TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#897/24-Sep-07

今週号は TidBITS の主な部門をほとんどすべて網羅するものとなった。まず iPhone 関係のニュースとしては、Apple が英国とドイツで国際 iPhone 流通協定を結んだことを発表(フランスもこれに加わる予定だが、まだ Apple からの正式発表はない)し、AT&T が最近の iPhone 返金問題に関して一筋縄では行かないところを見せた。Glenn は Apple と Starbucks が五千万曲を無料で配付するというニュースを検討し、Adam は iPhoney をタップしてウェブサイトが iPhone 画面ではどう見えるか調べる。Mac 関係のニュースでは、Adam が Yugma を使って無料のウェブ会議を試し、音質の良いスピーチモジュール Infovox iVox による音声を楽しみ、それから New York Times 記事の有料購読が終了したことに触れる。一方 Glenn は旧型の Mac に 802.11n Wi-Fi を追加するためのさまざまなオプションを概観し、Simon Leeman は最新の iMac や MacBook Pro を“Santa Rosa”と呼ぶ風潮が、今もまだいろいろな文献に登場しているけれど、いかに間違ったことであるかを詳しく説明する。最後にもう一つ、私たちは Joe Kissell 著の電子ブックを3冊アップデートした。Apple Mail についての最新情報、Mail でスパムを止める方法、それに .Mac についてという内容だ。

記事:


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初期 iPhone 購入者を AT&T がはぐらかす

  文: Mark H. Anbinder <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Apple が 100 ドルの Apple Store 商品券を、当初は値がはっていたガジェットをすでに購入した人に対して提供したことで、多くの初期 iPhone 購入者が喜び、さらに今月の値下げから2週間以内に購入した人は、14 日間の価格保証制度によって 200 ドルの返金を受け取って歓喜した一方で、AT&T Wirelessストアで購入した iPhone ユーザが精算を試みると、はぐらかされたという話を耳にした。(返金の詳細については 2007-09-14 の "iPhone 100 ドル商品券の手続きが公開される" 参照。)

Apple のウェブサイトに、iPhone を AT&T で購入した人は購入した AT&T ストアに行くようにと書かれているのを見た1人の購入者が、先週ストアに行ったところ、店が言うには、会社の方針を確認してから電話をするということだった。この購入者が、約束の電話がないので、今日ストアに戻ったところ、彼が iPhone を購入してからすでに 14 日以上たってしまったので、どうすることもできないということだった。

Apple の 100 ドルの商品券には、細かな文字で、AT&T Wireless ストアでiPhone を購入して価格保証を受けられない人は、請求をすることができると書かれている。だから、AT&T の販売代理店が、自分たちが何をしているか見当がついていないとしても、彼らから iPhone を購入した人は見捨てられたわけではないかもしれない。今回の場合、AT&T のカスタマーサービスがついに、この購入者の携帯電話サービスアカウントに対して 100 ドルの商品券を適用することに合意し、残りの 100 ドルについては Apple に訴えるように伝えた。

New Zealand 夏時間ルール対応の修正

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Mac OS X の色々なバージョンでの世界的な夏時間ルール変更への対応に関する騒動 (我々の最初の記事については Andrew Laurence の "DDaylight Saving Time が時代遅れに噛み付く?" (2007-01-29) を参照) にも拘らず、Apple は New Zealand での新ルールを Mac OS X 10.4 Tiger の最も最新バージョンですらミスってしまった様である。New Zealand での新ルールは 30-Sep-07 の 2 AM に発効するので、もし New Zealand にいて Mac にこの新しいルールを守らせたいのであれば Glenn Anderson の無料の New Zealand 2007 Daylight Savings Time Update for Mac OS X (33K ダウンロード) をダウンロードするのが良い。これは、Mac OS X 10.4.10 では間違いなく働く、10.4.9 でも多分大丈夫、10.4.8 やそれ以前ではまず働かない。Mac の世界では Eudora Internet Mail Server (EIMS) の著作者としてよく知られている Glenn は、彼自身の Mac OS X 10.3.9 に対する夏時間ユーティリティと、Daylight Savings Editor for Mac OS 9 をリリースしたばかりである。両方とも同じページから入手できる。


iPhoney いんちきブラウザ

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

私は iPhone を持っていない。iPhone と同様の基本的ウェブブラウジング機能を持った iPod touch も持ってはいない。しかしそれでも、私は私たちのウェブサイトが iPhone でどのように表示されるのか見たいと思う明白な理由がある。これは私一人ではないはずだ。iPhone で少なくとも読み取れるようにサイトを構築しなければならない、にもかかわらず彼らの管理者が iPhone や iPod touch を買い与えてはくれないウェブデザイナが数多くいるはずだ。

Marketcircle によって立ち上げられた新しいオープンソースブラウザの iPhoneyのおかげで、あなたも iPhone と同じ 320x480 ピクセルの輝きでウェブをブラウジングできるのだ。Window メニューの Rotate iPhone を選べばディスプレイを回転させることができる。また、iPhoney アプリケーションメニューからは Web Kit user agent、iPhone user agent、custom user agent を選ぶことができる(あなたのサイトが iPhoneに特化したスタイルやコンテンツを表示できるようにするためにはいずれかが必要となるかもしれない)。他には、zoom in と zoom out 、新規 URL 入力、go back と forward、そして現在ページのソース表示が可能だ。至ってシンプルだが、サイトがどのように見えるかをチェックするために iPhoney は十分な方法と思われる。

質問される前に言おう。「いいえ、これは iPhone シミュレータでは _ありません_。」これはたまたま iPhone のように見えるウェブブラウザに過ぎないのだ。


Starbucks、iTunes で五千万曲を無料配付

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

アメリカ合衆国全域のコーヒーショップの中で iTunes Wi-Fi Music Store が使えるようにしようという Apple 社と Starbucks 社の協定の一環として、コーヒー店業界のこの巨人は、2007 年 10 月 2 日から 2007 年 11 月 7 日までの期間中、 毎日百五十万枚ずつの iTunes ソングカードを無料で配るという。これって、何か裏があるのか? これらの楽曲はすべて、Paul McCartney や Joni Mitchell など、Starbucks を通じて直接アルバムを販売することになった 37 人のアーティストの作品からピックアップされたものだ。同社の発表によれば、最初に無料配付される楽曲は Bob Dylan の“Joker Man”だという。

2007 年 9 月 5 日の iPod touch のリリースに際し、その同じ日に Apple と Starbucks は iTunes Wi-Fi Music Store を巡っての新しいパートナー提携を発表した。(2007-09-10 の記事“Apple、iPod touch と Wi-Fi Music Store および新しい iPod を発表”参照。)2007 年 10 月 2 日以降、iPhone、iPod touch、およびすべての iTunes ユーザーは、Starbucks のホットスポットネットワーク(これは AT&T の競争相手である T-Mobile が運営している)を使って、最新の楽曲を Starbucks 店内で聴いたり iTunes Wi-Fi Music Store を使ったりすることができるようになる。(このネットワークを使ってフルのインターネットアクセスを得るには別途使用料または有料購読が必要だ。)

Starbucks はまた「デジタルリリースカード」の販売も始めた。これを購入すれば iTunes Store からフルのアルバムがダウンロードでき、ボーナス素材も付いてくる。Apple の iPod 発表の席で演奏をした KT Tunstall と、それに Eddie Vedder が、2つのアルバムで最初の登場を飾る。$14.99 のアルバム“Drastic Fantastic”と、$11.99 の“Into the Wild”サウンドトラックだ。

そして、さらなる相乗効果を狙ったものとして、おお何たることか、Starbucks は特別バージョンのプリペイドカードの販売を始めた。これは、実際に現金が(そしてお釣りが)手から手へと渡るのを避けることによって、チップの額を抑えつつ店の収益を促進することができるのだそうだ。「特別限定版カード」と称するものには、ウェブ経由で登録すれば iTunes から2曲分の無料ダウンロードが付くという。ただし、今のところ発表されている内容からはこれが特定の楽曲を対象にしたものか何にでも使えるものかはっきりしない。この調子で行けば、いずれ私たちはお気に入りのバリスタに楽曲ダウンロードでチップを払えるようになるのかもしれない。


Infovox iVox で Mac の語り口が明瞭に

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS はずっと以前からスピーチ(音声合成)機能を誇ってきた。つまり、コンピュータが声を出してテキストを読み上げる機能だ。けれど正直に言って、その音声の品質は、競合相手に比べれば良いかもしれないが、やはり依然として酷いものだ。他に選択肢があれば、Victoria のロボットみたいなイントネーションを一日中聞いている人はいないだろう。ただ、Jeff Carlson が Fred とインタビューした記事は面白かった。(2003-04-01 の記事“Apple、iPod touch と Wi-Fi Music Store および新しい iPod を発表”参照。)(Leopard になれば、現行の内蔵音声よりもずっと良くなった新しい音声、Alex が含まれると Apple は約束している。)

でも、今日すぐに試せて、世界中のスピーチのパターンを反映した、以前より遥かに優れた語りを聞きたいというなら、Infovox iVox に含まれる各種の音声のスピーチ品質を、ぜひとも試してみて頂きたい。もちろんこれらとて完璧ではない。本物の人間がしゃべっていると聞き間違うことはないだろう。でも、Apple が Tiger に付属させている音声に比べれば大きな進歩だ。Acapela Group がデザインし、AssistiveWare が販売している Infovox iVox は、男性および女性の幅広い種類の音声を提供しており、対応する言語としてはアメリカ英語、イギリス英語、フランス語、カナダフランス語、スペイン語、アメリカスペイン語、ポルトガル語、ブラジルポルトガル語、ドイツ語、オランダ語、フラマン語、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語、フィンランド語がある。

私が特に好きなのは高品質のイギリス英語音声だ。きっとほんの少しのイギリス訛りがちょっぴり外国風の印象を私の耳に与えてくれるからだろう。そのために多少発音の間違いやためらいが聞こえても許してしまう、というか、それがその訛りなんだろうと無意識に思ってしまうのだ。サポートされている他のいろいろな国語に私は精通している訳ではないので言っていることの意味はきちんと聞き取れないが、それだからこそより美しく聞こえるものもある。

AssistiveWare のウェブサイトで サンプルを聴くことができる 。また、ダウンロードしてあなたの Mac で期間限定の試用ができる音声 もある。ただし各種音声パックはダウンロードサイズが大きい(それぞれ 200 から 600 MB)ので注意のこと。これらの音声は、Apple の Speech Manager と互換なアプリケーションならば何とでも動作する。Mac OS X 10.3.9 が最低限必要だが、Mac OS X 10.4 が推奨されている。インストーラを走らせた後で、システム環境設定の Speech パネルでいろいろな音声を選ぶことができる。あなた自身のテキストで試してみたければ、Edit メニューの Speech サブメニューにいくつかコントロールがある。(普段お使いのアプリケーションに Speech メニューがなければいつでも TextEdit が使える。)2007 年 10 月 31 日までの間は、アメリカ英語とイギリス英語の音声が $99 (通常価格はそれぞれ $149 と $219)、スカンジナビア以外の言語がそれぞれ $149 (通常価格は $219)、スカンジナビアの各言語は $269 (通常価格は $359、ただし無料でスウェーデン人シェフが付いてくる... いや、これは冗談だ。)

以前から Mac の text-to-speech(音声合成)機能に依存して使っている人がこの Infovox iVox 音声を素晴らしいと思うであろうことは言うまでもない(AssistiveWare では盲目の翻訳家たちがこの製品を使っている様子を示したビデオを提供している)が、私が思うに、より高品質の音声がこんな風に出てくることで、これまでこの機能のことを考えもしていなかった人たちももっと普通に text-to-speech を使うようになるのではないだろうか。


Yugma、無料のウェブ会議を提供

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.5 Leopard では、スクリーン共有が提供されることになっている。でも、それまでのあと数カ月の間、あるいは他のプラットフォームの人たちとスクリーンを共有する必要がある場合には、ぜひYugma を試してみるとよい。Yugma では、好きなウェブブラウザを使って WebEx 風のスクリーン共有が提供できる。私はかなり前にこれを見つけ、SpotDJ のデモを入手した時に一度使ってみて成功したことがある。けれどもその後もう一度試した時は、Jeff Carlson がロードに失敗してしまった。基本的な機能だけならば最大 10 名までのユーザーとの間で無料(ただし広告付き)で使えて、デスクトップ共有、無料の電話会議、注釈およびホワイトボードツール、誰が顔を見せているかを変更できる機能、それに公開および非公開のチャット、などが利用できる。料金を払えば同時に使えるユーザーの人数を増やすことができ、また他の参加者たちとマウスやキーボードのコントロールを共有、セッションのスケジュール、100 MB の共有ファイル容量、ウェブセッションの録画と再生、それからホスト付きのウェブ放送(以上の機能はすべて無料アカウントでも 15 日間は利用できる)などの機能が使えるようになる。正直言って、私としては Leopard のスクリーン共有で私の目的には十分使えると期待しているが、もしそうでないならば、私も Yugma を使ってみようと思う。

そうそう、このへんてこな響きの名前は何なんだとお思いのあなたのために付け加えると、Yugma というのはサンスクリット語(インドの古典言語の一つ)で「一つにまとまって協調している状態」という意味だ。


iPhone、英国とドイツでの立ち上げ準備完了、但しデータプランは曖昧模糊

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Apple は 18-Sep-07 に初の米国以外のパートナーを発表した。それは英国の携帯キャリアである O2 である。O2 は 09-Nov-07 から iPhone を VAT (付加価値税) 込みで £269 ($542)で発売を開始 する。同じモデルの米国での値段は $399、おおよそ £200 である。7,500 に及ぶ Wi-Fi ホットスポットでのサービスも月極めプランに含まれる;AT&T も 8,000 を超える Wi-Fi ホットスポット - 殆どが McDonald's だが - でのアクセスを再販しているが、iPhone を含んだどの携帯ユーザーに対しても月極めプランに織り込んだものは提供していない。

O2 からの iPhone に対する月極めのサービス料金は毎月 £35 ($70), £45 ($90), そして £55 ($110) であり、それぞれ 18ヶ月の契約が必要である。その内容は AT&T が提供しているプランとは多少異なっていて、三つのプランともに "無制限の" - 以下に私が説明する星印付の - 米国と同じ EDGE 経由のデータサービスと "無制限の" Wi-Fi アクセスとが含まれている。Wi-Fi サービスは The Cloud 経由で提供される。The Cloud は英国におけるホットスポット設置会社で現在数々の市の中心街で構築を進めている。その一つに City of London の有名な "Square Mile" 金融街でのサービスがある。The Cloud は数多くある世界的な集合ホットスポットネットワークの一部である。

£35 プランには 200 分の通話と 200 SMS メッセージが含まれる;£45 では 600 分の通話と 500 SMS メッセージが買える;£55 だと 1,200 分の通話と 500 SMS メッセージとなる。Steve Jobs は 記者発表の場で、値段が高くなったのは VAT のせいであると言った。しかしながら、英国の VAT は高々 £35 (17.5%) である。米国のセールスタックスだとまず 9% は超えない。いずれにしてもこれだけでは勘定は合わない。VAT は製造の各工程で課せられるわけではないとされていて、一方米国では、製品は原材料から完成品に至る過程でそれぞれに何らかの税金が課せられると言う違いはあるが、それにしても平均的なセールスタックスを含んだ米国での値段とこの VAT 込みの値段とでこんなに差が出るのはおかしいと思う。

ドイツとフランスも加わる -- その週の後半になって Apple はそのヨーロッパでのパートナーのリストに ドイツの T-Mobile を加えた;同社は Deutsche Telekom の一事業部門で、T-Mobile USA も Deutsche Telekom が所有している。T-Mobile はそのデータプランの一部として同社が保有する 8,600 のドイツの Wi-Fi ホットスポットを含み、その他に 2007年末までには完成する予定の全国規模の EDGE 利用も含む。発売日は同じ 09-Nov-07 で、値段は VAT 込みで 399 ユーロ ($562) である。月極めプランの料金はまだ発表されていない。 同社はそのプレスリリースで 20,000 もの Wi-Fi ホットスポットの世界的ネットワークを有していると豪語しているが、米国やヨーロッパでの代表的なサービスプランには国境越えのローミングは含まれていないことについては言及していない。

France Telecom のトップは今週になって 同社の Orange 携帯部門が iPhone を扱うであろうと言っているが、Apple はその詳細を確認していないし、また値段も発表していない。

星印が無制限の隠れた事実を示唆 -- O2 の料金表にあるデータプランに付いている星印について述べたいと思う:これは O2 の "正当使用規定" を指していて、それが具体的に何を意味するかについてはプレスの場で同社のトップは、一日当たり 1,400 Web ページビュー相当と定義していた。私はこの "無制限な正当使用" というジョージ・オーウェル風の二枚舌の表現がいたく気に入っている。ストレートに言えば "有限使用" のことなのだから、 こんな風にあいまいなごまかしの表現で済ませるべきではない。

もっと調べようとしても、O2 Web サイトには彼らの規定の正式な定義は私には見つけられない。Blackberry の "正当使用" プランは月当たりたったの 75 MB である。特別の "1024" データプランだと月当たり 1 GB のデータ転送となる。つまり O2 は営業表現を使っているだけではなく、消費者がインフォームド・チョイスを行うに十分な情報を提供しようとしていない。英国とヨーロッパの規制者はこのような問題に関しては米国よりももっと高圧的でありがちであるし、それに英国には自己規制の Advertising Standards Authorityがあり、彼らはメンバーが誤解を招きやすい表現を使った場合はそれにお灸をすえるのは恐れない。

ヨーロッパのキャリアが、米国の同業者よりもはるかに低いデータ制限を課すのはよく見られる事である。Verizon Wireless は 月当たり 5 GB を "無制限" とみなす様である;私はこのサービスを従量制ではないが制限があると呼んでいる、つまりバイト当りで課金されるわけではないが上限があると言うことである。T-Mobile USA は本当に無制限の EDGE プランを提供している様に見える;EDGE を使い過ぎたとしてそのサービスをキャンセルされたという人の話を聞いたことがない。

私にとっては、毎月の使用に関するこのあいまいさがこの立ち上げをを台無しにしていると見える。Apple は、その製品やサービスに関する制限を公開すること、或いはその業界の他社が彼らの課した制限がなぜ必要だったかを説明することに関し、昔はよくやる会社の一つであった。そのような状態であれば、彼らの提供するもの或いは説明を、受け入れるか或いは拒絶するかの選択は自由に出来るのである。今回の場合、Apple は、キャリア間でははっきり見えているが - 彼らにはいつあなたを切り離すべきか良く見えている - 外側の人間には境目のはっきりしないぼんやりとしか見えない数字でごまかすという電話業界の常套手段に乗ってしまったのである。


New York Times、古い記事を開放

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

少し前に「New York Times にもパーマリンクを」(2007-02-19)と「New York Times へのリンクをより簡単に」(2007-02-26)で、 New York Times, の記事へのパーマリンクを作成する方法を紹介した。有料の TimesSelect サービスに登録する必要があるような記事への恒久的なアクセスを提供する正当な方法があったからだ。だが、そのような回りくどい方法はもう必要なくなった。New York Times が、2007 年 9 月 19 日の真夜中をもって、ウェブサイトの一部に対する アクセスに課金するのをやめたからだ。一部の記事を除き(どの記事なのかは明らかにされていない)、1923 年から 1986 年までのアーカイブが、無料で利用できるようになり、簡単にリンクできるようになった。

TimeSelect サービスは、2年前に始まったのだが、1年あたり 49.95 ドルか、1月あたり 7.95 ドルで、同紙のアーカイブの古い記事や、23 人の論説コラムニストの作品にアクセスできる。TimesSelect には 227,000 人の有料登録者がおり、およそ 1000 万ドルの収入を生み出している。しかし同社は、伝えられるところでは、オンライン広告スペースの拡大に、より大きなチャンスがあると感じたようだ。同社のサイトには毎月 1300 万人のユニークビジターがあり、その多くは Google や Yahoo といった検索エンジンからやってくるが、当の記事がインデックスされた後で TimesSelect に移動していたために、訪問者が検索結果を見ることができないということがしばしばある。ウェブのトラフィックが増えれば、それによって得られる広告収入は、TimesSelect の購読費を失うことによる損失を上回ると信じられている。TimesSelect に対して先払いをした人は、 購読費に比例した割合で返金を受けられる

古い記事へのアクセスに課金するというのは、やりにくいビジネスだ。今回の変更を伝える記事によれば、Financial Times は一部の記事について課金しているが、Los Angeles Times は 2005 年にコンテンツへの課金を実験的に試してすぐに取りやめている。そのようなやり方が成功するには、出版物に十分多くの購読者がいて、十分多くの記事が、古くなったあとでも十分に興味深く、同時にほかのところから無料で手に入らないようなユニークなものでなければならない。米国の主要な新聞の中では、 Wall Street Journal だけがコンテンツへ課金するという方針を維持し続けており、ほぼ 100 万人の有料購読者と6500 万ドルの収入を得ている。人気のある料理雑誌 Cook's Illustrated はながいあいだアーカイブへのアクセスを制限しており、私たちに近いところでは、MacFixItトラブルシューティングサイトが古い記事へのアクセスをMacFixIt Pro 登録者だけに制限している。CNET が MacFixIt の親会社であるTechTracker を買収したので、この方針が続くかどうか興味深いところだ。

そして TidBITS はと言えば、私たちは読者がコンテンツに対して支払いをするという概念に反対していないが、アーカイブへのアクセスを制限できるというほど、私たちに十分な数の読者があるとか、私たちのコンテンツが十分にユニークであるとかという幻想は抱いていない。そして、私たちは New York Times の膨大なアーカイブには太刀打ちできないとはいえ、Macintosh の世界では、私たちの古い記事というのは過去 17 年間の首尾一貫した記録としては唯一のものだ。ほかの価値ある出版物は、特に顕著なのは MacUser とMacWeek だが、すでに衰えており、アーカイブも消えてしまっている。だから、Macintosh の古い時代についてオンラインで調べたいというなら、どうぞご自由に私たちのアーカイブを探索して、お望みとあらば私たちの一番はじめの号.から読み始めていただきたい。(もちろん、困ったこととしては、私の初期の文章を読み直すというのは非常に気恥ずかしいのだが、それぐらいならどうにでもなる。ただ、次の Macworld で私に会ったときに、大声で笑うのだけはご遠慮願いたい。)


QuickerTek、Mac 用に安価な Wi-Fi オプションを拡張

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

最近 QuickerTek から、いくつかの新しい Wi-Fi アダプタが、従来の同社の価格設定よりも、また他の会社が Apple の機器をワイヤレスで置き換えるものとして出している製品よりも、遥かに安い価格でリリースされた。これらのアダプタには 802.11g と 802.11n の双方のアダプタがあり、同社の既存のラインアップを補完あるいはアップデートするものとなる。

Apple は 2003 年以来 802.11g 対応の AirPort Extreme をオプションまたは内蔵のアダプタカード、または内蔵のインターフェイスとしてすべての Mac に提供してきているが、最近では 2006 年の 10 月以降に出荷された Intel Core 2 Duo チップを持つ Mac においては 802.11n にアップグレードしているものの、多くの Mac がそのサポートできる最高の速度を享受できないまま取り残されてしまっている。

現在 AirPort Extreme Card の価格はたったの $49 だが、これは現代的な Wi-Fi セキュリティのしっかりしたサポートを伴ってリリースされた最初のものである Mac OS X 10.3 を少なくともサポートするコンピュータのすべてでインストールできる訳ではない。そこで、USB の付いた Mac で Mac OS X 10.3 が走っていれば、QuickerTek の nNano USB(最新の 802.11n 規格をサポートした $59.95 の USB ドングル)か、または 802.11g ベースの Nano USB(こちらは $49.95)のどちらかが必ず使える。この nNano の方は、802.11n を装備していない Mac で 802.11n を使うためのものとしては他を圧倒して最も安価な選択肢だ。同社は $149.95 の USB アダプタ nQuicky with USB も提供しているが、この値札が付いている理由はそのハイパワーの無線通信と外部アンテナにある。こちらは Mac OS X 10.3.9 かそれ以降を必要とする。

QuickerTek はまた、その nQuicky PCI Upgrade Kitに新たに PCI カード版もリリースした。価格も(従来の価格から $50 下がって)$99.95 となった。この PCI カードは PowerPC G3、G4、および G5 チップを含む Power Mac で Mac OS X 10.3.9 かそれ以降の走るもので動作するが、ただ DDR2 メモリチップをサポートした Power Mac G5 モデルには対応していない。(この G5 モデルを安価な方の USB オプションで使うことはできるが、nQuicky に付属するような電波の到達範囲を拡張する外部アンテナはない。)

nQuicky PCMCIA/CardBus Upgrade Kit もまた価格が下がり、従来の $149.95 から $64.95 になった。これは CardBus スロットを持つ PowerBook で Mac OS X 10.3.9 かそれ以降の走るもので動作する。Mac OS X 10.3 かそれ以降が走るが Wi-Fi が内蔵されていないか、あるいは初代の 802.11b AirPort カードしか持っていない一部の PowerBook ユーザーたちは、ほんの $49.95 だけ払ってb/g Quicky CardBus を使えば CardBus スロット経由で 802.11g へのアップグレードができる。

QuickerTek は 802.11n のために 2.4 GHz バンドだけしかサポートしていない。こちらが最も一般に使われている方の周波数帯だ。802.11b と 802.11g は 2.4 GHz バンドしか使わない。一方 802.11a はより高周波であまり混んでいない 5 GHz バンドのみを使う。802.11n ではどちらのバンドも使えるが、802.11n 機器のメーカーが独自にこれら2つのバンドのうち片方または両方を一つの機器でサポートするように選ぶことができる。

Apple は 2.4 GHz と 5 GHz の双方ともを同社の 802.11n AirPort Extreme アダプタおよびベースステーションの各モデルでサポートすることを選んだ。5 GHz では、類似のアダプタ間で最高 90 Mbps の速度が実現できるし、この 8 月上旬に発売された最新の gigabit AirPort Extreme ベースステーション(2007-08-13 の記事“AirPort Base Station ギガビットイーサ対応にアップグレード”を参照)を使ったワイヤレスからワイヤードへの接続では、最高 140 Mbps が得られる。2.4 GHz においても、やはり速度は 20 Mbps 台半ばの 802.11g に比べて向上しており、状況によって 30 Mbps から 70 Mbps が得られる。

802.11n の使い方についてもっと詳しいことは、私の電子ブック“Take Control of Your 802.11n AirPort Extreme Network,”でお読みいただきたい。新しくなった gigabit AirPort Extreme ベースステーションについてカバーするため、この電子ブックは近いうちに新たな改訂版(現在リリースされている本をお持ちの方には無料)になる予定だ。


OWC、旧型 Mac 用に 802.11n アダプタを発売

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

QuickerTek から最近いくつかの 802.11g および 802.11n のアドオンが出た(2007-08-30 の記事“QuickerTek、Mac 用に安価な Wi-Fi オプションを拡張”参照)のに続いて、Other World Computing からも、802.11n チップセットを内蔵していない Mac に 802.11n をもたらすことのできるアダプタが3つ、いずれも $67.99 で登場した。アダプタは USB ドングル、PCI/PCI-X カード、それに CardBus カードの3種類だ。これら3つはいずれも Mac OS X 10.3 かそれ以降、あるいは Windows XP、2000 以降(Vista も含む)を必要とする。

USB ドングル版は Mac OS X 10.3 かそれ以降の走るすべての PowerPC G3/G4/G5 または Intel ベースの Mac で動作する。PCI/PCI-X カードは適切な装備の付いた Power Mac モデルのみで、また CardBus カードは PowerBook のみで、それぞれ動作する。

802.11n 規格は従来の 802.11g に比べて電波の到達領域と面積がずっと大きくなっている。Apple は 2006 年末ごろ以降の大多数の機種に 802.11n を加えてきており、2007 年 2 月には新しいベースステーションに新規格での動作を可能にするソフトウェアを提供した。けれども、現行の機種のうちいくつか、そして旧型機種のすべての Mac については、802.11b または 802.11g のアダプタしか内蔵されないでいる。

Other World Computing や QuickerTek の 802.11n アダプタは 2.4 GHz の帯域でしか動作しない。この帯域は、既存の Wi-Fi ネットワークがひしめき、Bluetooth が跳ね回り、その他の使用形態もさまざまにある、比較的混雑した周波数帯の領域だ。Apple 製のアダプタは 2.4 GHz 帯に加えて 5 GHz 帯にも対応しているが、こちらの帯域は比較的ユーザー数も使用形態の種類も少なく、利用可能な周波数帯も 8 倍近く広い。

Other World のアダプタが Apple のものとも QuickerTek のものとも違っているのは、2.4 GHz 帯の中でいわゆるワイドチャンネルを使うことができる点だ。ワイドチャンネルというのはいくらか物議を醸している。通常の Wi-Fi チャンネルはおよそ 20 MHz 程度の帯域幅を使う。802.11g ではこれで生のデータレートが 54 Mbps に達することができ、802.11n の場合はおよそ 150 Mbps となる。現実的なスループットとしては、理想的な場合でそれぞれ 25 Mbps と 70 Mbps ということになる。

これに対してワイドチャンネルは 40 MHz、つまり2つのチャンネル分の帯域幅を使う。従って生のデータレートは倍の 300 Mbps となり、私のテストでは 5 GHz 帯で最大 140 Mbps のスループットに達した。Apple はワイドチャンネルの使用を 5 GHz 帯に限っていて、可能な 23 個のチャンネルのうち 8 個をサポートしている。(今後もっとチャンネルの選択肢が増えることを期待したい。)2.4 GHz 帯においては、チャンネルの割り当ての方式の結果として互いにオーバーラップしないチャンネルが 3 個しかないので、こちらでワイドチャンネルを使えば同じ場所で運営している他のネットワークの領分に踏み込んでしまう危険性が高まることになる。

802.11n 規格の最終策定が遅れている要因の一つは、802.11n が「悪しき隣人」と化してしまわないためのルール作りが今も続いているからだ。40 MHz 幅のチャンネルが使用中の場合、その広い帯域で他のネットワーク活動を感知すれば 802.11n は 20 MHz 幅のチャンネルに引き下がることになるはずだ。ただ、現実問題として、そのあたりの詳細はまだ議論がまとまっていない。

Other World の機器は、Apple の 802.11n 対応 AirPort Extreme ベースステーション(先月リリースされたばかりの gigabit Ethernet 対応最新版モデル、2007-08-13 の記事“AirPort Base Station ギガビットイーサ対応にアップグレード”参照)との間でも問題なく動作する。けれども、2.4 GHz 帯でワイドチャンネルを提供する別のベースステーションとの間で使いでもしない限り、最高可能速度に達することはできない。


Santa Rosa で混乱: 名前の意味は?

  文: Simon C. Leemann <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iMac や MacBook Pro の一連の最新機種は、多くの人たちに“Santa Rosa”という名前で呼ばれている。 MacworldArs Technica のような出版物でさえ、これらの新しい iMac や MacBook Pro が「Santa Rosa チップセットを用いている」と述べている始末だ。

これは、今や幅広く浸透した概念となって、この“Santa Rosa”という通称で最新型の iMac や MacBook Pro をその前の機種と区別する習慣があっという間に広まってしまった。けれども残念なことに、これは完全に間違っている。しかも二つの意味で間違っているのだ。まず第一に、Santa Rosa というのはチップセットの名前ではなく、Intel がその最新のモバイルコンピューティング用プラットフォームに付けたコードネームだ。それから第二に、確かにこれらの新しい Mac は Intel が Santa Rosa プラットフォームで必要とするものと同じチップセットのうち一つを使っているものの、それらのチップセットはプラットフォームの一部を成しているのではない。

最新の Intel Centrino モバイルプラットフォーム が、Santa Rosa というコードネームを与えられた。Intel は、コンピュータが Santa Rosa プラットフォームに属し、従って Centrino バッジを冠することができるためには、どんなコンポーネントが必要なのかを詳しく発表している。

Santa Rosa のための主な要件は次の通りだ:

Santa Rosa とは、こうした Crestline チップセットを使ったプラットフォーム全体を意味する用語だ。Santa Rosa チップセットというものはない。これが、第一の間違いだ。

次に第二の間違いに目を向けよう。新しい iMac MacBook Pro に搭載する CPU として、Apple は Intel Core 2 Duo T7x00 シリーズ(ただし 2.8 GHz の iMac の場合は Core 2 Extreme X7900 Merom XE)を選んだ。

Apple の使っているチップセットは、実際 Intel Mobile PM965 Express チップセット ("Crestline") だ。これは 800 MT/s のフロントサイドバス(この単位は 毎秒メガトランスファーで、よく言われるメガヘルツよりも技術的に正確さの勝る単位だ)を持ち、DDR2-667 SDRAM をサポートし、Intel ICH8M サウスブリッジ(I/O コントローラハブとも言う)が付く。Crestline はまたフラッシュメモリのキャッシングテクノロジー NAND (コードネーム "Robson") もサポートしており、これは“Intel Turbo Memory”の名で宣伝されている。ただ、こちらは Santa Rosa プラットフォームの要件として明示的に挙げられたものではなく、Apple も(現時点では)これを宣伝に利用してはいない。

最後に、ワイヤレスのチップセットだ。iMac と MacBook Pro は双方とも 802.11 規格に従ったワイヤレスのコミュニケーションができ、双方ともこの規格の最新の draft-n 仕様をサポートしている。けれども Apple はなぜか Intel の "Kedron" ワイヤレスアダプタを使って _いない_。その代わりに、Apple は Atheros 製のチップセットをここに使っている。MacBook Pro にインストールされたワイヤレスカードに記されている FCC を見れば その製造元が分かるはず だが、このモジュールにはただ "Apple Computer, Inc." と書いてあるのみだ。これは、従来の世代の MacBook Pro で使われていたのと同じモジュールだ。MacBook Pro で Ubuntu Linux の下に lspci を走らせて手早くハードウェアスキャンをしてみても、やはり製造元は Atheros だと分かる。

iMac の方ではもっと明らかだ。新しい iMac で、System Profiler を開いて Network > AirPort Card に行けば、表示されるファームウェアのバージョン番号を見るだけでカードが Broadcom 製だと分かる。

だから、新しい iMac や MacBook Pro が Santa Rosa プラットフォームの要件と同じ CPU とチップセットを使っているという事実はあっても、これらは Santa Rosa プラットフォームの要件とは合致しない Wi-Fi アダプタを使っているのであって、従って当然これらは Santa Rosa プラットフォームのものとは呼べないことになる。これは、Apple がこれらの Mac で Centrino バッジを一切使っていないことの大きな理由でもあるだろう。そのお陰で、ありがたいことに私たちは新しく買った Mac からあの安っぽい Centrino ステッカーをせっせと剥がしたりする手間が省けるわけだ。

ならば、どうしてあれほど多くの情報源が間違った用語を使っているのだろうか? いったい誰が悪いのか? その責任の多くは Apple 自身にある。長年にわたって、Apple は新しい Mac にきちんと判別できる名前を与えることを怠ってきた。Power Mac 7100/80 といったような名前を使うことをせずに、今では彼らはこの iMac のことを単に 24 インチ iMac と呼ぶだけで済ませている。もちろん、サポート窓口で、あるいはハードウェアの修理の際などには、機種を区別できる名前がやはり必要になる。Apple は、サポートサイトにおいては機種同士の区別を付けるために名前に通称を追加して使っている。例えば最新の iMacsMacBook Pros の名前には "Mid 2007"(2007 年中期)を追加している。[編集者注: Apple はずっと以前からこの問題を抱えている。私がこのことを初めて取り上げたのは 8 年前の記事“Macintosh 製品名の衰退: 名は体を表す”(1999-06-14) だった。正直言って、その後一切何も改善されていないと思う。-Adam]

残念なことに、この "Mid 2007" という名前は Mac の中身と何の関係もない。そのため、多くの人たちが別の名前を考え出そうとすることになる。第一世代と第二世代の Intel ベース Mac を区別するためには、前者に "Core Duo"、後者に "Core 2 Duo" を使って呼び分けるのが一般的な習慣となった。けれども、Core 2 Duo プロセッサを持つ Mac が一つの世代だけで終わらないだろうということは早い段階から明らかだったので、この呼び分けの習慣はあまり意味を成していなかった。実際、チップセットの方の名前で呼ぶことが、まさに最初の世代の Core 2 Duo iMac と MacBook Pro をその後継者たちと区別する簡単な方法となっていて、さきほど詳しく述べたように新しいマシンでのチップセットの正しい名前は "Crestline" となる。

また、Santa Rosa とは何かについての混乱の責任の多くは Intel にもある。非常に初期の段階、Santa Rosa プラットフォームがまだ公式にリリースされるより以前に、Intel はテクノロジー関係のメディアを集めて同社が新しいチップセットと Core 2 Duo CPU を使った新しいモバイルプラットフォームを出すことになると発表し、その名前を "Santa Rosa" と呼んだ。その時点では、Intel はまだ Crestline や Kedron といった名前を全く口にしておらず、この Santa Rosa という名前を、新しいプラットフォームと同社の新しいモバイルチップセットの両方を指すために使っていた。その結果、新しい Centrino プラットフォームが公式に発足するよりも遥か以前から、まわりにいる観察者たちにとっては、"Santa Rosa" という名前の新しいチップセットが今後出てくるという知識が定着してしまった。後になって Intel は Santa Rosa プラットフォームの要件を正式に公表し、このプラットフォームがどのチップセットを必要とするのかを明確にしたのだが、結局その後も、"Santa Rosa" という名前だけはチップセットと結び付いて残ってしまったのだ。でも、 Apple が Mac を作る会社なのであって決して "Mac" という名前の会社ではない(これは初心者がよくやる間違いだ)と同様に、Crestline が Santa Rosa のチップセットの名前なのであって、Santa Rosa 自体はチップセットではない。

この状況は、Intel がだらしなかった結果生まれたのではない。むしろ、特定のコンポーネントの売り上げを底上げしたいという動機で Intel がプログラムの要件を作り出したことの結果と言うべきだろう。Intel が Centrino プラットフォームを作り出したのは、PC メーカー各社がそれぞれのデザインをすべて Intel 製コンポーネントで統一するように促すためだった。しかしながら、それらのコンポーネントに競争力に欠けるところがあるとなった時は(特に Intel の初代の Wi-Fi チップセットには問題があった)PC メーカー各社は Centrino ステッカーに固執するよりも、他社のコンポーネントの方を選んだ。そのことがかえって Santa Rosa のようなコードネームが Centrino プラットフォームの特定のインスタンス化において要件となるプロセッサとチップセットの組み合わせを意味する用語として使われることの要因ともなった。

そんなことはどっちだっていい、大して重要なことではないじゃないかと思われるだろうか? どっちにしても、訳の分からないコードネームの話ばかりだ、そうだろう? 確かに、一般のユーザーがこうしたコードネームを使う必要があることは普通ないだろうが、それでもやはりこれは重要だ。あなたが誰かのマシンにサポートを提供するとか、あるいは誰かの Mac をアップデートしたり修理したりしなければならなくなった時とかに、そのマシンがどの世代に属するものかを間違いなく明確に区別できるかどうかは決定的に重要なことだ。違った機種シリーズの Mac は、それらがどの世代に属するかを反映した名前で呼び分ける必要がある。そして、Apple がそこまでのレベルの明瞭さを提供できる一貫した名前付けの方針を打ち出さずに来ている以上、私たちは自分で良い名前を考え出さねばならない。でも、その名前が多くの人たちの利益となるようにと思うならば、やはり私たちは本来の道、正確で意味の通った名前を選ぶという道から外れてはいけない。だからこそ、Apple の Crestline Mac で Santa Rosa を混乱させるのは、直ちに止めることが重要なのだ。

[Simon C. Leemann は物理学の研究者で、長年にわたる熱心な Mac ユーザーでもある。]


Take Control ニュース: Apple Mail と .Mac を最大限に使いこなす

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の約束した Leopard のリリースが来月に迫り、私たちは机の上を片付け始めている。そこで、Take Control 電子ブックの忠実なる読者諸氏のために、1冊、2冊、いやいや何と _3冊の無料アップデート_ の用意が整った。

最初の2冊のアップデートは、Apple Mail を使う人すべてに向けられたものだ。Joe Kissell の電子ブック“Take Control of Apple Mail in Tiger”と“Take Control of Spam with Apple Mail”は、Tiger に付属の Mail の世界について、最新情報に合わせてそれぞれ完璧に更新された内容となった。これら2冊はいずれも前回のアップデートが2年前だったので、現在の読者の皆さんはぜひ忘れずに無料アップデートをダウンロードして、まずはそれぞれの本の What's New(最新版での変更点)リストに目を通してみて頂きたい。Apple Mail に関する Joe の熟練の知識に触れて下さった 4,500 人の人たちの中にもしもあなたが含まれていないのなら、どちらの本も1冊 $10 で、あるいは2冊まとめてならば(合計 246 ページになる)たった $15 で、購入して頂ける。(2冊まとめてのご購入は、どちらの本のウェブページにもある Buy Both ボタンを通じてどうぞ。)

パリに暮らし始めて、チーズとバゲットの生活にエネルギーをたっぷり貰っているのだろうか、Joe はさらにもう1冊、彼の“Take Control of .Mac”電子ブックにも無料アップデートを出してくれた。こちらは Apple が .Mac で数週間前に施した変更点に対応し、.Mac であなた自身のドメイン名を使うことに関する情報を追加、.Mac Mail の新しい Junk Mail フィルターの使い方を説明、その他いくつかの加筆個所がある。.Mac を使い始めたばかりの人、あるいは .Mac のさまざまの機能を最大限に使いこなしたい人のために書かれたこの 194 ページの電子ブックの価格は $15 だ。

(既にこれらの電子ブックのうちどれかの旧バージョンをお持ちの方は、お持ちの PDF の表紙にある Check for Updates をクリックすればその本の Check for Updates ウェブページが開くので、そこから無料のアップデートをダウンロードして頂ける。)


TidBITS Talk/24-Sep-07 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

QuickBooks は Windows ファイルを開けるか? -- Mac 用 QuickBooks の無料試用版をダウンロードしてみて、Matt Neuburg は Windows 用 QuickBooks で作ったファイルがこれでは開かないことに気付いた。でも、他の方法でデータを読み取ることはできる。(4 メッセージ)

Classic OS とその後の OS X バージョン -- PowerPC G4 ベースの Mac で、Mac OS X 10.5 Leopard はどんな風に走るか? どんな要素がそのパフォーマンスに絡んでくるのか? (9 メッセージ)

「煩わしい返金手続き」の理由 -- iPhone をハックして AT&T 以外のプロバイダで走るようにした人たちは、初期の iPhone 購入者に対して最近発表された $100 商品券の提供を受けられないかもしれない。 (4_メッセージ)

iPhoto 7 が甚だしい穴を埋める -- iPhoto 7 での変更点について書いた Adam の記事に関して、写真を並べ替えるための新しい Events メソッドについていくつか質問や観察結果が寄せられる。 (13 メッセージ)

iPhone と iPod touch、どっちにするか -- 二つの機器の機能を見比べながら、これらが Palm オーガナイザのメモ機能やカレンダー機能を置き換えられるだけのものになっているのかどうか考えてみる。 (1 メッセージ)

PowerBook G4 とコンボドライブ -- 外部ハードディスク(従来 PowerBook に内蔵されていたもの)を Mac にマウントさせようとして助言を必要としている読者がいる。 (3 メッセージ)

いったいなんで ipod touch と ipod-classic なの? -- iPod classic は「古い」iPod インターフェイスを使って巨大な保存容量を提供する。一方で iPod touch は比較的小さな保存容量を iPhone 風の新しいタッチスクリーンのインターフェイスを使って提供する。ならば、いったいどうしてそれらの良いところを組み合わせて、巨大なハードドライブを持つタッチスクリーンの iPod を作らないのか?(3_メッセージ)

iTunes 7.4.2 をダウンロード -- Mac と Windows 双方のユーザーが手軽に iTunes をダウンロードできるようにという Apple の試みの結果、かえって何人かの読者たちにとっては正しいバージョンをダウンロードするのが難しいことになってしまった。 (7 メッセージ)

LaunchBar -- ウェブサイトの URL を持ってくるための LaunchBar ショートカットは、ほとんど隠れた機能だが、とてもパワフルに使えることがある。ただ、それには実際に使ってみて慣れることが必要だ。(4-メッセージ)

Safari 3.0.3、RSS フィーダと記事の長さ -- RSS フィードを読む際に記事の長さ設定を Safari 3 に覚えさせようとしてうまく行かないという読者がいる。何か助言は?(1_メッセージ)

データセンターに電源供給 -- エネルギーを大量に必要とするデータセンターでより効率的に電源を供給するための一つのアイデアは(交流から直流への変換という一般的な方法でなく)直流電流の電源を使うことだが、この方法はあまり定着していない。なぜだろうか? (6 メッセージ)

Mail を使う -- Apple Mail を使って2つの POP 電子メールアカウントを使い分けるには、こうすればよい。 (2 メッセージ)

巨大ファイルをバックアップ -- iMovie、iPhoto、iTunes などで作ったファイルはますますサイズが大きくなる。これらの別データをバックアップするベストの方法とは何か? 個々のファイルのサイズが大きくなることで、何か違いが出てくるだろうか?(1-メッセージ)


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