TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#978/11-May-09

先週の大きなニュースといえば Amazon の Kindle DX 電子ブックリーダーだった。Adam がこれを検討してどこが変わったのかを調べ、Kindle が提供するのに最もふさわしいのはどんな種類のコンテンツだろうかと考察する。また今週号では Mark Anbinder が執筆陣に復帰して FileMaker の新しい iPhone 用 Bento アプリを紹介し、Doug McLean が浸水による iPhone の故障に関して Apple のポリシーが変更されたことを説明し、Neale Monks が AppleLust の創設者 David Schultz の業績を讃える。ちょっと毛色の変わったニュースとしては、Doug がもう一つの記事で、サンフランシスコ近代美術館がその膨大な常設展示物をウェブ上に展示するために作成した革新的なツールを検討する。ソフトウェアリリースでは、Fireworks CS4 10.0.3 Updater、Apple の Xserve LOM Firmware Update 1.2、BBEdit 9.2、OmniFocus 1.6.1、SousChef 1.2、Apple の iMac EFI Firmware Update 1.4、Tweetie 1.1 を簡潔に紹介する。それから、iTunes 同期プログラム SuperSync が当たる今週の DealBITS 抽選に応募するのもお忘れなく!

記事:

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Apple、iPhone の浸水故障による交換ポリシーをリフレッシュ

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

最近アップルは、浸水によって故障した iPhone の交換ポリシーを変更した。同社は、液体浸入インジケータが作動された場合は、今まで通り、故障した機器を無料交換しない。(「液体浸入インジケータが不慮の浸水を確証」2009-02-17 を参照)しかし現在は、199 ドル払えば iPhone を交換してもらえる。199 ドルは安いものではないが、二年契約なしで新品の iPhone を購入するよりは400 ドルから 500 ドル安くなるのだ。

Ars Technica の報道によると、Apple Store の営業員は、故障した iPhone がどの世代のものであっても、交換品はそれと同じものになると示唆したそうだ。(たとえば、3G iPhone を浸水させてしまった場合、交換品も 3G iPhone となる。) その他の情報源によると、199 ドルの交換品は修理調整されたモデル、つまり以前に Apple に返品され Appleが検査したもの、であり一年間の製品保証がついてくるということだ。

Apple が交換ポリシーを変更する決定を下した正確な理由は知られていない。いろいろな憶測が飛んでいて、近日一新される可能性の高い iPhone の余分な在庫を処分する必要が Apple にあること、Apple の修理ポリシーの全体的改善、そして故障が不当に水のためとされる可能性があると Apple が認識したことなどがあげられる。(実際、後者の場合、液体浸入インジケータが iPhone の故障とならない出来事によって、作動されたのかもしれない。)理由は何であれ、この新たなポリシーはきっと水濡れ災害を被ってしまった人たちに歓迎されるだろう。


FileMaker、iPhone にも 4.99 ドルで Bento App を届ける

  文: Mark H. Anbinder <[email protected]>
  訳: 細川秀治 <hosoka@ca2.so-net.ne.jp>

親しみやすくしかも強力なデータベースソリューションの武器庫を充実させるべく、FileMaker 社は、iPhone および iPod touch バージョンの Bento をリリースした。Bento は、同社の個人向けに作られたデータベースソフトウェアで、FileMaker Pro にあるリレーショナルデータベース機能やネットワーク対応までは必要でない人々のために設計されたものだ。この Mac 専用 Bentoは、よくあるデータベース用途に向けたテンプレートや、魅力的なインターフェースの作成を簡素化できるテーマを提供することにより、高い人気を博している。

Bento for iPhone and iPod touch は、App Store から 4.99 ドルで購入でき、スタンドアロンのデータベースアプリケーションとして、または、Mac 上の Bento 2 を使用したデスクトップデータベースとハンドヘルド間でデータを同期して使用できる。支出、レシピ、ToDo項目、イベント計画、寄付、その他多くの日常的なデータ追跡ニーズに対応する各種テンプレートが含まれている。デスクトップバージョンの Bento と同様、ユーザーは自分独自のデータベース(“ライブラリ”と呼ぶことでこの概念を親しみ易くし、普通の人々が使いたいと思うものにした)を作成し、それらを適宜変更して使用できる。

FileMaker のライブラリ例はいくぶん限られており、よくあることだが、多くの iPhone app が(Bento ライブラリで可能なものよりも)より優れたインターフェースとより多くの機能を提供していることを考慮すれば、物足りないものがある。Bento があなたにとって役に立つかどうかを検討するには、あなたが追跡するデータが、充分に個別で、そのアプリを誰も思いつかないようなものか考えてみればよい。例えば、あなたの家庭園芸についての写真や詳細、あなたが世話をするクラブのメンバー、その種類の事柄だ。

Adam と私は先週、Bento for iPhone をプレビューする機会があった。Bento をインストールしてハンドヘルド単独で使用している一部の iPhone や iPod touch ユーザーがいるのは疑いもないが、このソフトウェアの決定的な機能は、Mac 上の Bento と統合できることだ。なぜなら? 外出時に、iPhone でのデータ入力がいかに手軽に出来たとしても、ほとんどのユーザーはデータ入力を実物のキーボードでやりたいはずだし、情報にアクセスするのはコンピュータから離れていてもできることを希望するだろう。

残念なことに、Bento の同期機能は、Apple の Keynote Remote app と同様な制限によって身動きが取れなくなっている: ハンドヘルドと Mac の両方が同じ Wi-Fi ネットワークのサブネットに存在する場合にのみ機能するのだ。つまりこれは、あなたの Mac が有線ネットワークに接続されていたり、異なったデバイスを同じアクセスポイントに接続して論理サブセットを形成する多くの非互換企業内ワイヤレスネットワークのひとつに繋がっていたりすると、動作しないことを意味する。FileMaker の関係者は、同社がこの問題に気付いていて、“アップデートで優先的に対処する予定”だと言っている。あなたの Mac 上に ad-hoc ネットワークを作成して iPhone を接続すると、このような状況にいくぶん役立つだろう。

Contacts のような iPhone のコアアプリからデータをやりとりする Bento の機能はまことに素晴らしい。氏名と電話番号を表示できるだけでなく、ユーザーはニックネームや、音声発音などのフィールドをさらに追加でき、アドレス帳のエントリに関連付けられたままで、インスタントメッセージのスクリーンネームも追加できる。これまでのところ、Bento for Mac でユーザーは iCal のカレンダーと To-Do を操作できるのに、これらのライブラリを iPhone バージョンの Bento に同期させることはできない。

あなたの iPhone や iPod touch に 4.99 ドル追加するだけで、Bento はそれ自体便利なツールになるが、我々が最も効果的だと考えるのは、49 ドルのデスクトップソフトウェアと組み合わせたときだ。また、FileMaker への希望として、ユーザーが Bento ライブラリを iPhone や iPod touch 用のスタンドアロンアプリに書き直せるようにして欲しいと思う。結局のところ、もしあなたが家庭園芸の詳細を追跡する究極のライブラリを思い付いたとしたら、あなたはそれを他の iPhone ユーザーにも利用してもらいたいと思うだろうから。


DealBITS 抽選: SuperSync が当たる

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iTunes は多くの意味で良く出来たプログラムだが、これをデザインした人たちはどうやらこれを家族の間で使うとか、あるいは一人のユーザーが複数のコンピュータで使うとかいう状況さえも、考えに入れたことがないように思える。あなたが複数の Mac を持っているからといって、あるいは仕事場で Windows PC を使っているからといって、必ずしもあなたが一つ一つのマシンごとに完全に独立の iTunes ライブラリを持たなければならないことは意味するわけではない。でも残念なことに、一つのライブラリから別のライブラリへと音楽や映画、プレイリストなどを移すのは面倒な作業だ。

そこで SuperSync が登場する。同じ名前の会社の製品だ。その売り文句は、ネットワーク上のコンピュータ(LAN 経由でも、インターネット経由でも)にある二つ以上の iTunes を同期できるというものだ。音楽ファイル自体を移動させたり、iTunes をアップデートしたりでき、さらには再生カウントやランキング、その他のメタデータのみのアップデートもできる。このプログラムは非常に柔軟性が高くカスタマイズも可能なので、インターフェイスは複雑になるかもしれないが、それは支払う価値のある代償と言える。例えば、特定のプレイリストだけで同期したり、.m4v フォーマットのビデオのみの同期をしたり、といったこともできるのだから。それに、双方向の同期ができるということは、片方の Mac での変更が別の Mac での変更によって上書きされてしまう心配が不要になるということだ。SuperSync は Windows でさえも動作するので、自宅の Mac にある音楽を仕事場の Windows 機に同期させることもできる。その他の便利な機能としては、ライブラリどうしの比較や統合もでき、重複したトラックや壊れたファイルの検索をしたり、ウェブ経由であなたの音楽ライブラリにアクセスしたり、あなたの音楽を iPhone や iPod touch、さらには TiVo でさえ聴くことができる。SuperSync の価格は 2-pak 版で $29、5-pak 版で $39、10-pak 版で $49 となっているが、今週の DealBITS 抽選ではこの 5-pak 版を1本、賞品にする。

幸運が足りずに当選から漏れた応募者にももれなく SuperSync の割引価格の資格が贈られるので、ぜひ奮って DealBITS ページで応募して頂きたい。寄せられた情報のすべては TidBITS の包括的プライバシー規約の下で扱われる。また、もしもあなたがこの抽選を紹介して下さった方が当選すれば、紹介に対するお礼としてあなたの手にも同じ賞品が届くことになるのもお忘れなく。

[訳注: 応募期間は 11:59 PM PDT, 17-May-2009 まで、つまり日本時間で 5 月 18 日(月曜日)の午後 4 時頃までとなっています。]


追悼: AppleLust の David Schultz

  文: Neale Monks <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

AppleLust ウェブサイトの創設者、David Schultz が、2008 年 10 月に亡くなった。いろいろの理由で、彼を最もよく知っていた Mac ライターたちも、彼との連絡がとれない状態になっていたので、彼の死は多くの人たちに驚きのニュースとなるだろう。そういうわけで、David が亡くなってから六カ月も経ってからここにささやかな言葉を彼のために捧げるのも、追悼の辞としては遅過ぎるかもしれないが、Mac の世界に対する David の影響があまりにも大きかったことを考えれば、やはり彼の逝去について一言述べておきたいと思うものである。

David Schultz は、Macintosh の伝道師でもあり、保守派の学者として、哲学の教授の要職にあった。彼の書く文章には常に彼の博識が溢れ、彼の意見に反対する人たちもまた、彼の議論が知性に溢れて終始一貫したものであることを認めざるを得なかった。Macintosh を使うことがファッショナブルでなかった、あの 1990 年代の厳しい時代、メディアが「進退窮まった」という形容詞を付けずに Apple を言及せぬ日が一日もなかった頃でさえも、彼の Macintosh への愛情は全く変わることがなかった。

彼は猛烈な勢いでインターネットの中に飛び込み、当時印刷された雑誌には実際どこにも載っていなかった深みにまで突き詰めた思索を交わすため、彼や他のライターたちが表現し合える場として、AppleLust ウェブサイトを創設した。David にとって、Mac を使うこと自体が一つの哲学的声明でもあったのだ。

David の健康状態は決して良いものではなかった。しかしながら、絶え間なく続く痛みと、三度にわたる腎臓移植を含む数々の手術にも耐えて、彼の心が折れることはなかった。私は数年の間ネブラスカ州に住んだが、その間私は何度となく彼と会い、アマチュアの天文学で交友を結んだ。ほとんど子供のような天真爛漫さで科学を愛する彼の心は、いつも空の星とともに輝き続けていた。David は頑固になることも、気まぐれになることもあり、意見を異にした時には手強い論争相手となったが、彼は常に正直であり、礼儀正しく、自分の意見をはっきりと言い表わせる人であった。彼を失ったのは寂しい。

David の死後、applelust.com ドメインの管理は別のユーザーに引き継がれた。元 AppleLust のウェブマスターであった Marc Messer と、MacHighway の Chris と Tyler が、協力して元のサイトの大部分をアーカイブ保存しており、一方では MyMac の Tim Robertson が、David の最も重要な著作のいくつかをオンラインに戻すべく努力を続けている。


Kindle DX、大スクリーンとネイティブな PDF サポートを提供

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

もっと小さな機器へというトレンドに逆行するかのごとく、Kindle DX が Amazon から発表された。論争の的となった同社の電子ブックリーダー機器の、スケールアップ版だ。スクリーンが大きくなった他に、この Kindle DX ではネイティブな PDF リーダーが提供され、高度に書式設定された文書のための最も一般的なこのデジタルフォーマットに対しても、ようやく互換となった。

大スクリーンと、ネイティブな PDF サポート、スクリーンを横長にして使える機能、それに内部ストレージ容量が増えたことを除けば、この Kindle DX は最近リリースされた Kindle 2 とほとんど同じものだ。(2009-02-09 の記事“Amazon、電子ブックリーダー Kindle 2 を発表”参照。)共通の標準機能としては、購入価格に組み込まれた 3G ワイヤレス接続性、手早く本の購入ができる Amazon オンラインストアの統合、長寿命のバッテリ、一部のタイトルに対するテキスト読み上げ機能などがある。

この Kindle DX は「今夏」(つまり 2009 年 9 月までに)$489 で発売されるという。早く列に並びたいという人のために、予約注文の受付が既に始まっている。$359 の Kindle 2 も引き続き販売される。残念ながら、現在のところ、いずれの Kindle 機も販売は米国国内のみとなる予定だ。Amazon はその理由を「輸出入に関する法律やその他の制約による」としている。

仕様 -- もちろん、Kindle DX で一番大きな変更点は、大サイズの E-Ink スクリーンだ。対角線の長さが 9.7 インチ (24.6 cm) で、Kindle 2 の 6 インチ (15.24 cm) よりも相当大きくなっている。150 ppi (インチあたりピクセル数) で 824×1200 ピクセルの解像度を持ち 16 階調グレイを提供する。これに比べて、Kindle 2 のスクリーンはわずか 600×800 ピクセルの解像度であったが 167 ppi で同じ階調のグレイを提供していた。

Kinde-screens

スクリーンが大きくなったことで、全体の物理的サイズも Kindle DX ではかなり増えて 10.4×7.2×0.38 インチ (26.4×18.3×0.97 cm) となり、重量も 10.2 オンス (289 g) から 18.9 オンス (535 g) に増えた。

Kindle 2 や初代の Kindle よりは良くなったが、Kindle DX はまだまだ小さめだとも言える。トレード版ペーパーバック本の標準サイズは 7×9 インチ (17.8×22.9 cm) で、その対角線の長さは 11.5 インチ (29.2 cm) だ。教科書版はさらに大きく、8.5×11 インチ (21.6×27.9 cm) のことが多い。それでも、Kindle DX 本体の物理的サイズはトレード版ペーパーバック本のサイズにかなり近いので、手に持つにはちょうど手ごろな大きさだろう。

Kindle 2 よりもピクセル密度が下がったのでフォントの鮮明度が下がるかもしれないし、スクリーンが大きくなって再描画の速度がのろくなったかもしれない。(E-Ink スクリーンではページをめくるごとにページ全体を再描画しなければならないことに注意。)これらの点については数カ月後になって実際に両方を目の前で比べてみることができるようになるまではっきりしたことは言えない。

Amazon はまた Kindle DX の内部ストレージ容量も増強し、Kindle 2 の 2 GB から 4 GB に増やした。ただしそのすべてがユーザーのコンテンツ用に使えるわけではない。使える容量は Kindle DX で 3.3 GB、Kindle 2 で 1.4 GB だ。

最後にもう一つ。Kindle DX には何らかの方向センサーが付いているに違いない。なぜなら、iPhone や iPod touch と同じように、機器を持つ向きを変えれば自動的に表示も縦長から横長へと向きが変わるからだ。ただし、現時点で言える限りではこれ以外に加速度計ベースの機能はないようだ。

ついに PDF が -- 大きくなったスクリーンの一番の利点は、Kindle としては今回初めて、小さなスクリーンに合わせるため PDF 書類をシンプルな HTML に変換してからスクリーン上に組み直す必要がなくなったことだ。ほとんどすべての雑誌や、多くの本(特に技術関係の書籍や、教科書など、あるいは料理本のような参考資料)においては、その内容のレイアウトに多大な努力が注ぎ込まれている。レイアウトが崩れればコンテンツの価値がほとんどなくなるとさえ言えるほどだ。そのため、レイアウトに大きく依存するようなコンテンツでは Kindle や Kindle 2 はほとんど使い物にならなかった。

けれどもこの Kindle DX では、フルページの PDF が表示できて(小さな iPhone や iPod touch のスクリーンではたいてい必要となる)ズームインも必要なしに読める。もちろん、それはそのページ上のテキストに依存するだろう。大判の教科書でならば紙の上で読みやすいテキストも、Kindle DX のスクリーン上に縮小して表示されれば快適に読むには文字が小さ過ぎるということもあるだろう。

Kindle-DX

これは、Kindle にとって大きな意味を持つ可能性のあることなのだ。

業界への援助の手 -- Amazon は Kindle DX のためのコンテンツを必要としているので、その目的の下に大手の教科書出版社3社と協定を結んで教科書を Kindle DX 用に利用できるようにした。もちろんそれは、学生たちがバックパックに多数の教科書を詰め込んで歩く代わりに Kindle DX を持ち歩くだけでよいようにしようというわけだ。これも偶然ではないことだが、その結果として、学生たちがどの教科書も新たに購入するようになる。現状では教科書を中古で買って、学期の終わりに売り飛ばしてしまう学生が多い。だから、教科書出版各社はもしも Kindle DX の滑り出しがうまく行けば先を争ってこれに乗り遅れまいと大々的に動き出すだろう。

$489 という Kindle DX の価格は学生にとって決して安くないが、教科書の価格もまた、たとえ中古で買ったとしても安いものではない。それに、学生たちは囚われの聴衆だ。つまり、授業を取るためには必ず教科書を買わなければならない。Kindle 版の教科書は紙に印刷した教科書よりもかなり安価になり得る。これは、印刷や流通のコストがかからないこともあるし、中古品が出回ることによる「ロス」がなくなることも理由の一つだ。まだ詳細は発表されていないが、次の年度から5つの大学が Kindle DX の「パイロット校」になるという。具体的には Princeton University、Reed College、Arizona State University、Case Western Reserve University、それに University of Virginia の Darden School of Business の5校だ。

Kindle DX 用コンテンツのもう一つの供給元が、新聞だ。Amazon は the New York Times、the Washington Post、the Boston Globe、the San Francisco Chronicle の各紙と契約を結んで、長期の契約を割引いた購読料金で提供できるようにした。それが具体的にどのようなものになるかはまだ未知だが、私の感じではスクリーンが大きくなったことで以前よりずっと新聞が読みやすくなるだろうと思う。ただ、Kindle が新聞業界の赤字の流れをたちまち食い止めるとまでは想像しにくいが。

従来型の書籍について言えば、Amazon CEO の Jeff Bezos が、Kindle で読めるタイトル数を同社が引き続き増やし続けてきたと述べている。初代の Kindle がスタートした 18 カ月前に 90,000 タイトルで始まったものが、Kindle 2 がスタートした 2009 年 2 月には 230,000 タイトルとなり、現在では 275,000 に達している。

とは言うものの、私たちはもう何カ月も前から TidBITS を Kindle で読めるようにしてもらいたいと努めているのだが、ほぼ完全に Amazon から無視され続けている。理論的には、私たちの Take Control 電子ブックを Kindle DX 用に出すのは比較的易しいだろう(人の手の介入を必要としないからだ)が、現在の Kindle がサポートしている限定型の HTML への変換によって滅茶苦茶にされてしまうことなく PDF ベースの電子ブックを提示するために出版社として何をすればよいのか、依然として Amazon からは何も伝わってこない。

この価格に見合うだけの改善か? -- $489 という、Kindle 2 より $130 も高い Kindle DX の価格は、やはりものを読むためだけの機器としては高過ぎるように思える。この高価格は、普及を妨げる要因となるかもしれない。PDF サポートのない点が大きな問題でなかったならば、Kindle や Kindle 2 で満足している人たちはおそらくアップグレードしたいと思わないだろう。(アップグレード割引価格はない。)けれども、大スクリーンと PDF サポートが組み合わされば状況そのものが変わる。これまで Amazon は、従来型のテキストのみの本を Kindle で読むという概念を中心に推し進めてきた(それは一つにはテキストのみならば何も書式設定が要らないので小さなスクリーンでも簡単に描画し直せるからだった)けれども、私は一般的に言って Kindle はもっと一過性のコンテンツを読む目的の方により魅力的に使えるようになると思うし、Kindle DX で大きくなったスクリーンとネイティブな PDF のサポートが加わったことは、これまでは対象外となっていたより一過性のコンテンツに対しても広範囲に門戸を開くことになるのだと思う。

その根拠として、従来型の本というものはこれと違った種類の文化的意味合いを持っており、いわば工芸品としての価値も持ち合わせていたことが挙げられる。本が好きな人たちは、それが物体として存在していることそのものが好きなのであって、友人や親戚に貸してあげられることも重要な点だ。自宅の本棚にぎっしりと本が並んでいれば、それが何らかの意味を持っている。電子ブックが仮想的存在であること、それに Amazon の DRM まで付いているとなれば、これまで慣れ親しんだ方法で使うことのできない状態で Kindle 用に本を購入することに、二の足を踏む人たちも少なからずいただろう。

でも、新聞や、雑誌や、ブログはどうだろうか? そういうものは元来一過性の存在だ。参照のために新聞を全部保存しておく人などいない。それに、雑誌の古い号を手放さずに取っておく人でも、取り出して読み直すことはめったにない。飛行機や列車の座席に新聞や雑誌を置きっぱなしにする人たちがおおぜいいるのは、一度読めばもはや価値がないと思っているからだ。ブログも基本的には同じだ。ある事柄についてブログの記事にアクセスできるのは素敵なことだが、たいていの場合、その記事を一度読めば、もう二度と読む必要はない。(Kindle DX への反対意見の一つは、大部分の雑誌や多くの本がフルカラーで印刷されているこの時代に、Kindle DX にはカラーがないという点だろう。)

テキストのみのカラムに何個か写真が付いているだけという基本レベルを超えた技術関係書籍ならば、実際には新聞や雑誌との共通点が第一印象で感じられるよりずっと多く存在している可能性がある。例えば私たちの Take Control 電子ブックにしてもそうだ。Kindle 用に変換するのがちょうど困難になり始める程度のフォーマッティングを備えた私たちの本は、やはり一過性の性格を備えている。ただその一過性の程度が、新聞や雑誌に比べ時間の尺度にして少し長いだけだ。新聞の尺度は一日か、長くても一週間程度、雑誌ならば一週間か一カ月、長くても二カ月までだろう。私たちの出しているような技術系の本は、その基盤となるテクノロジーが変更されるまでの間しか有効でない。それは一週間後に起こるかもしれないし、18 ヶ月後かもしれない。いずれにしても、それが起こった後には、その本を手元に置いておく理由はほとんどない。

教科書も、また違った意味で一過性のものだ。その内容の基盤となる分野が大きく変わるまでの間は改訂版を出す必要はないかもしれないが、それよりも重要なのは大部分の学生たちがほんの一学期か二学期の間しかそれを手元に置きたいと思わないということだ。その上、少なくとも理論的には、進級するに伴って学生たちはより進んだレベルの学習に進むことになるので、古い教科書を残しておいてもあまり意味はない。

それから、私は Kindle DX が料理本のような参考資料的意味合いを持つものについても人気を博するようになると思う。この場合、コンテンツそのものは一過性の性格をあまり持たないが、個々のコンテンツをあなたが必要とするのはごく一時的なことが多く、検索機能が非常に重要なものとなる。一つのレシピには1ページで十分なことが多いので、ここでは Kindle DX の小ささが生きてきて、料理している間もキッチンの棚の上に立てかけて置いておける。この種のコンテンツは大部分がウェブでも提供されている(Kindle DX に改良されたウェブ機能が盛り込まれるかどうかは発表されていない)が、資料本としての役割はまだ十分残されている。

残念なことに、Amazon は Kindle の販売実績を発表したことがないので、私たちが Kindle DX の成功の度合いを知ることはできず、その売れ行きを評価することも、Kindle や Kindle 2 と比較することもできない。それと、確かに Kindle DX は興味深い存在ではあるが、もしも Apple が噂にのぼっているタブレットサイズの iPod touch を出してきて、価格もそれほど違わないものであったなら、たちまち Kindle DX は影が薄くなって消え去る運命にあるのではないかと私は思う。つまるところ、もしも大スクリーンの iPod touch があって、映画も観られて何千という iPhone アプリも走らせられたとしたら、Kindle DX の方を買おうと思う学生が一人でもいるだろうか?


SFMOMA の ArtScope、美術館収蔵品の新しい閲覧法

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: Minori Goto <minorig@gmail.com>

機能的なレベルで言うと、美術館に行くことは、Blockbusters ビデオレンタル店に行くのとさほど変わらない。(NetFlix や インターネット上で手に入るビデオの台頭を考えれば、双方とも客足は似た様なものだろう。)大方、どちらでも対象物は収集所蔵され、分類される。レンタルビデオ店では、アクション、ホラー、コメディーなどの映画の種類別に通路棚がある。美術館も似た様な体系をとっている。17世紀フランドル派絵画、エトルリア文明彫刻、そして日本の紙上作品など展示が部門別になっている。ごちゃまぜにみえる部門でさえ、大抵はちゃんと根拠があるのだ。例えば、ビデオ店ではニューリリースやスタッフおすすめビデオなどがそれにあたるし、美術館なら、新収作品展あるいは Rubell コレクション展などだ。構成上の明確さをゴールにしているのは、どちらの場合も同じだ。君が探しているものを見つけ易くし、一旦それが見つかると、さらに同類のものを見つけ易いようにしている。

ほとんどの美術館がオンラインプレゼンスの構築に伝統的なアプローチをとっており、現実の構成をそのままウェブに移植してきた。例えば、ニューヨークのメトロポリタン美術館のウェブサイトは、検索可能なデータベースを提供するかたわら、展示部門別にウェブページを構成している。パリのルーブル美術館は、ユーザーが展示室や展示品を複製した三次元仮想空間をナビゲートできるようにして、実体の美術館にいる様な感覚を保とうと、さらに力を入れている。このような分類法を維持することが悪いわけではないのだが、所蔵作品のデジタル化によって、多くの可能性が他にも広がってくるのだ。(今では歴史的となった、デジタル化した美術館についての瞑想録を読みたい読者は、Brad DeLong の「存在論の崩壊、あるいはヘルプ・システムごっこ」1995-08-21 を参照。)

ArtScope をのぞきこむ -- サンフランシスコ近代美術館 (SFMOFA) の ArtScopeは美術館の収蔵作品をウェブに展示する刷新的なアプローチのすばらしい例だ。ArtScope はビジュアルな閲覧ツールで、SFMOMA 常設展示作品の 3500 点を表示するサムネイルグリッドで構成されている。このグリッドはズームすることができ、表示されたレンズをグリッド上で動かすと特定の部分が拡大される。このように、ユーザが何百もの美術作品を同時に、あるいは一点ずつじっくりと詳細に、見ることができる。

ArtScope_full

ArtScope を起動すると、ウィンドウの右側にコントロールボタンと検索ボックスが見える。コントロールボタンでズームインとズームアウトができる。画面いっぱいにズームアウトすることもできる。けれども、レンズの内側をダブルクリックしてズームイン、レンズの外側をダブルクリックしてズームアウトした方が楽だ。さらにグリッドをつかんでドラッグすると、Google Maps の地図のように、作品を動き回すことができる。残念ながら、ArtScope ではトラックパッドジェスチュアやスクロールホイールでのズームはできないし、ダブルクリックして、徐々にズームするのはうんざりするほど長たらしい。

ArtScope_lens

さらに興味深いことに、 ArtScope には検索ツールが付いている。検索ボックスの下にはペインがあり、レンズの真ん中にある美術作品の情報を表示してくれる。(作品情報は最小サイズにズームアウトされる時にも表示されている。)検索フィールドには何を入力してもよい。芸術家名、作品名、制作年、キーワードなどだ。君の検索フレーズが検索結果に一致すると、ArtScope はレンズを(同じズームレベルのまま)一番始めの検索該当作品に動かす。君の検索用語と一致する作品が2点以上ある場合は、ナビゲーションバーが現在見られている検索結果作品の順番号と検索結果の総数を表示してくれる。矢印のボタンをクリックすれば、グリッドの中の他の検索結果作品へジャンプすることができる。検索フィールドに「1970」とか「キャンバスアクリル画」などと入力して、グリッドの中の至る所にある検索結果を、矢印ボタンを使い、飛び回って見るのは楽しい。

Hard Rock 記念品コレクションを閲覧 -- Hard Rock Cafe の Memorabiliaウェブサイトには ArtScope との強い類似性があるだろう。ArtScope も同様にビジュアルなインターフェイスを持つのだが、同社の人気音楽関連品のコレクションを閲覧するためには、こちらのインターフェイスの方が ある意味では、ArtScope のものよりも優れているのかもしれない。コントロールとナビゲーションは、僕が ArtScope に取り入れてもらいたいと思う様式になっている。Hard Rock Memorabilia のツールは、SFMOMA のようにつかんでドラッグするナビゲーション操作であるが、Apple 的なデザインが施されている。ドラッグする時、ちょっとした惰性感があるが、これはナビゲーション操作に自然な物理感を与えてくれる。惰性感はズーム機能にも感じられるが、ここでは、トラックパッドとスクロールホイールがサポートされているので、より早く効率的なズームインとズームアウトができる。ArtScope のズームはレンズの丸く囲まれた部分を拡大するのだが、そのバックグランドも少し弱めながらも拡大してしまう。視覚的にはこれは散乱して感じられ、Hard Rock サイトのページ丸ごとのズームを使ってみると、レンズは不要に感じられる。

HardRock

しかし、ArtScope はサイズを変えることができ、大型のスクリーンをうまく生かすことができる。一方で、Hard Rock Memorabilia のツールではどんなモニターでもウィンドウのサイズは固定されたままだ。このことは、Hard Rock の情報ペインでは問題となる。というのも、ある程度拡大してポップアップするので見栄えは良いのだが、限られたウィンドウの一番良い所を取ってしまい、見ようとしている対象物を時折遮ってしまうのだ。魅力では勝る Hard Rock の情報ペインのもう一つの不利な点は、ズームアウトした時でも、その品の情報が見たい場合があるのに、それができないところだ。これは ArtScope では可能だ。しかし、Hard Rock Memorabilia のツールの最大の問題はロードするのに時間がかかることだ。ズームインする時は必ずと言っていいほど、ぼんやりしたピクセルがぼつぼつしている画像になってしまう。この画像がくっきりしたものに変わるまで、かなりの時間がかかる。かなり近くまでズームインできるのだが、時間がかかるのでやる気を失ってしまう。これとは対照的に、ArtScope のズームはくっきりしていて早い。

最後に、ArtScope とは違い、Hard Rock Memorabilia のツールは検索ツールに全く欠けている。その代わりに、記念品コレクションを幾つかの大きなかたまりに分類してある。ArtScope のアプローチの方が遥かに印象的で興味をそそる。なぜなら、ArtScope は伝統的な上意下達な分類体系を除いて、ユーザがその代わりに検索ツールを利用して独自のコレクションを創作できるようにしたからだ。

オンライン美術館の再考 -- ArtScope のズームには不満が残るが、これは美術館が物理的世界での可能域を超えた体験を、いかにオンラインで提供できるかという質問に答えるすばらしい一歩である。自分自身の目で、実体の芸術作品を見ることに代わるものはないが、多くの人は巨作と向き合って観覧する機会をもたない。だから、コンピューターのスクリーンでこれらのものを見せる様々な方法を探索するのは必須なのだ。ArtScope は時に重々しくて触れてはいけないと感じられる作品を見て回り、自由に関連させ、奇妙な組み合わせをしてみたりして、遊び半分に触れ合うよう促す。Google Earth の中にある仮想美術館、プラド美術館ももう一つのアプローチだ。しかしこれは、美術館の全収蔵作品のある種の統合というよりは、幾つかの作品だけの奥深い探索ということを目的としている。(「Google Earth の仮想 Prado 美術館」2009-01-28 参照)

結論を言うと、ArtScope は単に物理的環境では味わえない体験を生み出し、芸術品を鑑賞する新しいモデルを提案している。それは、デジタル再生の拡張性をとらえ、新しい並列を可能としている。例えば、大きなサルコファガスと小さなデッサンが同じサイズの横列した画像として鑑賞できる。または、カードの束をぱらぱらとめくって見るように、コレクションを選り分けることができる。僕は、独創性をもってこのウェブサイトを作り上げた SFMOMA に拍手を送る。そして、デジタル次元が何を提供できるのか、また、どんな可能性がまだ探索されずにいるのかを認識しながら、さらに多くの美術館がインターネットとの関係を熟考するよう望んでいる。


TidBITS 監視リスト: 注目のソフトウェアアップデート、11-May-09

  文: Doug McLean <[email protected]>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Adobe からの Fireworks CS4 10.0.3 Updater は、この強力なベクターとビットマップグラフィックスエディタに対するメンテナンスアップデートである。変更点には、Mac 及び Windows 両方での一般的安定性の改善、テキストがずれるバグの修正、そして Microsoft Office から Fireworks へテキストを貼り付ける事に関するいくつかのバグ修正が含まれる。このアップデートは Adobe Update Manager 経由か Adobe の Web サイトからダウンロード出来る。更に Adobe の Web サイトからダウンロード出来るものに、このアップデートの全リリースノートの PDF バージョンがある。(新規 $299、無料アップデート、46.6 MB)

Apple からのXserve LOM ファームウェア・アップデート 1.2 は Xserve (Early 2008) に対する Lights-Out Management 環境をアップデートしている。このアップデートでは "電源とファンの警報が頻繁に送り出される原因となっている問題" に対応している。このアップデートに関する更なる詳細、インスタレーションの手順については Apple の Web サイトから入手できる。このアップデートは Software Update 経由で入手可であるが Apple の Support Downloads ページからもダウンロード出来る。(無料アップデート、719 KB)

Bare Bones Software からの BBEdit 9.2 はこの強力なテキストエディタの最新版である。新機能には、次回の起動時にこのアプリケーションの現在の状態を復旧させるのに役立つ Sleep コマンド、LassoScript 言語に対する完全サポート、そして幾つかの機能に対する Growl サポートが含まれている。強化された他の機能には、BBEdit のエキスパート設定インターフェース、FTP 及び SFTP クライアント、Terminal との統合、そしてコマンドラインツールが含まれる。全リリースノートは Bare Bones の Web サイト経由で入手出来る。(新規 $125、無料アップデート、15.4 MB)

The Omni Group からのOmniFocus 1.6.1 はこのタスク管理ユーティリティに対するマイナーなメンテナンスアップデートである。変更点には、Mac OS X 10.4 とのコンパチ性の改善、同期能力の改善、そしてローカリゼーションへのアップデートが含まれる。添付に関する二つのバグもまた修正されている。変更点の全リストは The Omni Group Web サイトから入手出来る。(新規 $79.95、無料アップデート、17.2 MB)

Acacia Tree Software からの SousChef 1.2 はこの料理とレシピ管理ソフトウェアに対する重要なアップデートである。変更点には、メートル法への対応、大きな MacGourmet データベースをインポートする能力、ページ番号をつけた検索結果、強化された買い物メモ機能、そしてより正確な成分解析が含まれる。終了時間が遅い、クラッシュする、そして会話取り消しに関する幾つかのバグも修正されている。(新規 $30、無料アップデート、8.7 MB)

Apple からの )iMac EFI ファームウェア・アップデート 1.4 では "ATI Radeon HD 4850 グラフィックスを持つ iMac コンピュータの間歇的なシステムフリーズ問題、Boot Camp でのスリープから目覚める問題" を解決している。Apple の Support Downloads ページから、インスタレーションの手順が入手出来、かつこのアップデートのダウンロードが出来る。(無料アップデート、1.7 MB)

Atebits からのTweetie 1.1 は最近リリースされたばかりの Mac Twitter クライアントに対する追っかけのアップデートである。変更点には、アカウント毎の警報設定、Growl へのサポート、検索の保存、新しい Mark All As Read コマンド、そして Trends に対する自動アップデートが含まれる。それにエラーの扱いも改善され、tweet ディスプレイも改善され、直接メッセージ表示インターフェースも強化され、そしてユーザーは今やメニューアイテムを不能にする選択が可能になったことが含まれる。(登録者 $19.95/広告付きは無料、無料アップデート、1.7 MB)


ExtraBITS、11-May-09 版

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Bluetooth のデフォルト設定が MacBook にリスクをもたらす -- Wired.com の Brian X. Chen の記事によると、Apple ノートブック機におけるデフォルトの Bluetooth 設定に危険な可能性が含まれていることが判明したという。デフォルト設定では、ノートブック機のリッドが閉じられている場合でも Bluetooth 機器がマシンをスリープから目覚めさせてしまう。ユーザーが MacBook と Bluetooth マウスを同じかばんの中にしまっていると、この設定によってオーバーヒートが起こって悲惨事を招きかねない。(リンク投稿 2009-05-08)

Apple、アプリの iPhone 3.0 での動作を要求すると発表 -- あながち驚くようなニュースでもないが、Apple からの発表によれば、今後新たに開発される iPhone アプリはすべて(現在ベータ版の)iPhone OS 3.0 と互換でなければならないという。開発者たちにあてた電子メールの中で、Apple は新規のアプリは iPhone OS 3.0 上でテストされること、既存のアプリは互換なものへとアップデートされなければならず、互換でないものは iPhone OS 3.0 のリリース後に App Store から削除されることを通知した。(リンク投稿 2009-05-08)

MiFi がポータブルな Wi-Fi 接続性を提供 -- 外出中オンライン接続が必要になった際に、毎度 Wi-Fi を探し回らなければならないのはうんざりでは? New York Times 紙のコラムニスト David Pogue が、Novatel MiFi 2200 をスクープする。これは持ち運び可能な Wi-Fi ホットスポットで、Verizon の 3G セルラーデータネットワーク経由でインターネット接続を得る。頻繁に旅行する人には夢のようなツールだが、大量のデータをやり取りする必要がある場合には帯域幅料金に注意しなければならない。(リンク投稿 2009-05-08)

Adam、Tech Night Owl Live で Kindle DX を語る -- Kindle DX は、Amazon の電子ブックリーダー機器の改訂版として代り映えのしないものか、それとも大きくなったスクリーンサイズと PDF のサポートによって従来のモデルより魅力を増しただろうか? Adam の意見は「魅力を増した」という方だ。ただし彼は、雑誌や教科書用にカラースクリーンがあればよかったのにと思っている。(リンク投稿 2009-05-08)

MacBook Pro、エベレスト山の 21,000 フィート地点でビデオ編集 -- エベレスト山のこの高さで撮影していたビデオ制作担当者たちは、Final Cut Pro の編集に使う MacBook Pro に非常に満足している。17,500 フィート地点にあるベースキャンプまでビデオを届けるために彼らが使っている高帯域幅の SherpaNet にご注目を! (リンク投稿 2009-05-07)

Myst が iPhone に登場 -- パズル・アドベンチャーゲームのクラシック、Myst が初めて Mac 用にリリースされたのは 1993 年のことだったが、今回これが iPhone および iPod touch 用に $5.99 で売り出された。元のゲームも、そこから生まれたいくつかの続編も、現在 Mac OS X 用にはもはや出ていないので、ポータブル版の到来はなおさら歓迎すべきものと言えるだろう。ただし、CNET のレビュー記事によれば、このゲームを再びプレイできるようになるには代償を払う必要がある。貴重な容量を 700 MB 以上も占めるのだ。(リンク投稿 2009-05-07)

VMware Fusion、リリース候補版の Windows 7 とも仲良しに -- Microsoft は最近 Windows 7 のリリース候補版を公開したが、VMware の Team Fusion ブログに載った記事によれば、現行バージョンの Fusion でもこのリリース候補版がきちんと動くそうだ。ただし、最良の結果を得るにはユーザーがいくつか微調整をする必要がある。(リンク投稿 2009-05-06)

テキストメッセージの上限を考案したのは賢い委員長 -- GSM ネットワークにおける SMS の 160 文字までという制限は、あるドイツ人が 1985 年に市場リサーチもせずタイプライターを前にして算出したものだった。彼はテレックスや葉書といったものも検討した。(リンク投稿 2009-05-04)


TidBITS Talk/11-May-09 のホットな話題

  文: Jeff Carlson <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

IMAP、Gmail、Apple Mail で至福の電子メール環境を -- 話題を集めた Joe Kissell の記事をめぐり、先週よりもさらに議論が盛り上がる。Gmail の限界を回避するために Mail でスマートメールボックスを使う、という話題も出る。(メッセージ数 52)

フル品質の写真を iPhoto 経由で共有する方法 -- 書き出し設定が Actual Size となっている場合でも、iPhoto は Flickr にアップロードする際に写真を圧縮することがわかった。(メッセージ数 8)

技術革新反対論 -- 道案内を得るために GPS に依存するのは賢明なことかどうか、と読者たちが議論する。そうした道案内は間違っていることも多いからだ。そもそもこうした機器は、地図を読むといった人間の基本的技能を奪ってしまうものなのだろうか? (メッセージ数 47)

汚れたバーナーを清掃する? -- 焼き付けの際にエラーが起こるのを予防するために DVD ドライブを清掃したい。どうするのが最良の方法か? (メッセージ数 2)


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2009年 5月 15日 金曜日, S. HOSOKAWA