TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#872/26-Mar-07

今週のテーマはオーディオとビデオ、音楽にテレビだ。まず、Adam が SpotDJ をレビューする。これはウェブで使える新サービスで、iTunes の中に DJ を呼び戻せる。iTunes あるいは iPod で、該当する曲が流れた後に短いオーディオスポットが聴けるのだ。次に、出荷されたばかりの Apple TV について、Jeff がポップコーンたっぷりの「テスト」セッションをしての第一印象を語る。でも、何も私たちは丸一週間遊んでばかりいた訳ではない。Glenn は Other World Computing の 3 GB メモリキットを使っていくつかの Mac で RAM を最大限にし、パフォーマンスの点でどんな問題が出るかも込めて検討を加える。また Adam は Chax についても調べる。これは iChat にタブ付きインターフェイスや、その他盛り沢山の便利な設定オプションも加えることのできる無料のユーティリティだ。ニュースの部では、SpamSieve 2.6 のリリースをお伝えするとともに、MacTech から出ている Microsoft Office ユーザー向け VBA から AppleScript への移行ガイドを入手する方法についてもお知らせする。

記事:


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SpamSieve 2.6、Thunderbird サポートを追加

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

Michael Tsai は、彼の有名なスパム・フィルタリング・ツールの注目すべきアップデート、SpamSieve 2.6 をリリースした。このバージョンでは、サポートするEメールプログラムの広範囲なリストに、Mozilla 社の Thunderbird を加えている。また、画像スパムやフィッシングメッセージの検出を改善している。そのどちらも識別するのはかなり難しい。前者は、テキストがまったくないか、あるいは画像ペイロードに加えてランダムなテキストが大量に含まれているためで、後者は、テキストをかなり巧妙に普通のメッセージに似せているからだ。その他の改善点としては、AppleScript のサポートがより効率化され、Mac OS X 10.5 Leopard のプレリリース版との互換性が向上した。また、Apple Mail のプラグインに対するさまざまな微調整も含まれている。SpamSieve 2.6 は、登録済みのユーザーなら無料でアップデート可能。新規購入価格は $30 で、30 日の無料トライアル版がある。このプログラムは、Mac OS X のバージョン 10.2.8 以降が必要で、10.4 かそれ以降のバージョンを推奨している。


MacTech 25 投票スタート、特別購読で VBA to AppleScript ガイドをプレゼント

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

MacTech Magazine は、今年もまた MacTech 25 の投票を受けつけている。Macintosh コミュニティーに対し、執筆、発言、また問題解決を通して技術的支援に貢献した人たちの名を募っている。MacTech の内部スタッフは投票の対象にならない。また Apple の社員については、特別賞のみ対象となる。有益な技術情報をあなたに提供してくれた人々に一票を投じよう

去年、 Tonya と私は、TidBITS と Take Control の仕事が認められて選ばれたけれど、ぜひ私たちの仲間にも投票していただけたらと思う。Matt Neuburg は、AppleScript の世界ですばらしい功績を残している。Glenn Fleishman はワイヤレスネットワークを取材している著名なジャーナリストだ。Joe Kissell は私たちの電子ブック Take Control でベストセラーを何冊か書いている。そして Jeff Carlson はビデオや Palm OS ハンドヘルドについての著作で有名だ。

今まで MacTech を購読したことがないけれど、Microsoft Office のスクリプトに興味があるなら、購読を考えてみてはどうだろう。今なら送料と出荷手数料 $10 と、調査アンケートに答えるだけで、MacTech 6 ヶ月の購読が受けられる。その上、150 ページの "Moving from Microsoft Office VBA to AppleScript: MacTech's Guide to Making the Transition" がもらえる。次期バージョンの Microsoft Office for the Mac は、Microsoft 独自のスクリプト環境である、Visual Basic for Applications (VBA) のサポートをやめて、AppleScript に移行する。移行には、Office ベースの自動化に変更が必要だ。この特別購読の申し込みは 2007 年 4 月 1 日まで。


DealBITS 抽選: BeLight Software の Art Text

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私には絵の才能はないので、おもしろいグラフィカル効果を、特にテキストを使ったものを、Photoshop を必要とせずに作れるようなプログラムに出会うとすぐに夢中になってしまう。だから、BeLight Software の新製品 Art Text は私にとって起動が危険なプログラムだ。ユーザーがいろいろと設定し直すこともできるたくさんのオプションが内蔵されていて、それを使ってテキストやシンプルなベクターグラフィックスをクールなロゴタイプに変貌させることができるので、遊んでいるうちにいくらでも時間が経ってしまうからだ。Ransom フォントで書いた“TidBITS”という単語に、ペンギンと、それを指すお遊び矢印、これらをそれぞれ別々のスタイルで描くなど、さまざまなオプションを数分間いじるだけでこんなグラフィックが出来上がった。リリースされたばかりの新バージョン Art Text 1.2 で、BeLight はテキストを特定の形に押しつぶすための新しい変換タイプや、追加のシェード付け素材、たくさんの新しい絵文字、それに Web 2.0 風のグラフィックスのための一連のスタイルで、最近の新しいウェブサイトで流行のレイ・トレース付きロゴタイプが簡単に作れるものなどを装備に加えている。私がコントロール変数をいじって個人的に楽しく感じるものを挙げれば、カラー、光線の方向、深度、シャドウ、輝度などだ。その上、Art Text は既存の画像を読み込んでそれを背景、テクスチャ、あるいは素材として使うことさえできる。Art Text は Mac OS X 10.4 かそれ以降を必要とし、無料のデモ版も 8 MB のダウンロードで入手できる。Art Text の機能の手ごろな概観が見たければ、BeLight のスクリーンキャストは必見だ。

今週の DealBITS 抽選では、 Art Text 1.2 を4本、賞品にする。それぞれ定価 $29.95 相当の製品だ。幸運が足りずに当選から漏れた応募者ももれなく Art Text の価格が割引になるので、ぜひ奮って下記リンクの DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。ご自分のスパムフィルターや challenge-response システムにどうぞ注意して頂きたい。当選したかどうかをお知らせする私のアドレスからのメールを、あなたに受け取って頂くのだから。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 01-Apr-2007 まで、つまり日本時間で 4 月 2 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


Chax で iChat を拡張しよう

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iChat はビジネス上でも個人的にもますます必要不可欠なコミュニケーション要素となってきたが、やはり私はこのプログラムが好きになれない。依然として私は、このプログラムがステータスを処理するやり方(2004-03-29 の記事“iChat のステータスについての考察”参照)と、その全般的に不体裁なところが気に入らないのだ。Apple 製のプログラムとしては奇妙なことに、iChat はたくさんの個別ウィンドウを使用していて、普通はそれらのウィンドウの間で頻繁に切り替えたいことが多いので、ウィンドウを基準にレイヤーする Mac OS X では(アプリケーションを基準にレイヤーしていた Mac OS 9 のデフォルトとは違って)全部が別々のウィンドウにあるのは余分な手間がかかることになってしまいがちだ。

しばらく前のこと、私は Kent Sutherland の Chaxというものがあることを知った。これは無料(ドネーションは歓迎)のユーティリティで、iChat をさまざまの方法で拡張し機能を高めるものだ。iChat の中に直接インストールするので、その設定は普通の iChat 環境設定ウィンドウにあるタブで設定できる。これのせいで不安定になったり奇妙な挙動をしたりということを私は経験したことがないし、だからこそ私は iChat に不満を感じている人には誰にでもこれを試してみるようお勧めしたい。実はこれは Input Manager であってどのアプリケーションにも埋め込まれるものだ。それ自体は完璧に適正なことなのだが、もしもあなたが Chax をインストールしてその後まったく使わなくなったというのなら、そのウェブサイトに説明してある方法でアンインストールしておくこともできる。(Input Manager について詳しくは 2006-02-20 の Matt Neuburg の記事“Input Manager は悪魔の業か?”参照。)

Chax の機能をすべてリストすると腕を拡げても届かないほどの長さになるが、私が最も便利だと思うものだけをいくつか挙げれば以下のようになる。

タブブラウジング -- これこそ Chax の看板機能だ。この機能一つだけでも、多くの人が使って価値あるものと感じるだろう。デフォルトのように個々のチャットが別々のウィンドウにあらわれる代わりに、Chax はすべてを一つのウィンドウに埋め込んで、それらをタブによって分離してちょうど Safari におけるタブと同じようにして使えるようにする。また、タブを一つだけ「切り離す」ことで独立のウィンドウに移すこともでき、そうすれば複数のチャットを同時に見たい時に便利だろう。他のユーザーがそのタブに書き込んでいる時や、あなたがまだ読んでいない新しいメッセージがある場合にはタブの名前の色が変わるし、タブには名前とユーザアイコンの双方を含めることもできる。タブどうしの移動はクリックしても、またキーボードショートカットでもでき、タブをウィンドウのどの辺に沿って表示するかも選べる。(それほど多数のチャットを同時進行させないことが多い場合には上辺や下辺が良いだろうし、たくさんのチャットを同時進行させているならば左辺か右辺が良いだろう。)

不在の処理の改良 -- iChat のステータスの処理をこうして欲しいという私の提案を Chax が実装できるというわけではないが、状況の改善はしてくれる。あらかじめユーザーが設定した何分かが経過すればステータスを「不在」にするように Chax を設定できるので、あなたが「チャット可能」の状態でコンピュータの前を離れても、iChat がまずあなたのステータスを「待機中」にしてから、その後あなたが設定しておいた時間が過ぎれば Chax がそれを「不在」に切り替えてくれる。私の場合、私のステータスが「待機中」とあなたのところに表示されることはあまりないだろう。なぜなら、Chax はこの他にスクリーンセーバが働き出した時に自動的にステータスを「不在」に切り替えることもできる(カスタムメッセージを付けることもできる)からだ。私の Mac ではおよそ 5 分が経過すればそうなる。スクリーンセーバが動いているのなら、それはきっとメッセージが届いても私の目には入らないということを意味している可能性が強いからだ。それに、Chax はあなたが「不在」の時に到着したメッセージに自動応答を送る(一つの会話に一回ずつのみ)こともでき、その応答メッセージをカスタム設定しておくこともできる。

通知方法の良さ -- iChat ではさまざまな警告サウンドを設定しておくことができるが、私は自分が Mac の前に座っていない時にいろいろな警告サウンドが鳴るのは好きになれない。だから、Chax が私が「不在」または「待機中」の間は警告サウンドをオフにできる機能が気に入っている。音を出されると本当に困る場合(例えばポッドキャストを録音中の時など)には「チャット可能」であってもオフにできる。情報を変更すべき場所として Dock が特にふさわしいとは思わないが、Chax にはいろいろな通知を Dock に表示するたくさんのオプションがある。それよりも私にとって便利なのは、ユニバーサルな Growl通知システムをサポートしている点だ。新しいチャットの最初のメッセージが Growl 通知としてひょっこりと私のスクリーンの下端からスライドして短時間あらわれる、それも私が今どんなアプリケーションを使っているのかに関係なくそうやって通知してくれる、というのが私の大好きな機能だ。

チャットの拡張 -- Chax はまたチャット自体の挙動についてもいくつかのことを提供してくれる。テキストによるチャットの招待や到着してくるファイル転送を自動的に受け入れるように Chax を設定できる。ただし、ファイルの受け入れにセキュリティ上のリスクがあるということはもちろん警告してくれる。また、携帯電話のユーザー宛てにメッセージを送る前に警告を出してくれたり、届いた画像をダブルクリックでプレビューに開いたり、開いたメッセージがある時に終了させようとすると警告を出したりもできる。(別のアプリケーションを終了させるつもりで知らずにチャットを切ってしまうのはいつでも具合の悪いものだから。)Chax はテキスト入力行にあるスマイリーボタンを非表示にすることもできるし、さまざまのステータス変更をチャット自体に埋め込めるので他の人たちが去ったり戻ったりの追跡が楽になる。最後にもう一つ、ビデオチャットの「画像の中の画像」をオフにもできる。私はこの iChat の挙動が気に入っているのだが。それから、ファイル転送が進行中でもオーディオあるいはビデオのチャットを続けられるようにできる。インターネット接続が不安定で接続が切れてしまっても Chax は自動的に再接続を試みてくれるし、またあなたのチャットウィンドウやメンバーリストのウィンドウのルック&フィールを変更するためのさまざまなオプションも提供している。

Chax の出番だ -- Apple は Leopard でさまざまな拡張を iChat に施すと約束している。けれども、Chax の提供するような種類の柔軟性を持った設定は、従来 Apple がそれほど声高なユーザーの声が集まっていない場合に差し出してきた類いのものとはあまりぴったりしないように思える。でも、自分の環境は自分の望み通りに調整できるというのが好きな私たちのようなユーザーにとっては、Chax こそが現時点での iChat に加えるべき必須のものであり、私の予感では Leopard においてもやはり同じくらい必須のものであり続けるような気がする。

Chax 1.4.8 は Universal Binary で、少なくとも Mac OS X 10.4.3 かそれ以降を必要とする。ダウンロードサイズは 1 MB だ。


Intel Core 2 Duo の iMac と MacBook に 3 GB のメモリを挿す

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

3 GB メモリキットが Other World Computing から出ている。彼らが言うには、これは Intel Core 2 Duo MacBook ラップトップ用としては最初のものだ。Apple からは、このオプションは提供されていない。このキットは 340ドルで、1 GB と 2 GB 1枚ずつの PC5300 DDR2 SO-DIMM モジュールがセットになっている。同じキットが、Core 2 Duo iMac と 15 インチ 2.16 GHz Core 2 Duo MacBook Pro にも対応する。MacBook Pro のほかの2つの標準モデルは、1 GB モジュール2枚で合計 2 GB を搭載しており、そのうち1枚を 2 GBユニットと置き換えればアップグレードできる。このユニットは Other World Computing から 260 ドルで購入できる。

Apple は、MacBook と iMac のどのモデルについても、3 GB の BTO 構成を提供していない。1 GB 搭載の MacBook Pro は 750 ドルで 3 GB にアップグレードでき、2 GB 搭載の MacBook Pro モデルなら 575 ドルで 3 GB にアップグレードできる。

Other World Computing は、1 GB のメモリを対象に、44 ドルから 60 ドルの下取り割り引きを提供している。下取り価格は、どのモデルの Mac から引き抜いたか、どういう構成か(512 MB モジュール2枚か 1 GB モジュール1枚か)によって決まる。

Apple は、Intel ベース Mac のすべてについて、同一容量の RAM モジュールを2枚1組で使うことを、推奨または要求している。Mac Pro と Xserve ではモジュールをペアにすることが必要だが、Apple は、グラフィック専用 RAMを持たずシステム RAM をビデオ処理にも使うモデル、つまり Mac mini やMacBook、iMac で、モジュールをペアにすることの利点を強調している。Intel Core 2 Duo MacBook Pro モデルでは、Apple はメモリのペアについて言及していないが、初代 Intel Core Duo モデルではペアが推奨されていた。いやはや、何とも混乱させられる。

メモリをペアにした場合、プロセッサが RAM にアクセスする速度が、メモリをペアにしない場合に比べて最大で2倍になる。これはビデオ出力で特に重要だ。ただ、それが現実のパフォーマンスにどれだけ影響するかは、実際にベンチマークテストをしてみなければ何とも言えない。

メモリを最大の 3 GB まで増やすことによる性能の向上が、メモリをペアにすることによる性能の向上に勝るということもありうる。RAM が増えることで、オペレーティングシステムがデータやプログラムをページイン・ページアウトすることがなくなり、RAM とハードディスク上のスワップファイルとのあいだでデータが行ったり来たりすることがなくなるからだ。ある程度までは、RAMが増えれば増えるほど、コンピュータが比較的低速のハードディスク操作を実行するのに費やす時間が短くなる。

TidBITS 寄稿編集者の Matt Neuburg が作ったフリーウェアプログラム MemoryStick を使って、あなたが現在ディスクスワッピングの世話になっているかどうか、RAM を追加することで全般的なアプリケーションのパフォーマンスが向上する可能性があるかどうかを確認することをすすめる。

奇妙なことに、さまざまな容量の RAM を搭載した kCore 2 Duo MacBook でさまざまなテストをしたOWC 自身のベンチマーク結果を見ると、メモリを増やしても実質的な変化が生じるようには感じられない。しかし、彼らの用いたベンチマークは、ひとまとまりの操作やプログラム機能について調べるもので、普通の Mac ユーザが実際に使用しているときのように、さまざまなプログラムを並行して走らせるという状況とは異なっている。


SpotDJ で iTunes に DJ 登場

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

「彼こそ最後の DJ、かけたい曲をかけ、言いたいことを言う」Tom Petty の“The Last DJ”の歌詞より

ある独立のディスクジョッキーの死を悼んで「最後の人間の声だった」と形容した Tom Petty の嘆きを、きちんと理解できるほど私はラジオを聴き慣れてはいない。でも、 Wolfman Jack が一番活躍していた時期に彼の声をライブで聴いたことのない私でさえ、時として iTunes で、あるいは iPod で自分の好きな曲を聴いたりしながら、何と言うか、ちょっと同じことの繰り返しだな、と感じることがある。もちろん、私の iTunes ライブラリにある 4,800 のトラックからランダムに曲を選んで演奏できるのだから、別に同じ曲を何度も何度も繰り返して聴いているわけではないのだが、それでも、私がラジオを聴いていた昔の時代と比べて考えてみれば、私の大好きな曲でさえも今はちょっと平面的に感じられてしまうことがある。その理由は何かと言えば、人間の声が曲を紹介したり、曲の後にちょっとして背景情報をしゃべったりして、音楽に深みと背景を加えてくれることがないからだ。

でもこれからは、ウェブ搭載のSpotDJ のお陰で、あなたがお持ちの音楽に、それを iTunes で演奏するにせよ iPod で聴くにせよ、絢爛豪華な人間の声を添えることができるようになった。SpotDJ はサンフランシスコの小さな会社で生まれた。この会社の設立メンバーの一人は Scott Kleper、彼は 1990 年代後半にKlepHacks というシェアウェアのプログラムで Mac 界に名を成した人物だ。

スポットを取り出す -- 無料のアカウントにサインアップして SpotDJ ソフトウェア(Mac OS X と Windows 双方のものがあり、ユーザーの 40% 近くが Mac ユーザーだ)をダウンロードしてから、ただ普通に、iTunes でいつも通りに曲をプレイする。SpotDJ アプリケーションがあなたの曲を探知して、そのアーティストまたは楽曲に対して誰か SpotDJ コミュニティーのメンバーが「スポット」(つまり短い語り)を録音して置いてあることを認識する度に、SpotDJ アプリケーションは iTunes がその曲を演奏し終わるまで待ってから、iTunes を一時停止させ、そのオーディオスポットをストリームで流し、それからスポットの後にまた iTunes を再開させる。ただそれだけのことだ。

SpotDJ ウェブサイトで設定するオプションで、スポットをプレイする頻度がコントロールできる。人間の声が時折聞こえるのはいい感じでも、曲ごとに毎回毎回誰かに話しかけられるのは煩わしいかもしれないからだ。現時点では、SpotDJ は曲にもアーティストにも対応するスポットがないということによってもスポットの頻度が制限を受けているのが実情だ。あなたがちょっと変わった曲を持っていればいるほど、スポットを聴ける可能性が減る。また、英語のスポットのみ聴くか、英語以外であなたが録音したものと同じ言語のものを聴くか、それともその両方を聴くかも選べる。

もちろん、すべてのスポットが同じくらい良く出来ているわけではない。だから、SpotDJ アプリケーションを使って(これは基本的にカスタムウィンドウにウェブのインターフェイスを盛り込んだものだ)DJ を 1 つ星から 5 つ星までの間でレーティングすることができ、またあなたのお気に入りの DJ を追加することもできる。あなたのレーティングとお気に入りが、どのスポットを聴けるかのコントロールに加味される。ある特定の DJ の話すコメントが気に入らなければ、一番悪いレーティングを付けておけば、二度とそれを聴くことがなくなる。(マクベス夫人の言葉を借りれば「出て行け! 呪われたスポットよ! 出て行けと言うのじゃ!」という具合だ。)また、特定のスポットにテキストのコメントを付けておくこともできる。SpotDJ はまだ始まったばかりなので私はまだコメントが書かれているのを実際にたくさんは目にしていないが、私も音楽を聴きながら SpotDJ のインターフェイスをいつもじっくりと見つめているわけでもないのだから。

iPod にスポットを追加するには、ちょっとした作業が必要になる。SpotDJ のウィンドウの一番上にある小さな iPod タブをクリックして、プレイリストを選び、Create Spotted Playlist をクリックする。すると SpotDJ はあなたのプレイリストのデータを分析して、対応するスポットがあるかどうか調べ、必要なスポットをダウンロードする。(通常スポットはストリームされるのだが、当然ながら iPod でストリームして聴くわけには行かない。)それから、曲とスポットを適切に組み合わせた新しいプレイリストが生成される。これで後はそのプレイリストをあなたの iPod に同期させてやればよいだけだ。ただし、曲のシャッフルはオフにしておくことを忘れずに。

スポットを取り入れる -- 当然のことだが、スポットを聴いて楽しむのは楽しみのうちの半分でしかない。SpotDJ で一番肝心なポイントは、誰もが DJ になれて、自分の気に入った曲についてのスポットを投稿できるということだ。現在プレイしている曲のためにスポットを録音したいと思ったら、単にそのプレイを停止して、SpotDJ に切り替え、Spot This Song ボタンをクリックすればよい。するとドローワがあらわれるので、その中であなたのスポットを録音したりプレビューしたりして、あなたの望みの仕上がりに聞こえるようになるまでその作業を繰り返す。(できるだけ高品質のヘッドセットかマイクロフォンを使用すること!)それから、Upload をクリックすればあなたの作ったスポットが自動的にアップロードされて誰もがそれを聴けるようになる。スポットは特定の曲のみに対応させることも、特定のアーティストのすべての曲に対応するようにもできる。

スポットの録音は SpotDJ アプリケーションの中で直接するのが一番簡単だが、別の方法として SpotDJ ウェブサイト上でもできる。それには あらかじめ録音しておいたオーディオ断片をアップロードしてもよいし、さらにはこの会社に電話をかけてメッセージを残すことでスポットを作ることさえできる。

私は特別に録音の経験があるわけでもないので、最初はまずスポットでしゃべることの原稿を紙に書いておいて、ヘッドセットのマイクに向かって読み上げることが必要だった。けれどもそうやって一回経験を積めば、その後はもう簡単だった。私のスポットは今のところそれほど人気の高くない曲に限定したものばかりなので、それほど多くの人に私のスポットが聴いてもらえているとは思わないが、とにかく 私の DJ ページ上で聴いて頂くことはできる。

いったんスポットの録音が済めば、SpotDJ サイトにあるツールを使って友だちに電子メールのお知らせを送ったり、あるいは HTML コード断片を作ってそれをあなたのウェブサイトに埋め込み、カスタマイズされた SpotDJ バッジを表示させたりもできる。

人間の声 -- SpotDJ は、世界最高のエレガントなアプリケーションというわけでもないが、使い方もシンプルで使っていて邪魔にもならないので、ずっと走らせ続けても問題ない。わたしはもうかれこれ数週間もこれを使い続けていて、スポットを聴くのを結構楽しんでいる。

これまで聴いた中で私が一番だと思うのは Ben Fong-Torres のスポットだ。彼は音楽業界のベテランで、Rolling Stone に曲を書いたこともあるし、長年の DJ の経験もある。たくさんある彼のスポットは、完璧に録音されていることはもちろんだが、彼が Rolling Stone のためにインタビューした有名なミュージシャンたちとの対談クリップを入れたものも多く含んでいる。

たぶん、最も明白な SpotDJ の使い道というのは、アーティストたちが自分の楽曲に自分でスポットを録音して提供することだろう。そうすることで、楽曲に付加価値が加わり、またマーケティング用のツールとしての働きもあるだろう。SpotDJ は、iTunes の 30 秒プレビューの後にもスポットをプレイするからだ。これまで実例のあるその他のスポットの使用方法を挙げれば、関連するトリビア情報、曲のレビュー、聴く人に関連した音楽を紹介、聞き取りにくい歌詞の解説を提供、また単純にその音楽にまつわる話を語っているものもある。きっと、SpotDJ を学校の音楽の授業で使うことさえできるだろうと思う。

現在のところ、SpotDJ は何千というスポットを持っているが、まだ何万という数には達していない。でも、今後ますます多くの人たちが SpotDJ について知り、スポットの録音がどれほど簡単かを体験して知るようになればなるほど、この数字は増える一方になるだろう。これはちょっとハマってしまうところがあるし、音楽に関する意見を人々と交換したいと思う人ならば誰でも心から楽しめるだろう。そして、iPod と同じく SpotDJ もまた、かなり広く世代の幅を超えて受け入れられるサービスだと私は思う。若いヒップスターたちも、年とったヒッピーたちも、同じくらい楽しんで参加できるのではないか。まあ、今後を見守りたい。

SpotDJ は現時点では完全に無料で、よくある広告やアフィリエイト販売などの手段も今のところあまり使っていない。思うに、その理由は彼らがそのテクノロジーとコンテンツデータベースをどこか大手のプレイヤー(“iTunes”という言葉を思い出さないか?)にライセンスする方が賢明だと思っているからではないだろうか。私としては、もしも Apple がそれに踏み切って SpotDJ を直接 iTunes と iPod に内蔵してくれたら、こんな嬉しいことはない。

けれども、SpotDJ について考えれば考えるほど、私には Scott やこの SpotDJ の人たちが何かもっと大きなものを目指しているように思えてならない。音楽は確かに出発点としては最適だが、目標はきっと音楽よりも大きいだろう。SpotDJ が可能にしているものとは、どんな仮想的オブジェクトに対してもその目的に合わせたオーディオ注釈ができるということだ。今はポッドキャストが大きな脚光を浴びているかもしれないが、ポッドキャストを録音するのは SpotDJ にスポットを投稿するより遥かに難しい。それに、ポッドキャストがそれ自体独立している一方、SpotDJ のスポットは曲にリンクされているのだ。

もしも SpotDJ が、あなたが特定のウェブページを訪れた時にスポットを聴かせてくれるようになったらどうだろうか。あるいは、あなたが Amazon.com で特定の本を見た時にそれに対するスポットが聴けたらどうか。インターネット上のものごとの多くははっきりした終わりの点を持っていないので、スポットをどの時点でプレイするかについてはちょっとしたコントロールが必要になるだろうが、でも例えばこんなことを想像してみて欲しい。あなたが TidBITS の記事を一つロードすると、メニューバー上で SpotDJ アイコンが“5”と書いたバッジを表示し、その記事に対して 5 つのコメントが届いていることを示してくれる。そのメニューをクリックすると、それらのコメントがあなたの設定や他の人たちのランキングに基づいた順序で表示される。そしてあなたはそのうち一つを、あるいは全部を一挙に、プレイさせて聴きながら、同時に目と手はそのまま仕事を続けられる。もちろんすべてはオプションで選択できることでなければならないが、もしもそんなことが実現したら、あなたの毎日のウェブブラウジングに新たな次元が付け加わるのではないだろうか。

でも、そういうことはまだすべて夢物語、ただの可能性でしかない。まず今は、この SpotDJ があなたのために、iTunes で、そしてあなたの iPod で、どんなことをしてくれるのかを体験してみよう。


Apple TV: 本当のビデオ iPod

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

iPod が「ビデオ対応」になってから1年以上たつが、Apple は携帯機器におけるビデオ再生機能を、付随的なおまけ機能とみなしている。来るべきiPhone は、ワイド画面表示に対応するので、Apple ファンが待ち望んでいるビデオ iPod にずっと近づく。しかし、Apple の本当のビデオ iPod は、実は先週リリースされた。その名はApple TV だ。

もちろん、画面もない銀色の箱を iPod と見まちがえる人は、誰もいないだろう。しかし、機能性について言えば、つまり機能からメニューまでをみれば、Apple TV は、無線になって機能が追加された、iPod の親戚だ。Apple は、テレビを押しのけてリビングルームを占領するような箱を作るのではなく(Windows Media Center はそうしようとしているが)、同社の超ベストセラー携帯メディアプレーヤと同じように親しみやすく使いやすいものとして、Apple TV を設計した。

Apple TV は、Apple の当初の出荷開始見込みから3週間遅れて、先週から出荷され始めた。私のところには金曜日に届き、それからかなりの時間を費やしてソファーから調査を続けているが、まだ十分なレビューを書く準備はできていない。そこで、私の第一印象をお伝えするとともに、オンラインに現れたすばらしい情報源や価値あるリンクをご紹介したいと思う。基本的な仕様や機能についての概要は、Macworld Expo からお伝えした私たちの記事 "Apple TV が Mac とテレビを結ぶ"(2007-01-15)をご覧いただきたい。

長所と短所 -- コンピュータとテレビとのあいだの隔たりを埋めるというのは、簡単なことではない。Mac mini はリビングルームに確かな一歩を踏み出した(そしてすぐ後に説明するように、Apple TV よりもこちらを好む人もいるだろう)が、これはまだ、テレビに接続されたコンピュータでしかない。今までのコンピュータと同じ仕方で操作し、テレビは単にちょっと変わったモニタであるに過ぎない。Apple の Front Row ソフトウェアは確かに有効だが、テレビを操作するのにほとんどの人が慣れ親しんでいるシンプルなメニュー方式に近づくには、「コンピュータモード」から「Front Row モード」に切り替えなければならない。

Apple TV は、本質的には Mac OS X コンピュータだといえるだろう。しかし、操作方法は、1度に1つのことに集中しながらメディアにメニュー方式でアクセスするというもので、そのインターフェースは iPod とほとんど同一だ。メイン画面にはカテゴリ(ムービー、音楽、写真、設定)が並び、それぞれの先には対応する項目のリストがある。リストには iPod にあるのと同じような項目が並んでいる。そこで、Apple TV の第1の主要な長所は、iPod を使ったことのある人なら誰にでも親しめるということだ。

しかし、Apple TV にも乗り越えるべきハードルがいくつかある。まずはそれを片付けておこう。この製品は TiVo と異なり、テレビ放送を録画することができない。Apple TV を何らかのテレビ信号と接続するとすれば、TiVo やケーブルテレビ受信機の上に重ねるほかはない。(Apple TV の上に何かを置くのはお勧めしない。これは本当に熱くなる。)

また、これは DVD プレーヤでもない。コンテンツがやってくるのは、ホームネットワーク上の別のコンピュータ(Mac または Windows)から、iTunes を通してだけだ。その結果、ムービーの画質は、現実問題として、Apple が言うところの「DVD に近い品質」に限定される。つまり、H.264 エンコーディングを使用した 640 × 480 ピクセルだ。これは実際それほどひどくないが、DVDの出力と比べれば、確かに見劣りがする。そのため、Mac mini や独立したDVD プレーヤを使うことを選ぶ人もいるだろう。もう1つの短所として、Apple TV はDolby Pro Logic オーディオ に対応しているが、 audio, not Dolby Digital 5.1 サラウンドサウンド に対応していない。

もちろん、自分が持っている DVD なら、 MediaFork (以前は HandBrake という名前だった)や MPEG StreamclipVisualHub といったプログラムを使ってリップし、そのムービーファイルを iTunes に読み込めば、ビデオを Apple TV とシンクしたりストリームしたりできる。しかし、Apple の宣伝文句「iTunes で楽しめることは、TV でも楽しめる。」というのには、少し語弊がある。iTunes はさまざまなビデオフォーマットを再生することができるが、シンクやストリームができるのは、H.264 でエンコードした MPEG-4 ビデオだけだ。お手持ちの DVD コレクションを別のフォーマットでリップしているなら、ムービーをエンコードし直す必要がある。

この機器は 720p HD ビデオもサポートしている。これは 1280 × 720 ピクセルだが、それだけの解像度のコンテンツは、現在のところ、Apple が提供している HD 映画の予告編とサンプル(720p オプション)と、自分で作ったビデオだけだ。HD ビデオカメラと QuickTime Pro を持っているなら、映像をiMovie か QuickTime Player から Apple TV 形式に書きだすことができる。Apple がいつか iTunes Store で HD の映画を販売するだろうと私は楽観視しているが、長編映画のファイルサイズは、圧縮をしたとしても、普通の家庭のブロードバンドインターネット接続でダウンロードするのに何時間もかかるほど大きくなるだろう。(iTunes Store で購入できる長編映画はおよそ 1.5 GBで、これを HD にしたとするとサイズがおよそ 16 倍になる。)

さらに、Apple TV には 802.11n 無線ネットワーク(802.11g や 802.11b のネットワークと後方互換性がある。2007-01-29 の "AirPort Extreme 802.11n スループットの限界" 参照)が内蔵されているものの、インターネット上の多くのコンテンツ、たとえば YouTube のようなサイトのコンテンツをダウンロードすることができない。iTunes Store から、一部の素材(その日のトップソングやトップムービーなど)の 30 秒プレビューをストリームすることはできるが、その曲や映画を購入するには、コンピュータで iTunes を使う必要がある。将来 Apple TV が市場で足場を確保すれば、直接購入や直接ダウンロードの機能が追加されたとしても、私は驚かないだろう。

最後に、これはほとんどのテレビに対応していない。Apple の言葉を借りれば「1080i 60/50Hz、720p 60/50Hz、576p 50Hz(PALフォーマット)、480p 60Hzの高画質または高精細ワイドスクリーンテレビ」が必要だ。 Rogue Amoeba のPaul Kafasis が、彼の Apple TV が届いたときに見出したように、コンポーネント入力を備えている標準画質テレビの中には使えるものもあるが、画面がぐしゃぐしゃになってしまうかもしれない。Apple が先週私に説明したところでは、インターフェースはワイド画面テレビ用にデザインされているということだから、推奨される仕様にあてはまならいテレビにこれをつなぐのは、理想的ではないだろう。

そういうわけで、この 300 ドルの機器は、結局のところ、主に iTunes 経由で受け取ったメディアを再生するものだということになる。これは Apple としては正気の沙汰と思えないけれど、iPod が広く親しまれており、iTunes によってさらに親しみが広がっていることを考えれば、Apple TV は、デジタルコンテンツにアクセスはしたいがそのためにコンピュータを操作する(あるいは技術に詳しい友人に電話をする)ことまではしたくないと感じる人の興味をひくだろう。

Apple TV の利点は Apple がデザインしたということだ。これは、ただ筐体の角が丸くなっているというにとどまらない。設置するのは、ネットワーク上のコンピュータとペアリングすることも含め、簡単で分かりやすい。先に述べたように、ナビゲーションシステムは iPod に似ている。(ただし、iPod と同様、右向きの矢印アイコン(実際には大なり記号 ">")が、さらなるコンテンツがあることを示しているにもかかわらず、リモコンの右矢印ボタンを押しても何も起きないという、使い始めの混乱を克服する必要がある。実際にはPlay/Pause/Select ボタンを押す必要がある。これは、iPod システムに少数ながら存在する奇妙なデザインの1つだが、すぐに慣れるような類いのものだ。)

インターフェースの見た目は、シンプルだが初歩的であるようには見えない。派手ではないが磨かれている。実際、Apple TV は慎みに重きを置いているようだ。たとえば、数分経過すると現れるスクリーンセーバは、写真(またはアルバムアートワーク)が画面の下からゆっくりと動いて、プラズマ画面の焼き付きを防ぐというものだ。

もう1つ気が利いているのは、ビデオの再生を再開するときに、2つの選択肢(Resume Playing か Start from Beginning)があるのだが、これが、前回再生を停止したときに見ていたフレームがぼやけた状態に対して適用されるということだ。

最後に、Apple TV は近未来に向けて設計された製品のように感じられる。米国がデジタルテレビ放送に切り替わるのは 2009 年 2 月だが、それに向けてHDTV が広く使われるようになり、価格も下がり続けるだろう。今はまだiTunes Store で HD コンテンツが販売されていないが、Apple が将来それを提供するとしてもおかしくない。システムアップデートをダウンロードすることで、別の機能、たとえば iPod にあるようなゲーム(あるいはまた通常のMac OS X にあるゲームの特別版)が追加できるかもしれない。ひょっとしたら、背面の USB ポートは、Apple が現在主張しているように単に診断のためだけでなく、 Wii Remote のような無線ゲームコントローラのアダプタ用に使えるかもしれない。

シンクとストリーム -- さて、推測はこれくらいにしよう。Apple TV を使い始めようとするなら、何はさておき、すぐにでも映画やテレビ番組を見始めたいと思うだろう。だが、残念ながら、それには時間がかかる。

Apple TV のコンテンツは、iTunes が動作している1台の Mac か Windows PCとシンクしたものだ。どのマシンとシンクするか設定すると、メディアがネットワーク経由でコピーされ、Apple TV の 40 GB ハードディスクに保存される。802.11n ネットワークを使っているとしても、大量のデータをコピーしなければならない。

幸いなことに、コンテンツをディスクに保存しなくても、ネットワークでストリームして見ることができる。シンクしているコンピュータで、まだコピーが終わっていない映画を再生し始めると、シンクは一時停止して、映画がストリームされる。映画が終わると、あるいはオーディオだけをストリームすると、シンクが再開される。

最初により速くメディアを転送するには、この機器をコンピュータにつなぐのに、無線ネットワークではなく Ethernet で接続 すればよい。

Apple TV とシンクできるコンピュータは1台だけだが、そのほかに最大5台のコンピュータからストリームすることができる。

リモコンがいっぱい -- Apple TV には Apple Remote が付属する。これは最近の Mac のすべてに付属するものと同じタイプだ。このリモコンの赤外線信号は、そのままでは、周辺の対応する Mac には何にでも働きかけてしまう。私が Apple TV を使っていると、私の妻の MacBook で突然 Front Row が立ち上がるということもありうる。

このような不都合を避けるには、それぞれのリモコンをそれぞれの Mac とペアリングする。リモコンを赤外線受信窓の正面に近づけて、Menu ボタンと右矢印ボタンを押したままにする。数秒たつと、リモコンの画像の上につながった鎖の輪のアイコンが表示される。Apple TV では、Setting メニューで Pair Remote を選択する。

Apple Remote が私の家に侵略してくるにつれ(これで3つ目だ)、それらを区別するのが大変になってきている。私の、ローテクではあるが効果的な解決法は、それぞれに異なる色の輪ゴムを巻きつけることだ。

Apple TV ハック -- 早速 Apple TV を手に入れた人たちは、早速保証を無効にするのをいとわなかった。いじり屋たちは数日のうちに Apple TV を分解し、内蔵 40 GB ハードディスクをより大容量のものに置き換える方法を見つけたり(これはどうやら大変手間がかかるようだ)、この機器の設定を変えてXvid などほかのビデオフォーマットを再生できるようにしたりした。実際、この小さな装置がこれだけハックできるということだけでも驚きだ。Apple TVで Remote Desktop を有効にする方法など、日々の進展を追いかけるには、 Apple TV Hacks ウェブサイトが良い情報源だ。

Apple TV が届くのを首を長くして待っている? それなら、QuickTime ムービーで、しゃれた起動アニメーションだけでも味わおう。

私には Apple TV をばらそうという激しい欲望はない。今のところ、ソファーに寝そべってテストを続けるので満足だ。ポップコーンを片手に。


TidBITS Talk/26-Mar-07 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

11 個のドライブで重複を合理化する方法 -- 全部で 11 個もあるハードドライブに何千もの重複した写真がある場合、重複を選び出すにはどこから手をつければいいのだろうか?(9 メッセージ)

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