TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#876/23-Apr-07

またもやセキュリティ関係のニュースの集まる週になってしまった。1万ドルの賞金を賭けて Mac OS X のセキュリティを破るコンテストがあり、どうやら賞金を獲得する人が出る模様だ。Apple からは Security Update 2007-004 がリリースされ、DealBITS 抽選では Open Door Networks の製品 DoorStop X Security Suite が当たる。でもそれだけでは短いニュースばかりなので、今週は何人もの TidBITS 読者たちから話を聞いて、彼らが家族のためにどのようにして Mac の技術サポートを提供しているかについてまとめてみた。それからもう一つ、Michael E. Cohen から Mark/Space の新製品 SyncTogether の詳細なレビュー記事が届いた。これは、.Mac の同期と同じ機能の多くを、複数ユーザー向けに、しかも毎年の購読料金も要らずに提供してくれる。

記事:


----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


Security Update 2007-004 リリース

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

Apple は Security Update 2007-004 をリリースした。このアップデートでは、さまざまなセキュリティホールの脆弱性を改善しており、fetchmail や ftpd など、Mac OS X のオープンソースコンポーネントの新しいバージョンも含まれている。特に目を引くのは、Mac OS X のファイル共有のクライアントソフトウェアで、Month of Apple Bugs プロジェクトで指摘されたバグを削除している。また、Login Window の認証ダイアログにおける脆弱性を修正している。Academic 版のユーザーも、Security Update 2007-004 では、Mac OS X における Kerberos セキュア認証のサポートに向けられた 3 つの異なる攻撃に対処していることに注目しよう。このアップデートは 4 つのバージョンが用意されている。Mac OS X 10.4 の PowerPCベース Mac 用(9.3 MB)Intelベース Mac 用(16.1 MB)Mac OS X 10.3.9 の Client 用(37.6 MB)Server 用(54.1 MB)だ。また Software Update による自動アップデートも可能。


Mac ハック: 地獄の沙汰も金次第

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

CanSecWest の難題に、2人のハッカーが応えてみせた。完全にパッチの当てられた2台の MacBook Pro(15 インチと 17 インチ)の1台にアクセスしたのだ。この2台のコンピュータは、Apple からの最新のセキュリティリリース(2007 年 4 月 19 日にリリースされた Security Update 2007-004)によってアップデートされていたのだが、Shane Macaulay と Dino Dai Zovi が協力して、一方の Mac に侵入した。Dai Zovi が会場の外で攻撃手法を開発し、会議に出席していた Macaulay がそれを中継した。(一部のレポートではリモートからの攻撃も認められると伝えられていたが、最新のレポートでは否定されているようだ。)

このコンテストは当初、参加者に対して、2台の MacBook Pro ラップトップのどちらかを賞品として提示していたが、コンテストが始まったあとで、3Comの TippingPoint 部門が賭け金を吊り上げ、10,000 ドルの賞金を追加していた。TippingPoint はまだ、この攻撃が賞金を受賞するかどうか決定していない。同社が ZDnet に語ったところでは、この攻撃がそれ以前に知られていたものかどうか確かめる必要があると言う。

そもそも最初の課題は、ルートファイルシステムの中のルート権限で保護されたファイルを取得するというものだった。 主催者は、コンピュータの構成を毎日変更し、5分毎に wiki ページに書き込みをするとか電子メールをチェックするなどの操作を追加することになっていた。

TippingPoint が現金を賭け、コンテストが進行してリスクの高い操作が加わった後で、成功する攻撃が現れた。それには、電子メールで受け取った URLを、デフォルト設定の Safari ウェブブラウザで開く必要がある(もともとのルールが変更されて、ユーザ操作を利用してもよいことになった。それ以前には、誰も侵入できなかった)。この攻撃は、当初の推測に反して、Safari の"Open 'safe' files after downloading" 設定に基づくものではない。セキュリティ研究者 Thomas Ptacek によると、この攻撃は Java の欠陥に基づくもので、Mac 用のほかのブラウザも同じ影響を受ける可能性がある。Safari やほかのブラウザの環境設定で Java を使用停止にすれば、この脆弱性から身を守ることができる。

カンファレンスのサイトにある説明を私が読んだ限りでは、この不正なページを開くと、攻撃者が Mac OS X のユーザレベルの権限を入手することができる。Dai Zovi が ZDnet に語ったところでは、彼は一晩のうちに、およそ9時間かけて攻撃方法を発見し実装したと言う。第2のコンピュータは、ルート権限を入手することが求められており、まだ破られていない。

このコンテストはおそらく、主催者の1人が言うところの、Apple のセキュリティ業界への参加の欠如に対して、Apple をひねってやるために計画されたのだろう。Dragos Ruiu は InfoWorld に「たくさんの人が、Mac に侵入するのは朝飯前だと大口をたたいているのを知っている」と語っており、このコンテストは、そのような人たちに証拠を示させる機会となった。

3Com の TippingPoint は、 Zero Day Initiative の一環として賞金を用意している。これは、すぐにでも不正な目的で使用されかねない脆弱性を公開することによって、研究者に報いようとするものだ。TippingPoint は同社のセキュリティソフトウェアをアップデートし、影響を受けるベンダーに通知している。同社は後に、競合他社にも通知した。


DealBITS 抽選:DoorStop X Security Suite

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

CanSecWest の攻撃をよそに(2007-04-23 の"Mac ハック: 地獄の沙汰も金次第"を参照)、Mac は多くの問題に悩まされている Windows と比べ信頼できることが証明されている。でも、さらにセキュリティのレベルを高め、攻撃や脆弱性についての知識を高めたいなら、Open Door Networks の DoorStop X Security Suite は頼れるツールだ。DoorStop X Firewall 2.0、Who's There? Firewall Advisor 2.1 は最近共にアップデートされ、付属の電子ブック"Internet Security for Your Macintosh: A Guide for the Rest of Us"も更新されている。(最新情報は、2007-02-05 の"Open Door Networks が Security 製品をアップデート" を参照。)

今週の DealBITS 抽選では、DoorStop X Security Suite($79相当)を 2 名様にプレゼント。残念ながら抽選にはずれてしまった応募者も、DoorStop X Security Suite の割引が受けられるので、今すぐ DealBITS ページにアクセスしよう!寄せられたすべての情報は TidBITS の包括的プライバシー規約によって保護される。当選された場合には、Eメールで私のアドレスから 連絡することになるので、スパムフィルターや challenge-response システムをチェックしておこう。また、あなたがこの抽選を紹介した人が当選した場合には、紹介していただいたお礼として、あなたにも同じ賞品がおくられることを忘れずに!

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT on 29-Apr-2007 まで、つまり日本時間で 4 月 30 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


InterviewBITS: 家族的技術サポート

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Robert Movin の最近の記事 "母を Mac にスイッチ"(2007-04-02)に対し、同じように家族のスイッチを指導したことのある人たちから、多くの素敵なコメントが寄せられた。そこで私は考えた。私たちの多くが、Mac を使っている友人や家族に対して(ときには Windows を使っている人に対しても)、非公式技術サポートの任を果たしているにちがいない。それにしても、さまざまな人の体験がどの程度似通ったものであるのか、疑問に思ったので、TidBITS の読者を何人かつかまえ、日常的に技術サポートを提供している家族や親戚がどれくらいいるか話してくれるよう頼んだ。また、そのサポートを通常どのような方法で行うか、つまり、その場に行くか、電話か、あるいはリモート・コントロール・ソフトウェアを使うか、さらに最近のサポート業務はどのようなものだったかと尋ねた。私もほかの人たちとまったく同じ状況にあるからというわけでもないが、せっかくだから、私が口火を切ろう。

Adam C. Engst -- TidBITSTake Control Books、出版者

私の両親は、古びた Power Mac G4 Cube と 14 インチ iBook G4 を持っており、通常の個人的作業をすべてこなしている。母はときおり仕事の電子メールを自宅で読むこともあり、自宅で Word や Excel の書類で作業することもある。それを PC とのあいだで転送するには、自分自身に電子メールで送っている。

私の姉夫婦は主に PC を使っているが、彼らには2歳の息子がいて、最近、ビデオ iChat 用に Mac mini と iSight カメラを購入した。これは、家族全員、とくに小さい子(彼に言わせれば、彼はサイの写真を見るのにも Mac を使っている)にとって、コミュニケーションをとるのに最適な方法だ。加えて、叔母と叔父も 20 インチ iMac と 14 インチ iBook を持っており、Tonyaの2人の姉妹もラップトップ Mac を使っている。私はまた、tidbits.com の個人的な電子メールアカウントを多くの親戚に提供している。その主な理由は、これを始めたのが、Yahoo Mail や Google Gmail のような優れた無料の選択肢が現れるよりずっと前のことだったからだ。全体的に言って、皆がそれぞれの Mac をかなりうまく使いこなしており、分かりきったことを説明しているという気分になったことは一度もない。

私の両親は近所に住んでいるので、ときおりの緊急事態には電話をかけてくる。しかし通常は、私たちを週末の夕食に誘うついでに、コンピュータについての質問があることを匂わせる。私が最近解決した問題は、父の iBook が正常に起動しなくなるというものだった。私には直せなかったが、ハードウェアの問題で、AppleCare で保証されるだろうということが分かった。このマシンを FireWire ターゲットディスクモードで起動することができたので、父がこれを Apple に送る前に完全なバックアップをとったが、これは幸運なことだった。Apple は、ハードディスクが問題であるようにはほとんど思えなかったにもかかわらず、いくつかの部品とともにハードディスクも交換したからだ。ほかの親戚も、通常は電話で問題を知らせるが、私が叔母と叔父を訪ねるときは、前回訪問したとき以降に生じた疑問のすべてに私が答えない限り、帰らせてくれない。

もちろん、Tonya も不断に Mac を使っている。彼女は高い能力を持っているが、彼女が最後に技術サポートの役を果たしたのは Mac OS X が登場する前のことだ。だから、彼女が出くわした尋常でない問題や、ネットワークの管理、バックアップシステムの運用、インターネット接続の問題などは、必要に応じて私が担当することになっている。

Peter N Lewis -- Stairways Software CEO

私の両親と姉が Mac を持っており、私は日常的に技術サポートを提供しているが、父はかなりの程度自分で問題を解決できる。私が最近行った技術サポート業務は、父のために中古の 12 インチ iBook を購入して設定し(もちろんクリーンインストールをした。中古コンピュータのインストールは決して信用してはいけない)、FireWire ターゲットディスクモードを使って古い iMacからデータを転送する方法を教えたことだ。

家族はすぐ近くに住んでいるので、ほとんどのサポートは現地で行う。電子メールや電話で技術サポートをするというのはいつでも難題で、ほとんどの問題は私が彼らを訪ねるまでの数日間放っておいても大丈夫だ。

Naomi Pearce -- Pearce Communications オーナー

私の両親は両方とも Mac を使っており、兄と親戚の何人かも Mac ユーザだ。うれしいことに、兄が両親のサポート業務を私と分担してくれており、そのほとんどは電話で行っている。

私が覚えている限り最後に両親を手伝う必要があった状況は、DSL が不通になったときに設定を修正するというものだ。回線が切れるたびに、DSL モデムの設定がまるでおかしくなってしまう。

私がサポートの提供を経験したなかで、もっとも興味深いエピソードは、実は海の上の出来事だった。私と夫は、 MacMania クルーズの1つが San Diego から出航することに気がついた。San Diego といえば、私の両親の家から自動車で行ける距離だ。両親と一緒にクルーズで贅沢に過ごし、ついでに私たちの世界を少しだけ覗いてもらうのというは、一生に一度の経験になると私たちは考えた。クルーズで休暇をともにすれば、近づきすぎることもないし、離れすぎることもない。

そこで、何か月もかけて、来てくれるよう私の母を説得した結果(それはそれで1つの物語なのだが)、私たちは甲板の上で、今まで経験した中でも最高の休暇を過ごした。両親に体験するよう勧めたのは、右に出るもののない Andy Ihnatko の Mac OS X 概観セッションと、Janet Hill の "Life is Good, iLife Makes it Better" クラスだ。MacMania のクラスは比較的小さく、参加者は、クラスの中でも、クラスが終わった後になって疑問が生じたときにでも、質問することができる。このクルーズに参加するということは、海の上のコンピュータキャンプで1週間過ごすということだ。先生はすぐそこにいるし、私の父はクラス以外でも専門家たちにいろいろ尋ねていた。

これがサポートとどういう関係があるかと言うと、この MacMania クルーズ以降、サポートの質問を受けたことがないということに、私は気がついたのだ。だから、アラスカ探検と聞いて心が躍り、さらに両親が Mac の教室を必要としているなら、あるいはまた Aperture と本格的な写真に興味があるなら、締め切り間近の 5 月の MacMania クルーズに参加を検討してはいかがだろうか。氷河が消えてなくならないうちに! the Panama MacMania も、言うまでもなく楽しそうだ。

Chris Pepper -- [Chris Pepper は生活のため、Rockefeller Universityで Unix システムのお守りをしている。その仕事における最良のツールが Macであることに、今でも喜びと楽しみを感じている。]

私の家族でもっともコンピュータに暗い人物は、グレープ iMac を持っているが、その主な理由は、いまでも Word 5.1a が動くということだ。その前に使っていたのは Mac Plus だった。以下のような彼女の言葉には、彼女がどれだけコンピュータを不快に思っているかがよく表れている。

「コンピュータが私の前で爆発するなんてことはないとは思うけれど、私がマウスが好きなのは、もしマウスが爆発しても私の手が吹き飛ぶだけだけれど、コンピュータ全体が爆発したら大怪我をしてしまうからだ。自動車が爆発したら死んでしまうかもしれないが、それと似たようなものだ。」

彼女の最近の質問は、たとえば「どうして印刷できないの?」というもので、その答えは「再起動しなさい」だった。また、「どうしてこのコンピュータは固まってしまったの?」というときもある(幸い、まれにしかない)が、その答えも「再起動しなさい」だった。

彼女は、私の仕事場に電話をかけてきたときはたいてい謝るし、私の邪魔をしないようにと、夜に仕事場へ電話をかけて留守電を残すこともあるのだが、いつも大げさで、あらゆることが重大事態であるかのように感じられる。彼女は、ドキュメント(教材となるもの)を、それが必要とならない限りアップデートしない傾向があるので、なおさらだ。

私の父は、TidBITS の長年の読者であり、精神科医だ。つまり、そう、ドクターペッパーだ。身体的な問題を治療することはあまりないのだが、医師の資格も持っている。そのため、私が子供のころから、家族や親戚が集まるたびに、誰かしらが、足の親指にまめができただの腰が痛いだの指を怪我しただのと言っては、父に質問をしていた。私が大学に通っているあいだ、また卒業してからの数年間、そのようなことが延々と続いていた一方で、私はにわかに、驚くほどの人気を得ることになった。かの親戚たちの質問の内容が変わり、どのコンピュータを買ったらよいか、インターネットとは何か、どうして PC がうまく動かないのかと尋ねるようになったのだ。

David Shayer -- Apple Computer iPod のソフトウェアエンジニア

私の妻、姉、母が Mac を使っている。私の子供たちは PC を使っているが、それはたくさんのゲームがあると彼らが思っているからだ。彼らが Mac でなく PC を買うことにしたとき、技術サポートについては自分たちで何とかしなさいと伝えた。彼らはなかなか頭がよくて、自分たちの問題はたいてい解決できる。

私の姉もかなり技術に明るく、技術サポートを必要とすることはめったにない。

私の妻も通常は自分でなんとかできるし、私がサポートしなければならないときは、彼女の隣で画面を見ることができるので、非常に楽だ。彼女の仕事上の電子メールについての問題を見てやらなければならないことも、ときおりある。Stanford の IT 部門の人たちは対応が遅いことがあるためだ。

私の母はとても頭のよい人だが、コンピュータだけは詳しくない。通常は電話でサポートするので、画面を見ることができない。母は、どのユーザインターフェース要素を何と呼ぶかは知らないのだが、言葉だけは知っているので、私を助けるつもりで「ウインドウ」や「デスクトップ」などとでたらめに口走り、かえって私を混乱させる。きっと、Fog Creek の Copilot といったリモート・アシスタンス・ソフトウェアを試すべきなのだろう。

昨晩、母が電話で Quicken について質問をしてきた。私としては、母は私と同じことをしていると思っているのだが、結果が同じにならない。ということは、母は明らかに、何か違ったことをやっているのだが、何が違うのかは結局分からなかった。

そんなときは、Apple Store が天の賜物だ。誰でも中に入って、適切な技術的アドバイスを無料で受けられる。それほど親しくない友人に対しては、そこで優良な技術サポートを受けるように言えば、彼らを見捨てていると感じることもない。残念なことは、このあたりの Apple Store は人気がありすぎて、予約をしなければ長い時間待たされるということだ。

先週、ひょんなことから、全米から新しく雇われた十数人の Apple Genius と会うことになった。彼らは研修のために Cupertino を訪れていたのだ。彼らのすべてが非常に賢く、献身的で、熱心なのに、私は感銘を受けた。

Eric Ullman -- Mark/Space マーケティング部長

私が願っているほど多くの親戚が Mac を使っているわけではない。私の母、義理の両親、2人の義兄弟とその家族で、およそ半分といったところだ。PC側にいるのは、父と継母、兄とその家族、そしてもう2人の義兄弟とその家族だ。

義兄弟たちは知識のあるユーザで、それぞれの家族のサポートを担っている。父と継母は小さなサポート業者に頼んでいる。残りの人たちにとっては、PCユーザも含め、私が IT 担当者だ(コンピュータについて大まかなことが分かっていれば、あるいはそうでなくても、トラブルシューティングの原理原則は Mac でも PC でも同じだ。)私はまた、妻が働いている小さな事務所の5台の PC と1台の Mac に対して「週末サポート」を提供しており、Mac を使っている友人の多くに対してもサポートをしている。

私のヘルプデスク型サポートのほとんどは電話で行えるが、 VNC や MicrosoftのRemote Desktop Connection for Mac を活用することもある。ネットワークの問題や、困難だったり複数のコンピュータがからんだりする問題の場合は、その場に行くことが必要となる。

私が最近行ったサポートは、20 年以上付き合っている親友のためのもので、彼は Mac にスイッチしたばかりだった。具体的に言うと、Southwest Airlines のパイロット向けの Windows 用フライト入札プログラムを、CodeWeavers の CrossOver for the Mac(ちなみに言うと、この製品はすばらしい)で動くようにするのを手伝った。それには、試行錯誤をしながら作業をする必要があった(といっても、ほとんどは修正する程度だった。彼は好スタートを切っていた)ので、その場に行って作業した。

1週間のあいだには必ず、少なくとも2件か3件の依頼を処理することになるのだが、そのほとんどは電話で5分もかからない。この種のことを友人や家族のためにするというのは私にとっては楽しいことだし、Windows の問題を扱っていると、用心を怠らないようにしようという気になり、Mac の価値を改めて認識することができる。また、Windows プラットフォームのアンチウイルス・アンチスパイウェア「ソリューション」一般に対しては、嫌悪の情を抱くようになった。


さあ皆さんご一緒に: SyncTogether が .Mac Sync に代わる

  文: Michael E. Cohen <lymond@mac.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は Mark/Space の同期(シンク)関係製品のファンだ。例えば Palm OS 用の The Missing Sync が好い例だ。これのお陰で、妻にとってはいつも信頼できるとは限らぬ Apple の iSync と Palm の HotSync コンジットの協力関係に頼って Palm TX と PowerBook G4 が同じ情報を持つようにするという作業も、今はもはや不要となり、彼女のデジタルライフは以前よりずっと快適なものになった。だから、私は Adam に SyncTogetherをレビューしてみないかと頼まれた時、とても嬉しかった。これは、Mark/Space の同期ユーティリティのラインアップに新たに加わった、新登場の製品だったからだ。

その嬉しい気持ちは今も続いているだろうか? それはこの後を読んで欲しい。

一つの Sync で素敵な幸せ -- $50 する SyncTogether は、Mark/Space が昨年 MildMannered Industries という愉快な名前の会社から買収したアプリケーション、MySync をベースにしている。

その前身と同様、SyncTogether も Mac OS X の .Mac 同期サービスが扱うのと同種の情報同期を行なうのだが、.Mac との違いは年額 $100 の .Mac 購読料金を払う必要がないということだ。Mac OS X 10.4 Tiger の .Mac システム環境設定パネルで Sync 画面を開いて見たことのない方のために説明すると、ここで扱われる情報には iCal のタスクやイベント、Address Book のコンタクトやグループ情報、Safari のブックマーク、それからさまざまの Mail 設定など、Apple の提供する各種のものが含まれる。また他のプログラム、例えば Bare Bones Software の Yojimbo から来る情報も、リストに登場させることができる。

これらすべてのことを可能にしているのが、Tiger の Sync Services だ。これは Mac アプリケーションが利用する一連の機能で、これを使って異なった機器の間で、また他の Mac アプリケーションとの間で、情報を同期することができる。

SyncTogether は Sync Services のパワーを利用して、Mac 同士の間で、または同じ Mac 上の異なるユーザーアカウントの間で、あるいはその両方で .Mac の同期と同じタイプの情報同期をする。他の人たちの Mac とも同期でき、またユーザーアカウント同士の間でも同期できるというこの機能は、SyncTogether が同期というものをある種のデータ共有に代えることができるということをも意味している。これこそが、ベーシックな .Mac の同期との大きな違いだ。(Sync Services に関してもっと詳しいことは、私の本“Take Control of Syncing in Tiger”を読むか(自分の本の宣伝で申し訳ない!)あるいは Mark/Space の知識ベース記事を参照するとよい。)

情報の同期に関する SyncTogether の一連の機能に一つだけ大きく欠落しているのが、Mac OS X のキーチェーンシステムだ。.Mac を使えば Mac 同士の間でキーチェーンの同期ができるが、SyncTogether ではできない。SyncTogether の説明書を見ても、キーチェーンだけがなぜ同期機能から外されているのか、その理由については沈黙したままだ。けれども私が Mark/Space から聞いたところによれば、Apple がキーチェーン同期についてサードパーティのサポートを提供していないのが理由らしい。たぶんこれはセキュリティ上の方策で、きっと適切なことなのだろう。あなたのキーチェーンを、そこいらの Tom や Dick や、それに Trojan とかいう奴にいじりまわされたくないものね!

SyncTogether に付属するライセンスでは、最大3台の Mac までで情報を同期できる。これは3台の _Mac_ であって、ユーザーアカウントの数を数えているのではない。あなたは3台の Mac をライセンスすることができ、そこには好きなだけの数のユーザーアカウントを作って、そこで情報を同期してもよいのだ。また、SyncTogether はローカルエリアネットワーク(Bonjour 対応だ)でもインターネット経由でも情報の同期ができる。さらに追加のライセンスを購入すれば、3台単位で新たな Mac をあなたの SyncTogether 同期フォームに加えることができる。

セットアップ... そしてもう一度 -- SyncTogether をあなたの Mac に持ち込むにはインストーラを走らせる必要があるが、それをする前に、あなたは絶対に、本当に、必ず、前もって Read Me ファイルを読んでおくべきだ。その Read Me ファイルの最初のセクションに、鮮やかな赤い文字で、必ずあなたのデータをバックアップしておくようにと強く念を押す言葉が書いてある。同期ソフトウェアならばどんなものであっても、ちょっと間違ったオプションを選んだだけでデータが吹き飛んでしまう、ということがあまりにも簡単に起こり得るのだから、ここに書いてあるアドバイスには従うべきだ。この Read Me には iCal カレンダーや Address Book のコンタクト情報をバックアップする方法のヒントがいくつか書いてあるし、また、インストールが済んだ後には SyncTogether に内蔵された Help を見ればさらに他の種類のデータ、例えば Safari のブックマークなどについてもバックアップのためのヒントが読める。私の場合は、忠実に Read Me のアドバイスに従った。あとで説明するように、そのお陰で私は助かったのだった。

インストールの作業にはそれほど時間がかからないが、単純なものではない。おそらく、あなたは最後の部分、つまり Setup Assistant を少なくとも2回走らせなければならないだろう。なぜなら、SyncTogether は少なくとも2台の Mac で(あるいは1台の Mac の2つのユーザーアカウントで)設定しておかなければ実際の役には立たないからだ。

今回のレビューを書くために、私はデスクトップ iMac G5 と、MacBook Core Duo、それに、まだ使ってはいるけれどもほとんどもう引退に近い状態にある 500 MHz iBook G3 を使った。これら3台のマシンはすべて Mac OS X 10.4.9 を走らせていた。SyncTogether はバージョン 10.4.7 かそれ以降を必要とし、少なくとも G4 かそれ以上のプロセッサを要すると書かれているが、私の古い iBook G3 にも特に何も文句を言わずにインストールができた。それぞれのマシンで、Applications フォルダの中に SyncTogether フォルダが作られ、そこにアプリケーションと Read Me ファイル、それにアンインストーラが含まれていた。

初めて SyncTogether アプリケーションを走らせた時に、Setup Assistant も走り出してプログラムの設定の助けをしてくれる。SyncTogether の Help メニューで Setup Assistant 項目を選べば、あとからいつでも Assistant を走らせることができる。

SyncTogether の設定の際、あなたはまずあなたの Mac(SyncTogether の用語では「ノード」と呼ばれる)を「クライアント」か「サーバ」のどちらとして挙動させるかを指定し、その Mac を既存の“Sync Group”に加えるか、それとも新たなグループを作るかを選ばなければならない。これらの用語は .Mac の同期や iSync にしか経験のない人にとって目新しい考え方だが、理解するのはそう難しくないだろう。Sync Group というのは互いに同期させるべき個々のノードの集まりで、サーバはその Sync Group 内で一つ選んだノードであって他のクライアントノードたちとの同期のすべてを統合するものだ。(実際、iSync も .Mac も内部的には同じ方法で同期を組織している。iSync の場合は、iSync を走らせている Mac がサーバで、その Mac に接続されている機器たちがクライアントだ。.Mac の場合は、Apple の .Mac サービスがサーバで、同じ .Mac アカウントを使って同期している Mac がすべてクライアントだ。)

Assistant を使って、同じローカルネットワークにない SyncTogether ノードの設定ができる。そうした「遠隔」ノードについては、ノードごとに IP アドレスとポート番号を指定してやらなければならない。一つの Sync Group の中のノードはすべて、Bonjour か IP アドレスのいずれかでアクセスできる必要がある。もしもファイアウォールが存在しているならば、特定のポート番号のトラフィックを許容するようにそのファイアウォールを設定しておかなければならない。デフォルトでは、SyncTogether が利用できるポート番号の中からランダムに選ぶようになっているが、内蔵の Help は手動でポート番号を選ぶならば port 50001 が妥当な選択だと勧めている。

その後で Assistant はその Sync Group 内のすべてのノード間でデータの暗号化に使われるパスワードを設定するようにと尋ねてくる。

その次に、あなたはどんなタイプの情報を同期させたいのかを指定する。SyncTogether は、同期すべき情報の種類を処理するためにプラグインを使い、そのプラグインのうちいくつかは .Mac の同期が提供するものに比べてより細かな行き届いた同期のコントロールを提供している。例えば、特定の iCal カレンダーや Address Book コンタクトグループだけを SyncTogether で同期するようにもできる。.Mac のように iCal と Address Book の同期がオール・オア・ナッシングということはないのだ。この拡張された同期機能を使えば、カレンダーやコンタクトリストに SyncTogether 同期の魔法の力を加えて家族や同僚たちのための共有した使い方ができる。例えば、現在妻と私はホリデーカードの宛先リストと家族の誕生日のカレンダーを共有して使っている。

いったん Setup Assistant での作業が終われば、これであなたのノードで初めての同期を走らせる準備ができた。ただしそれは、あなたのノードが既存の Sync Group に属していればの話だ。そうでない場合は、少なくともあともう一個のノードを設定しなければならない。なぜなら、当然ながら、Sync Group に一つだけしかノードがなければ同期の相手がいないからだ。

すると小鳥が歌い出す -- SyncTogether アプリケーションのウィンドウは他の Mark/Space 製品のウィンドウに似ている。メタリック調のウィンドウの上辺に沿ってカスタマイズ可能なツールバーがあり、その下のメインパネルにいくつかの異なったビューが表示できる。SyncTogether ウィンドウの場合にはメインパネルに三つのビューがある。Plugins、Nodes、それに Shop だ。

Plugins ビューでは、同期されるデータのタイプと、いくつかのデータタイプについての専用設定が変更できる。Shop ビューでは、Mark/Space の他の製品や他社の製品が注文できる。(私が今使っている状態では、12 個ほどの製品がリストされている。)

そしてあなたが同期を走らせている時に表示させておくべきなのが、Nodes ビューだ。あなたの Sync Group にある他のノードの状態がここに表示され、また個々のノードに関して同期を始めたりスケジュール設定したりするためのコントロールもここで提供される。

SyncTogether

Mark/Space は、ノードごとの最初の同期を手動で実行するように勧めている。また、初回の同期の最中はどのノードも簡単にアクセスできるようにしておき、その同期の際に Tiger の Sync Services が出すダイアログや警告などに反応できるようにする方がよいと勧めている。Mac OS X 10.4.9 へのアップデートに伴い、Sync Services はもはや前回のバージョンの Tiger の時ほど多数の初回同期関係のダイアログを出すことはなくなった(また 10.4.9 では初回同期の際にノードのデータが消去できなくなった)が、それでも同期すべきノードに簡単にアクセスできるようにはしておき、そのノードに出るダイアログを見張って、反応できるようにするというのは、今でもやはり良いアドバイスと言えるだろう。

最も簡単なのは、同じ Mac 上のユーザアカウント同士での初回同期をモニターすることだ。これには単に Tiger のファーストユーザスイッチ機能を使えばよい。それよりほんの少しだけ難しいのが、ローカルネットワーク上(例えば私が自宅で使っている小規模の AirPort ネットワークなど)の個々のノードをモニターすることだ。近くの部屋へ歩いていくだけでよいからだ。けれども、遠隔ノードや、地理的に分散させられた LAN におけるノードなどでは、初回の同期をモニターするということになれば遠隔アクセスソフトウェア、例えば VNC クライアントのようなものを各ノードにインストールして、Sync Services の出すダイアログに返答できるようにしておかなければならないことになる。

さて、いったんすべてのセットアップ作業が済めば、実際の同期作業を走らせるのはほとんど拍子抜けするほど簡単だ。SyncTogether が同期相手のノードで走っていれば、どのノードからでもただ SyncTogether のツールバーにある Sync ボタンをクリックするだけで(ネットワークの神々が微笑んでいれば)ノードたちが同期される。同期作業の実行中は、個々のノードで SyncTogether アプリケーションのメインウィンドウの中に新たに青いパネルが開き、そこに目にも鮮やかなプログレスメッセージが表示される。同期作業が終われば、そのパネルは消滅する。

同期作業の最中に現在の進行状況を詳しく見たいと思うなら、ツールバーの Sync History ボタンを使えば同期作業のログが表示される。このログは Tiger の Console ユーティリティを使っても見ることができる。ログファイルは ~/Library/Logs/SyncTogether/ にあるが、もしもあなたが同期に関する詳細情報に飢えているのなら、そのディレクトリにある SyncTogether.log とメインの console.log の両方を Console ユーティリティでチェックすることも可能だ。console.log にはいくつかの他の Sync Services 関係のメッセージも入ってくる。

SyncTogether ツールバーの Info ボタンをクリックすると、ドローワが現われて現在選択されているプラグインまたはノードについての詳しい情報を表示する。(Shop ビューではこのボタンは使えない。)Nodes ビューでは、この Info ドローワにあるコントロールを使って個々のノードに対する同期のスケジュールや、IP アドレス、ポート番号を設定したり、あるいはそのノードの同期履歴をリセットしたりもできる。

Info ドローワ

SyncTogether ツールバーにあるその他のツールとしては、Downloads ボタン(アップデートをダウンロードしたり、Shop ビューで何かを購入した際などに使う)や同期の Cancel ボタン、それに Preferences ボタンなどがある。

SyncTogether の Preferences ウィンドウはほんの少数の設定しか提供しておらず、たいていのユーザーはこれを無視しても差し支えないと思われる。デフォルトの設定でも十分使えるだろうからだ。もしもネットワークやセキュリティ関係の詳細な設定を調整する必要があるのならば、Option キーを押しながら Preferences を選べば Advanced 設定シートにアクセスできる。でも大多数のユーザーはこんなシートを見る必要もないし、見たいとも思わないだろう。

違うシンクは違うシンガー -- .Mac と SyncTogether はどちらも Tiger において Sync Services を基盤として使っているが、両者にはいくつか違った機能もある。

SyncTogether が iCal イベントと iCal タスクを別々に同期できるということについては既に述べた。それに加えて、SyncTogether は個々のプラグインごとに Normal、Publish Only、Subscribe Only という3つずつの同期モードを提供する。例えば、マスターとなるイベントカレンダーを、一つのノードで Publish Only のイベントカレンダーを同期させることで作れる。すると、このカレンダーは新しいイベントを他のノードに送るが、他からは受け取らないようになる。また、自宅のマシンで Subscribe Only のタスクカレンダーを使うようにしておけば、自宅にいる時には同期されたあなたのワークマシンから来たタスクを見られるけれども、自宅だけのパーソナルなタスクは他のマシンに送られないようにできる。

SyncTogether には欠けているけれども .Mac にはある機能が一つ、それは高度な Reset Sync Data コマンドだ。.Mac では、あなたの Mac のデータ項目に .Mac からのデータを併合させる代わりに、.Mac からのデータで完全に置き換えるようにできる。(逆方向も可能だ。)一方 SyncTogether には Reset Sync History 機能があるだけで、これでは Sync Services の機能に依存して次回の同期の際にデータのリセットを行なうようにできるだけだ。ただ、私の経験ではそのリセットが必ずしも常にうまく行くとは限らなかった。もちろん、一つの SyncTogether ノードを他の SyncTogether のデータによってリセットすることを許容しないという考え方は私も理解できる(例えば、私の妻のホリデー用コンタクト情報を言われもしないのに私が自分の分の情報で置き換えてしまったら、彼女がいい顔をするとは思えない)が、それでも私は同期関係のグループの人たちの叡智を取り入れて自分のデータを完全にリフレッシュしたいと思った場合など、自分のローカルなクライアントノードだけでもデータのリセットができたらいいのにと思うことがある。

インシデントにアクシデント -- 私は、SyncTogether で問題点もいくつか見つけた。私の iMac と MacBook の間での初回同期はうまく行ったが、古くてサポートもされていない iBook の方で試みたところ、うまく行かなかった。同期は失敗に終わり、プロセスはストールしたままで、同期された私のデータが他のノードでかなり混乱した状態になってしまった。幸運にも私はデータのバックアップを持っていたので、すべてを正しい状態にすることができた。そう、もちろんこれは私のミスに違いないのだが、それでも私は SyncTogether が私の古い iBook が役に立たないことを賢く探知して、インストールまたは起動を単純に拒否してくれていたら、もっと嬉しかっただろうにと思う。

この iBook の大失敗の後始末をしながら、私は SyncTogether を一度アンインストールしてからインストールし直してみたが、その際このアンインストーラが完璧には動作していないということに気付いた。SyncTogether が ~/Library の中に作ったフォルダのうちいくつかが、アンインストーラに削除されずに残っていた。Mark/Space によればこの挙動は意図的なものでしかも一般的に見られることだという話だったが、それでも欠点を言えば、もしもそれらのフォルダの中に壊れたデータが残っていた場合、その後で SyncTogether を新規にインストールしてもその壊れたデータをそのまま拾い上げてしまうだろう。(ちなみに、アンインストールの前にはあらかじめあなたのコンピュータの認証を外しておく必要がある。Deauthorize Computer コマンドを発するにはこのソフトウェアが必要だからだ。)

説明不足に弁解だらけ -- SyncTogether はまた、Help のコンテンツにいくつか欠陥があり、ユーザーインターフェイスにも特有の変なところがあって混乱させられる。

SyncTogether に内蔵の Help は、初回の同期については設定したり走らせたりする方法を詳しく説明しているのに、それ以後の同期に関してはほとんど完全に沈黙を保っている。例えば、Help のどこを見ても、SyncTogether アプリケーションがサーバのノードで常時動作中でないとスケジュール同期が働かないという事実に触れた個所を私は見つけられなかった。その情報は Setup Assistant の最後のスクリーンに登場するのみで、それも直接書かずに言外の意味としてほのめかしてあるだけだ。

Help が沈黙している問題点がもう一つある。それは、SyncTogether が .Mac 同期と互換かどうかということだ。例えば、私は自分の iMac での同期を .Mac(どのマシンのどのブラウザでもブックマークやコンテンツにアクセスできるようにするため)と SyncTogether(私の MacBook に最新情報を取り入れるため)の両方を使ってしたいと思っている。けれども Help を見ても、両方の方法で同期するのが賢いことなのか馬鹿げたことなのか、その判断のヒントとなることすら何も見つからない。(実際、Tiger の Sync Services は、まさにそういう複数種類の同期を許容できるようにデザインされている。もちろん、もしも一つのやり方で同期が台なしになってしまったら、例えば携帯電話の壊れたコンタクトリストを iSync で同期してしまったら、その混乱がそのまま他のやり方の同期、例えばその後 SyncTogether でする Mac 間の同期など、何にでも蔓延してしまうことになる。)

ユーザーインターフェイスについて言えば、SyncTogether では時々、あるコマンドがどのノードに影響を及ぼすのかを判断するのが難しいことがある。例えば Reset Sync History ダイアログは、はじめに「この機能は他のどの同期クライアントにも影響を与えない」と言っておきながら、あとになってこの履歴が「対応するサーバまたはクライアントで自動的にリセットされる」と言う。実際、SyncTogether は「サーバ」とか「クライアント」とかいう用語を一つの SyncTogether グループ内のノードに使い、一方で「同期クライアント」という用語は Sync Services を利用するアプリケーション(例えば iSync や SyncTogether)のための Sync Services 用語として使っている。

SyncTogether はまた、個々のノードを命名するやり方に“ユーザ名@マシン名”を採用しているので、ますます混乱が深まる。この方法はプログラマーやネットワーク管理者には馴染みのものだが、圧倒的大多数のユーザーたちにとっては電子メールアドレスのように見えてしまう。(これに比べて、.Mac のやり方は混乱の度合が低い。例えば私の同期グループにある名前を見ると、SyncTogether で“michael@nimloth”となっているノードは、.Mac システム環境設定パネルの Advanced 表示で“Nimloth - Michael Cohen”として登場する。)こまごましたことを言い過ぎかもしれないが、一般向けのソフトウェア製品なのにそのユーザーインターフェイスに必要もなくプログラミング特有の慣習や用語が顔を出すのを見ると私はひどく嫌な気がする。

まとめ切れないシンクの気持ち -- さて、結局私は SyncTogether で嬉しい気持ちになったのだろうか? 完璧に嬉しい訳ではない。もっとも、嬉しさが完璧でない理由がすべて SyncTogether のせいだとも言えない。結局のところ、このプログラムはただ Tiger の Sync Services が良いものであるところまで良いものであるだけに過ぎず、その Sync Services は今もまだ荒削りのところがあちこちに見られるからだ。その上、私が経験した問題点のいくつかは、サポート外のマシンで SyncTogether を走らせるという反則行為の結果だった。ただしもちろん、もしもこのインストーラがあともう少し慎重に離陸直前の点検をしていてくれたならば、私もこんな問題に遭遇するはずはなかったのだが。

結論を言えば、ある程度以上 Mac に詳しい人で、.Mac の購読料金を払う気がなく、しかも最初のセットアップの面倒などものともしない、という人ならば誰にでも私は SyncTogether を推薦できるし、実際薦めている。それからまた、Mac ユーザーたちの小規模なグループ(家族や、仕事のグループなど)で、カレンダーやコンタクト情報などの Sync Services が対応している情報を共有したい、それも .Mac が現在提供していないような柔軟性をもって使いたい、というような場合にもお薦めだ。それに、いくつかの欠陥には出会っているものの、私は Mark/Space が今後も長い期間にわたって SyncTogether をサポートし改良を続けてくれるという点に関しては自信を持って彼らを信頼している。

最初の出合いの時点で SyncTogether と私の間に愛情が生まれたとまでは言えなかったが、結構好きになったことだけは正直はっきりと言える。実際、来週私たちはまたお昼のデートに出かけて、食事のあとには映画でも見に行こうと思っている。そう、近所のリバイバル専門の映画館で、ちょうど今「Yojimbo」をやってるのさ...

SyncTogether の価格は $50、ダウンロードサイズは 16 MB だ。14 日間有効のデモ版がある。

[Michael E. Cohen は教師、プログラマー、ウェブデザイナー、マルチメディアのプロデューサー、また認証を受けた有用性アナリストとして働いてきた。彼はまた、いくつかの本の著者または共著者でもある。主な著書を挙げれば、"The Xcode 2 Book"、"AirPort and Mac Wireless Networks for Dummies"、それにもちろん、"Take Control of Syncing in Tiger" がある。]


Take Control ニュース/23-Apr-07

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 松田 栄 <sacaboom@gmail.com>

.Mac ウェブメールへアクセスするための最新情報、.Mac 電子ブックを更新 -- 私たちは、Apple の .Mac サービスについての総合ガイドのバージョン 1.2、Joe Kissell 著作の "Take Control of .Mac" をリリースした。この 204 ページの電子ブックは、.Mac ユーザーが年間 $100 の購読料に見合う最大限のものを得るために知っているべき情報の全てを提供している。何やらかにやらの全般的な変更もあるけれど、この新バージョンでは .Mac のウェブメール機能を使うための最新のアドバイスや手順の説明が掲載されている。すでに電子ブックをお持ちのユーザーは、アップデートは無料で(表紙にある Check for Updates ボタンをクリックすればアクセスできる)、新規購入の場合は $15 だ。

どのようなことが本に書かれているのか、ここにあなたに役立つと思われるいくつかのヒントを紹介する。

.Mac の新機能の使用方法について最新ドキュメントが必要なら、これ以外にない。


TidBITS Talk/23-Apr-07 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iRemote -- Apple の出した特許申請を見ると、どうやら iPhone(あるいはその他の携帯電話)を使って例えば iTunes のようなソフトウェアをコントロールできるようになるようだ。はてさて... (1 メッセージ)

Apple Store のトラフィック -- Apple の実験的リテールストア展開にまだしっくりこない気持ちでいる人は、当面の間 Apple Store を使ってみてはいかがだろうか。読者たちによれば、Apple Store では景気良くポンポンと箱が出荷にまわっているようだ。 (1_メッセージ)

Flash の「アナウンサー顔」を出なくする方法 -- Flash ベースの広告や、その他のウェブでの自動マルチメディアに我慢ならない人は、こうすればそういうものをオフにすることができる。(13 メッセージ)

Little Snitch -- このユーティリティは、あなたのアプリケーションがインターネットで勝手に「実家に連絡」しようとすると、警告を出してくれる。 (2 メッセージ)

MacBook Pro で Verizon Treo 650 をモデムとして使う -- 残念ながら、この機能は Mac ではうまく動かないようだ。いくつかのハックが存在するが、動作の信頼性はない。 (2_メッセージ)

スリープ中にバッテリがなくなる -- MacBook を週末の間スリープさせておくと充電量が 40% も減ってしまうというのは正常なのか? (14 メッセージ)

ハッカーたちが Apple TV の機能をアップグレード -- そのリリース以来、Apple TV はハッカーたちの猛烈な興味を集めてきた。ハードドライブのアップグレード、USB ポートを使ったブートなど、テーマに事欠かない。 (9 メッセージ)

TidBITS が 17 歳に -- 先週号の冒頭にちょっと車のキーについて冗談を書いたばっかりに、キー不要の自動車が増えてきたという興味深い議論がとんでもなく盛り上がった。まあ、何にせよ、誕生日おめでとう、TidBITS!(25 メッセージ)

AirPort Extreme N ファームウェア 7.1 アップデート -- 最新の AirPort Extreme ベースステーションをアップデートする際、いくつか問題に遭遇した読者たちがいる。 (7 メッセージ)

現在の Apple 市場シェア -- Mac のマーケットシェアについて最新の情報はどこを見れば分かるのか? また、今後このシェアは上昇するだろうか?(3 メッセージ)

警察官たちは 19 世紀からやって来る -- コンピュータ犯罪の摘発は、テクノロジーを理解している警察官の数が非常に少ないという事実によって、ますます難しくなっている。 (1-メッセージ)

過去との絆を切り捨てるべき時は -- もちろん、これまでに Mac 用に書かれたプログラムのすべてが Mac OS X で走れば、それは素敵なことだろう。でも、そんなことは現実的でない。過去を切り捨てるのは、どの時点でするのが妥当だろうか?(18 メッセージ)

はぐれ者の不可視ファイルを見つける -- Mac OS X は一時的な保存のためにたくさんの不可視ファイルを使う。時として、これが手に余ることもある。そういうファイルを追跡するためのいくつかの方法を紹介しよう。 (17 メッセージ)

もしも Apple が自動車をデザインしたら? -- 別スレッドでの自動車の議論から、もしも Apple 製の自動車があったとしたらどんなものになるだろうか、現在市場にある車に比べて、どんなところが一味違っているだろうか、という話が出た。 (8 メッセージ)


tb_badge_trans-jp2 _ Take Control Take Control 電子ブック日本語版好評発売中

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

©Copyright 2006 TidBITS: 再使用は Creative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2007年 4月 28日 土曜日, S. HOSOKAWA