TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#892/13-Aug-07

Apple が何か月も静かでいるとなぜ Mac ライターたちは落ち着きがなくなってしまうのか、不審に思っていらっしゃる方があるなら、その答は大洪水のような先週の製品発表の数々を見れば明らかだろう。火曜日のスペシャルプレスイベントで、Apple CEO の Steve Jobs は、新しいアルミニウム製の iMac をリリースすると共に、iLife '08(全く新しい iMovie アプリケーションを含む)と、Apple の新しいスプレッドシートアプリケーションである Numbers の加わった iWork '08 をもリリースした。たいていの会社ならばそれだけで十分以上だろうが、Apple は違った。それに加えて、Mac mini と AirPort Extreme(日本では AirMac Extreme)ベースステーションをアップグレードし、新しい iMac と、新しいアルミニウム製 Apple キーボード、それに Mac Pro デスクトップ機や最新の MacBook Pro 機種に向けた、バグ修正と互換性のためのアップデートも出してきた。また、今週号では、Charles Maurer が写真編集用 Asiva プラグインが新たな方向に踏み出したことをお伝えし、Glenn Fleishman が Google の各サービスでストレージ容量が増えたこと、それから新しいドイツの法律のために KisMAC に起こったトラブルについて語る。

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Apple、新しいアルミ iMac をリリース、Mac mini を更新

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の「スペシャルイベント」プレゼンテーションで、Apple CEO の Steve Jobs は期待の声の高かった新しい iMac をてきぱきと発表し、現行の iMac の見た目をアップデートするインダストリアル・デザインの変更についても、ほとんどぞんざいとも言えるほどの素早さで披露を済ませた。この新しい iMac には 20 インチモデルと 24 インチモデルがあり(17 インチ iMac とはお別れだ)従来よりもぐっと薄くなって、これまでのポリカーボネート製に代わって主にガラスと一枚整形のアルミニウムで出来ている。Apple の「グリーン」信用度に関する近ごろの大騒ぎ(2007-05-07 の記事“Steve Jobs、緑を語る”参照)に応えようとしたのだろうか、Jobs はこれら2種類の材質が非常によくリサイクル可能であるという事実にまで言及してみせた。

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従来の iMac モデルと同様、この新しい iMac も iSight ビデオカメラとマイクロフォンを内蔵しており、赤外線ポート(とそれを使う Apple Remote)やスロットローディング式 SuperDrive(二層記録対応)も備えている。この新しい iMac の背面には一列に並んでオーディオ入力及び出力ジャック、3基の USB 2.0 ポート、FireWire 400 ポートと FireWire 800 ポート1基ずつ、gigabit Ethernet、それに DVI ビデオ出力(ただしこれを使用するには $20 ほどで別売のアダプタが必要)がある。標準の RAM は 1 GB だが(1つだけ見えているネジ1個を外すだけで)4 GB までアップグレード可能だ。802.11n ワイヤレスネットワーキングと Bluetooth 2.0 も内蔵している。ベースモデルにはキーボード(これについては後述)と Mighty Mouse が付属する。また、これは論議を呼ぶかもしれないが、光沢のあるスクリーンが標準装備だ。

$1,199 の 20 インチ iMac は 2.0 GHz の Intel Core 2 Duo プロセッサと 250 GB ハードドライブ、それに 128 MB GDDR3 メモリ搭載の ATI Radeon HD 2400 XT グラフィックスカードが付く。2.4 GHz の Intel Core 2 Duo プロセッサに 320 GB ドライブ、256 MB GDDR3 メモリ搭載の ATI Radeon HD 2600 Pro に切り替えれば価格が $1,499 となる。24 インチ iMac の方は価格が $200 下がって $1,799 となり、ミッドレベルモデルと同じ 2.4 GHz Core 2 Duo プロセッサと 320 GB ハードドライブ、ATI Radeon カードが付く。このモデルの高性能バージョンとして 2.8 GHz Core 2 Extreme プロセッサ、500 GB ハードドライブ、2 GB の RAM という構成で $2,299 のモデルもある。また、ベース 24 インチモデルに $250 を追加して 2.8 GHz Core 2 Extreme にしたものを購入することもできる。これらの新型モデルはすべて現在入手可能で、リリースされたばかりの iLife '08 が付属する。

私たちの見た限りでは、新型 iMac に使われる Core 2 Extreme プロセッサと Core 2 Duo との違いは主にクロックスピードだけのようだ。ただし、何か“unlocked multiplier”と呼ばれる機能が加わっていて、より速いクロックスピードで走ってパフォーマンスをさらに良くするオーバークロックが可能になるという。Core 2 Extreme には quad-core(4連)のものも存在するが、どうやら Apple は dual-core(2連)バージョンのみを使っているようだ。興味深いことに、この iMac に使われている Core 2 Extreme が 800 MHz のフロントサイドバスを持つという事実は、これが X7800、つまり Intel が クロックスピード 2.6 GHz として扱っているものであることを示している。ということは、Apple は unlocked multiplier を利用することによってこれを 2.8 GHz にクロックアップしているのだろう。

Apple はまた新しい Apple Keyboard もリリースした。驚くほど薄型のこの入力機器は、同社のラップトップ機に使われているキーボードを思い起こさせる。(高さはたったの 0.33 インチ (8.3 mm) で、これに対して従来の Apple Pro キーボードの高さは 0.99 インチ (25.1 mm) だ。)$49 のワイヤードモデルは新しい iMac のベース構成にも付属し、USB を使う。(2基の USB 2.0 ポートも提供する。)いっぽう $79 のワイヤレスモデルは BTO オプションとして iMac とともに購入でき、USB ではなく Bluetooth に依存するので USB 2.0 ポートは付かない。どちらのキーボードも、通常通りのすべてのキーに加えて、Expose や Dashboard といった Mac OS X 機能のための専用のキーや、メディアキーの play/pause、イジェクト、輝度、音量の各キーも備えている。

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もう一つ、 Mac miniも新しくなった。従来は 1.66 または 1.83 GHz の Core Duo プロセッサから選べたものが、1.83 GHz または 2.0 GHz の Core 2 Duo プロセッサになった。ベースモデルには 1 GB のメモリ(従来の 512 MB から増えた)が付き、最大 2 GB まで拡張できる。その他の機能、例えば 802.11g のみの Wi-Fi、4基の USB 2.0 ポートなどは従来と変わっていない。


Apple 発表の後から続々ハードウェア関係アップデート

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の Apple プレスイベントで Steve Jobs がステージを下りてからまだそれほど時間が経ってもいないうちに、一連の小さなアップデートが現われ始めた。そのうちいくつかは、デビューしたばかりのマシン自体に適用されるものだった。現在、以下に紹介するようなアップデートが、ソフトウェア・アップデート経由でも、独立のダウンロードとしても、入手可能となっている。

新発売ホヤホヤのアルミニウム iMac が届いてワクワクした気持ちで箱を開けたばかりの人たちには、iMac Software Update 1.0 が振る舞われた。これは内容は示されていないが「重要な不具合の修正」を提供しているという。ダウンロードサイズは 5.1 MB だ。

Keyboard Software Update 1.1 はアルミニウム製の Apple Keyboard を別売で購入した人に向けられたもので、ファンクションキーを輝度調整や Expose 呼び出しに割り当てるなど、このキーボードの特殊機能が利用できるようにする。このアップデートは、ダウンロードサイズは 32.1 MB だが、ワイヤードとワイヤレス双方のアルミニウム製 Apple Keyboard をカバーしている。ただしワイヤレス版の方は来月にならないと出荷されない予定だ。

Mac Pro SMC Firmware Update 1.1 は Apple のデスクトップタワー型 Mac に適用され、ファン動作を調整する。ダウンロードサイズは 544K だ。

同社の最新のプロフェッショナル向けラップトップ機もやはりアップデートを受けた。それが MacBook Pro Software Update 1.1 で、重要な不具合の修正を提供するとともに、Motion 2 および Motion 3 を使用する際の問題に対処している。ダウンロードサイズは 14.7 MB で、これは 2.2 GHz と 2.4 GHz の MacBook Pro モデルに適用される。


Numbers が iWork '08 に加わる

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

新しい iMac と iLife '08 に加えて、Steve Jobs は先週 iWork '08 をお披露目した。Pages と Keynote がアップデートされるとともに、かなり以前から噂されていたスプレッドシート、Numbers が加わった。iWork '08 は $79 で入手可能で、iLife や以前のバージョンの iWork と同じくアップグレード割引は発表されていない。

Numbers -- Apple のスプレッドシートアプリケーション Numbers は、数字の計算処理作業に、一見しただけで iWork と分かる外見を与えている。カスタマイズ可能なテンプレートが付いているので、極度の数学恐怖症の人でさえも助けが得られる。空のセルが延々と広がるのではなく、Numbers では書類を一つの白紙のキャンバスと捉えているようで、その上にあなたが「インテリジェントな表」を書き込んで、この表がスプレッドシートの機能性を提供するのだ。もちろん、その書類ページに他の要素を追加したり(移動させたり)もできる。例えば 2D や 3D のチャート、画像、テキストラベル、写真などだ。まるで、Apple は Numbers を Keynote に劣らないプレゼンテーションのツールとなることを目指してデザインしたのかと思えるほどだ。

Numbers は Microsoft's Office Open XML フォーマットや CSV で作られた Microsoft Excel 2007 ファイルの読み込みおよび書き出しができる。また、OFX (Open Financial Exchange) 書類の読み込みもできるし、PDF に書き出すこともできる。それから、Numbers にはインタラクティブな印刷表示も組み込まれた。ここでは紙に印刷するジョブを送り出す前に、印刷プレビューモードで項目をスケールしたり並べ替えたりすることができる。(スプレッドシートを印刷してみたらいくつものページに変に跨がって印刷されて出てきた、というようなことはもう起こらない。)

Keynote -- Steve Jobs の大好きなこのアプリケーションもアップデートされた。新しいテキストエフェクトやトランジションが含まれているのは予想通りだが、アニメーションのアクションビルドという新しい機能もあって、オブジェクトをある道筋に沿って動かしたり時間経過に伴ってオブジェクトにスケールを施したりといったことができる。 Keynote '08 にはまた、画像の一部をマスクアウトするための「インスタントアルファ」機能、ボイスオーバー録音、それに iPhoto でシンプルなスライドショウを作るのと似た方法でアニメーションが作れるスマートビルド機能などもある。

Pages -- ライターとしての立場から言えば、Pages はこれまでどう見てもまずはページレイアウトのアプリケーションであって、ワードプロセッシングの機能は初歩的なものでしかなく、私たちライターの気持ちを盛り上げてくれるものではなかった。でも、Pages '08 はこの状況を変えることができるかもしれない。そのワードプロセッサモードがレイアウトモードとは完全に独立のものとなったのだ。Apple はまた、従来 Microsoft 以外の会社がコンシューマレベルのワードプロセッサに装備することのなかった機能、変更のトラッキングを盛り込んだ。これがどれほど有用なものかはまだ分からないが、ぜひ私たちもその性能を実地に試してみたいと思っている。その他の新機能としては、コンテクスト対応のフォーマットバーは従来のインスペクタより使い易いようだし、また Apple デザインによる 140 個のテンプレートもある。Numbers と同様、Pages も Windows の Microsoft Word 2007 で作った Open XML ファイルが読める。


AirPort Base Station ギガビットイーサ対応にアップグレード

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

先週の諸々の発表が相次ぐ中で、Apple は 4つの有線ポートすべてがギガビット Ethernet (1000 Mbps) を備えた 802.11n 対応の AirPort Extreme Base Station アップグレード版を静かにリリースした。同社は個別の情報リリースはしなかったが、この変更について私にコンタクトを取って知らせてきた。Apple Store の製品掲示は既にアップデートされていて、この新しいベースステーションはもう注文できる状態になっている。

N 対応の AirPort Extreme は多くの素晴らしい機能を有しており、2007年 2月の初期リリース時には他では探しがたいものがあり、プリンタやハードドライブを共有するための USB ポートも備えていた。(しかしながら、この共有を生かしそして管理していくやり方にに関して多くの小さな問題があって、その詳細は "Take Control of Your 802.11n AirPort Extreme Network" に記してある。これらの問題もこの新しいバージョンでは直っているかも知れない。)

Apple は、更に 2.4 GHz と 5 GHz の両方の無線を搭載することを選択したので、AirPort はどちらかのまとまったスペクトラムを使えるという結構特別なクラスに属する事となった。5 GHz は比較的空いていてそして使える周波数領域も広いので、新しく設置するのには最適である。大抵の Core 2 Duo Mac (もう生産中止となったあの 17-inch iMac を唯一の例外として) は、両方の無線を持った 802.11n を搭載しており、これは Apple Store から $1.99 で購入するソフトウェアで、あるいは N 対応の AirPort Extreme インスタレーションディスク上にあるもので動作可能にできる。

このベースステーションの初期リリースでの私の一番の不満はギガビットイーサの欠如であった。これは 2000年の Power Mac モデルに始まる Apple の常に時代を先取りする最速の一般用 Ethernet を採用するという歴史から見ると気になるものであった。Apple はこの分野では競争するコンピュータメーカーよりずっと先を行っていた。そして、この 2月に Apple の Draft N への参入があった時には、もう既に他のネットワーク機器メーカー数社がギガビット Ethernet 802.11n ルータを既に出している状態で、競争相手の後手に回るという決定は余計に奇妙に見えたのである。

私はまたこの Apple が使用している 802.11n 草稿仕様の総合性能も内部 Ethernet から来る制限で低下するのではないかと疑っていた。Macworld に載せるレビュー記事のために私が行ったテストでは、Wi-Fi to Ethernet そして Wi-Fi to Wi-Fi の転送で 90 Mbps を超えていたが、これは一つのコンピュータが相手方に全開で転送をかけていることを意味する。ところが、二つのコンピュータが Wi-Fi 経由でお互いに相手方に対しに全速で送信しようと試みた場合は一方向 50 Mbps (合わせて 100 Mbps) であった。この合わせて 100 Mbps と言うのは 802.11n の最高速度に近いが、ベースステーションの内部ネットワークが帯域に制限をかけていることに違いはない。

Apple は、彼らの新しいギガビットイーサのベースステーションはワイヤレスから有線へのリンクでは最高 50% 速くなっているといっているが、ということは 150 Mbps に近いということであり、これなら他のメーカーから出ているいくつかのイーサベースの Draft N ルータが実現しているものと同じになる。Apple はワイヤレスからワイヤレスへのリンクに対しての数字は発表していないが、事情には理解できるものがあり、と言うのもこれらのリンクでは変数も多くなりそして他の制限条件もかかわってくるからである。私は、この改良モデルがイントラ Wi-Fi リンクで本当に 150 Mbps に近づけるのかどうか試してみるのが楽しみである。

私は、2月に従前のバージョンのテストしている時、入力ブロードバンドリンクからの NAT (Network Address Translation) への共有アクセスを可とした場合には、ワイヤレス接続からブロードバンド側へは約 30 Mbps に、そして有線のローカル接続からブロードバンド側へだと 60 Mbps に制限されてしまうことに気づいた。Apple はこれは、彼らの NAT ソフトウェアの性能に関わるバグのせいであると認めていた。今回 Apple は新しい機種ではこの問題も解決されているかどうかについては答えられなかったが、そうであることを願うものである。

このバグが問題となるのは二つの稀な場合だけである:一つはブロードバンド接続が 30 Mbps を超える場合で、これはファイバやケーブル接続で可能となる場合がある;もう一つは企業やオフィス LAN でアドレスを AirPort Extreme 経由で接続されているコンピュータに提供していない場合である。もし NAT が生かされていない場合は、AirPort ゲートウェイが性能制限を加えることはない。

802.11n 付の AirPort Extreme Base Station の値段は、変わらず $179 のままである。


ドイツの法律が KisMAC の息を止め、プライバシーを脅かす

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Wi-Fi 傍受・侵入ソフトウェア KisMAC の開発者たちが、コードの配布をとりやめ、活動を停止した。 2007 年 8 月 11 日に発効したドイツの法律改定のせいだ(参照記事はドイツ語)。KisMACは、良いことにも悪いことにも使えるが、主に Wi-Fi ネットワークのセキュリティを監視し評価するためのツール だ。

Mac を使っているシステム管理者は特に KisMAC を気に入っていた。これはまた、Wi-Fi において WEP(Wired Equivalent Privacy)暗号化がまったく役に立たないことを実証し、人々を WAP(Wi-Fi Protected Access)にアップグレードする気にさせるためのよい方法でもあり、実際にその役に立っていた(2007-04-09 の "ガタガタ WEP の上に乗れば、ネットワークはボロボロ" 参照)。

KisMAC の開発者は、 ドイツ刑法 202 項のわずかな変更に対応した。この変更は不正アクセスの定義を広げるもので、202c 項において、ネットワークのパスワードの不正な所有と、パスワードなどの取得を容易にするツールが非合法化された。202b 項によれば、個人のネットワークへの不正アクセスにせよ、コンピュータのデータや無線トラフィックの取得にせよ、そのデータが当人に向けてのものでない限り違法となった。罰則は2年以下の禁固(ドイツ語のFreiheitsstrafe は「自由罰則」というすてきな言葉だ)または罰金となる。(不正アクセスと「当人向けでないデータ」との2つは互いに重なっている。一方はアクセスないし傍受という行為であり、もう一方はデータそのものだ。)

202c 項は、ネットワークのパスワードやセキュリティコードがかかわったときに1年以下の懲役または罰金を定めている。その条文は、パスワードの取り引き、つまり売ったり与えたり受け取ったりということを、パスワードの取得を可能にするソフトウェアを制作することと同じとしている。私のさび付いたドイツ語で読む限り、この法律には免除規定がないので、研究目的などでも刑罰が軽減されない。

そういうわけで、KisMAC がドイツに存在するということは、開発者たちにとっても、非常に限定された目的でしかこのソフトウェアを使わない人たちにとっても、法的に認められないことになってしまった。自分自身のネットワークには自分で傍受を許可することができるから、KisMAC をドイツで使うことも不可能ではないかもしれないが、この法律が言わんとするところは、このソフトウェアを侵害目的で使うことができるために、内部のテストであろうと例外なく非合法化されるということのようだ。もし内部での利用が許可されたとしても、不慮の事故で他人のネットワークを傍受してしまったら、問題に巻き込まれることになる。

この法律のように、いかなる状況においてもある行為を事実上違法にしてしまう法律というのは、世界中で見られる。たとえば、児童ポルノの所有は、世界のほとんどの地域で、いかなる状況においても違法であり、それを手に入れたり見たりしたことがないことを証明できたとしても、投獄を免れることができないかもしれない。今回の法律もそれと同じレベルで弁解の余地を与えない。KisMAC の開発者が指摘するには、ドイツでは、児童ポルノの所有はこの新法の2倍の罰則を規定している。

2008年には、ドイツの法律にさらに進んだ広範な変更がなされる予定で、それは特にハッキングについてのものではないが、似たような懸念を生じさせる。新しい法律となるかもしれないものは Vorratsdatenspeicherung についてのものだ。これは大まかに訳すと、保存されたデータの保有で、すべての携帯電話や固定電話およびデータ転送が含まれる。これはきわめて包括的な効果をもたらすもので、通話や電子メール、テキストメッセージなどの活動について、データの出所、宛て先、かかわった人物の場所の記録を保持するよう各企業に求める。この法律に反対するデモが 2007 年 9 月 22 日にベルリンで予定されている。

2007 年 8 月 6 日の時点で、Wikipedia のこの問題に関する予定表によれば、開発者はオランダにサイトを「まもなく」開設すると言っている。KisMACのサイトにはこのように書かれている。「KisMAC は生き続ける。新しい人々で。新しい国で。そして変わらず、安全保障に対する『脅威』として。」今後の KisMAC の展開を追いかけるには Wikipedia が最もよい場所だろう。ここの記事は常にアップデートされている。


Asiva プラグインのデモ版登場

  文: Charles Maurer
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

前回の TidBITS 記事で、私は Photoshop を使う一番の理由が Asiva のプラグイン、中でも Shift+Gain を走らせるためだと書いた。去年、Asiva が店じまいをしてしまったので、それらの製品は入手不可能になってしまっていたが、その一連の製品は元の開発者の手に買い戻されて、彼が再びその販売を担当することとなった。また、彼はついにデモ版を提供してくれたので、お金を出す前に製品を試してみることができるようになった。それに加えて、彼は製品の価格を値下げするとともに、それぞれの機能が分かりやすくなるように、プラグインのうち3つを改名した。製品一覧は次のようになる。4つ全部を合わせたセット価格は $99 だ。

現在の名前      従来の名前      価格
----------------------------------------
Correct Color     Shift+Gain       $39
Replace or Apply  Correct+Apply    $39
Sharpen or Blur   Sharpen+Soften   $39
Selection         Selection        $29

これらのプラグインで、色調を選択してからその色相、彩度、明暗度に応じてそれらに処理が施せる。色相、彩度、明暗度は、脳が動作する基となる知覚的次元を近似するので、色調を Asiva プラグインで処理するこの方法は、伝統的な方法、つまり映画での類似の技法や、コンピュータにおける赤・緑・青のチャンネルに基づいた方法などによるよりも、より直接的に働くことができる。Asiva プラグインでは直接のベクター調整が可能で、これは通常ならば手仕事や複雑なマスキングの作業を必要とするものだ。Asiva のアプローチには特許が認められているので、この種の製品はこれ以外にはない。

私は自分の写真のほとんどすべてに Correct Color を使っている。Photoshop のいろいろなカラー修正ツールなど要らない。(詳しくは 2004-09-27 の記事“完璧主義者のための写真編集術”と、2005-12-12 の記事“リアリティとデジタル写真”を参照のこと。)Replace or Apply は、空の色や、不調和な衣服や背景の色などを変更するためには私の知る限り最もシンプルな方法だ。Selection は、空とかその他のスムーズな色調を選択できるので、その範囲だけからノイズを除去して他の部分のディテールには触れないということができる。Sharpen or Blur は、人物写真で明るすぎる要素をソフトにするなどの用途に私は時々使っている。

これらのプラグインは、バージョン 5.5 まで遡るすべてのバージョンの Photoshop で使え、すべての種類の Macintosh あるいは Windows で使える。Macintosh 用のデモ版は Universal バイナリで Intel ベースと PowerPC ベース双方の Mac で動作するが、ただ Adobe Creative Suite 3 と Mac OS X 10.4.8 かそれ以降を必要とする。


新しい iLife '08 登場、.Mac アップグレード

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週のプレスイベントにおいて、Apple は同社の次期バージョンの iLife スイートのベールを脱がせ、その名前を iLife '06 から iLife'08へとジャンプさせるとともに、全く新しいバージョンの iMovie を含めた。このスイートの小売価格は $79 だ(アップグレード割引はない)が、すべての新しい Mac には無料で付属する。

iLife '08 は Intel、PowerPC G5、または PowerPC G4 プロセッサを持つ Mac で、Mac OS X 10.4.9 かそれ以降と QuickTime 7.2 かそれ以降が走ることを必要とする。それ以外にも、個別にシステム条件を持つものがいくつかある。特に、iMovie '08 は Intel プロセッサ、Power Mac G5 (デュアル 2.0 GHz かそれより高速)、または iMac G5 (1.9 GHz かそれより高速) を必要とする。つまり、iMovie はもはや PowerPC G4 ベースの Mac をサポートしない。また、iDVD は 733 MHz かそれより高速のプロセッサを必要とする。

iPhoto '08 -- Photo'08 は大体において進化的なアップグレードのように見受けられる。最も重要な新機能は「イベント」という概念だ。つまり、多くの写真はそれぞれ何らかのイベントにおいて撮影されたものだろうということだ。イベントは自動的に生成され、特定のある日に撮影された写真がそこに含まれる。(従来のフィルムロールが一つのセッションで読み込まれた写真すべてから成っていたのとは異なる。)その後必要に応じてイベントを分割したり統合したりもできる。(個々の写真を一つ一つブラウズして行くという伝統的な方法ではなく)イベントによって写真をブラウズしている時は、そこの中の一つの写真に設定されたイベントアイコンの上へとマウスを動かせば、そのイベントの写真全部に次々と目を通すことができる。

iPhoto '08 にはまた「隠す」機能も加わった。消去はしたくないという写真を表示から除外する方法だ。この機能のお陰で、何千枚もの写真を扱わなければならないビジュアルな負担が軽減できるかもしれない。検索機能も改善され、一つのインターフェイスで日付、テキスト、またはキーワードでの検索ができるようになった。Jobs の発表によれば iPhoto '08 にはテーマを使った家庭内印刷、ダストジャケットの付いた写真ブック、同じ値段でこれまでより 75% 大きくなったカレンダーなどの機能もあるという。iPhoto の編集機能にも改善が施され、写真の一部分にも適用できるシャドウおよびハイライトツール、いわゆる「3分の1法則」に添うように手助けができるクロップツール、またノイズ削減、エッジのシャープ化、ホワイトバランスなどのツールも加わった。似たような修正を施す必要のある写真については、一つの写真で何個かの調整作業の組み合わせをまとめてコピーし、それを他の写真にペーストするということまでできるようになった。

iPhoto '08 は、アップデートされた .Mac ともより緊密に統合できるようになった。ウェブベースの写真ギャラリー(.Mac Web Gallery という巧みな命名だ)に公開したり、ボタン一つで写真を共有したりできる。ウェブギャラリーに公開された写真を見る方法は、グリッド、スライドショウ、モザイク、それに CoverFlow 風のカルーセル表示の四種類だ。.Mac ウェブギャラリーのその他の機能としては、プリント品質のダウンロード、電子メールによるアップロード、iPhone で撮った写真の手軽なアップロード、ギャラリーを誰が見られるか、誰が写真を投稿できるかというアクセス権、また他の人たちが投稿した写真を iPhoto に取り込んで来る同期機能などがある。

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この iPhone 機能は、たしかに便利なものだが、基本的には電子メールの拡張に過ぎない。例えば Flickr のような多くの写真共有サービスでは、特別の複雑な電子メールアドレスを提供してあなたがそこへ写真を送れば即座にポストされるようになっている。この iPhone 追加機能は、設定に関する Apple の説明書によれば、基本的に iPhone から電子メールで写真を送る作業を能率化したもので、新しいコンジットを作って直接写真を転送するという手間を省いたものだという。Apple によればその際あなたの .Mac 電子メールアカウントが iPhone 上で設定されている必要があって、かつ iPhone にはソフトウェアアップデートが施されていることが必要とのことで、そのアップデートはどうやら自動的に配付済みのもののようだ。既に iPhone 上で .Mac 電子メールアカウントを設定済みの iPhone オーナーたちは、iLife '08 が発表されて間もなく Send to Web Gallery コマンドにアクセスできるようになった。この iPhone ソフトウェアで、あなたが選択した写真をどのウェブギャラリーに電子メールで送るのかが選べる。複数個の写真を選んで一度にアップロードしたり一つのメッセージに添付したりすることはまだできない。

iLife の発表があってから間もなく、Apple は iPhoto 7.0.1 をリリースした。(ソフトウェア・アップデート経由で、あるいは 8.8 MB のダウンロードで入手可能だ。)このバージョンでは、.Mac ウェブギャラリーに写真を公開する際の問題点が修正された。

iMovie '08 と iDVD '08 -- 今回の iLife スイートで最も積極的な変更を受けたのは iMovie '08 だ。これは完全に新たなアプリケーションであって、インターフェイスも新しいものとなっている。iPhoto の流れを汲んで、iMovie もライブラリの中のすべてのビデオを追跡する際に、イベントを使ってクリップがより簡単に見つけだせるようにする。標準の DV および高精細の HDV ビデオフォーマットに加えて、iMovie は AVCHD (Advanced Video Codec High Definition) の編集もサポートした。これは昨年導入された圧縮フォーマットで、SD メモリカードやハードディスク、あるいは MiniDVD ディスク等のランダムアクセスストレージ機器に保存するためにデザインされたものだ。

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iMovie の共有機能も充実し、ムービーをエンコードして直接 YouTube に送ったり、iTunes 経由で iPhone に送ったり、Apple の拡張された .Mac に送ったりする選択肢が提供されるようになった。

けれども、この全く新しいアプリケーションに“iMovie”という名前を冠することにより、従来のバージョンのこのプログラムに慣れた人々を面くらわせてしまうようないくつかの重大な差異が生ずる結果となってしまった。例えば、iMovie '08 には追加のエフェクトやトランジションを提供するためのサードパーティのプラグインに対するサポートが無い。また、あなたが慣れ親しんできたかもしれない機能のいくつかが全く存在しなくなった。例えば DVD のチャプターマーカー、ブックマーク、テーマなどが無くなってしまった。その上、iMovie '08 は従来のバージョンで作られたプロジェクトを(開くのでなく)読み込むことしかできず、さらにその際も生のビデオそのものだけしか読み込めない。トランジションやエフェクトなどは全く読み込めない。だから、これから言うアドバイスはどんな場合にも当てはまるものだが、今回はこれが何よりも重要となる。つまり、もしもあなたが現在 iMovie プロジェクトを従来のバージョンで作業中ならば、必ず _そのバージョンでそのプロジェクトを最後まで仕上げること_。

良い知らせもある。あなたが iLife '08 にアップグレードするなら、その際従来のバージョンの iMovie HD 6 は変わらずそのまま残る。だから、あなたはビデオの編集をどちらのアプリケーションででも出来るようになる。でも、もしもあなたが新しい iMac を買ったばかりで、そこに iLife '08 があらかじめインストールされていたのならば、あなたにはその選択肢がなかった... 今日までは。

Apple は今回、iMovie '08 のオーナー向けに 無料で iMovie HD 6 を提供してくれるようになった。このインストーラは最初に iLife '08 がインストールされているかどうかをチェックするので、これはさらに古いバージョンの iMovie を持っている人への無料の贈り物となる訳ではない。iMovie HD 6 のダウンロードサイズは 154.6 MB だ。

一方、iDVD '08 は比較的少数の変更しか受けていない。主にパフォーマンスの向上、プロ級品質のエンコーディング、それに 10 個の新しいアニメーションテーマなどだ。

iWeb '08 -- Apple の手軽なウェブページ作成用ソフトウェア、iMovie '08 では、ページの中にウィジェットを埋め込むサポートが追加された。YouTube ビデオがどんなウェブページにも埋め込めるのと同様、いろいろなウィジェットが埋め込めるようになったのだ。だから、自分のウェブページに Google Map を加えるのも簡単だし、さらにはほとんどすべての HTML スニペットが追加できるようになった。自分のサイトでちょっとお金を儲けたいと思えば、直接 iWeb から登録して Google AdSense 経由の広告を組み込むことも簡単にできる。また、iWeb '08 にはパーソナルドメインのサポートも加わり、メディアインデックスページも提供され、テーマの変更もできるようになった。

GarageBand '08 -- iLife における Apple のこの音楽編集コンポーネントで、目玉となる新機能は Magic GarageBand だ。言わば、「仮想のバンド」で音楽を演奏する方法だ。まずジャンルを選び、仮想のステージにいくつかの楽器を置いて、それから楽器の一つを選んであなたはそれであらかじめロードされたトラックを演奏するのだ。(Guitar Hero が、ちょっぴり GarageBand にインパクトを与えたようだ。)

GarageBand '08 ではまた、マルチトラックのレコーディングや 24 ビットオーディオのサポートが加わり、新しい編曲機能を使えば曲の一部分(例えばコーラスなど)を定義してそれを簡単に曲の他の部分に置き直すこともできるようになった。ビジュアルイコライザーで、波形フォームの一部分をドラッグするだけで EQ バンドが変更できる。プロ用にデザインされたプリセットもいくつか用意されている。

.Mac がストレージと転送で増量 -- ほとんど付けたりのような言い方で、Jobs は .Macの現行の 1 GB というストレージ容量が「ちょっと小さ過ぎるかも」と述べた。今回、.Mac アカウントにはメールと iDisk 用に合わせて 10 GB というストレージ容量が付くようになった。iDisk とは、あなたが自分のフォルダに保存したもの、それに古いバージョン、新しいバージョンのいろいろな iLife ツールでアップロードして公開したコンテンツなど、すべてをカバーして包括した名前だ。年額 $99.95 もするのだから、今回増量された容量ならばずっと納得できるというものだろう。Family Pack オプションならば、マスターアカウント1個とサブアカウント4個が年額 $179.95 で提供される。

Jobs はまた、.Mac ユーザーには毎月 100 GB のデータ転送が許されると述べた。これは、許容量が公表すらされていなかった初期の時代に比べれば天と地ほどの差だし、従来の毎月 10 GB という制限に比べれば十倍の進歩となる。(2005-09-26 の記事“Apple が .Mac をアップデートし保存容量と機能を追加”を参照。)これで、たいていのウェブホストの提供するものに近いかそれ以上というレベルに到達した。

追加のストレージ容量と転送量も、それぞれ高いレベルとなった。年額 $49.95 または $99.95 を追加で支払うことで、合計のストレージ容量と転送量がそれぞれ 20 GB と 200 GB または 30 GB と 300 GB ということになる。

基本価格は他の各国でもそれぞれ設定されている。カナダでは CAN$139、ユーロ圏各国では 99 ユーロ、英国では 68.99 ポンド、ユーロ圏以外のヨーロッパ各国およびアフリカでは 81.82 ユーロなどとなっている。リストされていない国では U.S. 価格が適用される。アップグレード価格もそれぞれ設定されている。[訳注: 日本では個人年額 9,800 円、ファミリーパック 18,800 円、10 GB 分の追加が年額 6,000 円となっているようです。]

Apple は相当の収入を得ている。Apple の発表によれば .Mac には 170 万人の購読者がいるとのことだ。これを換算すると、小売キットやバンドル販売などの値引きを考慮し、容量アップグレードやファミリーパックなどの分を加えれば、合計して毎年 1 億 5 千万ドルあたりというのが妥当な推測だろう。容量アップグレードをする人数は今後減ってゆくと思われる。実際年額 $50 や $100 を払わなくとも何も失うものはないという人が多いだろうからだ。

ストレージ、運用、およびデータ転送のコストがいずれも減少しつつある現在、Apple が当面の競争相手たちに追い付きつつあるのは素晴らしいことだ。一般的な購読者たちが使うと思われるサービスを基準に考えても .Mac がなかなかお買得と思えたのは、きっと今回が初めてだろう。もはや、同期やメディアなどの都合で Mac プラットフォームと結び付いている私たちにとって、これはやむを得ない購入だなどと諦める必要はないのだ。

AOL、Google、Microsoft、Yahoo などの会社をはじめとして、広告でサポートされたウェブサービスの方がずっと多く使われる状況となっているにもかかわらず、Apple が購読モデルを続けることにしたのは興味深い。それら四社はいずれもサービスの重点を電子メールに置いており、メディアの共有に関してはごく限定された扱いに止まるか、あるいはまったくサポートしないというところもある。例えば Yahoo の Flickr Pro サービスを例にとってみれば、年額 $24.95 で無制限の写真アップロードと無制限の写真閲覧ができ、一方無料の Flickr アカウントでは毎月 100 MB 以内というアップロードの制限がある。

注意しなければならないのは、もしもあなたが .Mac 環境設定パネルで iDisk 同期をオンにしているならば、今後それがあなたのハードディスクで 10 GB の容量を占めることになるということだ。空き容量が比較的少ない Mac、特にハードディスク容量の少ないラップトップ機ではこれが問題になるかもしれない。これを避ける簡単な方法は、iDisk 同期をオフにすることだ。


Google、各サービスの有料ストレージ増量を提供

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

数年前、Google は Gmail のベータ版をスタートさせて 1 GB のメールストレージ容量を提供することで、ウェブメールのストレージ容量競争に火を着けた。(ちなみにこのサービスはいまだにベータ版だ。)かなりの時間を要したものの、他の各社のサービス、例えば Yahoo! Mail、Microsoft Hotmail、さらには Apple の .Mac でさえ、次第にこれに追い付いてきた。こうした各社のサービスは、一般的に 1 GB から 10 GB 程度の基本ストレージ容量を選択肢として提供している。

けれどもいったんあなたが Google の提供する容量(現在は Gmail 用として 2.887 GB(ただしこれは頻繁に増大しつつある)と、Picasa フォトサービス用として 1 GB が提供される)を超えるものを必要とした途端、あなたの運は消滅する運命となる。Google がその各種オンラインサービスを拡張しつつあるに伴って、この検索の巨大企業が設定した上限を超えた必要に迫られている人たちにとっての状況は困難の一途を辿るようになってきていた。

ところがこの会社は最近になって、ユーザーたちがより大きなストレージ容量を購入して、それを同社の提供するさまざまのサービスで共有して使えるようにすると発表した。まず手始めにこの共有ストレージは Picasa のギャラリーと Gmail で使えるが、今後次第に他の製品でも使えるようにする予定だ、と Google の製品ブログに記載されている。

価格は、まず 6 GB のストレージが年額 $20 となる。最大の設定は 200 GB のストレージで年額 $500 だ。Apple は現在 .Mac で 10 GB のストレージを年額 $99.95 で提供しているが、最大は 30 GB のストレージで年額 $200 だ。ただし .Mac にはファイルストレージの他にウェブサイト、電子メール、同期、その他各種のサービスが含まれている。AOL 系列会社の Xdrive は、無料で 5 GB のファイルストレージを提供し、年額 $120(月額 $9.95)で 50 GB を提供している。


TidBITS Talk/13-Aug-07 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

VMware、Fusion 1.0 のリリースを発表 -- Parallels Desktop ディスクイメージを VMware Fusion で働くように変換するにはどんな方法があるのか?(4 メッセージ)

偽 Steve Jobs の素顔がついに明らかに -- もはや匿名ではなくなったこの偽 Steve Jobs は、実際「本物の」Steve Jobs の人柄を伝えていたのだろうか? そんなことは、どっちだっていいんじゃないか? (4_メッセージ)

暴走 iDisk -- .Mac における最近の変更のせいで、自分のマシンに同期された .Mac のコピーが膨大なサイズになってしまうことを、Mark Anbinder が発見した。(4-メッセージ)

新 iLife '08 -- iMovie '08 は PowerPC G5 ベースの Mac かそれ以上高速なものを必要とするため、G4 Mac は取り残されてしまった。一体全体 Apple は、こんなにも早くハードウェアを見捨ててしまうというのか? (15 メッセージ)

Apple、新しいアルミ iMac をリリース、Mac mini を更新 -- 新しいワイヤレスのアルミニウム製 Apple キーボードは、ワイヤードのものよりサイズが小さい。これは、ワイヤレスキーボードを使う人たちが主にそれを膝の上に乗せて使うため、フルサイズのキーボードでは使い勝手が悪いからということなのだろう。 (6 メッセージ)

Jobs のプレゼンに使われるテクノロジーは? -- Steve Jobs は、プレゼンテーションの際に何を使っているのか? もちろんその答は Keynote だが、必ずしもそれは一般大衆に提供されているのと同じバージョンのものとは限らない。 (4=メッセージ)

Eudora/Penelope -- Mozilla Thunderbird が新しい Eudora の基盤となることになっているが、Thunderbird が Mozilla から巣立ちしようとしている今、その未来に不安の影はないのだろうか?(8 メッセージ)

個人ドメインを .Mac メールで? -- 最新のものに生まれ変わった .Mac では、ウェブサイトにカスタムドメイン名が使えるようになったが、同じことが電子メールでもできるのだろうか? (4.メッセージ)

タッチスクリーンこそ iMac の未来か? -- 新しい iMac を巨大な iPhone と見立てるのなら、ひょっとして Apple はそこにタッチスクリーンのインターフェイスを盛り込もうと考えているのではないか? Steve Jobs はそのようなものが Apple の研究室には存在するかもしれないと匂わせたが、現在のところその概念はあまり有用なものとは思えない。 (7 メッセージ)


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