TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#945/15-Sep-08

九月に入り、Apple ではリリースの嵐だ! 先週の“Let's Rock”イベントでは、新型の iPod nano と iPod touch 各機種(それに iPod classic の単一構成)が登場したほか、楽曲推薦機能の Genius を新たに加えた iTunes 8 も出た。Genius 機能は新型の iPod 各機種と、それから金曜日にアップデートされた iPhone 2.1 ソフトウェアを装備した iPhone でも働く。iTunes 8 と言えば、あなたが購読するポッドキャストに、ようやく一つずつ独自の設定が付けられるようになったことを Adam が発見する。さて、Apple のイベントと言えば数字がつきものなので、Adam が Steve Jobs の提示した数字にさっと目を通し、Apple の帳簿で興味深い成長を示した個所について説明する。その他のニュースとしては、Joe Kissell が Mac 用バックアップソフトウェアを集めた彼の膨大なリストをアップデートし、Apple の重役たちが最近の和解の結果ようやくバックデーティングのスキャンダルから解放されたらしく、また本日リリースされた Mac OS X 10.5.5 における変更点についてもお伝えする。今週号の TidBITS 監視リストでは、NetworkLocation 3.0、Spring Cleaning 10、Front Row 2.1.6、それに HP Printer Driver 1.1.1 のリリースについてお知らせする。

記事:

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Mac OS X 10.5.5 アップデート、バグ修正に焦点を絞る

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple は今日、Mac OS X 10.5.5 をリリースし、多数のバグ修正を組み入れた。私たちの知る限り新機能はないようだが、Apple のリリースノートにかなり詳しい内容が書いてある(ありがとう、Apple!)お陰で、この 10.5.5 が特定の問題を解決していそうかどうか、ユーザーが自分で感じを掴むことができる。

例えば、Apple はこのアップデートで MacBook Air のビデオ再生に関する安定性の問題や、プロセッサコアのアイドリング (熱に関係した理由で MacBook Air が二つのプロセッサコアのうち片方を止めてしまっていた問題)、遠隔ディスク共有などに対処したとしている。このことが、同じようにプロセッサコアのアイドリングの問題を解決したと称していた MacBook Air Update での修正と同じなのか違うのかは明らかでない。

その他の一般的なバグ修正をいくつか挙げると、毎日定時に Mac の電源が勝手に入ってしまうことのあった問題、TextEdit でカラーパレットを使った際の安定性の問題、Palm OS ベースの機器との間でコンタクト情報が正しく同期できなかった問題などを解決し、Disk Utility でソフトウェアミラー RAID ボリュームを再構築する際の信頼性を改善、また Mac OS X 10.5 クライアントが特定の Samba サーバに接続する際(これには Mac OS X Server 10.4 の Samba サーバも含まれたとのことだ - おやおや!)の Kerberos 認証の問題も解決している。

全般的な改善点としては、Spotlight 索引付けパフォーマンスの改良、Speech Dictionary の改善、それに広範囲にわたるグラフィックスの強化などがある。

Time Machine -- Apple の Time Machine を、Dr. Who に出てくる時として手に負えない TARDIS と比較してしまうのは自然の成り行きというものだろう。Time Machine は大体において多くの人のためにうまく働くが、時としてバックアップしなくなったり、バックアップの途中で立ち往生したり、奇妙なエラーメッセージでユーザーを混乱させたりする。だから、まるで心優しい医者のように、Apple は常に Time Machine を見守り手当し続けている。今回は Time Capsule の信頼性を上げ、当初でも進行中でもバックアップのパフォーマンスの問題に対処し、バックアップボリュームに十分な空き容量がないという誤ったメッセージが出る問題にも対処した。

非常に興味深いのは「Time Machine はあなたの Mac 上にある iPhone バックアップも、また (~/Library/Application Support) にある他の項目もバックアップできるようになりました」という記述だ。ということは、これまで Time Machine は iPhone バックアップやその他 Application Support フォルダの中身をバックアップして _いなかった_ ということだろうか? それは心強いこととは言えない。

Mail 処理の改善 -- Mac OS X 10.5.5 での修正点の多数が Mail に関係している。特に堅牢性に関するものが多い。Apple は Dock 上の Mail のアイコンに何かをドラッグした際の、添付書類を持つ下書きの保存の際(これが特に困った問題だったのはメッセージを書き始めた段階で早いうちに書類を添付しておくことは添付忘れを防ぐために良い習慣だからだ)の、またメッセージの送信の際などでの、クラッシュその他問題を起こしていた安定性の問題に対処した。

また、今回のアップデートでは IMAP メッセージの表示における Mail パフォーマンスを改善し、よく使われるメールホスト、例えば CompuServe、Yahoo、Time Warner Road Runner、Hanmail といったところの SMTP 設定に関する問題も修正された。最後にもう一言、今回の新バージョンの Mail で RSS フィードがサイドバーから一時的に消える問題が解消され、「スレッドにまとめる」表示を使っている際に折り畳んだスレッドの日付が正しく表示されるようになった。

MobileMe と iCal -- Apple のリリースノートはこの面で詳しく述べることをしていないが、「全般的な同期の信頼性が向上」という言葉を見る限り、このオンラインサービスで同期について引き続き問題に見舞われている少数の MobileMe 購読者たちにとってこれが歓迎すべきアップデートであろうと思われる。

iCal のアップデートでは、繰り返し起こるイベントの処理とミーティングの参加者たちについての作業に修正が施された。また、詳細は述べられていないが「出版したカレンダーの同期の問題」も解決されたという。

Back to My Mac (どこでも My Mac) にも「信頼性の向上」が施されたようだが、どのように向上したのかについて Apple は何も語っていない。

DNS のパッチ -- Security Update 2008-006 は、10.5.5 にはその一部分として含まれ、Mac OS X 10.4.11 用としては別途利用できるようになっているが、システム管理者たちだけが喜ぶような分かりにくい修正が何十項目もあるほか、いくつかの重要な DNS 関係の修正も含まれている。

以前の記事で詳しく解説したように、DNS lookup、つまり人間が読める形でのドメイン名をマシンが使う数字に変換する操作を処理するシステムの大多数に欠陥があって、犯罪者や悪漢たちがそれにつけ込んでウェブブラウジングやその他のサーバへのトラフィックを悪意ある目的で運用されるサーバへと振り向けてしまうことが可能になっていた。(例えば www.amazon.com への正当なリクエストに対し、悪者が運営するサイトに対応した偽物の IP アドレスが返されてしまう可能性があった。)詳しいことは私たちのシリーズ記事“DNS Flaws Could Have Led to Disaster”をご覧頂きたい。

(日本語)Apple、DNS が攻撃される危機的な欠陥をパッチせず | DNS クライアントにパッチ後も小さなリスク要素が残る | Apple、ようやく DNS 欠陥と ARDAgent 脆弱性を修正

今回のセキュリティアップデートで、Apple はこの DNS 欠陥に関係する三つの追加項目にクリーンアップを施した。一つは BIND、これは DNS lookup を処理するデーモンソフトウェアで、Tiger システムではバージョン 9.3.5-P2 に、Leopard システムではバージョン 9.4.2-P2 に、それぞれアップデートされた。いずれのリリースも最初のパッチ (P1) では重いロードの下でパフォーマンスに問題があることが知られていたが、そのような状況はほんの数台の Apple サーバシステムのみが陥る可能性のあるものであろうと言われていた。

こちらの方がより重大だが、Apple は libresolv をアップデートした。これは DNS の _解析_ (つまり前述の名前から数字への変換) を提供する基盤システムライブラリで、いろいろなアプリケーションによって使用されるものだ。これは Mac OS X の働きの大部分には影響しないことだが、特別に DNS lookup の必要のあるプログラムにとってはこのアップデートが必要となる。よりローレベルあるいはグラフィック関係のどのソフトウェアがこのアップデートで影響を受けるのかははっきりしない。

最後に三つ目として、mDNSResponder も今回のリリースでパッチされた。これは iPhone 2.1 および iPod touch 2.1 でも同様の修正を受けたものだ。mDNS はローカルネットワーク上で Bonjour が情報の受け渡しのために使うプロトコルで、その性質上、標準の DNS が持っていたのと同じ弱点に晒されている。

ファイル共有の明瞭度 -- もう一つ興味深いのが、Sharing 環境設定パネルの表示で、どの File Sharing サービスがアクセス可能かを表わす方法が変更されたことだ。従来は、File Sharing サービスでリストされるのは共有されるようあなたが手でセットしたフォルダやボリュームと、あなたの Home フォルダの中にある Public フォルダのみであった。(このことで“Take Control of Sharing Files in Leopard”の改訂版を執筆していた Glenn は大変な思いをした。このリストの内容が実際に利用可能なものと食い違っていたからだ。)

今回のアップデートで、File Sharing サービスはその Shared Folders リストの中に共有されているすべてのフォルダを表示するようになった。他のローカルユーザーたちのホームディレクトリにある Public フォルダも含まれるようになった訳だ。Apple はこの点について注釈を加えていて、(私に言わせればちょっと微妙な言い回しだが)管理者アクセス権を持つ人なら誰でもすべてのローカルボリュームを(ブートドライブも、すべてのマウントされたドライブも)共有できると説明している。

Tiger、PPP を露出 -- Tiger においてとりわけ馬鹿げた間違いであったある問題が、今回のアップデートで修正された。PPP 接続のために使われるパスワード、主にダイヤルアップのモデム接続におけるパスワードが「世界中どこからでも読める非暗号化の状態」で保存されていたらしいのだ。この問題について互いに無関係に見える三人の人たちの名前が挙げられているところを見ると、この欠陥はずいぶん前から知られていたものかもしれない。

マイナーな Mac OS X Server アップデート -- Apple はまた Mac OS X Server 10.5.5 アップデート も別途出荷し、ファイルサービス、コラボレーションサービス、ディレクトリサービス、Active Directory プラグイン、その他さまざまのユーティリティにおける数十個の比較的マイナーなバグを修正したようだ。それに加えて、このアップデートには WebObjects 5.4.3 Update も含まれ、いくつかのバグに対処している。後者は 158.5 MB の独立ダウンロードとしても入手できる。

アップデートの入手 -- Mac OS X 10.5.5 はソフトウェア・アップデート経由で入手できるが、以下のような独立ダウンロードとしても入手できる。クライアント版の Mac OS X 10.5.4 からアップデートするデルタ・アップデータ (316 MB)、Mac OS X 10.5.0 から 10.5.4 までどのクライアント版からでもアップデートできるコンボ・インストーラ (601 MB)。Mac OS X Server 10.5.5 にも、バージョン 10.5.4 からアップデートするもの (341 MB)コンボ・アップデータ (729 MB) とがある。

Security Update 2008-006 は、Tiger 用に四つのバージョンが入手できる。PowerPC 版の Mac OS X 10.4.11 用 (67.7 MB)Intel 版の Mac OS X 10.4.11 用 (157 MB)PowerPC 版の Mac OS X Server 10.4.11 用 (118 MB)、それにユニバーサル版の Mac OS X Server 10.4.11 用 (118 MB) だ。実際のところ、ソフトウェア・アップデートに任せるのが一番手軽で良い。


iPhone 2.1、待ちに待ったバグ修正を提供

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私はそうではないが、思慮分別のある人たちの中にはどんなソフトウェアでも必ず .1(いわゆる「ドット・ワン」)リリースが出るまで待ってから手を出すようにしている、という人がいる。その考え方は、最初の .0 バージョンには大きなバグが伴うことが避けられず、そういうバグはアップデートで解決されるから、ということだ。先週リリースされた iPhone 2.1 ソフトウェアのための Apple のリリースノートを見ると、どうやらやっと思慮分別ある人たちもこれでアップグレードに踏み出せるようだ。

このアップデートは、まだ iPhone 1.0 を走らせている人たちを含め、すべての iPhone オーナーが入手できる。これは、数多くの目立ったバグや厄介事に対処を施している。(Apple はそれらの修正点をオンラインにもリリースノートにもリストするまでしてみせた。)

iPhone 2.0.1 や 2.0.2 のリリースでは単に「バグ修正」を提供しただけだったが、iPhone 2.1 は私も他の人たちも毎日直面させられていた厄介事の数々に対処している。例えば、SMS と Phone/Contacts アプリケーションがコンタクト情報を見つける際に無駄に時間を費やすことがなくなった。同期の際に iPhone をバックアップする時間を「劇的に短縮」した。(私の場合はバックアップが時としてのろのろしていると感じる程度だったが、バックアップが終わるまでに _二時間_ も待たなければならなかった人たちを私は知っている。)数多くのサードパーティアプリケーションを持っている場合、ハングアップやクラッシュを引き起こしていたバグを修正したと Apple は言う。Apple はまた「通話のセットアップの問題、切断を軽減」したとも言う。それが全般的な 3G パフォーマンスの向上を意味しているのだと私は期待している。初期の報告は実際それを裏付けているようだ。また、このリリースでは今週になって発表された iTunes 8 や各種 iPod に装備された Genius 機能も追加されている。(2008-09-09 の記事“Apple、新しい iPod nano を発表し、iPod touch をアップデート”と“iTunes 8 は Genius を加え;iTunes Store は HD TV と NBC を加える”参照。)

それから今回、やっとのことで、新しいアプリケーションをインストールする際に iPhone があなたのアプリケーションアイコンの配置を保持するようになり、アイコンをゴチャゴチャに並べ替えてしまうことがなくなった。これだけでも、私の心はずいぶん静まった。

iPhone 2.1 にはいくつかのセキュリティの修正も組み込まれている。中でも、Passcode Lock 機能をすり抜けていた回避法に対策が施された。その他の変更点としては TCP の当初連番をランダム化することによる TCP スプーフィングの防止、アプリケーションのサンドボックス挙動の改善、CoreGraphics の修正、DNS キャッシュ汚染を予防する修正、WebKit における CSS 処理の改良などがある。

iPhone 2.1 は iTunes 経由で入手でき、ダウンロードサイズは 231 MB だ。まず iPhone を接続してから、iPhone Summary スクリーンにある Update ボタンをクリックすればよい。


Apple 経営陣の和解でバックデート問題も終焉か

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Reuters が報じるところによると、Apple の経営陣は同社がバックデートされたオプションを支給した事に関して、種々の株主から起こされていた色々な訴訟に対して和解することに同意したと言う。これらのオプションはそれが支給された日よりも前の日付での価格に設定されており、通常は最初から儲かる仕組みになっている - オプションは実際の支給日の市場価格よりも低い価格に設定されている - そして、このこと自体は違法ではないが、開示と正当な会計処理が義務付けられている。(どうして Apple がこの様な問題に自分自身を関わらせてしまったのか、そしてそれをどう解決しようとしてきたのかの全容については、我々のシリーズ "Apple's Troubles with Backdated Stock Options" を参照されたい。)

(日本語)Apple、オプションのバックデート操作について報告 | Apple、ストックオプション問題のレポートを発表 | 前 Apple 従業員、ストックオプションのバックデーティングで訴えられる | Apple 株のバックデート問題、取り調べ終了 | Apple の前トップ弁護士、オプション告訴に和解

これらの訴訟では多くの現在のそして前の Apple の経営者の名前が挙げられていて、その中には Steve Jobs, 前の CFO Fred Anderson, そして前の相談役 Nancy Heinen が含まれる。Anderson と Heinen は Apple が自らの行動に関して行った社内調査で表に出され - 名指しされたわけではないが - そして Anderson と Heinen の両者とも別の訴訟で彼らの過失責任については肯定も否定もしないことで SEC と和解をしている。同社自体はこの件に関して刑事でも民事でも訴訟はされていない。

Reuters によれば、これらの色々な訴訟の対象者全員がある和解条件に合意をしており、判事もこれに対して予備承認を与えていると言う。その中身は Apple に対して $14 million が支払われ、代わりに同社は原告側にその訴訟費用をまかなうため $9 million を払うというものである。この和解金は Apple の保険会社によって支払われる。

これらの訴訟は Apple を代表して株主によって起こされたものだが、彼らはこの収益金を分かち合わない - という事は Apple は彼らの保険掛け金に対して一種の割戻しとして $5 million を受け取り、経営陣は何も払わないことになる。これらの訴訟では、原告は訴訟費用からリベートを受け取ることは法的に出来ない;司法省は過去数年の間この様なやり方に対して何人かの弁護士を訴え勝利している。


Mac 用バックアップソフトの膨大なリストをアップデート

  文: Joe Kissell <joe@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私はたった今“Take Control of Mac OS X Backups”のオンライン付録に大幅なアップデートを施す作業を終えたところだ。このオンライン付録には現存するほとんどすべてのグラフィカルな Mac 用バックアッププログラムがリストされている。私はここ数カ月間、表のあちらこちらに手を加えたりしてきたが、それと平行して新しい、あるいはアップデートされたバックアッププログラムできちんとリストに組み入れる前にもっとテストしておかなければならないものも別途のリストにまとめるようにしてきた。そちらのリストに 20 個以上の項目が集まれば、それが自分の重みで崩壊してしまわないうちに行動を起こすべきだ、と私は気付くのだった。

数多くのバックアッププログラムで詳細情報をアップデートしたのみならず、リストには今回いくつかの全く新しいものも加わった。ElephantDesktop, IBackup for Mac, IDrive Online Backup,それに Mathusalem などだ。それだけでなく、私は SugarSync を表の中で「本物のバックアップソフトウェア」という分類へと昇進させた。バージョニング機能が含まれるようになったからだ。(2008-08-30 の記事“SugarSync、オンラインの同期に甘味付け”に説明がある。)

現在ベータテスト中のプログラムが二つあるのも私は知っているので、これらが出荷版になって私が試してみることができれば、できるだけ早くそれらもリストに加えたい。そうそう、私がこの記事の文章をタイプしている最中にも、私の表の中にあるバックアッププログラムの _また_ もう一つにアップデートが出たのに気付いた。(もちろん、私はそれを既にアップデートした!)ふう、何て忙しい!


iTunes 8 は Genius を加え;iTunes Store は HD TV と NBC を加える

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

あなたにはいつも最新の音楽とつながっている様に見える友達がいませんか?先週の iTunes 8 のリリースで、Apple もそのようないかした友人になりたいと願っている、新しい Genius 機能の形で。

この iTunes Genius はあなたのライブラリの中に、曲のプレイリストを自動的に造る。これは Apple が開発したアルゴリズムに基づいて、あなたの好みのアーティストやジャンルに合って、組み合わせの良い一連の曲を選び出す。

iTunes 8 を初めてインストールし起動すると、プログラムは右側のサイドバーの中で Genius 機能を生かすかどうか聞いてくる。もし同意すると、次にあなたの iTunes アカウント (必須) にログインした時に、Apple はあなたの iTunes ライブラリについての情報を集めそれらを彼らのサーバーに送り、それから結果を出してくる。このプロセスは必ずしも早いとはいえないが、ひとえにあなたの iTunes ライブラリの大きさに依存する。Apple によれば、あなたのライブラリに関する情報、トラック名、演奏回数、レーティング、それにプレイリストと言ったものが - しかし個人データは含まれない - 同社のサーバーに送られ毎週分析される。

この最初のプロセスの後、二つの Genius 機能が使えるようになる。あなたのライブラリの中の一曲を選び、そしてウィンドウの右下隅にある新しい Genius ボタンをクリックする。Genius プレイリストが生成され iTunes の左サイドバーの中に表示される。(この Genius ボタンは iTunes 7 の Browse ボタンに置き換わった。) Genius は iTunes Store とも連携して右サイドバーを使って、あなたのライブラリに何が入っているかを基にしてあなたの気に入りそうな曲やアーティストを推奨してくる。

前の MiniStore (今は無い) と同様に、Genius サイドバーはデフォルトでは自動的にオンにはされない。

Grid View -- iTunes における興味深い進化の一つは、あなたのメディアライブラリをリスト形式からもっと視覚的に対話出来るものにしようとする Apple の動きである。Cover Flow モードはアルバムのパネルをめくっていくという昔のジュークボックス形式を再現しようとしたものであるが、その 3D アピールはあっても、一度に表示できるアイテムの数は限られてしまう。

そこで Apple は Grid View を加えてきた、これはアルバムアートが列と行のグリッドの形で表示されるものである。(Grid View は従来のアートワーク付リストビューを置き換えている。) アルバムカバーのサイズも変えられる;そして iPhoto のイベントアイコンの様に、アーティスト、ジャンル、或いは作曲家ビューのアイコンの上にマウスのポインターを重ねると、アイコンをクリックすることなしにアルバムが表示される。上辺にあるボタンで、アルバム、アーティスト、ジャンル、或いは作曲家別の表示を選択できる。アイコンをダブルクリックすると、昔のアートワーク付リストビューが出てくる。

ちょっとしたスタイル上のこだわりもあって、アルバムでソートされたアイコンは四角だが (アルバムカバーの様に)、他のビューのためのアイコンは角に丸みが付けられている。

Apple がアルバムアートワークに焦点を当て続けてくれているのを見るのは嬉しい限りである、と言うのもデジタル時代になってからアルバムカバーは殆ど時代遅れになってきた感があるからである。

HD テレビ番組と孔雀の再来 -- iTunes の今回のアップデートで iTunes Store には高精細度のテレビ番組も付け加えられた;これまでは、標準精細度のテレビ番組しか提供されていなかった。Apple は、その新しい HD プログラムのフォーマット (720p, 1080i, 等々) も、番組が圧縮されるビットレートも規定していないが、いずれにしてもどの HD コンテンツでも、我々がこれまで購入してきた低精細度のテレビ番組よりも - それだって別に悪かったわけではない、世界がはるかに良く見えることには間違いが無い。

iTunes Store からの HD テレビ番組は iTunes から購入し視聴できる。事実、現時点では HD テレビ番組が購入できる所は iTunes だけで、Apple TV には高精細度バージョンはまだ現れていない;我々の観測では Apple TV に対するソフトウェアアップデートがまもなくリリースされるであろう。悲しいかな HD 映画の方は Apple TV を使ってしか購入、視聴できない;HD ポッドキャストは iTunes でも Apple TV でも引き続き手に入る。iTunes 8 リリースノートによれば、高精細度テレビ番組を見るには 2.0 GHz Intel Core 2 Duo かそれより高速のプロセッサを必要とする (Mac OS X でも Windows でも)。

HD 番組は、初期段階では NBC Universal のネットワーク (NBC, USA Network, そして Sci-Fi Channel の様な)、ABC、そして Showtime から、標準精細度版の値段 $1.99 に更に $1 のプレミアムをつけた値段で提供される。(ボーナスとして HD 番組の購入者には、携帯機器に適したより小さなファイルサイズと解像度を持った iPod-ready バージョンも提供される。)

ええ、確かに "NBC Universal" と言いました。先週イベントがあり、NBCU コンテンツが iTunes Store からほぼ丁度一年前に突然消えて以来の復帰となった、当時、Apple によれば、同社は NBCU からの番組一回放映分当りの料金の値上げ要求を断ったと言う。(Macworld のこのイベントの生プロッギングで、副編集長 Dan Moren は John Mayer がどの Genius プレイリストにも登場していることにジョークを飛ばしていた;Universal のレコーディングアーティストである Mayer を頻繁に登場させたのは NBCU を交渉のテーブルに着かせたことに対する代償だったのかもしれない。)

Apple が言うには、秋のテレビ新番組シーズンに丁度間に合って戻ってきた NBC は彼らの "トップシリーズ" に対して一話を無料で提供する、その中には来るべき "Knight Rider" や "My Own Worst Enemy" と言った番組の初回編の放映日一週間前の事前プレビューも含まれるという。年代ものの番組、"Miami Vice" やオリジナルの "Battlestar Galactica" と言ったものも一番組当り 99 セントで入手できる。

その他の変更 -- iTunes 8 は Leopard の Universal Access 設定ペインにある VoiceOver コンポーネントを使って iTunes ライブラリを管理することに対するサポートも加えている;Windows XP と Windows Vista の下では、iTunes は Window-Eyes 機能をうまく使っている。スクリーンリーダーを使っても iTunes Store からメディアを購入そしてダウンロードも出来る。

iTunes 8 では新しいビジュアライザーも登場していて、View メニューの Visualizer サブメニューに単純に iTunes Visualizer として挙げてある。その効果は、宇宙空間の球状の黒い物体を囲む電気火花に似ている。昔のビジュアライザーも同じメニューから iTunes Classic Visualizer として入手できる。

iTunes 8 は、新しいビデオオプションを扱うために同時にリリースされた QuickTime 7.5.5 を必要とし、Software Update 経由で 67.5 MB のダウンロードとして出されている。また Front Row Update 2.1.6 (13.1 MB のダウンロード) もリリースされたが、これは iTunes 8 への対応を提供している。iTunes 8 も QuickTime 7.5.5 も両方ともセキュリティ修正が加えられている。

iTunes 8 は 55.9 MB ダウンロードで、Apple の Web サイト又は Software Update 経由で入手可である。


iTunes 8 がポッドキャストごとの設定を追加

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

iTunes が 2005 年の中ごろの iTunes 4.9 によってポッドキャストのサポートを開始してから3年、Apple はやっと、ポッドキャスト単位でダウンロードと保存を設定できるようにした。これまでも、iTunes はポッドキャストに新しいエピソードが追加されたときどうするか、何本のエピソードを残すのかを決めることはできた。しかし、これらの設定は全てのポッドキャストに平等に適用された。この十把一絡げの扱いはほとんど意味をなさなかった。"Take Control of Podcasting on the Mac" の作者である Andy Affleck は iTunes 4.9 のポッドキャストの扱いに関する彼の紹介記事において、鮮度の落ちやすいニュースのポッドキャストを彼の息子が好むようなラジオ番組とは異なる設定にしたいと指摘していた (2005-08-04 の"Apple、ポッドキャスティングをサポートした iTunes 4.9 をリリース"を参照)。

iTunes 8 においては、ポッドキャストの設定は iTunes 設定ウィンドウから独立したダイアログに移動された。このダイアログには購読ポッドキャストのリスト画面下にある設定ボタンをクリックしてアクセスする(iTunes のサイドバーにある Podcast ボタンをクリックするとリスト画面が表示される)。Podcast 設定ダイアログには購読しているポッドキャストの何れかを選ぶためのポップアップメニューがあることを除くと、以前の設定インターフェースと全く変わらない。

iTunes-podcast-settings

ダイアログの一番上は新しい「エピソードを確認」ポップアップメニューがあり、これは引き続き全てのポッドキャストに適用される共通設定のままだ。ここでは、毎時間、毎日、毎週、手動が選べる。この設定についてもポッドキャストごとにすべきだという意見はあるだろうが、私はこの設定を全てのポッドキャストに共通にすることで簡素化をはかった Apple の判断は正しいと思う。

次は「設定対象」ポップアップメニューで、あなたが購読しているポッドキャストのどれかをピックアップするか、又はメニューの最上部の Podcast のデフォルトを選んでデフォルトのオプションも設定できる。ここで特定のポッドキャストを選ぶと既定の設定を使うチェックボックスのチェックを外すことができるようになり、希望するオプションを選べるようになる。

ここには2つのオプションがある。一つ目は「新しいエピソードがある場合」ポップアップメニューで、利用可能になったときに iTunes に、すべてをダウンロードさせるか、最新のものをダウンロードさせるのか、何もしないのかを設定する。最後の選択肢は、特定のエピソードだけをつまみ食いしたいために継続して購読しているポッドキャストに対して大変効果的だ。

二つ目の「保存するエピソード」で、すべてのエピソード、すべての未再生のエピソード、最新のエピソード、または最新の 2、3、4、5、10 エピソードの中から iTunes に残しておきたいエピソードの数を設定する。これがキーとなる設定だ。これのおかげでやっと、あなたは特定のポッドキャストをどれくらいの頻度で聴くのか、そのポッドキャストにどれくらい興味があるのか、(おおよそだが)ポッドキャストのために割り当てたいと思っているディスクスペースがどれくらいかを考慮して、残しておくエピソードの数を iTunes に教えておくことができるようになったのだから。

ディスクスペースの問題を軽んじてはいけない。私のポッドキャストと過ごす時間はどれくらい長く庭仕事をしたのか、車の中に何時間いたかに依存している。そして、これらはどんどん積みあがっていく。実際どうか、今チェックしてみると、ポッドキャストディレクトリが 10GB を超えている!さて、ご自分の iTunes の設定をどうするかは皆さんそれぞれにおまかせしよう。私は、やはりもう少し整理して減らしておきたい。


Apple、新しい iPod nano を発表し、iPod touch をアップデート

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <http://www.ousaan.com/mail/>

そろそろ北半球では、木々の葉が色づいて、枝から落ちる準備をするころだ。ということは、そろそろ Apple が、一群の新しい iPod を空に放つころだ。今年の改定が下り立ったところを見ると、iPod classic は保存容量が1種類になり、iPod nano は姿を変え、iPod touch には新しいハードウェア機能が加わった。価格は変わらず、私たちに言わせれば高いままで、この製品の高いマージンを維持できるという Apple の自身が表れている。

クラシックの品揃えを整理 -- 以前は 80 GB と 160 GB のバージョンがあった iPod classic は(後者はより厚い筐体に収められていた)、120 GBドライブ1種類を搭載するようになり、シルバーまたはブラックの輝きを放っている。249 ドルだ。新しい iPod classic は Genius プレイリストに対応しているが、それ以外には旧バージョンからの変更点はない。

これが示すことは、iPod classic が、そしてひょっとするとハードドライブベースの iPod すべてが、消えゆく運命だということなのかもしれない。1.8インチのハードドライブというのは確かに小さいが、フラッシュ RAM と比べれば耐久性に劣り、かさばるので、RAM の容量が増えて価格が低下するにつれ、Apple は iPod 製品のすべてを RAM ベースのストレージに移行するのかもしれない。ここで問題になるのが、容量の違いだ。RAM ベースの iPod で32 GB を超えるものはない一方、iPod classic は 120 GB になった。160 GBの iPod classic が取り下げられた理由は示されていないが、それは単に売れ行きがよくなかったからということかもしれない。

(iPod shuffle は、今回の製品発表では言及されていないが、引き続き2種類の容量が用意されている。1 GB が 49 ドル、2 GB が 69 ドルだ。シルバー、ブルー、グリーン、ピンク、そしてチャリティーに参加できる(PRODUCT) RED から選択できる。)

ますます派手なナノ -- iPod nano は、広く噂されていたとおり細長い形状に戻り、LED バックライト付き 320 × 240 ピクセルの 2 インチ画面を搭載する場所を確保している。新しいガラスとアルミニウムの筐体は、旧デザインよりも丸みがあって薄い。

驚いたことに、iPod nano には(iPhone や iPod touch と同じような)加速度計が搭載され、iPod nano の向きを変えるにつれて画面が縦長と横長に切り替わるようになった。また、iPod nano をシェイクすれば曲順をシャッフルすることができる。この頭のよい機能は Steve Jobs の講演で喝采を浴びていた。iPod nano は、ほかの新しい iPod と同様、Genius プレイリストを作ることができる。電池の寿命は延び、Apple が言うには音楽再生で 24 時間、ビデオ再生で 4 時間だ。

新しい iPod nano では、マイクが内蔵された新しいイヤホン(再生・停止、トラックのスキップ、ボリュームコントロールのためのボタンもついている)を使って、音声の録音ができる。このイヤホンは 2008 年 10 月に 29 ドルで発売される予定だ。10 月にはまた、nano 用のアームバンド(29 ドル)と、デュアルドライバ(ウーファーとツイーター)を搭載する新デザインのイヤホン(79 ドル)も登場することになっている。

Apple は改定された iPod nano に2種類の容量を用意している(8 GB が 149ドル、16 GB が 199 ドル)。そして色は9色から選べる。シルバー、ブラック、パープル、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、(PRODUCT) RED、ピンクと、虹の色がすべてそろっている。8 GB モデルはすぐに入手可能で、16 GB モデルも数日中に出荷される見込みだ。

全体として、新しい iPod nano は大当たりのように見える。ほとんどの人は、細長い形状が戻ったことに喜んでいるようだし、加速度計が加わったことは本当に気が利いている。私たちは、この製品が今年の年末に、文字通り飛ぶように売れるとみている。

セレブなタッチ -- iPod touch も全面的に大幅改装された。アップデートされた iPod touch は、背面はステンレスになり、今までにないほど薄く、iPhone 3G に似た曲面を持つようになった。新しい iPod touch には内蔵スピーカーと(これは音楽を聞くためのイヤホンに替わるものではないと Jobsは強調していた)外部ボリュームコントロールが加わり、19 ドルのNike+iPod センサーと無線でつながるようになった。これまでは無線接続には外付けのアダプタが必要だった。これは運動のために走ったり歩いたりしているあいだに iPod を使っている人たちには大きなプラスだ。Nike+iPod アダプタは、特に iPod をアームバンドやケースの狭いところにねじ込むときには、iPod のスマートなラインを台無しにしていた。

iPod touch には 8 GB、16 GB、32 GB の容量があり、価格はそれぞれ 229 ドル、299 ドル、399 ドルだ。これは大幅な値下げで、8 GB モデルでは 70 ドル、16 GB モデルと 32 GB モデルでは 100 ドル下がっている。3つのモデルはすべて出荷が始まっている。

新しい iPod touch を iPhone 3G と比べてみると、大きな違いは(もちろん携帯電話機能がないことは別として)、iPod touch には GPS チップとカメラがないことだ。どちらも、iPod touch にあったらすばらしくよいものだろう。Apple は明らかに、iPhone と iPod touch を、単に通話機能の有無というだけでなく差別化しようとしている。しかし、今や販売奨励金のついたiPhone の価格と比較すると、混乱してしまう。8 GB の iPhone 3G は 199 ドルで、8 GB の iPod touch より 30 ドル安い。16 GB の iPhone 3G と iPod touch は同じ価格の 299 ドルで、32 GB の iPhone 3G は存在しないので比較できない。もちろん、iPod touch の価格には、月 75 ドル(あるいはそれ以上)の携帯電話サービス契約を考慮に入れる必要がない。

さらにグリーンの色合い -- Jobs は、これらの新機能に加えて、新しいiPod nano と iPod touch はより環境にやさしくなったと強調した。ポリ塩化ビニルや水銀、臭素化難燃材と手を切り、砒素を含まないガラスを使用し、容易にリサイクルできる素材から作られている。もちろんこれはよいことだが、次のことを指摘しておかなければ、私たちは怠慢の誹りを受けるだろう。古いiPod についてあなたができる、もっとも環境にやさしいこととは、それをできるだけ長く使い続けることだ。たとえそれが、言うのも恐ろしいことだが、今のものが動かなくなるまで、ホットな新モデルの購入を控えることを意味するとしても。


Steve Jobs の数字を検証する

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Benjamin Disraeli の有名な言葉に「世の中には三つの嘘がある。一つは嘘、次に大嘘、そして統計である」というのがある。この意見に対してとやかく言う資格が私にないことは明らかだが、いずれにしても私たちが Apple から何らかの統計数字を聞くことができるのは Steve Jobs が Apple の何かのイベントで壇上に立って話す時だけだ。もちろん、Steve は良い数字だけしか明かさないし、その中でも今発表しようとしているものを後押しするような数字しか彼は語らない。こうした Apple の統計数字を確認する方法はないので、私たちとしては彼が好調に金を儲けていると見える株式公開の企業の長として単なる作り話をしているのではないことを信用するしかない。ではここで、先週の“Let's Rock”イベントで Steve が語った数字について見て行こう。

iTunes Store の統計 -- NPD Group によれば、iTunes Store は 2008 年に米国第一位の音楽小売業者になったということだ。トップの座を Walmart から奪い、両者の後には Best Buy、Amazon、Target と続く。Amazon が五位から四位に一つ上がったのは Amazon MP3 がプロテクトなしの音楽ダウンロード(DRM 暗号化の付かない MP3)を売り上げたことと、オンライン CD 販売では従来型店舗での音楽販売に比べて減退率が低いことが寄与しているのだろう。いずれにしても iTunes Store の数字は以下に挙げる通り目覚ましいものだ:

iPod の統計 -- Mac はいまだにとりたてて大きな市場シェアを持っている訳ではない(最近 11 パーセントという数字が言われているのを見たことがある)が、iPod についての数字は凄い。あまりにも驚くような数字なので、もしも私が Apple だったならば独占的と見られるような活動は心して避けるようにするだろうと思うほどだ。

今や iPod は音楽プレイヤーの市場で 73.4 パーセントのシェアを持っている。第二位は“Other”つまりその他十把一絡げのカテゴリ−で、多数の会社が合わせて 15.4 パーセントを占めている。第三位は SanDisk でおよそ 9 パーセントの市場シェア、ここは評価の高い音楽プレイヤーを持っている。そして第四位で、ほんのささやかな 2.6 パーセントの市場シェアを占めているのが、Microsoft の Zune だ。(2008 年 9 月 16 日に Microsoft は改訂版の Zune ファームウェアとハードウェアを出す予定で、そこには FM タグ付けが含まれる。つまり、内蔵の FM 受信機でどこかのラジオ局の番組に流れる曲を聴き、ボタンを押せば、Zune が Wi-Fi ネットワークにアクセスできる状態になっている限り即座にその曲が購入できるようになる。)

Apple はこれまで 1 億 6,000 万台の iPod を販売した。 Edison Media Research の発表によれば、2008 年 4 月現在米国内の消費者の 37 パーセントがポータブル MP3 プレイヤーを持っているという。つまり、米国内の消費者の 27 パーセントが iPod を持っているということになる。その「米国内の消費者」の数が実際どんなものか私は知らないが、この数字から推察するに米国内と外国での iPod の売上げがほぼ互角といったところではないだろうか。

さらに目覚ましいとも思えるものが、Apple が iPod をめぐって押し進めているエコシステムのサポートだ。Jobs によれば、米国内の自動車の 90 パーセントが iPod との統合を提供しているという。たぶんそれは現在販売されている _新車_ についての話だろうと思うが、それにしても、それだけのレベルのサポートがあれば他のどんな音楽プレイヤーも当面は iPod の王座を揺るがすことができそうにもない。(また、自動車に組み込んで iPod サポートを追加できるような安価なカーステレオもたくさんある。)

同じように、Apple は 5,000 以上の iPod アクセサリが入手可能だと述べている。アクセサリをカテゴリー分けしてもそれほど種類は多くない(ケース、スピーカー、ヘッドフォン、FM 送信機、その他)ので、つまりはアクセサリの市場が十分に大きくて、数多くの競合会社が参入する余地があるということなのだろう。

App Store の統計 -- こちらの数字は評価が難しい。Apple によれば、現在 App Store では 3,000 のアプリケーションが iPhone および iPod touch 用に利用可能だというが、まだ iPhone 開発者プログラムに参加できないでいるプログラマーたちも多数いるし、もちろん現在 iPhone アプリケーションを開発中の人たちも多いだろう。この 3,000 のアプリケーションのうちゲームがたった 700 しかないというのは私には驚きだが、Apple は“Games”と“Entertainment”を別分類にしており、これはあまりはっきりしない区分だと思う。私は、こうしたさまざまの異なった App Store カテゴリーがどのように区分されるのか、ぜひ知りたいものだと思っている。

数が多すぎるという問題に App Store が直面しているのも明らかだ。プログラムが 3,000 もあって非常にシンプルな広範囲のカテゴリー分けしかされず、並べ替え機能も貧弱ならば、たいていのアプリケーションは結局ごたごたの中に埋もれてしまい、あなたの興味や必要に合致した特定のプログラムを探し出すことが難しくなってしまうだろう。

App Store に関連したもう一つの Apple の大きな数字は、これまでダウンロードされたアプリケーションの総数が 1 億本を越えたというものだ。Apple とのフォローアップの議論を読めば、この数字は無料と有料双方のアプリケーションを含むが、アプリケーションのアップデートのダウンロードは含んでいないことが分かる。それにしても、これは猛烈に大量のダウンロードだ。それだけの数のアプリケーションのうち、実際に使われているのはどれくらいか、知りたいものだ。私の場合ダウンロードするのはほとんどが無料のものだが、実際に使っているのはそのうちほんの少数のアプリケーションに過ぎない。

Macworld Expo に期待しよう -- 次の Macworld Expo キーノートまでは、きっと Apple から新たな数字を聞けることはないだろう。だからそれまでの間、私たちは小数点の前にたくさん並んだゼロをじっくり眺めていよう。そして、少数派の Macintosh として鼻であしらわれたあの古き悪しき日々を覚えている私たちは、今や多数派の iPod の仲間でいることを楽しもうではないか。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、15-Sep-08

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
   訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>


TidBITS Talk/15-Sep-08 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mighty Mouse の清掃法? -- マウスのトラックボールを清掃していた日々を覚えているか? そうしたことが過去のこととなったのは喜ばしいが、ただ Apple の Mighty Mouse だけは例外だ。あの小さな、スクロール用のトラックボールだ。これを清掃する最良の方法とは? (メッセージ数 13)

質問: Spotlight でトップヒットを起動 -- Leopard では、Spotlight 検索結果の最初の項目を選択して起動するための挙動が変わってしまった。(メッセージ数 4)

AT&T を回避するため iPhone 3G のロックを外す -- ある読者が、iPhone 3G を Verizon のネットワークで使うのが可能かどうかと思案する。(答は否だ。)(メッセージ数 5)

RAID を 10.5 の Leopard の下で設定するには? -- Tiger の下では働いたソフトウェア RAID の設定が、なぜか Leopard の下では機能しない。(メッセージ数 3)

新型 iPod: はたして iPod Classic は消え行くのか? -- Apple は今回、ハードドライブベースの iPod classic にたった一種類しか構成を提供していない。これはつまり、この機種が近い将来切り捨てられるだろうということなのか? (メッセージ数 37)

iPod Touch の価格が高すぎる? -- あるウェブサイトで、iPod touch にかかるコストをさまざまな PDA と比較している。(メッセージ数 4)

MobileMe は頭痛の種 -- 有料の MobileMe サービスで Apple のためにベータテスターをさせられている、と読者たちが不満を述べる。(メッセージ数 2)

ThinkTank - More - その次は? -- ちょっと古めのこれらのアプリケーションを置き換える(あるいは少なくともそのデータを読める)ようなアウトライニング・ソフトウェアを求めて、探索が始まった。(メッセージ数 5)

iPhone 2.1、待ちに待ったバグ修正を提供_-- 最新の iPhone および iPod touch 用アップデートでの変更点を読者たちが議論する。(メッセージ数 10)

携帯電話で "LoJack" -- 盗まれた電話機を見つけるために使えるソフトウェアは、iPhone でも使えるかもしれない。(メッセージ数 3)

iTunes 8 で AirTunes が不調 -- ある読者が、iTunes 8 アップデートの後ワイヤレスで AirPort Express に再生できなくなったことを発見する。だが、他の人のところではそんな問題は起こらない。(メッセージ数 4)

Mac 用バックアップソフトの膨大なリストをアップデート_-- Joe Kissell が、バックアップ用アプリケーションを集めた彼のリストにはグラフィカルなインターフェイスを持ったソフトウェアしか入れていないことを説明する。(メッセージ数 2)


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