TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#941/18-Aug-08

TidBITS では編集者対編集者の一騎打ちだ。Adam と Glenn が、Eye-Fi ワイヤレス SD メモリカードをめぐって対決する。Adam は Eye-Fi Share を激しく非難し、Glenn はその兄貴分たる Eye-Fi Explore を熱狂的に讃える。また、デジタル写真の分野では、先週号の Adam の記事に応えて読者たちから旅行中の写真の保存や保護について素晴らしい提案がいくつか寄せられる。ニュースの部では、AT&T と Apple 以外で唯一の販路となるべく Best Buy が米国内で iPhone の販売を計画し、元 Apple 社の総合弁護士であった Nancy Heinen がオプションのバックデーティング問題で SEC と 和解し、また Microsoft が Office 2008 と Office 2004 へのセキュリティおよびパフォーマンス関係のアップデートをリリースしたことを報告する。監視リストでお伝えするのは、iPhone 2.0.2、Inquisitor 3.2、WireTap Anywhere 1.0.1、TextExpander 2.4、それに Airfoil for Windows 2.6 のリリースだ。

記事:

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Best Buy 米国で iPhone を売る

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

複数のプレスリポートが、小売店チェーン Best Buy は Apple の人気の iPhone を AT&T のワイヤレスネットワーク用に 07-Sep-08 に全米の 970 のフルサイズストアと 16 の Best Buy Mobile ストアで売り出すであろうと報じている。The Associated Press, Reuters, そして他のニュース機関が言うには、Best Buy は iPhone を Best Buy Mobile 部門の一部としてストアに追加すると言う。Best Buy Mobile 部門は Best Buy と英国の Carphone Warehouse Group の間の合弁事業である。

Apple や AT&T 小売店でと同じ様に、顧客は店を出る前に iPhone を AT&T ネットワークと二年間の契約でアクティベートしなければならない。我々は、Best Buy で買っても、他の Apple や AT&T の iPhone 購入規約と変わることはないと見ている。

Best Buy はこれまで iPod、iPod touch を含んで、の販売で成功をおさめており、600 の店で Apple に焦点を当てた店内の店 "ミニショップ" を展開している。これらの店では、iPhone は携帯電話カウンターではなくこれらの Apple ミニショップで扱われることになろう。


Apple の前トップ弁護士、オプション告訴に和解

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple の前法務顧問であった Nancy Heinen は、彼女が同社に在籍していた時にバックデートされたストックオプションの計画と発行の関与に関し、Securities and Exchange Commission との間で民事訴訟に和解することに合意した 。彼女は $2.2 million を支払うが、不正行為に関しては認めることも否認することもしない。

Heinen は、前 CFO の Fred Anderson と共に 2007年4月に SEC により、一部のストックオプション供与がどう取り扱われたかに関与したかどで訴えられていた。同委員会によれば、Heinen はボードミーティングの議事録を開催されたとされる期日以降には行なわれていないのに作成し、更にオプションの供与日を戻す(バックデート)ことを正規に記録することなく、またはこれらの変更を正規に認識することなく行なったと言う。Anderson は即座に和解したが、彼もまた不正行動を認知も否定もしていない。

2006年12月に Apple は調査報告をリリースし、ストックオプションの供与に異常があったことを基本的には認め、"二人の前役員の行動に関しては大いなる懸念" を持っているとし、前年の収支報告書を修正しバックデートされた供与に関する隠れたコストを反映した。Justice Department はこの Apple のバックデートに関する犯罪調査を 2008年7月に終了させている。

この事件に関する長い経緯については、我々のシリーズ "Apple's Trouble with Backdated Stock Options" で読んで貰える。

(日本語)Apple、オプションのバックデート操作について報告 | Apple、ストックオプション問題のレポートを発表 | 前 Apple 従業員、ストックオプションのバックデーティングで訴えられる | Apple 株のバックデート問題、取り調べ終了 | Apple の前トップ弁護士、オプション告訴に和解


Microsoft Office 2008 と 2004 がアップデートされる

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

Microsoft は、同社の旗艦ソフトウェアたる Microsoft Office for Mac の2004 および 2008 両バージョンのアップデートをリリースした。同社によれば、どちらのバージョンでも安定性と性能が向上し、アプリケーションにあった脆弱性が修正された。このアップデートは現在、 Microsoft Mactopia ダウンロードページから、または Microsoft AutoUpdate ユーティリティを経由して入手できる(Office のそれぞれのバージョンにはそれぞれの Microsoft AutoUpdate があることに注意)。

Microsoft のリリースノートによれば、 Office 2004 for Mac 11.5.1 Update は、番号つきリストを含む Word 文書を開くときの安定性を向上し、日本の郵便番号辞書を更新し、攻撃者が悪意のあるコードを使ってコンピュータのメモリの内容を書き替える可能性のあった脆弱性を修正した。 Office 2008 for Mac 12.1.2 Update は、同じ脆弱性を修正し、Office を再起動しなければScript メニューからスクリプトを走らせることができないというAppleScript の問題を修正し、多くのフォントがある環境での Word アプリケーションの起動を高速にし、Word の表でのテキストの表示を改善し、シート名に不正な文字が含まれている Excel 文書を開くときの問題を修正し、いくつかの言語での Excel の数字書式を改善し、Entourage と iCal を同期したときにイベントが複製される問題を修正し、そのほか細かい変更が加えられている。

Microsoft Office 2004 for Mac 11.5.1 Update は 15 MB のダウンロードで、Microsoft Office 2008 for Mac 12.1.2 Update は 160 MB のダウンロードだ。どちらのアップデートも、あなたのコンピュータを攻撃にさらすMicrosoft Office の重大な脆弱性を修正しているので、今すぐお使いのMicrosoft Office をアップデートすることを勧める。

同じ日に、Microsoft が私たちに語ったところでは、2008 年 9 月 8 日まで、キャンペーンに参加している販売店から Mac と一緒に Microsoft Office 2008 を購入すると、最大で 30 パーセントの割引き(割引率はエディションによって異なる)が受けられる。プレスリリースが含意するところでは、この割引きは学生と教師に適用されるようだが、Microsoft のページからリンクされている Amazon のキャンペーンページ では、このような制限や条件は書かれていない。


旅の途中で写真のバックアップをとる(続編)

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

大きな旅を計画していて、デジタルカメラで沢山の写真も撮ろうと思っている。旅の途中で家からも、普段使っているバックアップ装置からも遠いと言う場合、これらの写真を保護する最善の方法は何であろうか?

"旅の途中で写真のバックアップをとる" (2008-08-11) の中で、旅の途中でバックアップを取ることについて私の考えを述べた。そこには次の様な方法が含まれていた:

いつもアンテナを高くしている TidBITS の読者から、自分の経験に基づいた他のやり方についてもメールを頂いた。皆さんそれぞれの状況によるのは勿論だが、これらのうちのどれかがあなたの次の旅にはまさにぴったりというのがあるかもしれない。

書込み出来るディスク -- David Malin が薦めているのは、何枚かの書込みの出来る CD や DVD と予め住所を書き入れた封筒とを旅に持参することである。写真の量が一枚の CD 或いは DVD を一杯にするだけたまった所で、ディスクに焼付け用意した封筒に入れ、切手を貼って自宅宛に郵送するのである。この方法は、当然のことながらラップトップを持参することが前提になるが、ディスクの空き容量に対する心配は無用になる。Eric Watson は、ラップトップが無くとも出来る方法を提案しており、それは写真を DVD に数ドルで焼き付けてくれる店を旅先で探すと言うものである。私なら、何処に行ってもその様な店があると言うことに頼るのはいささか心もとないが、殆ど一箇所に滞在すると言うのであれば、この方法はいいかもしれない。それから、郵便料金はいくらなのか、何処にポストがあるのか探し出さなければならないことは私にとっては心配の種であるが、写真をディスクの上に保存すると言うのは別の場所に二つのコピーを持ちたいと言う私の目標には適っている。

ハードディスクベースの写真ウォレット -- Lynette Kent と Rick Redfern は、Digital Foci から出ているPhotoSafe IIPicture Porter Elite を強く推薦しており、Dale Gould は同様の機器と思えるものを教えてくれた:それは NexTo eXtreme ND2700 Portable Storage UnitVosonic VP8860 Multimedia Viewer Recorder である。

PhotoSafe II と NexTo Extreme は、要はメモリカードをその機器内蔵のハードディスクにコピーさせてくれるものである;これらの機器にはフィードバックを表示するテキストベースの小さな LCD スクリーンしか付いていない。これに対して、より高機能の Picture Porter Elite と Vosonic Multimedia Viewer Recorder には、写真を見るためにカメラに付いているものよりは大型のカラー LCD が付いている;これらの機器は、オーディオ及びビデオの再生と記録が出来、FM ラジオをならし、そしてプリンタに直接プリントすることも出来る。これらの機器全部が、充電可能なリチュームイオン電池を持っており、コンピュータとは別に使える設計となっている。また USB 2.0 経由で Mac に接続することも出来、メモリカードリーダーとしても或いは通常の外付けハードディスクとしても働く。価格はあなたの欲するハードディスクの容量によるが、大体 $130 から $500 の間である。

私は、一回の旅だけのためにこの様な機器を購入するのは躊躇するが、電池内蔵の外付けハードドライブとしても機能することは気に入っている、と言うのもそれなら旅のとき以外にも役に立つからである。Lynette が言うには、Picture Porter Elite はファイルをメモリカードにコピーし戻すことも出来ると言うので、安価なメモリカードに追加のバックアップを取りそれを自宅宛に送っておけば、更に安心というものである。


私が Eye-Fi Share ワイヤレス SD カードを嫌う理由

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

あなたが撮影した写真がすべて、あなたが何もしなくても自動的に、あなたの Mac へ、またあなたの Flickr アカウントへとアップロードされたら素敵ではないか? これこそが Wi-Fi 対応 2 GB Eye-Fi Share SD で前提となるアイデアだった。私は心を惹かれ、私の Canon PowerShot SD870 IS カメラで使ってみようと、ポンと大枚を払った。(Amazon での価格は $99.99 で、値引きはどこにも見当たらなかった。)残念なことに、この Eye-Fi カードは信じられないほど素晴らしいパッケージングで全般的によく考え抜かれたインターフェイスを備えていたけれど、これを使って写真を iPhoto に読み込ませようとすると私の通常の作業の流れがいつもより遅くて混乱したものとなってしまい、私は何度かデータを失ったあげくにこのワイヤレス機能を使うのを止め、結局もっと大きくて高速のカードに乗り換えることにした。

Eye-Fi Share というのは初代の Eye-Fi カードが名前を変えただけのもので、私が実際に持っているのはこの初代のカードだ。(もちろん、ファームウェアとソフトウェアをアップデートしているので完全に現行の状態だ。)この会社からはあと2つ、別のバージョンも出ている。あなたのコンピュータのみにアップロードできる Eye-Fi Home (Amazon で $79.99) と、写真にジオタグが付けられて Wayport ホットスポットへの一年間のアクセスも付く Eye-Fi Explore (Amazon で $129.99、二年目以降のホットスポットアクセスは年額 $19) だ。Glenn Fleishman は最近彼の Wi-Fi Networking News サイトで Eye-Fi Explore のレビュー記事を書いているが、彼の意見は私とかなり大きく異なっている。彼は今週号の記事“私が Eye-Fi Explore ワイヤレス SD カードを好きな理由”(2008-08-18) にその要約を書き、私の視点への反論も書き添えている。

基本的な設定と使い方 -- この Eye-Fi カードは何の変哲もない 2 GB の SD カードに見えるが、工業技術の魔術的な離れ業のお陰で、カードの内部に Wi-Fi ラジオと極めて小さなコンピュータが組み込まれ、ワイヤレスアクセスポイントと交信できるようになっている。でも、開いたアクセスポイントならば何にでも手当り次第に接続すると思ってはいけない。 Eye-Fi アップロードをしたせいで盗人が捕まったという話はあるのだけれど。あなたは、Eye-Fi カードが特定の開いたワイヤレスネットワークに接続するように、そのネットワークを名前で指定してやらなければならない。私は、自分のカードを私の“TidBITS”ネットワークに接続するよう設定したのだが、これにより、さらなる設定を追加しない限りそれ以外のワイヤレスネットワークには接続しなくなる。ただし他に“TidBITS”と呼ばれるネットワークがあれば話は別だ。もしもそのネットワークがパスワードを持っていれば、同じ名前のネットワークが開いていても Eye-Fi はそちらには接続しない。

(Eye-Fi Explore の方はこれとは異なった、これより悪い設定になっている。意図的に Wayport ホットスポットが利用できるようになっているのだが、それを使おうとするならばその Explore モデルがどんな開いたホットスポットにも接続できるようにしておかなければならない。これは良くないやり方だと思うし、都市や州、国によっては法律に違反するおそれがある。)

新たにネットワークを設定するには、Eye-Fi カードをあなたのコンピュータに USB 経由で接続する必要がある。この目的のために小さな USB カードリーダーが付属しているが、その意味するところは外出中にどこかで Wi-Fi ネットワークに接続したくなった場合にはその時にコンピュータも持っていなければできないということだ。WPA Personal と WPA2 Personal は両方ともサポートされており、WEP も使える。ただし、Apple が AirPort ベースステーションで使っている形での WEP ではない。でも、いずれにしても WEP はあまり意味がない。この Eye-Fi Share カードは当然ながらウェブベースのログインを要求する公共ホットスポットに接続することはできないが、この同じ制限が Eye-Fi Explore カードの方にも当てはまる。

あなたの Mac に入るほんのこぢんまりとしたソフトウェアで、メニューバー項目が追加されてこの Eye-Fi カードに関するコミュニケーションのいくつかのことがらが処理できる。また、あなたのコンピュータ上でウェブサーバとして走りウェブブラウザを通じてコントロールできるアプリケーション、Eye-Fi Manager にアクセスできるメニュー項目もある。Eye-Fi Manager ではあなたのワイヤレスネットワークのプロファイルを設定したり、アップロード先としてオンラインのファイル共有サービスを(もしあれば)選択したり、あなたの Mac 上で iPhoto に、あるいは通常のフォルダにアップロードするかどうかを選択したり、またアップロードが開始・終了した時点で電子メールや SMS テキストメッセージによる通知をするようにしたりできる。

Eye-Fi-Manager-Web-interface

カードの設定が終われば、あなたはいつも通りにカメラを使えばよい。けれども、Eye-Fi が接続対象のワイヤレスネットワークの到達範囲内にいることを感知するやいなや、写真のアップロードが始まる。Mac 上の Eye-Fi ソフトウェアは、写真を受け取るに従ってそれらのサムネイルを表示し、自動的にそれらの写真を iPhoto に、あるいはあなたが指定した Finder 内のフォルダに読み込む。

Eye-Fi-upload-progress

写真が Mac に到着した後、引き続きそれらはあなたが選んだ写真共有サービスにアップロードされるが、MobileMe は対象にならない。(Eye-Fi は個々の写真共有、プリント作成、およびソーシャルネットワーキングサービスと契約を結んでいるが、Apple は一切誰とも外部契約を結んでいない。)

なかなか良さそうに聞こえるじゃないか? でも...

アイデアは良いが、現実には気に障る -- 私の批判を誤った向きに捉えないで頂きたい。この Eye-Fi が工業技術の奇跡であることは間違いなく、これを作り出した人たちは、これをどんな SD 互換カメラでも使えるようなハードウェアとするために信じられないほどの労力を注ぎ込んだに違いない。

とは言うものの、私の最近の記憶の範囲内で、この Eye-Fi ほど私を苛立たせたハードウェアあるいはソフトウェアは他にない。アップデートによって改善した点はある。例えば、私が最初にこれを入手した時にはまだ直接 iPhoto に写真を送ることができず、もう一段階の手作業をするか、あるいはエラーに陥りやすい自動化に頼るかしなければならなかった。

私が直面した問題は大きく分けて二つの種類に分類できる。一つは Eye-Fi ソフトウェアにおける制限事項で、これは理論的には修正可能なものたちだ。もう一つは、私が(そしてたぶん他の多くの人たちが)カメラや写真を扱っている方法と、基本的、概念的に衝突することがらだ。後者に属する問題点の多くは、もしも Eye-Fi がカメラと双方向のコミュニケーションができたならば解決されるかもしれない。けれども、2007 年末に Eye-Fi が導入されて以来、カメラのコンピュータと Eye-Fi の内部プロセスとの間でコミュニケーションが可能となるようなカメラはたった一機種(Nikon 製のハイエンドモデル)しかリリースされていない。

カメラのメーカー各社は Wi-Fi を内蔵したコンシューマ向けの一連のモデルを出してきているが、多くの場合それらは Eye-Fi に比べてはるかに厳しい制限を伴っている。けれども、それらのメーカーが Eye-Fi ともっと密接な連携を実現する気があるのか、あるいは既存の貧弱な戦略を続行するのか、それとも現行の Wi-Fi 統合をさらに改善して行くつもりなのか、はっきりした徴候は認められない。(Glenn Fleishman は PC World ブログに、この話題について 詳細な長談義を書いている。)

実用的な制限事項 -- いつもよく言われることだが、悪魔は細部に宿る。私にとっては、この Eye-Fi カードは細部が大問題だった。

* アップロードできるのは JPEG 画像だけだ。つまり、ムービーや raw 画像のような、JPEG 以外のコンテンツはすべて無視される。そのため、カメラを USB 経由でコンピュータに接続するか、カードリーダーを使って Eye-Fi を通常の SD カードとしてマウントするかしてからムービーや raw 画像を転送するという余計な作業が必要となってしまう。そうしないと、JPEG 以外はすべて失われる。これは仮想上の問題ではない。私は一度ならずこの問題のおかげでムービーを失って、あとで散々悪態をつく羽目になった。この弁解の余地のない問題を、Eye-Fi はターゲットのコンピュータにすべてを転送するという形で修正すべきだ。JPEG 以外のものについては自動アップロードや変換が提供されなかったとしても構わない。(Eye-Fi のハードウェアが写真を消去してしまう訳ではないが、ユーザーの心理としては Eye-Fi のアップロードが終わればついついカードを消去したい気分になるものだ。)

概念的な問題点 -- 上記のような実装上の細かい問題点は Eye-Fi も対処できるし、またそうすべきだが、もっと深刻ないくつかの問題点は、Eye-Fi カードがホストのカメラとの間でコミュニケーションができず、コンピュータ上で走る完全機能のウェブブラウザを使って以外では設定ができないこと、そして写真共有サイトに対する「すべてかゼロか」の姿勢に、関係したものたちだ。

では、何のメリットがあるか? -- 私がこの Eye-Fi カードのターゲット顧客でないことは明らかだ。実際、私はこれを使うのを完全にあきらめて、その代わりに Transcend 4 GB SD カードを使っている。こちらの方が高速な(長めのムービーを録画する際にも便利で、その点 Eye-Fi は 1 分から 4 分程度で続かなくなっていた)上に、Amazon でならば $15 以下で買える。Eye-Fi からは Eye-Fi カードがどの程度高速かは発表されていないが、どちらかと言えば遅めの部類に入る感じがする。皮肉なことに、私は Eye-Fi 付属の小さな USB メモリカードリーダーがかなり気に入っていて、これは新しい Transcend カードでも問題なく働く。(Eye-Fi では 2 GB より大きい容量のカードは出していない。これは、4 GB 以上の場合に必須となる高密度 SD フォーマットを読めない古いカメラとの互換性の問題を避けるためだ。)

ならば、Eye-Fi がターゲットにしているのはどのような顧客か? 当然ながら、プロの写真家や、さらには本格的なアマチュアさえも、対象外だろう。raw 画像がサポートされていないのだから。すると残るのは気楽に写真を撮る人たちだが、私はその仲間には入らないと思う。Eye-Fi がただただ私をイライラさせるだけだったのは、その iPhoto との統合のお粗末さ、ムービーを処理できないこと、カメラとのコミュニケーションが全くできないこと、そして写真共有サイトに対するすべてかゼロかの姿勢からだった。

ふむ、そう考えると、対象はさらに狭まる。Eye-Fi カードが素晴らしいと思えるのは、以下の条件をすべて満たす人たちだろう:

私にとっては結局、USB ケーブルでカメラを繋ぐか、あるいは USB メモリカードリーダーを使うかして iPhoto に読み込ませ、そこで写真を間引いたり編集したりしてから、いくつかを選んで MobileMe や Flickr にアップロードする、という方がずっと速くて手軽だということが分かった。もしもあなたが私と同じ考えなら、より大容量の、高速な SD カードを Eye-Fi Share よりもずっと安い価格で入手できる。そうでない人、つまりたった今たくさん箇条書きにした項目をすべて満たすあなたには、きっとこの Eye-Fi Share が最高の働きをしてくれるだろう。


私が Eye-Fi Explore ワイヤレス SD カードを好きな理由

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は Eye-Fi Explore ワイヤレス SD カード (Amazon 価格で $129.99) がちょうどぴったり目的に適うタイプの写真家だ、恐れを知らぬわが出版者 Adam Engst は違う機種、Eye-Fi Share を持っていて、彼は 2008-08-15 の記事“私が Eye-Fi Share ワイヤレス SD カードを嫌う理由”でこの Eye-Fi Share を散々にこき下ろしている。奇妙なことに、私は Adam の論点の大多数と同意見だ。けれども、私は過去数週間 Eye-Fi Explore を使ってみて、これが私には非常にうまく働いてくれることが分かった。(私は Wi-Fi Networking News にもっと長い、より技術的な視点からの記事を書いた。短く簡潔なものがお好きな方には、その要約と Adam の論文に対する疑似反証をまとめたこの記事の方が気楽に読んで頂けるだろう。)

Explore の追加機能 -- Eye-Fi Explore では、Share モデルの機能に加え、ジオタグとホットスポットでのアップロードが追加される。ここでのジオタグのサポートは、写真が撮影された時点で周囲の Wi-Fi 環境に基づいておおよその緯度と経度が画像のメタデータの中に挿入するというものだ。Eye-Fi は Skyhook Wireless の Wi-Fi 位置測定データを使用する。これは iPhone のロケーションサービスにおけるコンポーネントの一つが使用しているのと同じものだ。つまり、先進工業国の大都市や、その近郊で最もよく働く。田舎や、海辺や、小都市などに出かけて写真を撮る場合は、認識可能な Wi-Fi 信号を受信することは難しく、従ってデータの特定もできないかもしれない。(オンラインで Skyhook Wireless の受信地域を調べることができる。下に示す地図で、米国全体のうちどの程度の地域をカバーしているかの感覚が分かるだろう。)

Skyhook-coverage-map

私はジオタグが大いに気に入っている。何もする必要なしに、写真に2つずつ追加のデータが入れられ、写真を探したり整理したりするのが格段に楽になる。願わくは、Eye-Fi が将来のバージョンで、GPS 通信をカードに組み込むか、あるいはこのカードと組になって働ける外部の GPS 機器を利用するかできる方法を見つけ出して欲しいものだ。

ホットスポット機能の方はもう少し問題が多い。購入時点で、アップロードがおよそ 10,000 カ所にも及ぶ Wayport 運営の Wi-Fi ホットスポットのどこでもできる一年間の会員購読が含まれている。その後は年額 $19 の料金がかかる。Wayport は米国内でおよそ 9,500 の McDonald's レストランをはじめ、全国に散らばった数百のホテルなどにも広がっている。日常的にファーストフードのフランチャイズ店に通う人以外にとっては薄っぺらなカバー範囲となってしまうが、McDonald's 店舗がいたる所にあることを考えれば、ちょっと店に立ち寄っては食べ物と言えないこともない物体を買い、写真のアップロードもする、というのはそれほど不便という訳でもないだろう。

(とても奇妙なことだが、McDonald's 店舗がどこにでもあるのは常識だと皆思っているが、シアトル市内ではなぜか数が少ない。私の家から一番近い店へは車で 10 分か 15 分もかかる。Adam も同じようなことを言っていた。ただ、旅行中ならばアップロード場所として McDonald's 店舗を選ぶのはなかなか良い選択肢だと思う。写真をアップロードするためのピットストップだと思えばよい。Wayport では、McDonald's 店舗の、あるいはその他の種類の、同社が提供するホットスポットの場所を示した地図 を出している。)

Wayport-coverage-map

この Explore の設定方法には問題がある。Wayport アップロードを使うように設定すると、このカードはオープンな、ログインの必要のないホットスポットならばどんな種類のものでも _すべて_ アップロードをしようとするのだ。私はこれが気に入らない。このような挙動ではトラブルに巻き込まれる恐れがあるからだ。ホットスポットを使うかどうかはケース・バイ・ケースで、ユーザー側での意図的な選択によるものであるべきだと思う。

Adam の腹立ち -- Adam と私は多くの点で共通している。ただ、デジタル写真に対する私たち二人の考え方や行動パターンは決定的に異なっている。

素敵だ、でもニッチ向け -- この Eye-Fi Explore は、写真を撮る私のコンシューマとしてのワークフローにぴったりと収まってくれた。先週末のこと、妻と私は今日 4 歳の誕生日を迎えた長男の Ben のためにバースデイパーティをした。二時間くらいの間、私はまるで狂ったように写真を撮りまくった。パーティは自宅でしたので、パーティが終わった頃には既にそれらの写真の大部分が私のコンピュータの中に収まり、Flickr にもアップロードされていた。バッテリを交換する必要もなかった(私のカメラは二本の単3充電電池を使う)し、私たちはアップロードのことを一切気にする必要もなかった。さて今は、まだ編集と削除の作業が残っているが、その作業は私たちの自宅にあるメディア用コンピュータ(たいていは写真のプリントを作るため)でもできるし、また Flickr(家族や友人、あるいは世界に向けて共有するため)でもできる。

でも、Eye-Fi の将来のモデルでは、ぜひとも Adam が提案したようなことを盛り込むべきだ。Eye-Fi は、今はまだニッチ向けの製品でしかない。たとえ現在そのニッチ市場が大きなものであったとしても、それでもこれは製品の方が使う人の必要に合わせるのでなく、写真の大好きな大勢の人たちの方がこのカードに合わせるために自分の行動パターンを変えなければならないという風になってしまっているのだから。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、18-Aug-08

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>


TidBITS Talk/18-Aug-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

娯楽を超える iPhone アップス -- iPhone アプリケーションのうちいくつかは米国内の App Store でしか購入できない、と読者たちが報告する。(メッセージ数 5)

Eudora でフォルダの合併? -- 新しい電子メールプログラムに移行する前に Eudora で二つのフォルダを一つに統合するにはどうすればよいか? (メッセージ数 3)

Odysseus, "Eudora 風電子メールクライアント" -- 新登場した電子メールプログラムに関する質問に端を発し、REALbasic をどれだけうまく実装できるかという議論が起こる。(メッセージ数 11)

iPhone 上の NetShare アップ -- NetShare は、iPhone を繋留モデムとして使ってコンピュータでインターネットアクセスができるというものだったが、突然 App Store から削除されてしまった。既にこれを購入した人は、次に同期した時にこれが削除されてしまうのだろうか? (メッセージ数 2)

Garmin nuvi 255W、ナビゲーションに焦点を絞る -- この GPS 機器をレビューした Adam の記事に、パフォーマンスに関するコメントや、他の機器のパフォーマンスとの比較などが寄せられる。(メッセージ数 3)

旅の途中で写真のバックアップをとる_ -- 旅行中にデジタル写真をセキュアに保つための戦略について読者たちが提案する。(メッセージ数 10)

[ANN] Apple Security Update、Microsoft のアップデートプロセスを妨害 -- 最新の Apple のセキュリティアップデートによって、Microsoft AutoUpdate が Mac OS X 10.5 Leopard 下で動作を妨げられる。(メッセージ数 1)

MobileMe Mail と Gmail が同時にダウン -- MobileMe と Gmail の両サービスが中断を経験したのを見て、読者たちが両者の問題点を指摘する。(メッセージ数 4)


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