TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#933/16-Jun-08

iPhone が今この世界の注目を集めているが、何もこれだけが市場で唯一のスマートフォンだという訳でもない。Mark Anbinder が $99 の Palm Centro を検討し、Palm にもまだ生きる道があることを発見する。また今週号では、Leopard におけるフォントの自動アクティベーション機能の現状について Sharon Zardetto が検討し、Adam は Service Scrubber を使って自分のシステムをきちんと整理する。さて、iPhone の話題に戻ると、Glenn Fleishman が来たるべき iPhone 3G についてさらなる詳細情報を提供し、Mark は iPhone 用の SlingPlayer Mobile に恋い焦がれる。一方 Adam は数字をガリガリ計算してみた結果、低価格が宣伝されているけれども実際米国内の購入者にとって iPhone 3G はその価格よりもかなり高くつくことを発見する。リリースのニュースとしては、QuickTime 7.5、iMovie 7.1.2、iDVD 7.0.2、Iris 1.0、AirPort Utility 5.3.2、PopChar X 4、Mellel 2.5、Opera 9.5、BlogAssist 2.2、InterMapper 5.5、それから Palm、Symbian と Windows Mobile 用の The Missing Sync のアップデートについてお知らせする。

記事:

----------------- 本号の TidBITS のスポンサーは: ------------------

---- 皆さんのスポンサーへのサポートが TidBITS への力となります ----


QuickTime 7.5 がセキュリティ懸念に対処、iMovie と iDVD もアップデート

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の Worldwide Developers Conference では iPhone 3G と Snow Leopard が全員の注目を集めたが、Apple は QuickTime、iMovie '08 と iDVD '08 のセキュリティおよびバグ修正アップデートもリリースした。

QuickTime 7.5 は、悪意を持って作られたメディア、具体的には PICT 画像、AAC エンコードのメディア、それに Indeo ビデオの処理に関するいくつかのセキュリティ上の問題点に対処している。また、URL 処理のための挙動を変更し、ファイルを直接開いてしまう代わりに Finder または Windows Explorer でファイルを表示するだけにした。(最近の QuickTime に関するセキュリティ関連の問題と、Apple がそれにどう対処しているかについての詳しい情報は、2008-04-28 の記事“QuickTime セキュリティをアンチ攻撃テクノロジーで強化”を参照。)

QuickTime 7.5 はソフトウェア・アップデート経由で、あるいは以下に挙げるそれぞれのオペレーションシステム用に独立のダウンロードとしても入手できる: Mac OS X 10.5 Leopard(56 MB)、Mac OS X 10.4 Tiger(52.8 MB) 、Mac OS X 10.3 Panther(51.39 MB)Windows XP および Vista (22.67 MB).

Apple の iMovie と iDVD へのアップデートについては、それぞれ「互換性全般に関する問題に対応し、全体的な安定性が向上し、およびその他の小さな問題にも対処」しているとしか述べられていない。これらも、ソフトウェア・アップデート経由(ただし QuickTime 7.5 を必要とするので、それがインストールされた後のみ)で、あるいは独立のダウンロードとしても入手できる: iMovie 7.1.2 (17.9 MB) と iDVD 7.0.2 (20.27 MB) だ。これらはまた Mac OS X 10.4.11 かそれ以降も必要とする。


Take Control ニュース:"画面共有"と"どこでも My Mac"についての電子ブック

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 湯本 敬<ymo@big.or.jp>

Leopard は、ビルトインの画面共有や画面共有とファイル共有の両方をあなた自身の Mac へ接続するための理論的にシームレスな方法を含めて、我々にたくさんの新機能をもたらした。画面共有で、あなたは世界の向こう側や部屋の向こう側であろうと別のコンピューターの前に座って、1台のコンピューターのマウスとキーボードをコントロールする。画面共有は、家族や友人のために離れてテクニカルサポートをするのに、リモートサーバーを設定し管理するのに、そしてリアルタイムで同僚と協働するのに役に立つ。"画面共有"と"どこでも My Mac"であなたがよりよい作業をするのを助けるために、2つの電子ブック(両方とも、TidBITS 寄稿者の Glenn Fleishman による)のリリースを発表する。両タイトルは個別に購入すると10ドルだが、一緒に購入すれば15ドルで購入出来る。

"Take Control of Screen Sharing in Leopard"で、Glenn は、Leopardでの新しい画面共有の能力について書いている。"画面共有"アプリケーションは長年の間、Macで利用されてきた。しかし、Leopard は、普通の Mac ユーザーでも画面共有を利用できるようにした。Apple は、iCat 、Bonjour 、直接IPアドレスかホスト名を入力する、そしてどこでも My Macなどを経由して画面共有できるようにオプションを積み重ねた。これらのどれを選んでも複雑であることに変わりはないが、この本はあなたがどの種類の画面共有を利用すべきか、Leopard を走らせていない人々と、更には Windows ユーザーとさえ共有する方法や、Leopard の隠された画面共有アプリケーションを最大限に利用する方法について助けてくれる。88ページのこの本は、トラブルシューティング情報や、画面共有のためのルータ調整のアシストも含んでいる。

"Take Control of Back to My Mac"で、Glenn は、Leopard で導入される"どこでも My Mac"に焦点をあてるようにギアを入れ換える。"どこでもMy Mac"で、あなたは、1台のあなたの Mac から別の Mac のファイルや画面共有に接続することが出来る。たとえば、旅行中に、忘れてきたドキュメントを取ってきたり、あなたの MacBook からあなたの Power Mac G5 をコントロールすることを可能にする。あるいは、少なくとも理論的に可能にする。実際のところ、人々は"どこでも My Mac"を利用するのに非常に苦労しているのだから。この本で、あなたは"どこでも My Mac"を作動させるために一般的なルータを調整する重要な記述を見つけ、"どこでも My Mac"を使うことでのセキュリティーの意味を学び、隠れた"画面共有"アプリケーションの便利な機能を発見するでしょう。100ページのこの本は、Mac OS X 10.5.3.での"どこでもMy Mac"の最新の重要な改善もカバーしている。

あなたが心配するといけないので、"どこでも My Mac"サービスの機能は、Apple が .Mac を MobileMe に移行したとしても変わらないことを我々はApple に確認した。("どこでも My Mac"は現在、あなたが .Mac アカウントを持っていることが必要だ。)しかし"どこでも My Mac"を利用する様々な様子は、明らかに変わって来ている。例えば、Mac OS X 10.5.4 では、あなたは .Mac の設定パネルではなく、MobileMe の環境設定パネルで、多分サービスをオンにしているでしょう。そうこうしている間にも、我々は、今この時に、画面共有と特に"どこでも My Mac"についての助けを望んでいる人々がいることを知っている。それで、我々はこれらの本を制作することができることにエキサイトしている。

(もしあなたが"Take Control of .Mac"の第2版を持っているなら、あなたは"Take Control of Back to My Mac"を5ドル割引にて購入出来る。割引にアクセスするには、第2版のPDFを開き、そしてカバーの Check for Updates をクリックして、Check for Updates Web page を少し下にスクロールして欲しい。)


Service Scrubber で Services メニューを掃除

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

つい最近、私は MacGourmet をダウンロードした。これは優れもののレシピデータベースで、そのレビュー記事を書くのにテストしてみたいと思ったからである。ちょっといじってみたところで、仕事を片付けるために Eudora に戻った。しかしながら、最初にメッセージの中のあるテキストを選択し、その部分を引用して返事をするためいつもの様に Command-Shift-R を押したら、直ちに MacGourmet がその選択されたテキストをレシピとしてインポートしようとし始めた。言うまでもないと思うが、それはレシピではなかったので、その "インポート" は失敗し、挙句の果て私は返事を出したいメッセージを完了するため Shift キーを押したまま Eudora の Message メニューから Reply Quoting Selection を選ばねばならなかった。

頭に来て、私は Advenio の Michael Dupuis に短気なメッセージを出してしまった。そこでは、私は彼に対して MacGourmet の Import Recipe サービスに対するデフォルトのキーボードショートカットを他のプログラムのキーボードショートカットとかち合う様なものに設定したことを叱り (ごめんね Michael!)、そしてその後 Service Scrubber の最新版を探す作業に取り掛かった。

サービスあり -- 最初に簡単に背景を説明しておきたい。Mac OS X の初期の頃から、全てのアプリケーションのアプリケーションメニュー (そのアプリケーションの名前のついたメニュー) の中に現れる階層構造の Services メニューと言うのがあった。この Services メニューには、更に階層的なメニューがあって、他のプログラムへの素早いアクセスか或いは一つのアプリケーションから別のに対する情報転送の手段を提供してくれる。例えば、Safari から山ほどのテキストを BBEdit に送って編集したいと言うような場合、Safari の中でテキストを選択、コピー、BBEdit に切り替え、新しいウィンドウを開き、そしてそのテキストを貼り付ける (5 ステップ) ことでも出来るが、Safari の中でテキストを選択した後単に Safari > Services > BBEdit New Window with Selection を選択する (2 ステップ) ことでも出来る。結構いけるでしょう?この Services メニューを使えばこんなことも簡単になる:

多くのアプリケーションが Services メニューに対してサービスを登録している - 私の MacBook の Services メニューには 30 以上の項目が入っているし、私の Power Mac G5 の方にはおよそ 80 程度あるが、こちらにはより多くのアプリケーションがインストールされている。これには二つの問題点がある。まず詰め込みすぎ - Services メニューはまず絶対に使わない様な項目 (Chinese Text Converter? ISA Reference?) が入ってくるとナビゲートするのがますます困難になってくる。次に、アプリケーションがそのサービスにキーボードショートカットを付与することがしばしばあり、その理由の一部は Services メニューが極めて長くなりそして扱いにくくなるからである。しかしながら時としてこれらのキーボードショートカットが他のアプリケーションのキーボードショートカットを乗っ取ってしまうことがあり、これは本当に頭に来てしまう - これが、私の前述の経験で起こったことで、MacGourmet のサービスが Eudora のキーボードショートカットを盗んでしまったのである。

Services メニューを掃除する -- この混乱に対する解が Service Scrubber で、これはドネーション-ウェアアプリケーションで Many Tricks から出されている (418K のダウンロード)。Service Scrubber は、Services メニューのコンテンツと全てのサービス提供者 (Services メニューにサブメニューを提供しているアプリケーション) の両方を表示する。Service Scrubber を使えば、めったに使わないプログラムがあるとかそのお陰で Services メニュがごちゃごちゃしてしまうのは嫌だとか言う場合、ひとつのサービス提供者をまるごと不能に出来るし、或いはもしある機能は絶対に使わないというのがあれば、あるサービス提供者の中で特定のサービスだけオフにすることも出来る。サービス提供者の隣にある小さな三角形がそれに変更を加えたことを示している;この三角ボタンをクリックすればその中にある不能にしたサービスを再度可能に出来る。Service Scrubber のヘルプを見ると、この三角ボタンはオリジナルのキーボードショートカットも元に戻すと言っているように見えるが、私の場合はその様には見えない。まあ大したことではない。他にも小さな制限があり、Service Scrubber は現時点では、Apple が Mac OS X 10.5 Leopard で導入したサイン付きアプリケーションをいじることが出来ない

Service-Scrubber-window

もっと大事なのは、個々のサービスに対するキーボードショートカットを変えられる能力で Key コラムの中でそれをクリックすることで可能となる。あるサービスをしょっちゅう使うと言うのであれば、それに対して他のアプリケーションのショートカットと重ならず、自分に分かりやすいキーボードショートカットを当てることが出来る。唯一の制限はショートカットに Control キーを使えないことである。うるさいことに、Option キーは使えるのだが、Service Scrubber は、例えば、Command-Shift-Option-N と表示する代わりに Option-N に与えられた文字を表示する (Command-Shift-N に固執してみたら、このスクリーンショットの様になった)。あまり頻繁に使わないサービスに対しては、キーボードショートカットそのものを消してしまった方が面倒がないと思う。

Service-Scrubber-inspector

必要な変更を完了したら、Service Scrubber のウィンドウの上部にある Save ボタンをクリック、あなたの管理者パスワードを入力、それでお終いである。Service Scrubber をどうやって使うかの簡単なデモをスクリーンキャストにしてみたので見て欲しい

私はこの Services メニューを使っていないことを認めるのは多少恥ずかしいし、そしてこの記事は多少後悔の意味もある、と言うのもサービスをうまく使えば私の生産性も向上する可能性があるからである。言い訳をさせて貰えば、Apple のサービスの制限の多いインプレメンテーションはまだまだだし、見つけるのも使うのも容易ではない、そしてキーボードショートカットがかち合ってしまうのは苛立たしい。しかも Mac OS X が 6 版にも渡って改定された後でもこの状態なのである!Apple が次の大猫の時までにこのサービスの改良にもっと本腰を入れてもっと目に付く様にしてくれることを期待したい、それまでは、Service Scrubber を使って Services メニューを自分の使いたいようにしておくことをお勧めする。


フォントの自動アクティベーションは 10.5.3 でも壊れたまま

  文: Sharon Zardetto <sharon@takecontrolbooks.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

何週間か前、Apple Discussion Board を精読していた私は、話の中で私の名前と私の本が言及されているのを見つけ、驚いた(それに、正直言って、喜んだ)。しかし、そのスレッドはフォントの自動アクティベーションが Mac OS X 10.5.2 の TextEdit で機能しないのはなぜかということについてのもので、私は次のように言及されていた。「不思議なことに、Sharon Zardetto の本 "Take Control of Fonts in Leopard" には自動アクティベーションについての節があるが、それが機能しないことについてはまったく触れられていない。」その通りだ。Microsoft Word 2004 にお決まりの問題があることを除けば、自動アクティベーションが動かないかもしれないなどとは書かなかったし、ほのめかすことすらしなかった。私がその本を書いたときにはちゃんと動いていたからだ。しかし、Mac OS X 10.5.2 アップデート以来、この機能にぼろが出るようになった。

ここで警告: この記事はフォント自動アクティベーションについての問題だけを記述するもので、解決策は提供されない。この記事を書き始めたとき、Mac OS X 10.5.3 が解決策をもたらすことを望んでいたが、ふたを開けてみればそうはならなかった。

自動というわけでもないアクティベーション -- Leopard の Font Book にある自動アクティベーション機能(環境設定で有効・無効を切り換えられる)は、書類を開くたびにその書類を調べ、その時点でアクティブになっていないフォントが使われていたら、そのフォントをアクティブにするかどうか尋ねるダイアログを表示する。この機能のすばらしいところは、フォントが Font Book に登録されている必要すらないということだ。フォントが接続されているハードディスクのどこかにあれば、Font Book はそれを探し出して、アクティベーションを可能にしてくれる。そのフォントはアプリケーションを終了するまで、そのアプリケーションの中で使うことができる。さまざまなプロジェクトのためにさまざまなフォントを使い、それらをすべて有効にしておきたくない人、あるいはそれらを手動でアクティベートできるように Font Book にインストールしている人にとっても、これはかけがえのない機能だ。このような機能はこれまで、サードパーティーのフォント管理ソフトウェアにしかなかった。

しかし、Mac OS X 10.5.2 と 10.5.3 では、この機能がまったくおかしくなってしまった。Pages や Keynote の書類では自動アクティベーション通知が出るべきところで、「いくつかの警告が発生しました。今すぐ確認しますか?」という無味乾燥なダイアログが現れ、その「確認」は役立たずにも、フォントが見つからないと言うだけだ。TextEdit では、ダイアログすら現れない。ただ単にデフォルトの代替フォントを使って書類が開く。フォントが見つからない書類を開く際のやる気のない振る舞いを埋め合わせるかのように、TextEditはしばしば過剰な償いをする。TextEdit の Font パネルを開けたままにしておいて、Font Book でフォントを1つ無効にし、TextEdit に戻ると、そのフォントをアクティブにしてもよいかと尋ねる自動アクティベーションダイアログが現れる。そして、その申し出を断ることはできない。Don't Allow ボタンをクリックすると、同じダイアログが再び現れ、それが繰り返される。あなたが降参して Allow をクリックするまで、TextEdit はあきらめない。

Word 2004 は Font Book の自動アクティベーション機能とうまくやっていけたためしがないが、今やこの機能は引っ込んだまま、同じ舞台に上がることすら望まなくなった。Word 2008 と自動アクティベーションの関係は、よく言っても風変わりであり、悪く言えば分裂病だ。自動アクティベーションダイアログが、プログラムの起動時に現れたり、書類を開いたずっと後に現れたりして、しかもその書類に含まれていないフォントについて問い合わせをしてくる。InDesign CS3 は、Leopard の以前のバージョンでやっていたことと同じことをする。つまり、Font Book の自動アクティベーションを無視し、独自のやり方で見つからないフォントを報告する。

そうは言っても、自動アクティベーションとうまく機能しないサードパーティー製品について文句を言うことはできないだろう。というのも、Font Book の側で何かが壊れていることは明らかなのだから。

しかし、これは Font Book の問題なのだろうか、それとも Mac OS X の問題なのだろうか。フォントの自動アクティベーションを Font Book 以外を通じて制御する方法はないのだから、どちらに罪があるのか実験で確かめることはできない。(サードパーティーのフォント管理プログラムは Leopard より前のバージョンの Mac OS X で自動アクティベーションを提供していたから、それらのプログラムがトリックを実行するのに Leopard のシステムコンポーネントを利用しているとは考えにくい。)それなので、私にはどちらの問題であるのかは分からないが、それが識別できたとしても、ユーザにとっては何の違いももたらさないだろう。この特別な自動アクティベーション機能によって、Leopard ネイティブのフォント処理が、より高機能のフォント管理ユーティリティを必要としないフォントマニアにとって気分のよいものとなったが、その機能が Leopard の2つのアップデートを通じて消え去ってしまった。これがすぐに帰ってこなければ、私たちの中には Apple 以外のソリューションに戻らざるを得なくなる人たちが出てくるだろう。私たちは Snow Leopard を待つつもりはないのだよ、Apple。


iPhone 3G について - GPS 情報、電源アダプタ、工業デザイン

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone 3G と iPhone 2.0 ソフトウェア、それに .Mac の MobileMe への変身について、Apple から一気にあふれ出した大量の情報で、私たちは頭がクラクラしてしまった。当初私たちが報告しそびれたいくつかの追加情報を、ここにまとめておこう。

私に触れてごらん、3G -- Apple のブリーフィングの会場で、私は少しだけ iPhone 3G に触ってみることができた。その時の体験から、実際これが初代の iPhone と比べて感触が改善されていると報告することができる。私は初代が最初に発売されたその夜から、ずっと iPhone を持ち続けてきたのだから。背面のプラスチックは触った感触も良いし、傷やダメージに対しても耐久性が高まっているのが明らかだ。(私のアルミニウム製の背面は運悪く落とした時に傷が付いてしまい、ちょっとみすぼらしい感じに見える。)

初代の iPhone と iPhone 3G との違いは、素敵だけれども角張った感じの初代 iPod と、ぐっと小さく角も丸くなってメカニカルスイッチからタッチベースのスクロールホイールへと切り替わったその後継機たちとの違いの大きさに比べれば、比較にならないほど少ない差異だと言える。その差異は、例えて言えば第三世代の iPod と第五世代の iPod の違いのようなものだと考える方がよいだろう。今回はすべて微調整の世界の話だ。

全体的に、iPhone 3G ははっきりと動作が速く感じられる。これが iPhone 2.0 ソフトウェアにおけるこの電話機に合わせた最適化のためなのか、それともプロセッサが高速になったためなのかは定かでない。Apple はプロセッサ速度について語るつもりはないようだ。

もっとパワーを、Scotty! -- このブリーフィングの中で、iPhone および iPod マーケティング主任の Greg "Joz" Jozwiak が、何も言わずに私に小さなプラスチックと金属製のものをそっと手渡した。私はそれを手のひらに乗せて考え込んだ。「ふむ。片方の側に金属の出っ張りが2つ、これは電源に違いない。反対側にはスロット、たぶん USB ポートだろう。プラグ、ポート。プラグ、ポート。」ほんの一瞬の後、私の頭脳は答を出して、こうささやいた。「なんだ、こりゃあ電源アダプタじゃないか。ただ、これまで見たことのあるどんなものより小さい、というだけだ。」

それが答だった。この超小型のアダプタは、伝導性を提供するに足る金属をかろうじて収められるぎりぎりの大きさのように見える。これもまた、Apple の全体的なデザイン哲学の一面だ。たとえ、どこか他のメーカーが iPhone の工業デザインの見栄えと感触を真似することができたとしても、やはりその会社はあなたに不格好な黒い電源レンガを付属品として送りつけてくることだろう。

specs_charger20080609

Tag、君だったのか -- Jozwiak は、新しい iPhone に内蔵のカメラは基本的に以前のものと変わっていないが、画像の扱いと処理が改善されており、また GPS チップが利用可能となったことによって写真にジオタグを付けることができるようになった、と述べた。GPS が現在の緯度と経度と認識する数字によって写真をマークするのがジオタグだ。

業界標準の写真用メタデータを使って、ジオタグの付いた画像をアップロードすればロケーションベースのマーキングをサポートするサービスがあなたの写真を地図の上に置いてくれる。Flickr は、この種のサービスで最初のものではないが、大手のサービスでジオタグをサポートしたのはここが最初だった。

また、私は GPS がバッテリ寿命および同意の問題に関連してどのように動作するのかについても詳細情報を少し聞き出すことができた。GPS は、場合によっては危険なものとなり得る。例えば、あなたが自分の居場所を知られたくないと思ったらどうだろうか? それに、GPS はバッテリの消耗の原因となる。Jozwiak が述べた言葉によれば、GPS 機能はあなたがそれを使っている間のみ動作する、これはバッテリ寿命と機能性とを両立させるため不必要なバックグラウンド活動はしない、という全般的な哲学のあらわれだ、とのことだった。

あなたが Maps アプリケーションを使う際、GPS による位置測定と追跡の機能を使用するかしないかを選ぶことができる。同様に、開発者向けに提供されている Core Location 機能を何らかのプログラムが使おうとすれば、iPhone は(どの機種でも)まず最初にあなたの同意を尋ねてくる。Core Location は GPS、Wi-Fi、それにセルラー基地局を使った位置測定をする。(それとは別の問題として、私は GPS による道順情報が iPhone から転送して取り出せるのか、それともこの道順は Steve Jobs がデモしてみせたように Maps 自体の中に表示されるだけなのかを知りたい。)


SlingPlayer Mobile が Slingbox オーナーを iPhone に導く

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週 Apple の Worldwide Developers Conference が開催された Moscone 西館近くの、とあるコーヒーショップで、Sling Media 社の人たちが私に、同社のビデオ・プレースシフト用ソフトウェア SlingPlayer Mobile の概念実証用バージョンを iPhone と iPod touch の上で動かしてみせてくれた。このソフトウェアは Palm OS、Windows Mobile、それに Symbian ハンドヘルド上では既に入手可能で、テレビから離れた場所にいるユーザーが自分の Slingbox 機器からのビデオを観られるようになっている。

遠隔でテレビを観るために、iPhone や iPod touch は素晴らしく適した機器だと言える。高速の Wi-Fi 接続がある場合には特にそうだ。Sling Media 社の概念実証用アプリケーションでビデオを観るのは楽しく、ビデオはくっきり鮮やかで、このソフトウェアの遠隔コントロール機能を使った際の遅れもほんのちょっとしたものに過ぎない。高速のインターネット接続で SlingPlayer デスクトップソフトウェアを使っている際の遅れと体感的にはそう変わらない。全体として、この iPhone 用アプリケーションは洗練の度が増していることがはっきりと分かる。Sling 社の開発者たちは巧みに WebKit の利点を利用して HTML や CSS を使いこなし、ライブのビデオの画面上に視聴のコントロールやチャンネルのお気に入りアイコン、その他の機能を上書き表示している。

SlingPlayer-Mobile

奇妙なことに、Sling Media は Apple 社のコンタクト相手から熱烈な反応を得たと言っているにもかかわらず、Apple が iPhone 開発者のプログラムに受け入れた 4,000 の開発者たちのリストに同社は載っていない。その結果、SlingPlayer Mobile がいつ iPhone ユーザーたちに利用可能になるのか、あるいはそもそも利用可能になるのかどうかさえ、Sling 社としては言うことができない。今のところ、この概念実証用ソフトウェアはハックされた iPhone あるいは iPod touch の上でしか動作せず、同社の外部の人間に配布されることはない。

この iPhone 開発者プログラムには Apple が受け入れたよりもはるかに多数の応募者 (およそ 25,000) があったので、この状態にあるのは Sling Media だけではない。Sling 社が受け入れられていないことの最もありそうな理由は、Apple が単に受け入れるべき開発者の数を管理可能な数に制限しているだけだ、ということだろう。(この件に関してもっと詳しいことは、Rogue Amoeba もまた受け入れられなかったことに関する Paul Kafasis のコメントにも記されている。)私としても、それだけが理由だと願いたい。例えば、Apple が意図的に Sling 社を排除して仲間はずれにし、iTunes のビデオ売上げやレンタルとの競合を避けようとしたなどという可能性は考えたくもない。AT&T の方も、もしも非常に多くの iPhone ユーザーたちが Wi-Fi を使わずセルラーネットワーク経由で Slingbox ビデオを観始めたならばバンド幅使用量がどうなるかについて心配なのかもしれない。けれども、船は既に出航している。AT&T や、他のキャリヤの顧客たちは、他のバージョンの SlingPlayer Mobile を使って既にワイヤレスでテレビを観ているのだ。

私が期待するのは、Apple が近いうちに Sling Media の開発者申請を承認してくれることだ。彼らは素晴らしい仕事を成し遂げて、iPhone や iPod touch の上で素晴らしい見栄えのソフトウェアを作り上げた。このソフトウェアがあれば、旅する戦士たちのために、これらのハンドヘルド機がますます素晴らしい選択肢となるのだから。


iPhone 3G は実際には 160 ドルの値上げ

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

あの現実歪曲フィールドが薄れてゆくにつれ、私は iPhone 3G をよく思わなくなってきた。誤解しないでほしいのだが、私の不満というのは iPhone 3G自体についてのものではないし、その価格についてでもない。そうではなくて、米国の消費者にとって、月々の料金が高くなることによって、最終的なコストが元の iPhone に比べてどれだけ _高価に_ なるかということについてのものであり、さらにその値上げ分を Apple と AT&T が潜在顧客から隠していることについての不平だ。(どうやら、ほかの国々では事情が異なるようだ。米国以外では iPhone 3G の料金プランにほとんど変更がない。)

Apple の iPhone 3G についてのキャッチコピーは "Twice as fast. Half the price"(速さは2倍、価格は半分)というものだ。実際、新しい 8 GB iPhone 3G の価格は 399 ドルから下がって 199 ドルになった。しかし、16 GB iPhone 3G は 499 ドルから 299 ドルへと、やはり 200 ドルの値下げで、元の値段の半分にはなっていない。まあ、これは販売促進用の宣伝文句なのだから、ある種の文学的許可を与えるのにやぶさかではない。2つのモデルのうち片方が半額になったとすれば、このキャッチコピーを正当化するのに十分だろう。

話がクサくなり始めるのはここからだ。iPhone 3G という名の由来となっている 3G セルラーネットワークによって、電池の寿命は短くなり、コストが高くなる。"Apple、iPhone 3G を 2008 年 7 月 11 日に発売と発表"(2008-06-09)で伝えたように、個人向け無制限データプランは、月 39.99ドルからの音声プランと組み合わせた場合、月 30 ドルで、元の iPhone プランより 10 ドル高くなる。(ZDNet.com に、 個人向けおよび家族向けの音声プランの料金表がある。家族プランでは回線ごとに 10 ドルを加えなければならないことに注意。ビジネスデータプランは月 45 ドルで、これも音声プランと組み合わせる必要がある。)

だから、iPhone 3G を購入するのは今までよりも 200 ドル _安く_ なるかもしれないが、月々の料金は、AT&T との2年契約で 240 ドル _高く_ 支払うことになる。契約料金の合計が 1,440 ドルから 1,680 ドルになるためだ(以前は、音声プランとデータプランの最も安い組み合わせは月 59.99 ドルだった)。いったいどれだけ安くなったというのだ?

ちょっと待った。さらに悪いことがある。Om Malik が、AT&T Mobility の社長兼CEO Ralph de la Vega にインタビューしたところでは、SMS メッセージがデータプランに含まれなくなるので、それに対しても追加料金を払わなければならない。以前は、データプランには月 200 通の SMS が含まれていた。AT&T の Messaging 200 プランは、200 通の SMS メッセージを含むが、月 5ドルだから、iPhone 3G の SMS プランも同じような金額になるだろう。

(iPhone 3G の SMS 料金の詳細はまだ明らかになっておらず、AT&T のライブチャット・カスタマ・アシスタンスの担当者も、それがいくらになるのか開示する意志ないし権限を持っていなかった。AT&T の広報担当者はわれわれに対し、iPhone 3G の発売日が近づいてから SMS 価格の詳細を検討する予定だと述べた。)

そういうわけで、iPhone 3G の月々の最小のコストは 75 ドルになり、2年間を通じたコストは 120 ドル上がって合計で 1,800 ドルになるから、8 GB iPhone 3G の所有およびサービスの総コストは 2,000 ドルにもなる。これは元の 8 GB iPhone(最初の値下げ後のもの)の所有およびサービスの総コスト1,840 ドルと比べると、160 ドルの値上げとなる。

AT&T のプリペイド GoPhone プランはどうだろう。伝えられるところでは、Apple は初代の iPhone でこれをオプションとして要求した。だが、残念ながら、PhoneNews.com が伝えるところでは、AT&T はためらいがちに、GoPhoneプランは iPhone 3G では利用できないと認めたそうだ。

どうやら2年間の契約からは逃れられないようだが、ただし現在の iPhoneユーザの既存の契約は2年間延長されるわけではない(単純に2年間の契約が再び始まる)。iPhone のハッキングコミュニティに何が起こるかはまだ分からない。彼らは iPhone の歴代のソフトウェアのロックをはずし、ほかの、おそらくはもっと安価な携帯電話業者で使うことを可能にしてきた。Apple の国際展開によって、ほかの国でロックをはずしたいという欲求の多くが取り除かれ、そして米国では、iPhone の購入から 30 日以内にアクティベートしない人に対して何らかの罰が科せられるようだ。

これまでは、iPhone を購入してから iTunes を使ってオンラインでアクティベートすることができたので、アクティベートをせずにロックをはずすことが簡単にできた。しかし、それが大きく変わって、iPhone 3G は Apple か AT&Tの店舗で対面販売で購入してアクティベートしなければならなくなる。これにより、10 分か 12 分時間がかかるだけでなく、アクティベーションを回避することがほとんど不可能になる。最初の数日は行列がすごいことになるだろう。それぞれのやり取りが、2007 年に iPhone が発売されたときよりもずっと時間がかかるからだ。そのときは、購入した人は iPhone を家に持って帰ってオンラインでアクティベートすることができた。(おそらくこれは、現在のAT&T ユーザが既存の電話番号を移行する場合、あるいは現在の iPhone ユーザの場合には、もっと簡単なプロセスとなるだろう。電話機の SIM カードを単純に入れ替えてプランを更新するだけではないか?)

この変更の理由は、AT&T と Apple との契約が見直されたことにある。月々の料金の一部(ある推定によれば月 18 ドル程度)を Apple にもたらしていた収益分配契約がなくなった。その代わりに、AT&T は Apple に対する iPhone1台ごとの支払いを増やす。この販売奨励金によって、消費者にとっては初期費用が安くなる。AT&T のプレスリリースによれば、この改訂された合意は「機器メーカーと携帯電話業者とのあいだの従来の合意と整合性があり」、「どちらの iPhone 3G モデルも魅力的な価格で提供されることによって、潜在的な市場を拡大し契約数の増加につながる」。つまり AT&T は、電話機の初期コストを下げて月々の料金を上げることにより、2010 年までには、これまでの収益分配方法よりも多くの収入を得られると信じているのだ。これはAT&T の次の言葉でも裏付けられる。「iPhone 契約者による月当たりの平均収益は、弊社の契約者全体の平均の2倍近い。」

Apple と AT&T がマーケットサイズや収益性を拡張しようとすることについては、私は問題だとは思わない。また、iPhone 3G の全体的なコストについてすら、大きな問題があるとは思わない。そのコストは、似たようなスマートフォンとそれに対応するサービスプランと、大まかに言って同等であるように思われる(Gizmodo の表を参照)。

これらのことで私の癪に障るのは、Apple と AT&T のどちらもが、iPhone 3Gが安くなったと大騒ぎしていることだ。Apple はキャッチコピーの中で「価格は半分」と謳っているし、AT&T はプレスリリースの中で「199 ドルからという価格は一般市場に対する魅力を大幅に拡大します」と言っており、初期コストを下げることが「契約数の増加につながる」と厚かましくも述べている。確かに初期購入価格は安くなったが、月々の料金が高くなったことを考慮に入れない人がいるとしたら、だまされているか単にオツムが足りないかのどちらかだ。このようなトリックで数字に弱い人たちから利益を得ようというのがマーケティングにおける標準的な慣行だということは知っているが、それにしてもやはりこれは後ろ暗いことのように感じられる。

もちろん、今では Apple は単なるメーカーに過ぎないということは認識している。とりわけ、収益分配プランがなくなってしまったのだから。しかし、ここで問題にしているのは、音声プランやデータプランがなければ本質的に役立たずの携帯電話であり、そしてそのプランの提供元は AT&T ただ1社しかない。だから、コストについて話をするには、初期購入価格に加え、月々のサービス料金を考慮に入れなければならないのだ。


Palm Centro: 元祖のスマートフォンを見直そう

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

携帯電話やスマートフォンについて語るとき、部屋に 800ポンドのゴリラがいたままではそれを語らずに済ますことはできない。そこで、ここではとりあえずそいつをちょっと脇にどけて、 $99 の Palm Centro は決して iPhone ではないという前提のもとに話をすることにしよう。でも、Apple から発表されたばかりの iPhone 3G に比べればほんの僅かの値段ながら、Palm のこの最新のスマートフォンはスリムで多才なアップデートとして同社の PDA ラインナップの一翼を成し、一部のユーザーにとっては iPhone に比べて一つの大きな利点を持っている。つまり、実際のキーボードが付いている点だ。

AT&T および Sprint のワイヤレスネットワークでは既に使え、新たに Verizon Wireless でも使えるようになったこの Centro は、よりスリムな、より格好良い一機種として Palm Treo ファミリーの携帯電話に加わり、毎日の使用のために常時持ち歩くのがより現実的に考えられるものとなっている。Motorola MicroTAC Elite が超薄型のものと考えられてからもう長い時が経つが、多くのスマートフォンはまだまだ栄養摂取過多、エクササイズで痩せる必要がある。それとは対照的に、この Centro は幅も狭くて握りやすく、横幅の点では Motorola のより最近の機種、例えば RAZR や ROKR などに近い。

centro_tungsten_layered

キーボードこそ最も大事 -- 幅が狭いという Centro のデザインの特長における唯一の難点は、Palm がハンドヘルド機に提供してきたものたちの中で、これまでなかったほどに最も小さなキーボードを搭載している点だ。私はしばらくの間 Palm Tungsten C を使っていたことがあるので、ごく小さなキーが互いに近接して並ぶという考え方に慣れてはいたものの、Tungsten の場合は Centro よりも丸々 1 インチ幅が広いので、より大きな、キーとキーの間隔もずっと離れた配置をする余裕があった。継続してタイプしてみればその違いは明らかだ。Centro でたくさんタイプしても平気なのは、比較的小さな手の人たちだけだろう。たとえ五分の一インチ(半センチ)でもこの Treo に余分の幅があれば、タイプの楽さという点で大きな違いを生むだろうと思える。

centro_tungsten_side

でも、もしもあなたが比較的小さな手を持っているか、または太い指でも器用に使いこなせるような人ならば、電子メールやテキストメッセージを書く際に、キーボードがあれば実に大きな違いが生まれる。私は、数分間試してみただけで一度に数個のセンテンスを打ち込めるほどに熟達することが可能だと分かった。この点については iPhone でも同様のことが言える。けれども、たとえ iPhone の順応的タイプ認識機能があった上でさえも、これは毎度三文字ごとに一文字を飛ばしてタイプした時にもあなたが何をタイプしたかったのかを推量してくれるというものだが、それでもやはり本物のキーボードがあった方がいいと答えるユーザーは多いのだ。

純粋に Palm -- Centro のもう一つの重要な利点は、これまで Palm ハンドヘルドを使ってきた人たち、多くの場合長年にわたっていくつもの機種を経て使い続けてきた人たちにとって、馴染みのあるものだという点だ。悪口を言う人たちならば、少しずつアップデートされ徐々に改良されてきたこのユーザーインターフェイスは大きく後れを取ってしまったと言うだろうが、私の意見ではこの Centro の Palm OS はクリーンなシンプルさを提供できており、それは決して過小評価すべきではないと思う。

初代の Palm ユーザーインターフェイスを使ったことのある人なら、これがどんなに進化を遂げたか、即座に分かるだろう。Applications スクリーンには以前より多くのアイコンがある。でも数代前に、Palm はこれらのアイコンをより洒落たものにしカラーも付けたし、その上(オプションで)カテゴリーにグループ分けしてナビゲーションが簡単になるようにもした。

最近の他の Palm ハンドヘルドと同様、この Centro も Mac OS X との間にちょっと変わった関係を持っている。Palm Desktop ソフトウェアはもう何年もアップデートされていないが、これを使ってコンタクト情報、カレンダー、その他の情報をハンドヘルドと Mac の間で同期させようと思えば、十分にできる。また、Palm の HotSync ソフトウェアは iSync と協力して働くようになり、ユーザーが Apple の Address Book と iCal を使い続けることもできるようになっている。私たちはたぶん大多数の Mac ユーザーがそちらの方法を選ぶのではないかと思う。特に、Palm を使うのが長年の習慣になってはいない人ならばきっとそうするだろう。

(より現代的な、機能豊富な同期の方法として、Mark/Space から $39.95 で出ている The Missing Sync for Palm OS を使うやり方もある。ただ、私は個人的に、付属の Palm HotSync ソフトウェアだけで十分私の必要を満たしてくれていると思う。少し古いバージョンについてだが、Jeff Carlson の記事“Missing Sync for Palm OS 5.0 が Palm 機との接続を今風に”(2005-11-07) に、このソフトウェアで何ができるかについての詳しいことが書いてある。)

この Centro にはウェブブラウザと電子メールクライアントが内蔵されている。いずれもそのジャンルの中でとりたてて際立ったものとは言えないが、どちらもハンドヘルドのアプリケーションとしては十分有能だ。ウェブブラウザは、グラフィックスの表示はできるもののページレイアウトの点であまり見るべきものはない。Palm のウェブブラウジングは登場してからここ数年間あまり変わっていない。ただ、Blazer ブラウザはさまざまのページを驚くほど巧みに表示してくれる。

驚くことはない -- 携帯電話の使い方に慣れていて、かつ Palm ハンドヘルドの使い方にも慣れている人には、これ以上あまり言うことはない。(初めて使うスマートフォンを選ぶ際に Palm に飛びつく人は比較的少数だと思うが、そういう人たちがいることも確かだ。)オーディオの音質は悪くなく、電波の受信感度は受信状態の悪い地域でさえも妥当なものだ。(わが家の地下室でテストするのが簡単だ。ここでは iPhone も私の Verizon Wireless フォンも、やはり受信にトラブルが起こる。)また、バッテリは使ったり使わなかったりという普通の使用状態で一日から三日保つ。(おそらく毎日充電するのがよいだろう。)

この Palm Centro のベストの機能はなんだろうか? 私が思うに、それは Palm OS 版の SlingPlayer Mobile が使えることだ。これは、Sling Media 社のプレースシフト・ビデオ視聴ソフトウェアのハンドヘルド版だ。私は Slingbox を TiVo に接続してみて、ライブのテレビ番組も、録画した番組も、どちらもきれいに見えることに驚いた。セルラー接続経由で Centro から TiVo に届く遠隔コントロール信号の遅れも、ブロードバンド接続経由で Sling のデスクトップソフトウェアを使う場合に比べてそれほど悪いものではなかった。

centro_sling

あなたもおひとついかが? -- この Centro が有能な電話機であり、十年間にわたる Palm ハンドヘルドの伝統の立派な継承者であることに疑問の余地はない。iPhone の無い世界ならば、Palm の Centro と Treo スマートフォンこそが、奇妙な挙動をする Windows Mobile や、塀で囲まれた庭の中にいる RIM の BlackBerry に代わるべきものと言えるだろう。けれども Apple がこの分野に強烈な製品を引っ提げて登場した今、Centro が最も魅力を発揮するのは、Palm のある暮らしに愛着を持っている人々や、あるいはスマートフォンならほんのちょっとしたもので十分だと思っている人々、つまり iPhone は価格も高すぎ機能も多すぎると思う人々に対してなのだろう。

Centro は今が一番魅力的だ。2008 年 7 月 6 日までの期間、$50 のリベート (払戻金)が付くのでこの電話機の価格 $99 が実質 $49 となる。音声通話 (450 分間) とデータプランは最も安いもので月額 $75 だが、キャリヤ三社の間で少しずつ料金に違いがある。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、16-Jun-08

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>


TidBITS Talk/16-June-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Service Scrubber で Services メニューを掃除_-- ある読者が、「キーボードとマウス」環境設定パネルでもキーボードショートカットの割り当てを変更できることを指摘する。(メッセージ数 1)

Time Capsule バックアップは転送中に暗号化されるか? -- Time Capsule への暗号化されたバックアップについて、また Time Capsule を使って一台のマシンを複数のドライブにバックアップすることについて、TidBITS Talk コミュニティーに助言をお願いしたい。(メッセージ数 1)

/Volumes 内にあるフォルダの分身の術に対処する -- ファイルの奇妙な挙動について書いた Adam の記事を読んで、ある読者が自分のシステムに 50 GB 以上ものファイルが隠れているのではないか(あるいは何らかの方法でディスク上にそれだけの容量を使っている)と質問する。Terminal を使って調べてみれば、原因が分かるかもしれない。(メッセージ数 6)

MobileMe とは何とまあ (Apple が私の本を短期間で駄目にする記録更新) -- .Mac から MobileMe への切り替えが同期の面では何をもたらすか、また Apple の新しいプッシュデータモデルに関して、読者たちが考えを述べる。(メッセージ数 6)

Apple、iPhone 3G を 2008 年 7 月 11 日に発売と発表_ -- 読者たちが iPhone 3G の発表に反応を寄せ、この新しい機器にアップグレードすべきか、Apple がどのようにしてこれを世界中の市場に出そうとしているのか、などの質問を提起する。(メッセージ数 24)

GPS への誤解 -- iPhone 3G の GPS 回路は、自動車用の GPS ユニットと同じくらい電力を浪費してしまうのか? それとも電力の消費は無視できる程度なのか? また、この GPS 機能を使えば交通渋滞を迂回する助けになるのかと読者たちが議論する。(メッセージ数 13)

iPhone 3G は実際には 160 ドルの値上げ_-- iPhone 3G の携帯電話プランの価格は、米国内では既存の iPhone 用プランよりも高くなる。では、他の市場でもそうなるのか? (メッセージ数 19)

GyazMail -- この電子メールソフトウェアについて読者たちが議論し、特に Apple の Mail との比較が話題になる。(メッセージ数 3)

コンピュータをクリーンに保つ -- あなたの古い Mac は調子が悪くなっていないか? ファンやその他内部のコンポーネントに積もったホコリが問題なのかもしれない。(猫の毛が問題を悪化させる!)(メッセージ数 11)

iPhone 3G、これをモデムとして使えるか? -- 残念ながら、iPhone 3G を繋いでモデムとして使うことはできない。(メッセージ数 4)

Back to my Mac に Back する -- システム環境設定の Back to My Mac (どこでも My Mac) パネルに新設されたオプションは、Mac OS X 10.5.3 の下で問題点の診断に役立つかもしれない。読者たちが、この機能がうまく働くようにするための他の方法についても提案を寄せ合う。(メッセージ数 3)

Quicken に代わるもの... -- 市場にある金銭マネージャは Quicken だけではないが、それに代わるべきものが注目を集めることはあまりない。読者たちが互いに体験談を語り合う。(メッセージ数 3)


tb_badge_trans-jp2 _ Take Control Take Control 電子ブック日本語版好評発売中

TidBITS は、タイムリーなニュース、洞察溢れる解説、奥の深いレビューを Macintosh とインターネット共同体にお届けする無料の週刊ニュースレターです。ご友人には自由にご転送ください。できれば購読をお薦めください。
非営利、非商用の出版物、Web サイトは、フルクレジットを明記すれば記事を転載または記事へのリンクができます。それ以外の場合はお問い合わせ下さい。記事が正確であることの保証はありません。告示:書名、製品名および会社名は、それぞれ該当する権利者の登録商標または権利です。TidBITS ISSN 1090-7017

©Copyright 2008 TidBITS: 再使用は Creative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2008年 6月 21日 土曜日, S. HOSOKAWA