 (1.6 MB)、 Mac Pro EFI Firmware Update 1.1 (1.6 MB)がある。


Apple Remote Desktop 3.1 が Lights-Out Management を追加

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple は先週、同社のリモートコントロールとリモート管理アプリケーションをユニバーサルバイナリ化し、 数多くのバグや制限事項を改修した Apple Remote Desktop 3.1 , Apple Remote Desktop 3.1 Client をリリースした。改善点については Apple のウェブサイトで詳細を確認いただきたい。Remote Desktop 3. 1 に盛り込まれた最大の新機能は Xserve の "リモート LOM(lights-out management)" のサポートだ。これにより、システム管理者がマシンの電源が入っているか否かによらず、遠隔地にあるサーバを監視、管理できるようになった。リモート LOM は Intel ベース Xserve の新機能だ。これらのマシンの一つを Remote Desktop 3.1 で管理しているのなら、サーバの電源が入っていないときに電源を入れることができる。これは AppleScript を使ってさえも可能だ。必要となるのは Ethernet 接続だけだ。(Ars Technica Infinite Loop journal の投稿記事によると、Intel ベース Xserve は IPMI 2.0 規格のほとんど全てを使っており、このことはサードパーティの提供するソリューションによって Xserve をリモート管理することが可能になることを意味している。)Apple Remote Desktop 3.1 は バージョン 3.0 の所有者には無償アップデートだ。管理者版には、適合する 3.1 クライアント(おそらく、新しいリモート LOM 管理機能のために必要になるのだろう)が付いてくるが、Remote Desktop 3.1 Admin は古いバージョンのクライアントをコントロールすることは可能だ。管理版は28 MB でクライアントは 25 MB のダウンロードで、Apple のダウンロードページかソフトウェアアップデートから利用することが可能だ。


PTHPasteboard に Pro 版が加わり、本当に帰ってきた

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

私が " PTHPasteboard が復活、遅くてもしないよりはまし "(2005-03-21)で予言したように、Paul Haddad がPTHPasteboard 4.0 をリリースした。これは無料で、これまでにもまして上出来だ。PTHPasteboard は、単純だが強力な自動クリップボード複数化プログラムだ。簡単に言うと、どんなアプリケーションからでも「コピー」や「カット」を選択するたびに、PTHPasteboard がクリップボードの内容を覚えてくれるので、後になって別のコピーやカットをしてシステムのクリップボードを踏みつぶしてしまったとしても、元の項目をペーストできる。PTHPasteboard を使えば、1つの場所または多数の場所から複数の項目を集め、それを別の場所に別々にペーストするというのも、朝飯前だ。これがどれだけ作業全体の流れをスムーズにするか、体験してみなければ分からないかもしれない。最近コピーした項目のすべてが、いつでもどこでも利用できるので、コピーする前に計画を練ったり躊躇したりする必要がまったくなくなる。

PTHPasteboard 4.0 は大幅に書き替えられている。設定は「システム環境設定」パネルから行うようになった。保存されたクリップボード項目(「バッファ」と呼ばれる)には、1つのウインドウからアクセスできる。このウインドウは、常に表示しておくこともできるし、手動で呼び出したり隠したりもできるし、あるいはまた、これは私が使っている方法だが、Dock の "自動的に隠す" 機能のように、画面の横か下に隠しておいて、その領域にマウスを置いたときに一時的に画面上に滑り出るようにすることもできる。頻繁に使う項目は、別のウインドウに保存しておくことができる(往年の「スクラップブック」に似た機能だ)。ウインドウを検索することもできるし、バッファがどのアプリケーションからいつコピーされたのかを知ることもできる。ホットキーを設定して、特定のウインドウを表示したり隠したり、特定のバッファをペーストしたりできる。私は、ホットキーでウインドウを呼び出し、バッファの番号をタイプしてペーストするのが、もっとも簡単な方法だと思う。(ということは、たとえば PTHPasteboard のメインウインドウのバッファ 2 をペーストしたいと思ったら、私の場合、Shift-Option-Command-V を押してウインドウを表示し、ついで "2" とタイプすると、そのバッファがペーストされ、ウインドウは隠れる。)

さらに強力な機能がほしければ、あるいは単に、これだけのものを無料で手に入れるという罪の意識を和らげたいと思うなら、20 ドルを払ってPTHPasteboard Pro. にアップグレードできる。すると、同期機能が追加される。つまり、クリップボードウインドウの内容を、ローカルネットワーク内のマシン間で共有できる。さらに、フィルタ機能も追加され、テキストをペーストするさいに、あらかじめ定義されたさまざまな変形をほどこすことができる。(個人的には、一般的なスクリプト言語を使って自分で変形を定義できる機能があればよいと思う。)

私は何年ものあいだ、さまざまなペーストボード複数化ユーティリティを使ってきたが(2003-02-17 の " Mac OS X で複数クリップボード " 参照)、私からのアドバイスはどれについても同じだ。ぜひあなた自身の手で試してみるべきだ。PTHPasteboard は、簡潔さと、強力さと、そして「1度設定すれば後はおまかせ」式のすばらしい使いやすさを備えているので、その価格(あるいは価格の欠如)をおくとしても、試す価値がある。PTHPasteboard 4.0 はユニバーサルバイナリで、Mac OS X 10.4 Tiger が必要だ。1.3 MB のダウンロードだ。無料だが、Pro バージョンは 20 ドルで、30 日の無料試用期間がある。


iFly しよう!

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

最大で 6社に及ぶ航空会社がまもなく機内であなたの iPod を使い易くするため 座席に電源の接続点 と座席の背裏に付いているスクリーンでビデオコンテンツを見るためのアダプタを提供する。Continental, Delta, Emirates, そして United はこれらのアップグレードを 2007年にも展開を始める。Air France と KLM は Apple との話し合いは始めているが、これらのサービスに対する合意にまでは達していない。(Apple のプレスリリースでは、この後者の二つの会社は本気であるとしているが、Reuters の報じるところでは Air France も KLM もそこまでは断言できる段階には至っていないという。)

勿論、これらの航空会社の航空機全てが背裏のスクリーンを備えているわけではない。そして既存の飛行機にワイヤリングするのはとてつもなく金がかかる;この種のワイヤリングが原因不明の墜落事故の主たる原因と疑われている例もあり、航空会社は新たなシステムには神経質になっている。従って私が思うには、最初にこれらのアップグレードを受けるのは個々の座席に対して既に何らかのワイヤリングがなされている特定の長距離飛行機となるであろう。6時間、10時間、いや 14時間にも及ぶフライトで、自分の iPod 用の予備の充電器を持ち込まないでもいいというのは、多くの旅行者にとって福音であろう。と言っても、まずは自分の旅程表にある航空機にはこれらの装備が付いているかどうか確かめることが大事である。

私にとってもっと興味深いのは、この iPod の発表が将来 Wi-Fi 経由で提供されるであろう機内ブロードバンドサービスとどう交差するのかである。Connexion by Boeing の時代を先取りする衛星ベースのブロードバンドサービスが - 長距離国際線でしか提供されていなかった - $1 billion 以上の赤字を出して年末までには閉じられてしまう一方で、他の社はまさにこれから独自のサービスを展開しようとしている。

機上の Wi-Fi ネットワークを持っていれば、航空会社は理屈の上ではメディアサーバを置き iTunes Store のライブラリ (或いは最も人気のある部分だけ) を機上でオンライン購入できるよう Apple と協業することは出来るはずである。確かに iTunes は現在集中化された購買及び digital-rights management (DRM) 包装システムを使ってはいるが、このメディアサーバのためのあなたのアカウントをチェックする Apple への狭帯域の帰りチャネルがあれば - 大西洋上で Lost の最新のエピソードを 5分で、いや 50分の間違いではない、LAN のスピードで入手することだって可能のはずである。

勿論 iPod には現在 Wi-Fi は付いていないので、そのまま実現可能というわけではない、機上でラップトップを使って音楽を買い、それを iPod に転送するという言うのでない限りは。そんなのは手間がかかりすぎるというのは理解できる。しかしながら、航空会社は、この様なメディアサーバに搭載した映画やテレビ番組に対する pay-per-seat の権利(機上にいる間だけ有効)を売ることも可能であろう。(勿論ラップトップで音楽を聴いたり映画を見たりするのは可能であるが、ラップトップでビデオを見る時その電池は最新の iPod 程には長持ちしない。)

Apple のプレスリリースの中で名前の出た航空機用電子機器インテグレータ、Panasonic Avionics Corporation は、高速の機内ネットワークを世の中に出すべく同社が独自に設けた期限に近づいている。このネットワークは Boeing のものに類似しているが、もっと安価な機器を使い帯域も広い。Apple は Panasonic と提携することで、これらの新しい試みの最先端に立つことになるであろう。 私は数週間前に Panasonic と話をする事が出来たが、彼らは (私が話せた全ての航空会社や鉄道会社の様に) そのローカルネットワークの機能リストのトップにストリーミングコンテンツのための機上メディアサーバを挙げている。コンテンツを提供して購入そしてダウンロード出来るようにするまではほんのもう一歩だ。

他にも衛星ベースの会社が携帯電話のサービスを 2007年に立ち上げようとしている -OnAirAeroMobile である - そして Air France と Emirates はこの両社の最初の顧客 5社のうちの二つである。インターネットアクセスも逐次提供されるであろうが、この二社経由では高価になる恐れがある。というのも、彼らが使うのは Boeing が使っていたそして Panasonic が使おうとしているものとは違う衛星ネットワークだからである。米国では、最近 AirCell が比較的安価な航空機から地上へのブロードバンド通信のライセンスを締結し、Continental, Delta, そして United - 更に American と Northwest - がこのサービスの最初の顧客となる予定である。


MindManager が Mac にも登場

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

マインドマップとは、いくつものアイデアを連結させて作る図式だ。これまでにも私はいろいろなマインドマップツールについて記事を書いてきた。ミニマリスト指向の Pyramid(2004-09-13 号の記事“ Pyramid でセラピー ”)や、機能満載の NovaMind(2006-04-17 号の記事“ あなたの頭脳の中を NovaMind で描こう ”)もそうだ。ところが最近になって、また新手の重量級ヒッターが登場してきた。それが、Mindjet MindManager 6 だ。この“6”というバージョン番号は初めてのリリースとしては驚くような高い数字だが、これは実際この MindManager がもう長い間「あのもう一つのプラットフォーム」において存在し続けてきたからだ。けれども今回登場した Mac 版は、他からポートしてきたものだという感じが全然しない。これは一から書き直された真の Cocoa アプリケーションなのだ。(実際、このソフトウェアのクロスプラットフォーム移行の物語は、最近 Apple 自身の developer サイトで宣伝記事の題材として取り上げられている。)

善きもの -- MindManager を使い始めるのはとても易しい。ブレインストームを続けながら、あなたは Return キーを押して現在のレベルにトピックを追加したり、あるいは Command-Return を押して現在のトピックに子を追加したりする。その一方で、MindManager は本当に機能満載でもある。一つのトピックに callout topic(それに付属する補助的な情報)をいくつも付けることができるし、floating topic(何にも付属していないトピック)を作ることもできる。またトピックに画像を付けることもでき、この画像はファイルからでも、あるいは MindManager 自身のライブラリからのものでもよい。小さな飾りのアイコン(顔文字やカラーの国旗など)でトピックにマーカーを付けたり、例えば誰にその作業が割り当てられているかを書き留めておくようなテキストボックスを付けたりすることもできる。さらに、スタイル付きテキストのメモをトピックに付けることもでき、トピックに日付を持たせたり、優先度を割り当てたりすることもできる。

一つのトピックを他のトピックに、http や mailto の URL に、あるいはディスク上のファイルやフォルダに、それぞれハイパーリンクさせることができる。また、一つのトピックにファイルを添付させることもできる。どんな種類のファイルでも添付が可能で、添付されると実際にそのファイルが MindManager 書類の内部に含まれて、指示に応じて開かれる。一つのトピックとそのサブトピックのまわりに、それらを囲む境界線を描くことができ、この境界線にはラベルを付けることもできる。関係線(要するに直線あるいは曲線だが、これにもラベルを付けられる)でトピックとトピックの間を結ぶことができ、関係線で結ばれたトピックからトピックへとジャンプできる。書類の内容全体を表示するビジュアルなプレゼンテーションは非常に素晴らしく、トピックを選択したりナビゲーションしたりといった作業もまさしく期待通りに動作する。

悪しきもの -- これだけ熟成されたものにしては、私は MindManager の実装方法の多くの部分が驚くほど雑で、欠点が目立ち、あるいはすっぽりと抜けているところもあることが気になった。例えば、トピックの物理的位置決めには私は我慢できない。このプログラムは、頑としてすべてをあなたのために自動位置決めしようとし、時には私が一つのトピックを左の方へドラッグすると勝手に元の位置よりもさらに右側へとジャンプしてしまうこともあった。トピックのマーカーはグループを成しているのだが、その一つをクリックすると、あなたに何の断わりも警告もなしに、勝手に同じグループ内の他のマーカーに変わってしまう。一時的にトピックを隠す方法が二つある。一つのトピックのサブトピックたちをすべて折り畳むか、あるいは Filter メニュー内の項目で現在選択されているトピックを隠すかだ。そのことは素晴らしいのだが、後者の方法でいくつかのトピックを隠した後は、それらのトピックが存在しているのかどうかを示すビジュアルな手がかりが全く何もなくなってしまう。トピックに「ブックマーク」を付けることができるが、それら個々のブックマークに名前が付けられないので、この機能はどちらかと言えば役立たずだ。(ブックマークの付いた一つのトピックから次のブックマークへとジャンプできるだけだ。)書類の書き出しは画像としてもテキストとしても可能だが、例えば XML のようなユニバーサルな完備フォーマットに書き出すことはできない。それから、多くの場合コンテクストメニューに現在選択されたものに適用可能なコマンドのうち重要なものが抜けている。

中でも一番不満を感じるのが、MindManager がドロープログラムとしての能力が貧弱だという点だ。トピックの図形的見栄えにおいて厚さやスタイルなどが一切変更できないし、図形を埋めるカラーについてもその設定が非常に困難だ。時によって設定はうまく行くが、時によって全然働かないこともある。いったい何が原因なのか私には結局分からずじまいだった。トピック同士のスタイルの一貫性を図ることは可能だが、それもちょっと難度の高い操作になる。(説明書によれば「もしもあなたが熟練の MindManager ユーザーなら、あなた自身のスタイルを作ることもできます」とあるが、これとて助けになるというよりもむしろ威嚇されているという印象の方が強い。)スタイルに名前を付ける機能は存在していない。スタイルをコピーしたりペーストしたりすることはできるが、個別のスタイル要素を選んでのコピーやペーストはできない。すべてかゼロかなのだ。一つのトピックあるいはその他のものを選択して、そのスタイルをデフォルトとして使うように指示できる。その上に MindManager はテンプレート(ひな形)の複雑なシステムも持っていて、一つの書類、あるいは書類の一部をライブラリに保存して、その後の書類のためのスタイル関係の基準として使うようにもできる。すべてがややこしくて、本当に混乱させられる。

最後にもう一つ。付属の説明書は互いに連結されていないたくさんのヘルプビューアページに過ぎず、その多くが、例えばタイトルバーの赤いボタンをクリックすれば書類が閉じるといったような、味気ない長話でしかない。だから、何か分からないことがあってヘルプで調べようとしても、その作業は困難な、時間のかかる、ストレスの溜まる、頭の芯まで痺れてくるような退屈なものとなる。

醜きもの -- 全体的に言って、MindManager は格好良くて一般的な使い方は易しい。けれどもすべての状況を考えて競合相手たちの様子も勘案すれば、私としてはこの $230 という値札はいくら何でも高すぎるだろうと結論せざるを得ない。それでも、あなたの電子メールアドレスだけ登録すればダウンロード (50 MB) できて無料で使ってみることはできる。MindManager は Mac OS X 10.4 Tiger かそれ以降を必要とする。


我が MacBook Pro、財布痛めず力持ち

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が MacBook Pro シリーズにも高速化を果たしてくれるのを辛抱強く待った甲斐があって、私はついに新しい Intel Core 2 Duo ベースの MacBook Pro を注文して、三年経った私の PowerBook G4の代わりとして使うことにした。私が心底驚いたのは、この新しい MacBook Pro を購入するのにかかる費用が、私が今持っている PowerBook に払った金額よりも安かったことだ。実際、いろいろな数字を比較検討してみると、この MacBook Pro は私がここ数年内に注文した他のどの機種よりも安く上がることが分かった。

私の選んだ構成は、$2,500 のハイエンド 15 インチモデルだ。2.33 GHz の Core 2 Duo プロセッサ、2 GB のメモリ、120 GB ハードドライブ、6 倍速の二層記録 (double-layer) SuperDrive、それに 256 MB の RAM の付いた ATI Mobility Radeon X1600 グラフィックスカードが付く。私の PowerBook G4 の 80 GB ドライブがほとんど一杯になっていたので、追加の $100 を払ってこの MacBook Pro に 160 GB ハードドライブを付ける受注生産 (BTO) オプションを選んだ。

これが実際私の出会った最初の驚きだった。従来、Apple はこのような BTO オプション(例えばメモリの増設など)にはかなり高額の値札を付けるというのが常識だった。ところが、私が 160 GB ドライブに支払った $100 という料金はオンラインで見つけた他のどれよりも安かったのだ。もしもサードパーティのベンダーから買うとすれば、NewEgg.com から 160 GB の Seagate Momentus 5400.3 ノートブックドライブが送料込みで $175 というのを選んでいただろう。(これが最安値という訳ではないが、私は長年 Seagate ドライブを信頼して使っている。現時点で安価な 160 GB ドライブを探せば $156 くらい にはなるだろうが、当然のことながら今後値はもっと下がって行くに違いない。)

さて、次の驚きは何だったか? かれこれ何年もの間で、これはメモリ増設量のコスト計算をせずに済んだ初めてのラップトップ機だ。私の選んだ構成は 2 GB の内蔵 RAM が付いていて、これは今のところ私の必要を十分満たしている。この MacBook Pro は最大で 3 GB までのメモリをサポートできるが、そこまで増設するとひどく高価になってしまう。1 GB DIMM の一基を 2 GB DIMM に入れ替える必要があり、Apple はこれにオンライン Apple Store で $575 という値札を付けているからだ。dealramで調べてみると、2 GB DIMM が 18004memory.com から $290 で手に入るとある。変な名前の会社だが、私は以前ここで RAM を購入してうまく行った経験がある。いずれ私もきっと 3 GB に登って行くことになるのは間違いないが、すぐに必要という訳でもないし、必要になった頃には価格ももう少し下がっていて欲しいものだ。

受注生産 (BTO) オプションと言えば、私は光沢の少ない従来のタイプのワイドスクリーンを選んだ。(Apple がポータブル機をすべて MacBook シリーズに採用された光沢のあるクリアワイドスクリーンに移行させることはせず、従来のタイプもオプションとして残してくれたのは嬉しいことだ。)また、$50 の USB モデムは付けないオプションを選んだ。私もとりたてて MacBook の光沢あるスクリーンに異論を唱える訳ではないが、ただ私としては従来の光沢の少ないスクリーンに慣れているというだけのことだ。

また、私はこの MacBook Pro には追加の電源アダプタは購入しないことにした。これまで使った何台かの PowerBook では、いつもお金を出して自宅用に一つ、仕事場で一つ、それに鞄の中に一つと、別々の電源アダプタを持つようにしていた。(Apple は個々の PowerBook モデルで電源コネクタの物理的形状を変えていたので、私は毎回新しいアダプタを買い替えねばならなかった。)けれども今回は、付属の MagSafe アダプタをいつも持ち歩くようにして、それを私の既存のアダプタの延長コード部分に差し込んで使うことにした。アダプタ本体にあるスロット、通常はフリップアウトの差し込みを提供しているところに、コードを差し込むのだ。こうして、$160 も出して余分の MagSafe アダプタを買うことなく、いつでも電源が私のデスクの上にあって使える便利さも確保することができた。

こうして、税金を加算し、送料は無料だったので、私の出費合計は $2,844 となった。

過去の PowerBook と比べる -- 年代順に遡ってみると、2003 年に購入した私の PowerBook G4/1.25 GHz モデルは税金・送料を含めて $3,412 かかった。この価格には PowerBook 本体と、二台の追加の電源アダプタ、それに RAM 増設の $200 が含まれている。その後去年になって私はさらに $250 を費やしてこの PowerBook G4 のメモリを上限の 2 GB にまで増設したが、この金額はさきほどの合計には含まれていない。

2001 年には、私は PowerBook G4 Titanium 初期モデルの一つを購入した。PowerBook 本体に、二台の追加の電源アダプタ、一基の 256 MB DIMM を合わせた総額は $3,375 ほどだった。

そして 1998 年には、私は何と $4,114 も支払って PowerBook G3 と、二台の追加の電源アダプタ、拡張ベイ用 Zip ドライブ、それに Virtual PC 2.0 一本を購入していた。(金額は古い電子メールのレシートで調べたので、個々のものの金額内訳までは分からないが、私の記憶では後者二つの合計が $350 くらいだったと思うので、引き算すれば前者二つが送料込みで $3,764 ということになる。)

AppleCare -- もう一つ、重要なコストを考慮に入れなければならない。AppleCare Protection Plan だ。これは、マシンに付属している一年間の保証期間をさらにあと二年だけ延長するというものだ。私はたいていの機器を購入する時には保証の延長など普通はしないが、どこにでも持ち歩くラップトップ機の場合だけは、これに私の生計がかかっているので、 AppleCare が必須だ。さきほど挙げたラップトップ機にもそれぞれ AppleCare を購入してきたし、どのマシンの場合もそれぞれ何らかの理由で一度は必ずコンピュータ本体を Apple に送り返さなければならなかったことがある。

Apple はこの MacBook Pro AppleCare 保証に $350 という価格を付けているが、これをもっと安く入手できるところもある。例えば Amazon.com (currently $293) (現在は $293) や、TidBITS スポンサーの Small Dog Electronics ($299) ($299) などだ。送料に若干かかることになるが、後日他のものと一緒に注文するようにすれば、送料の分が節約できるだろう。

そしてさらに費用が浮いた -- もう一点、ここで指摘しておかなければならないのは、この MacBook Pro を購入することでさらにあと $600 から $900 のお金が節約できたということだ。つまり、別途に Windows PC ラップトップ機を購入する必要がなくなったからだ。数年前に私は再生品の Dell Inspiron を $850 で買って、時折何かを Windows で試してみなければならないような場合に使った。このマシンも今はちょっと頼りなく感じられるようになってきたし、それにまた私が Windows を走らせてみなければならないプロジェクトも二つほど目前に控えている。

私は普段いくつもの場所で仕事をするので、Windows を走らせるのにデスクトップ PC の安いのを見つけて使うというのは現実的でない。それに、二台のノートブック機をいつも抱えてまわるというのはできれば勘弁して欲しい。ところが今度の MacBook Pro があれば、そんな必要は消え失せる。なぜなら、これは Parallels Desktop なり Boot Camp なりを使って Windows を走らせることができるからだ。どんな仕事でも、いつでもどこでも、これ一台で用が足りるのだ。

新しくコンピュータを購入するというのはいつでも大きな投資だ。特に私の場合のように、いつでもラップトップ機を持ち運ぶような人にとってはそうだ。でも、以前よりはるかに良くなったマシンを購入する実際のコストが私の予算 _以下_ に収まるなんて、私は全然予想していなかった。これで、浮いたお金で必要に応じて別のアクセサリが(あるいは何かおもちゃが)買える。


Retrospect と スパースディスクイメージファイル

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

私たち TidBITS のスタッフは、逆境に直面することをいとわない。そうすれば、みなさんが同じ目に遭わずに済む。私たちは Mac を _一日中_ 使っているわけだから、時に夜遅くまで、コンピュータのトラブルという宿命的な重荷をみなさんの肩から下ろす方法を探している。

別の言い方をすれば、何か悪いことが起きたとき、私たちはそれについて書くことができるのだし、そうすることで誰かの役に立つこともあるのだから、記事を書くわけだ。私が今週、Retrospect の問題のおかげで重要なデータを失い、苦労したという件についても、そのようにしようと思う。

Joe Kissell が "Take Control of Mac OS X Backups" で書いている(この本は私が編集したのだが)すばらしいアドバイスにしたがい、私は Retrospectを使ったバックアップシステムを構築している。ハードドライブのローテーションを組んで、ラップトップのデータを毎晩、そのうちの1つにバックアップするというものだ。さらに、TidBITS 寄稿者 Derek Miller のすばらしいアドバイスにもしたがい(2006-06-26 の " 訳の分からないガラクタはあなたの味方" 参照)、私は Apple の「ディスクユーティリティ」を使って暗号化されたディスクイメージを作成し、そこに財務記録などの機密データを格納していた。このディスクイメージはスパースディスクイメージで、その中に加えられたファイルに必要なだけの容量しか、ディスクを占領しない。データにアクセスするには、Secure Stuff.sparseimage という名のそのファイルをダブルクリックし、パスワードを入力する。すると、そのディスクが、ほかの外付けドライブと同じように、Desktop に現れる。

毎晩、Retrospect が、その日のうちに加わったり変更されたりしたファイルを、バックアップとしてコピーする。それには、例のスパースイメージファイルも含まれる、と私は思っていた。

Retrospect のデフォルトのバックアップ設定には、Don't Back Up FileVault Sparseimages という、便利なオプションがある。FileVault というのは、以前にも取り上げたことがあるが(2004-03-01 の " FileVault のあるべき姿とは " 参照)、ホームディレクトリ全体を1つのファイルにまとめ、暗号化するというもので、実際には暗号化されたスパースイメージファイルを用いている。しかし、それが FileVault の致命的な欠陥だ。Mac OS X は、通常、音楽や写真、ムービーなどのファイルをホームディレクトリの中に保存するから、ディスクイメージは目に見えないところで莫大な大きさに膨れ上がる。ホームディレクトリの中で、小さなファイルを1つ変更しただけでも、ディスクイメージ全体が更新されるから、Retrospect はそのすべてをバックアップすることになる。そこで、Retrospect の開発者は賢明にも、その巨大なファイルを無視するオプションを加えたのだ。

私は FileVault を使っていない。だから、このオプションを有効にしたままでも問題はないだろうと思っていた。ところが、実際には、Retrospect は、このオプションがオンになっていると、_すべての_ スパースイメージファイルを無視してしまう。そういうわけで、わたしがある晩、ラップトップのハードディスクを再パーティションしたとき、そのときはもちろんディスクをバックアップしてから消去したわけだが、私の Secure Staff ボリュームは失われてしまった。

幸いなことに、この話の結末は、予想されるほど悪くはない。私が再パーティションしたのは新しい MacBook Pro で、PowerBook G4 に Secure Stuff.sparseimage ファイルが残っていた。MacBook Pro は最近届いたものだったから、残っていたデータは1週間ほど前のものだった。結局、私が失ったのは Quicken の4時間分の作業だけで、それはよいことではないが、破滅的なことでもない。

みなさんも、もし機密データをスパースイメージファイルに保存していて、Retrospect を使ってバックアップをしているなら、バックアップスクリプトを見直して、Don't Back Up FileVault Sparseimages が無効になっていることを確認しよう(Retrospect の Automate タブで、スクリプトを開き、Options ボタンをクリックする)。さもないと、もっとも重要なデータが、ビットバケツに放り込まれてしまうかもしれない。

[Jonathan 'Wolf' Rentzsch に敬意を表したい。彼は、この 6 月に、彼のブログでこの問題について詳しく述べている。何ということか、私が彼の報告を読んだのは、私がこの記事を ExtraBITS に投稿した後だった。]


Take Control ニュース/20-Nov-06

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

歳末に向けて "Take Control of Digital TV" をアップデート -- Clark Humphrey の "Take Control of Digital TV" の新しいバージョンをリリースし、アメリカでの HDTV プログラム情報、次世代 DVD 規格戦争、そしてインターネットでのビデオダウンロードサイト情報などを更新した。この本にはアップルから約束されている iTV ビデオサービスについての発表前の詳細は含まれていないが(申し訳ない!)、歳末にデジタルテレビの購入を考えている人々のためにも最新の情報を掲載したかった。読者の Kathy Berndt からのメッセージにもあった通り、“Best Buy、Circuit City、Wal-Mart のメディアセクションに買い物に来た人達全員にこの本を配るべきだ。”Clark がケーブルテレビ代金を払えるようにしながらも、それをどう実現させるかは私達にもまだアイデアは浮かんでいない。だがそれでも、自分で買った一冊を手にして店に行くべきだろう。これは無料のアップデートだ。もし前の版をもっているのなら、表紙の“Check forUpdate”ボタンを押して最新版を入手しよう。オンデマンドの印刷も現在用意中で、近いうちに使用可能になるはずだ。


TidBITS Talk/20-Nov-06 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ラップトップのディスプレイが消える -- ある読者の iBook では時々バックライトが暗くなってしまう。TidBITS コミュニティーから、対処の方法がいくつか寄せられる。 (10 メッセージ)

Dreamweaver プレビューが Internet Explorer で開かない -- Mac 用の Internet Explorer 5 でトラブルに出会ったウェブデザイナーがいる。しかしそもそも、古くなってもはやサポートもされていないようなブラウザでテストしたりする価値はあるのだろうか、というのが問題だ。(13 メッセージ)

特殊文字について質問 -- 特殊文字や記号などを入力したい時、一番手軽な方法は? キーボードでのキー組み合わせからユニコードの Hex 入力メニューまで、いくつかの選択肢がある。(9 メッセージ)

沈む Zune -- ある製品が Microsoft 製だというだけの理由で、購買者層の一定部分においてはそれが自動的に購買意欲に結び付くのだろうか? 読者たちが、新しい Zune 音楽プレイヤーについて議論する。喧々諤々と。 (56 メッセージ)

TidBITS における日付について -- 日付のフォーマットを新しい方法にしたという Adam の先週号の記事が、テキストの文中に年、月、日を書き表わすためのさまざまの方法に関する活発な議論を引き起こす。(9メッセージ)

MacTech がアーカイブ CD を作成 -- TidBITS アーカイブを CD に収めてみたらどうか、という話題に対して、ぜひとも今は亡き Easy View アプリケーションをきちんと含めて欲しいという要望が挙がる。 (2 メッセージ)

Zune と Universal Music -- Microsoft が Zune 音楽プレイヤーを一台売る毎に Universal Music にロイヤリティを払うという Geoff Duncan の記事を読んで、もしも Apple がその種の取り決めを発表したら自分は iPod を買う気にはならない、とある読者が断言する。(2メッセージ)

Digital Camera RAW Support Update -- RAW 画像フォーマットを使うデジタルカメラをサポートするための Apple の最新のアップデートが、ソフトウェアアップデートのリストに出てこなかったという読者がいる。アップデートが既に「取れて」いるかどうかは、どうやって分かるのだろうか? ( 2_メッセージ)


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2006年 12月 6日 水曜日, S. HOSOKAWA