TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#931/02-Jun-08

Apple が Mac OS X 10.5.3 をリリースした。さまざまの種類の問題を修正するとともに、数多くのセキュリティ上の脆弱性にも対処している。何が変わったかを厳密に知ることは不可能に近いが、Adam が Apple の公表している変更点について概観する。(10.5.3 の下で Photoshop がトラブルに見舞われるという問題の報告にも触れる。)Glenn は、Back to My Mac(どこでも My Mac)機能の重要な改良点に焦点を絞って語る。ニュースから噂へと話題を移せば、第2版の“Take Control of .Mac”リリースを発表するのに合わせ、その著者 Joe Kissell が、Apple がこのオンラインサービスの名称を近々変更するのではないかという噂について考える。Adam はまた、書類の中で単語の上を指すだけでその単語の意味を辞書で引ける便利な裏技について語り、カーナビゲーション GPS システム TomTom Go 720 について詳しくレビューする。今週の TidBITS 監視リストでは、Delicious Library 2.0、Logic Express Update 8.0.2、Digital Camera RAW Compatibility Update 2.1、それに Keyboard Maestro 3.1 のリリースについてお伝えする。

記事:

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Mac OS X 10.5.3 Update、多数の問題点を解決

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が Mac OS X 10.5.3 Update をリリースし、Leopard の鍵となる機能における広範囲にわたるさまざまの問題点を修正するとともに、数多くのセキュリティ脆弱性を防いだ。(2008-05-29 の記事“Security Update 2008-003 / Mac OS X 10.5.3 欠陥を修正”を参照。)今回 Apple はこのアップデートで何が変更されたかについて通常この会社がするレベルよりも詳細な情報を提供しているが、それでも発表されたリリースノートはまだまだ簡潔なもので、修正されたバグがどの程度深刻なものであったか、またどの程度頻繁に現われたものであったかなどについては全く触れていない。

それはさておき、私が 10.5.3 で重要だと思ったのは以下のような点だ:

けれども正直に言って、私が最も強く修正して欲しいと思う問題点は、ワイヤレスネットワーキングに関するものと Time Machine に関するものだ。今日の世界において基本的なネットワークの信頼性は根本的に重要であり、またバックアップソフトウェアは岩のように頑健でなければならず、そうでなければユーザーたちが信頼感を失ってしまうからだ。AirPort 関連でリストされているのはたった2件の具体的な修正のみで、一つは 802.1X の挙動と信頼性の改善、もう一つは AirPort 経由で Time Capsule を使った場合の信頼性の改善だ。しかしながら、ユーザーたちから聞こえてきた噂によれば、ネットワークのスローダウンやその他の症状を引き起こしていた他のいくつかの問題も 10.5.3 で修正されているのかもしれない。

10.5.3 には Time Machine に関する数多くの修正が含まれている。主なものを挙げれば Time Capsule との互換性の向上、バッテリ電源で走るラップトップ機をバックアップすることに関する問題、Aperture 2 との互換性の問題、フルリストアを実行する際の信頼性の問題、Mail メッセージや添付ファイルの信頼できる保存などがある。それに、Time Machine のスパースイメージファイルが壊れてしまうことのあった問題も修正されたものと私は推測している。それに加えて、バックアップボリュームに十分な空き容量がないという誤った警告メッセージが出ていた問題や、Time Machine を使った後にファンクションキーが働かなくなっていた問題もこのアップデートで解消されている。

10.5.3 での新機能として私が一番確実に言えるのは、具体的には明示されていないいくつかのカメラについて RAW 画像のサポートが追加されたことだ。現在サポートされているカメラのリストについては Apple の Aperture に対する RAW サポートページに一覧があるので参照されたい。歴史的に言って Apple はオペレーションシステムのアップデートごとに新たなデジタルカメラのサポートを追加してきたので、今回のことも驚くにはあたらない。驚くべきなのは、これに引き続いて デジタルカメラ RAW 互換性アップデート 2.1 が別途登場したことで、ここでは例えば Canon EOS Digital Rebel XSi などいくつかの新しいカメラのサポートが追加され、10.5.3 アップデートが出てからほんの間もなく別途 2.4 MB のアップデートとしてリリースされた。

どんなシステムアップデートでも同じことだが、インストールの前にあなたの起動ハードドライブのバックアップを作っておくことをお勧めする。オペレーションシステムのこれほど多くの領域で Apple が変更を施す以上、何らかの非互換性が出現するのは避けられないからだ。例を挙げれば、Photoshop CS2 または CS3 でネットワークボリューム上に置かれたファイルを保存した際に ファイルが壊れてしまうという報告を私たちは受け取っている。( Adobe のオンラインサポートフォーラムに寄せられたフィードバックを読めば、ファイルを保存する際に Save ではなく Save As を選択することで問題を回避できるという。)いつものことだが、普通でないような問題点に関する苦情が多数 Apple の討論フォーラムに寄せられている。だから、もしもあなたがクラッシュやその他のトラブルの挙動を経験したら、まずはこのフォーラムを見て、同じ問題で苦しんでいる人がいないかどうか、解決策が提案されていないかどうか、調べてみるのがよいだろう。

Mac OS X 10.5.3 Update はソフトウェア・アップデート経由で、またデルタ (420 MB、Mac OS 10.5.2 からのアップデート用) とコンボ (536 MB、従来のどのバージョンの Mac OS X 10.5 からでもアップデートできる) のスタンドアロン・アップデータで、入手できる。ソフトウェア・アップデートで表示されるサイズは場合によって異なるが、一般的により小さくなる可能性が高い。私の MacBook ではダウンロードが必要なのはたった 198 MB と表示された。このアップデートのインストールと最適化の実行のために少なくとも 1.5 GB の空き容量が必要なことに注意。通常、ただ単に再起動するだけで、仮想メモリのスワップファイルの使っていた大きな容量が解放されるものだ。

この Mac OS X 10.5.3 Update がリリースされてから間もなく、Apple はもう一つ、Mac OS X 10.5.3 Server アップデート も発表した。こちらは Leopard Server 特定の問題点を多数修正している。改善された領域の例をいくつか挙げておくと、ファイルサービス、ディレクトリサービス、Active Directory Plugin、クライアント管理、協働サービス、DHCP サービス、DNS サービス、メールサービス、Portable Home Directory 同期、Server Assistant, System Image Utility、それに Workgroup Manager などがある。

Mac OS X Server 10.5.3 Update はソフトウェア・アップデート経由で、またServer デルタ (489 MB) とServer コンボ (632 MB) のスタンドアロン・アップデータで、入手できる。Mac OS X Server 10.5.3 の走るサーバはバージョン 10.5.3 の Server Admin Tools のみで管理できるが、この Server Admin Tools は Mac OS X Server 10.5.3 Update の中に含まれているとともに、スタンドアロンのダウンロードでも入手できる。


Security Update 2008-003 / Mac OS X 10.5.3 欠陥を修正

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

Apple は Security Update 2008-003 for Mac OS X 10.4.11 をリリースした。これは Mac OS X 10.5.3 と Mac OS X Server 10.5.3 に含まれたセキュリティ修正を Mac OS X 10.4 Tiger が走っているシステムに適用するためのものである。これら修正の中で最も目立つのは、Core Security Services によって最近指摘された iCal に関する脆弱性に対する対策である ("iCal に未対応のセキュリティ欠陥。リスクは小さい" 2008-05-22 参照)。Apple が iCal 脆弱性への対処にグズグズしていた理由はこれだったのである - もし Security Update 2008-003 だけが必要となるリリースであれば、元々 Apple が約束していた日程で出来ていたのであろう。しかし、Mac OS X 10.5.3 へのフルアップデートと同時進行でお膳立てすることの方がずっと優先順位が高い。Apple としては、Security Update 2008-003 を Mac OS X 10.5.3 Update とは切り離してリリースするのだけは何としても避けたかった様である。

このリリースではその他にも広範囲な脆弱性が取り除かれた、その中には以下のものが含まれる。私がこれらを列記するのは、何もこれらの危険に遭遇する可能性が高いからとか、或いは怖がらせてアップデートさせようと (勿論良いことであるが) 意図したからではない。そうではなくて、日常的に、どれ程多くのセキュリティ脆弱性が見つかり、報告され、そしてパッチが当てられていくかの感じを掴んでもらうためにその詳細を提供するのである。極端に神経質になる必要はないが、我々の日々増殖を続けるネットワーク世界ではセキュリティは本当に重大事である。

Security Update 2008-003 を最も簡単にインストールするには Software Update 経由が一番良い、と言うのも、さもなければ自分でどのバージョンをダウンロードするのか選ばないといけない:デスクトップバージョンの Mac OS X 10.4 には、PowerPC(72 MB) か Intel (111 MB) のどちらかを選ばねばならない、そして Mac OS X Server 用には Server (PowerPC) (88.9 MB) か Server (Universal)(118 MB) のどちらかを選ぶ。


Back to My Mac、10.5.3 で障害内容を知らせる

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.5.3 で、Apple は遠隔アクセスサービス Back to My Mac (どこでも My Mac) にトラブルシューティング用のメッセージを追加した。Back to My Mac は、一般的には外のインターネットの世界から手が届かないプライベートなネットワークを作り出す一般的な家庭用ルータに穴を開けて、その内部に手が届くようにするための自動化されたポートマッピングのテクノロジー二種類のうち、どちらか一方を必要とする。

往々にして、.Mac システム環境設定パネルの Back to My Mac 表示を使って Back to My Mac をオンにしても、これが動作しないことがある。そんな場合、従来は問題点を診断する方法が何もなかった。ことわざに言う「群盲象を撫ず」のごとく盲目的にあちこち探しまわって、ちょっとした兆候を手がかりに問題をあぶり出そうとするほかなかった。

新たに装備されたフィードバックのメッセージは、Back to My Mac がオンやオフに切り替わった時にそれを表示するステータス行の、そのさらに下側に現われる。Apple は現在そこに現われるものとして、三種類の警告表示と一つの障害通知をリストしている。もしもすべてが正常に働いていれば、緑色の点が現われる。もしもネットワークが稼働していないために .Mac に到達できないならば、赤色の点が現われる。トラブルシューティング用のメッセージは、黄色の点の横に表示される。

この三種類のトラブルシューティング用メッセージは、非常に一般的に生じ得るケースそれぞれに対応したもので、このメッセージなしにこれらのケースを見分けようとすれば非常に手間のかかる探索作業が必要になるかもしれない。

NAT-PMP または UPnP が有効になっていません -- これら二種類のポートマッピングテクノロジーは、ルータに接続されているローカルネットワーク上のコンピュータが、そのルータの中からインターネットに繋がった広域ネットワークポート上に公開インターネットポートをリクエストできるようにする。Back to My Mac はこの情報を利用して .Mac 経由で DNS 記録を出版し、それをもとに Back to My Mac の動く他のコンピュータのためにロードマップを提供することによって、あなたがコントロールしたいそれらのコンピュータが互いを見出せるようにする。(自動ポートマッピングに関する背景情報については、2007-11-17 の記事“Back to My Mac のための風穴を開ける”と 2008-04-16 の記事“Port Map のポート転送で NAT を通り抜ける”を参照。)

Apple によれば、これら二つのプロトコルのどちらかがあなたのルータ上で稼働しているのでなければ、あなたが調べようとしている Mac を遠隔到達可能にすることはできないが、もしもその Mac が公開ルート可能な IP アドレスを持っていれば、またはあなたが手動のポートマッピングを使ってその Back to My Mac ポートをあらわにすれば、その場合には別のコンピュータからアクセスできるようになるとのことだ。

NAT 設定が重複しています -- かの恐ろしき NAT 重複 (double NAT) が起こるのは、あなたか、またはあなたの ISP かが、一つのプライベートネットワークの中に別のプライベートネットワークを入れ子にしてしまった時だ。いくつかの ISP では、ネットワークアドレス変換 (NAT) を使うことで、ユーザーたちがサーバを運営するのを防止するとともに、セキュリティ計画の一環として契約者たちのネットワークに外部の者が手を伸ばすことのないようにしている。もしもあなたがそのような NAT を使用している ISP から借りたブロードバンドモデムに勝手にルータを繋いでしまったら、そのルータのローカルネットワーク内にあるコンピュータはすべて NAT 重複の状態になり、そうなると Back to My Mac としては二重のレイヤーの両方ともに風穴を開けるということができなくなる。

また、あなたがネットワーク設定を気軽に考え過ぎて、一つのルータの WAN (wide area network) ポートと別のルータの LAN (local area network) ポートをケーブルで結んでしまった場合にもこれが起こり得る。この問題を避けるには、別のルータに繋いであるルータをブリッジモードに設定しておけばよい。(Apple 製の Wi-Fi 機器ならば、まず AirPort Utility を走らせて、あなたのルータを選び、Manual Setup をクリックし、Internet パネルをクリック、それから Connection Sharing ポップアップメニューで Off (Bridge Mode) を選べばよい。)

.Mac に接続できません -- この三番目のトラブルシューティング用メッセージは、インターネット接続が生きているにもかかわらず、Back to My Mac 機能を設定できるような形で Back to My Mac が .Mac サービスに連絡を取ることができなかった場合に現われる。Apple はその原因として二つの場合を例示している。一つはポート 5354 を通る外向きの要求がファイヤウォール(例えば企業内の設定など)によってブロックされている場合、もう一つは DNS プロキシ(一般的なユーザーにはまず起こらない)がいくつかの要求をブロックしているために Back to My Mac が稼働できなくなっている場合だ。

これらのトラブルシューティング用メッセージは、どうすれば Back to My Mac が動作するようになるのかと苦闘しているユーザーたちの手助けをするための最初の第一歩として大いに役に立つ。実際、Apple の説明する最初の二つのトラブルシューティング用メッセージは、場合によって克服が不可能なこともあるのだから、メッセージがあればそれだけでフラストレーションが軽減されるだろう。そのままでは打つ手がない(問題を解決するには別の ISP に乗り換えるしかないかもしれない)ということが分かれば、それはいつまでも壁に頭を打ち付け続けるよりもずっと良いことだ。

それでは、私はこのあたりで失礼させてもらって、今書きかけの本、“Take Control of Back to Your Mac”の原稿に向かってそれを修正する作業にかかりたいと思う。もうほとんど完成前の最終段階まで来ていたのだが、Apple が 10.5.3 でいろいろアップデートしてくれたお陰で、トラブルシューティング情報に関する数ページを削除することができるようになったからだ。私が書くつもりだったことを、今は Mac OS X が要約して表示してくれるようになったのだから。(この本と、対になるもう一冊“Take Control of Screen Sharing in Leopard”は、あと二週間ほどでそろって出荷の運びになる予定だ。)


ヒント: リアルタイムで辞書を引く方法

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

Mac OS X 内蔵の辞書サービスを使って書類の中の単語の定義を見るときの、ちょっとした便利で変わった方法を、私はたまたま見つけた。単語をControl-クリックするか右クリックして、Look Up in Dictionary を選択すれば、小さなポップアップに定義が表示される(アプリケーションによっては、その代わりに Dictionary アプリケーションが起ち上がる)ということは、皆さんきっとご存知だろう。また、Command-Control-D を押せば、その時点でポインタの下にある単語について小さな辞書ポップアップが現れるということも、ご存知かもしれない。しかし、Command-Control-D を押して、_さらに_ Command キーと Control キーを押したままでいると、Tiger でも Leopard でも、この小さな辞書ポップアップが画面上にとどまり、ポインタをあちこち動かすにつれて、その下にある単語の定義に切り替わる。ぜひご自分で試してみてほしい。または、私がこの機能をデモしている短いスクリーンキャストをご覧いただきたい

この機能は、特定の、Apple の内蔵辞書に対応している Mac OS X ネイティブアプリケーションでしか動かない。だから、独自の辞書を使っているMicrosoft Word や Eudora では動かないし、かろうじて Macintosh アプリケーションと言えるだけの Firefox でも動かない。しかし、現在のバージョンの Mail、iChat、TextEdit、Safari、BBEdit、TextWrangler、iCab、NetNewsWire、Skype、Toast、およびほかの多くで問題なく動く( TidBITS Talk でのテストに参加してくれた皆さん、ありがとう)。

このトリックはどんなときに使ったらよいだろうか。見慣れない単語を多数含む書類を編集しているときには、それらの定義をすばやく知ることができる。あるいは、書類を別の言語に翻訳しているか、新しい言語を学んでいるという場合も考えられる。私が大学で古典のギリシャ語やラテン語を学んでいたときに、もしこのような機能があったなら、私は狂喜乱舞していただろう。本とは独立した辞書で単語を引くというのは、読み取りの速度を大幅に低下させるものだから。


Take Control ニュース:あなたの .Mac Membership を最大限に利用する

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: 湯本 敬<ymo@big.or.jp>

我々は、Joe Kissell の "Take Control of .Mac" の第2版を丁度リリースしたところだ。あなたが Apple の .Macサービス について考えるとき、おそらく思い浮かぶことは、mac.com の電子メールアドレスを持つことや、ファイルを iDisk に保存するということだ。しかし、それらの一般的な利用だけでなく、.Mac は他にも多くの強力な機能を提供する - Groups は、メーリングリストをセットアップし、メンバーのみのウエッブサイトを提供する ; .Mac Sync はブックマーク、カレンダー、コンタクト、キーチェーン等々をあなたの Mac 間で調整するのに役立つ ;Mail は、あなたのmac.com アカウントの電子メールをウエッブブラウザーで読めるようにする ; そして HomePage は、簡単なウエッブサイトを作ることが出来る。更に .Mac は、iLife '08 と Aperture 2 によって素晴らしい写真や映画のウエッブギャラリーをまとめることが出来、iCal をベースとしたカレンダーの共有を容易にし、iWeb であなたが作成したウエッブサイトのデフォルトホストとして用いられる。この193ページの "Take Controlof .Mac" 第2版で、Joe は、.Mac の機能の全てを説明し、初歩から始めて普通の機能を超えるところまで進んで、年額99.95 ドルのもとを十分取れるようにしてくれる。この第2版は、Leopard とiLife '08 による .Mac 関連の変化を考慮し、完全に書き直された。

もちろん、我々のタイミングは申し分ない。Apple が .Mac を(ぞっとするような)"Mobile Me"という名前に変更しようと計画しているという噂が渦巻いているが - それについては、Blogging Robots での この記事Dmitry のフォローアップを見て欲しい。しかし、もっと情報が判明するまで私たちにはどうすることもできない。恐らく 09-Jun-08 に行われる Apple's Worldwide Developers Conference の基調講演までは何も分からないだろう。Apple が、.Mac に更なるiPhone への統合を加えるのは驚くべきことではない。iPhone や iPod のようなデバイスに対する Apple の関心は益々増加しているし、.Mac の名前がこのサービスの以前の名前、iTools と同じ運命をたどることもあり得るだろう。あの時のことを覚えていますか?


アップデートしたばかりの .Mac 本に大幅な検索-置換が必要になる?

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

我々が新しい Take Control 本を出す時は何時も、アップデート (大小の違いはあっても) が必要な時が来ること、そしていつかは古くなって役立たずになることは覚悟している。そうではあっても、Apple が我々を製図板に戻して彼らの最新の現実に原稿を再度合わせ直す作業を強いるまでの少なくとも数ヶ月は売れ行きを楽しめる事を願っている - もっとも我々は次の本の準備に取り掛かっていて忙しいのには変わりはないのだが。

さて、私の "Take Control of .Mac_" の第二版は先週出版されたばかりである - しかしもし最近の噂が本当だと言うことになれば、この本はあと数日で次のアップデートが必要になる事態になってしまいそうなのである。

私は、私の本の中では最も長いものの一つであるこの本の大幅な改版をかなり前から計画して来ていて、中身は主として iLife '08 と Leopard の情報にアップデートするものであった。私の本が出るたった一日前にリリースされた Mac OS X 10.5.3 の中に .Mac に関する際立って新しい物があるようには私には見えなかったので、最後の土壇場の変更は無しに済ませると思えた。

所が、ここに来て Apple は .Mac の名前を今にも付け替えようとしているらしいと言う一連の報告が現れてきたのである。どうも最初のヒントは一週間以上前にロシア語のサイトDeep Apple に現れたらしく、そこには iCal のリリース前のバージョンに埋め込まれた文のスクリーンショットがあり、.Mac は新しい名前になるとほのめかしている。この発見は、10.5.3 の最終バージョンのリリースの後もフォローアップがあり、Blogging Robots への投稿で同様の情報が Safari と Mail の新バージョンの中にも見つかったとされている。John Gruber が Daring Fireball の中で報告している様に、Apple は "Mobile Me" というトレードマークを持っていて、そして Apple は .Mac の形態を Mac ではない iPhone や iPod touch にまで広げたいと思っているかも知れないので、ひょっとするとそれが彼らが新しい名前のサービスと呼んでいるものなのかも知れない。

或いは、"Mobile Me" は新たに予定されている Apple のサービスの一つの顔に過ぎないのかも知れない。Apple はこれまでも色々なドメイン名を登録しており、me.com だけでなく ".me" (通常は Montenegro に対する最上位のドメイン) で終わる一連のドメインを持っている - 例えば apple.me, ipod.me, そして itunes.me の様な。と言うことで、新しいサービスは次の様に呼ばれる可能性もある - ぞっとするが - "Me" とか ".Me" とか或いは同じ様なうっとうしい名前で。

この件に関する私の感想は以下の通りである:

勿論のこと今日現在、我々が参考に出来るのは噂しかない。我々には、変更がなされるのか、或いはどの様な種類の、或いは何時と言ったことは一切分からない - Apple の来るべき Worldwide Developers Conference では _何かが_ 起こるであろうと言うのはまず間違いなさそうではある。そして、始まるのは 09-Jun-08 である。

もし "Take Control of .Mac" に対する更なるアップデートがあと二週間ほどの間に本当に必要になることが分かれば、言うまでも無いことだが、私はイライラは脇においてきちんと仕事に取り掛かる積りである。しかし、もしその名前が "Me" に変わった場合は、"Take Control of Me" と言うタイトルを物笑いの種にすることを禁じることを私はここに予め宣言しておきたい。


TomTom Go 720 GPS を乗せて、いざ鞍の上へ

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

カーナビゲーション GPS のレビュー記事を私が最後に書いてから一年半ほど経った。コンシューマ向け電子機器として、これは私がとりわけ大好きな分野だ。不案内な地方をドライブする際に、これらのちっぽけな機械が何とも物凄く便利だからだ。いろいろな機器をレビューした私の記事を全部お読みになりたければ、“Find Yourself with GPS”シリーズをご覧あれ。

(日本語)迷いの予感? GPS 概論 | GPSy で木立の中のドライブを | GPSy 3.0 新機能を披露 | インターネットで体を動かそう: みんなで宝探しを! | 宇宙からの指示:GPS カーナビ | NYC のカオスに秩序を: Garmin StreetPilot c330 | Garmin Forerunner GPS と走る | Magellan RoadMate 700 でドライブに出る | Magellan RoadMate 760 GPS、おもむろに口を開く | Garmin StreetPilot 2720、カーナビの好感度を上げる | Magellan RoadMate 3000T/6000T 下り坂に向かう | 2006 年末ギフト提案: Macintosh 指向の人向け

Garmin や Magellan でもきっといろいろ進歩しているだろうが、私はずっと TomTom の機器を調べてみたいと思い続けてきた。TomTom の GPS は、より有名な Garmin や Magellan の製品と比べても同等か、より優れているという定評を一般に得ている。でもそれよりも重要なのは、TomTom がずっと以前から、新しい地図や音声、その他この機器をカスタマイズするために使うものをダウンロードするために Macintosh 用ソフトウェアを提供してきたということだ。

これらのレビュー記事で、これまで私はそういう機器を Mac に接続するという考え方にほとんど触れてこなかった。なぜなら、正直言って、おたく的な欲求を満たす以外にはあまり意味が感じられなかったからだ。(もちろん、そういう使い方の実例を思い付くことができるのは承知している。例えば、旅行の経路データや旅程計画をコンピュータとの間で共有するといった具合だ。でも、私はそんなことをしたいと思ったことはない。)私がレビューしてきた種類の機器が魅力的なのはこれらが使いやすくて完備されたパッケージを提供してくれるからで、普段使う地図はすべて内部に保存され、その機器で可能なことのほとんどすべてがタッチスクリーンのインターフェイスのみでアクセスできるようになっている。ここで「ほとんど」と言ったのはアップデートされた地図をダウンロードしたくなった場合の話で、それはあなたが運転する地域でどの程度頻繁に道路が変わるかにもよるが、まず 12カ月か 18カ月に一度くらいしか必要ないだろう。地図のアップデートは通常有料で、一部のユーザーにしか使い道がなく、必要と言えないことも多いので、私がこれまでレビューしてきた機器が(Windows にでなく)Mac に接続できなかったという事実はそれほど大きな問題とは思えなかった。

けれども違う意見の読者たちもいて、Mac 互換性のないことをもっと問題にしなかったことで私はさんざん非難された。そこで今回は、レビュー用にこの $399.95 の TomTom Go 720 を選ぶにあたり、私は読者の意向に屈服することに決めた。その結果私が今言えることは、苦労して自分が手に入れた経験に基づいて、スタンドアロンのカーナビゲーション GPS を Mac に接続する機能は、実際私が想像した通りに、とても面倒でイライラさせられるものだったということだ。でも、その話題に立ち入る前に...

遠くに太鼓の音が響く -- 形としては、この TomTom Go 720 はすっきりしてよく出来ている。普段の使用の妨げとなるような余計なボタンもない。実際、たった一つ電源ボタンがあるだけだ。ただし、この電源ボタンの使い方には慣れが必要だ。ユニットの電源を入れるにはボタンを 4 秒から 6 秒間押さえ続けていなければならないのに、電源を切る時はボタンを押した瞬間に切れる。結果として、私は自分が電源を入れる時にちゃんとボタンを押せなかったのだと思って、いったん手を離してもう一度押してしまい、実際には電源が入りつつある途中だったのに二回目にボタンを押したために電源が切れてしまう、ということが何度もあった。たぶん電源が入る時の遅延はこのユニットをポケットやスーツケースに入れている際に誤って電源が入ってしまうのを防ぐための工夫なのだろう。

そうした工夫が重要なのはこの 720 にリチウムイオンバッテリが付いているからでもある。そのためこれを車の外で、歩いたり自転車に載ったりする際にも使える。TomTom はこのバッテリが 5 時間保つと称しているが、私のテストではその半分も保たなかった。町中ではバッテリでやって行けるかもしれないが、旅行に出る時には付属の USB カーチャージャーで車の電源差し込みに常時接続しておく必要があるだろう。また、USB 経由で Mac に接続している時にはドックからも充電するので、それで携帯電話と同じように扱うことで、車の中にずっと差し込んでおくのを避けることもできる。

通常、車の中で常時 GPS を電源に差し込んでおくのは大した問題ではない。けれどもこの 720 に付属の太くて短い吸盤マウントは移動範囲が小さく、そのため私はこれを前面ガラスのかなり上の方、バックミラーのすぐ下にマウントせざるを得なかった。なので、そこからぶら下がった電源ケーブルが視野を妨げることになる。以前に試したユニットはどれも、これよりずっと低い位置に GPS をマウントできて、ダッシュボードのすぐ上に置けた。たぶんこの問題は前面ガラスがかなり傾いている車だけの問題かもしれない。もしもそれが困るなら、TomTom から何種類かのマウント用オプションが別途販売されているので、それを使えば柔軟性が広がる。

この TomTom Go 720 には 4.3 インチワイドスクリーン (16:9) のカラー LCD が付いて 480 × 272 ピクセルを表示する。ディスプレイはクリアで魅力的だし、さまざまのカラースキームから選べるのみならずスキームを好きなようにカスタマイズすることさえできる。他の機種と並べて比較することはできなかったが、Tonya も私も明るい日光が当たるとこのスクリーンは色がさめて見にくくなる傾向にあると感じたし、また太くて短いウィンドウマウントのせいで私たちに近づけて置かざるを得なかったことにより、もっと下の方にマウントした機種に比べて助手席に座った Tonya からはなおさらディスプレイが見にくくなっていた。

tomtom-go-720

さまざまのアクセサリがあって、この 720 の機能を大きく拡張してくれる。ただし、私がテスト用に受け取ったキットにはそうしたアクセサリは何も付いていなかった。Bluetooth ベースのリモコン ($59.95) を使えば、タッチスクリーンに手を伸ばさずにこの機器のコントロールができる。iPod Connect & Audio Cable ($29.95) で、720 のタッチスクリーンを使って iPod がコントロールできるようになり、また iPod のオーディオを 720 の内蔵スピーカーで演奏して、音声道案内を話す時だけ自動的に音楽を一時停止するようにできる。RDS-TMC Traffic Receiver ($129.95) は FM 放送経由で交通事故の情報を(そのサービスのある都市でのみ)受信し、その情報を道順の計算に組み込める。この最後の二つのアクセサリはどちらも 720 の同じジャックを使うので、両者同時に使用することはできない。最初の 12カ月が過ぎた後は、交通情報の受信には年額 $59.95 の購読が必要となる。

Bluetooth と FM と言えば、この 720 は Bluetooth を使って Bluetooth 互換の携帯電話経由のハンズフリー通話ができる。(Bluetooth で Mac と交信することはできない。)また、内蔵の FM 送信機によってサウンドをカーステレオに送ることもできる。この 720 には MP3 音楽やオーディオブック用に独自のプレイヤーも含まれているので、これはありがたい機能かもしれない。

諸君、岩と岩を打ち付けよう -- 基本的な使用法では、TomTom Go 720 は動作も素早く正確で、私がこれまで使ったことのある機器のどれとも同じ風に便利に使えた。メインのインターフェイスは六個のボタンを持つナビゲーションスクリーンをもとにしていて、そのボタンの一つは矢印であってこれを押せば追加のスクリーンを循環して行く。矢印一つのやり方は完全に機能的ではあるが、やはり前進・後退の二つの矢印があれば、もっと手早くナビゲーションできるようになるだろう。

このやり方でのたった一つの問題は、スクリーンの数があまりにもたくさんあり過ぎて大事な機能を見つけ出すのに結構時間がかかってしまうかもしれないことだ。Clear Route 機能(気が変わって目的地を変更し、新しい目的地には道案内が要らない場合に必要になる)がその顕著な例だ。TomTom は明らかにこれが問題であると認識しており、実際、環境設定(八番目で最後のスクリーンにある)の奥深くに隠された、表示オプションの数を少なくするというオプションもある。何となく、その昔の Microsoft Word にあった Short Menus インターフェイスを思い起こさせるではないか。さらには QuickMenu オプションというものもあって、スクリーン上に常駐するアイコンを置いて、それを使って TomTom Jukebox を開いたり、ネズミ捕りのカメラを知らせたり、地図の間違いの場所をマークしたり、お気に入りの場所を追加したり、指定した番号に電話をかけたり、その他たくさんの機能にアクセスできるようにしてくれる。

住所の入力や観光地の検索は非常に簡単にできる。720 は、あなたがタイプする間に入力を推測してくれるからだ。ABCDE キーボードと QWERTY キーボードを切り替えることまでできるが、私の場合は後者の方がずっと使いやすかった。

いったんナビゲーションを始めれば、720 は他のあらゆる GPS と同様に挙動する。交差点で曲がるところが近づけば、実際にその交差点に来るよりも前に何度かそのことを警告してくれるし、コンピュータ音声を使うように設定した場合は、道路名も読み上げてくれる。特に素敵な機能だと思ったのは、複雑な交差点に近づいた際にあらかじめ左に寄るか右に寄るかを言ってくれることだ。正しい道に入って行くためにはこれが必要となることが多いからだ。

この音声については、私は少し不満が溜まった。TomTom が目玉にしている点の一つは、違った音声をダウンロードして切り替えて使えるということだからだ。(いくつかの音声、例えば John Cleese の声などは、数ドルかかる。)さらに自分自身の声を録音したり、それを TomTom のウェブサイトに投稿して他の人に使ってもらったりもできる。けれどもこれらはすべてサンプルされた音声であって、従って合成コンピュータ音声のような風に道路名を読み上げることまではできない。コンピュータ音声も悪くはないが、John Cleese があなたの道案内の大部分を読み上げてくれることができないとは、非常に残念だ。コンピュータ音声なら、道路名をちゃんと引っ提げてアンカーを務めてくれる。興味深いことに、自分の声を録音した場合は、それをコンピュータ音声とミックスさせて道路名の読み上げに使うことができる。

サンプル音声についてはもう一つ問題があった。道路名を読み上げてくれないので、会話に夢中になって地図に注意が向いていない時など、指示に従いそびれてしまいがちになってしまった。もちろん、720 は私の間違いをちゃんと受け入れて、即座に新しい道順を私に指示してくれたのだが、もしも私が道路名を私に警告してくれるコンピュータ音声の方を使っていたならば、あるいは曲がるべき場所に来ると Magellan GPS が出す警告音と同じようなものをこれが備えていたならば、初めから私はその交差点で曲がり忘れることがなかったかもしれない。ただ、プラスの面を言えば、720 はほとんど瞬時に新しい道順の再計算を済ませて、しかもその際 Magellan RoadMate 6000T のようにメインの地図を隠してしまうようなこともなかった。

地図の表示は三次元(二次元表示に切り替えることもできる)で、これは非常に見分けやすい。さきほど書いたようにカラースキームを設定できるだけでなく、詳細度のレベルや、どの観光地を表示するかなどのことまで設定し直せる。同様にいろいろなデータ、次の交差点までの距離、残りの旅程の距離、残りの旅行時間、到着予定時刻、あなたの速度、などの表示もカスタマイズできる。表示については二つほど小さな不満がある。一つ目の不満は、残り時間の表示が“0:28 hrs”であって、分数が一桁になるまでは“28 min”とならないことだ。二つ目は、残りの距離の表示が 10進マイル数(“.5 miles”)なのに、次の交差点への距離が短くなった場合はヤード数で出、またどの内蔵音声も距離をヤードで読み上げることだ。たぶんこれは英国風の考え方で、アメリカンフットボールのファンならばこちらの方が好みなのだろうが、私の感覚からすれば、聞く度に 800 ヤードを .5 マイルに換算しなければならず、頭の中で直接距離を思い浮かべることができない。10進マイルや、短い距離についてはフィートなら、何も違和感はないのだが。

見知らぬ土地に数回旅行して実際に使ってみて、この 720 は見事にナビゲーションの役を果たしてくれた。道順も正確で、混乱させられることもなかった。ただ、一度だけ、私たちはちょっと近道をして 720 にそれを咎められたが、後になって 720 は私たちの近道が正しかったことを認めた。(距離と所要時間の概算値が小さくなったことでそれが分かる。)また、point-of-interest データベースを利用して私たちは旅行中必要に応じてレストランやガソリンスタンドを見つけることができた。このデータベースは Ithaca 近郊の細かいことについてはあまり詳しくなかったが、自分で好きなものをデータベースに加えることも簡単だ。奇妙なことに、これには Garmin GPS が旅行の通算距離・所要時間・平均速度を追跡するのに使うトリップメーター機能が付いていない。どうしても必要な機能というほどのことではないが、親戚の家を訪ねて長い旅行をするような際には、時間がどれだけかかったか、どんな道順を旅行したか、というのがいつでも問題となるのだから。

人体自然発火 -- 私が当初試みたいろいろの使用法の大部分は、TomTom Go 720 を私の Mac に接続するのを初めて試したよりも前のことだった。確かに、文句をつけたいところはあちらこちらにあった。一度私はオーディオブックの再生を試みたことがあるが、それ以来、この 720 は電源を入れる度にオーディオブックの再生を始めようとした。それでも全体としてみれば印象は良かったと言える。その後で、私は TomTom Home ソフトウェアがどんな具合に働くか見てみることに決めた。

まず、インストールの作業が忌まわしいものだった。インストール CD の Finder ウィンドウにはあらゆる種類の意味不明の名前の付いたファイルが散らばっていて、私がやっと Install TomTom Home を見つけてダブルクリックすると、私はこんな嬉し恥ずかしのダイアログに迎えられた。あなたは合衆国に住んでいるのかそれともカナダに住んでいるのか、という質問に、Yes か No かで答えられる人なんているのだろうか?

_TomTom-Home-installer

起動後すぐに、TomTom Home は TomTom Home 自体のアップデートが入手可能だと知らせてきた。でも、アンダーラインの付いたテキスト(アプリケーションとブラウザ両方のメタファーをごちゃまぜにしているように見えた)を私がクリックすると、TomTom Home は TomTom ウェブサイトのユーザ登録ページを開いた。そこで私は従順に登録をした。すると、また新たなウェブページ風のものが開いて、理論的にはそこからアップデートがダウンロードできるようだった。でも、私が何度試しても TomTom Home はがっちりしたループに陥ってしまい、強制終了するしかないのだった。幸いにも、普通のブラウザを使って TomTom ウェブサイトを訪れることができ、今度はトラブルなくアップデートをダウンロードすることができた。

いったん起動が終わると、TomTom Home は即座にさまざまの地図データや GPS アップデートなどを表示し、私はそれらを必要としているようだった。そこで、私はダウンロードしてインストールさせるに任せた。それが終わると、コンピュータから機器の接続を外すようにという指示が表示された。それが細心の注意をもって実行しなければならないものだという注意はどこにも全く無かった。これはどう見ても正しい態度ではない。実際、私が 720 をドックから取り除くと、即座に Mac OS X からの警告が出て、機器を取り外す前にまずイジェクト(取り出し)の手続きをしなさい、と注意された。おっとそうだった! 私はこれまで正規のイジェクトをせずに機器の接続を外しても問題に遭遇したことは一度もなかったが、今回は違っていた。720 が正常に起動しなくなってしまったのだ。ドックに戻して TomTom Home 経由で使うことはできたが、それ以外の方法では動こうとしない。もちろん、私が悪かったのは言うまでもない。このソフトウェアが明確に注意を表示しなかったとしても、ウェブ経由でアクセスできる PDF ベースのマニュアルもその事実に一切触れていなかったとしても、私自身がもっとよく注意しているべきだった。それでも、私がこんな間違いをしてしまうのならば、Mac OS X により馴染みのない誰かがやはり同じことをしてしまうというのもあり得ないことではないだろう。

しばらく検索して回った結果、私と同じ問題を経験したユーザーたちの議論を見つけたが、ユニットを生き返らせる手順は私の場合にはうまく行かなかった。(要約すると、彼らの提案した方法はまずその機器からメインのアプリケーションを削除して、それから再インストールし、それぞれのステップごとに毎回リセットボタンをクリップの先で 15 秒間押す、というものだった。)最後の手段として私は TomTom に電話をかけた。最初に話をした男性は問題を調べている間に連絡がつかなくなってしまったが、その後で話をした女性は十分知識のある人で、まず地図データを 720 から別の場所へコピーしてから、ディスクユーティリティを使ってその 2 GB フラッシュドライブを再フォーマットし、TomTom Home 経由でソフトウェアを再インストールして、最後に地図データを戻す、というすべての手順に沿って私を導いてくれた。(彼女は実際、最初に TomTom ClearFlash ユーティリティを走らせるように私に言った。彼女の話ではそれだけで奇妙な問題のすべてが解決するはずだったが、私の場合はそれではうまく行かなかった。)

この再フォ−マットと再インストールの方法で、基本的な機能は一応回復した(電源を入れる度にオーディオブックが動き出すという問題も消滅した)が、TomTom Home を使って(一度に一つずつ)コンピュータ音声と起動/終了スクリーンを再ロードするのはどこにすればよいのか、見つけ出すのにしばらくかかった。TomTom Home ではまた新しい音声や新しい自動車アイコン、新しい points of interest 情報(すべての Apple Store のリストも含む)などもダウンロードできる。大部分のものは無料で、他の TomTom ユーザーたちから投稿されたものだが、いくつかのもの、例えばヨーロッパやオーストラリアでのネズミ捕りカメラの場所情報などは、それぞれ数ドルかかる。

でも、私は先走りし過ぎている。これは Macintosh アプリケーションではあるが、TomTom Home は明らかに TomTom GPS のオンスクリーンのインターフェイスを真似しようと試みている。同じく六個のナビゲーションボタンを持った複数スクリーンで出来ていて、ボタンの一つは矢印でこれを押せば次のスクリーンに移る。使うのは簡単だが、使い勝手は悪い。基本的に、これはウェブのインターフェイスだ。その中で最も実用的なメニュー項目と言えば、Device > Disconnect だ。これがユニットを適切にイジェクトしてくれるので、その後は接続を取り外すことができる。機能の多くはデータのダウンロードのためにウェブに接続することに関したものだが、それらを試みてもそのうち少なくとも1割は失敗に終わる。(技術サポートの人の話によれば、TomTom はちょうど新しい地図データをリリースしたばかりなので、彼らのサーバが過負荷状態になっているのだという。時によって、情報自体の表示もあきらめてしまい、その代わりにデフォルトのウェブブラウザにページを開かせることもあるのだが、そういう場合たいていは、私のウェブブラウザが前面に来てページをロードし、その後私が TomTom Home に戻ると、そこにはページがこれからウェブブラウザで開かれる、という奇妙な内容のダイアログが開いている。このアプリケーション自体はこれまで合計四回クラッシュしたが、クラッシュしても見たところ別に何も問題を引き起こさなかったようだ。

TomTom Home アプリケーションがどんなものかもっと感じをつかんで頂くために、5 分間のスクリーンキャストを作ってみたのでご覧頂きたい。

最後の数ビート -- この TomTom Go 720 について自分の考えるところをまとめたいと思って、私は暗礁に乗り上げた。一方で、出来合いのままで使えばこれは素晴らしく良く働いた。そのインターフェイスに少々文句をつけたいところはあるものの、全般的に使い方は簡単で楽しかった。特に、いったんすべてのスクリーンを巡って多種多様な環境設定を済ませた後ならばそう言える。そしてこれが最も重要なことだが、ナビゲーションは常に冷静沈着で、一度も行ったことのない場所へも何のストレスもなく私を導いてくれた。

私のストレスのレベルが急上昇したのは、この 720 を私の Mac に接続して TomTom Home を使った時だった。それはフラストレーションだらけの体験だったが、正しくアンマウントせずに取り外してしまったのは私のミスで、それがトラブルの大部分の原因であったことは私も確かに認めよう。それでも、このアプリケーションは要領を得ないし気難しいし、私が日常的に使いたいと思うような種類のものでないことだけは確かだ。

TomTom Go 720 が他より抜きん出ている(おそらく同じことが TomTom 製の他の機種にも言えるだろう)のは、そのカスタマイズの柔軟性の広さだ。私がこれまで使ったことのある他のメーカーの GPS で、これほどまでに幅広いオプションを提供しているものはなかった。(環境設定スクリーンが八つもあるのを思い出して頂けるだろうか?)でも、TomTom の GPS で看板機能とも言えるカスタマイズのオプションは、何と言っても新しい音声をダウンロードできる点だ。そしてそのためには、また地図データのアップデートや、定期的な GPS 衛星の位置調整や、その他のものの入手のためには、やはり TomTom Home を走らせてあなたの GPS をコンピュータ周辺機器のごとく扱う必要がある。

そして、それこそが問題の核心だ。TomTom Go 720 は私がこれまで使ったどの GPS をも凌ぐ高レベルのカスタマイズを提供できるが、それを手に入れるためにはうんざりさせられる Mac ソフトウェアを我慢する覚悟がなければならない。ただ単に自分が行きたいところへ連れて行ってくれる GPS が欲しいだけならば、ほとんど常時 TomTom Home を知らないふりして過ごすか、あるいは完全にそこから手を引いて、シンプルなユニットだけで済ますかするのがよいだろう。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、02-Jun-08

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>


TidBITS Talk/02-Jun-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhoto アルバムで写真の並べ替え -- iPhoto で写真の順序を並べ替えることは可能だが、そうするためにはライブラリの中でなく一つのアルバムに入っていなければならない。(メッセージ数 3)

Now Contact から Address Book へ移行 -- コンタクトのデータを転送する方法としては vCard を作るのが良いように思えるが、ある読者はその方法では Now Contact でのカスタムノートやフィールドがうまく保てないという。他に良い方法は? (メッセージ数 3)

脆弱性を報告する -- 先週の Rich Mogull の記事をもとに考えれば、セキュリティの研究者はソフトウェアの脆弱性についてどの時点で報告すべきなのだろうか? (メッセージ数 1)

ラップトップを追跡 -- Back to My Mac 機能のお陰で戻ってきた盗難 Mac はまだまだ人々の話題となっている。自分自身の解決法を見出すにはどうすればよいのか? (メッセージ数 3)

TomTom Go 720 GPS を乗せて、いざ鞍の上へ_ -- この GPS 機器をレビューした Adam の記事を読んで、不機嫌になった読者がいる。(メッセージ数 3)

Phone の同期ホームを切り替える -- iPhone の設定を切り替えて、普段のように自宅か仕事場の Mac にではなく旅行中だけラップトップ機に同期するようにするにはどうすればよいか? (メッセージ数 1)

警告: 10.5.3 対 Time Capsule パスワード -- Time Capsule のパスワードにアンパーサンド“&”を使っていると、トラブルが起こるかもしれない。(メッセージ数 1)

ヒント: リアルタイムで辞書を引く方法_ -- Adam の便利な裏技は、どんなアプリケーションでも働くわけではない。ならば、働くのはどのアプリケーションか? (メッセージ数 10)

Delicious Library 2_ -- 大いに期待して待たれていたこのソフトウェアについて、読者たちが体験を語り合う。(メッセージ数 5)

Mac OS X 10.5.3 Update、多数の問題点を解決_ -- Apple は 10.5.3 でたくさんの問題を解決したかもしれないが、新たな問題点も導入してしまっているのではないか? ある読者が、最新のシステムアップデートに伴う問題点を報告する。(メッセージ数 2)

Back to My Mac、10.5.3 で障害内容を知らせる_ -- データが定期的にきちんとバックアップされるようにするためにはワイヤレスネットワーキングの設定をどのようにしておけばよいか、読者たちが知恵を寄せ合う。(メッセージ数 7)


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