TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#936/14-Jul-08

私たちの何人かはこの暑くて長い金曜日を行列に並んで過ごしたが、それはすべて新しい iPhone 3G を手に入れるためだった。Rich Mogull がこの 3G と iPhone 2.0 ソフトウェアを初めて週末に使ってみた印象を語り、一方 Jeff Carlson はたかが携帯電話一台のために人々がなぜ何時間も行列したいと思うのかを検証する。また、Jeff は新しい AIM アプリケーションを使って iPhone から無料で SMS テキストメッセージを送れる方法があることを発見する。Apple は、これらのリリースで同社のサーバを青息吐息の状態にするだけでは飽き足らず、気まぐれにも MobileMe サービスまでスタートさせた。Glenn Fleishman が、Apple がこの作業で断念の一歩手前まで追い詰められながら、どうやら体勢を持ち直すことに成功したらしいことを報告する。iPhone 関係以外のニュースとしては、U.S. Justice Department(米国司法省)が Apple と Steve Jobs に対する同社の株式のバックデーティング問題に関する調査を打ち切ったこと(ただし民事訴訟および SEC (証券取引委員会) の訴訟はまだ残っている)をお伝えし、Joe Kissell がストレージの未来における潮流となるべきスパースバンドル・ディスクイメージについて説明し、また Adam は甘党ぶりを発揮してカスタム印刷を施したチョコレート菓子 M&M を味わう。

記事:

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自分だけのテキストと写真を印刷した M&M's を作ろう

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

こいつはクールだ。私がたった今 Photojojo ニュースレターで目にした記事によれば、Mars 製のあのチョコレート菓子、キャンディーでチョコレートを覆った M&M's に、テキストと(そしてこれが新しいところだが)写真も印刷できるという。もちろんこれはあなたの HP インクジェットプリンタに M&M をねじ込むとか、そういうことではない。想像してみればちょっと愉快だが。そうではなく、あなたは My M&M's ウェブサイトを訪れて、自分だけの M&M's をデザインできる。注文一回ごとに最大四つのデザイン、写真を二つとテキストメッセージを二つまでを、作ることができる。写真は、およそ 1 センチ四方のサイズに黒の食品用インクで印刷してきれいに見える必要がある。また、Twitter の 140 文字までという制限が厳しいと感じるあなたも、メッセージは 2 行まで、各行に最大 8 文字、という制限に取り組まなければならない。明らかなことはさておき、それを超えたところで厄介事がない訳ではない。この Mars 社は M&M の表面に印刷を許される内容に関してはやたらにうるさいところがあり、「不適切な」画像や、問題のありそうな単語や語句、ビジネス関係の名前や商品名、薬関係の用語、さらには 1 文字も許されない。言うまでもなく、 価格は決して安くない。7 オンス (198 グラム) の袋が $11.99 もして、注文は一度に少なくとも三袋以上をまとめてしなければならない。


Apple 株のバックデート問題、取り調べ終了

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

The Wall Street Journal が伝えるところでは、Justice Department(米国司法省)は、Apple の経営陣がストックオプションを適切な会計処理や情報開示をせずにバックデートした件について、法に触れるかどうかの刑事調査を終了した。Apple も司法省も、捜査が終了したことを確認する声明を発表していないが、容疑がかけられている人たちの代理人である何人かの弁護士が同紙に語ったところでは、調査は終了したと伝えられたそうだ。しかし、SEC(米国証券取引委員会)による民事訴訟と、個人による訴訟は、継続中だ。

SEC が調べているのは、Apple が、Steve Jobs やほかの経営陣を含む多数の従業員に対してストックオプションを発行し、その日付を、オプションが付与された日よりも前にするという、いわゆる _バックデート_ に関して、Appleが摘発されたためだ。ストックオプションというのは、株式を購入する権利(ただし、義務ではない)で、購入時点の株価にかかわらず、特定の価格で購入することができる。

ストックオプションをバックデートすることによって、企業は受け取り人にたなぼたを授けることができる。企業がオプションをバックデートする状況はさまざまだが、通常の、付与日と同じ日付のオプションよりも、大きい損失として計上しなければならない。株主の公平性を損ねるからだ。研究者や The Wall Street Journal が、この広く長くおこなわれている習慣を暴露し、多くの企業の経営陣が、起訴されたり、株主から訴えられたり、解雇されたり、その3つすべてを経験したりした。(バックデートの背景について詳しくは、2006-10-06 の "Apple、オプションのバックデート操作について報告" 参照。)

今回の捜査は2年近くも続いた。平行して SEC の調査もおこなわれ、Appleの元取締役2人に対して民事訴訟が起こされた。元最高財務責任者 Fred Anderson は、この件についてもほかについても罪を認めなかったが、すぐに和解し、利益分と利息、そして罰金として 370 万ドルを支払った(2007-04-30 の "前 Apple 従業員、ストックオプションのバックデーティングで訴えられる" 参照)。Anderson は、2004 年に Apple の CFO としての職を友好裏に退き、2006 年 10 月に Apple の取締役会からバックデート問題に関する最初の報告があった日に、取締役を辞職している。

Apple の元法務顧問 Nancy Heinen も訴えられ、同紙が彼女の弁護士を引用するところでは、SEC からの民事訴訟は継続している。Anderson と Heinen にかけられた容疑は、おもに Steve Jobs に付与されたオプションについてだが、このオプションは行使される前に取り消され、適切に制限され会計処理された 1000 万株の株式付与に置き換えられた。(Jobs は、2006 年に制限が終了すると、税金を支払うために約 3 億ドル分の株を売却した。彼はまだ 550万株を所有しており、これはおよそ 10 億ドルに当たる。)

Apple はこの件に関する自身のレポートを、元副大統領であり取締役でもあるAl Gore を責任者とする内部委員会から、2007 年 1 月に発表している(2007-01-08 の "Apple、ストックオプション問題のレポートを発表" 参照)。Heinen の件が裁判にならず、更なる事実が明らかにならなければ、このレポートが公的な説明の役を果たすだろう。

司法省の捜査が終了したらしいということは、Jobs が裁判にかけられたり、和解の条件として辞職したりするということも考えなくてよいということだ。ここ何か月かこの件は棚上げになっていたようだが、株式市場と、Apple の経営者に突然の変更があるかもしれないと疑っていたアナリストたちは、これで落ち着くだろう。

バックデート問題の大騒ぎを率いていたものの1つが、Daniel Lyons が Fake Steve Jobs というブログ名で書いていたブログ The Secret Diary of Steve Jobs だ。Lyons は、oPtion$ という本を書き、この小さなスキャンダルをフィクション仕立てにして皮肉った(2007-10-24 の "My Real Breakfast with Fake Steve Jobs" 参照)。

Lyons が最近 Fake Steve ブログ で発表したところでは、彼は偽 Jobs として書くのをやめるという。Lyons は最近、現在働いている Forbes から引き抜かれることになり、Newsweek の技術担当として Steven Levy を引き継ぐ。(Levy はすでに Newsweek から Wired に移っている。)

このタイミングはクサい。Lyons は、彼の大河ドラマが終わることをどのようにして知ったのだろうか。ひょっとして・・・新たな調査の始まりだ。


iPhone 3G と iPhone2.0 の第一印象

  文: Rich Mogull <rich@tidbits.com>
  訳: 湯本 敬<ymo@big.or.jp>

製品を評価するのは、執筆者にとって常に、比較的難しい仕事の1つだ。全ての人には、自分自身の個々の好みがあり、評論家はやむを得ずこれらを一緒にプールし、かきまぜて、そして複雑な個人的な経験を数行にまで蒸留する。その文章は、苦労して稼いだお金をどの製品に使うかを決めるために使われる。

Apple は、たった2日の間に、第一世代の iPhone のための iPhone 2.0 ソフトウエアと iPhone 3G のリリースを詰め込むことで、この評価をなおさら困難なものにしてくれた。いや、それは1日のうちに起こる予定だったのだが、Apple のサーバーの過負荷が、計画を狂わせてしまった。それにもかかわらず、同社は、100万台の iPhone 3G が、世界中で、金曜日と日曜日の間に販売され、そして、同じ期間で App Store から1000万件以上のアプリケーションがダウンロードされたと、今日発表した。(Red Sweater Software の Daniel Jalkut の言葉によれば「もしも私が3日で 100 万台の製品を販売したとしたら、私だって何らかのインフラの問題も起こることは予想するさ。」)

金曜日にリリースされた iPhone 3G と iPhone 2.0 アップデートの包括的なレビューを書くのはやめて、以下に私の第一印象だけを書くことにしよう。

ハードウエア -- iPhone 3G は若干幅が広くなったが、ゆるやかに膨らんだデザインによって、全体的に実際よりさらに薄くて幅広な感じになっている。美的見地からすれば、それは改良だが、これは2人のスーパーモデルを比較しているようなものだ。3G は、確実により質感があり、黒のプラスティック製の本体に付いている金属製のボタン(電源、音量、マナーモード設定)は、かなりいい感じで、感触も良い。下部のスピーカーはより小さくなったが、プラスティックに小さい穴があけてあるのではなく、金属製の網になった。

主観的なテストでは、3G の音量は、恐らくオリジナルの iPhone と同程度だが、より良いサウンドを再現する。フルボリュームの場合、それほど安っぽい音はしないし、通常のスピーカーと同程度以上だが、それでも、家の壁を揺らす程ではないだろう。カメラは同じ解像度(2メガピクセル)だが、写真は 3G でわずかに良く見える。だが、相変わらずより高い解像度のオプションはない。

非常に賞賛された非凹型ヘッドホンジャックは、まさにあなたの予想通りで、トレーニングの時や、車への接続などのために、小さいアダプターを持ち運ぶ必要がなくて気持ちいい。プラスティックの筐体はかなりタフで、映画の間に、私のポケットから滑り落ちるときに、小さいかすり傷は出来たが、偶然の落下実験を乗り切った。

3G と GPS -- iPhone 3G の目玉は、増加したデータスピードと、GPS (global positioning system)を内蔵していることだ。3G の接続は、EDGE より顕著に速く、電話の全体的な受信の具合も、より良くなっているようだ。断片的な通信状態のエリアでテストすると、3G がより良い信号を保持している表示になる。- AT&T のネットワークのお陰で、私たちは頻繁にこのテストをすることができる。- ウェブブラウジングについては、今までの所、私のテストでは、EDGE の2倍の速度は容易に出ている。もちろん Wi-Fi の性能にはかなわないが、それでもかなり満足させられている。

iPhone 3G は GPS による現在位置の認識ができるようになった。これは、携帯電話網の三角測量データと Skyhook社 (Wi-Fi ネットワークによるマッピング) からの位置データを組み合わせることで、素晴らしい結果を生んでいる。(第一世代 iPhone は、位置を証明するのに、携帯電話網の三角測量データと Skyhook だけを使用する。)あなたが、Maps アプリケーションに切り替えると、素早くあなたのおおまかな位置を示す大きな輪を表示し、続けて数秒以内に、あなたの正確な位置を青い点がさし示す。

初期の噂では、道順の指示について、GPS が十分正確でないということだったが、それが驚くほど正確であって、かつ伝統的な GPS 装置を立ち上げるよりはるかに速いことが分かった。GPS についての心配の1つは、最も良い受信状況にするためには、どこに電話を置くかということだ。しかし、iPhone 3G は、GPS 信号が弱いと評判の車で、手に持った状態でさえ、何とか正確な位置を保持した。もしも Apple がサードパーティーによるナビゲーション・アプリケーションを認可してくれたら、音声による道順指示をすることさえ、十分可能な正確さになっているだろうと思える。Apple の開発者契約では、開発者がそのようなアプリケーションを作れないように規定されている。

3G 無線通信のベストな機能の1つは、電話とインターネットを同時に利用出来ることだ。友人とチャットをしながら映画の開演時刻を調べたり、電話で話をしながら GPS と Maps を使ったりもできる。それはたぶん運転中は大変危険な行為であるだろうが、少なくともわき見運転をしている間に、車がつっこんだのがどの湖なのかは正確に分かるだろう。

マイナス面については、Apple が注意を促したように、3G 無線通信は、EDGEよりはるかに多くのパワーを消費し、バッテリーの寿命を大幅に縮める。私は頻繁に旅行をする傾向にあり、私の第一世代の iPhone のバッテリーで旅行期間を利用し、しかし普通昼間は丸一日それで通す事が出来た。しかし数日のテストの結果、私が iPhone 3G と旅行を乗り切るためには、携帯用のバッテリーパックを必要とするのはあきらかだった。(私は APC UPB10 を注文した。APC UPB10 は、私のバッグで運ぶことができるくらいコンパクトで、他の外部バッテリーと異なって直接iPhoneを再充電できる。)

iPhone 2.0 ソフトウェア -- 第一世代の iPhone と、iPhone 3G との両方で iPhone 2.0 ファームウェアをテストしてみて、ネットワークのパフォーマンスという一点だけを除けば双方のパフォーマンスは完全に同等であるように思う。MobileMe と App Store を除き、その他の変更点の多くは細かいことながら歓迎すべきものだ。メールのメッセージが、ようやく複数個まとめて消去したり移動したりできるようになったし、Contacts アプリケーションは現在 Phone アプリケーションが使っているのと同じコンタクトリストに行くし、Calculator アプリケーションは iPhone を水平方向の位置に回せば科学計算用電卓に変わるし、Calendar がようやく iCal からの複数のカレンダーをサポートするようになった(ただし奇妙なことにあなたが iCal でカレンダーに割り当てたカラーは受け継がれない)し、同時に Home ボタンと電源ボタンを押せばスクリーンショットを撮影してそれを Photos アプリケーションに保存してくれる。ただ、大勢の人たちが切望している2つの機能、カットとペーストの機能と、それから iCal の to-do 項目は、まだ実現されていない。

App Store アプリケーションはなかなか良いデザインだ。異なるカテゴリーを移動したりソフトウェアを見つけたりするのが簡単にできる。(App Store は iTunes にも現われる。)アプリケーションに対するユーザーのレーティング(評価)も直接このストアに入っている。(ただし奇妙なことに、iTunes でアプリケーションをブラウズしている時には表示されない。)非常に素敵だと感じられたのは、App Store があなたがインストールしているアプリケーションについてアップデートが出ているかどうかチェックしてくれる点だ。ホームスクリーンにある App Store アイコンが、何個のソフトウェアアップデートが入手可能かを表示する。購入も簡単で、幸いなことに料金を請求される前に、あるいは無料のアプリケーションならばダウンロードする前に、必ずあなたの iTunes アカウントのパスワードを尋ねてくる。新しいアプリケーションのアイコンが即座にホームスクリーンに現われ、小さなステータスバーがそのインストールの進行状況を表示する。

この App Store のマイナス面といえば、必ずしもすべてのアプリケーションが同じ品質に作られていないということだ。多くのアプリケーション、例えば AIM や The New York Times リーダーなどは、初期バージョンでのパフォーマンスの問題や、頻繁にクラッシュするなどの悩みを抱えているようだ。特に、位置測定に関係したアプリケーションのいくつかはシステムをロックアップさせたりロケーションサービスをクラッシュさせたりすることがあるように思え、Maps を再び使えるようにするためにシステムを再起動しなければならない事態になることもある。また、何というか... しょうもないアプリケーションもたっぷりとある。

でも、いくつかある悪いアプリケーションや時折のクラッシュについて文句を言い立てるのは、サードパーティアプリケーションのサポートが本当にどれほど大きく状況を変えようとしているのかをよく考えれば、ほとんど利己的な文句言いに過ぎないものと分かるだろう。映画を見つけたいなら、BoxOffice をロードすれば、たちまちあなたの周囲半径 5 マイル以内(あるいは 10 マイルでも何でも)にある映画館での上映時刻が分かる。映画館の場所が分からないって? それならたった一回タップするだけで GPS 対応の Maps と道順の案内が見られる。旅行中、自分がどこにいるのか分からなくなって、天気予報が知りたいなら?Weatherbug が、あなたの現在位置についての天気予報を知らせてくれる。有史以前の自動車や、泡の中に入ったかわいらしいお猿さんたちにレースをさせたいなら? インターネットラジオのストリーム放送が聴きたいなら? 口述で to-do 項目を入力して、それをテキストに起こし、あなたのカレンダーに追加したいなら? そういうことがすべて、App Store にカバーされている。(このリンクは iTunes Store に行く。)

ほんの数日間、この 2.0 アップデートと App Store を試してみただけで、未来世界の拡張現実感を本当に実感することができる。そこにおいては、電話機はもはや単なるコミュニケーションのツールでも、時々使って遊ぶポータブルなゲームマシンでもなく、それらを遥かに超えた存在だ。そして忘れてならないのは、こうした多岐にわたる機能が、GPS によるピンポイントの位置測定だけを例外として、すべて第一世代の iPhone や iPod touch を持っている人にも手に入るのだ。

最終的な印象 -- 全体的に見て、iPhone 3G とその前身である第一世代のものとを比べれば、ユーザー体験としては非常に似ていると言える。第一世代のユーザーたちの多くは 2.0 アップデートで十分満足できるだろう。変更点の大半はそこにあるからだ。そのままでも、App Store はフルに使いこなせるし、ロケーションサービスさえも使える。(ただし位置測定の正確度は劣るが。)

それでも、データのヘビーユーザーや、頻繁に旅行する(しかも方向音痴の)人にとっては、iPhone 3G が歓迎すべきアップグレードだろう。インターネットアクセスが実質的に著しく高速化され、その上 GPS は正確、便利、しかもさまざまのサードパーティアプリケーションとうまく統合されている。もしもあなたが第一世代の iPhone で十分満足ならば、アップグレードの必要はないだろう。それでもやはり 3G は、他に類を見ないこの製品の、価値ある第二バージョンと言える。


MobileMe、よろめきながらも、ついに立ち上がる

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

MobileMe は、Apple の長く続いた .Mac サービスを置き換えるものだが、1夜のうちに移行するはずが、先週よろめきながら歩み始めた。(両サービス相互の相違点の概要については、2008-06-09 の ".Mac、MobileMe に変身" 参照。)iPhone 3G の発売と iPhone 2.0 ソフトウェアのリリースによってApple のサーバが活動を停止したことで、このサービスはますますつまずいたが、どうやらようやく性能が安定したようだ。

あなたは、Mac OS X 10.5 Leopard でどうやって MobileMe にアップデートするのかと疑問に思っているかもしれない。これにはちょっとしたワザが必要だ。Software Update に自動的に現れるわけでもなく、(少なくともこの記事を書いている時点では)Apple のダウンロードサポートページからダウンロードできるわけでもない。そうではなく、System Preferences をあけて、.Mac 環境設定パネルをクリックすると、アップデートをダウンロードするよう求められる。アップデートを適用したら、そのまま System Preferences を閉じて、もう一度あけると、.Mac の替わりに MobileMe 環境設定パネルがあるはずだ。Mac を再起動する必要はない。

mobileme_update2

10.4 Tiger やそれ以前の Mac OS X で .Mac がアップデートされるかどうか、あるいはその方法について、現在までのところ Apple は何も伝えていない。

バタバタのお披露目 -- 木曜日のほとんどの時間、詳細情報のないお決まりのメッセージがユーザを出迎えていた。金曜日になると、メッセージが更新されて有用な情報が少し加えられたが、お詫びもなかったし、サービスが復旧するまでの時間の見積もりもなかった。

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「ただいま MobileMe への移行作業を行っていますが、予定よりも長い時間がかかっています。デスクトップメール、iDisk、同期のような重要なサービスはお使いいただけますが、新しい MobileMe ウェブアプリケーションはまだオンラインになっていません。アップグレードが完了するまでお待ちくださるようお願いします。」

MobileMe は 7 月 11 日の金曜日に開始される予定になっていたが、Apple は力仕事を水曜日の夜におこない、木曜日の朝早くには終える予定にしていた。

実際にこのサービスが me.com で始まったのは、金曜日の夜から土曜日の朝にかけてだ。金曜日には、MobileMe の Web 2.0 アプリケーションが断続的に短時間利用できた。

この件についての Apple の公式なコメントは、Mac 業界誌およびマスコミの記事によれば、以上だ。これは、文字数の少ない表現として Twitter で広く使われている言葉を借りれば、"epic fail"(叙事詩的失敗)と言うべきだろう。企業と個々のユーザとの関係をひどく損ねる、重要な転換点だ。

この先はなだらかな道を望んで -- よいニュースもある。新しいシステムは極めて使いやすい。Apple は、デスクトップアプリケーションの感覚をウェブアプリケーションにしみ込ませることに成功している。私が見た中でも最高だ。たとえば、Mail の画面は、もう何年も開発が続いている Google のGmail と比べても、より洗練されていて操作性もよい。連続した項目も連続していない項目も選択でき、ドラッグアンドドロップをしたり、Control とさまざまなキーを使ってメニューを選択したり操作したりできる。たとえば iCalでは、週表示で Control-右矢印を押すと、次の週に進む。

.Mac の同期は、何年にもわたって、私の人生の悩みの種となってきた。挙動は気まぐれで、項目は複製され、不思議な動きをしながら長いあいだ放って置かれていた。MobileMe への移行のあいだ、私のラップトップの Address Bookは固まってしまい、どんなに手を尽くしてみても、同期がまったくできていないのに同期できたと言うしまつだ。(私はデータストアを削除し、同期をリセットし、ディスクのパーミッションを修復した。それでも、"dotmacsynclient" のエラーログに訳の分からないエラーが記録され続け、Google で見つけることはできなかった。Apple の掲示板は、負荷が高いために検索ができなくなっていた。)

私の仕事場のデスクトップ Mac は、私がこれまでいくつかのコンピュータで削除した数百の項目を復元し、その多くは既存の項目の複製だった。.Mac にキャッシュされていたものに違いない。私はすべての連絡先を順に見て、余計なものを摘み取った。私の iPhone は、当初、デスクトップ Mac での変更をMobileMe 経由でうまく拾い上げることができなかったが、最終的には新しいプッシュサービスをうまく扱えているようだ。連絡先の電話番号を変えたり、カレンダーの項目を更新したりすると、それがすべての場所に流れてゆくというのは、ものすごく便利だ。

どうして Apple はこのようなゴタゴタを引き起こしてしまったのだろうか。明らかに、あまりに短時間のスケジュールで、全面的なオンオフ切り替えをしようとしたからだ。それこそ、叙事詩的失敗を生み出す方法だ。もっと頭のよい移行方法としては、MobileMe の立ち上げを遅らせ、現在の登録者だけが少しずつ移行できるように開放し、データストアを .Mac から MobileMe に変換する「移行」ボタンを提供すればよかった。MobileMe のアーキテクチャならこの方法もとれたはずだ。

しかし、Apple は iPhone 3G 発売の成功に多くを賭けており、iPhone 2.0 ソフトウェアと MobileMe をこの新しい電話と同時に登場させることで、最大の衝撃を与えようとしたのだ。だが、彼らの方が衝撃を受けてしまったということは否定できない。


iPhone から AIM 経由で無料の SMS を送る

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

AT&T による iPhone 3G のサービス料金 が初代の iPhone に比べて高くなることは私も予想していた。(音声通話サービスにデータサービスを加えて月額 $30、これは $10 の値上げだ)けれどもこの電話会社は、そこに自社の儲けに繋がる毒入り薬を忍び込ませた。つまり、プランの内容から SMS テキストメッセージングを除いてしまったのだ。その代わりに、今後あなたは 200 メッセージ(初代の iPhone プランに含まれていたもの)に月額 $5 を払うか、1500 メッセージに月額 $15 を払うか、あるいは無制限のメッセージに月額 $20 を払うかしなければならない。FamilyTalk プランに契約した人の選択肢は、無制限メッセージで月額 $30 の追加か、あるいは1メッセージあたり $0.20 だ。

テキストメッセージングはこのテクノロジー時代の 偉大なる呼び物として確固とした地位を既に獲得している。実際に転送されるデータ量が非常に少量なのでそれに見合った料金が課されるからだ。それなのにスマートフォンへのこのサービスに追加料金を課すというのは、残酷としか言いようがない。

iPhone 2.0 ソフトウェアのリリースによって、あなたの iPhone からも SMS メッセージが無料で送れるようになった。(明確を期するために言っておくと、以下に述べることはアメリカ合衆国においてのみ当てはまるようだ。フランス在住の Joe Kissell によれば、あちらの“+33”電話番号にあてて以下に紹介するテクニックを試してみたがうまく行かなかったということだ。)その秘密はあなたの Mac に既存の機能、つまり iChat/AIM を経由して送るのだ。(このテクニックは iPod touch でも全く同様に使えるが、何度も何度も「iPhone または iPod touch」と書くのを避けるために、以下では説明上単に「iPhone」と書かせて頂きたい。)

  1. iTunes で、あるいは iPhone 上で、App Store に行き、 iPhone 用の無料の AIM クライアントをダウンロードしてインストールする。(このリンクは iTunes ストアに行く。)
  2. iChat(あるいはあなたが使っているインスタントメッセージング用のソフトウェアならば何でも)で新しいコンタクト項目を作り、その AIM アドレスをあなたの友人の携帯電話番号の冒頭にプラス記号を付けたものにする。例えば“+12065551212”のような具合だ。
    sms_new_buddy2
  3. iPhone 上で、AIM を起動する。あなたのメンバーリストは AIM のサーバに保管されているので、そのサービスに接続することであなたの新しいメンバーが見えるようになる。
    sms_aim_iphone
  4. そのメンバー名をタップし、テキストメッセージを書き、Send をタップすればよい。
    sms_compose_msg

その相手がメッセージを受け取って返事を書けば、その返事のメッセージは AIM の中に現われる。(ただし、その相手の人は SMS を送信するために料金を払わなければならないことになるが。)

この方法はちょっと手間がかかるので、もしもあなたが頻繁にテキストメッセージを使うタイプの人ならば、AT&T に(あるいはあなたのプロバイダが何であっても; 世界各国で料金プランは大きく異なる)単に SMS アプリケーションを使えばよいだけという便利さの対価としてその料金を支払う価値があるだろう。けれども、もしもあなたが急いでちょこちょこっとメッセージを書き上げて、これが $0.20 の価値があるのだろうかと心配することなく送信したいと思うのなら、AIM もなかなか良い代替方法と言えるだろう。それに、これならば強欲な電話会社からお金を搾り取られているという苦痛の気分を軽減する助けにもなるだろう。


iPhone 3G: シアトルでの行列にて

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

金曜日、私の姉から、いきなり携帯電話に電話がかかってきた。「ねえ、今日は Apple から何か発売されたんじゃないの? University Village に、ものすごい行列が出来てるのよ。」と彼女はまくしたてた。

「うん。iPhone 3G だよ。僕は _今_ その行列に並んでるところさ!」と私は答えた。

この偶然の出会いも、私がシアトルの University Village Apple Store で iPhone 3G の発売を待つ行列に並んで過ごしたその長い一日の、最も際立った出来事の一つだった。

Glenn Fleishman と私は、Apple が改訂を加えたこの電話機に、はたして大勢の人たちが殺到するかどうか、議論したことがあった。去年、最初の iPhone が登場した時には今回よりもずっと大きな事件だった。単に Apple からの真新しい製品の登場というだけでなく、他の携帯電話をいくつもの面で凌駕するような画期的なスマートフォンであったからだ。けれども今回は、あの時よりも控え目な変更、つまり改善された 3G データ速度と GPS の内蔵という程度に留まっている。新しいソフトウェアの機能は素晴らしいが、それらはすべて第一世代の iPhone を持っている人たちも等しく入手できるのだ。だからきっと、スタート初日にあの時ほどの関心が集まることはないはずだろう。

けれども、400 人ほどに増えた行列を見れば、私たちの予測が間違っていたことは明らかだった。

アクティベーションの苦難 -- 私が到着したのは午前 8 時で、ちょうどその時刻に店のドアが開いて最初の五人の客が店に足を踏み入れていた。辛抱強い(クレージーな?)彼らは、何と木曜日の 5:30 PM から行列に並んでいたという話だ。

行列の人数は去年の発売日と大差なかったが、iPhone を手に入れるまでにかかった時間は去年と大きく違っていた。去年は、顧客の立場から見れば天国だった。まず iPhone を買って、それを家に持ち帰り、自分のコンピュータに接続して、iTunes を通じてアクティベーションする、ただそれだけだった。けれども Apple と AT&T の立場から見ればそこには不都合な点があった。人々は、iPhones を買っても AT&T の二年間のサービス契約にサインアップせず、その代わりに電話機を他のマーケットに転売したり、“jailbreak”ソフトウェアを使ってロックを外して他のプロバイダで使ったりした。そのようなことになれば、AT&T も Apple も毎月のサービス料金が得られずに大損してしまう。なぜなら、Apple は個々の購読者の毎月の料金から一定の歩合を得ていたからだ。

今回は、AT&T が iPhone の価格の一部を奨励金として支払い、Apple は電話機の販売の時点でのみ(あるいは購入者が後日 iPhone App Store でソフトウェアを購入する時に)分け前にあずかれることになったので、購入者は必ず購入の時点でサービスプランにサインアップするとともにその場で電話機のアクティベーションをしなければならないようになった。そして、21 カ国で iPhone 3G が発売された金曜日のうちに、世界中で百万人の人たちがこれを購入するとなれば、アクティベーションの作業が遅々として進まないのは避けようがなかった。

初めての iPhone 3G が店の外に出てきたのは、ほとんど 40 分も経ってからだった。眠そうな顔をしたその男性は、最初に iPhone 3G を手にした客としてテレビカメラを持つ人や二人のカメラマンたち、それに日刊紙各社のレポーターたちに囲まれて、写真を撮られ意見を聞かれてびっくりした様子だった。

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私は問題が AT&T のサーバにあるのだろうと思った。去年、ロードの重さに落ちてしまっていたからだ。けれども Seattle Times 紙に出典を示されず載った記述によれば、今回の問題の多くは Apple のサーバに関したことのようだった。アクティベーションはすべて店内ですると予告されていたのだが、この iPhone 3G は最初に AT&T のシステムとネットワークに登録する必要があり、その後で iTunes Store を使った Apple のプロセスを通じてアクティベーションされた。西海岸にいる私たちが午前 8 時に iPhone の購入を始めたころには、国内の他の地域ではもう何時間も前から Apple のサーバを叩きのめすことを続けていたわけだ。でもそれさえも実際のロード量に比べればほんの一部でしかなかった。何しろ Apple はそれと同時に既存の iPhone すべてのために iPhone 2.0 ソフトウェアをもリリースすると決めたのだから。(その結果、多くの人たちがその日一日中アップグレードされたけれども使えない電話機を持つ羽目になってしまった。)

iPhone 3G を AT&T ストアで購入しようとしても、何の解決にもならなかった。いくつかの AT&T ストアでは早いうちに在庫が売り切れていた。行列で私の近くに並んでいた人が言うには、彼が最初に行った店では 20 分で売り切れになったらしい。別の人は、そことは違う AT&T ストアに3時間も並んだあげく、売り切れになったと追い払われたそうだ。

素晴らしき Apple 従業員たち -- 別に AT&T をけなすつもりはないが、私が Apple Store 以外の場所で iPhone 3G を買う気にならないのには理由がある。この University Village ストアの従業員たちは、そして他のところでも同じだろうと思うが、忍耐強い顧客たちに対して懸命に気遣ってくれたのだ。

その日一日中、この店の従業員たちは無料で瓶入りの水を配り(それからリサイクルのために空き瓶を回収し)行列に沿って歩いては質問があればそれに答え、購入の断念に結び付くかもしれないすべての制限事項を私たちがきちんと理解できるように手を尽くしてくれた。(もしもあなたの電話機の費用があなたの会社の支払いによるものなら、あるいはあなたが何らかの有効な割引券を使おうとしているのなら、あなたは直接 AT&T の店舗に行く必要がある。ある Apple のスペシャリストなど、Apple 社が AT&T の企業顧客であるという理由で Apple Store での新しい iPhone の購入を断わられたという。)それからしばらくすると、二人の従業員が無料のクッキーを山積みしたカートを押して現われた。その後、日が高くなってくると、彼らは日除けや大型の日傘を持ってきてくれた。[編集者注: 私もその同じ Apple Store の前を日曜日の昼日中に通りかかったが、華氏 80 度(摂氏 27 度)の気温の中並んでいる 50 人ほどの人々に、Apple Store の従業員たちが水やスナック菓子を配ったり、行列の最後尾に新たに並ぶ人々がポリシー上一定の速度内に収まっているかどうか確認したりしているのを目撃した。-gf]

実際、長かったこの一日を通じ、私は怒りや不満をあらわにしている人を一人も見かけなかった。待つのに退屈している人たちや、他に用事があって行列に残れなくなった人たちはいたが、その場を離れざるを得なくなった人も、残る人たちに向かって心から“good luck”の声を掛けて行った。

囚われの聴衆 -- University Village 商店街の賢明なる商店主たちは、行列ができているこの絶好の機会を逃すことなく、どこへも行ってしまわないと分かっているこの何百人もの潜在的顧客たちに向かってそれぞれの商品を宣伝することに努めた。 Jamba Juice は、ブレンドした生ジュースの試供品を配っていたし、Fran's Chocolates ではプレート一杯にヘーゼルナッツ入りのチョコレートトリュフを積み上げていた。そして Apple Store のすぐ隣にあるレストランの The Ram では、メニューを配って行列に並んだ人たちに注文した料理を運んでいた。ある男など、並ぶのに飽き飽きしたのだろうか、第一世代の iPhone を買おうと申し出ていた。(でも、その日の終わりになって、私は彼が結局 iPhone 3G を手にして店を出るところを見かけた。)

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でもあまりうまく行かなかった宣伝もあった。例えば、ポストカードを配っていたカイロプラクティックの店や、Verizon のバンに乗っての駐車場クルーズなどだ。私の目の前である女性が列に踏み込んで、「誰か Verizon のためにハイタッチしない?」と叫んでいた。彼女はそれ以上詳しいことを言わなかったし、彼女が Verizon の従業員なのか、それともただ私たちをからかっただけなのか、よく分からなかったが、なぜ Verizon のためにハイタッチするのかと誰かが聞いたところ、彼女は「だって、誰も AT&T のためにハイタッチしたいなんて思わないでしょ」と答えた。うん、全く彼女の言う通りだ。

近所のソフトウェア開発者、Igloo Games の Nathan Hunley は、Dizzy Bee を宣伝するカードを配っていた。これは、彼が完成させて前夜に Apple にアップロードしたばかりの iPhone 用ゲームだ。Dizzy Bee は iPhone の加速度センサーを利用して蜂をコントロールし、蜂が迷路のようなレベルを跳ね回って囚われのフルーツを解放するのだ。(こんな説明からはとても想像できないだろうが、Nathan 本人は慢性的睡眠不足のソフトウェア開発者とは思えない、いたって正気の人物のように見えた。)

やっとアクティベーションできた -- 私は結局 Apple Store 自体の店内ではほんの数分間しか過ごさなかった。いったん店内に入ると、一人の Apple スペシャリストが私を一人の Apple ジーニアスに紹介し、彼がその日だけの私の専任 iPhone 担当者となった。私は彼に、黒の 16 GB モデルが欲しい、アクセサリは何もいらない、と言った。(店にはまだ三機種すべての在庫があった。)彼は「わかりました、ではそれを取ってきますので外でお待ちください」と答えた。

戸外の日傘の下のテーブルで、私たちはワイヤレスで電話機のアクティベーションをした。彼は、従業員一人一人が持っているハンドヘルド機 Symbol に、私の情報を打ち込んだ。Apple Store では、レジに行って支払いを済ませるという概念はもはやほとんど死滅している。欲しいものは、店内のどこでも従業員から購入できる。

私は AT&T のサービスプランについて一つ質問があったが、彼はそれには答えられなかった。この iPhone 3G は実際私の妻への誕生日のプレゼントだった(私自身は当面第一世代の iPhone を使い続けるつもりだ)が、私たちの既存の FamilyTalk プランに新たに iPhone を一台追加するとどういうことになるのか、知りたかったのだ。私の月ぎめプランに含まれている 200 のテキストメッセージは消滅するのか? AT&T のウェブサイトにある情報は、FamilyTalk 用に2つしかオプションを示していない。メッセージ無制限の月額 $30 プランと、1メッセージあたり $0.20 の追加料金のプランだ。驚いたことに、このシステムでは私の妻の契約回線に対して私がどちらのオプションでも選べるようになっている。彼によれば、もしも請求書でトラブルになった場合は、私は直接 AT&T と交渉しなければならないとのことだ。(今のところ、AT&T のウェブサイトで私のアカウントをチェックしてみると、私たちは iPhone 3G の分として月額 $30 だけ以前より多く払っており、それに加えて 200 メッセージ用に $5 の料金も払っている。私がこの追加料金を選んだのは、その方が妻にとって便利だと思ったからだ。iPhone から AIM 経由で無料の SMS を送るのも可能であることは言い添えておこう。)

初日の魅力とは -- 結局、私は iPhone 3G を手にするためにどれだけ長く行列に並んだのか? 私も、クレージーな連中の一人になったのだろうか? 公平に考えれば、もしも私がジャーナリストとして iPhone 3G とこのイベントを取材していなかったとしたら、きっと私はもっと早くあきらめて、当初の騒ぎが静まるのを待ってから出直していたことだろう。その代わりに実際、私は _8 時間_ も辛抱した。

でも、同じような気持ちを持った人たちと共に行列に並ぶのは楽しいことでもある。1 時間が 3 時間となり、それが 5 時間となり 7 時間となる。(正直言って 8 時間目はちょっときつかったが。)パーティーという訳には行かなかったが、かといって骨折り仕事でもなかった。最初の iPhone 3G ユニットを手にする人たちの一員になれる喜びはすぐに消え失せるが、普段と違うことを大勢の人たちと共に経験したという思い出は、同じ音楽を聴くにしてもただアルバムを聴くのとライブのコンサートを観に行くのとでは大違いなのと同じように、時々はする価値のあることだと思う。行列に並びながら冗談に、私はいつの日か自分の孫たちに、iPhone を手にするために何時間も並んだのだよと思い出話をすることもあるだろうと話したが、私の隣にいた人は即座に、孫の世代にもなれば、きっと埋め込み式が当たり前になっていることだろうから「電話」という概念を理解してもらえないんじゃないか、と指摘してくれた。


スパースバンドル・ディスクイメージを発見する

  文: Joe Kissell <joe@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

バックアップに関する私の二冊の電子ブック(“Take Control of Mac OS X Backups”と“Take Control of Easy Backups in Leopard”)両方の最新版に、私は“(Sparse) Bundles of Joy”(「(まばらな)何束もの喜び」)と題したサイドバーを入れ、Leopard で新しく導入されたスパースバンドル・ディスクイメージのフォーマットについて説明を書いた。これは、Time Machine がネットワークバックアップに使っているフォーマットだ。これは、非常に興味深いフォーマットであると同時に幅広い応用の可能性を秘めているものであるにもかかわらず、これまであまり注目を集めることがなかった。そこで、私はこの記事でもう少し詳しいことを書いてみたいと思う。

あなたのイメージを管理 -- まず復習しておくと、ディスクイメージというのは特殊なファイルで、ディスクのように挙動することができるものだ。つまり、そのイメージをダブルクリックすれば、新しいボリュームが Finder に現われる。このボリュームはいくらでも多くのファイルやフォルダを含むことができ、あなたはそれらを他の普通のボリュームの中にあるものと何ら変わることなく開いたりコピーしたりできる。ディスクイメージには通常 .dmg という拡張子が付き、ソフトウェアの配布のために使われることが多い。普通のフォルダとは違って、ディスクイメージは圧縮したり、暗号化したり、読み出し専用にしたりすることもでき、サードパーティのソフトウェアを一切使わずどんな Mac 上でも開くことができる。もしもあなたが多数のファイルの集まりを配布したいと考えていて、それらがすべて完璧に原形を保ったままで相手方に届くようにしたいならば、ディスクイメージを使うのが最適の方法の一つだ。

長い年月にわたって、Apple はディスクイメージ用に数多くの異なったフォーマットを作り出してきた。スパースイメージ (拡張子は .sparseimage) はその例の一つで、これは .dmg フォーマットと比べてサイズが必要に応じて(あらかじめ設定された上限の範囲内で)自動的に調整されるというところに利点がある。Leopard が登場するよりも前は、Mac OS X はこのスパースイメージをあなたの iDisk のローカルコピー(システム環境設定の MobileMe パネルで iDisk Sync がオンにしてある場合)や、FileVault(これは暗号化されたスパースイメージを使う)などのようなもののために利用していた。いずれの場合も、イメージは当初は比較的小さいサイズで始まり、含まれるデータ量が少ないうちには未使用の大きな容量をあなたのディスク上で占有したりしない。

しかしスパースイメージにも、.dmg イメージと同じ問題が残った。その内容にほんの少しでも変更を加えれば、そのイメージファイル全体が変更されたものとしてマークされてしまうのだ。すると、例えばあなたが大きなディスクイメージを含んだインクリメンタル・バックアップをしていたならば、ほんの些細な変更をしても、そのファイル全体をバックアップし直さなければならない結果になる。私は以前、個人的な書類のいろいろを 10 GB の暗号化 .dmg ディスクイメージに保存していた。でも、私はそのディスクイメージファイル自体をバックアップすることはできなかった。なぜならこれは毎日変更が加わるものだったからで、それらをすべてバックアップしていたならばあっという間にディスク容量が足りなくなってしまったことだろう。そこで私はマウントされたそのイメージの _コンテンツを_ 別途一つの暗号化アーカイブにバックアップしなければならず、これは相当に不便なことだった。

バンドルにくるみ込む -- 私が Mac OS X 10.5 Leopard に初めてアップグレードした際、即座に気付いたことの一つが、私の iDisk のローカルなスパースディスクイメージのコピーが私のデスクトップに置かれている一方で、もう一つ新しいディスクイメージ、ただし今度は拡張子 .sparsebundle の付いたものが、~/Library/FileSync のサブフォルダの中に保管されているということだった。Leopard は勝手に、私の iDisk イメージを新しいフォーマット、スパースバンドルに変換し、古いものをバックアップとしてデスクトップに置いていたのだ。それはおそらく変換の最中に何か変なことが起こった場合に備えてのことだろう。では、この新しいフォーマットとはどんなものか、そして、いったいなぜそんなことを気にしなければならないのだろうか?

スパース _バンドル_ は、見かけも挙動もスパースイメージと全く同じだ。サイズが成長でき、圧縮や暗号化のオプションもある、などという点は同じだ。何が違うかというと、実際これは単一のファイルではない。従来のディスクイメージのフォーマットはすべて単一ファイルだった。その代わりに、これはバンドル(パッケージという名でも知られている)つまり実際はフォルダであるけれども Mac OS X がこれを一つのファイルであるかのように扱うというものだ。同じことはアプリケーションでも見られる。(これを確認したければ、スパースバンドルを Control-クリックまたは右クリックして、ポップアップメニューから Show Package Contents を選べばよい。するとその内容に目を通せるようになる。)パッケージの中身は、_band_ が一杯に詰まったフォルダだ。この band というのは一個 8 MB ずつのサイズのファイルで、イメージのデータを保持するために必要なだけの個数のものがそこに集められている。

ここで何がクールかといえば、スパースバンドル上であなたが何かを変更した(例えば一つのファイルを追加したり編集したりした)場合に、そのデータ変更を含んだ band だけが変更されるということだ。その結果、あなたのバックアップソフトウェアがバンドルの内容を個別のファイルとして処理するという前提の下では、ほんのちっぽけなファイルを変更しただけで巨大なディスクイメージを丸ごとバックアップしなければならないという事態が解消される。あなたのバックアップソフトウェアがコピーしなければならないのは、そのファイルのデータを含んでいるたった 8 MB の band(多くの場合たった1個)だけだ。そこで、私は自分の暗号化スパースイメージを暗号化スパースバンドルに変換し、その結果今では普段のバックアップでこれを他の普通のファイルたちと並べて含めておけるようになった。

ボルトとナット -- ディスクイメージファイルの作成と編集は(どんな種類のものでも)/Applications/Utilities にある Disk Utility を使うか、あるいはその気があるならばコマンドラインツールの diskutil を使ってもできる。例えば、新規に暗号化されたスパースバンドルを作成するには、以下のようにすればよい:

  1. Disk Utility で、File > New > Blank Disk Image を選ぶ。
  2. ファイル名、場所、ボリューム名、それに最大サイズを記入する。ただしフォーマットは Mac OS Extended (Journaled) のままにしておく。
  3. Encryption ポップアップメニューから 128-bit または 256-bit の AES 暗号化を選ぶ。パーティションの設定はそのままにしておく。
  4. Image Format ポップアップメニューから、Sparse Bundle Disk Image を選ぶ。
  5. Create をクリックする。パスワードを入力して確認し、OK をクリック。

Disk Utility で一つのフォーマットを別のフォーマットに変換することもできる(Images > Convert コマンドを使う)が、私はその方法で何度かトラブルに遭った。一般的に言って、新たに初めからイメージファイルを作って、古いイメージの内容を手動でそこへコピーする方が、より信頼できる方法だと私は思う。

スパースバンドルの未来 -- さきほど述べたように、Time Machine はあなたがネットワーク経由のバックアップを(Leopard の走る別の Mac に、あるいは Time Capsule に)する場合は、スパースバンドルとしてバックアップを保存する。Leopard 版の FileVault も、スパースバンドルを使うようになっており、そのためディスクエラーの影響を受ける度合いが減ったかもしれない。(それでも私はまだ FileVault が好きになれないでいる。ファイルが壊れてデータを失う恐れがあることは別にしても、何を暗号化して何を暗号化しないのかについてもっとコントロールのできるものが私は欲しい。)けれども、私がスパースバンドルで最もワクワクするのは、もっと多くの開発者たちがこれを使ってくれさえしたならば、いろいろな問題点が解決する可能性があるのにという点だ。

頻繁に変更される巨大なファイルをバックアップする問題に戻ろう。もしもあなたが Parallels Desktop か VMware Fusion を使って Windows を Mac で走らせているならば、依然としてこれが問題となる。なぜなら、それらのプログラムは依然としてそのすべてのデータを巨大なディスクイメージファイルに保存しているからだ。同じように、Microsoft Entourage は単一の大きなデータベースファイルを使ってあなたの電子メール、コンタクト、カレンダー情報をすべて保存している。そこで世間一般の通念に従えば、このようなファイルは Time Machine やその他の頻繁に走るバックアッププログラムからは除外しておくべきだということになるだろう。なぜなら、そうしなければあなたのバックアップは非常に長い時間と膨大なディスク容量とを要することになるだろうからだ。不幸なことに、そのことは同時にあなたが何か他の、もっと手間のかかる方法を見つけてそれらのデータをバックアップしなければならないことも意味している。でなければ、それを保護なしの状態で放り出しておくかだ。

もしも Parallels、VMware、それに Microsoft がそれぞれのデータストレージの必要のためにこのスパースバンドルを採用してくれたとしたら、少なくともオプションの一つとしてそうしてくれたならば、この問題はきっと解消されるだろう。(ただしこのやり方は Leopard の下でしか働かないだろうが。)実際、Entourage を騙してスパースバンドルを使うようにさせようという試みが少なくとも一つあるのを私は知っている。ただし、その手順はかなり込み入っていてオタク専用のものとも言え、私自身まだ試してみたことはない。似たような離れ業を使えば仮想化プログラムにも適用できるかもしれない。基本的に、スパースバンドル上の既存のディスクイメージに保存するようそれらのプログラムを強制するだけのことだ。けれども、ユーザーたちがそんな曲芸をしなくて済むようになる方がはるかに望ましいのは言うまでもない。

Entourage や仮想化プログラムなどは最も顕著な実例だが、それら以外にも、非常に大きなファイルを扱うアプリケーションであってスパースバンドルを使うことによる恩恵を受けられるものがたくさんあるのは疑いないところだろう。恐らく、開発者たちは既に一生懸命に彼らのイメージをバンドル化するために作業を進めている最中なのかもしれないし、あるいはひょっとしたら私の知らないところで(Leopard を要するということ以外に)何か技術的な問題があって私の想像を超える困難が立ちはだかっているのかもしれない。けれども、スピーディーでスペースの有効利用もできるバックアップを実現するためにも、私としてはこのスパースバンドルが、大量のデータを保存するためのフォーマットの大本命として早く認知されるようになることを願わずにはいられない。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、14-Jul-08

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>


TidBITS Talk/14-Jul-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iMac が OS 10.3.9 で起動しない? -- 不幸にも Norton System Works と出会ってしまったため、ある古い iMac は Mac OS X で起動できなくなった。(メッセージ数 2)

スパースバンドル・ディスクイメージを発見する_ -- Parallels や VMware Fusion のような仮想化ソフトウェアがスパースバンドル・ディスクイメージを使うのかどうか、読者たちが議論する。(メッセージ数 5)

壊れたプリンタ設定ユーティリティ -- Mac OS X Leopard では印刷関係のことが Print & Fax システム環境設定パネルに移されたが、その際に古いプリンタ設定ユーティリティは打ち捨てられてしまった。(メッセージ数 5)

悪い Wi-Fi 接続を切る -- Mac がワイヤレスネットワークに自動的に接続しないようにするにはどうするか? (メッセージ数 2)

私のバックアッププランに穴 -- メインの Mac が使えなくなった体験を語った Joe Kissell の記事に、読者たちが意見を寄せる。同じような構成を持った二台のマシンを購入するとか、交換用のマシンをレンタルで借りるとかいう提案もある。(メッセージ数 25)

iTunes Store の技術的詳細 -- Apple は iTunes Store を自社のハードウェアで保存・提供しているのか? どうやら実際はそうでないように見える。(メッセージ数 2)

サードパーティのバッテリと古いラップトップ -- ラップトップ機のバッテリが寿命の終わりを迎えたとき、代わりのバッテリは Apple から買うべきか、それともサードパーティから買うべきか? 古いポータブル機については、選択の余地がないこともある。(メッセージ数 2)

どうやって「壊れた」ハードディスクを復活させる? -- ハードディスクの交換を済ませた後で、内容を消去してから何かトラブルが起こった際に使えるようにしておくべきだという助言を受けた読者がいる。(メッセージ数 7)

Mac OS X 10.5.4 の問題点 -- システムアップデートをした後、ある読者のファイルやフォルダが見えなくなってしまった。解決法は? スクリーンの解像度を変えればよい。(メッセージ数 2)

現行の iPhone は再アクティベートの際にも安価なプランのまま -- iPhone 3G へとアップグレードする最良の方法を、読者たちが思案する。(メッセージ数 8)

Mac への新たな脅威? -- Mac のマルウェアに関するプレスリリースをそのまま写しただけの記事から始まり、セキュリティ上の脅威を規定する際に用語がどれほど重要な意味を持つかという議論が盛り上がる。(メッセージ数 48)

Precipitate が Mac の Spotlight を Google に照らす -- Spotlight が Google サービスも検索できるようにするというこのユーティリティについて書いた Adam の記事に、読者たちが意見を寄せる。(メッセージ数 5)

802.11g-n 混合ネットワークについて質問 -- さまざまな速度のワイヤレスルータがあると、ネットワーク全体の速度低下を招くのか、それともそれぞれ問題なく共存できるのか? (メッセージ数 4)

システムで博打? -- コンピュータを購入する際、少しだけ使ってから返品条件に従って返品するという意図を最初から持っているのは、倫理にかなったことだろうか? 読者たちが熱い議論を交わす。(メッセージ数 15)

iTunes ムービーレンタルを 24 時間以上に延長 -- iTunes でレンタルしたものを期限切れ後まで一時停止にしておいてから再生しようとするとスクリーンがグレイになるだけだった。これはバグか? それとも、Apple のポリシーが変更されたのか? (メッセージ数 2)

Apple Store、3G 到来に向けて準備完了 -- Apple と AT&T はどうやら大多数の人たちが既存の携帯電話番号を新しい iPhone サービスに移行させると予想しているらしい。(メッセージ数 3)

iPhone から AIM 経由で無料の SMS を送る_ -- iPhone で AIM を使えば、無料でテキストメッセージを送信することができる。けれどもそれは受け手にはどのように見えるのか? また、同じようにして返事をすることはできるのか? (メッセージ数 2)

MobileMe、よろめきながらも、ついに立ち上がる_ -- Apple がつまずきながら MobileMe サービスをスタートさせたことについて、読者たちが議論する。(メッセージ数 2)

iPhone 3G の購入 -- ある読者が iPhone 3G の第一印象を寄せ、そこから価格に関して、また AT&T が個々の電話機のコストをどのように分担しているのかという議論が始まる。(メッセージ数 2)


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2008年 7月 21日 月曜日, S. HOSOKAWA